説明

通信システム及び通信方法

【課題】SN比を向上し、タグの面積を大きくすることなく、所望の場所に設定することができ、データサイズが制限されないタグを生成する。
【解決手段】送信機1は、発信部15Aに、所定の情報を含み所定の周波数成分を含む光信号Aを発信させると同時に、発信部15Bに、光信号Aの同期反転信号である光信号Bを発信させる。受信機2では、発信部15A、15Bによって規定されるタグ領域が入射面の法線方向に位置している場合に、光信号Aがフォトダイオード21Aに受光されると同時に光信号Bがフォトダイオード21Bに受光されるように入射部20、フォトダイオード21A、21Bが設置されている。フォトダイオード21A、21Bで光電変換された電気信号がともに所定の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から所定の情報を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号により情報を送受信する通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元コードやRFタグ等のタグが、従来より利用されている。このようなタグは、物体上に設けられた実体のあるものであり、タグのデータサイズも固定であるのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−250526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のタグには、以下に示すような不都合があった。
(1)読み出し機の近くに複数のタグがあると混信しやすい。
(2)情報を貼り付ける範囲を広げようとすればするほど、タグの面積を大きくする必要がある。
(3)空間上にはタグを形成することができない。
(4)タグのデータサイズが固定であるため、送信できるデータサイズに限界がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、SN比を向上し、タグの面積を大きくすることなく、所望の場所に設定することができ、データサイズが制限されないタグを生成することができる通信システム及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る通信システムは、
所定の間隔を置いて配置され波動信号を発信する複数の発信部を有する送信機と、前記波動信号を入射する入射部を介して受信した前記波動信号を電気信号に変換する複数の受信部を有する受信機とを備え、
前記送信機は、
前記複数の発信部のうちの第1の発信部に、所定の情報を含み所定の周波数成分を含む第1の波動信号を発信させると同時に、前記複数の発信部のうちの第2の発信部に、前記第1の波動信号の同期反転信号である第2の波動信号を発信させ、
前記受信機では、
前記第1、前記第2の発信部によって規定されるタグ領域が前記入射部の入射面の法線方向に位置している場合に、前記第1の波動信号が前記複数の受信部のうちの第1の受信部に受信されると同時に前記第2の波動信号が前記複数の受信部のうちの第2の受信部に受信されるように、前記入射部と前記複数の受信部とが配置され、
前記受信機は、
前記第1、前記第2の受信部で変換された電気信号がともに前記所定の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から、前記所定の情報を取得する取得部をさらに備える。
【0007】
前記送信機では、
矩形の前記タグ領域の一方の対角線の両端に前記第1の発信部が配置され、他方の対角線の両端に前記第2の発信部が配置され、
前記受信機では、
4つの受信部が、2次元座標系の各象限の受信部として設置されている、
こととしてもよい。
【0008】
前記送信機は、
第1の方向に配列され、第1の周波数の成分を含む前記第1、前記第2の波動信号を発信する前記第1、前記第2の発信部と、
前記第1の方向に直交する第2の方向にそれぞれ配列され、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の成分を含む前記第1、前記第2の波動信号を発信する前記第1、前記第2の発信部と、
を有し、
前記受信機では、
4つの受信部が、2次元座標系の各象限の受信部として設置されており、
前記取得部は、
前記第1象限、前記第3象限に対応する受信部で変換された電気信号の和と、前記第2象限、前記第4象限に対応する受信部で変換された電気信号の和とがともに前記第1、前記第2の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から、前記所定の情報を取得する、
こととしてもよい。
【0009】
前記所定の情報には、
前記第1の波動信号と前記第2の波動信号とで異なるヘッダデータと、前記第1の発信部が左側に見える側から前記タグ領域を見たときに用いられる第1のデータと、前記第2の発信部が左側に見える側から前記タグ領域を見たときに用いられる第2のデータとが含まれ、
前記取得部は、
右側の前記受信部で変換された電気信号に含まれるヘッダデータが前記第1の波動信号のものである場合には、前記第1のデータを取得し、
右側の前記受信部で変換された電気信号に含まれるヘッダデータが前記第2の波動信号のものである場合には、前記第2のデータを取得する、
こととしてもよい。
【0010】
前記送信機は、
搬送波で変調された電気信号を反転することにより、前記第2の波動信号を生成し、
前記取得部は、
前記第1、前記第2の受信部で変換された電気信号を乗算することにより得られる乗算信号から、前記所定の情報を取得する、
こととしてもよい。
【0011】
前記送信機は、
搬送波で変調され前記第1の波動信号へ変換される電気信号を反転することにより、前記第2の波動信号を生成し、
前記取得部は、
前記第1、前記第2の受信部のうち、一方の受信部で変換された電気信号と、他方の受信部で変換された電気信号を反転した信号とを乗算することにより得られる乗算信号から前記所定の情報を取得する、
こととしてもよい。
【0012】
前記送信機は、
前記第1の波動信号に含まれる前記所定の情報を表すビット列信号を反転することにより、前記第2の波動信号を生成し、
前記取得部は、
前記第1、前記第2の受信部のうち、一方の受信部で変換された電気信号を復号化することにより得られるビット列信号と、他方の受信部で変換された電気信号を復号化することにより得られるビット列信号を反転した信号との論理積に相当する信号から前記所定の情報を取得する、
こととしてもよい。
【0013】
本発明の第2の観点に係る通信方法は、
所定の間隔を置いて配置され波動信号を発信する複数の発信部を有する送信機と、前記波動信号を入射する入射部を介して受信した前記波動信号を電気信号に変換する複数の受信部を有する受信機とを用いた通信方法であって、
前記送信機において、
前記複数の発信部のうちの第1の発信部に、所定の情報を含み所定の周波数成分を含む第1の波動信号を発信させると同時に、前記複数の発信部のうちの第2の発信部に、前記第1の波動信号の同期反転信号である第2の波動信号を発信させる発信工程と、
前記受信機において、
前記第1、前記第2の発信部によって規定されるタグ領域が入射面の法線方向に位置している場合に、前記第1の波動信号が前記複数の受信部のうちの一方の受信部に受信されると同時に前記第2の波動信号が他方の受信部に受信させる入射部を介して前記第1、第2の受信部に入射した波動信号を変換することにより得られる電気信号がともに前記所定の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から、前記所定の情報を取得する取得工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、送信機の第1、第2の発信部によって規定されるタグ領域が受信機の入射部の入射面の法線方向に位置している場合、第1の受信部で第1の波動信号が受信され、第2の受信部で第2の波動信号が受信されるようになり、各受信部で変換された電気信号がともに所定の周波数成分を含むようになる。この場合には、これらの電気信号が合成された信号から所定の情報が抽出される。
【0015】
すなわち、本発明によれば、受信機がタグ領域に向いているときだけ、送信機から発信される波動信号を受光してその波動信号に含まれる情報を受信機で取得することができる。
【0016】
また、本発明によれば、各受信部で変換された電気信号を合成した信号から、所定の情報を抽出するので、S/N比を向上させることができる。また、このタグ領域は波動信号によって形成されるものであるので、物理的に大きなタグを配置しなくても広い範囲をカバーすることができるうえ、空間等の所望の位置にタグを配置することができる。また、波動信号によって情報を伝達するので、送信されるデータサイズも制限されない。
【0017】
このように、本発明によれば、ノイズに強く、タグの面積を大きくすることなく、所望の場所に設置でき、データサイズが制限されないタグを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信システムの構成を示す斜視図である。
【図2】図1の送信機及び受信機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図3(A)は、受信機がタグ領域を向いている場合での光信号の受信状態を説明するための図であり、図3(B)は、受信機がタグ領域を向いていない場合での受信状態を説明するための図である。
【図4】図4(A)は、本発明の第2の実施形態に係る通信システムの一部の構成を示す斜視図であり、図4(B)は、光信号の経路を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る通信システムの受信機の内部構成を示すブロック図である。
【図6】図6(A)は、本発明の第3の実施形態に係る通信システムの一部の構成を示す斜視図であり、図6(B)は、光信号の経路を説明するための図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る通信システムの受信機の内部構成を示す図である。
【図8】図8(A)は、本発明の第4の実施形態に係る通信システムが適用される空間の上面図であり、図8(B)は、その空間の側面図である。
【図9】データフォーマットの一例を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る通信システムの受信機の内部構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る通信システムにおける発信部の配列を示す図である。
【図12】図11の通信システムの性能試験(その1)の一例を示す図である。
【図13】図13(A)、図13(B)は、性能試験(その1)の結果を示すグラフである。
【図14】図11の通信システムの性能試験(その2)の一例を示す図である。
【図15】図15(A)、図15(B)は、性能試験(その2)の結果を示すグラフである。
【図16】受信機の内部構成の変形例(その1)を示すブロック図である。
【図17】受信機の内部構成の変形例(その2)を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0021】
図1には、本実施形態に係る通信システム100の構成が示されている。図1に示すように、本実施形態に係る通信システム100は、送信機1と、受信機2とを備える。
【0022】
送信機1は、2つの発信部15A、15Bを備える。発信部15Aが第1の送信部に対応し、発信部15Bが第2の送信部に対応する。発信部15Aと発信部15Bとの間隔はLとなっている。発信部15Aと発信部15Bとは、それらの向きが同じになるように(+Y方向を向いて)設置されている。
【0023】
発信部15Aと発信部15Bとでタグ領域TAが規定される。すなわち、タグ領域TAの幅は、発信部15Aと発信部15Bとの間隔と同じLであり、タグ領域TAは、発信部15Aと発信部15Bとが向いている+Y方向を法線方向としている。
【0024】
送信機1は、発信部15Aを点滅させて、所定の情報を含む光信号(第1の波動信号)を発信する。これと同時に、送信機1は、発信部15Aに隣接する発信部15Bを点滅させて、発信部15Aから送信される光信号の同期反転信号である光信号(第2の波動信号)を発信する。
【0025】
受信機2は、例えば携帯端末である。受信機2には、発信部15A、15Bから送信される光信号を受信するための入射部20がその筐体面に設けられている。本実施形態では、入射部20は、凸レンズである。この受信機2のユーザが、受信機2を、図1に示すような向き、すなわち入射部20が設けられている筐体面をタグ領域TAに向けたときに、発信部15A、15Bから送信された光信号が、入射部20に入射されるようになっている。
【0026】
図2には、送信機1と受信機2の内部構成が示されている。図2に示すように、送信機1は、上述の発信部15A、15Bに加え、デジタル符号化部10と、アナログ変調部11と、搬送波発生部12と、同期反転信号生成部13と、クロック14と、を備えている。
【0027】
デジタル符号化部10は、受信機2に送信すべき所定の情報、例えば、タグ領域TAに対応して伝達されるべき情報を含むデジタル信号を外部装置(不図示)から入力して、その情報を符号化して出力する。
【0028】
アナログ変調部11は、デジタル符号化部10で符号化されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、さらに搬送波発生部12から出力された搬送波を用いて変調する。この変調方式としては、振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式など様々な変調方式を採用することができる。
【0029】
同期反転信号生成部13は、アナログ変調部11で変調されたアナログ信号を入力して発信部15Aに出力するとともに、そのアナログ信号に対して同期反転したアナログ信号を生成して発信部15Bに出力する。同期反転信号生成部13は、発信部15Aに送信されるアナログ信号と、発信部15Bに送信されるアナログ信号とにずれが生じないように、クロック14から出力されるクロック信号を用いてそれらの信号の同期をとっている。
【0030】
発信部15Aは、変調されたアナログ信号に従って点滅することにより、光信号Aを発信する。発信部15Bは、そのアナログ信号の同期反転信号に従って点滅することにより、光信号Bを発信する。光信号A、Bは、+Y方向を中心に所定の範囲に送信される。
【0031】
一方、受信機2は、入射部20に加え、フォトダイオード21A、21Bと、バンドパスフィルタ(BPF)22A、22Bと、増幅部23A、23Bと、乗算部24と、検波部25と、復調部26と、復号化部27と、を備える。
【0032】
フォトダイオード21A、21Bは、入射部20を介して入射した光を受光する受信部である。すなわち、受信機2は、光信号を受信する複数の受信部を有している。フォトダイオード21A、21Bは、入射した光の強度に応じて光電変換された電気信号(アナログ信号)をそれぞれ出力する。
【0033】
フォトダイオード21A、21Bは、タグ領域TAが入射部20の入射面の法線方向に位置している場合に、発信部15Aから送信され入射部20に入射した光信号がフォトダイオード21Aに受光されると同時に発信部15Bから送信され入射部20に入射した光信号がフォトダイオード21Bに受光されるように設置されている。
【0034】
バンドパスフィルタ22Aは、フォトダイオード21Aから出力されたアナログ信号に含まれる所定の周波数帯域の成分のみを通過させる。バンドパスフィルタ22Bは、フォトダイオード21Aから出力されたアナログ信号に含まれる所定の周波数帯域の成分のみを通過させる。これにより、バンドパスフィルタ22A、22Bを通過するアナログ信号には、直流(DC)成分は含まれなくなる。
【0035】
増幅部23Aは、バンドパスフィルタ22Aを通過したアナログ信号を増幅して出力する。また、増幅部23Bは、バンドパスフィルタ22Bを通過したアナログ信号を増幅して出力する。
【0036】
乗算部24は、増幅部23Aから出力されたアナログ信号と、増幅部23Bから出力されたアナログ信号とを乗算して出力する。これにより、例えば、一方のアナログ信号が0であった場合には、乗算部24の出力は0となる。
【0037】
検波部25は、乗算部24から出力された電気信号を検波して出力する。復調部26は、検波部25によって検波されたアナログ信号をデジタル信号に復調する。復号化部27は、復調部26によって復調されたデジタル信号を復号化して出力する。
【0038】
本実施形態では、バンドパスフィルタ(BPF)22A、22Bと、増幅部23A、23Bと、乗算部24と、検波部25と、復調部26と、復号化部27とが、取得部に対応する。取得部は、フォトダイオード21A、21Bでそれぞれ光電変換された電気信号がともに送信機1から発信された光信号の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号の積に相当する信号から、その波動信号に含まれる所定の情報を取得する。
【0039】
次に、本実施形態に係る通信システム100の動作について説明する。
【0040】
図2に示すように、受信機2がタグ領域TAを向いており、発信部15Aから送信された光信号Aのみが、フォトダイオード21Aに受光され、発信部15Bから送信された光信号Bのみがフォトダイオード21Bに受光された場合には、光信号Aに対応する信号が、フォトダイオード21A、BPF22A、増幅部23Aへと流れ、光信号Bに対応する信号が、フォトダイオード21B、BPF22B、増幅部23Bへと流れる。これにより、乗算部24では、光信号Aに対応する信号と光信号Bに対応する信号とが乗算されるようになる。
【0041】
より具体的には、例えば、図3(A)に示すように、入射部20の光軸がタグ領域TAを通過している場合には、発信部15Aから発せられた光信号は、入射部20を介してフォトダイオード15Aに入射し、発信部15Bから発せられた光信号は、入射部20を介してフォトダイオード15Bに入射する。
【0042】
この場合、乗算部24では、光信号Aに相当するアナログ信号と、光信号Bに相当するアナログ信号とが乗算される。この乗算結果(積)に相当する信号が、検波部25によって検波され、復調部26によってデジタル信号に変換され、復調される。そして、復号化部27によって復号化されて、そのデジタル信号に含まれる情報が取得される。
【0043】
また、入射部20の光軸がタグ領域TAを通過していない場合には、光信号Aが入射部20を介してフォトダイオード15Aに入射すると同時に光信号Bが入射部20を介してフォトダイオード15Bに入射することはない。例えば、図3(B)に示す場合には、光信号A、Bは、ともにフォトダイオード21Bに受光されている。
【0044】
光信号Aに対して光信号Bは同期反転信号であるため、互いに打ち消し合い、フォトダイオード21Bで光電変換される信号は、直流成分しか含まない信号となる。さらに、フォトダイオード21Aには光信号A、Bが受信されていないので、ダイオード21Aで光電変換される信号は、ゼロ信号となる。
【0045】
したがって、乗算部24への2つの入力は、光信号A、Bの周波数成分を含まない信号となる。すると、乗算部24の乗算結果に相当する信号も光信号A、Bの周波数成分を含まない信号となり、復号化部27で復号化されるデジタル信号はゼロ信号となる。すなわち、この場合に、送信機1から送信される光信号に含まれる情報は復号化されなくなる。
【0046】
以上詳細に説明したように、本実施形態によれば、送信機1の発信部15A、15Bによって規定されるタグ領域TAが受信機2の入射部20の入射面の法線方向に位置している場合、フォトダイオード21A、21Bで光信号Aと光信号Bとのいずれかが受信されるようになり、フォトダイオード21A、21Bでそれぞれ光電変換された電気信号がともに光信号A、Bの周波数成分を含むようになる。この場合には、これらの電気信号の積に相当する信号から、所定の情報が抽出される。
【0047】
すなわち、本実施形態によれば、タグ領域TAに受信機が向いているときだけ、送信機1から送信される光信号に含まれる情報を受信機2で取得することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、電気信号の積に相当する信号から、所定の情報を抽出するので、その電気信号のS/N比を向上させることができる。また、このタグ領域TAは光信号によって規定されるものであるので、物理的に大きなタグを配置することなく、広い範囲をカバーすることができるうえ、空間中等の所望の位置にタグを配置することができる。また、光信号により情報を送信するのでデータサイズは制限されない。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0050】
上記実施形態では、発信部が2つ(発信部15A、15B)、フォトダイオードが2つ(フォトダイオード21A、21B)のいわゆる2象限型の光タグを実現するものであったが、本実施形態では、4象限型の光タグを実現する。
【0051】
図4(A)には、本実施形態に係る通信システム100の一部の構成の模式図が示されている。図4(A)に示すように、本実施形態では、送信機1において、発信部15A、15Bに加え、発信部15C、15Dがさらに設けられている。また、受信機2側には、フォトダイオード21A、21Bに加え、フォトダイオード21C、21Dが設けられている。図4(A)では、フォトダイオード21A、21B、21C、21Dを、1つのフォトダイオード21としてまとめて示している。フォトダイオード21A、21B、21C、21Dは、2次元座標系αβの各象限の受信部となる。
【0052】
図4(A)、図4(B)に示すように、発信部15A、15B、15C、15Dは、矩形領域の各頂点に設置されている。本実施形態では、この矩形領域がタグ領域TAとなる。本実施形態では、矩形のタグ領域TAの一方の対角線の両端に第1の発信部としての発信部15A、15Dが配置され、他方の対角線の両端に第2の発信部としての発信部15B、15Cが配置されている。
【0053】
本実施形態では、発信部15A、15Dから送信される光信号に対して、発信部15B、15Cから送信される光信号が同期反転している。
【0054】
入射部20の光軸が、タグ領域TAを向くと、フォトダイオード21Aには、発信部15Aから送信される光信号が入射し、フォトダイオード21Bには、発信部15Bから送信される光信号が入射する。これと同時に、フォトダイオード21Cには、発信部15Cから送信される光信号が入射し、フォトダイオード21Dには、発信部15Dから送信される光信号が入射する。
【0055】
図5には、本実施形態に係る通信システム100の受信機2の内部構成が示されている。図5に示すように、フォトダイオード21A乃至21Dで受信された光信号は、それぞれバンドパスフィルタ22A乃至22D、増幅部23A乃至23Dを経て、乗算部24で乗算される。この乗算結果に相当する信号が、検波部25で検波され、復調部26で復調され、復号化部27で復号化される。
【0056】
本実施形態においても、フォトダイオード21A乃至21Dにおいて、発信部15A乃至15Dで光信号が受信されていなければ、乗算部24の出力信号はゼロ信号となって、情報を取得することができなくなる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0058】
本実施形態に係る通信システムも、上記第2の実施形態と同様に、4象限型の光タグを実現するものであるが、発信部15A、15B、15C、15Dの配置が上記第2の実施形態と異なる。
【0059】
図6(A)に示すように、本実施形態では、発信部15A、15BがX軸方向に沿って配置され、発信部15C、15DがZ軸方向に沿って配置されている。発信部15A乃至15Dは、放射状に光を発しており、その光は、受信機2が、発信部15A乃至15Dよりも+Y方向にあれば、そのフォトダイオード21A乃至21Dで受信可能である。
【0060】
発信部15A乃至15Dがこのように配置されていると、タグ領域TAは、発信部15AからZ軸方向に延びる直線と、発信部15BからZ軸方向に延びる直線と、発信部15CからX軸方向に延びる直線と、発信部15DからX軸方向に延びる直線とで囲まれる領域がタグ領域TAとなる。
【0061】
発信部15A、15Cから送信される光信号の搬送波と、発信部15B、15Dから送信される光信号の搬送波とは、例えば、10MHzと15MHzというように、周波数が異なっている。本実施形態では、10MHzが第1の周波数に対応し、15MHzが第2の周波数に対応する。
【0062】
受信機2の向きが図6(A)に示すようにタグ領域TAを指していると、例えば、図6(B)に示すように、発信部15A、15Dから送信された光信号はフォトダイオード21Aに入射し、発信部15Bから送信された光信号はフォトダイオード21Bに入射し、発信部15Cから送信された光信号はフォトダイオード21Cに入射する。
【0063】
図7には、受信機2の内部構成が示されている。図7に示すように、本実施形態に係る受信機2は、バンドパスフィルタ22A乃至22Dの代わりに、分離部28A乃至28Dを備えている。また、受信機2は、増幅部23A乃至23Dの代わりに、増幅部29A乃至29Dを備えている。また、受信機2は、加算部30をさらに備えている。
【0064】
分離部28A乃至28Dは、フォトダイオード21A乃至21Dから出力された電気信号は、10MHz周辺の周波数帯域信号と、15MHz周辺の周波数帯域の電気信号とに分離される。
【0065】
増幅部29A乃至29Dは、分離部28A乃至28Dから出力された2つの周波数帯域の電気信号(10MHzと15MHz)をぞれぞれ増幅して出力する。
【0066】
加算部30は、増幅部29Aから出力された10MHz付近の周波数帯域を有する信号と、増幅部29Dから出力された10MHz付近の周波数帯域を有する信号とを加算する。また、加算部30は、増幅部29Bから出力された10MHz付近の周波数帯域を有する信号と、増幅部29Cから出力された10MHz付近の周波数帯域を有する信号とを加算する。
【0067】
加算部30によって加算された2つの10MHz付近の周波数帯域の電気信号は、10MHzの周波数帯域の電気信号用の取得部31への入力となる。ここでは、取得部31において、2つの10MHz付近の周波数帯域の電気信号の乗算結果に相当する信号が検波部25により検波され、復調部26により復調され、復号化部27により復号化される。
【0068】
一方、加算部30は、増幅部29Aから出力された15MHz付近の周波数帯域の電気信号と、増幅部29Dから出力された15MHz付近の周波数帯域の電気信号とを加算する。また、加算部30は、増幅部29Bから出力された15MHz付近の周波数帯域の電気信号と、増幅部29Cから出力された15MHz付近の周波数帯域の電気信号とを加算する。
【0069】
加算部30によって加算された2つの15MHz付近の周波数帯域の電気信号は、15MHzの周波数帯域の電気信号用の取得部32への入力となる。ここでは、取得部31において、2つの15MHz付近の周波数帯域の電気信号の乗算結果に相当する信号が検波部25により検波され、復調部26により復調され、復号化部27により復号化される。
【0070】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0071】
本実施形態に係る通信システム100は、上記第1の実施形態と同様に、2象限型の光タグである。
【0072】
図8(A)には、本実施形態に係る通信システム100が適用される空間の上面図が示されている。また、図8(B)には、その空間の側面図が示されている。
【0073】
図8(A)、図8(B)に示すように、本実施形態では、送信機1は、例えば屋内の天井等に設置されている。送信機1の2つの発信部15A、15Bは、下向きに屋内を照らす照明装置である。これにより、2つの発信部15A、15Bから鉛直下向きに延びる直線に挟まれた領域がタグ領域TAとなる。
【0074】
本実施形態では、A側から受信機2をタグ領域に向けた場合と、B側から受信機2をタグ領域TAに向けた場合とで、取得される情報が異なる。
【0075】
図9には、送信機10から送信される情報のデータフォーマットの一例が示されている。図9に示すように、送信機10から送信される情報は一連のビット列データであり、3つのデータから構成されている。
【0076】
1つ目のデータはヘッダデータ35である。このヘッダデータ35は、例えば、すべてのビット列が1となっており、他のデータと区別することができるようになっている。
【0077】
ヘッダデータ35に続くのが、A側用情報36である。A側用情報36は、図8(A)、図8(B)に示すように、受信機2がA側からタグ領域TAを指したときに用いられる情報である。
【0078】
A側用情報36に続くのが、B側用情報37である。B側用情報37は、図8(A)、図8(B)に示すように、受信機2がA側からタグ領域TAを指したときに用いられる情報である。
【0079】
ここで、ヘッダデータ35、A側用情報36及びB側用情報37のデータサイズは固定となっている。
【0080】
図10には、本実施形態に係る受信機2の内部構成が示されている。図10に示すように、この受信機2は、情報抽出部40と方向検出部41とをさらに備えている点が、上記第1の実施形態に係る受信機2と異なる。
【0081】
ここで、本実施形態では、フォトダイオード21Aが右側で、フォトダイオード21Bが左側にある向きに受信機2が用いられるものとする。
【0082】
情報抽出部40は、復号化部27で復号化した情報から、取得すべき情報を抽出する。
【0083】
方向検出部41は、情報抽出部40における情報の抽出のために、増幅部23Aから出力された情報を入力している。方向検出部41は、増幅部23Aから出力された情報に基づいて、ヘッダデータ36の値を検出する。
【0084】
方向検出部41で検出されたビットデータのうち、すべて1である所定のビット列がある場合には、その部分がヘッダデータ35である。このヘッダデータ35が方向検出部41で検出されたということは、フォトダイオード21Aが発信部15Aからの光信号を受信しているので、受信機2はA側からタグ領域TAを指していることになる。この場合、情報抽出部40は、ヘッダデータ35に続く所定バイト数のビット列データを、A側用情報36として抽出して出力する。
【0085】
一方、方向検出部41で検出されたビットデータのうち、すべて0である所定のビット列がある場合には、その部分がヘッダデータ35である。このヘッダデータ35が方向検出部41で検出されたということは、フォトダイオード21Aが発信部15Bからの光信号を受信しているので、受信機2はB側からタグ領域TAを指していることになる。この場合、情報抽出部40は、ヘッダデータ35に続く所定バイト数のビット列データを、B側用情報37として抽出して出力する。
【0086】
本実施形態によれば、一方の側からタグ領域TAを望む場合と、他方の側からタグ領域TAを望む場合とで、取得できる情報を異ならしめることができる。例えば、A側から見てタグ領域TAの方角にあるランドマークについての情報を、A側用情報36に含め、B側から見てタグ領域TAの方角にあるランドマークについての情報を、B側用情報37に含めるようにすることができる。このようにすれば、例えば、本実施形態に係る通信システム100を案内板として用いることもできる。
【0087】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0088】
図11には、本実施形態に係る通信システム100における発信部15A乃至15Mの配列が示されている。図11に示すように、横長の大きな領域50をカバーするために、発信部15A乃至15Mが、図11に示すように領域50の外縁に沿って、配列されている。
【0089】
発信部15A乃至15Mは、隣接する発信部同士が組みになって領域50中の対応する小領域に関する情報を含む光信号を送信している。例えば、タグ領域TAを受信機2が指した場合、受信機2のフォトダイオード21A乃至21Dでは、発信部15D、15E、15K、15Lから発信される光信号が受光され、それらの波動信号に含まれる情報が受信機2で再生される。
【0090】
このように通信システムにおいて問題となるのが、発信部15A乃至15Mの間隔である。
【0091】
例えば、図12に示すように、あるタグ領域TAを目標として受信機2でポイントした場合、そのタグ領域TAに対応する発信部の組に隣接する発信部はノイズ源となる。この場合、目標となるタグ領域に対応する発信部の間隔wが、SN比に大きく影響してくる。
【0092】
図12において、hは、受信機2のフォトダイオードと発信部15A乃至15Mが形成された面との間の距離であり、ここでは3.0mである。また、θは、フォトダイオードと発信部15A乃至15Mが形成された面の法線に対する受信機2の向きのなす角度である。rは、目標となる発信部からフォトダイオードまでの距離である。rはθが変化するにつれて変化する。
【0093】
図13(A)には、右象限のフォトダイオードで受信される、θを変更したときの、目標の発信部からの波動信号の放射強度と、ノイズ源からの波動信号の放射強度がそれぞれ示されている。また、図13(B)には、目標の発信部からの波動信号に対するノイズ源からの波動信号の放射強度比が示されている。
【0094】
図13(A)、図13(B)に示すように、ほぼ全てのθについて、発信部の間隔wが大きくなるにつれて、SN比が悪化している。SN比を1/2以下とするには、発信部の間隔wをhの半分以下に設定する必要がある。
【0095】
さらに、図14に示すように、目標とするタグ領域TAに対応する発信部の組を、ノイズ源となる発信部の組から離していき、フォトダイオードの向きθを、目標とする発信部の組に追従させていった場合について考える。図14においても、hは、フォトダイオードと発信部が形成された面までの距離であり、ここでは3.0mである。また、θは、フォトダイオードと発信部が形成された面の法線に対する受信機2の向きのなす角度である。rは、目標となる発信部からフォトダイオードまでの距離である。
【0096】
図15(A)には、この場合に、右象限のフォトダイオードで受信される、目標の発信部からの波動信号の放射強度と、ノイズ源からの波動信号の放射強度がそれぞれ示されている。また、図15(B)には、目標の発信部からの波動信号に対するノイズ源からの波動信号の放射強度比が示されている。
【0097】
図15(A)、図15(B)に示すように、ほぼ全てのθについて、発信部の間隔wが大きくなるにつれて、SN比が悪化している。SN比を1/2以下とするには、発信部の間隔wをhの半分以下とする必要がある。
【0098】
また、発信部の間隔wをhの半分以下とした場合であっても、SN比を考慮すると、θは、最大でも55度程度に留めておく必要がある。
【0099】
上記各実施形態に係る通信システムは、他にも様々な変更が可能である。
【0100】
例えば、受信機2の構成は、図16に示すようなものであってもよい。図16に示す受信機2は増幅部23Bの代わりに、反転増幅部43Bを備えている。
【0101】
反転増幅器43Bは、入力した信号を反転して増幅させる。すなわち、反転増幅器部43Bの出力信号は、増幅器23Aから出力される信号と同一である。
【0102】
また、上記各実施形態では、送信機1側で搬送波で変調された信号を変調したが、本発明は限られない。図17に示すように、送信機1において、符号化されたデジタル信号を変調することなく、そのままそのデジタル信号に従って一方の発信部15Aを点滅させ、デジタル信号の同期反転信号に従って他方の発信部15Bを点滅させるようにしてもよい。
【0103】
この場合、受信機2側では、フォトダイオード21A、21Bで光電変換され、バンドパスフィルタ22A、22Bを通過した電気信号を、そのまま復調部26A、26Bで復調し、復号化部27A、27Bで復号化する。
【0104】
さらに、復号化部27Aで復号化された信号は、インバータ50で反転される。インバータ50で反転された信号と、復号化部27Bで復号化された信号は、論理和部51で論理和演算される。両信号が同期した信号であれば、論理和部51から出力される信号は、符号化前のデータ信号となる。
【0105】
なお、上記各実施形態では、受信部をフォトダイオードとしたが、CCD(電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を受信部として用いてもよい。
【0106】
また、受信機2では、バンドパスフィルタを採用したが、これをハイパスフィルタに代えてもよい。
【0107】
上記各実施形態では、入射部20として、凸レンズを用いたが、本発明はこれには限られず、入射部20をピンホールとしてもよいし、魚眼レンズとしてもよい。
【0108】
なお、上記各実施形態では、送信される光信号を可視光の信号としたが、本発明はこれには限られず、可視光以外の電磁波や、超音波などの波動信号を用いてもよい。
【0109】
なお、本発明は、上記実施の形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で実施の形態及び図面に変更を加えることができるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、実世界環境での様々な情報の提供、特定の位置に居る人に対して情報を提供するのに好適である。例えば、建造物などの大型のものや。廊下のような実体のない空間にもタグを展開することができる。また、本発明は、携帯端末で再生可能な画像、音声、動画等の大容量のコンテンツの配信や、デジタルサイネージ(電子看板)と組み合わせた情報配信にも好適である。
【符号の説明】
【0111】
1 送信機
2 受信機
10 デジタル符号化部
11 アナログ変調部
12 搬送波発生部
13 同期反転信号生成部
14 クロック
15A、15B、15C、15D 発信部
20 入射部
21A、21B、21C、21D フォトダイオード
22A、22B バンドパスフィルタ(BPF)
23A、23B 増幅部
24 乗算部
25 検波部
26、26A、26B 復調部
27、27A、27B 復号化部
28A、28B、28C、28D 分離部
29A、29B、29C、29D 増幅部
30 加算部
31、32 取得部
35 ヘッダデータ
36 A側用情報
37 B側用情報
40 情報抽出部
41 方向検出部
43B 反転増幅部
50 インバータ
51 論和積部
100 通信システム
TA タグ領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を置いて配置され波動信号を発信する複数の発信部を有する送信機と、前記波動信号を入射する入射部を介して受信した前記波動信号を電気信号に変換する複数の受信部を有する受信機とを備え、
前記送信機は、
前記複数の発信部のうちの第1の発信部に、所定の情報を含み所定の周波数成分を含む第1の波動信号を発信させると同時に、前記複数の発信部のうちの第2の発信部に、前記第1の波動信号の同期反転信号である第2の波動信号を発信させ、
前記受信機では、
前記第1、前記第2の発信部によって規定されるタグ領域が前記入射部の入射面の法線方向に位置している場合に、前記第1の波動信号が前記複数の受信部のうちの第1の受信部に受信されると同時に前記第2の波動信号が前記複数の受信部のうちの第2の受信部に受信されるように、前記入射部と前記複数の受信部とが配置され、
前記受信機は、
前記第1、前記第2の受信部で変換された電気信号がともに前記所定の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から、前記所定の情報を取得する取得部をさらに備える、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記送信機では、
矩形の前記タグ領域の一方の対角線の両端に前記第1の発信部が配置され、他方の対角線の両端に前記第2の発信部が配置され、
前記受信機では、
4つの受信部が、2次元座標系の各象限の受信部として設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記送信機は、
第1の方向に配列され、第1の周波数の成分を含む前記第1、前記第2の波動信号を発信する前記第1、前記第2の発信部と、
前記第1の方向に直交する第2の方向にそれぞれ配列され、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の成分を含む前記第1、前記第2の波動信号を発信する前記第1、前記第2の発信部と、
を有し、
前記受信機では、
4つの受信部が、2次元座標系の各象限の受信部として設置されており、
前記取得部は、
前記第1象限、前記第3象限に対応する受信部で変換された電気信号の和と、前記第2象限、前記第4象限に対応する受信部で変換された電気信号の和とがともに前記第1、前記第2の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から、前記所定の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記所定の情報には、
前記第1の波動信号と前記第2の波動信号とで異なるヘッダデータと、前記第1の発信部が左側に見える側から前記タグ領域を見たときに用いられる第1のデータと、前記第2の発信部が左側に見える側から前記タグ領域を見たときに用いられる第2のデータとが含まれ、
前記取得部は、
右側の前記受信部で変換された電気信号に含まれるヘッダデータが前記第1の波動信号のものである場合には、前記第1のデータを取得し、
右側の前記受信部で変換された電気信号に含まれるヘッダデータが前記第2の波動信号のものである場合には、前記第2のデータを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記送信機は、
搬送波で変調された電気信号を反転することにより、前記第2の波動信号を生成し、
前記取得部は、
前記第1、前記第2の受信部で変換された電気信号を乗算することにより得られる乗算信号から、前記所定の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記送信機は、
搬送波で変調され前記第1の波動信号へ変換される電気信号を反転することにより、前記第2の波動信号を生成し、
前記取得部は、
前記第1、前記第2の受信部のうち、一方の受信部で変換された電気信号と、他方の受信部で変換された電気信号を反転した信号とを乗算することにより得られる乗算信号から前記所定の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記送信機は、
前記第1の波動信号に含まれる前記所定の情報を表すビット列信号を反転することにより、前記第2の波動信号を生成し、
前記取得部は、
前記第1、前記第2の受信部のうち、一方の受信部で変換された電気信号を復号化することにより得られるビット列信号と、他方の受信部で変換された電気信号を復号化することにより得られるビット列信号を反転した信号との論理積に相当する信号から前記所定の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
所定の間隔を置いて配置され波動信号を発信する複数の発信部を有する送信機と、前記波動信号を入射する入射部を介して受信した前記波動信号を電気信号に変換する複数の受信部を有する受信機とを用いた通信方法であって、
前記送信機において、
前記複数の発信部のうちの第1の発信部に、所定の情報を含み所定の周波数成分を含む第1の波動信号を発信させると同時に、前記複数の発信部のうちの第2の発信部に、前記第1の波動信号の同期反転信号である第2の波動信号を発信させる発信工程と、
前記受信機において、
前記第1、前記第2の発信部によって規定されるタグ領域が入射面の法線方向に位置している場合に、前記第1の波動信号が前記複数の受信部のうちの一方の受信部に受信されると同時に前記第2の波動信号が他方の受信部に受信させる入射部を介して前記第1、第2の受信部に入射した波動信号を変換することにより得られる電気信号がともに前記所定の周波数成分を含む場合に、これらの電気信号を合成した信号から、前記所定の情報を取得する取得工程と、
を含む通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−74842(P2012−74842A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217211(P2010−217211)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【Fターム(参考)】