説明

通信制御システム

【課題】通信装置の接続要求に応じて同通信装置の通信制御を可能にする第一通信制御装置及び第二通信制御装置の内、運用中の第一通信制御装置の運用停止によって、第二通信制御装置に運用が切り替わった場合でも、通信中の通信装置が強制的に切断されることがない通信制御システムを提供する。
【解決手段】マスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4の内、運用中のマスタIP交換機3は、内線端末9の呼状態を検出する呼状態検出部101と、呼状態に対応した呼情報を、内線端末を収容する回線制御装置13に通知する呼情報通知部102とを有し、回線制御装置13は、マスタIP交換機から内線端末9の呼情報を検出すると、呼情報を記憶する呼情報メモリ6Aと、マスタIP交換機3の運用停止を検出すると、呼情報メモリに記憶中の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知する呼情報転送部6Bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばIP端末等の通信装置と、この通信装置の接続要求に応じて同通信装置の通信制御を可能にする、例えばマスタIP交換機等の第一通信制御装置及び、例えばスレーブIP交換機等の第二通信制御装置とを有し、前記第一通信制御装置は、前記通信装置の通信制御に関わる運用を実行すると共に、前記第二通信制御装置は、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する通信制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の通信制御システムとして、例えば、ある提案の交換装置において、交換機は、IP交換機である呼制御装置(TM部)と回線収容部(TU部)とで構成し、TU部は公衆交換網(PSTN)と接続し、複数のアナログ端末(電話機)及び複数のLAN通信用のHUBを収容している。また、交換機は、ル−タを介してパケット網と接続している。TM部及びIP端末間は、LANで接続し、音声信号、メール及び各種情報(電話番号、IPアドレス、メールアドレス等)をIPパケットで伝送する。TU部は、TM部のIP呼制御部(SC部)の制御のもとに、内線電話機やPSTNをパケット網であるLANやパケット網に接続可能である。これにより、パケット網に接続可能で、アナログ電話機を用いないLANのようなパケット網のみのシステム構成にも対応し、パケット網と既存の公衆交換網を融合したアナログ電話機を用い得るようなハイブリットシステムにも最低限の設備で容易に対応可能としている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1においては、例えばIP呼制御部(SC部)に収容される多数のIP端末を1つの拠点としてIP交換機が運用した場合、IP交換機の故障や回線の障害が発生すると、拠点内の全てのIP端末が運用できなくなる虞があり、拠点内を地域の支社や営業所にした場合には、営業活動に支障をきたすという課題があった。
【0004】
そこで、他の従来の通信制御システムとして、例えば、ある提案のIP電話システムにおいては、回線を介して拠点毎に複数のIP端末を収容し、呼制御を行う複数の信号制御装置を備えたIP交換機と、IP交換機の障害時又は回線の障害時に、拠点内における複数のIP端末の内線通話をバックアップするバックアップ交換機とを備えた構成になっている。
【0005】
また、IP交換機の全体動作を制御する主制御装置は、2重化構造であり、運用系の主制御装置と待機系の主制御装置とで構成し、これら2系統の主制御装置同士は、それぞれのバスを介して複数の信号制御装置に接続されている。待機系の主制御装置は、常時、運用系の主制御装置を監視し、運用系の主制御装置が故障した際には、待機系から運用系に切り替わって、複数の信号制御装置を制御するものである。
【0006】
このようなIP電話システムのバックアップ交換機では、拠点内の複数のIP端末を収容する信号制御装置との間で疎通確認を行い、信号制御装置からの疎通確認が受信できない場合に、IP交換機の障害又は回線の障害の発生と判断し、待機状態から運用状態に切り替えるものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−229112号公報(要約書及び図1参照)
【特許文献2】特開2006−254096号公報(要約書及び図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2におけるIP電話システムにおいては、拠点内のIP端末が通話中に、運用中のIP交換機の障害又は回線の障害によって、バックアップ交換機に運用が切り替わると、通信装置であるIP端末の通話が強制的に切断されてしまうという課題があった。
【0008】
そこで、本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第一通信制御装置の障害又は回線の障害によって運用停止を検出したとしても、通信中の通信装置に関わる通信の強制切断を防止することができる通信制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の通信制御システムは、通信装置と、この通信装置の接続要求に応じて同通信装置の通信制御を可能にする第一通信制御装置及び第二通信制御装置とを有し、前記第一通信制御装置は、前記通信装置の通信制御に関わる運用を実行すると共に、前記第二通信制御装置は、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する通信制御システムであって、前記第一通信制御装置及び第二通信制御装置の内、運用中の通信制御装置は、前記通信制御に関わる前記通信装置の通信状態を検出する通信状態検出手段と、この通信状態検出手段にて前記通信装置の通信状態を検出すると、この通信装置の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知する通信状態情報通知手段とを有し、前記通信装置は、前記通信状態情報通知手段からの状態情報を検出すると、この状態情報を記憶する記憶手段と、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知する状態情報通知手段とを有するようにした。
【0010】
従って、本発明の通信制御システムによれば、運用中の第一通信制御装置が、前記通信制御に関わる前記通信装置の通信状態を検出すると、この通信装置の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知すると共に、前記通信装置は、前記運用中の第一通信制御装置からの状態情報を検出すると、この状態情報を記憶手段に記憶し、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知するようにしたので、この第二通信制御装置側では、第一通信制御装置の運用停止を検出して運用を開始するに際して、通信装置側の状態情報を認識することができるため、通信中の通信装置に関わる通信の強制切断を防止することができる。
【0011】
また、本発明の通信制御システムは、前記第一通信制御装置及び第二通信制御装置の運用停止を検出すると、この運用停止にかかわらず通信可能な通信装置の通信制御に関わる運用を開始する第三通信制御装置を有し、前記通信装置の前記状態情報通知手段は、前記第二通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第三通信制御装置に通知するようにした。
【0012】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記第一通信制御装置及び第二通信制御装置の運用停止を検出すると、この運用停止にかかわらず通信可能な通信装置の通信制御に関わる運用を開始する第三通信制御装置を備え、前記通信装置は、前記第二通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第三通信制御装置に通知するようにしたので、前記第一通信制御装置及び第二通信制御装置が運用停止に陥った場合でも、第三通信制御装置を通じて、全ての通信装置が通信不能になる事態を回避することができる。
【0013】
また、本発明の通信制御システムは、前記通信装置が、通信端末と、この通信端末を制御する通信端末制御装置とを有し、前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段は、前記通信状態検出手段にて前記通信制御に関わる前記通信装置内の前記通信端末の通信状態を検出すると、この通信端末の通信状態に関わる状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置内の通信端末制御装置に通知すると共に、前記通信装置内の通信端末制御装置は、前記通信状態情報通知手段からの前記通信端末に関わる状態情報を検出すると、この状態情報を前記記憶手段に記憶し、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記状態情報通知手段を通じて、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知するようにした。
【0014】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記運用中の通信制御装置が、前記通信制御に関わる前記通信装置内の通信端末の通信状態を検出すると、この通信端末の通信状態に関わる状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置内の通信端末制御装置に通知すると共に、前記通信装置内の通信端末制御装置は、前記通信端末に関わる状態情報を検出すると、この状態情報を前記記憶手段に記憶し、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知するようにしたので、この第二通信制御装置側では、第一通信制御装置の運用停止を検出して運用を開始するに際して、通信装置側の状態情報を認識することができるため、通信中の通信端末に関わる通信の強制切断を防止することができる。
【0015】
また、本発明の通信制御システムは、前記通信装置が、通信端末と、この通信端末を制御する通信端末制御装置とを有し、前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段は、前記通信状態検出手段にて前記通信制御に関わる前記通信装置内の前記通信端末の通信状態を検出すると、この通信端末の通信状態に関わる状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置内の通信端末制御装置に通知すると共に、前記通信装置内の通信端末制御装置は、前記通信状態情報通知手段からの前記通信端末に関わる状態情報を検出すると、この状態情報を前記記憶手段に記憶し、前記第二通信制御装置の運用停止を検出すると、前記状態情報通知手段を通じて、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第三通信制御装置に通知するようにした。
【0016】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記運用中の通信制御装置が、前記通信制御に関わる前記通信装置内の通信端末の通信状態を検出すると、この通信端末の通信状態に関わる状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置内の通信端末制御装置に通知すると共に、前記通信装置内の通信端末制御装置は、前記通信端末に関わる状態情報を検出すると、この状態情報を前記記憶手段に記憶し、前記第二通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第三通信制御装置に通知するようにしたので、この第三通信制御装置側では、第二通信制御装置の運用停止を検出して運用を開始するに際して、通信装置側の状態情報を認識することができるため、通信中の通信端末に関わる通信の強制切断を防止することができる。
【0017】
また、本発明の通信制御システムは、前記第二通信制御装置が、前記第一通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、通信中状態の前記通信端末がある場合、同通信端末からの通信切断要求を検出するまで同通信端末に対する通信制御に関わる運用を停止するようにした。
【0018】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記第一通信制御装置の運用停止を検出して、前記第二通信制御装置が前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、通信中状態の前記通信端末がある場合、同通信端末からの通信切断要求を検出するまで同通信端末に対する通信制御に関わる運用を停止するようにしたので、通信端末の通信中に、前記第一通信制御装置から前記第二通信制御装置に運用が切り替わるに際して、同通信端末の通信を強制的に切断することなく、通信中の通信端末の通信をそのまま維持することができる。
【0019】
また、本発明の通信制御システムは、前記第三通信制御装置が、前記第二通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、通信中状態の前記通信端末がある場合、同通信端末からの通信切断要求を検出するまで同通信端末に対する通信制御に関わる運用を停止するようにした。
【0020】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記第二通信制御装置の運用停止を検出して、前記第三通信制御装置が前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、通信中状態の前記通信端末がある場合、同通信端末からの通信切断要求を検出するまで同通信端末に対する通信制御に関わる運用を停止するようにしたので、通信端末の通信中に、前記第二通信制御装置から前記第三通信制御装置に運用が切り替わるに際して、同通信端末の通信を強制的に切断することなく、通信中の通信端末の通信をそのまま維持することができる。
【0021】
また、本発明の通信制御システムは、前記第二通信制御装置が、前記第一通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、前記通信中状態以外の前記通信端末がある場合、同通信端末を切断して通信制御に関わる運用を開始するようにした。
【0022】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記第一通信制御装置の運用停止を検出して、前記第二通信制御装置が前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、前記通信中状態以外の前記通信端末がある場合、同通信端末を切断して通信制御に関わる運用を開始するようにしたので、前記通信端末の通信中状態以外の通信状態で、前記第一通信制御装置から前記第二通信制御装置に運用が切り替わるに際して、同通信端末を強制的に切断することで、同通信端末が通信不能な状態が無用に長引くことを回避できる。
【0023】
また、本発明の通信制御システムは、前記第三通信制御装置が、前記第二通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、前記通信中状態以外の前記通信端末がある場合、同通信端末を切断して通信制御に関わる運用を開始するようにした。
【0024】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記第二通信制御装置の運用停止を検出して、前記第三通信制御装置が前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信制御の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、前記通信中状態以外の前記通信端末がある場合、同通信端末を切断して通信制御に関わる運用を開始するようにしたので、前記通信端末の通信中状態以外の通信状態で、前記第二通信制御装置から前記第三通信制御装置に運用が切り替わるに際して、同通信端末を強制的に切断することで、同通信端末が通信不能な状態が無用に長引くことを回避できる。
【0025】
また、本発明の通信制御システムは、前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段が、前記通信状態検出手段にて検出された前記通信制御に関わる前記通信装置の通信状態の中で、前記通信装置の通信中状態及び、前記通信制御に関わる運用切替に際して前記通信装置が通信の切断に必要な最小限の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知するようにした。
【0026】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記通信制御に関わる前記通信装置の通信状態の中で、前記通信装置の通信中状態及び、前記通信制御に関わる運用切替に際して前記通信装置が通信の切断に必要な最小限の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知するようにしたので、同状態情報を記憶する前記通信装置の前記記憶手段の記憶容量を必要最小限に抑えることができ、さらには、運用切替時に関わる状態情報の伝送時間を大幅に短縮化することができる。
【0027】
また、本発明の通信制御システムは、前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段が、前記通信状態検出手段にて前記通信装置内の各通信端末における通信制御の発生を検出すると、この通信制御の発生に関わる各通信端末の状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置に通知し、前記通信端末制御装置は、前記通信状態情報通知手段にて通知された各通信端末の状態情報を前記記憶手段に記憶するようにした。
【0028】
従って、本発明の通信制御システムによれば、前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段が、前記通信状態検出手段にて前記通信装置内の各通信端末における通信制御の発生を検出すると、この通信制御の発生に関わる各通信端末の状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置に通知し、前記通信端末制御装置は、前記通信状態情報通知手段にて通知された各通信端末の状態情報を前記記憶手段に記憶するようにしたので、通信端末毎に均一な通信サービスを提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
上記のように構成された本発明の通信制御システムによれば、運用中の第一通信制御装置が、通信制御に関わる前記通信装置の通信状態を検出すると、この通信装置の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知すると共に、前記通信装置は、前記運用中の第一通信制御装置からの状態情報を検出すると、この状態情報を記憶手段に記憶し、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知するようにしたので、この第二通信制御装置側では、第一通信制御装置の運用停止を検出して運用を開始するに際して、通信装置側の状態情報を認識することができるため、通信中の通信装置に関わる通信の強制切断を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を示す通信制御システムについて説明する。
【0031】
図1は本実施の形態を示す通信制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【0032】
図1の通信制御システムにおいて、IP網1は、インターネット・プロトコルのパケット網であり、所定の地域に対応する複数の拠点A、拠点B、及び図示しない他の拠点に配置された電話システム、すなわち、複数の拠点2の電話システムに収容される端末、及び、IP網1に直接収容される後述のIP端末の間の通話路を形成するネットワークである。
【0033】
マスタIP交換機3は、IP網1によって形成された通話路を介して接続された端末同士の呼制御を運用する交換機である。スレーブIP交換機4は、マスタIP交換機3の障害又はIP網1とマスタIP交換機3との間の回線の障害等によって、マスタIP交換機3が運用停止に陥った場合に、マスタIP交換機3の代わりにIP網1によって形成された通話路を介して接続された端末同士の呼制御を運用する交換機である。
【0034】
例えば、IP網1は日本全体に配設されたパケット網であり、マスタIP交換機3は東京に配置された交換機であり、スレーブIP交換機4は大阪に配置された交換機であり、図1の1つの拠点2は九州地域に配置された電話システムであり、他の1つの拠点2は四国地域に配置された電話システムであり、図示しない拠点は、それぞれ中国地域、関西地域、中部地域、甲信越地域、東海地域、関東地域、東北地域、北海道地域等に配置された電話システムである。
【0035】
通常は、マスタIP交換機3はIP網1によって通話路が形成される全ての端末の呼制御を運用していると共に、マスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4相互に状態を監視している。災害等の原因により東京のマスタIP交換機3が運用停止に陥った場合、又は、IP網1とマスタIP交換機3との間の回線に障害が発生した場合には、東京のマスタIP交換機3から大阪のスレーブIP交換機4への運用切替が行われるものである。
【0036】
また、各拠点2において、バックアップIP交換機5は拠点2のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)に接続され、マスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4が共に運用停止に陥った場合に、拠点2の電話システムに収容されている端末の呼制御を運用する交換機である。
【0037】
また、パケット変換装置(PU)6は、拠点2のLANに接続されると共に、複数の内線端末インタフェースである内線端末制御装置(LIN)7及び局線トランク(COT)8に接続され、IPパケットとアナログ信号とを相互に変換するものである。
【0038】
また、内線端末制御装置7には、複数のアナログ電話機である内線端末9が接続されている。また、これらパケット変換装置6及び内線端末制御装置7、局線トランク8によって、拠点2の呼制御を管理する回線制御装置13を構成するものである。
【0039】
図1において、マスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4の内部には、図示せぬ中央制御装置(CC)と、各種のデータを記憶するメインメモリ(MM)とを備えている。中央制御装置は、回線制御装置13、例えば内線端末制御装置7に収容されている内線端末9の呼状態を検出する呼状態検出部101と、回線制御装置13内部のパケット変換装置6に対して内線端末9の呼状態に対応する呼情報を通知する呼情報通知部102とを有している。
【0040】
また、メインメモリは、内線端末9の呼状態を記憶するRAM103と、例えば局データ、局プログラム及び、呼状態に対応した呼情報を管理するテーブル等を記憶したROM104とで構成している。
【0041】
呼状態検出部101は、例えば内線端末9の呼状態、例えば「呼出状態」を検出すると、この「呼出状態」の呼状態をRAM103に記憶するものである。
【0042】
呼情報通知部102は、例えば「呼出状態」の呼状態を検出すると、この「呼出状態」の呼状態に対応した呼情報、すなわち「空き・通話中以外」の呼情報をROM104(図4参照)から読み出し、この読み出した「空き・通話中以外」の呼情報を、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知するものである。
【0043】
尚、マスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4の中央制御装置及びメインメモリ内部の構成について説明したが、説明の便宜上、拠点2毎のバックアップIP交換機5内部においても同様に中央制御装置及びメインメモリが内蔵されているものとする。
【0044】
回線制御装置13内のパケット変換装置6は、マスタIP交換機3内部の呼情報通知部102からの呼情報を検出すると、この呼情報を記憶する呼情報メモリ6Aと、マスタIP交換機3の運用停止を検出すると、呼情報メモリ6Aに記憶中の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知する呼情報転送部6Bとを有している。
【0045】
また、パケット変換装置6は、スレーブIP交換機4内部の呼情報通知部102からの呼情報を検出すると、この呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶し、スレーブIP交換機4の運用停止を検出すると、呼情報転送部6Bを通じて呼情報メモリ6Aに記憶中の呼情報を運用開始のバックアップIP交換機5に通知するものである。尚、呼情報転送部6Bは、内線端末9毎に、同内線端末9を収容接続するバックアップIP交換機5に通知するものである。
【0046】
なお、請求項記載の第一通信制御装置はマスタIP交換機3、第二通信制御装置はスレーブIP交換機4、第三通信制御装置はバックアップIP交換機5、通信状態検出手段は呼状態検出部101、通信状態情報通知手段は呼情報通知部102及びROM104、通信装置は回線制御装置13及び内線端末9、通信端末制御装置はパケット変換装置6及び内線端末制御装置7、記憶手段は呼情報メモリ6A、状態情報通知手段は呼情報転送部6B、通信端末は内線端末9に相当するものである。
【0047】
図2は、図1の拠点A、拠点B、及び図示しない他の拠点におけるパケット変換装置6のメモリエリア20のデータフォーマットを示す図である。図2に示すように、エリア20には、パケット変換装置6に接続されている複数の内線端末制御装置7のLIN番号(LIN1〜LIN16)が記憶されている。また、各内線端末制御装置7に対応するエリア21には、複数のポート番号(ポート1〜ポート8)に対応して、内線端末9の内線番号が登録されている。すなわち、LIN番号及びポート番号は内線端末9の収容位置を表し、LIN番号及びポート番号によって内線端末9の内線番号が一意に特定される。したがって、マスタIP交換機3、スレーブIP交換機4、及びバックアップIP交換機5は、パケット変換装置6に接続されているLIN番号及びポート番号を指定するだけで、内線番号を意識することなく収容している特定の内線端末9を指定することができる。
【0048】
図3はマスタIP交換機3又はスレーブIP交換機4内の呼情報通知部102から回線制御装置13内部のパケット変換装置6に通知する呼情報のデータ構成を示す説明図である。
【0049】
図3に示す呼情報30は、図2に示したLIN番号及びポート番号を記憶する収容位置情報31と、内線端末9の呼状態に対応した呼情報内容32とで構成する。
【0050】
また、図4はマスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4内のROM104の呼情報管理テーブル40のテーブル内容であり、同呼情報管理テーブル40は、内線端末9の呼状態41と、この呼状態に対応した呼情報42とを管理している。図4に示すように、呼状態41としては、発呼可能な「空き状態」、他の端末に対して発呼を行っている「呼出状態」、他の端末からの着信を受けている「着信状態」、他の端末と通話している「通話状態」、他の端末との通話が終了して切断の呼制御を待っている「切断待ち状態」、その他の様々な状態、例えば、着信を他の端末に転送する「転送状態」、他の端末への着信に対して代理で応答する「代理応答状態」等を管理している。
【0051】
しかしながら、回線制御装置13のパケット変換装置6では、このような多様な呼状態に対応するそれぞれの呼情報を管理して、マスタIP交換機3からスレーブIP交換機4に切り替わる際、又は、スレーブIP交換機4からバックアップIP交換機5に切り替わる際に、新たに運用を開始した交換機に対して記憶した多様な呼状態を示す呼情報を通知するような構成にすると、パケット変換装置6内の呼情報メモリ6Aの記憶容量が膨大になる上、IP交換機側の運用切替時における呼情報の転送に多くの時間を要する。
【0052】
そこで、このような事態に対処すべく、図4の呼情報42では、全ての呼状態に対して「空き」、「通話中」、「空き・通話中以外」の3種類の呼情報で対応する構成としている。すなわち、呼制御に関わる回線制御装置13の通信状態の中で、「通話状態」及び、通信制御に関わる運用切替に際して通信切断に必要な最小限の通信状態に関わる3種類の呼情報を回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知し、同パケット変換装置6内の呼情報メモリ6Aに呼情報を記憶し、新たに運用を開始したIP交換機に対して、呼情報メモリ6Aに記憶中の3種類の呼情報を通知するものである。
【0053】
図5は、図1の拠点2の2つの内線端末9同士、例えば、内線端末9Aと内線端末9Bとが通話に至るまでの、マスタIP交換機3、パケット変換装置6の推移を示すシーケンス図である。いま、マスタIP交換機3は運用系で動作し、スレーブIP交換機4は待機系で動作している。すなわち、回線制御装置13内のパケット変換装置6、内線端末制御装置7、内線端末9A、及び内線端末9Bは、マスタIP交換機3の運用によって動作中である。
【0054】
ここで、内線端末9Aが発信操作にて内線端末9Bの内線番号をダイヤルすると(ステップS100)、内線端末9から内線端末制御装置7にダイヤル情報が送信される(ステップS101)。このダイヤル情報を受信した内線端末制御装置7は、パケット変換装置6に対して同じくダイヤル情報を送信する(ステップS102)。このダイヤル情報を受信したパケット変換装置6は、同じくダイヤル情報をマスタIP交換機3に送信する(ステップS103)。
【0055】
マスタIP交換機3は、受信したダイヤル情報を解析し、内線端末9Aから内線端末9Bへの接続要求であることを認識すると、内線端末9Aの呼状態を「空き状態」から「呼出状態」に変更し(ステップS104)、パケット変換装置6に対してトーン情報(呼出音)を送信する(ステップS105)。このトーン情報を受信したパケット変換装置6は、内線端末9Aに対して呼出音、すなわちリング・バック・トーンを送信する(ステップS106)。
【0056】
次に、マスタIP交換機3は、トーン情報を送信した後、ステップS104の「呼出状態」に対応する呼情報、すなわち「空き・通話中以外」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS107)。パケット変換装置6は、マスタIP交換機3から通知された内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS108)。
【0057】
次に、マスタIP交換機3は、内線端末9Bの呼状態を「空き状態」から「着信状態」に変更し(ステップS109)、パケット変換装置6に対して着信情報を送信する(ステップS110)。この着信情報を受信したパケット変換装置6は、内線端末制御装置7に対して同じく着信情報を送信する(ステップS111)。この着信情報を受信した内線端末制御装置7は、内線端末9Bに対して同じく着信情報を送信する(ステップS112)。この着信情報を受信した内線端末9Bは、着信報知の鳴動を行う(ステップS113)。
【0058】
マスタIP交換機3は、着信情報を送信した後、ステップS109の「着信状態」に対応する呼情報、すなわち「空き・通話中以外」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS114)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Bの「空き・通話中以外」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS115)。
【0059】
着信報知を鳴動中の内線端末9Bがオフフック操作により応答すると(ステップS116)、内線端末制御装置7に対して応答情報を送信する(ステップS117)。この応答情報を受信した内線端末制御装置7は、パケット変換装置6に対して同じく応答情報を送信する(ステップS117)。この応答情報を受信したパケット変換装置6は、マスタIP交換機3に対して同じく応答情報を送信する(ステップS119)。
【0060】
この応答情報を受信したマスタIP交換機3は、内線端末9Aの呼状態を「呼出状態」から「通話状態」に変更すると共に(ステップS120)、内線端末9Bの呼状態を「着信状態」から「通話状態」に変更する(ステップS121)。さらに、マスタIP交換機3は、内線端末9Aと内線端末9Bとの間の通話路がパケット変換装置6で形成されるように、パケット変換装置6に対して内線端末9Aに関する通話情報を送信し(ステップS122)、内線端末9Bに関する通話情報を送信する(ステップS123)。
【0061】
これらの通話情報を受信したパケット変換装置6は、内線端末9Aと内線端末9Bとの間の通話路を形成する(ステップS124)。これにより、内線端末9Aと内線端末9Bとの間で通話が開始される。この通話中においては、パケット変換装置6は、内線端末9A及び内線端末9Bの状態を監視するものの、切断要求があるまでは、内線端末9A及び内線端末9Bに対する呼制御に関わる運用は停止することになる。
【0062】
マスタIP交換機3は、内線端末9Aと内線端末9Bとの間で通話が開始すると、ステップS120の「通話状態」に対応する呼情報、すなわち「通話中」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Aの「通話中」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS125)。この呼情報が通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Aの「通話中」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS126)。
【0063】
また、マスタIP交換機3は、ステップS121の「通話状態」に対応する呼情報、すなわち「通話中」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Bの「通話中」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS127)。この呼情報が通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Bの「通話中」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS128)。
【0064】
従って、図5に示す動作シーケンスによれば、マスタIP交換機3側が呼状態検出部101を通じて内線端末9A及び内線端末9Bの呼状態を検出すると、呼情報通知部102を通じて同内線端末9A及び内線端末9Bの呼状態に対応した呼情報を呼情報管理テーブル40から読み出し、この読み出した内線端末9A及び内線端末9Bの呼情報を同内線端末9A及び内線端末9Bを収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知すると共に、このパケット変換装置6側で内線端末9A及び内線端末9Bの呼情報を検出すると、これら内線端末9A及び内線端末9Bの呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶するようにしたので、このスレーブIP交換機4側では、例えばマスタIP交換機3の運用停止を検出して運用を開始するに際して、内線端末9側の呼情報を認識することができるため、例えば通話中の内線端末9に関わる通話の強制切断を防止することができる。
【0065】
図6は、図1の拠点2の2つの内線端末9同士、例えば、内線端末9Aと内線端末9Bとが通話中に、マスタIP交換機3の故障等でスレーブIP交換機4に切り替わる場合の推移を示すシーケンス図である。いま、マスタIP交換機3は運用系で動作し、スレーブIP交換機4は待機系で動作している。すなわち、回線制御装置13内のパケット変換装置6、内線端末制御装置7、内線端末9A、及び内線端末9Bは、マスタIP交換機3の運用によって動作中である。
【0066】
パケット変換装置6が内線端末9Aと内線端末9Bとの間に通話路を形成し、内線端末9Aと内線端末9Bとが通話中の場合に、マスタIP交換機3は、内線端末9Aが「通話状態」に対応する呼情報、すなわち「通話中」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Aの「通話中」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS200)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Aの「通話中」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS201)。
【0067】
次に、マスタIP交換機3は、内線端末9Bが「通話状態」に対応する呼情報、すなわち「通話中」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Bの「通話中」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS202)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Bの「通話中」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS203)。
【0068】
ここでマスタIP交換機3に故障が発生すると(ステップS204)、スレーブIP交換機4が待機系から運用系に切り替わる(ステップS205)。この結果、回線制御装置13内のパケット変換装置6、内線端末制御装置7、内線端末9A、及び内線端末9Bは、マスタIP交換機3の運用によって動作中である状態から、スレーブIP交換機4の運用によって動作中の状態に切り替わる(ステップS206)。
【0069】
次に、パケット変換装置6の呼情報転送部6Bは、内線端末9Aの「通話中」の呼情報及び内線端末9Bの「通話中」の呼情報を呼情報メモリ6Aから読み出し、これら「通話中」の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知する(ステップS207)。これら呼情報を通知されたスレーブIP交換機4は、内線端末9Aの呼状態を「通話状態」に設定し(ステップS208)、内線端末9Bの呼状態を「通話状態」に設定する(ステップS209)。
【0070】
次に、内線端末9Aは、オンフック操作により切断すると(ステップS210)、内線端末制御装置7に対して切断情報を送信する(ステップS211)。この切断情報を受信した内線端末制御装置7は、パケット変換装置6に対して同じく切断情報を送信する(ステップS212)。この切断情報を受信したパケット変換装置6は、スレーブIP交換機4に対して同じく切断情報を送信する(ステップS213)。この切断情報を受信したスレーブIP交換機4は、内線端末9Aの呼状態を「通話状態」から「空き状態」に変更する(ステップS214)。
【0071】
次に、スレーブIP交換機4は、パケット変換装置6に対して通話路を解放させるよう指示するために通話終了情報を送信し(ステップS215)、さらに、ステップS214にて「空き状態」に対応する呼情報、すなわち「空き」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Aの「空き」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS216)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Aの「空き」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS217)。
【0072】
次に、内線端末9Bは、オンフック操作により切断すると(ステップS218)、内線端末制御装置7に対して切断情報を送信する(ステップS219)。この切断情報を受信した内線端末制御装置7は、パケット変換装置6に対して同じく切断情報を送信する(ステップS220)。この切断情報を受信したパケット変換装置6は、スレーブIP交換機4に対して同じく切断情報を送信する(ステップS221)。この切断情報を受信したスレーブIP交換機4は、内線端末9Bの呼状態を「通話状態」から「空き状態」に変更する(ステップS222)。
【0073】
次に、スレーブIP交換機4は、パケット変換装置6に対して通話路を解放させるよう指示するために通話終了情報を送信し(ステップS223)、さらに、ステップS222にて「空き状態」に対応する呼情報、すなわち「空き」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Bの「空き」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS224)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Bの「空き」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS225)。
【0074】
図6に示す動作シーケンスによれば、内線端末9A及び内線端末9B間の通話中に、マスタIP交換機3が故障してスレーブIP交換機4への運用を開始するに際して、同内線端末9A及び内線端末9Bを収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6内の呼情報メモリ6Aに記憶中の内線端末9A及び内線端末9Bの「通話中」の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知すると共に、スレーブIP交換機4では、内線端末9A及び内線端末9Bの呼情報が「通話中」の呼情報であることから、切断要求があるまでは、内線端末9A及び内線端末9Bに対する呼制御の運用を停止するようにしたので、スレーブIP交換機4は、内線端末9A及び内線端末9B間の通話中にマスタIP交換機3が故障したとしても、内線端末9A及び内線端末9B間の通話を保持することができる。
【0075】
図7は、内線端末9Aが内線端末9Bを呼び出しているときに、マスタIP交換機3の故障によりスレーブIP交換機4に切り替わる場合の推移を示すシーケンス図である。いま、マスタIP交換機3は運用系で動作し、スレーブIP交換機4は待機系で動作している。すなわち、回線制御装置13内のパケット変換装置6、内線端末制御装置7、内線端末9A、及び内線端末9Bは、マスタIP交換機3の運用によって動作中である。
【0076】
ここで、内線端末9Aは、発信操作に応じて内線端末9Bの内線番号をダイヤルすると(ステップS300)、内線端末制御装置7に対してダイヤル情報を送信する(ステップS301)。このダイヤル情報を受信した内線端末制御装置7は、パケット変換装置6に対して同じくダイヤル情報を送信する(ステップS302)。このダイヤル情報を受信したパケット変換装置6は、同じくダイヤル情報をマスタIP交換機3に送信する(ステップS303)。
【0077】
このダイヤル情報を受信したマスタIP交換機3は、内線端末9Aの呼状態を「空き状態」から「呼出状態」に変更し(ステップS304)、パケット変換装置6に対してトーン情報(呼出音)を送信する(ステップS305)。このトーン情報を受信したパケット変換装置6は、内線端末9Aに対して呼出音、すなわちリング・バック・トーンを送信する(ステップS306)。
【0078】
マスタIP交換機3は、トーン情報を送信した後に、ステップS304にて「呼出状態」に対応する呼情報、すなわち「空き・通話中以外」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS307)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS308)。
【0079】
次に、マスタIP交換機3は、内線端末9Bの呼状態を「空き状態」から「着信状態」に変更し(ステップS309)、パケット変換装置6に対して着信情報を送信する(ステップS310)。この着信情報を受信したパケット変換装置6は、内線端末制御装置7に対して同じく着信情報を送信する(ステップS311)。この着信情報を受信した内線端末制御装置7は、内線端末9Bに対して同じく着信情報を送信する(ステップS312)。この着信情報を受信した内線端末9Bは、着信報知の鳴動を行う(ステップS313)。
【0080】
マスタIP交換機3は、着信情報を送信した後、ステップS309にて「着信状態」に対応する呼情報、すなわち「空き・通話中以外」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Bの「空き・通話中以外」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS314)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Bの「空き・通話中以外」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS315)。
【0081】
ここで、マスタIP交換機3に故障が発生すると(ステップS316)、スレーブIP交換機4が待機系から運用系に切り替わる(ステップS317)。この結果、回線制御装置13内のパケット変換装置6、内線端末制御装置7、内線端末9A、及び内線端末9Bは、マスタIP交換機3の運用によって動作中である状態から、スレーブIP交換機4の運用によって動作中の状態に切り替わる(ステップS318)。
【0082】
次に、パケット変換装置6の呼情報転送部6Bは、内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報を呼情報メモリ6Aから読み出し、この内線端末9Aの「空き・通話中以外」の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知する(ステップS319)。この呼情報を通知されたスレーブIP交換機4は、内線端末9Aが「空き・通話中以外」の呼情報であることから、内線端末9Aに対応する呼状態を「切断待ち状態」に変更する(ステップS320)。
【0083】
次に、スレーブIP交換機4は、パケット変換装置6に対して規制音のトーン情報を送信する(ステップS321)。このトーン情報を受信したパケット変換装置6は、内線端末9Aに対して切断を促すための規制音を送信する(ステップS322)。すなわち、内線端末9Aを強制的に切断する処理を行う。
【0084】
スレーブIP交換機4は、トーン情報を送信した後、内線端末9Bの呼状態を「空き状態」に設定して(ステップS323)、パケット変換装置6に対して着信信号停止指令を送信する(ステップS324)。この着信信号停止指令を受信したパケット変換装置6は、内線端末制御装置7に対して同じく着信信号停止指令を送信する(ステップS325)。この着信信号停止指令を受信した内線端末制御装置7は、内線端末9Bに対して同じく着信信号停止指令を送信する(ステップS326)。この着信信号停止指令を受信した内線端末9Bは、着信報知の鳴動を停止する(ステップS327)。
【0085】
スレーブIP交換機4は、着信信号停止指令を送信した後、ステップS323にて「空き状態」に対応する呼情報、すなわち「空き」の呼情報をROM104の呼情報管理テーブル40(図4参照)から読み出し、この内線端末9Bの「空き」の呼情報をパケット変換装置6に通知する(ステップS328)。この呼情報を通知されたパケット変換装置6は、内線端末9Bの「空き」の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶する(ステップS329)。
【0086】
図7に示す動作シーケンスによれば、例えば内線端末9Aから内線端末9Bへの着信中に、マスタIP交換機3が故障してスレーブIP交換機4への運用を開始するに際して、同内線端末9A及び内線端末9Bを収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6内の呼情報メモリ6Aに記憶中の内線端末9A及び内線端末9Bの「空き・通話中以外」の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知すると共に、スレーブIP交換機4では、内線端末9A及び内線端末9Bの呼情報が「空き・通話中以外」、すなわち「通話中」以外の呼情報であることから、内線端末9A及び内線端末9Bの呼制御の運用を開始して呼切断するようにしたので、その内線端末9A及び内線端末9Bを強制的に切断することで、通話中以外の内線端末9A及び内線端末9Bが通信不能な状態が無用に長引くことを回避できる。
【0087】
尚、上記実施の形態においては、マスタIP交換機3の故障による運用停止に応じてスレーブIP交換機4の運用を開始する場合を例に挙げて説明したが、例えばスレーブIP交換機4の故障による運用停止に応じてバックアップIP交換機5の運用を開始する場合であっても同様の効果が得られることは言うまでもなく、例えばパケット変換装置6の呼情報転送部6Bでは、スレーブIP交換機4の故障等の運用停止を検出すると、呼情報メモリ6Aから呼情報を読み出し、この読み出した呼情報をバックアップIP交換機5に通知すると共に、バックアップIP交換機5は、呼情報転送部6Bからの内線端末9の呼情報に基づき、内線端末制御装置7に収容されている内線端末9同士が通話中であるとき、その内線端末9から切断要求があるまでは、その内線端末9に対する呼制御に関わる運用を停止して、内線端末9同士の通話を維持できることは言うまでもない。
【0088】
さらに、バックアップIP交換機5は、呼情報転送部6Bからの内線端末9の呼情報に基づき、内線端末制御装置7に収容されている内線端末9同士が通話中以外、すなわち「空き」又は「空き・通話中以外」の呼情報である場合、内線端末制御装置7に収容されている内線端末9を強制的に切断するものである。
【0089】
従って、本実施の形態によれば、運用中のマスタIP交換機3が、呼制御に関わる内線端末9の呼状態を検出すると、この内線端末9の呼状態に関わる呼情報を同内線端末9の回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知すると共に、パケット変換装置6は、マスタIP交換機3からの呼情報を検出すると、この呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶し、マスタIP交換機3の運用停止を検出すると、呼情報メモリ6Aに記憶中の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知するようにしたので、このスレーブIP交換機4側では、マスタIP交換機の運用停止を検出して運用を開始するに際して、内線端末9側の呼情報を認識することができるため、通話中の内線端末9に関わる通話の強制切断を防止することができる。
【0090】
本実施の形態によれば、スレーブIP交換機4の運用停止を検出すると、この運用停止にかかわらず通信可能な内線端末9の呼制御に関わる運用を開始するバックアップIP交換機5を備え、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6は、スレーブIP交換機4の運用停止を検出すると、呼情報メモリ6Aに記憶中の呼情報を運用開始のバックアップIP交換機5に通知するようにしたので、マスタIP交換機3及びスレーブIP交換機4が運用停止に陥った場合でも、バックアップIP交換機5を通じて、全ての内線端末9が通信不能になる事態を回避することができる。
【0091】
本実施の形態によれば、運用中のスレーブIP交換機4が、呼制御に関わる内線端末9の呼状態を検出すると、この内線端末9の呼状態に関わる呼情報を、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知すると共に、パケット変換装置6は、同内線端末9に関わる呼情報を検出すると、この呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶し、スレーブIP交換機4の運用停止を検出すると、呼情報メモリ6Aに記憶中の呼情報を運用開始のバックアップIP交換機5に通知するようにしたので、このバックアップIP交換機5側では、スレーブIP交換機4の運用停止を検出して運用を開始するに際して、内線端末9側の呼情報を認識することができるため、通話中の内線端末9に関わる通話の強制切断を防止することができる。
【0092】
また、本実施の形態によれば、マスタIP交換機3の運用停止を検出して、スレーブIP交換機4が内線端末9の呼制御に関わる運用を開始する際に、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6の呼情報メモリ6から同内線端末9の呼情報を検出し、同内線端末9の呼情報が「通話中」の場合、同内線端末9からの通信切断要求を検出するまで同内線端末9に対する呼制御に関わる運用を停止するようにしたので、内線端末9の通話中に、マスタIP交換機3からスレーブIP交換機4に運用が切り替わるに際して、同内線端末9の通話を強制的に切断することなく、通話中の内線端末9の通話をそのまま維持することができる。
【0093】
また、本実施の形態によれば、スレーブIP交換機4の運用停止を検出して、バックアップIP交換機5が内線端末9の呼制御に関わる運用を開始する際に、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6の呼情報メモリ6から同内線端末9の呼情報を検出し、同内線端末9の呼情報が「通話中」の場合、同内線端末9からの通信切断要求を検出するまで同内線端末9に対する呼制御に関わる運用を停止するようにしたので、内線端末9の通話中に、スレーブIP交換機4からバックアップIP交換機5に運用が切り替わるに際して、同内線端末9の通話を強制的に切断することなく、通話中の内線端末9の通話をそのまま維持することができる。
【0094】
また、本実施の形態によれば、マスタIP交換機3の運用停止を検出して、スレーブIP交換機4が内線端末9の呼制御に関わる運用を開始する際に、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6の呼情報メモリ6から同内線端末9の呼情報を検出し、同内線端末9の呼情報が「通話中」以外の「空き」又は「空き・通話中以外」の場合、同内線端末9を切断して呼制御に関わる運用を開始するようにしたので、内線端末9の通話中以外の通信状態で、マスタIP交換機3からスレーブIP交換機4に運用が切り替わるに際して、同内線端末9を強制的に切断することで、同内線端末9が通信不能な状態が無用に長引くことを回避できる。
【0095】
また、本実施の形態によれば、スレーブIP交換機4の運用停止を検出して、バックアップIP交換機5が内線端末9の呼制御に関わる運用を開始する際に、同内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6の呼情報メモリ6から同内線端末9の呼情報を検出し、同内線端末9の呼情報が「通話中」以外の「空き」又は「空き・通話中以外」の場合、同内線端末9を切断して呼制御に関わる運用を開始するようにしたので、内線端末9の通話中以外の通信状態で、スレーブIP交換機4からバックアップIP交換機5に運用が切り替わるに際して、同内線端末9を強制的に切断することで、同内線端末9が通信不能な状態が無用に長引くことを回避できる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、呼制御に関わる内線端末9の呼状態の中で、「通話状態」及び、呼制御に関わる運用切替に際して内線端末9が通信の切断に必要な最小限の通信状態に関わる呼情報、すなわち「通話中」、「空き」及び「空き・通話中以外」の呼情報の種類を3種類にしたので、同呼情報を記憶するパケット変換装置6の呼情報メモリ6Aの記憶容量を必要最小限に抑えることができ、さらには、運用切替時に関わる呼情報の伝送時間を大幅に短縮化することができる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、運用中のIP交換機の呼情報通知部102が、呼状態検出部101を通じて内線端末9における呼制御の発生を検出すると、この呼制御の発生に関わる各内線端末9の呼情報を、同内線端末9を収容する回線制御装置13のパケット変換装置6に通知し、パケット変換装置6は、内線端末9の呼情報を呼情報メモリ6Aに記憶するようにしたので、内線端末9毎に均一な通信サービスを提供することができる。
【0098】
尚、上記実施の形態においては、図5、図6及び図7に示すように、同一拠点内の回線制御装置6に収容接続する内線端末9、例えば内線端末9A及び内線端末9B同士の呼接続を例に挙げて説明したが、内線端末9Aと、異なる拠点2の内線端末9Cとの呼接続の場合、例えばマスタIP交換機3の呼情報通知部102は、内線端末9Aの呼情報を、同内線端末9Aを収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知し、内線端末9Cの呼情報を、同内線端末9Cを収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知すると共に、例えばマスタIP交換機3からスレーブIP交換機4への運用を開始するに際して、内線端末9Aを収容接続する回線制御装置13内の呼情報転送部6Bから内線端末9Aの呼情報をスレーブIP交換機4に通知し、内線端末9Cを収容接続する回線制御装置13内の呼情報転送部6Bから内線端末9Cの呼情報をスレーブIP交換機4に通知することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0099】
また、上記実施の形態においては、内線端末9を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6内に呼情報メモリ6A及び呼情報転送部6Bを内蔵し、アナログの内線端末9を例に挙げて説明したが、例えばIP網1にダイレクトに接続するIP端末14の場合、図示せぬが、呼情報メモリ及び呼情報転送部をIP端末14内部に保持し、運用中のマスタIP交換機3又はスレーブIP交換機4がIP端末14の呼状態を検出すると、この呼状態に対応する呼情報をIP端末14に通知すると共に、IP端末14は、運用中のIP交換機からIP端末14の呼状態を検出すると、同呼情報を呼情報メモリに記憶し、例えばマスタIP交換機3からスレーブIP交換機4への運用を開始するに際して、IP端末14内の呼情報メモリに記憶中の呼情報を、呼情報転送部を通じてスレーブIP交換機4に通知するようにしたので、IP端末14の場合でも、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0100】
また、上記実施の形態においては、局線トランク8及びPSTN16を通じて回線制御装置13に収容接続する外線端末15の呼制御の場合、例えばマスタIP交換機3の呼情報通知部102は、外線端末15の呼情報を、同外線端末15の局線トランク8を収容接続する回線制御装置13内のパケット変換装置6に通知し、例えばマスタIP交換機3からスレーブIP交換機4への運用を開始するに際して、外線端末15の局線トランク8を収容接続する回線制御装置13内の呼情報転送部6Bから外線端末15の呼情報をスレーブIP交換機4に通知すると共に、外線端末15の局線トランク8を収容接続する回線制御装置13内の呼情報転送部6Bから外線端末15の呼情報をスレーブIP交換機4に通知することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0101】
さらに、上記実施の形態においては、例えば運用中のマスタIP交換機3にて内線端末9の呼状態を検出すると、この呼状態に対応した呼情報を回線制御装置13内のパケット変換装置6内の呼情報メモリ6Aに記憶し、例えば運用中のマスタIP3の運用停止を検出すると、呼情報メモリ6Aに記憶中の呼情報を運用開始のスレーブIP交換機4に通知するようにしたが、例えば内線端末9等の電話機の音声通信に限定されるものではなく、例えばパソコン等のデータ通信にも適用可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の通信制御システムによれば、運用中の第一通信制御装置が、通信制御に関わる前記通信装置の通信状態を検出すると、この通信装置の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知すると共に、前記通信装置は、前記運用中の第一通信制御装置からの状態情報を検出すると、この状態情報を記憶手段に記憶し、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知するようにしたので、この第二通信制御装置側では、第一通信制御装置の運用停止を検出して運用を開始するに際して、通信装置側の状態情報を認識することができるため、通信中の通信装置に関わる通信の強制切断を防止することができるため、例えば複数の拠点に対して呼制御を運用するマスタIP交換機およびスレーブIP交換機を有する通信制御システムに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に関わる実施の形態を示す通信制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の各拠点におけるパケット変換装置のメモリのデータフォーマットを示す図である。
【図3】図1のマスタIP交換機及びスレーブIP交換機内のメモリに記憶される内線端末の呼情報を示す図である。
【図4】図1のマスタIP交換機及びスレーブIP交換機内のメモリに記憶される内線端末の呼情報を決定するための呼状態の制御データを示す図である。
【図5】図1の拠点の2つの内線端末同士が通話に至るまでの推移を示すシーケンス図である。
【図6】2つの内線端末同士が通話中にマスタIP交換機の故障によってスレーブIP交換機に切り替わる場合の推移を示すシーケンス図である。
【図7】内線端末が他の内線端末を呼び出しているときに、マスタIP交換機の故障によりスレーブIP交換機に切り替わる場合の推移を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0104】
3 マスタIP交換機(第一通信制御装置)
4 スレーブIP交換機(第二通信制御装置)
5 バックアップIP交換機(第三通信制御装置)
6 パケット変換装置(通信装置)
6A 呼情報メモリ(記憶手段)
6B 呼情報転送部(状態情報通知手段)
7 内線端末制御装置(通信装置及び通信端末制御装置)
9 内線端末(通信端末)
13 回線制御装置(通信装置)
14 IP端末(通信装置)
15 外線端末(通信装置)
101 呼状態検出部(通信状態検出手段)
102 呼情報通知部(通信状態情報通知手段)
104 ROM(通信状態情報通知手段)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置と、この通信装置の接続要求に応じて同通信装置の通信制御を可能にする第一通信制御装置及び第二通信制御装置とを有し、前記第一通信制御装置は、前記通信装置の通信制御に関わる運用を実行すると共に、前記第二通信制御装置は、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する通信制御システムであって、
前記第一通信制御装置及び第二通信制御装置の内、運用中の通信制御装置は、
前記通信制御に関わる前記通信装置の通信状態を検出する通信状態検出手段と、
この通信状態検出手段にて前記通信装置の通信状態を検出すると、この通信装置の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知する通信状態情報通知手段とを有し、
前記通信装置は、
前記通信状態情報通知手段からの状態情報を検出すると、この状態情報を記憶する記憶手段と、
前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知する状態情報通知手段とを有することを特徴とする通信制御システム。
【請求項2】
前記第一通信制御装置及び第二通信制御装置の運用停止を検出すると、この運用停止にかかわらず通信可能な通信装置の通信制御に関わる運用を開始する第三通信制御装置を有し、
前記通信装置の前記状態情報通知手段は、
前記第二通信制御装置の運用停止を検出すると、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第三通信制御装置に通知することを特徴とする請求項1記載の通信制御システム。
【請求項3】
前記通信装置は、
通信端末と、この通信端末を制御する通信端末制御装置とを有し、
前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段は、
前記通信状態検出手段にて前記通信制御に関わる前記通信装置内の前記通信端末の通信状態を検出すると、この通信端末の通信状態に関わる状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置内の通信端末制御装置に通知すると共に、
前記通信装置内の通信端末制御装置は、
前記通信状態情報通知手段からの前記通信端末に関わる状態情報を検出すると、この状態情報を前記記憶手段に記憶し、前記第一通信制御装置の運用停止を検出すると、前記状態情報通知手段を通じて、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第二通信制御装置に通知することを特徴とする請求項1記載の通信制御システム。
【請求項4】
前記通信装置は、
通信端末と、この通信端末を制御する通信端末制御装置とを有し、
前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段は、
前記通信状態検出手段にて前記通信制御に関わる前記通信装置内の前記通信端末の通信状態を検出すると、この通信端末の通信状態に関わる状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置内の通信端末制御装置に通知すると共に、
前記通信装置内の通信端末制御装置は、
前記通信状態情報通知手段からの前記通信端末に関わる状態情報を検出すると、この状態情報を前記記憶手段に記憶し、前記第二通信制御装置の運用停止を検出すると、前記状態情報通知手段を通じて、前記記憶手段に記憶中の状態情報を前記第三通信制御装置に通知することを特徴とする請求項2記載の通信制御システム。
【請求項5】
前記第二通信制御装置は、
前記第一通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信装置の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、通信中状態の前記通信端末がある場合、同通信端末からの通信切断要求を検出するまで同通信端末に対する通信制御に関わる運用を停止することを特徴とする請求項3記載の通信制御システム。
【請求項6】
前記第三通信制御装置は、
前記第二通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信装置の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、通信中状態の前記通信端末がある場合、同通信端末からの通信切断要求を検出するまで同通信端末に対する通信制御に関わる運用を停止することを特徴とする請求項4記載の通信制御システム。
【請求項7】
前記第二通信制御装置は、
前記第一通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信装置の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、前記通信中状態以外の前記通信端末がある場合、同通信端末を切断して通信制御に関わる運用を開始することを特徴とする請求項5記載の通信制御システム。
【請求項8】
前記第三通信制御装置は、
前記第二通信制御装置の運用停止を検出して、前記通信装置の通信制御に関わる運用を開始する際に、前記通信装置の前記状態情報通知手段から前記状態情報を検出すると、この状態情報を管理すると共に、この状態情報の内、前記通信中状態以外の前記通信端末がある場合、同通信端末を切断して通信制御に関わる運用を開始することを特徴とする請求項6記載の通信制御システム。
【請求項9】
前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段は、
前記通信状態検出手段にて検出された前記通信制御に関わる前記通信装置の通信状態の中で、前記通信装置の通信中状態及び、前記通信制御に関わる運用切替に際して前記通信装置が通信の切断に必要な最小限の通信状態に関わる状態情報を前記通信装置に通知することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7又は8記載の通信制御システム。
【請求項10】
前記運用中の通信制御装置の前記通信状態情報通知手段は、
前記通信状態検出手段にて前記通信装置内の各通信端末における通信制御の発生を検出すると、この通信制御の発生に関わる各通信端末の状態情報を、同通信端末を収容する前記通信装置に通知し、
前記通信端末制御装置は、
前記通信状態情報通知手段にて通知された各通信端末の状態情報を前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項3,4,5,6,7,8又は9記載の通信制御システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−245077(P2008−245077A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85071(P2007−85071)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】