説明

遠赤外線利用の穀物乾燥機

【課題】 遠赤外線穀物乾燥機において、燃焼装置の点火装置や各センサの故障によって、遠赤外線放射体内に未燃焼燃料が滞留した場合に、その燃料を速やかに回収し、最点火後の遠赤外線放射体内の過剰な燃焼を防止する。
【解決手段】 遠赤外線放射体の燃焼装置(バーナ)方向の底面に遠赤外線放射体の内面と段差が発生しない位置に孔を設け、その孔から未燃焼燃料が機外に排出されると共に、回収経路によって回収容器に未燃焼燃料を回収する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器の燃焼によって遠赤外線を遠赤外線放射体から穀物に照射して穀物を乾燥する遠赤外線利用の穀物乾燥機において、遠赤外線放射体内の未燃焼燃料の回収経路を備えた遠赤外線利用の穀物乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠赤外線を利用した穀物乾燥機は例えば、通風乾燥部に遠赤外線を配設して穀物に遠赤外線を照射する穀物乾燥機は、特開昭61−195265号公報に、そして穀物取出し室に遠赤外線を配設して穀物取出し室に散流状に落下する穀物に遠赤外線を放射する穀物乾燥機は、特開平08−014745号公報に記載され、さらに遠赤外線放射体が公転しながら穀物取出し室内を落下する穀物に遠赤外線を照射する穀物乾燥機は、特開平10−082586公報に記載されている。なお、石油ストーブにおけるポット燃焼部の液体燃料を回収する回収管と回収タンクを接続した文献は、特開平07−063327号公報に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−195265号公報
【特許文献2】特開平08−014745号公報
【特許文献3】特開平10−082586号公報
【特許文献4】特開平07−063327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穀物を設定の水分値まで乾燥する穀物乾燥機において、遠赤外線を利用した遠赤外線穀物乾燥機の乾燥速度の速さ、燃料消費の低減、そして食味の向上等の評価から、近年の大幅に遠赤外線を利用した穀物乾燥機が普及に至っている。現行の遠赤外線乾燥機においては、遠赤外線放射体内での灯油を燃料としたバーナの燃焼で、遠赤外線放射体を加熱して遠赤外線を放射する構成を利用しているものが大半を占めている。
【0005】
前記の遠赤外線穀物乾燥機の灯油を燃料としたバーナでは、安全装置として炎感知センサや温度検知センサを設置して、設定燃焼量を安全に燃焼させ、乾燥に必要な遠赤外線量と温風を穀物に供給するように構成されているが、時としてバーナの点火装置が故障したり、場合によっては炎感知センサや温度検知センサの故障をきたす場合が発生することもある。
【0006】
点火装置が故障した場合、点火動作によって点火装置の動作と燃料の供給を開始するが、点火装置が故障しているため点火することも無く、炎感知センサや温度検知センサが不着火を確認するまでの間、燃料の供給が行われている。そしてこの点火動作が自動的に数回繰り返され、それでも不着火が検出された場合に、エラー表示を行い自動的に停止する。そして場合によっては乾燥作業者の再度の点火動作が行われることにより、遠赤外線放射体内に燃焼燃料(灯油)が供給されその底面を覆うほどの液量が溜まる場合が発生する。
【0007】
また、炎感知センサや温度検知センサが故障している場合においても、何らかの原因によって消火してしまったバーナの消火を検知できないため燃焼燃料(灯油)をバーナの消火後も供給するため、遠赤外線放射体内にその燃料が溜まる現象が発生してしまうものである。
【0008】
上記の点火装置、炎感知センサや温度検知センサの不具合を解消して再度点火動作を行った場合、遠赤外線放射体内に滞留した未燃焼燃料は、故障箇所修理後に再度点火されたバーナの燃焼によってしだいに暖められガス化することで未燃焼燃料が一気に燃焼を開始する事となるので、滞留した未燃焼燃料の量によっては、設定燃焼量をはるかに超えた燃焼が行われ、遠赤外線放射体の異常な温度上昇を招き、乾燥する穀物の品質の低下や、遠赤外線放射体の排気口から炎が排出して、火災につながる恐れが懸念されていた。
【0009】
そこで、本発明では点火装置や各種の燃焼を感知するセンサ(炎感知センサ・温度検知センサ等)が故障し、遠赤外線放射体内に過剰な未燃焼燃料が供給された場合であっても、速やかにその未燃焼燃料を遠赤外線放射体内から排出して、故障箇所修理後の再点火を行った場合に、設定したバーナの燃焼による遠赤外線放射体の温度上昇と、遠赤外線発生量を規定値として安全に穀物の乾燥を行うことが出来る遠赤外線利用の穀物乾燥機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、請求項1ないし請求6に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機を提供する。即ち請求項1に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、穀物乾燥機の本体の上段に穀物貯留槽、中段に通風乾燥部、下段に穀物取出し室をそれぞれ設け、穀物貯留槽に貯留した穀物を通風乾燥部、穀物取出し室、穀物貯留槽の経路で循環流動させながら通風乾燥部で上方から下方に流下する穀物に燃焼器の燃焼によって遠赤外線を照射する遠赤外線放射体を設けた穀物乾燥機において、遠赤外線放射体には燃焼器方向の一端面に未燃焼燃料を遠赤外線放射体内から排出する孔と、その孔から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、穀物乾燥機の本体の上段に穀物貯留槽、中段に通風乾燥部、下段に穀物取出し室をそれぞれ設け、穀物貯留槽に貯留した穀物を通風乾燥部、穀物取出し室、穀物貯留槽の経路で循環流動させながら通風乾燥部で通風乾燥し、穀物取出し室内に通風乾燥部から穀物が散粒状ないし薄層状に流下する穀物に燃焼器の燃焼によって遠赤外線を照射する遠赤外線放射体を設けた穀物乾燥機において、遠赤外線放射体には燃焼器方向の一端面に未燃焼燃料が遠赤外線放射体内から排出される孔と、その孔から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、請求項1または請求項2記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機において、遠赤外線放射体は時間の経過に伴って流動する穀物に対向する面が転換されるように回転するよう構成し、遠赤外線放射体の燃焼器方向の一端面に未燃焼燃料が遠赤外線放射体内から排出される孔を円周上に複数設けると共に、その複数孔から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、請求項1、2ないし請求項3の何れかに記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機において、遠赤外線放射体は内筒と外筒の二重筒であって、燃焼器を内筒の中央に設置すると共に、内筒は燃焼する燃焼器方向の一端から他端の途中まで備えられ、燃焼器方向からその距離を増すと共にその径を小さくした先端が開放された円錐形であって、未燃焼燃料が燃焼器方向に流下し、燃焼器方向の一端面の孔から排出しやすく構成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、請求項1、2、3ないし請求項4の何れかに記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機であって、遠赤外線放射体は燃焼器方向の一端を低く、他端を高く配置して若干の傾斜をもって備えられ、未燃焼燃料が燃焼器方向に流下し、燃焼器方向の一端面の孔から排出しやすく構成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、請求項1、2、3、4ないし請求項5の何れかに記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機において、遠赤外線放射体から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路は、その末端を穀物乾燥機の燃料タンクへと接続し、再度遠赤外線放射体の燃焼器の燃料となるように、回収経路を配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機によれば、点火装置や各種の燃焼を感知するセンサ(炎感知センサ・温度検知センサ等)が故障し、遠赤外線放射体内に過剰な未燃焼燃料供給がなされた場合であっても、速やかにその未燃焼燃料を遠赤外線放射体内から排出して、故障箇所修理後の再点火を行った場合に、遠赤外線放射体内で未燃焼燃料による過剰の燃焼を防止して、遠赤外線放射体の異常高温と穀物の品質と、火災の発生を防止し、設定したバーナの燃焼による遠赤外線放射体の規定範囲の温度上昇と、遠赤外線発生量を規定内として安全に穀物の乾燥を行うことが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機の正面略図、図2は本発明に係わる遠赤外線利用の乾燥機の他例を示す内部斜視図、図3には本発明に係わる第一の実施を示す斜視図、図4は図3の第一の実施の側面断面図、図5には本発明に係わる第二の実施を示す斜視図、図6は図5の第二の実施の側面断面図、図7には本発明の第三の実施を示す側面断面図、図8には本発明の第四の実施を示す側面断面図、図9は本発明の第五の実施を示す側面断面図、図10は本発明の遠赤外線放射体の燃焼器方向の一端面の孔の形状をあらわす正面図、図11は図10の孔の他例を示した図である。
【0018】
図1に示すように、1は穀物乾燥機であって、上段より穀物貯留槽2、中段に通風乾燥部3、下段に穀物取出し室4を備え、穀物取出し室4から穀物貯留槽2に穀物を循環させるための搬送装置5を配置している。穀物貯留槽2の中央上端には上方スクリューコンベア6を備え、搬送装置5から送られる穀物を貯留槽の前後方向に対して略均一に穀物を落下させるようになっている。通風乾燥部3には熱風室7とその略中央に遠赤外線放射体8を配置し、左右を穀物が流通しないほどの径の多孔板で仕切られた通風層9を隔てて排風室10を配置し、排風室10には吸引送風機11を、そして通風層9の下方に繰出しロール12を備えている。遠赤外線放射体8の一端には灯油によって燃焼するバーナ14が配置され、他端となる排気口からはその燃焼空気は排気されるようになっている。穀物取出し室4には、繰出しロール12から排出される穀物を中央部分に集積するための傾斜板15と傾斜板15によって中央に集められた穀物を、前後のどちらかの一方へ収集する下方スクリューコンベア13を備えてその一端は搬送装置5と接続され、搬送装置5の上端は穀物貯留槽2の上方スクリューコンベア6の一端に接続されている。穀物取出し室4または搬送装置5には穀物張込用の投入ホッパーが接続されていると良い。
【0019】
穀物取出し室4または搬送装置5に設けられた穀物張込用の投入ホッパーから投入された穀物は、搬送装置5によって揚穀し、上方スクリューコンベア6によって穀物貯留槽2内に前後方向に渡って略均一に配穀される。穀物張込時には繰出しロール12が稼動していないため穀物は繰出しロール12付近から通風層9を充填し穀物貯留槽2の空間に至るまで貯留され、乾燥動作によって繰出しロール12が回転することによって、穀物は貯留槽から通風層9を経て繰出しロール12から排出、そして穀物取出し室4の傾斜板15によって中央に集穀され、下方スクリューコンベア13で搬送装置5に移送されて再度穀物貯留槽2に循環する工程を繰り返す。
【0020】
穀物が上方から下方にかけて流動する間に、通風乾燥部3に設けられた遠赤外線放射体8からバーナ14の燃焼によって発生する遠赤外線αが通風層9の左右の多孔板の穴から穀物に照射されると共に、遠赤外線放射体8の排風口から排出される燃焼風と外気が吸引送風機11の吸引作用によって熱風室7で混合した乾燥風Βが通風層9を通過することで、遠赤外線αで加熱し穀物の表面に水分を移行させた穀物から水分を除去し穀物を乾燥するものである。
【0021】
図2に示す穀物乾燥機26は、図1における穀物乾燥機1と同様に上方から穀物貯留槽2、通風乾燥部16、穀物取出し室17を段積にして形成されていて、穀物取出し室17と穀物貯留槽2は前後のどちらかが搬送装置5によって接続されている。
【0022】
穀物貯留槽2は図1の穀物乾燥機1と同様に上方スクリューコンベアがその天井に備えられている。通風乾燥部16にはその左右方向に、熱風室18と排風室19を配置し、それらの空間つながり、通風乾燥部16の左右方向にわたる熱風層20、乾燥層21、排風層22が前後方向に順次繰り返して配置されている。穀物取出し室17には繰出しロール23から排出される穀物を中央部分に集穀する流穀板24とその繰出しロール23と流穀板24の空間にはバーナ14を一端に備える遠赤外線放射体8が配置されている。さらに、遠赤外線放射体8の下方には下方スクリューコンベア13を備え、それを対象として、左右方向の空間の一方を熱風室18、他方を排風室19としてなり、熱風室18の上端空間は熱風層20に接続され、排風室19の上端空間は排風層22に接続されている。遠赤外線放射体8のバーナ14を設置しない他端は開放され燃焼風の排気口となり、バーナの燃焼風を排気すると共にその燃焼風は熱風室18に供給され外気と混合され、排風室19の吸引送風機25の吸引作用によって熱風層20から乾燥層21を経て排気層22から吸引送風機25に導かれ機外に排出される。
【0023】
図2における穀物乾燥機26は搬送装置5に穀物の投入ホッパーが備えられ、図1の穀物乾燥機1と同様に、繰出しロール23が稼動していない穀物張込時においては、穀物が繰出しロール23の上方から乾燥層21を充填し、穀物貯留槽2にいたる範囲に堆積し、乾燥運転開始と共に繰出しロール23が稼動することによって、穀物が繰出しロール23から流穀板24に落下し、流穀板24を流下して中央方向の下方スクリューコンベア13に達し、搬送装置5方向に集穀されて搬送装置5で揚穀され、再度穀物貯留槽2内に堆積して循環乾燥を継続する。
【0024】
バーナ14の燃焼によって遠赤赤外線放射体8から放射される遠赤外線は、繰出しロール23から排出され流穀板24までの空間を散粒状に落下し、流穀板24を流下する穀物に照射され穀物の温度を上昇させるものである。穀温が上昇した穀物は搬送装置5によって揚穀し、穀物貯留槽2から通風乾燥部16の乾燥層21を流下する間に乾燥風Βによってその水分を除去され、循環を繰り返すことによって穀物は乾燥される。
【0025】
遠赤外線放射体8の排気口から排出された燃焼風は、吸引送風機25の吸引作用によって熱風室18で外気と混合し、乾燥風Βとして熱風層20から乾燥層21に供給されるものである。
【0026】
本発明に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機は、その実施の形態を遠赤外線放射体8を通風乾燥部3に配置した図1の穀物乾燥機1や、穀物取出し室17に配置した図2の穀物乾燥機26について以下のように構成したものである。
【実施例1】
【0027】
図3及び図4には、本発明の第一の実施の形態を示したものである。遠赤外線放射体8のバーナ14方向の一端面(ドラフト面29)にはバーナ14を隣接して備えている。バーナ14はガンタイプと呼ばれる燃焼燃料を霧状に噴霧して燃焼させるタイプであって、その噴霧ノズルから放射体内に炎を放出するドラフト27が、遠赤外線放射体8のドラフト面29に開口しているドラフト口28に挿入されている。バーナ14は通風乾燥部3、16の側板30にバーナフランジ31が直接又はスペーサ32を介して取り付けられていて、遠赤外線放射体8の略中央になるように設置されている。孔34は遠赤外線放射体8のドラフト面29に、内面33と略段差が無く内面33の最低部に開口している。さらに孔34には回収経路35となる回収ホース36が接続され、回収ホース36の下端は回収容器37の上方若しくはその内部まで配置された構成となっている。
【0028】
乾燥動作の開始によって繰出しロール12、23が回転し、穀物が上方から下方に流下すると共に、バーナ14の燃焼が開始されるが、バーナ14の点火装置(図示せず)の故障によって燃焼開始動作を行っているにもかかわらず燃料の供給が続いているものの、点火されない状態が発生し、点火を確認する炎感知センサや温度検知センサによって不着火が確認されるまで燃焼燃料の供給が継続されており、点火装置の故障に気づかず乾燥開始動作を繰り返すことによって、多量の燃料がバーナ14の噴霧ノズルから放射体内に噴射され、遠赤放射体8の内面33の底面に未燃焼燃料として層を成して滞留することとなるが、ドラフト面29に設けられた孔34が内面33の最低面と高さを同じくして設けられているので、内面33に供給された未燃焼燃料は孔34から回収ホース36を通過し遠赤放射体8内から機外の回収容器37に排出される。遠赤外線放射体8内の未燃焼燃料は機外に排出されているので、点火装置の修理が完了し、再点火した場合においても設定した通常の燃焼がおこなわれるので、安定した遠赤外線放射体8の発熱温度、放射遠赤外線量そして、遠赤外線放射体8の排気口から炎を排出することが無く、安全と共に良好な遠赤外線を利用した穀物乾燥が可能となる。
【0029】
未燃焼燃料が遠赤外線放射体8内の滞留するもう一つの原因として、炎感知センサや温度検知センサの不具合によって、バーナ14が異常消化したにも係わらず、その確認が出来ないため燃焼燃料を継続して噴霧する場合があるので、このセンサ類の故障においても過剰に遠赤外線放射体8内に供給した燃料を回収することが出来る。
【0030】
なお、図に示す遠赤外線放射体8はその断面を円径としているが、その断面形状を四角又は三角形状であってもよく、それぞれの内面の最低部に孔が設けられ、遠赤外線放射体内の未燃焼燃料をいちはやく機外に排出するようになっているものである。
【実施例2】
【0031】
図5及び図6には、本発明の第二の実施の形態を示したものである。通風乾燥部3、16の側板30の外面に、フランジケース39を備え、断面が円形状である遠赤外線放射体8の外周面を取り囲む軸受け40がフランジケース39内に収まるように遠赤外線放射体を配置して、軸受け40によって遠赤外線放射体8が回転自在に取り付けられた構成を示したものである。
【0032】
遠赤外線放射体8の外周を取り囲む軸受け40はドラフト面29の裏面に近接して備えられると共に、図示をしてはいないが排気口方向にも設けられているものであって、しかも排気口方向の遠赤外線放射体8外面に穀物乾燥機のいずれかの動力(例えば繰出しロールの動力)を伝達して回転するように構成されている。バーナ14はスペーサ32に取り付けられ、ドラフト27部分を遠赤外線放射体8のドラフト口28内に挿入されている。ドラフト面29には、内面33と段差が極力無い部分に孔34が設けられていて、この孔34はドラフト口28の中心点を中心として円周上に複数設けられている。それぞれの孔34の配置角度は極力同一角度が良い。
【0033】
回収経路35の一部である38は燃料受容器であって、孔34から流れ出る液体(未燃焼燃料)が落下する位置に遠赤外線放射体8と接触しない距離を置いて、しかも複数の孔34の配置直径より大きい範囲で設けられているとともに、燃料受容器38の下端には回収燃料を導く回収ホース36とその下には回収容器37が設置されている。
【0034】
バーナ14の点火装置の故障や、炎感知センサ、温度検知センサの故障によって、余剰な燃焼燃料が遠赤外線放射体8内に噴霧され、放射体内の内面33上に滞留してしまうこととなる。遠赤外線放射体8は乾燥動作中には回転しているので、内面33上に滞留した未燃焼燃料は回転する孔34のいずれかから外部に排出され、回収経路35の燃料受容器38から回収ホース36を経由して回収容器37に溜まるようになっている。
【実施例3】
【0035】
図7は、本発明の第三の実施の形態を示したものである。図7は実施例1の構成に遠赤外線放射体8の内部に内筒41を備えた構成であって、この内筒41は遠赤外線放射体8の中端までの長さで設けられているものであって、バーナ14方向にあっては内面33と接触し、排気口に近くなるにしたがってその径を狭め、先端が開放された円錐形となっている。なおこの実施の形態は実施例2の構成においても可能である。
【0036】
バーナ14から燃焼されずに噴霧した未燃焼燃料は、遠赤外線放射体8内に設けられた内筒41上に落下付着すると共に、徐々にその付着量を増して内筒41の傾斜面をバーナ14設置方向に流下する。そしてドラフト面29に設けられた孔34を通過し、回収経路35の回収ホース36を経て回収容器37に達する。
【0037】
遠赤外線放射体8内に内筒41を備えた事によって、より早く遠赤外線放射体8内に滞留した未燃焼燃料を機外に排出して、早期の安定した点火を可能とするばかりか、穀物乾燥機1、26の設置面によっては、遠赤外線放射体8の排風口方向が低くなる可能性もあるためより安全に穀物乾燥機の乾燥動作が可能となるものである。
【実施例4】
【0038】
図8では、本発明の第四の実施の形態を示したものであって、前記実施例1、2及び3の実施の形態において、遠赤外線放射体8をバーナ14方向を低く、排気口方向を高くして若干の傾斜角(取付角度θ)をもって配置したものである。この構成によって、遠赤外線放射体8の内面33に噴霧された未燃焼燃料は、放射体の排気口方向からバーナ14方向に移動し、ドラフト面29の孔34から回収経路35の回収ホース36から回収容器37に回収され、より一層遠赤外線放射体8内の未燃焼燃料を効率よく回収できるものである。
【実施例5】
【0039】
図9には、本発明の第五の実施の形態を示したものであって、前記実施例1、2、3又は4の実施の形態において、回収経路35に燃料フィルタ42と逆流防止弁43を備え、再度燃料タンク44に未燃焼燃料を回収する形態を示している。孔34に直接つながれた回収ホース36又は、孔34から排出された未燃焼燃料を受ける燃料受容器38(図5)につながれた回収ホース36の中間若しくは下端に燃料フィルタ42を接続し、その末端を燃料タンク44の上方の空間につながれ、未燃焼燃料内に含まれるススやゴミを除去した後に再度燃焼燃料として使用できるようにするものである。図9の回収経路35では逆流防止弁43を設けた構成を示し、穀物乾燥機の吸引送風機の吸引作用で孔34から燃料タンク44からの逆流を防止するために設けられていると良い。
【0040】
図10又は図11は、孔34の穴形状を示したものであって、孔34の一部が内面33と段差無く開口していることが良好であると共に、内面33の円弧に接する接面45を設けた孔34であると良い。この接面45以外の孔34の形状は、図10のように円弧状であったり、図11の角形状であってもよく、さらに孔34が実施例2のように放射体が回転する場合においては、複数個の孔34をドラフト口28の中心点から円周上に、しかも同角度で設置することが良好である。
【0041】
本実施例において、孔34では、穀物乾燥機の吸引送風機11、25の吸引作用によって遠赤外線放射体8内においても若干ではあるが孔34から外気が吸引されるため、孔34から排出しようとする未燃焼燃料が効率的に排出できない場合がある。しかし遠赤外線放射体8内に未燃焼燃料が溜まってしまった故障の要因(点火装置、炎感知センサ、温度検知センサ等の故障)の修理作業中においては、穀物乾燥機は停止状態にあるため、この停止時に効率的に未燃焼燃料を回収経路から機外に排出するものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係わる遠赤外線利用の穀物乾燥機の正面略図である。
【図2】本発明に係わる遠赤外線利用の乾燥機の他例を示す内部斜視図である。
【図3】本発明に係わる第一の実施を示す斜視図である。
【図4】図3の第一の実施の側面断面図である。
【図5】本発明に係わる第二の実施を示す斜視図である。
【図6】図5の第二の実施の側面断面図である。
【図7】本発明の第三の実施を示す側面断面図である。
【図8】本発明の第四の実施を示す側面断面図である。
【図9】本発明の第五の実施を示す側面断面図である。
【図10】本発明の遠赤外線放射体の燃焼器方向の一端面の孔の形状をあらわす正面図である。
【図11】図10の孔の他例を示した図である。
【符号の説明】
【0043】
1 穀物乾燥機
2 穀物貯留槽
3 通風乾燥部
4 穀物取出し室
5 搬送装置
6 上方スクリューコンベア
7 熱風室
8 遠赤外線放射体
9 通風層
10 排風室
11 吸引送風機
12 繰出しロール
13 下方スクリューコンベア
14 バーナ
15 傾斜板
16 通風乾燥部
17 穀物取出し室
18 熱風室
19 排風室
20 熱風層
21 乾燥層
22 排風層
23 繰出しロール
24 流穀板
25 吸引送風機
26 穀物乾燥機
27 ドラフト
28 ドラフト口
29 ドラフト面
30 側板
31 バーナフランジ
32 スペーサ
33 内面
34 孔
35 回収経路
36 回収ホース
37 回収容器
38 燃料受容器
39 フランジケース
40 軸受け
41 内筒
42 燃料フィルタ
43 逆流防止弁
44 燃料タンク
45 接面
α 遠赤外線
Β 乾燥風
θ 取付角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物乾燥機の本体の上段に穀物貯留槽、中段に通風乾燥部、下段に穀物取出し室をそれぞれ設け、穀物貯留槽に貯留した穀物を通風乾燥部、穀物取出し室、穀物貯留槽の経路で循環流動させながら通風乾燥部で上方から下方に流下する穀物に燃焼器の燃焼によって遠赤外線を照射する遠赤外線放射体を設けた穀物乾燥機において、遠赤外線放射体には燃焼器方向の一端面に未燃焼燃料を遠赤外線放射体内から排出する孔と、その孔から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路を備えたことを特徴とする、遠赤外線利用の穀物乾燥機。
【請求項2】
穀物乾燥機の本体の上段に穀物貯留槽、中段に通風乾燥部、下段に穀物取出し室をそれぞれ設け、穀物貯留槽に貯留した穀物を通風乾燥部、穀物取出し室、穀物貯留槽の経路で循環流動させながら通風乾燥部で通風乾燥し、穀物取出し室内に通風乾燥部から穀物が散粒状ないし薄層状に流下する穀物に燃焼器の燃焼によって遠赤外線を照射する遠赤外線放射体を設けた穀物乾燥機において、遠赤外線放射体には燃焼器方向の一端面に未燃焼燃料が遠赤外線放射体内から排出される孔と、その孔から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路を備えたことを特徴とする、遠赤外線利用の穀物乾燥機。
【請求項3】
遠赤外線放射体は時間の経過に伴って流動する穀物に対向する面が転換されるように回転するよう構成し、遠赤外線放射体の燃焼器方向の一端面に未燃焼燃料が遠赤外線放射体内から排出される孔を円周上に複数設けると共に、その複数孔から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路を備えたことを特徴とする、請求項1または請求項2記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機。
【請求項4】
遠赤外線放射体は内筒と外筒の二重筒であって、燃焼器を内筒の中央に設置すると共に、内筒は燃焼する燃焼器方向の一端から他端の途中まで備えられ、燃焼器方向からその距離を増すと共にその径を小さくした先端が開放された円錐形であって、未燃焼燃料が燃焼器方向に流下し、燃焼器方向の一端面の孔から排出しやすく構成したことを特徴とする、請求項1、2ないし請求項3の何れかに記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機。
【請求項5】
遠赤外線放射体は燃焼器方向の一端を低く、他端を高く配置して若干の傾斜をもって備えられ、未燃焼燃料が燃焼器方向に流下し、燃焼器方向の一端面の孔から排出しやすく構成したことを特徴とする、請求項1、2、3ないし請求項4の何れかに記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機。
【請求項6】
遠赤外線放射体から排出される未燃焼燃料を回収する回収経路は、その末端を穀物乾燥機の燃料タンクへと接続し、再度遠赤外線放射体の燃焼器の燃料となるように、回収経路を配置したことを特徴とする、請求項1、2、3、4ないし請求項5の何れかに記載の遠赤外線利用の穀物乾燥機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−198686(P2007−198686A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18880(P2006−18880)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】