説明

透過照明式指示計器

【課題】 指示計器において、文字板の表示面側にのみグラデーションを構成するドットを配設したため、文字板が平面的に見え、奥行き感を十分に得ることができなかった。
【解決手段】 透光性基板に指標が印刷された文字板を後方から光源によって透光照明してなる透過照明式指示計器において、
前記文字板は、
前記透光性基板の表面側外周に沿って設けられた指標の配置領域に設けられた加飾印刷層と、該加飾印刷層の内周端側に該加飾印刷層に離間して設けられた第1遮光層と、前記透光性基板に設けられた前記加飾印刷層と前記第1遮光層との離間スペースの前記透光性基板の裏面側に設けられた第2遮光層と、該第2遮光層の外周側に該第2遮光層から離間して設けられ、内周端側が前記加飾印刷層の内側端よりも内側に位置せしめられてなる透光量調整層と、前記第2遮光層の外周縁部を含んで前記透光量調整層の上にオーバーラップして設けられた調光印刷層とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過照明式指示計器に関し、詳しくは、文字板の裏面側に光源を配置し、この光源から光を文字板の裏面側から表示面側に透過することによって文字板の目盛、数字、記号等を視認できるようにした透過照明式指示計器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指示計器において上記のような見た目の心地良さと視認性とがあいまって実現される見易さやドライバーに与える疲労度の低減等のさらなる向上を図るために、その文字板の指標等が配設される文字板の地色(背景)を単一トーンではなく色や濃淡のグラデーションにするという技術が考えられる。
例えば、特許文献1に記載されているように、指示計器100の指針101の回動軸102を中心として外側に向って視覚的濃度が低減するように文字板103にグラデーション104を分布させると共に、そのグラデーション104全体の視覚的濃度の中間の値になる位置Aを、中心(回転軸102)の位置Bと、目盛、数字等の指標101が配設された位置Cとの中間の位置Dよりも外側に位置せしめて、前記中間の位置Dよりも外側に視覚的濃度の変化の最大点を持ってきて、文字板103に色や濃淡の変化として明確に認識されるグラデーションが配設されて、見た目の心地よさや視認性等を向上している。(図7及び図8参照)
【0003】
【特許文献1】特開平11−64049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の指示計器では、文字板103の表示面側にのみグラデーション104を構成するドットを配設したため、文字板103が平面的に見え、奥行き感を十分に得ることができなかった。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、文字板を構成する透光性基板の表面、裏面の両面に印刷層を設けると共に、裏面に設けた印刷層に外部から光を当てることによって、表面の印刷層の奥側に裏面の印刷層を鮮明に見ることができ、従来よりも奥行き感を得ることができる透過照明式指示計器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明による透過照明式指示計器は、透光性基板に指標が印刷された文字板を後方から光源によって透光照明してなる透過照明式指示計器において、
前記文字板は、前記透光性基板の表面側外周に沿って設けられた指標の配置領域に設けられた加飾印刷層と、該加飾印刷層の内周端側に該加飾印刷層に離間して設けられた第1遮光層と、前記透光性基板に設けられた前記加飾印刷層と前記第1遮光層との離間スペースの前記透光性基板の裏面側に設けられた第2遮光層と、該第2遮光層の外周側に該第2遮光層から離間して設けられ、内周端側が前記加飾印刷層の内側端よりも内側に位置せしめられてなる透光量調整層と、前記第2遮光層の外周縁部を含んで前記透光量調整層の上にオーバーラップして設けられた調光印刷層とからなることを特徴とする。
【0007】
前記第2遮光層の前記透光性基板側表面は、鏡面状態に形成されている。
【0008】
また、前記透光量調整層は、異なる複数の円形状ヘアライン調印刷である。
【0009】
さらに、前記第2遮光層の前記透光性基板側表面は、鏡面状態に形成され、かつ前記透光量調整層は、複数の円形状ヘアライン調印刷からなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記文字板裏面に設けられた前記透光量調整層からの反射光を前記文字板表面側から見るので、奥行き感の向上が図られ、かつ前記透光量調整層がリング状に輝いて見えて、美観の向上を図ることが出来る。
【0011】
また、前記リングの内側に前記第2遮光層によるもう一つのリングが、前記文字板裏面に形成されて見えるので、奥行き間を強調できる。
【0012】
また、前記透光量調整層は、異なる複数の同心円形状ヘアライン調印刷に形成することによってさらに奥行き間を強調できる。
【0013】
またさらに、前記第2遮光層は、鏡面状態に形成され、かつ前記透光量調整層は、複数の円形状ヘアライン調にされることによって、さらに奥行き間を強調できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。以下の図面の記載において、同一または同等の部分には同一または同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
本実施の形態に係る透過照明式指示計器1は、図1乃至図4に示すように、透光性基板1に指標2が形成された文字板3を後方から、常時点灯の光源4によって透光照明してなる構造を有する。
【0017】
前記文字板3を構成する前記透光性基板1の表面外周に沿って設けられる指標2の配置領域5に設けられた遮光性加飾印刷層6の内側に、加飾印刷層6から離間して黒色の第1遮光層7が設けられている。
【0018】
また、この加飾印刷層6の内周端部の近傍(符号Aの近傍)は、全周に渡って半透過構造をなして、加飾印刷層6を前面視(文字板3を光源4の反対側から見る場合を言う)した場合、前記透光量調整層10領域X(複数の前記透光量調整層10を1つの纏まりとして見た場合の領域)の内周部側が透けて見られるようになっている。
なお、前記加飾印刷層6のうち前記指標2が設けられる部分には開口部が設けられ指標2を形成している。
【0019】
前記透光性基板1に設けられた前記加飾印刷層6と第1遮光層7との離間スペース8の前記透光性基板1の裏面側には、前記第1遮光層7の表面色と異なる色調を有し、かつ金属光沢を有する金属調印刷により表面(透光性基板1側)に光沢を有する第2遮光層9が設けられている。なお、この第2遮光層9は、銀色等の鏡面を有する印刷層以外に、黒光り等の鏡面を有する印刷層であっても良く、また鏡面に類似するものなら何でも良い。
【0020】
また、前記第2遮光層9の外周側から離間して、内側端が前記加飾印刷層6の内側端Aの位置よりも内側に位置せしめられてなり、かつ文字板3の中心から外方に向かって密度が低くなる複数の遮光性ドット印刷からなる透光量調整層10領域Xが設けられ、前記第2遮光層9と前記透光量調整層10領域Xの内側端Cとの間の離間スペース11と、前記透光量調整層10との双方にオーバラップして例えば紫色半透過層からなる調光印刷層12が設けられている。
【0021】
なお、図2の符号13は第3遮光層で、前記透光量調整層10と同時に形成され、その後、前記調光印刷層12が形成されるが、その際に前記指標2が開口部として形成される。
【0022】
また、前記第2遮光層9の内周側は、第1遮光層7の外周部にオーバーラップして配置されるように延設され、光漏れを防止している。
【0023】
また、前記調光印刷層12の内周縁部は、前記第2遮光部9の外周部にオーバーラップして配置されるように延設され、光漏れを防止している。
【0024】
次に、上記構成による作用説明を行う。
文字板3の裏面側に配置された光源4からの照明光は、指標2部分と、前記第2遮光層9及び前記透光量調整層10の内側端Cの間の離間スペース11と、複数の前記透光量調整層10間とを裏面から照明する。
【0025】
その結果、文字板3を表面から見ると、指標2部分を裏面から表面に向けて透過して、指標2部分が目盛として認識される。また、前記第2遮光層9の外側端B及び前記透光量調整層10の内側端Cの間の前面視リング状の離間スペース11は、光が矢印Dのように透過し、紫色のリング状に認識できる。
【0026】
また、複数の前記透光量調整層10のうち内側に配置された前記透光量調整層10(図3においては、複数配置された前記透光量調整層10のうち左側に配置されたもの)間を透過した光は、前記加飾印刷層6の内側部の半透過部分(符号Aの近傍部分)を透かしてリング状に認識できる。
【0027】
また、文字板3の表面側からの外光Eは、前記加飾印刷層6の内側端Aと第1遮光層7の外側端Hとの前面視リング状の離間スペース8部分の透光性基板1を通過して金属調色彩の前記第2遮光層9の表面に入射し、その反射面によって文字板3の表面側に反射される。
【0028】
その結果、前記加飾印刷層6と第1遮光層7との離間スペース8にはみ出た前記第2遮光層9の部分が、前記第2遮光層9の表面色のリング状に、かつ文字板3の表面よりも奥深い位置に認識できる。
【0029】
また、複数の前記透光量調整層10のうち内側に配置された前記透光量調整層10(図3においては、複数配置された前記透光量調整層10のうち左側に配置されたもの)の反射面に入射した光E2は、その面で乱反射して(符号G)、前記第2遮光層9によるリング状表示の外側に、前記第2遮光層9と異なる色調の紫色のリングを認識できる。なお、前記透光量調整層10で乱反射した光の一部は、符号E1で示すように前記透光性基板1の中を平面状に広がり前記透光量調整層10自身を照明する。
【0030】
また、上記構成によって、文字板3を裏面から表面に向けて照明光が透過せしめ、これを文字板3の表面側から見ると、前記第2遮光層9の外周縁B及び前記透光量調整層10の内側端Cの間の離間スペース11及び複数の前記透光量調整層10のうちの内側に配置された部分の間を通過した光は、共に半透過層からなる紫色のリング状に、かつ文字板3の表面よりも奥深い位置に認識できる。
【0031】
(他の具体例)
本実施の形態に係る他の透過照明式指示計器1を図5及び図6に基づいて以下に説明する。なお、この実施例を示す図5及び図6において、先の第1実施例を示す図1乃至図4に示した構成と同一、又は均等な部分いついては同一符号を付して、その詳細説明は省略する。
【0032】
前記図1乃至図4においては、透光量調整層10を、複数のドット状の遮光層で構成したが、透光量調整層10Aは、前記透過性の透明コーティング剤を指針軸14を中心とする同芯円とした微小幅のヘアライン層とし、かつその外周方向への配置密度を徐々に小さくした構成にされている。
【0033】
これによって、複数の円形状のヘアラインの前記透光量調整層10Aは、配置密度が外周に向けて徐々に小さく、かつ文字板3の表面よりも奥深い位置に認識できる。
【0034】
なお、前記円形状のヘアラインとは、実線状の閉曲線なら何でも良いが、作りやすさからは真円形状の閉曲線によるものが最適である。しかしながら、これに限らず破線状の閉曲線のものであっても良い。
【0035】
なお、符号Fは前記調光印刷層12の外周端、符号Hは第1遮光部7の外周部、符号Iは第2遮光部9の内周端である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施例に係る車両用表示装置に含まれる車速計、回転計等のメータを正面から見た平面図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図1を裏面側から見た平面図である。
【図5】第2実施例に係る平面図である。
【図6】図5におけるA−A断面図である。
【図7】従来例の文字板100を示す平面図である。
【図8】図7の文字板100のグラデーション104の分布密度を示す特性図である。
【符号の説明】
【0037】
1 透過性基板
2 指標
3 文字板
4 光源
5 配置領域
6 加飾印刷層
7 第1遮光層
8 離間スペース
9 第2遮光層
10、10A 透光量調整層
11 離間スペース
12 調光印刷層
13 第3遮光層
14 指針軸

















【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板に指標が印刷された文字板を後方から光源によって透光照明してなる透過照明式指示計器において、
前記文字板は、
前記透光性基板の表面側外周に沿って設けられた指標の配置領域に設けられた加飾印刷層と、該加飾印刷層の内周端側に該加飾印刷層に離間して設けられた第1遮光層と、前記透光性基板に設けられた前記加飾印刷層と前記第1遮光層との離間スペースの前記透光性基板の裏面側に設けられた第2遮光層と、該第2遮光層の外周側に該第2遮光層から離間して設けられ、内周端側が前記加飾印刷層の内側端よりも内側に位置せしめられてなる透光量調整層と、前記第2遮光層の外周縁部を含んで前記透光量調整層の上にオーバーラップして設けられた調光印刷層とからなることを特徴とする透過照明式指示計器。
【請求項2】
前記第2遮光層の前記透光性基板側表面は、鏡面状態に形成されていることを特徴とする請求項1記載の透過照明式指示計器。
【請求項3】
前記透光量調整層は、複数の円形状ヘアライン調印刷からなることを特徴とする請求項1記載の透過照明式指示計器。
【請求項4】
前記第2遮光層の前記透光性基板側表面は、鏡面状態に形成され、かつ前記透光量調整層は、複数の円形状ヘアライン調印刷からなることを特徴とする請求項1記載の透過照明式指示計器。















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−216879(P2010−216879A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61739(P2009−61739)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】