説明

通信装置、通信システム及び通信方法

【課題】通信装置の双方が同種のハードウエア構成の場合であっても、リップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止する。
【解決手段】高周波結合器820と、バンドパスフィルタ815と、前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路825の電気長の長さを切り替える切替機構と、通信の接続確立前において、通信相手のハードウエア情報を受信する通信部と、通信の接続確立時又は接続確立後において、前記切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御する制御部850とを備える通信装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム及び通信方法に関し、特に、近接距離にて無線通信可能な通信装置、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型の情報機器間でデータを移動させる際、一般に、USBケーブルなどの汎用ケーブルを用いて情報機器間を相互接続することによりデータ通信する方式や、メモリカードなどのメディアを媒介にしてデータを移動させる方式が用いられている。
【0003】
近年、これらの方式に代わって無線インターフェースを利用する場合が増えてきている。これに伴い、各種のケーブルレス通信機能を搭載した情報機器が多く提供されている。小型の情報機器間でケーブルレスによりデータ通信を行う方法としては、IEEE802.11に代表される無線LANやBluetooth(登録商標)通信を始めとして、アンテナを用いて無線信号の送受信を行う電波通信方式が開発されている。これによれば、画像や音楽などのデータを交換する際に、データ通信のたびにコネクタの抜き差しをしてケーブルを引き回す必要がなく、ユーザの利便性が高いという利点がある。
【0004】
また、アンテナの代わりに高周波結合器を用い、静電界若しくは誘導電界による電界結合を利用して数センチメートルの近接距離にて無線通信を実現する近接無線通信システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。近接無線通信システムでは、無線LANやBluetooth(登録商標)通信等との混信を避けるために、通信距離が数センチメートル程度と短くなっている。よって、近接無線通信システムによれば、他の通信システムへ妨害を与えることなく広帯域通信を行うことができる。また、近接無線通信システムでは高速なデータ転送が可能となり、例えば、デジタルカメラの画像転送やデジタルビデオカメラのハイビジョン映像の転送等、大容量のデータを短時間で転送することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4345849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高周波結合器は静電界若しくは誘導電界による電界結合を利用するため、結合相手の高周波結合器が5ミリメートル程度の近接距離にあればVSWR(Voltage Standing Wave Ratio)は2以下の小さな値になり、インピーダンスマッチングがとれた状態になっている。このとき、送信側及び受信側に設けられた2つの高周波結合器は準静電界によって結合していると考えられる。
【0007】
一方、高周波結合器間が10ミリメートル以上離れている場合は、VSWRは比較的大きな値となり、インピーダンスミスマッチの状態になる。このとき、2つの高周波結合器は誘導電界によって結合していると考えられる。
【0008】
バンドパスフィルタと高周波結合器とを直に接続して(このとき、伝送線路の電気長は0度)、図1の点1から点6までの伝達特性を数値シミュレーションにより求めたものが図4である。A曲線は、インピーダンスマッチングがとれている場合の理想的な伝達特性を示している。これに対して、B曲線は、バンドパスフィルタと高周波結合器とを直に接続した場合の実際の伝達特性であり、インピーダンスミスマッチによってピークツーピーク値(=C1+C2)で約2.5dBの大きなリップルが生じていることがわかる。つまり、送信機の伝送線路の電気長と受信機の伝送線路の電気長とがほぼ等しくなると、大きなリップルが生じ、周波数特性の歪みによってデータに誤りが生じ、結果としてデータ伝送速度が低下するという問題が生じる。
【0009】
上記課題に対して、本発明の目的は、通信機器の双方が同種のハードウエア構成の場合であっても、伝達特性のリップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止し、良好な広帯域特性を提供することが可能な、新規かつ改良された通信装置、通信システム及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、高周波結合器と、バンドパスフィルタと、前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構と、通信の接続確立前において、通信相手のハードウエア情報を受信する通信部と、通信の接続確立時又は接続確立後において、前記切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御する制御部と、を備える通信装置が提供される。
【0011】
かかる構成によれば、高周波結合器とバンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構を用いて、通信の接続確立時又は接続確立後、受信した通信相手のハードウエア情報に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えが制御される。これによれば、一方の通信装置の伝送線路の電気長と他方の通信装置の伝送線路の電気長とを異ならせることができる。これにより、リップルの発生を抑え、高速なデータ伝送を実現することができ、高周波結合器のインピーダンスミスマッチがあってもバンドパスフィルタの周波数特性を損なうことなく、より良好な広帯域特性を提供することができる。
【0012】
前記制御部は、前記ハードウエア情報から判断される通信相手の装置のタイプが自装置のタイプと同種の場合、前記通信相手の装置の高周波結合器とバンドパスフィルタとを接続する伝送線路と自装置の前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとを接続する伝送線路との電気長が異なるように前記伝送線路を切り替えてもよい。
【0013】
前記制御部は、通信相手の装置の前記伝送線路と自装置の前記伝送線路の電気長の差が90度±40度になるように前記伝送線路を切り替えてもよい。
【0014】
前記制御部は、通信相手の装置の前記伝送線路と自装置の前記伝送線路の電気長の差が90度±20度になるように前記伝送線路を切り替えてもよい。
【0015】
前記伝送線路の切り替えは、通信の接続確立前に接続要求信号を受けた装置側で行われてもよい。
【0016】
前記伝送線路の切り替えは、接続要求信号に対する接続受付信号を受けた装置側で行われてもよい。
【0017】
前記通信部は、通信の接続確立時又は接続確立後であって、前記伝送線路の切り替え後、通信の接続確立前に比べて高速な符号化方式を用いてデータ伝送を行ってもよい。
【0018】
前記通信部は、近距離にある通信相手の装置と近接無線通信によってデータ伝送を行ってもよい。
【0019】
前記通信部は、通信相手のハードウエア情報とともに通信相手の伝送線路の電気長の初期値に関する情報を受信し、前記制御部は、通信の接続確立時又は通信の接続確立後、前記切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報及び通信相手の伝送線路の電気長の初期値に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御してもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、高周波結合器とバンドパスフィルタとをそれぞれ備えた2つの通信装置によりデータ伝送を行う通信システムであって、2つの通信装置の少なくとも一方の通信装置は、前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構と、通信の接続確立前において、他の通信装置のハードウエア情報を受信する通信部と、通信の接続確立時又は接続確立後において、前記切替機構を用いて、前記受信された他の通信装置のハードウエア情報に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御する制御部と、を備える通信システムが提供される。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、高周波結合器とバンドパスフィルタとを備える通信装置の通信方法であって、通信の接続確立前において、通信相手のハードウエア情報を受信するステップと、通信の接続確立時又は接続確立後において、前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報に応じて前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の切り替えを制御するステップと、を含む通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明によれば、通信装置の双方が同種のハードウエア構成の場合であっても、リップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止し、良好な広帯域特性を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る近接無線通信システムの全体構成図である。
【図2】理想的な5次のバンドパスフィルタの伝達特性を示したグラフである。
【図3】理想的なカプラを用いてシミュレーションした場合の伝達特性を示したグラフである。
【図4】送信機及び受信機の伝送線路の電気長とリップルとの関係を示した図である。
【図5】インピーダンスマッチングがとれた場合及び第1実施形態の場合の伝達特性を比較したグラフである。
【図6】インピーダンスマッチングがとれた場合の伝達特性を示したグラフである。
【図7】第1実施形態に係る近接無線通信システムの概念図である。
【図8】第1実施形態に係る近接無線通信の接続が確立されるシーケンスを示した図である。
【図9】第1実施形態に係る通信装置の内部構成図(タイプA、タイプB)を示した図である。
【図10】第1実施形態に係る伝送線路の切り替えの要否を示した図である。
【図11】第1実施形態に係る切替処理を示したフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態に係る通信装置の内部構成図(タイプB、タイプC)を示した図である。
【図13】第2実施形態に係る伝送線路の切り替えの要否を示した図である。
【図14】第2実施形態に係る切替処理を示したフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態に係る切替処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0025】
なお、本発明の実施形態は次の順序で説明される。
<第1実施形態>
[近接無線通信システムの全体構成]
[伝達特性]
[2つの通信装置の電気長とリップルとの関係]
[近接無線通信の接続が確立されるシーケンス]
[通信装置の内部構成]
[伝送線路の切り替えの要否]
[伝送線路の切替処理]
<第2実施形態>
[通信装置の内部構成]
[伝送線路の切り替えの要否]
[伝送線路の切替処理]
<第3実施形態>
[伝送線路の切替処理]
【0026】
高周波結合器を用いた近接無線通信システムでは、無線LAN等の他の通信システムが同一の筐体内に搭載される場合に備えて、他の通信システムからの妨害を受けないようにバンドパスフィルタを具備することがある。以下に説明する各実施形態では、近接無線通信を行う双方の機器が、接続確立後の認証処理において、自機器の高周波結合器とバンドパスフィルタの間の電気長を、いずれか片方の機器がいずれか他方の機器と異なるように切り替える。これにより、高周波結合器のインピーダンスミスマッチがあっても、バンドパスフィルタの周波数特性を損なわずに良好な通信を行うことが可能な近接無線通信システムを提供する。
【0027】
<第1実施形態>
[近接無線通信システムの全体構成]
まず、本発明の第1実施形態に係る近接無線通信システムの構成及び伝達特性について図を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る近接無線通信システム10の全体構成を示す。送信機100は、送信回路110、BPF115(送信側バンドパスフィルタ)、高周波結合器120(送信側カプラ)及び伝送線路125を有している。受信機200は、受信回路210、BPF215(受信側バンドパスフィルタ)、高周波結合器220(受信側カプラ)及び伝送線路225を有している。ここで、送信機100と受信機200は同一の構成であり、BPF115とBPF215、高周波結合器120と高周波結合器220はそれぞれ同じ部品を用いるものとする。
【0028】
伝送線路125は、バンドパスフィルタ115と高周波結合器120との間を結ぶ配線をいう。伝送線路225も同様に、バンドパスフィルタ215と高周波結合器220との間を結ぶ配線をいう。たとえば、伝送線路125、225は、プリント基板上に形成された特性インピーダンス50オームのマイクロストリップラインであってもよい。また、たとえば、伝送線路125、225は、同軸ケーブルであってもよく、高周波結合器120、220の一部に形成された伝送線路であってもよい。
【0029】
送信機100と受信機200は、双方向通信により、その時々によって送信機100が受信機として機能し、受信機200が送信機として機能する。すなわち、現時点では、送信機100はデータを送信し、受信機200はデータを受信しているが、データの送受信先が逆になると、受信機200が送信機として機能し、送信機100が受信機として機能する。
【0030】
よって、送信回路110及び受信回路210は、送信回路としても受信回路としても機能し、データを伝送する高周波信号の処理を行う通信回路であり、通信部に相当する。また、送信機100及び受信機200は、通信部とバンドパスフィルタと高周波結合器とを備えた通信装置に相当する。近接無線通信システム10は、近接無線通信技術を用いてデータ伝送が可能な2つの通信装置を有する通信システムに相当する。
【0031】
なお、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特性の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0032】
[伝達特性]
バンドパスフィルタ(BPF115,215)は、図2に示すように、通過帯域が4.2GHz〜4.8GHzの範囲であり、近接無線通信システムはこの帯域をすべて使用して通信する。O曲線は伝達特性であり、4.2GHz〜4.8GHzの帯域内で平坦な周波数特性になっている。P曲線は反射特性であり、前記帯域内で反射係数が小さくなっている。
【0033】
次に、図1の点3から点4の間にある1対の高周波結合器120、220が約20mm隔てて結合した状態の伝達特性と反射特性を図3に示す。R曲線の伝達特性は、4.2GHz〜4.8GHzの通過帯域を中心として結合度が高くなる周波数特性であるが、Q曲線の反射特性は、通過帯域の内外にかかわらず反射係数が大きく、すなわち、VSWRが大きいインピーダンスミスマッチになっている。
【0034】
バンドパスフィルタと高周波結合器とを直に接続して(このとき、伝送線路の電気長は0度)、図1の点1から点6までの伝達特性を数値シミュレーションにより求めたものが図4である。A曲線は、インピーダンスマッチングがとれている場合の理想的な伝達特性を示している。これに対して、B曲線は実際の伝達特性であり、インピーダンスミスマッチによってピークツーピーク値(=C1+C2)で約2.5dBの大きなリップルが生じていることがわかる。
【0035】
[2つの通信装置の電気長とリップルとの関係]
このリップルと伝送線路との関係について調べるために、一方の通信装置の伝送線路1の電気長と、通信相手である他方の通信装置の伝送線路2の電気長とを、それぞれ0度から180度まで10度ステップで変化させてリップルの大きさを等高線プロットした結果を図5に示す。図5の縦軸は伝送線路1の4.5GHzにおける電気長であり、横軸は伝送線路2の4.5GHzにおける電気長である。
【0036】
図5のグラフの左下から右上を結んだ対角線上は伝送線路1の電気長と伝送線路2の電気長とが等しい場合であり、この対角線上に等高線の山、つまり、リップルが最大となる山がある。先に説明した図4のシミュレーション結果は、図5の左下の角に相当し、伝送線路1の電気長と伝送線路2の電気長とがともに0度で等しいのでリップルが大きい。
【0037】
一方、伝送線路1の電気長と伝送線路2の電気長とが90度±20度程度異なる領域にはリップルが0.5dB以下の小さな値に抑えられる等高線の谷があり、90度±40度程度異なる領域にはリップルが1.0dB以下の小さな値に抑えられる等高線の谷があることがわかる。
【0038】
図6は、伝送線路1の電気長を0度、伝送線路2の電気長を90度として、図4と同じ方法で数値シミュレーションした結果である。このように伝送線路1,2の電気長を90度異なるようにした場合に得られるT曲線は、インピーダンスマッチングがとれている場合の理想的な伝達特性を示したA曲線とほぼ一致し、リップルが0.5dB以下に抑えられていることがわかる。
【0039】
このように、バンドパスフィルタを具備した近接無線通信システム10では、高周波結合器のインピーダンスミスマッチによって伝達特性にリップルが発生し、その振幅は2台の送受信機の高周波結合器とバンドパスフィルタを接続する伝送線路1,2の電気長が近づくほど大きくなる。一方、上記伝送線路1,2の電気長に90度±40度程度の差を設けた場合には、リップルを約1dB程度に抑えることができる。さらに、上記伝送線路1,2の電気長が90度±20度程度の差を設けた場合には、リップルを約0.5dB程度の小さな値に抑えることができる。
【0040】
つまり、通信機器の双方が同種のハードウエア構成の場合には、その伝送線路の長さが等しくなる可能性が高いので、伝達特性のリップルが大きくなりやすく、周波数特性の歪みによってデータに誤りが生じ、結果としてデータ伝送速度が低下するという問題が生じやすい。
【0041】
これに対して、以下に説明する第1実施形態及び後述する第2及び第3実施形態では、通信機器の双方が同種の機種であって同種のハードウエア構成を有する場合であっても、伝達特性のリップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止し、良好な広帯域特性を提供することが可能な通信システムを提供する。
【0042】
[近接無線通信の接続が確立されるシーケンス]
本実施形態に係る無線通信システム10は、一対の機器の間でデータを送受信するための通信方式により、近距離の機器間で近接無線転送技術を用いたデータの送受信を行う。図7は、本実施形態に係る無線通信システム10を模式的に示した図である。システムを構成する2つの通信装置は、イニシエータ700(Initiator)とレスポンダー705(Responder)という役割を有する。イニシエータ700は、「接続要求を出す側」であり、レスポンダー705は、「接続要求を待ち受ける側」である。本実施形態では、1対1(P2P)の通信が行われる。両者は接続の際の役割が異なるのみで、接続に関係する機器の構成は同一である。
【0043】
イニシエータ700としては、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯機器、電子カード、デジタルカメラ、ビデオカメラ、オーディオプレーヤ、プリンタ/コピー、プロジェクタ等のホーム/オフィス機器、テレビ、レコーダ、ゲーム機器、情報キオスクなど様々な機器が該当する。レスポンダー705も同様に、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯機器、電子カード、デジタルカメラ、ビデオカメラ、オーディオプレーヤ、プリンタ/コピー、プロジェクタ等のホーム/オフィス機器、テレビ、レコーダ、ゲーム機器、情報キオスクなど様々な機器が該当する。システムを構成する2つの通信装置は、イニシエータ700とレスポンダー705のどちらの役割も担うことができ、装置間の双方向の直接通信を可能としている。
【0044】
図8は、イニシエータ700とレスポンダー705との通信の接続を確立するシーケンスを示した図である。通信の接続確立前、まず、イニシエータ700及びレスポンダー705の2つの装置を数cm以内に近づけると、イニシエータ700が接続要求信号(C−Req:Connection Request)を送信する(ステップS800)。
【0045】
これに対して、レスポンダー705は、イニシエータ700との間でネゴシエーションを行い、その結果として接続受付信号(C−Acc:Connection Accept)を返信する(ステップS805)。
【0046】
イニシエータ700は、レスポンダー705から接続受付信号(C−Acc)を受信すると、レスポンダー705との間でネゴシエーションを行う。ネゴシエーションでは、ソフトウエア及びハードウエアのバージョン情報等の確認が行われる。ネゴシエーションの結果、バージョン、エミュレーション方式が一致した場合、通信の接続が確立する。
【0047】
第1実施形態に係る2つの通信装置のうち少なくともいずれかは、後述するように、RF部の高周波結合器とバンドパスフィルタの間の伝送線路を切り替える機構を有する。接続確立と同時又は接続確立後、イニシエータ700とレスポンダー705のRF部(例えば、図9のタイプA、Bで示した無線通信部)が相性の悪い組合せと判断された場合には、レスポンダー705側にてRF部の伝送線路の電気長を切り替える。切り替え後、イニシエータ700とレスポンダー705とのデータ伝送を行う。
【0048】
切り替え後のデータ伝送は、CSDU(Connection layer Service Data Unit)パケットにより行われる(ステップS810、S815)。データ伝送が終了し、ユーザが2つの機器間を離すと接続が切断される。
【0049】
本実施形態に係る通信方法では、通信の接続確立を行う段階においては、低速な符号化方式を用いて誤り訂正処理等を行うとともに、ハードウエア情報等を通信相手に送信する。一方、通信の接続確立と同時又は接続確立後に行うネゴシエーション段階では、ハードウエア情報に基づいてレスポンダー側がRF部の伝送線路の電気長を切り替えた後、CSDUパケットによる高速な符号化方式を用いてデータ伝送を行う。なお、伝送線路の電気長の切り替えは、イニシエータ側で行ってもよい。
【0050】
[通信装置の内部構成]
本実施形態に係るシステムでは、一方の通信装置(イニシエータ)のRF部が、図9に示したタイプA、他方の通信装置(レスポンダー)のRF部が、タイプBであるとする。タイプAの通信装置は、BPF815(バンドパスフィルタ)、高周波結合器820(カプラ)、送信処理部810a、受信処理部810b、制御部850及びスイッチ855を有している。タイプAでは、高周波結合器820とBPF815とは直接接続され、伝送線路がないタイプである。すなわち、タイプAの伝送線路の電気長は0度である。したがって、高周波結合器820とBPF815との伝送線路を切り替える切替機構も有しない。また、初期状態では、タイプAの通信装置のスイッチ855は、送信処理部810aに接続されている。
【0051】
タイプBの通信装置は、BPF815(バンドパスフィルタ)、高周波結合器820(カプラ)、送信処理部810a、受信処理部810b、制御部850、スイッチ855、860、865及び伝送線路825を有している。タイプBでは、伝送線路がない経路(伝送線路の電気長は0度)と、高周波結合器820とBPF815とが伝送線路825により接続されている経路(伝送線路の電気長は90度)とを切り替えることが可能である。図9の初期状態では、スイッチ860,865を用いてBPF815と高周波結合器820との間を伝送線路825で接続している。スイッチ860、865は切替機構である。これにより、伝送線路825の電気長は、デフォルト値(初期状態)で90度になっている。また、初期状態では、タイプBの通信装置のスイッチ855は、送信処理部810aに接続されているが、ここではレスポンダー側の装置になるため、通信接続確立前にスイッチ855を切り替えて受信処理部810bに接続する。
【0052】
[伝送線路の切り替えの要否]
イニシエータ700とレスポンダー705との2つの通信装置の相性に応じて切り替えが必要になってくる。2つの通信装置の相性の良し悪しは、図5に示したように、2つの通信装置の伝送線路の電気長が等しくなる程リップルが大きくなることから生じる。
【0053】
上述した切替機構のないタイプAの通信装置と、切替機構のあるタイプBの通信装置との少なくともいずれかを用いて近接無線通信を行う場合の切り替えの要否を図10に示す。イニシエータの機種タイプ及びレスポンダーの機種タイプがともにタイプAである場合、伝送線路の電気長が同じ(0度)で相性が悪いが、タイプAの通信装置には切替機構がついていないので切り替えはできない。この場合、イニシエータ側の通信装置のスイッチ855はそのままの状態を保持し、レスポンダー側の通信装置のスイッチ855は受信処理部810bに接続されるように切り替えられる。
【0054】
イニシエータの機種がタイプA、レスポンダーの機種がタイプBである場合、イニシエータの伝送線路の電気長が0度、レスポンダーの伝送線路の電気長が90度であるため、図5を参照すると最もリップルの発生が小さく、相性が良い。よって、この場合にはタイプBの通信装置の切り替えは不要である。
【0055】
イニシエータの機種がタイプB、レスポンダーの機種がタイプAである場合、イニシエータの伝送線路の電気長が90度、レスポンダーの伝送線路の電気長が0度であるため、図5を参照すると最もリップルの発生が小さく、相性が良い。よって、この場合にもタイプBの通信装置の切り替えは不要である。
【0056】
イニシエータの機種タイプ及びレスポンダーの機種タイプがともにタイプBである場合、伝送線路の電気長が同じで相性が悪い。よって、この場合にはレスポンダー側の通信装置の切替機構によって伝送線路の電気長を0度に切り替える制御が必要である。なお、レスポンダー側で伝送線路の切り替えを制御する替わりにイニシエータ側で伝送線路の切り替えを制御してもよい。
【0057】
[伝送線路の切替処理]
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る伝送線路の切替処理について説明する。なお、本実施形態では、以下の切替処理はレスポンダー側の通信装置で行われるものとする。
【0058】
レスポンダー側の通信装置は、通信接続確立前にイニシエータからの接続要求信号を受信する。また、レスポンダー側の通信装置は、通信接続確立前にイニシエータのハードウエア情報を取得する(ステップS1105)。レスポンダーの通信装置は、ハードウエア情報からイニシエータの機種タイプを判定する(ステップS1110)。イニシエータの機種がタイプAの場合、レスポンダーの機種がタイプA、Bのいずれの場合にも切替処理が行われる場合はないため(図10を参照)、直ちに本処理を終了する。
【0059】
一方、イニシエータの機種がタイプBの場合、ステップS1115にてレスポンダーの機種タイプがタイプAの場合、レスポンダー側の通信装置での切替処理は不可能であるため、直ちに本処理を終了する。
【0060】
ステップS1115にてレスポンダーの機種がタイプBの場合、イニシエータ及びレスポンダーがともにタイプBであるため相性が悪い。よって、レスポンダー側の通信装置の制御部850が、レスポンダー側の伝送線路の電気長を0度に切り替え、本処理を終了する。これにより、本実施形態では、初期状態では相性が悪くても、通信の接続確立と同時または接続確立後に伝送線路の電気長を切り替えてリップルの発生を抑止できる状態にした後、高速な符号化方式を用いてデータ伝送を行うことができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信機器の双方が同種のハードウエア構成の場合であっても、レスポンダー側の通信機器の伝送線路の電気長を切り替えることにより、2つの通信機器の伝送線路の電気長を異なるように制御することができる。この結果、伝達特性のリップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止し、良好な広帯域特性を提供することができる。
【0062】
<第2実施形態>
[通信装置の内部構成]
本発明の第2実施形態に係る近接無線通信システムでは、一方の通信装置(イニシエータ)のRF部が、図12に示したタイプB、他方の通信装置(レスポンダー)のRF部が、タイプCであるとする。
【0063】
タイプBの通信装置の内部構成は第1実施形態で説明したため、ここでは説明を省略する。タイプCの通信装置の内部構成は、図12に示したように、BPF815(バンドパスフィルタ)、高周波結合器820(カプラ)、送信処理部810a、受信処理部810b、制御部850、スイッチ855及び伝送線路825を有している。タイプCでは、高周波結合器820とBPF815とは伝送線路825により接続され、タイプCの伝送線路の電気長は90度である。高周波結合器820とBPF815との伝送線路を切り替える切替機構は有しない。また、初期状態では、タイプCの通信装置のスイッチ855は、送信処理部810aに接続されている。
【0064】
これに対して、前述したように、タイプBでは、高周波結合器820とBPF815とは直接接続され、伝送線路がない経路と、高周波結合器820とBPF815とが伝送線路825により接続されている経路とを切り替えることが可能である。すなわち、タイプBの伝送線路の電気長は、0度と90度とに切り替え可能である。図12の初期状態では、スイッチ860,865を用いてBPF815と高周波結合器820との間を伝送線路825で接続している。これにより、伝送線路825の電気長は、初期状態で90度になっている。また、初期状態では、タイプBの通信装置のスイッチ855は、送信処理部810aに接続されている。
【0065】
[伝送線路の切り替えの要否]
2つの通信装置の相性に応じて切り替えが必要になってくる。2つの通信装置の相性の良し悪しは、図5に示したように、2つの通信装置の伝送線路の電気長が近付く程リップルが大きくなることから生じる。
【0066】
切替機構のないタイプCの通信装置と、切替機構のあるタイプBの通信装置との少なくともいずれかを用いて近接無線通信を行う場合の切り替えの要否を図13に示す。イニシエータの機種及びレスポンダーの機種タイプがともにタイプBである場合、伝送線路の電気長が同じで相性が悪い。よって、この場合には、イニシエータ側又はレスポンダー側のいずれか一方の伝送線路の電気長を0度に切り替える制御が必要である。
【0067】
イニシエータの機種がタイプB、レスポンダーの機種がタイプCである場合、伝送線路の電気長が同じで相性が悪い。よって、この場合には切替機構を有するイニシエータ側の通信装置の切替機構によって伝送線路の電気長を0度に切り替える制御が必要である。
【0068】
イニシエータの機種がタイプC、レスポンダーの機種がタイプBである場合、伝送線路の電気長が同じで相性が悪い。よって、この場合には切替機構を有するレスポンダー側の通信装置の切替機構によって伝送線路の電気長を0度に切り替える制御が必要である。
【0069】
イニシエータの機種及びレスポンダーの機種タイプがともにタイプCである場合、伝送線路の電気長が同じで相性が悪いが、タイプCの通信装置には切替機構がついていないので切り替えはできない。
【0070】
[伝送線路の切替処理]
次に、図14を参照しながら、本実施形態に係る伝送線路の切替処理について説明する。なお、以下の切替処理は、イニシエータ側又はレスポンダー側の通信装置で行われるものとする。
【0071】
レスポンダー側の通信装置は、通信接続確立前にイニシエータからの接続要求信号及びイニシエータ側の通信装置のハードウエア情報を取得する(ステップS1405)。イニシエータの機種がタイプB、タイプCのいずれの場合でも、初期状態においてイニシエータ及びレスポンダーの伝送線路の電気長が同じであるため相性が悪い。ステップS1410にてイニシエータの機種がタイプBの場合には、イニシエータ側の通信装置の伝送線路の電気長を0度に切り替え、本処理を終了する。
【0072】
ステップS1410にてイニシエータの機種がタイプCである場合、レスポンダーの機種タイプを判定する(ステップS1410)。レスポンダーの機種がタイプBの場合、イニシエータ及びレスポンダーの伝送線路の電気長が同じであるため、レスポンダー側の通信装置の伝送線路の電気長を0度に切り替え、本処理を終了する。これにより、初期状態では相性が悪くても、通信の接続確立と同時または接続確立後に伝送線路の電気長を切り替えた上で、高速な符号化方式を用いてデータ伝送を行うことができる。ステップS1410にてイニシエータの機種がタイプCと判定され、ステップS1415にてレスポンダーの機種がタイプCと判定された場合には、いずれの通信装置も切替機構を有さないため、切替処理を行うことなく本処理を終了する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、通信機器の双方が同種のハードウエア構成の場合であっても、いずれかの通信機器の伝送線路の電気長を切り替えることにより、2つの通信機器の伝送線路の電気長を異なるように制御することができる。この結果、伝達特性のリップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止し、良好な広帯域特性を提供することができる。
【0074】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る近接無線通信システムでは、一方の通信装置(イニシエータ)のRF部が、図12に示したタイプA、他方の通信装置(レスポンダー)のRF部がタイプBであるとする。各機器のタイプの伝送線路の初期値(デフォルト値)は機器によって異なるものとする。この場合の伝送線路の切替処理について説明する。なお、本実施形態では、以下の切替処理は、第1実施形態に係る場合と異なり、イニシエータ側又はレスポンダー側の通信装置で行われるものとする。また、レスポンダー側の通信装置は、イニシエータ側の通信装置からハードウエア情報とともに伝送線路のデフォルト値を取得するものとする。
【0075】
[伝送線路の切替処理]
レスポンダーの通信装置は、通信接続確立前にイニシエータからの接続要求信号とともに、イニシエータのハードウエア情報及び伝送線路の電気長のデフォルト値を取得する(ステップS1505)。レスポンダーの通信装置は、ハードウエア情報からイニシエータの機種のタイプを判定する(ステップS1510)。イニシエータの機種がタイプAの場合、ステップS1515にてレスポンダーの機種のタイプを判定し、レスポンダーの機種がタイプAの場合、切替処理は不可能であるため、本処理を終了する。
【0076】
ステップS1515にてレスポンダーの機種がタイプBと判定された場合、イニシエータの伝送線路のデフォルト値からイニシエータとレスポンダーの伝送線路の電気長の差がを判定する(ステップS1520)。2つの通信装置の伝送線路の電気長の差が90度の場合、切替制御は不要であるため本処理を終了する。一方、ステップS1520にて2つの通信装置の伝送線路の電気長の差が0度の場合、イニシエータ及びレスポンダーの伝送線路の電気長が同じであるため相性が悪い。よって、ステップS1530にて、切替制御が可能なレスポンダーの伝送線路の電気長を切り替え、伝送線路の電気長の差を90度にした後、本処理を終了する。
【0077】
ステップS1510にてイニシエータの機種がタイプBと判定された場合、ステップS1525にてレスポンダーの機種のタイプを判定する。レスポンダーの機種がタイプBの場合、イニシエータ及びレスポンダーが同機種のため、伝送線路の電気長が同じであり相性が悪い。よって、ステップS1530にて、イニシエータ又はレスポンダーのいずれかの通信装置の伝送線路の電気長を切り替え、本処理を終了する。
【0078】
一方、ステップS1525にてレスポンダーの機種がタイプAの場合、イニシエータとレスポンダーの伝送線路の電気長の差を判定する(ステップS1535)。伝送線路の電気長の差が90度の場合、切替制御は不要であるため本処理を終了する。一方、ステップS1535にてデフォルト値が0度の場合、イニシエータ及びレスポンダーの伝送線路の電気長が同じであるため相性が悪い。よって、ステップS1530にて、切替制御が可能なイニシエータの伝送線路の電気長を切り替え、伝送線路の電気長の差を90度にした後、本処理を終了する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、イニシエータ及びレスポンダーが同機種のため伝送線路の電気長が同じであり相性が悪い場合や、イニシエータ及びレスポンダーが異機種であっても初期状態によっては伝送線路の電気長が等しくなり相性が悪い場合に、通信の接続確立と同時または接続確立後に伝送線路の電気長を切り替える。これにより、リップルを小さく抑えて、高速な符号化方式を用いてデータ伝送を行うことができる。
【0080】
以上説明したように、各実施形態によれば、2つの通信機器の伝送線路の電気長が等しい場合にも、いずれかの通信装置の伝送線路を切り替えることにより、2つの通信機器の伝送線路の電気長を異なるように制御することができる。これにより、リップルを抑えてデータ伝送速度の低下を防止し、良好な広帯域特性を提供することができる。
【0081】
なお、各実施形態にかかる切替処理は、主に制御部により行われる。実際には、制御部の切替機能はプログラムを実行するCPU(図示せず)により実行される。よって以上に説明した各処理を実行するためのプログラムは、ROMや不揮発性メモリ(ともに図示せず)に予め記憶されていて、CPUが、これらのメモリから各プログラムを読み出し実行することにより、制御部の切替機能が実現される。
【0082】
上記第1及び第2の実施形態において、各部の動作は互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができる。これにより、通信装置又は通信システムの実施形態を、通信装置の通信方法の実施形態とすることができる。
【0083】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0084】
また、上記各実施形態に係る制御部は、通信相手の装置の伝送線路と自装置の伝送線路の電気長の差が90度になるように伝送線路を切り替えたが、通信相手との伝送線路の電気長の差はこれに限られない。制御部は、通信相手の装置の高周波結合器とバンドパスフィルタとを接続する伝送線路と自装置の高周波結合器とバンドパスフィルタとを接続する伝送線路との電気長が異なるようにいずれかの通信装置の伝送線路を切り替えればよい。ただし、図5に示したように、通信相手との伝送線路の電気長の差が90度±40度の範囲であれば、リップルを約1dB程度に抑えることができるため好ましい。さらに、通信相手との伝送線路の電気長の差が90度±20度の範囲であれば、リップルを約0.5dB程度に抑えることができるため、より好ましい。
【符号の説明】
【0085】
10 近接無線通信システム
100 送信機
110 送信回路
115、215,815 BPF
120,220,820 高周波結合器
125,225 伝送線路
200 受信機
210 受信回路
700 イニシエータ
705 レスポンダー
810a 送信処理部
810b 受信処理部
825 伝送線路
850 制御部
855,860,865 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波結合器と、
バンドパスフィルタと、
前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構と、
通信の接続確立前において、通信相手のハードウエア情報を受信する通信部と、
通信の接続確立時又は接続確立後において、前記切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御する制御部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ハードウエア情報から判断される通信相手の装置のタイプが自装置のタイプと同種の場合、前記通信相手の装置の高周波結合器とバンドパスフィルタとを接続する伝送線路と自装置の前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとを接続する伝送線路との電気長が異なるように前記伝送線路を切り替える請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記制御部は、通信相手の装置の前記伝送線路と自装置の前記伝送線路の電気長の差が90度±40度になるように前記伝送線路を切り替える請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、通信相手の装置の前記伝送線路と自装置の前記伝送線路の電気長の差が90度±20度になるように前記伝送線路を切り替える請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記伝送線路の切り替えは、通信の接続確立前に接続要求信号を受けた装置側で行われる請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記伝送線路の切り替えは、接続要求信号に対する接続受付信号を受けた装置側で行われる請求項1〜4のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信部は、通信の接続確立時又は接続確立後であって、前記伝送線路の切り替え後、通信の接続確立前に比べて高速な符号化方式を用いてデータ伝送を行う請求項1〜6のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信部は、近距離にある通信相手の装置と近接無線通信によってデータ伝送を行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信部は、通信相手のハードウエア情報とともに通信相手の伝送線路の電気長の初期値に関する情報を受信し、
前記制御部は、通信の接続確立時又は通信の接続確立後、前記切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報及び通信相手の伝送線路の電気長の初期値に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御する請求項1〜8のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項10】
高周波結合器とバンドパスフィルタとをそれぞれ備えた2つの通信装置によりデータ伝送を行う通信システムであって、
2つの通信装置の少なくとも一方の通信装置は、
前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構と、
通信の接続確立前において、他の通信装置のハードウエア情報を受信する通信部と、
通信の接続確立時又は接続確立後において、前記切替機構を用いて、前記受信された他の通信装置のハードウエア情報に応じて前記伝送線路の電気長の切り替えを制御する制御部と、
を備える通信システム。
【請求項11】
高周波結合器とバンドパスフィルタとを備える通信装置の通信方法であって、
通信の接続確立前において、通信相手のハードウエア情報を受信するステップと、
通信の接続確立時又は接続確立後において、前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の長さを切り替える切替機構を用いて、前記受信された通信相手のハードウエア情報に応じて前記高周波結合器と前記バンドパスフィルタとの間の伝送線路の電気長の切り替えを制御するステップと、
を含む通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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