連結部材及びフェンス
【課題】連結部材を介して格子体を連続的に連結する場合に、その連結作業を容易にする連結部材及びこの連結部材を用いたフェンスを提供する。
【解決手段】縦線材21と横線材22とが格子状に接合された格子体2を複数連続的に設置するに際して、隣り合う格子体2の側端同士を連結するための連結部材4であって、前記連結部材4は、両側端が後方に折曲されて前側壁52が設けられた前板5と、両側端が前方に折曲されて後側壁62が設けられた背板6と、前記前板5と前記背板6との上端同士を接続する接続部41とを備え、且つ前記接続部41を折り曲げ部にして、前板5と背板6との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体2の側端同士を連結する際は、前記接続部41の左右両側に隣り合う格子体2の側端の縦線材21をそれぞれ配置させると共に、前板5と背板6との間を閉じて、前記縦線材21を前板5と背板6との間に位置させるように構成する。
【解決手段】縦線材21と横線材22とが格子状に接合された格子体2を複数連続的に設置するに際して、隣り合う格子体2の側端同士を連結するための連結部材4であって、前記連結部材4は、両側端が後方に折曲されて前側壁52が設けられた前板5と、両側端が前方に折曲されて後側壁62が設けられた背板6と、前記前板5と前記背板6との上端同士を接続する接続部41とを備え、且つ前記接続部41を折り曲げ部にして、前板5と背板6との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体2の側端同士を連結する際は、前記接続部41の左右両側に隣り合う格子体2の側端の縦線材21をそれぞれ配置させると共に、前板5と背板6との間を閉じて、前記縦線材21を前板5と背板6との間に位置させるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に取付けられた格子状の格子体を連結するための連結部材及び該連結部材を介して格子状の格子体が連結されたフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
道路との境界、敷地同士の境界等を仕切る手段として用いられる支柱と格子状の格子体とを組み合わせたフェンスにおいて、左右の格子体同士を直接連続的に連結する自由柱方式のフェンスが用いられている。この方式においては、隣接する格子体の縦線材及び/又は横線材を2つの固定金具を用いて前後から挟み込み、それら固定金具をボルトナットで締結し、左右の格子体同士を連結固定していた。しかし、上記の通り、2個の固定金具、固定ボルトの少なくとも3個の部材を用いるため、格子体の隣り合う2縁部の縦線材及び/又は横線材の位置を合わせて、更に前後固定金具の固定ボルトの孔位置を合わせながら固定ボルトを取付ける必要があるので、作業が煩わしいものであった。
【0003】
そこで、特許文献1には、2つの網状体を接続する網状体接続構造において、ねじ挿通穴と直線状に延びる溝状部とを有する第一の接続具と、ねじ穴と凹部とを有する第二の接続具とを有し、前記第一の接続具の前記溝状部を各網状体の前記横線に嵌合するとともに、前記第二の接続具の前記凹部内に各網状体の前記縦線が侵入するようにし、前記ねじ挿通穴に挿通した雄ねじを前記ねじ穴に螺合して締め付け、前記第一の接続具と前記第二の接続具との間に各網状体を挾持させてなる網状体接続構造が提案されている。
【0004】
また、本出願人においても、特許文献2に示すように、支柱に格子状に組み合わせて形成されたメッシュパネルが取付けられてなるメッシュフェンスに於いて、メッシュパネルの隣り合う2縁部の縦線材及び/又は横線材が少なくとも一方に横線材外形に対応したガイド溝の形成された一対の板状体よりなる接続金具で挟着されたことを特徴とするメッシュフェンスを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−295511号公報
【特許文献1】特開平10−121791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の網状体接続構造は、縦線材及び/又は横線材の位置合わせは比較的容易であるが、第一、第二の接続具と雄ねじとの少なくとも3個の部材を必要とするので、両接続具を網状体に沿わせながら両接続具を雄ねじで締め付ける作業は、作業者1人ではやりにくいものであった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、連結部材を介して格子体を連続的に連結する場合に、その連結作業を容易にする連結部材及びこの連結部材を用いたフェンスを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0009】
すなわちこの発明に係る連結部材は、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体を複数連続的に設置するに際して、隣り合う格子体の側端同士を連結するための連結部材であって、前記連結部材は、両側端が後方に折曲されて前側壁が設けられた前板と、両側端が前方に折曲されて後側壁が設けられた背板と、前記前板と前記背板との上端同士を接続する接続部とを備え、且つ前記接続部を折り曲げ部にして、前板と背板との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体の側端同士を連結する際は、前記接続部の左右両側に隣り合う格子体の側端の縦線材をそれぞれ配置させると共に、前板と背板との間を閉じて、前記縦線材を前板と背板との間に位置させるようにすることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る連結部材において、前記前板の前側壁と前記背板の後側壁の側端は、それぞれその上部が斜めに切り欠かれ、下方に向かうほど徐々に幅広となされた傾斜部が設けられるような構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る連結部材において、前記両前側壁はその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられると共に、前記前側壁の切欠部に対向して前記両後側壁にもその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられ、前板と背板との間が閉じられた時に、前記前側壁の切欠部と前記後側壁の切欠部とにより形成される開口を通って、前板と背板との間から、外側に通じる通過部が形成されているような構成としてもよい。
【0012】
また本発明に係るフェンスは、設置面に間隔をおいて立設された支柱の間に、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体が複数連続的に設置され、隣り合う格子体の側端同士が本発明に係る前記連結部材を介して連結されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る連結部材によれば、接続部を折り曲げ部にして、前板と背板との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体の側端同士を連結する際は、前記接続部の左右両側に隣り合う格子体の側端の縦線材をそれぞれ配置させると共に、前板と背板との間を閉じて、前記縦線材を前板と背板との間に位置させるようにすればよいので、連結作業時において、連結部材が下方にずり落ちても、接続部の下面に縦線材と交差する横線材が引っ掛かって更に下方には落下しにくく、従って連結部材の仮止め作業が容易となる。
【0014】
本発明に係る連結部材において、接続金具の前板の前側壁と前記背板の後側壁の側端は、それぞれその上部が斜めに切り欠かれ、下方に向かうほど徐々に幅広となされた傾斜部が設けられているようになされていれば、前板と背板の間に縦線材を位置させる際に、前板と背板の間の開き角度を極端に大きくしなくても、前側壁と後側壁との間から縦線材を前板と背板の間に挿入することが可能となり、作業者の負荷が低減される。
【0015】
また本発明に係る連結部材において、前記両前側壁はその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられると共に、前記前側壁の切欠部に対向して前記両後側壁にもその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられ、前板と背板との間が閉じられた時に、前記前側壁の切欠部と前記後側壁の切欠部とにより形成される開口を通って、前板と背板との間から、外側に通じる通過部が形成されているようにすれば、格子体の横線材を前記通過部に通すことによって、格子体の交差部を連結部材の前板と背板との間に支持することができる。
【0016】
本発明に係るフェンスによれば、設置面に間隔をおいて立設された支柱の間に、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体が複数連続的に設置され、隣り合う格子体の側端同士が前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結部材を介して連結されているので、格子体同士の連結作業が容易となり、特に格子体を多数用いたフェンスにおいては、連結部材の仮止めが可能となるので、後で格子体の位置調整が必要となっても、連結部材の付け直しが容易であり、フェンスの施工作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るフェンスの実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2において固定部材付近の拡大図である。
【図4】図1のフェンスに用いられた本発明に係る連結部材の実施の一形態を示す説明図である。
【図5】図4の連結部材の開閉状態を示す説明図である。
【図6】図1の連結部材付近を示す説明図である。
【図7】図1の連結部材付近を示し、(a)はその拡大正面図、(b)は拡大背面図である。
【図8】図1の連結部材付近を示し、(a)はその拡大平面図、(b)は拡大底面図である。
【図9】図7の側面図である。
【図10】格子体と連結部材との関係を示す斜視図である。
【図11】格子体と連結部材との関係を示す他の斜視図である。
【図12】図11の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0019】
図1−2は、本発明に係るフェンスPの実施の一形態を示し、図1はその正面図、図2は図1のA−A断面図である。支柱1は、一般には強度的に安定しておりコストの安い丸パイプ状の鋼管が用いられているが、角パイプ状の鋼管でもよく、断面H字状、T字状、ハット型の鋼材等からなる支柱でもよい。又ステンレス合金やアルミニウム合金等の他の金属から形成されたものでもよい。かかる支柱1は、上端にキャップ11が被されて取付けられると共に、設置面に間隔をおいて複数立設されている。
【0020】
前記支柱1に支持されて連続的に設置される格子体2は、多数の縦線材21と横線材22とが格子状に配置されると共に、縦線材21と横線材22とが各交差部23において溶接等により接合されたものである。縦線材21及び横線材22は、強度的に安定しておりコストの安い鋼線が好適に用いられるが、ステンレス合金アルミニウム合金などの他の金属からなる線材を用いてもよい。また縦線材21及び横線材22の耐食性や耐候性を高めるために、一般的にそれらの表面に金属めっきや塗装が施される。
【0021】
なお格子体2は、支柱1の適宜位置、図1では上方と下方の二箇所に取付けられた固定部材3によって支柱1の前面に取付けられている。図3は、図2において固定部材3付近を示す拡大図である。固定部材3は、本形態では、一方の端部に雄ねじ部31が形成され、もう一方の端部にJ字状のフック部32が形成された棒状体33である。支柱1には、この棒状体33を取付けるための透孔(図示せず)が取付位置に設けられており、棒状体33がこの透孔に挿通され、棒状体33のフック部に横線材22が係止され、支柱1の反対側の面より、雄ねじ部にナットNが螺合されることにより、格子体2が支柱1に固定される。かかる固定部材3は、一般には強度的に安定しておりコストの安い鋼材から作成されたものが好適に用いられるが、他の金属や合成樹脂を用いて形成してもよい。なお固定部材3は、図示しないが、格子体2の縦線材21を係止するものでもよく、また支柱1に巻き回されるバンド状の形態でもよい。
【0022】
固定部材3は、本形態では、上記のように、支柱1に対して上下段に計2個取付けられて格子体2を支柱1に固定しているが、この取付数や取付間隔は特に限定されるものではなく、格子体2の高さ寸法や横線材22の格子間隔等に応じて適宜設定することができる。
【0023】
図4〜5は、図1のフェンスPに用いられた本発明に係る連結部材4を示し、図4は格子体1同士を連結する前の連結部材4の一形態を示す説明図、図5は図4の連結部材4の開閉状態を示す説明図である。連結部材4は、前板5と背板6とを備え、接続部41を介して前記前板5の上端と背板6の上端とが接続されている。なお前板5と背板6との前後関係は、格子体2を連結した状態で手前に位置する方を前板5とし、後方に位置する方を背板6として、仮に名付けたものであって、背板6を手前に位置させ、前板5を後方に位置させてもよく、その前後関係は特に限定されるものではない。
【0024】
連結部材4は、一般にはステンレス合金からなる1枚の板材をプレス加工によって製作したものであるが、アルミニウム合金や鋼材等の他の金属製板材から製作してもよい。また接続部41は、本形態では、中央部が切り欠かれて左右の2個の帯状の接続片41aにより構成されている。これにより、接続部41を曲げ易くするなり、図5に示すような前板5と背板6との間の開閉が容易となり好ましいが、前記切り欠きを設けなくてもよく、あるいは切り欠き箇所を左右方向に並設して、前記接続片41aを3個以上設けた形態でもよい。
【0025】
図6〜9は、図1において連結部材4付近を図6はその説明図、図7において(a)は拡大正面図、(b)は拡大背面図、図8において(a)は拡大平面図、(b)は拡大底面図、図9は図7の側面図である。すなわち左右方向に隣接する格子体2の側端の縦線材21同士が前記連結部材4を介して連結され、連結部材4の前板5の中央部に設けられたボルト挿通孔51から背板6の中央部に設けられた雌ねじ孔61に向けて締結ボルトBが螺着され、前板5と背板6との間が閉じられて拡がらないように締結されている。前板5のボルト挿通孔51は、締結ボルトBが雌ねじ孔61に対して軸ずれしないように螺入できるように締結ボルトBのネジの外径より大径となされている。雌ねじ孔61は、本形態では背板6を加工して設けた形態である。尚、ボルト挿通孔51を背板6に設け、雌ねじ孔61を前板5に設けてもよい。ボルト挿通孔51及び雌ねじ孔61の位置は特に限定されるものではなく、格子体2の縦線材21や横線材22と干渉しない位置に設ければよい。更に本形態では、ボルト挿通孔51及び雌ねじ孔61の周りにリブ51a、リブ61aを設けて前板5及び背板6の剛性を高めている。
【0026】
そして隣り合う格子体2の側端同士を連結するには、連結部材4の前板5と背板6との間がく字状に開いた状態で、連結される両格子体2の前記縦線材21を接続部41の左右両側にそれぞれ配置し、次いで前記接続部41を折り曲げて、前板5と背板6との間を閉じて、すなわち前板5と背板6とをほぼ平行にするか、更に折り曲げて側面視嘴状にするかして、前板5と背板6との間に前記縦線材21を位置させるようにすればよい。
なお、前板5には両側端が後方に折曲されて前側壁52が設けられ、背板6には両側端が前方に折曲されて後側壁62が設けられ、そして前板5の両側端の前側壁52の先端の一部が、対向する背板6の両側端の後側壁62の外側に被さるように配置されることにより、側面視において前側壁52の一部が後側壁62に重合している。これにより、閉じた状態の前板5と背板6との間に位置させた前記縦線材21は、連結部材4に対して左右方向及び前後方向への移動が阻止される。
【0027】
加えて、両前側壁52の下部には先端から基端に向けて側面視矩形状の切欠部53が設けられ、またこの前側壁52の切欠部53に対向して、前記両後側壁62にもその下部に先端からに向けて側面視矩形状の切欠部63が設けられており、連結部材4の内側から前記切欠部63及び切欠部53により形成される側面視横長矩形状の開口を通って連結部材4の外側に通じる通過部42が形成されている。前記通過部42の上方及び下方では、側面視において前側壁52の一部が後側壁62に重合した重合部43が設けられている。すなわち、連結される格子体2の側端の縦線材21が前板5と背板6との間に位置された状態で、前板5と背板6との間を閉じると、この縦線材21と交差部23を構成する下方の横線材22が通過部42にそれぞれ配置されるようになされている。これにより、前記横線材22は、重合部43によって前後方向の移動が阻止され、格子体2の交差部23を連結部材4の内側から出ないように支持することができる。
【0028】
前記横線材22を配置する横方向の開口を形成する切欠部53,切欠部63の形状は本形態のような矩形状に限定されるものではないが、切欠部53,切欠部63の底部が前板5,背板6の裏面まで達するようにすれば、すなわち前側壁52及び後側壁62の基端まで切欠部53,切欠部63を形成するようにすれば、前板5と背板6との間が閉じた状態であっても、横線材22と切欠部53,切欠部63とは前後方向には干渉しないので、締結ボルトBによる締結の偏り等の不具合が起こりにくい。
【0029】
更に、前板5の下端部には、連結する縦線材21が上下に通過可能な隙間S1を左右残して後方に向けて延びる前底壁54が設けられている。これにより、前板5の剛性を高められると共に、格子体2に対して下方に引っ張る荷重等が生じても左右の横線材22は、前底壁54に係止されて連結部材4の外側には抜け出しにくくなる。なお縦線材21が後方に配置された場合も想定して、本形態では、背板6の下端部には、格子体2の縦線材21が通過可能な隙間S2を左右に残して前方に向けて延びる後底壁64が設けられている。また本形態では、前側壁52の両切欠部53の下縁と前底壁54の上面の高さを合わせ、後側壁62の両切欠部63の下縁と後底壁64の上面の高さを合わせているので、前記横線材22に下方に向けて荷重が生じた際、切欠部53と前底壁54、切欠部63と後底壁64とによって協働して横線材22を支えることができるので更に好ましい。
【0030】
ここで、連結部材4を用いて格子体2同士を連結する具体的な連結手段の一形態を図10〜12と共に説明する。まず、図10に示すように、連結部材4の前板5と背板6との間がく字状に開いた状態として、この連結部材4の左右に連結する格子体2をそれぞれ配置し、該格子体2の側端の縦線材21を連結部材4の前側壁52と後側壁62との間を通して、連結部材4の接続部41の左右両側に配置すると共に、前板5と背板6との間に位置させる。
【0031】
なお前側壁52と後側壁62の上部の角部が斜めに切り欠かれて、前傾斜部55及び後傾斜部65が設けられている。これにより、縦線材21を前側壁52と後側壁62との間を通すときに、前板5と背板6との間の開き角度をそれほど開かなくても、前傾斜部55及び後傾斜部65との隙間S3から縦線材21を通すことができる。前傾斜部55及び後傾斜部65の切り欠き角度は特に限定されるものではないが、前傾斜部55と後傾斜部65との端縁が略平行となるまで前板5と背板6との間を開いた時に、隙間S3の離間距離が縦線材21の外径Rより長くなるようにして、縦線材21を隙間S3に通すことができるようにすればよい。すなわち連結部材4を製作する際、前板5と背板6との開き角度は製作しやすい角度とすればよく、連結部材4の使用時に前記開き角度を前傾斜部55と後傾斜部65との端縁が略平行となるように変更すればよいので、施工時に前記交差角度を必要以上に大きくする必要はなく、施工性を高めることができる。
【0032】
図12は、図11の平面図である。連結される格子体2の側端の縦線材21が前板5と背板6との間に位置された状態で、この縦線材21と交差部23を構成する下方の横線材22は、その端部22aが接続部41の側端部よりも連結部材4の中央寄りに位置している。これにより、図11に示すように、連結する両格子体2の縦線材21を連結部材4の前板5と背板6との間に位置させれば、連結部材4がその位置から落下しても、横線材22が接続部41に引っ掛かってその下には落下せず、連結部材4を仮止めすることができる。また、本形態では、格子体2の縦線材21は横線材22より前方の前板5側に配置されており、加えて前板5は背板6よりも形状の関係、すなわち前板5の前側壁52が背板6の後壁板62よりも重合する分だけ高さが高い等から若干重量が重いので、横線材22が接続部41に引っ掛かった際に、図示していないが、前板5は垂直に向くように立ち上あがる。これにより、前板5と背板6との間に配置された縦線材21は、前板5の前側壁52により、外側への移動が阻止されるので、連結部材4を更に確実に仮止めすることができる。したがって、仮止めの後でも、前板5と背板6との交差角度を変更していない初期の状態で連結部材4を取り外すことができるので、連結部材4の取付位置の変更等が容易であり、また接続部41に負荷を掛けなくてもよいので、接続部41の強度低下や破断等の不具合が起こりにくくなる。
【0033】
そして図6〜9に示すように、格子体2の横線材22が連結部材4の通過部42を通るように、接続部41を折り曲げて前板5と背板6との間を閉じ、次いで連結部材4の前板5のボルト挿通孔51から背板6の雌ねじ孔61に向けて締結ボルトBを螺着し、そして前板5及び背板6の内面が前記交差部23に当接する程度まで前記締結ボルトBを締め付けて、連結部材4と左右の格子体2とを固定すれば、連結作業は終了する。前板5と背板6とは、接続部41を介して一体に製作されているので、前板5と背板6とが別体の従来の金具に比べて、前板5と背板6とが前後方向や左右方向にずれにくく、設置後も締結ボルトBの緩みや、その緩みによる格子体2の位置ずれやばたつきが起こりにくくなる。
【0034】
本形態では、図1に示すように、左右の格子体2の上中下段で連結部材4を用いているが、格子体2の高さ寸法や格子体2の横線材2の格子間隔に合わせて連結部材4の取付位置や取付数を適宜変更してもよい。
【0035】
本発明に係るフェンスPは、連結部材4を介して左右の格子体2を容易に連結することができるので、フェンスPの施工性を高めることが可能となり、更に格子体を左右方向に連結した既存のフェンスにおいても、格子体同士の連結に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 支柱
11 キャップ
2 格子体
21 縦線材
22 横線材
22a 端部
23 交差部
3 固定部材
31 雄ねじ部
32 フック部
33 棒状体
4 連結部材
41 接続部
41a 接続片
42 通過部
43 先端
5 前板
51 ボルト挿通孔
51a リブ
52 前側壁
53 切欠部
54 前底壁
55 前傾斜部
6 背板
61 雌ねじ孔
61a リブ
62 後側壁
63 切欠部
64 後底壁
65 後傾斜部
B 締結ボルト
N ナット
P フェンス
R 外径
S1 隙間
S2 隙間
S3 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱に取付けられた格子状の格子体を連結するための連結部材及び該連結部材を介して格子状の格子体が連結されたフェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
道路との境界、敷地同士の境界等を仕切る手段として用いられる支柱と格子状の格子体とを組み合わせたフェンスにおいて、左右の格子体同士を直接連続的に連結する自由柱方式のフェンスが用いられている。この方式においては、隣接する格子体の縦線材及び/又は横線材を2つの固定金具を用いて前後から挟み込み、それら固定金具をボルトナットで締結し、左右の格子体同士を連結固定していた。しかし、上記の通り、2個の固定金具、固定ボルトの少なくとも3個の部材を用いるため、格子体の隣り合う2縁部の縦線材及び/又は横線材の位置を合わせて、更に前後固定金具の固定ボルトの孔位置を合わせながら固定ボルトを取付ける必要があるので、作業が煩わしいものであった。
【0003】
そこで、特許文献1には、2つの網状体を接続する網状体接続構造において、ねじ挿通穴と直線状に延びる溝状部とを有する第一の接続具と、ねじ穴と凹部とを有する第二の接続具とを有し、前記第一の接続具の前記溝状部を各網状体の前記横線に嵌合するとともに、前記第二の接続具の前記凹部内に各網状体の前記縦線が侵入するようにし、前記ねじ挿通穴に挿通した雄ねじを前記ねじ穴に螺合して締め付け、前記第一の接続具と前記第二の接続具との間に各網状体を挾持させてなる網状体接続構造が提案されている。
【0004】
また、本出願人においても、特許文献2に示すように、支柱に格子状に組み合わせて形成されたメッシュパネルが取付けられてなるメッシュフェンスに於いて、メッシュパネルの隣り合う2縁部の縦線材及び/又は横線材が少なくとも一方に横線材外形に対応したガイド溝の形成された一対の板状体よりなる接続金具で挟着されたことを特徴とするメッシュフェンスを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−295511号公報
【特許文献1】特開平10−121791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の網状体接続構造は、縦線材及び/又は横線材の位置合わせは比較的容易であるが、第一、第二の接続具と雄ねじとの少なくとも3個の部材を必要とするので、両接続具を網状体に沿わせながら両接続具を雄ねじで締め付ける作業は、作業者1人ではやりにくいものであった。
【0007】
本発明は、前記の如き問題点を解消し、連結部材を介して格子体を連続的に連結する場合に、その連結作業を容易にする連結部材及びこの連結部材を用いたフェンスを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
【0009】
すなわちこの発明に係る連結部材は、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体を複数連続的に設置するに際して、隣り合う格子体の側端同士を連結するための連結部材であって、前記連結部材は、両側端が後方に折曲されて前側壁が設けられた前板と、両側端が前方に折曲されて後側壁が設けられた背板と、前記前板と前記背板との上端同士を接続する接続部とを備え、且つ前記接続部を折り曲げ部にして、前板と背板との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体の側端同士を連結する際は、前記接続部の左右両側に隣り合う格子体の側端の縦線材をそれぞれ配置させると共に、前板と背板との間を閉じて、前記縦線材を前板と背板との間に位置させるようにすることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る連結部材において、前記前板の前側壁と前記背板の後側壁の側端は、それぞれその上部が斜めに切り欠かれ、下方に向かうほど徐々に幅広となされた傾斜部が設けられるような構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る連結部材において、前記両前側壁はその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられると共に、前記前側壁の切欠部に対向して前記両後側壁にもその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられ、前板と背板との間が閉じられた時に、前記前側壁の切欠部と前記後側壁の切欠部とにより形成される開口を通って、前板と背板との間から、外側に通じる通過部が形成されているような構成としてもよい。
【0012】
また本発明に係るフェンスは、設置面に間隔をおいて立設された支柱の間に、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体が複数連続的に設置され、隣り合う格子体の側端同士が本発明に係る前記連結部材を介して連結されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る連結部材によれば、接続部を折り曲げ部にして、前板と背板との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体の側端同士を連結する際は、前記接続部の左右両側に隣り合う格子体の側端の縦線材をそれぞれ配置させると共に、前板と背板との間を閉じて、前記縦線材を前板と背板との間に位置させるようにすればよいので、連結作業時において、連結部材が下方にずり落ちても、接続部の下面に縦線材と交差する横線材が引っ掛かって更に下方には落下しにくく、従って連結部材の仮止め作業が容易となる。
【0014】
本発明に係る連結部材において、接続金具の前板の前側壁と前記背板の後側壁の側端は、それぞれその上部が斜めに切り欠かれ、下方に向かうほど徐々に幅広となされた傾斜部が設けられているようになされていれば、前板と背板の間に縦線材を位置させる際に、前板と背板の間の開き角度を極端に大きくしなくても、前側壁と後側壁との間から縦線材を前板と背板の間に挿入することが可能となり、作業者の負荷が低減される。
【0015】
また本発明に係る連結部材において、前記両前側壁はその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられると共に、前記前側壁の切欠部に対向して前記両後側壁にもその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられ、前板と背板との間が閉じられた時に、前記前側壁の切欠部と前記後側壁の切欠部とにより形成される開口を通って、前板と背板との間から、外側に通じる通過部が形成されているようにすれば、格子体の横線材を前記通過部に通すことによって、格子体の交差部を連結部材の前板と背板との間に支持することができる。
【0016】
本発明に係るフェンスによれば、設置面に間隔をおいて立設された支柱の間に、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体が複数連続的に設置され、隣り合う格子体の側端同士が前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結部材を介して連結されているので、格子体同士の連結作業が容易となり、特に格子体を多数用いたフェンスにおいては、連結部材の仮止めが可能となるので、後で格子体の位置調整が必要となっても、連結部材の付け直しが容易であり、フェンスの施工作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るフェンスの実施の一形態を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2において固定部材付近の拡大図である。
【図4】図1のフェンスに用いられた本発明に係る連結部材の実施の一形態を示す説明図である。
【図5】図4の連結部材の開閉状態を示す説明図である。
【図6】図1の連結部材付近を示す説明図である。
【図7】図1の連結部材付近を示し、(a)はその拡大正面図、(b)は拡大背面図である。
【図8】図1の連結部材付近を示し、(a)はその拡大平面図、(b)は拡大底面図である。
【図9】図7の側面図である。
【図10】格子体と連結部材との関係を示す斜視図である。
【図11】格子体と連結部材との関係を示す他の斜視図である。
【図12】図11の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0019】
図1−2は、本発明に係るフェンスPの実施の一形態を示し、図1はその正面図、図2は図1のA−A断面図である。支柱1は、一般には強度的に安定しておりコストの安い丸パイプ状の鋼管が用いられているが、角パイプ状の鋼管でもよく、断面H字状、T字状、ハット型の鋼材等からなる支柱でもよい。又ステンレス合金やアルミニウム合金等の他の金属から形成されたものでもよい。かかる支柱1は、上端にキャップ11が被されて取付けられると共に、設置面に間隔をおいて複数立設されている。
【0020】
前記支柱1に支持されて連続的に設置される格子体2は、多数の縦線材21と横線材22とが格子状に配置されると共に、縦線材21と横線材22とが各交差部23において溶接等により接合されたものである。縦線材21及び横線材22は、強度的に安定しておりコストの安い鋼線が好適に用いられるが、ステンレス合金アルミニウム合金などの他の金属からなる線材を用いてもよい。また縦線材21及び横線材22の耐食性や耐候性を高めるために、一般的にそれらの表面に金属めっきや塗装が施される。
【0021】
なお格子体2は、支柱1の適宜位置、図1では上方と下方の二箇所に取付けられた固定部材3によって支柱1の前面に取付けられている。図3は、図2において固定部材3付近を示す拡大図である。固定部材3は、本形態では、一方の端部に雄ねじ部31が形成され、もう一方の端部にJ字状のフック部32が形成された棒状体33である。支柱1には、この棒状体33を取付けるための透孔(図示せず)が取付位置に設けられており、棒状体33がこの透孔に挿通され、棒状体33のフック部に横線材22が係止され、支柱1の反対側の面より、雄ねじ部にナットNが螺合されることにより、格子体2が支柱1に固定される。かかる固定部材3は、一般には強度的に安定しておりコストの安い鋼材から作成されたものが好適に用いられるが、他の金属や合成樹脂を用いて形成してもよい。なお固定部材3は、図示しないが、格子体2の縦線材21を係止するものでもよく、また支柱1に巻き回されるバンド状の形態でもよい。
【0022】
固定部材3は、本形態では、上記のように、支柱1に対して上下段に計2個取付けられて格子体2を支柱1に固定しているが、この取付数や取付間隔は特に限定されるものではなく、格子体2の高さ寸法や横線材22の格子間隔等に応じて適宜設定することができる。
【0023】
図4〜5は、図1のフェンスPに用いられた本発明に係る連結部材4を示し、図4は格子体1同士を連結する前の連結部材4の一形態を示す説明図、図5は図4の連結部材4の開閉状態を示す説明図である。連結部材4は、前板5と背板6とを備え、接続部41を介して前記前板5の上端と背板6の上端とが接続されている。なお前板5と背板6との前後関係は、格子体2を連結した状態で手前に位置する方を前板5とし、後方に位置する方を背板6として、仮に名付けたものであって、背板6を手前に位置させ、前板5を後方に位置させてもよく、その前後関係は特に限定されるものではない。
【0024】
連結部材4は、一般にはステンレス合金からなる1枚の板材をプレス加工によって製作したものであるが、アルミニウム合金や鋼材等の他の金属製板材から製作してもよい。また接続部41は、本形態では、中央部が切り欠かれて左右の2個の帯状の接続片41aにより構成されている。これにより、接続部41を曲げ易くするなり、図5に示すような前板5と背板6との間の開閉が容易となり好ましいが、前記切り欠きを設けなくてもよく、あるいは切り欠き箇所を左右方向に並設して、前記接続片41aを3個以上設けた形態でもよい。
【0025】
図6〜9は、図1において連結部材4付近を図6はその説明図、図7において(a)は拡大正面図、(b)は拡大背面図、図8において(a)は拡大平面図、(b)は拡大底面図、図9は図7の側面図である。すなわち左右方向に隣接する格子体2の側端の縦線材21同士が前記連結部材4を介して連結され、連結部材4の前板5の中央部に設けられたボルト挿通孔51から背板6の中央部に設けられた雌ねじ孔61に向けて締結ボルトBが螺着され、前板5と背板6との間が閉じられて拡がらないように締結されている。前板5のボルト挿通孔51は、締結ボルトBが雌ねじ孔61に対して軸ずれしないように螺入できるように締結ボルトBのネジの外径より大径となされている。雌ねじ孔61は、本形態では背板6を加工して設けた形態である。尚、ボルト挿通孔51を背板6に設け、雌ねじ孔61を前板5に設けてもよい。ボルト挿通孔51及び雌ねじ孔61の位置は特に限定されるものではなく、格子体2の縦線材21や横線材22と干渉しない位置に設ければよい。更に本形態では、ボルト挿通孔51及び雌ねじ孔61の周りにリブ51a、リブ61aを設けて前板5及び背板6の剛性を高めている。
【0026】
そして隣り合う格子体2の側端同士を連結するには、連結部材4の前板5と背板6との間がく字状に開いた状態で、連結される両格子体2の前記縦線材21を接続部41の左右両側にそれぞれ配置し、次いで前記接続部41を折り曲げて、前板5と背板6との間を閉じて、すなわち前板5と背板6とをほぼ平行にするか、更に折り曲げて側面視嘴状にするかして、前板5と背板6との間に前記縦線材21を位置させるようにすればよい。
なお、前板5には両側端が後方に折曲されて前側壁52が設けられ、背板6には両側端が前方に折曲されて後側壁62が設けられ、そして前板5の両側端の前側壁52の先端の一部が、対向する背板6の両側端の後側壁62の外側に被さるように配置されることにより、側面視において前側壁52の一部が後側壁62に重合している。これにより、閉じた状態の前板5と背板6との間に位置させた前記縦線材21は、連結部材4に対して左右方向及び前後方向への移動が阻止される。
【0027】
加えて、両前側壁52の下部には先端から基端に向けて側面視矩形状の切欠部53が設けられ、またこの前側壁52の切欠部53に対向して、前記両後側壁62にもその下部に先端からに向けて側面視矩形状の切欠部63が設けられており、連結部材4の内側から前記切欠部63及び切欠部53により形成される側面視横長矩形状の開口を通って連結部材4の外側に通じる通過部42が形成されている。前記通過部42の上方及び下方では、側面視において前側壁52の一部が後側壁62に重合した重合部43が設けられている。すなわち、連結される格子体2の側端の縦線材21が前板5と背板6との間に位置された状態で、前板5と背板6との間を閉じると、この縦線材21と交差部23を構成する下方の横線材22が通過部42にそれぞれ配置されるようになされている。これにより、前記横線材22は、重合部43によって前後方向の移動が阻止され、格子体2の交差部23を連結部材4の内側から出ないように支持することができる。
【0028】
前記横線材22を配置する横方向の開口を形成する切欠部53,切欠部63の形状は本形態のような矩形状に限定されるものではないが、切欠部53,切欠部63の底部が前板5,背板6の裏面まで達するようにすれば、すなわち前側壁52及び後側壁62の基端まで切欠部53,切欠部63を形成するようにすれば、前板5と背板6との間が閉じた状態であっても、横線材22と切欠部53,切欠部63とは前後方向には干渉しないので、締結ボルトBによる締結の偏り等の不具合が起こりにくい。
【0029】
更に、前板5の下端部には、連結する縦線材21が上下に通過可能な隙間S1を左右残して後方に向けて延びる前底壁54が設けられている。これにより、前板5の剛性を高められると共に、格子体2に対して下方に引っ張る荷重等が生じても左右の横線材22は、前底壁54に係止されて連結部材4の外側には抜け出しにくくなる。なお縦線材21が後方に配置された場合も想定して、本形態では、背板6の下端部には、格子体2の縦線材21が通過可能な隙間S2を左右に残して前方に向けて延びる後底壁64が設けられている。また本形態では、前側壁52の両切欠部53の下縁と前底壁54の上面の高さを合わせ、後側壁62の両切欠部63の下縁と後底壁64の上面の高さを合わせているので、前記横線材22に下方に向けて荷重が生じた際、切欠部53と前底壁54、切欠部63と後底壁64とによって協働して横線材22を支えることができるので更に好ましい。
【0030】
ここで、連結部材4を用いて格子体2同士を連結する具体的な連結手段の一形態を図10〜12と共に説明する。まず、図10に示すように、連結部材4の前板5と背板6との間がく字状に開いた状態として、この連結部材4の左右に連結する格子体2をそれぞれ配置し、該格子体2の側端の縦線材21を連結部材4の前側壁52と後側壁62との間を通して、連結部材4の接続部41の左右両側に配置すると共に、前板5と背板6との間に位置させる。
【0031】
なお前側壁52と後側壁62の上部の角部が斜めに切り欠かれて、前傾斜部55及び後傾斜部65が設けられている。これにより、縦線材21を前側壁52と後側壁62との間を通すときに、前板5と背板6との間の開き角度をそれほど開かなくても、前傾斜部55及び後傾斜部65との隙間S3から縦線材21を通すことができる。前傾斜部55及び後傾斜部65の切り欠き角度は特に限定されるものではないが、前傾斜部55と後傾斜部65との端縁が略平行となるまで前板5と背板6との間を開いた時に、隙間S3の離間距離が縦線材21の外径Rより長くなるようにして、縦線材21を隙間S3に通すことができるようにすればよい。すなわち連結部材4を製作する際、前板5と背板6との開き角度は製作しやすい角度とすればよく、連結部材4の使用時に前記開き角度を前傾斜部55と後傾斜部65との端縁が略平行となるように変更すればよいので、施工時に前記交差角度を必要以上に大きくする必要はなく、施工性を高めることができる。
【0032】
図12は、図11の平面図である。連結される格子体2の側端の縦線材21が前板5と背板6との間に位置された状態で、この縦線材21と交差部23を構成する下方の横線材22は、その端部22aが接続部41の側端部よりも連結部材4の中央寄りに位置している。これにより、図11に示すように、連結する両格子体2の縦線材21を連結部材4の前板5と背板6との間に位置させれば、連結部材4がその位置から落下しても、横線材22が接続部41に引っ掛かってその下には落下せず、連結部材4を仮止めすることができる。また、本形態では、格子体2の縦線材21は横線材22より前方の前板5側に配置されており、加えて前板5は背板6よりも形状の関係、すなわち前板5の前側壁52が背板6の後壁板62よりも重合する分だけ高さが高い等から若干重量が重いので、横線材22が接続部41に引っ掛かった際に、図示していないが、前板5は垂直に向くように立ち上あがる。これにより、前板5と背板6との間に配置された縦線材21は、前板5の前側壁52により、外側への移動が阻止されるので、連結部材4を更に確実に仮止めすることができる。したがって、仮止めの後でも、前板5と背板6との交差角度を変更していない初期の状態で連結部材4を取り外すことができるので、連結部材4の取付位置の変更等が容易であり、また接続部41に負荷を掛けなくてもよいので、接続部41の強度低下や破断等の不具合が起こりにくくなる。
【0033】
そして図6〜9に示すように、格子体2の横線材22が連結部材4の通過部42を通るように、接続部41を折り曲げて前板5と背板6との間を閉じ、次いで連結部材4の前板5のボルト挿通孔51から背板6の雌ねじ孔61に向けて締結ボルトBを螺着し、そして前板5及び背板6の内面が前記交差部23に当接する程度まで前記締結ボルトBを締め付けて、連結部材4と左右の格子体2とを固定すれば、連結作業は終了する。前板5と背板6とは、接続部41を介して一体に製作されているので、前板5と背板6とが別体の従来の金具に比べて、前板5と背板6とが前後方向や左右方向にずれにくく、設置後も締結ボルトBの緩みや、その緩みによる格子体2の位置ずれやばたつきが起こりにくくなる。
【0034】
本形態では、図1に示すように、左右の格子体2の上中下段で連結部材4を用いているが、格子体2の高さ寸法や格子体2の横線材2の格子間隔に合わせて連結部材4の取付位置や取付数を適宜変更してもよい。
【0035】
本発明に係るフェンスPは、連結部材4を介して左右の格子体2を容易に連結することができるので、フェンスPの施工性を高めることが可能となり、更に格子体を左右方向に連結した既存のフェンスにおいても、格子体同士の連結に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 支柱
11 キャップ
2 格子体
21 縦線材
22 横線材
22a 端部
23 交差部
3 固定部材
31 雄ねじ部
32 フック部
33 棒状体
4 連結部材
41 接続部
41a 接続片
42 通過部
43 先端
5 前板
51 ボルト挿通孔
51a リブ
52 前側壁
53 切欠部
54 前底壁
55 前傾斜部
6 背板
61 雌ねじ孔
61a リブ
62 後側壁
63 切欠部
64 後底壁
65 後傾斜部
B 締結ボルト
N ナット
P フェンス
R 外径
S1 隙間
S2 隙間
S3 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体を複数連続的に設置するに際して、隣り合う格子体の側端同士を連結するための連結部材であって、前記連結部材は、両側端が後方に折曲されて前側壁が設けられた前板と、両側端が前方に折曲されて後側壁が設けられた背板と、前記前板と前記背板との上端同士を接続する接続部とを備え、且つ前記接続部を折り曲げ部にして、前板と背板との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体の側端同士を連結する際は、前記接続部の左右両側に隣り合う格子体の側端の縦線材をそれぞれ配置させると共に、前板と背板との間を閉じて、前記縦線材を前板と背板との間に位置させるようにすることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
前記前板の前側壁と前記背板の後側壁の側端は、それぞれその上部が斜めに切り欠かれ、下方に向かうほど徐々に幅広となされた傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
前記両前側壁はその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられると共に、前記前側壁の切欠部に対向して前記両後側壁にもその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられ、前板と背板との間が閉じられた時に、前記前側壁の切欠部と前記後側壁の切欠部とにより形成される開口を通って、前板と背板との間から、外側に通じる通過部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連結部材。
【請求項4】
設置面に間隔をおいて立設された支柱の間に、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体が複数連続的に設置され、隣り合う格子体の側端同士が前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結部材を介して連結されていることを特徴とするフェンス。
【請求項1】
多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体を複数連続的に設置するに際して、隣り合う格子体の側端同士を連結するための連結部材であって、前記連結部材は、両側端が後方に折曲されて前側壁が設けられた前板と、両側端が前方に折曲されて後側壁が設けられた背板と、前記前板と前記背板との上端同士を接続する接続部とを備え、且つ前記接続部を折り曲げ部にして、前板と背板との間が開閉可能となされ、そして隣り合う格子体の側端同士を連結する際は、前記接続部の左右両側に隣り合う格子体の側端の縦線材をそれぞれ配置させると共に、前板と背板との間を閉じて、前記縦線材を前板と背板との間に位置させるようにすることを特徴とする連結部材。
【請求項2】
前記前板の前側壁と前記背板の後側壁の側端は、それぞれその上部が斜めに切り欠かれ、下方に向かうほど徐々に幅広となされた傾斜部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
前記両前側壁はその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられると共に、前記前側壁の切欠部に対向して前記両後側壁にもその下部に先端から基端に向けて切欠部が設けられ、前板と背板との間が閉じられた時に、前記前側壁の切欠部と前記後側壁の切欠部とにより形成される開口を通って、前板と背板との間から、外側に通じる通過部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連結部材。
【請求項4】
設置面に間隔をおいて立設された支柱の間に、多数の縦線材と横線材とが格子状に接合された格子体が複数連続的に設置され、隣り合う格子体の側端同士が前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の連結部材を介して連結されていることを特徴とするフェンス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−188890(P2012−188890A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54936(P2011−54936)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】
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