部品保持具、及び配設方法
【課題】プレート等の部材の前面側からの簡単な作業で、プレート等の部材の背面側に、ナット等の部品を簡単に配設できる技術を提供することである。
【解決手段】部品を保持する保持具であって、前記保持具は、前記部品が保持される保持部と、前記保持部よりも前方側に突出した凸部と、該保持具を被取付部材に付勢する付勢部材とを具備してなる部品保持具。
【解決手段】部品を保持する保持具であって、前記保持具は、前記部品が保持される保持部と、前記保持部よりも前方側に突出した凸部と、該保持具を被取付部材に付勢する付勢部材とを具備してなる部品保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナット等の部品の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の工事に際して、プレート背面側に配設されたナットにプレート前面側からボルトを捩じ込まなければならない場合が縷々有る。このような場合、プレートに予めナットが取り付けられてなければ、後から、背面側にナットを配設しなければならない。
【0003】
しかしながら、プレート前面側からプレート背面側に手を差し伸べてナット等の部品を背面側に取り付けることが出来ない場合も有る。このようなことに鑑み、プレート前面側からプレートに設けられた開口にナット装置を差込み、これを、例えば90°回転(差込方向(挿入方向)を軸芯として、例えば時計方向に90°回転)させて掛止させるようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平5−29791号公報
【特許文献2】実開平7−34019号公報
【特許文献3】意匠第1082686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記提案のものでは、ナットを開口から差し込んだ後で90°回転させるものであるが故に、その作業性が悪い。特に、ナット等の部品の如くに小さなものである場合、これを開口から差込み、該部品の少しだけ突出した手前側部分を持って90°回転させると言った作業性は非常に悪い。すなわち、回転させる為に手にすることが出来る部分は手前側に僅かに突出した部分であるから、この僅かに突出した箇所を把持して回転(回動)させる作業は簡単では無い。場合によっては、背面側に落としてしまう恐れすら有る。更には、例えばナットの位置ズレも起き易い。又、回転させることで掛止させるものであるが故に、どうしても、大きな隙間が生じる。又、特殊な形状のナットを用いるので、一般的な六角ナットなどに比べ高価となる。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、プレート等の部材の前面側からの極めて簡単な作業で、例えば押し込むと言った簡単な作業で、プレート等の部材の背面側に、ナット等の部品を簡単に、しかも、位置ズレが起きることも無く、しっかり取り付けることが出来、更には隙間も大きくないものが出来る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、
部品を被配設部材に配設するに際して用いられる部品を保持する保持具であって、
前記保持具は、
前記部品が保持される保持部と、
前記保持部よりも前方側に突出した凸部と、
該保持具を被配設部材に付勢する付勢部材
とを具備してなることを特徴とする部品保持具によって解決される。
【0008】
又、上記部品保持具であって、好ましくは、上記部品保持具は、例えば左側面部と、後面部と、右側面部とを具備した断面略コ字形に構成されたものであり、部品保持部は、前記左側面部と前記後面部と前記右側面部とで囲まれる空間で構成されてなり、凸部は、前記左側面部および前記右側面部の少なくとも一方の前端側が、前記部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出して構成されてなることを特徴とする部品保持具によって解決される。
【0009】
又、上記部品保持具であって、好ましくは、上記部品保持具の付勢部材は、例えばアームを具備したものであり、このアームが被配設部材の前面に弾接することで、部品を保持した部品保持具が被配設部材の後方側から被配設部材に付勢されるよう構成されてなることを特徴とする部品保持具によって解決される。
【0010】
上記部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は、好ましくは、開口を有する部材である。そして、保持部に部品が保持された部品保持具は、例えば、その横転状態で、この開口の前方側から後方側に挿入可能に構成される。例えば、(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具が構成される。すなわち、斯かる構造(形状)に構成させたならば、開口を介して、保持部に部品が保持された部品保持具を横転状態にて前方側から後方側に挿入できる。
【0011】
保持部に部品が保持された部品保持具を、横転状態にさせずとも、開口を介して、前方側から後方側に挿入できるようにすることも可能である。その為には、開口の形状を次のような形状(構造)にする。すなわち、開口を、例えば第1の開口と、この第1の開口に繋がった第2の開口とで構成する。第1の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と略同じ姿勢で以って、第1の開口の前方側から後方側に挿入可能に構成される。第2の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と同じ姿勢で以っては、第2の開口の前方側から後方側に挿入不可能に構成される。そして、第1の開口の前方側から後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が、第2の開口側に移動可能なように構成される。前記構成は、例えば、第1の開口は、その正面視における形状が、保持部に部品が保持された部品保持具(但し、付勢部材を除く。)の正面視における形状以上の大きな形状のものである。ここで、以上の大きな形状とは、保持部に部品が保持された部品保持具を第1の開口から挿通できる程度のものであれば十分である。これに対して、第2の開口は、第1の開口の前方側から被配設部材の後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が第2の開口側にスライドさせられた場合、保持部に部品が保持された部品保持具を後方側から被配設部材の前方側に抜き取ることが出来ない形状のものである。
【0012】
上記部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は、好ましくは、開口を有する部材である。そして、好ましくは、前記部品保持具の凸部が前記開口に掛止するよう構成されてなる。かつ、前記開口に掛止した凸部と付勢部材との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成される。特に好ましくは、前記開口に掛止した凸部と、付勢部材と、保持部に保持された部品との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成される。
【0013】
部品保持具で保持される部品がナットの場合、ナットの螺子孔に対応して部品保持具には孔が構成されていることが好ましい。
【0014】
又、前記の課題は、
ナットを保持させた保持具を用いて、開口を有する被配設部材に配設するナットの配設方法であって、
前記開口の縦の長さは、前記ナットの高さよりも長く、前記ナットの幅よりも狭い長さで、前記開口の横の長さが、前記保持具の最も長い部分より長い開口であり、
前記被配接部材の前面側に前記保持具が備える付勢部材を接触させ、前記開口に前記ナットの高さ面を向かい合う向きで前記保持具を前記開口に挿入し、挿入途中で前記ナットの座面が前記開口に向かい合う向きになるように回転させることで、前記保持具の備える凸部が前記開口に嵌って、前記ナットの座面が前記被配接部材の後面側に接するように配設させる
ことを特徴とする配設方法によって解決される。
【0015】
又、上記の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、前記部品保持具に保持されたナットを横転状態で前記開口の前面側から後面側に挿入し、挿入後に前記ナットが前記被配設部材の後面に沿って配されるよう前記ナットの姿勢制御を行なう
ことを特徴とする配設方法によって解決される。
【0016】
又、上記の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記部品保持具に保持されたナットを前記第1の開口の前面側から後面側に挿入し、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、この後で前記ナットを前記第2の開口の位置にスライドさせる
ことを特徴とする配設方法によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
上記部品保持具(取付具)が用いられたならば、例えば開口を有するプレート等の被配設部材の前面側からの簡単な作業で、被配設部材の背面側に、ナット等の部品を、簡単に、配設できる。特に、バネ等の弾接部材(付勢部材)を用いているので、部品保持具が位置ズレすることなく、しっかりと、取り付けられる。そして、部品が保持される保持部の形状を変更することで対応できるから、汎用性が高い。尚、部品がナットの場合には、ナットを保持する保持部の形状をナットが供回りしないような形状とすれば、保持具の凸部が被配接部材の開口に掛止されて被配接部材に接しているので、ナットを介して保持具に伝わる供回りの回転運動を抑止することが出来、ボルト接合時のナットの供回りが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明になる部品保持具の斜視図
【図2】本発明になる部品保持具の部品保持部に部品が保持された状態での部品保持具の斜視図
【図3】図2の部品保持具を被配設部材に配設する第1段階での斜視図
【図4】図2の部品保持具を被配設部材に配設する第2段階での斜視図
【図5】図2の部品保持具を被配設部材に配設する最終段階での平面図
【図6】図2の部品保持具を他の構造の被配設部材に配設する第1段階での正面図
【図7】図2の部品保持具を他の構造の被配設部材に配設する第1段階での平面図
【図8】図2の部品保持具を他の構造の被配設部材に配設する最終段階での正面図
【図9】本発明の第3実施形態になる部品保持具の斜視図
【図10】本発明の第4実施形態になる部品保持具の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、例えばナット等の各種の部品を被配設部材に配設するに際して用いられる部品を保持する部品保持具である。被配設部材に配設されると言う観点から、部品保持具は部品取付具であるとも言える。被配設部材は、特に、開口を有するものである。この開口を介して、部品(例えば、ナット)が保持された部品保持具を、被配設部材の前面側から背面側に挿通し、挿通後に部品保持具が被配設部材に取り付けられるように構成されたものである。本発明の部品保持具は、部品が保持される保持部を有する。かつ、前記保持部よりも前方側に突出した凸部を有する。更には、保持具を被配設部材に付勢する付勢部材を有する。
【0020】
前記保持具は、例えば断面略コ字形に構成されている。すなわち、左側面部と、後面部と、右側面部とを具備する。斯くの如くに構成させたならば、部品保持部は、前記左側面部と前記後面部と前記右側面部とで囲まれる空間で構成される。そして、保持部よりも前方側に突出した凸部は、前記左側面部の前端側を、部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出させることで構成される。或は、前記右側面部の前端側を、部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出させることで構成される。又は、前記左側面部の前端側および前記右側面部の前端側を、部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出させることで構成される。
【0021】
前記付勢部材は、例えば弾撥性を有するプラスチック材あるいは金属材を用いて構成される。この部材はアームを有する。すなわち、弾撥性を有するアームを具備している。このアームが被配設部材の前面に弾接することで、部品を保持した部品保持具が被配設部材の後方側から被配設部材に付勢されるようになっている。尚、アームが被配設部材の前面に弾接すると言うことは、アームは部品保持具の前方側に位置しているように設けられている。但し、必ずしも、前記凸部よりも前面側に突出している必要は無い。そして、被配設部材の開口から部品保持具を被配設部材の前面側より背面側に挿通する場合、前記開口よりも上下(上及び/又は下)方向に延在している前記アームが被配設部材の前面に引っ掛かるようになることから、部品保持具が被配設部材の背面側に誤って落下してしまうと言った不手際が改善される。
【0022】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は、上述の如く、特に、開口を有する。そして、保持部に部品が保持された部品保持具は、これを横転状態(取付時の状態を正面図とした場合、上面側(或は、下面側)を後背側に90°以内の角度で倒した状態)にしたならば、前記開口の前方側から後方側に挿入可能に構成されている。すなわち、保持部に部品が保持された部品保持具の大きさと、開口の大きさとが、上述の如くに構成されている。例えば、(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具が構成されている。すなわち、(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具や開口を構成しておけば、横転状態にした部品保持具を、開口の前方側から後方側に挿入できる。
【0023】
開口を、下記の如くに構成させたならば、部品保持具を横転させなくても、開口の前方側から後方側に挿入できる。すなわち、開口を、第1の開口と、該第1の開口に繋がった第2の開口とで構成させる。そして、第1の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と略同じ姿勢で以って、該第1の開口の前方側から後方側に挿入可能に構成させる。例えば、第1の開口の正面視における形状が、保持部に部品が保持された部品保持具(但し、付勢部材を除く。)の正面視における形状以上の大きな形状のものとする。尚、大きな形状と謂えども、必要以上に大きくすると、隙間が大きなものとなってしまうから、両者間の寸法差は5mm以内のものとしておくことが好ましい。すなわち、第1の開口に寸法差が5mmともなるような大きな開口は要らない。これに対して、第2の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具を、被配設部材に対して配設される姿勢と同じ姿勢で以っては、第2の開口の前方側から後方側に挿入不可能に構成される。そして、第1の開口の前方側から後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具を、第2の開口側に移動可能に構成する。例えば、第1の開口の前方側から被配設部材の後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具を第2の開口側にスライドさせることが出来、そしてスライドした場合、保持部に部品が保持された部品保持具を後方側から被配設部材の前方側に抜き取ることが出来ない形状に構成しておく。尚、このスライドの場合でも、作業は容易である。
【0024】
部品保持具の凸部は、好ましくは、開口(開口縁)に掛止するよう構成されている。そして、開口に掛止した凸部と付勢部材との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されている。特に、開口に掛止した凸部と、付勢部材と、保持部に保持された部品との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されている。
【0025】
他の本発明はナットの配設方法である。すなわち、ナットを保持させた保持具を用いて、開口を有する被配設部材に配設するナットの配設方法である。この発明は、前記開口の縦の長さが、前記ナットの高さよりも長く、前記ナットの幅よりも狭い長さで、前記開口の横の長さが、前記保持具の最も長い部分より長い開口である。そして、前記被配接部材の前面側に前記保持具が備える付勢部材を接触させ、前記開口に前記ナットの高さ面を向かい合う向きで前記保持具を前記開口に挿入し、挿入途中で前記ナットの座面が前記開口に向かい合う向きになるように回転させることで、前記保持具の備える凸部が前記開口に嵌って、前記ナットの座面が前記被配接部材の後面側に接するように配設させる方法である。例えば、上記の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法である。そして、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、前記部品保持具に保持されたナットを横転状態で前記開口の前面側から後面側に挿入し、挿入後に前記ナットが前記被配設部材の後面に沿って配されるよう前記ナットの姿勢制御を行なう方法である。或は、前記部品保持具に保持されたナットを前記第1の開口の前面側から後面側に挿入し、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、この後で前記ナットを前記第2の開口の位置にスライドさせる方法である。
【0026】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0027】
図1〜図5は、本発明の第1実施形態を説明するものである。図1は、部品保持具の斜視図である。図2は、部品保持部に部品が保持された状態での部品保持具の斜視図である。図3は、部品が保持された部品保持具(図2参照)を被配設部材に配設する第1段階での斜視図である。図4は、部品が保持された部品保持具(図2参照)を被配設部材に配設する第2段階での斜視図である。図5は、部品が保持された部品保持具(図2参照)を被配設部材に配設した最終段階での平面図である。
【0028】
各図中、1は部品保持具である。部品保持具1の本体は、左側面部2と、後面部3と、右側面部4とを有する。左側面部2と後面部3と右側面部4とは、一体化していて、断面略コ字形(略U字形)に構成されている。例えば、樹脂を用いた成型により一体構成されたものである。勿論、各々別々の部材が接着やネジ等により結合されたものでも良い。コスト面から鑑みたならば、一体成型により構成されたものが好ましい。そして、左側面部2と後面部3と右側面部4とで囲まれる空間が、部品保持部5となる。尚、左側面部2と後面部3と右側面部4とで囲まれる空間、即ち、部品保持部5の内空間は、保持しようとする部品の外形を考慮して構成される。部品6が、例えば六角ナットであれば、部品(六角ナット)6の外形に応じて、左側面部2や右側面部4の内形が、断面略く字形状に構成されている。従って、断面略く字形状部に六角ナット6を嵌合させると、六角ナット6は、空回りすること無く、リジッドに保持される。
【0029】
図2からも判る通り、左側面部2や右側面部4は、その前端が、部品保持部5に保持(嵌合)させた部品(六角ナット)6の前端よりも飛び出しているように構成されている。この飛び出している部分が、部品保持部5よりも前方側に突出した凸部7,8である。従って、部品保持部5に保持(嵌合)させた部品(六角ナット)6は、部品保持具1の前端面よりも後方側に凹んだ如きになっている。
【0030】
9,10は、コイルバネである。このコイルバネ9,10の中央環状部が左側面部2や右側面部4に設けられた軸(図示せず)に遊嵌されることで、コイルバネ9,10は部品保持具1に取り付けられている。尚、9a,9bはコイルバネ9の先端側アーム部、10a,10bはコイルバネ10の先端側アーム部である。そして、コイルバネ9,10の上下方向の長さは、後述の開口13の上下方向の長さ(d)よりも長いように構成されている。
【0031】
11は、後面部3に形成された孔である。すなわち、部品保持部5に保持(嵌合)された部品6が六角ナットである場合、この六角ナットにボルトが捩じ込まれて来た場合、ボルト先端が後面部3に衝突しないようにする為、後面部3には孔11が形成されている。
【0032】
12は、部品保持具1で保持された部品が配設される(取り付けられる:掛止される)被配設部材である。尚、被配設部材12の形状は、特別には限定されないが、理解を容易なものとする為、以下では、単に、プレート(板体)であるとしておく。13は、被配設部材(プレート)12に形成されている開口である。尚、開口13の形状は、特別には限定されないが、理解を容易なものとする為、以下では、単に、矩形であるとしておく。すなわち、開口13の形状は、c×dの大きさの矩形である。尚、寸法cは、部品保持具1の左右方向の寸法aより多少長い。これは、理論的にはc=aでも良いが、現実的には、寸法の変動などを考慮して、かつ、部品保持具1を開口13から挿入する作業をスムーズなものとする為、c=a+数mm(例えば、1mm程度)であるよう構成されている。例えば、a<c≦a+3mmのように構成されている。寸法dは、部品保持具1の前後方向の寸法bより多少長い。これは、理論的にはd=bでも良いが、現実的には、寸法の変動などを考慮して、かつ、部品保持具1を開口13から挿入する作業をスムーズなものとする為、d=b+数mm(例えば、1mm程度)であるよう構成されている。例えば、b<d≦b+3mmのように構成されている。
【0033】
上記のように構成させた部品保持具1を、開口13を有する被配設部材12に、取り付ける作業工程について説明する。
【0034】
先ず、第1段階として、部品(六角ナット)6を部品保持部5に保持(嵌合)させる(図2参照)。
【0035】
次に、部品6が保持されている部品保持具1を横転(上側を後背側に倒す)させる。そして、アーム部9a,10aの先端を被配設部材12の表面(前面)に当てる。この状態(横転状態)の部品保持具1の後面部3の背面(裏面)を開口13の下端縁に載せる。かつ、部品保持具1の左側面部2および右側面部4の前端面(凸部7,8の前面)が開口13の上端縁に掛かるようにする(図3参照)。
【0036】
この後、開口13の前方側から、部品保持具1を、開口13の後方側に押し込む(図4参照)。
【0037】
そして、部品保持具1の下端側を押圧することにより、図5に示される如くになる。すなわち、部品6が保持されている部品保持具1が被配設部材12に対して配設される。この状態にあっては、部品保持具1(部品保持具1に保持されている部品6)は、コイルバネ9,10によって、被配設部材12に、掛止・弾接されている。そして、上下方向においては、部品保持具1の左側面部2および右側面部4(凸部7,8)が開口13に掛止している。従って、部品保持具1は被配設部材12に対して取り付けられたことになるから、部品保持具1で保持されている部品6も被配設部材12に対して取り付けられたことになる。そして、被配設部材12の後方側に手を差し伸べずとも、部品(ナット)の取付けが行えた。
【0038】
よって、前方側からボルトをナット6に差し込むことが出来る。
【0039】
さて、上記実施形態にあっては、被配設部材12の開口13を上記の如きの形状のものとしたから、部品保持具1を横転状態にしなければ、配設することが出来なかった。逆に言うと、横転させることによって、配設可能になった。そして、取付状態においては、開口13は部品保持具1によって塞がれた如きのものとなり、隙間が目立ち難い特長が奏される。
【0040】
しかしながら、開口の形状を次のようにしたならば、部品保持具1を横転させずとも、配設できるようになる。すなわち、被配設部材12の開口を図6,7,8の如きの形状のものとする。
【0041】
例えば、開口を、第1の開口14と第2の開口15とで構成する。第1の開口14の形状は、図6にも示される通り、部品6が保持された部品保持具1の正面形状よりも多少大きな形状のものとする。従って、第1の開口14の手前(前方)側から、部品6が保持された部品保持具1を、第1の開口14を介して、後方側に挿入できる。但し、アーム部9a,9b,10a,10bが被配設部材12の前面に引っ掛かるので、それ以上は、部品保持具1を挿入することは出来ない(図6,7参照)。
【0042】
部品6が保持された部品保持具1が第1の開口14から挿入されて図6,7に示される状態のものとなった後、今度は、部品6が保持された部品保持具1を、被配設部材12の面に沿って左または右方向に多少スライドさせる。スライド長は、第2の開口15の大きさによって決まる。例えば、数mm程度のスライドでも良く、数cm〜数十cm程度のスライドでも本発明の観点からは差し支えが無い。しかしながら、スライド長を長くしたことによる格別なメリットは無い(スライド長を長くした場合、寧ろ、隙間が大きくなると言うデメリットが生じる。)ことから、数mm程度のスライドで十分である。さて、第2の開口15は第1の開口14に繋がって左側または右側に形成されたものである。この第2の開口15は、その形状が矩形状である。例えば、スライド方向における長さが数mm程度(例えば、5mm以内程度)、スライド方向に対して直交する方向での長さが(部品保持具1の凸部7,8の上下方向の寸法)+数mm(例えば、1mm以内程度)の矩形である。
【0043】
さて、スライド後にあっては、図8に示される如く、部品保持具1の一部(第2の開口の形状を大きくした場合、即ち、スライド方向における長さを長くした場合には、部品保持具1の全部)が第2の開口15に位置する。部品保持具1がスライドして第2の開口15に位置すると、この位置では、部品保持具1で保持されている部品6の面が、被配設部材12の非開口面に当接する。そして、図8に示される状態のものでは、被配設部材12は、アーム部9a,9b,10a,10bと、部品保持具1で保持されている部品6とで挟持されている。しかも、部品保持具1(部品保持具1に保持されている部品6)は、コイルバネ9,10によって、被配設部材12に、弾接されている。上下方向においては、部品保持具1の左側面部2および右側面部4(凸部7,8)が開口14,15に掛止している。従って、部品保持具1は被配設部材12に対して取り付けられたことになるから、部品保持具1で保持されている部品6も被配設部材12に対して取り付けられたことになる。
【0044】
よって、この状態にて、前方側からボルトをナット6に差し込むことが出来るようになる。この時、被配設部材12の後方側に手を差し伸べずとも、部品(ナット)の取付けが行える。しかも、部品保持具1の配設(開口への挿入)に際して、部品保持具1を横転させなくても済む。すなわち、上記実施形態の場合に比べると、コイルバネ9,10に抗する大きな力を作用させなくても済むので、部品保持具1の配設作業が容易である。但し、図1〜図5に示された実施形態のものにあっては、図6,7,8に示される実施形態のものに比べて、開口を小さくできるから、開口13が部品保持具1で効果的に塞がれ、隙間が出来難い。
【0045】
図9,10は、本発明になる部品保持具の付勢部材の他の例を示すものである。前記実施形態にあっては、金属製のコイルバネで構成したものであるが、これは、図9,10の如きに構成されたものであっても良い。その材料も、金属に限られること無く、樹脂であっても良い。その他の基本的な構成は上記実施形態のものと同様であるから、詳細は、省略される。例えば、図9に示される第3実施形態の部品保持具にあっては、コイルバネ9,10の代わりに樹脂で所望形状(図9参照)に一体成型された付勢部材16が取り付けられた場合である。図10に示される第4実施形態の部品保持具にあっては、コイルバネ9,10の代わりに樹脂で所望形状(図10参照)に成型された付勢部材17,18が部品保持具1の左右に各々取り付けられた場合である。そして、付勢部材としては、これ等の他にも各種の形状のものが適宜考えられる。
【符号の説明】
【0046】
1 部品保持具
2 左側面部
3 後面部
4 右側面部
5 部品保持部
6 部品(六角ナット)
7,8 凸部
9,10 コイルバネ
9a,9b,10a,10b アーム部
11 孔
12 被配設部材
13 開口
14 第1の開口
15 第2の開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナット等の部品の保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の工事に際して、プレート背面側に配設されたナットにプレート前面側からボルトを捩じ込まなければならない場合が縷々有る。このような場合、プレートに予めナットが取り付けられてなければ、後から、背面側にナットを配設しなければならない。
【0003】
しかしながら、プレート前面側からプレート背面側に手を差し伸べてナット等の部品を背面側に取り付けることが出来ない場合も有る。このようなことに鑑み、プレート前面側からプレートに設けられた開口にナット装置を差込み、これを、例えば90°回転(差込方向(挿入方向)を軸芯として、例えば時計方向に90°回転)させて掛止させるようにしたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平5−29791号公報
【特許文献2】実開平7−34019号公報
【特許文献3】意匠第1082686号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記提案のものでは、ナットを開口から差し込んだ後で90°回転させるものであるが故に、その作業性が悪い。特に、ナット等の部品の如くに小さなものである場合、これを開口から差込み、該部品の少しだけ突出した手前側部分を持って90°回転させると言った作業性は非常に悪い。すなわち、回転させる為に手にすることが出来る部分は手前側に僅かに突出した部分であるから、この僅かに突出した箇所を把持して回転(回動)させる作業は簡単では無い。場合によっては、背面側に落としてしまう恐れすら有る。更には、例えばナットの位置ズレも起き易い。又、回転させることで掛止させるものであるが故に、どうしても、大きな隙間が生じる。又、特殊な形状のナットを用いるので、一般的な六角ナットなどに比べ高価となる。
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、プレート等の部材の前面側からの極めて簡単な作業で、例えば押し込むと言った簡単な作業で、プレート等の部材の背面側に、ナット等の部品を簡単に、しかも、位置ズレが起きることも無く、しっかり取り付けることが出来、更には隙間も大きくないものが出来る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題は、
部品を被配設部材に配設するに際して用いられる部品を保持する保持具であって、
前記保持具は、
前記部品が保持される保持部と、
前記保持部よりも前方側に突出した凸部と、
該保持具を被配設部材に付勢する付勢部材
とを具備してなることを特徴とする部品保持具によって解決される。
【0008】
又、上記部品保持具であって、好ましくは、上記部品保持具は、例えば左側面部と、後面部と、右側面部とを具備した断面略コ字形に構成されたものであり、部品保持部は、前記左側面部と前記後面部と前記右側面部とで囲まれる空間で構成されてなり、凸部は、前記左側面部および前記右側面部の少なくとも一方の前端側が、前記部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出して構成されてなることを特徴とする部品保持具によって解決される。
【0009】
又、上記部品保持具であって、好ましくは、上記部品保持具の付勢部材は、例えばアームを具備したものであり、このアームが被配設部材の前面に弾接することで、部品を保持した部品保持具が被配設部材の後方側から被配設部材に付勢されるよう構成されてなることを特徴とする部品保持具によって解決される。
【0010】
上記部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は、好ましくは、開口を有する部材である。そして、保持部に部品が保持された部品保持具は、例えば、その横転状態で、この開口の前方側から後方側に挿入可能に構成される。例えば、(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具が構成される。すなわち、斯かる構造(形状)に構成させたならば、開口を介して、保持部に部品が保持された部品保持具を横転状態にて前方側から後方側に挿入できる。
【0011】
保持部に部品が保持された部品保持具を、横転状態にさせずとも、開口を介して、前方側から後方側に挿入できるようにすることも可能である。その為には、開口の形状を次のような形状(構造)にする。すなわち、開口を、例えば第1の開口と、この第1の開口に繋がった第2の開口とで構成する。第1の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と略同じ姿勢で以って、第1の開口の前方側から後方側に挿入可能に構成される。第2の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と同じ姿勢で以っては、第2の開口の前方側から後方側に挿入不可能に構成される。そして、第1の開口の前方側から後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が、第2の開口側に移動可能なように構成される。前記構成は、例えば、第1の開口は、その正面視における形状が、保持部に部品が保持された部品保持具(但し、付勢部材を除く。)の正面視における形状以上の大きな形状のものである。ここで、以上の大きな形状とは、保持部に部品が保持された部品保持具を第1の開口から挿通できる程度のものであれば十分である。これに対して、第2の開口は、第1の開口の前方側から被配設部材の後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が第2の開口側にスライドさせられた場合、保持部に部品が保持された部品保持具を後方側から被配設部材の前方側に抜き取ることが出来ない形状のものである。
【0012】
上記部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は、好ましくは、開口を有する部材である。そして、好ましくは、前記部品保持具の凸部が前記開口に掛止するよう構成されてなる。かつ、前記開口に掛止した凸部と付勢部材との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成される。特に好ましくは、前記開口に掛止した凸部と、付勢部材と、保持部に保持された部品との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成される。
【0013】
部品保持具で保持される部品がナットの場合、ナットの螺子孔に対応して部品保持具には孔が構成されていることが好ましい。
【0014】
又、前記の課題は、
ナットを保持させた保持具を用いて、開口を有する被配設部材に配設するナットの配設方法であって、
前記開口の縦の長さは、前記ナットの高さよりも長く、前記ナットの幅よりも狭い長さで、前記開口の横の長さが、前記保持具の最も長い部分より長い開口であり、
前記被配接部材の前面側に前記保持具が備える付勢部材を接触させ、前記開口に前記ナットの高さ面を向かい合う向きで前記保持具を前記開口に挿入し、挿入途中で前記ナットの座面が前記開口に向かい合う向きになるように回転させることで、前記保持具の備える凸部が前記開口に嵌って、前記ナットの座面が前記被配接部材の後面側に接するように配設させる
ことを特徴とする配設方法によって解決される。
【0015】
又、上記の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、前記部品保持具に保持されたナットを横転状態で前記開口の前面側から後面側に挿入し、挿入後に前記ナットが前記被配設部材の後面に沿って配されるよう前記ナットの姿勢制御を行なう
ことを特徴とする配設方法によって解決される。
【0016】
又、上記の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記部品保持具に保持されたナットを前記第1の開口の前面側から後面側に挿入し、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、この後で前記ナットを前記第2の開口の位置にスライドさせる
ことを特徴とする配設方法によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
上記部品保持具(取付具)が用いられたならば、例えば開口を有するプレート等の被配設部材の前面側からの簡単な作業で、被配設部材の背面側に、ナット等の部品を、簡単に、配設できる。特に、バネ等の弾接部材(付勢部材)を用いているので、部品保持具が位置ズレすることなく、しっかりと、取り付けられる。そして、部品が保持される保持部の形状を変更することで対応できるから、汎用性が高い。尚、部品がナットの場合には、ナットを保持する保持部の形状をナットが供回りしないような形状とすれば、保持具の凸部が被配接部材の開口に掛止されて被配接部材に接しているので、ナットを介して保持具に伝わる供回りの回転運動を抑止することが出来、ボルト接合時のナットの供回りが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明になる部品保持具の斜視図
【図2】本発明になる部品保持具の部品保持部に部品が保持された状態での部品保持具の斜視図
【図3】図2の部品保持具を被配設部材に配設する第1段階での斜視図
【図4】図2の部品保持具を被配設部材に配設する第2段階での斜視図
【図5】図2の部品保持具を被配設部材に配設する最終段階での平面図
【図6】図2の部品保持具を他の構造の被配設部材に配設する第1段階での正面図
【図7】図2の部品保持具を他の構造の被配設部材に配設する第1段階での平面図
【図8】図2の部品保持具を他の構造の被配設部材に配設する最終段階での正面図
【図9】本発明の第3実施形態になる部品保持具の斜視図
【図10】本発明の第4実施形態になる部品保持具の側面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、例えばナット等の各種の部品を被配設部材に配設するに際して用いられる部品を保持する部品保持具である。被配設部材に配設されると言う観点から、部品保持具は部品取付具であるとも言える。被配設部材は、特に、開口を有するものである。この開口を介して、部品(例えば、ナット)が保持された部品保持具を、被配設部材の前面側から背面側に挿通し、挿通後に部品保持具が被配設部材に取り付けられるように構成されたものである。本発明の部品保持具は、部品が保持される保持部を有する。かつ、前記保持部よりも前方側に突出した凸部を有する。更には、保持具を被配設部材に付勢する付勢部材を有する。
【0020】
前記保持具は、例えば断面略コ字形に構成されている。すなわち、左側面部と、後面部と、右側面部とを具備する。斯くの如くに構成させたならば、部品保持部は、前記左側面部と前記後面部と前記右側面部とで囲まれる空間で構成される。そして、保持部よりも前方側に突出した凸部は、前記左側面部の前端側を、部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出させることで構成される。或は、前記右側面部の前端側を、部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出させることで構成される。又は、前記左側面部の前端側および前記右側面部の前端側を、部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出させることで構成される。
【0021】
前記付勢部材は、例えば弾撥性を有するプラスチック材あるいは金属材を用いて構成される。この部材はアームを有する。すなわち、弾撥性を有するアームを具備している。このアームが被配設部材の前面に弾接することで、部品を保持した部品保持具が被配設部材の後方側から被配設部材に付勢されるようになっている。尚、アームが被配設部材の前面に弾接すると言うことは、アームは部品保持具の前方側に位置しているように設けられている。但し、必ずしも、前記凸部よりも前面側に突出している必要は無い。そして、被配設部材の開口から部品保持具を被配設部材の前面側より背面側に挿通する場合、前記開口よりも上下(上及び/又は下)方向に延在している前記アームが被配設部材の前面に引っ掛かるようになることから、部品保持具が被配設部材の背面側に誤って落下してしまうと言った不手際が改善される。
【0022】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は、上述の如く、特に、開口を有する。そして、保持部に部品が保持された部品保持具は、これを横転状態(取付時の状態を正面図とした場合、上面側(或は、下面側)を後背側に90°以内の角度で倒した状態)にしたならば、前記開口の前方側から後方側に挿入可能に構成されている。すなわち、保持部に部品が保持された部品保持具の大きさと、開口の大きさとが、上述の如くに構成されている。例えば、(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具が構成されている。すなわち、(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具や開口を構成しておけば、横転状態にした部品保持具を、開口の前方側から後方側に挿入できる。
【0023】
開口を、下記の如くに構成させたならば、部品保持具を横転させなくても、開口の前方側から後方側に挿入できる。すなわち、開口を、第1の開口と、該第1の開口に繋がった第2の開口とで構成させる。そして、第1の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と略同じ姿勢で以って、該第1の開口の前方側から後方側に挿入可能に構成させる。例えば、第1の開口の正面視における形状が、保持部に部品が保持された部品保持具(但し、付勢部材を除く。)の正面視における形状以上の大きな形状のものとする。尚、大きな形状と謂えども、必要以上に大きくすると、隙間が大きなものとなってしまうから、両者間の寸法差は5mm以内のものとしておくことが好ましい。すなわち、第1の開口に寸法差が5mmともなるような大きな開口は要らない。これに対して、第2の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具を、被配設部材に対して配設される姿勢と同じ姿勢で以っては、第2の開口の前方側から後方側に挿入不可能に構成される。そして、第1の開口の前方側から後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具を、第2の開口側に移動可能に構成する。例えば、第1の開口の前方側から被配設部材の後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具を第2の開口側にスライドさせることが出来、そしてスライドした場合、保持部に部品が保持された部品保持具を後方側から被配設部材の前方側に抜き取ることが出来ない形状に構成しておく。尚、このスライドの場合でも、作業は容易である。
【0024】
部品保持具の凸部は、好ましくは、開口(開口縁)に掛止するよう構成されている。そして、開口に掛止した凸部と付勢部材との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されている。特に、開口に掛止した凸部と、付勢部材と、保持部に保持された部品との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されている。
【0025】
他の本発明はナットの配設方法である。すなわち、ナットを保持させた保持具を用いて、開口を有する被配設部材に配設するナットの配設方法である。この発明は、前記開口の縦の長さが、前記ナットの高さよりも長く、前記ナットの幅よりも狭い長さで、前記開口の横の長さが、前記保持具の最も長い部分より長い開口である。そして、前記被配接部材の前面側に前記保持具が備える付勢部材を接触させ、前記開口に前記ナットの高さ面を向かい合う向きで前記保持具を前記開口に挿入し、挿入途中で前記ナットの座面が前記開口に向かい合う向きになるように回転させることで、前記保持具の備える凸部が前記開口に嵌って、前記ナットの座面が前記被配接部材の後面側に接するように配設させる方法である。例えば、上記の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法である。そして、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、前記部品保持具に保持されたナットを横転状態で前記開口の前面側から後面側に挿入し、挿入後に前記ナットが前記被配設部材の後面に沿って配されるよう前記ナットの姿勢制御を行なう方法である。或は、前記部品保持具に保持されたナットを前記第1の開口の前面側から後面側に挿入し、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、この後で前記ナットを前記第2の開口の位置にスライドさせる方法である。
【0026】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0027】
図1〜図5は、本発明の第1実施形態を説明するものである。図1は、部品保持具の斜視図である。図2は、部品保持部に部品が保持された状態での部品保持具の斜視図である。図3は、部品が保持された部品保持具(図2参照)を被配設部材に配設する第1段階での斜視図である。図4は、部品が保持された部品保持具(図2参照)を被配設部材に配設する第2段階での斜視図である。図5は、部品が保持された部品保持具(図2参照)を被配設部材に配設した最終段階での平面図である。
【0028】
各図中、1は部品保持具である。部品保持具1の本体は、左側面部2と、後面部3と、右側面部4とを有する。左側面部2と後面部3と右側面部4とは、一体化していて、断面略コ字形(略U字形)に構成されている。例えば、樹脂を用いた成型により一体構成されたものである。勿論、各々別々の部材が接着やネジ等により結合されたものでも良い。コスト面から鑑みたならば、一体成型により構成されたものが好ましい。そして、左側面部2と後面部3と右側面部4とで囲まれる空間が、部品保持部5となる。尚、左側面部2と後面部3と右側面部4とで囲まれる空間、即ち、部品保持部5の内空間は、保持しようとする部品の外形を考慮して構成される。部品6が、例えば六角ナットであれば、部品(六角ナット)6の外形に応じて、左側面部2や右側面部4の内形が、断面略く字形状に構成されている。従って、断面略く字形状部に六角ナット6を嵌合させると、六角ナット6は、空回りすること無く、リジッドに保持される。
【0029】
図2からも判る通り、左側面部2や右側面部4は、その前端が、部品保持部5に保持(嵌合)させた部品(六角ナット)6の前端よりも飛び出しているように構成されている。この飛び出している部分が、部品保持部5よりも前方側に突出した凸部7,8である。従って、部品保持部5に保持(嵌合)させた部品(六角ナット)6は、部品保持具1の前端面よりも後方側に凹んだ如きになっている。
【0030】
9,10は、コイルバネである。このコイルバネ9,10の中央環状部が左側面部2や右側面部4に設けられた軸(図示せず)に遊嵌されることで、コイルバネ9,10は部品保持具1に取り付けられている。尚、9a,9bはコイルバネ9の先端側アーム部、10a,10bはコイルバネ10の先端側アーム部である。そして、コイルバネ9,10の上下方向の長さは、後述の開口13の上下方向の長さ(d)よりも長いように構成されている。
【0031】
11は、後面部3に形成された孔である。すなわち、部品保持部5に保持(嵌合)された部品6が六角ナットである場合、この六角ナットにボルトが捩じ込まれて来た場合、ボルト先端が後面部3に衝突しないようにする為、後面部3には孔11が形成されている。
【0032】
12は、部品保持具1で保持された部品が配設される(取り付けられる:掛止される)被配設部材である。尚、被配設部材12の形状は、特別には限定されないが、理解を容易なものとする為、以下では、単に、プレート(板体)であるとしておく。13は、被配設部材(プレート)12に形成されている開口である。尚、開口13の形状は、特別には限定されないが、理解を容易なものとする為、以下では、単に、矩形であるとしておく。すなわち、開口13の形状は、c×dの大きさの矩形である。尚、寸法cは、部品保持具1の左右方向の寸法aより多少長い。これは、理論的にはc=aでも良いが、現実的には、寸法の変動などを考慮して、かつ、部品保持具1を開口13から挿入する作業をスムーズなものとする為、c=a+数mm(例えば、1mm程度)であるよう構成されている。例えば、a<c≦a+3mmのように構成されている。寸法dは、部品保持具1の前後方向の寸法bより多少長い。これは、理論的にはd=bでも良いが、現実的には、寸法の変動などを考慮して、かつ、部品保持具1を開口13から挿入する作業をスムーズなものとする為、d=b+数mm(例えば、1mm程度)であるよう構成されている。例えば、b<d≦b+3mmのように構成されている。
【0033】
上記のように構成させた部品保持具1を、開口13を有する被配設部材12に、取り付ける作業工程について説明する。
【0034】
先ず、第1段階として、部品(六角ナット)6を部品保持部5に保持(嵌合)させる(図2参照)。
【0035】
次に、部品6が保持されている部品保持具1を横転(上側を後背側に倒す)させる。そして、アーム部9a,10aの先端を被配設部材12の表面(前面)に当てる。この状態(横転状態)の部品保持具1の後面部3の背面(裏面)を開口13の下端縁に載せる。かつ、部品保持具1の左側面部2および右側面部4の前端面(凸部7,8の前面)が開口13の上端縁に掛かるようにする(図3参照)。
【0036】
この後、開口13の前方側から、部品保持具1を、開口13の後方側に押し込む(図4参照)。
【0037】
そして、部品保持具1の下端側を押圧することにより、図5に示される如くになる。すなわち、部品6が保持されている部品保持具1が被配設部材12に対して配設される。この状態にあっては、部品保持具1(部品保持具1に保持されている部品6)は、コイルバネ9,10によって、被配設部材12に、掛止・弾接されている。そして、上下方向においては、部品保持具1の左側面部2および右側面部4(凸部7,8)が開口13に掛止している。従って、部品保持具1は被配設部材12に対して取り付けられたことになるから、部品保持具1で保持されている部品6も被配設部材12に対して取り付けられたことになる。そして、被配設部材12の後方側に手を差し伸べずとも、部品(ナット)の取付けが行えた。
【0038】
よって、前方側からボルトをナット6に差し込むことが出来る。
【0039】
さて、上記実施形態にあっては、被配設部材12の開口13を上記の如きの形状のものとしたから、部品保持具1を横転状態にしなければ、配設することが出来なかった。逆に言うと、横転させることによって、配設可能になった。そして、取付状態においては、開口13は部品保持具1によって塞がれた如きのものとなり、隙間が目立ち難い特長が奏される。
【0040】
しかしながら、開口の形状を次のようにしたならば、部品保持具1を横転させずとも、配設できるようになる。すなわち、被配設部材12の開口を図6,7,8の如きの形状のものとする。
【0041】
例えば、開口を、第1の開口14と第2の開口15とで構成する。第1の開口14の形状は、図6にも示される通り、部品6が保持された部品保持具1の正面形状よりも多少大きな形状のものとする。従って、第1の開口14の手前(前方)側から、部品6が保持された部品保持具1を、第1の開口14を介して、後方側に挿入できる。但し、アーム部9a,9b,10a,10bが被配設部材12の前面に引っ掛かるので、それ以上は、部品保持具1を挿入することは出来ない(図6,7参照)。
【0042】
部品6が保持された部品保持具1が第1の開口14から挿入されて図6,7に示される状態のものとなった後、今度は、部品6が保持された部品保持具1を、被配設部材12の面に沿って左または右方向に多少スライドさせる。スライド長は、第2の開口15の大きさによって決まる。例えば、数mm程度のスライドでも良く、数cm〜数十cm程度のスライドでも本発明の観点からは差し支えが無い。しかしながら、スライド長を長くしたことによる格別なメリットは無い(スライド長を長くした場合、寧ろ、隙間が大きくなると言うデメリットが生じる。)ことから、数mm程度のスライドで十分である。さて、第2の開口15は第1の開口14に繋がって左側または右側に形成されたものである。この第2の開口15は、その形状が矩形状である。例えば、スライド方向における長さが数mm程度(例えば、5mm以内程度)、スライド方向に対して直交する方向での長さが(部品保持具1の凸部7,8の上下方向の寸法)+数mm(例えば、1mm以内程度)の矩形である。
【0043】
さて、スライド後にあっては、図8に示される如く、部品保持具1の一部(第2の開口の形状を大きくした場合、即ち、スライド方向における長さを長くした場合には、部品保持具1の全部)が第2の開口15に位置する。部品保持具1がスライドして第2の開口15に位置すると、この位置では、部品保持具1で保持されている部品6の面が、被配設部材12の非開口面に当接する。そして、図8に示される状態のものでは、被配設部材12は、アーム部9a,9b,10a,10bと、部品保持具1で保持されている部品6とで挟持されている。しかも、部品保持具1(部品保持具1に保持されている部品6)は、コイルバネ9,10によって、被配設部材12に、弾接されている。上下方向においては、部品保持具1の左側面部2および右側面部4(凸部7,8)が開口14,15に掛止している。従って、部品保持具1は被配設部材12に対して取り付けられたことになるから、部品保持具1で保持されている部品6も被配設部材12に対して取り付けられたことになる。
【0044】
よって、この状態にて、前方側からボルトをナット6に差し込むことが出来るようになる。この時、被配設部材12の後方側に手を差し伸べずとも、部品(ナット)の取付けが行える。しかも、部品保持具1の配設(開口への挿入)に際して、部品保持具1を横転させなくても済む。すなわち、上記実施形態の場合に比べると、コイルバネ9,10に抗する大きな力を作用させなくても済むので、部品保持具1の配設作業が容易である。但し、図1〜図5に示された実施形態のものにあっては、図6,7,8に示される実施形態のものに比べて、開口を小さくできるから、開口13が部品保持具1で効果的に塞がれ、隙間が出来難い。
【0045】
図9,10は、本発明になる部品保持具の付勢部材の他の例を示すものである。前記実施形態にあっては、金属製のコイルバネで構成したものであるが、これは、図9,10の如きに構成されたものであっても良い。その材料も、金属に限られること無く、樹脂であっても良い。その他の基本的な構成は上記実施形態のものと同様であるから、詳細は、省略される。例えば、図9に示される第3実施形態の部品保持具にあっては、コイルバネ9,10の代わりに樹脂で所望形状(図9参照)に一体成型された付勢部材16が取り付けられた場合である。図10に示される第4実施形態の部品保持具にあっては、コイルバネ9,10の代わりに樹脂で所望形状(図10参照)に成型された付勢部材17,18が部品保持具1の左右に各々取り付けられた場合である。そして、付勢部材としては、これ等の他にも各種の形状のものが適宜考えられる。
【符号の説明】
【0046】
1 部品保持具
2 左側面部
3 後面部
4 右側面部
5 部品保持部
6 部品(六角ナット)
7,8 凸部
9,10 コイルバネ
9a,9b,10a,10b アーム部
11 孔
12 被配設部材
13 開口
14 第1の開口
15 第2の開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を被配設部材に配設するに際して用いられる部品を保持する保持具であって、
前記保持具は、
前記部品が保持される保持部と、
前記保持部よりも前方側に突出した凸部と、
該保持具を被配設部材に付勢する付勢部材
とを具備してなることを特徴とする部品保持具。
【請求項2】
保持具は、左側面部と、後面部と、右側面部とを具備した断面略コ字形に構成されたものであり、
部品保持部は、前記左側面部と前記後面部と前記右側面部とで囲まれる空間で構成されてなり、
凸部は、前記左側面部および前記右側面部の少なくとも一方の前端側が、前記部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出して構成されるものである
ことを特徴とする請求項1の部品保持具。
【請求項3】
付勢部材はアームを具備したものであり、
前記アームが被配設部材の前面に弾接することで、部品を保持した部品保持具が被配設部材の後方側から被配設部材に付勢されるよう構成されたものである
ことを特徴とする請求項1の部品保持具。
【請求項4】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
保持部に部品が保持された部品保持具は、その横転状態で、前記開口の前方側から後方側に挿入可能に構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの部品保持具。
【請求項5】
(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具が構成されてなる
ことを特徴とする請求項4の部品保持具。
【請求項6】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
前記開口は、第1の開口と、該第1の開口に繋がった第2の開口とを具備し、
前記第1の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と略同じ姿勢で以って、該第1の開口の前方側から後方側に挿入可能に構成されてなり、
前記第2の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と同じ姿勢で以っては、該第2の開口の前方側から後方側に挿入不可能に構成されてなり、
前記第1の開口の前方側から後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が、前記第2の開口側に移動可能に構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの部品保持具。
【請求項7】
第1の開口は、その正面視における形状が、保持部に部品が保持された部品保持具(但し、付勢部材を除く。)の正面視における形状以上の大きな形状のものであり、
第2の開口は、前記第1の開口の前方側から被配設部材の後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が該第2の開口側にスライドさせられた場合、該保持部に部品が保持された部品保持具を後方側から被配設部材の前方側に抜き取ることが出来ない形状のものである
ことを特徴とする請求項6の部品保持具。
【請求項8】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
前記部品保持具の凸部が前記開口に掛止するよう構成されてなり、
前記開口に掛止した凸部と付勢部材との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかの部品保持具。
【請求項9】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
前記部品保持具の凸部が前記開口に掛止するよう構成されてなり、
前記開口に掛止した凸部と、付勢部材と、保持部に保持された部品との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかの部品保持具。
【請求項10】
部品はナットであり、
前記ナットの螺子孔に対応して部品保持具には孔が構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項9いずれかの部品保持具。
【請求項11】
ナットを保持させた保持具を用いて、開口を有する被配設部材に配設するナットの配設方法であって、
前記開口の縦の長さは、前記ナットの高さよりも長く、前記ナットの幅よりも狭い長さで、前記開口の横の長さが、前記保持具の最も長い部分より長い開口であり、
前記被配接部材の前面側に前記保持具が備える付勢部材を接触させ、前記開口に前記ナットの高さ面を向かい合う向きで前記保持具を前記開口に挿入し、挿入途中で前記ナットの座面が前記開口に向かい合う向きになるように回転させることで、前記保持具の備える凸部が前記開口に嵌って、前記ナットの座面が前記被配接部材の後面側に接するように配設させる
ことを特徴とする配設方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項5、請求項8〜請求項10いずれかの部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、前記部品保持具に保持されたナットを横転状態で前記開口の前面側から後面側に挿入し、挿入後に前記ナットが前記被配設部材の後面に沿って配されるよう前記ナットの姿勢制御を行なう
ことを特徴とする配設方法。
【請求項13】
請求項6又は請求項7の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記部品保持具に保持されたナットを前記第1の開口の前面側から後面側に挿入し、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、この後で前記ナットを前記第2の開口の位置にスライドさせる
ことを特徴とする配設方法。
【請求項1】
部品を被配設部材に配設するに際して用いられる部品を保持する保持具であって、
前記保持具は、
前記部品が保持される保持部と、
前記保持部よりも前方側に突出した凸部と、
該保持具を被配設部材に付勢する付勢部材
とを具備してなることを特徴とする部品保持具。
【請求項2】
保持具は、左側面部と、後面部と、右側面部とを具備した断面略コ字形に構成されたものであり、
部品保持部は、前記左側面部と前記後面部と前記右側面部とで囲まれる空間で構成されてなり、
凸部は、前記左側面部および前記右側面部の少なくとも一方の前端側が、前記部品保持部に保持された部品よりも前方側に突出して構成されるものである
ことを特徴とする請求項1の部品保持具。
【請求項3】
付勢部材はアームを具備したものであり、
前記アームが被配設部材の前面に弾接することで、部品を保持した部品保持具が被配設部材の後方側から被配設部材に付勢されるよう構成されたものである
ことを特徴とする請求項1の部品保持具。
【請求項4】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
保持部に部品が保持された部品保持具は、その横転状態で、前記開口の前方側から後方側に挿入可能に構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの部品保持具。
【請求項5】
(部品保持具の前後方向の寸法)≦(開口の一方向における開口寸法)を満たすよう部品保持具が構成されてなる
ことを特徴とする請求項4の部品保持具。
【請求項6】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
前記開口は、第1の開口と、該第1の開口に繋がった第2の開口とを具備し、
前記第1の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と略同じ姿勢で以って、該第1の開口の前方側から後方側に挿入可能に構成されてなり、
前記第2の開口は、保持部に部品が保持された部品保持具が、被配設部材に対して配設される姿勢と同じ姿勢で以っては、該第2の開口の前方側から後方側に挿入不可能に構成されてなり、
前記第1の開口の前方側から後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が、前記第2の開口側に移動可能に構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの部品保持具。
【請求項7】
第1の開口は、その正面視における形状が、保持部に部品が保持された部品保持具(但し、付勢部材を除く。)の正面視における形状以上の大きな形状のものであり、
第2の開口は、前記第1の開口の前方側から被配設部材の後方側に挿入された保持部に部品が保持された部品保持具が該第2の開口側にスライドさせられた場合、該保持部に部品が保持された部品保持具を後方側から被配設部材の前方側に抜き取ることが出来ない形状のものである
ことを特徴とする請求項6の部品保持具。
【請求項8】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
前記部品保持具の凸部が前記開口に掛止するよう構成されてなり、
前記開口に掛止した凸部と付勢部材との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかの部品保持具。
【請求項9】
部品保持具で保持された部品が配設される被配設部材は開口を有する部材であり、
前記部品保持具の凸部が前記開口に掛止するよう構成されてなり、
前記開口に掛止した凸部と、付勢部材と、保持部に保持された部品との協同作用によって、保持部に保持された部品が被配設部材に弾接されるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項7いずれかの部品保持具。
【請求項10】
部品はナットであり、
前記ナットの螺子孔に対応して部品保持具には孔が構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項9いずれかの部品保持具。
【請求項11】
ナットを保持させた保持具を用いて、開口を有する被配設部材に配設するナットの配設方法であって、
前記開口の縦の長さは、前記ナットの高さよりも長く、前記ナットの幅よりも狭い長さで、前記開口の横の長さが、前記保持具の最も長い部分より長い開口であり、
前記被配接部材の前面側に前記保持具が備える付勢部材を接触させ、前記開口に前記ナットの高さ面を向かい合う向きで前記保持具を前記開口に挿入し、挿入途中で前記ナットの座面が前記開口に向かい合う向きになるように回転させることで、前記保持具の備える凸部が前記開口に嵌って、前記ナットの座面が前記被配接部材の後面側に接するように配設させる
ことを特徴とする配設方法。
【請求項12】
請求項1〜請求項5、請求項8〜請求項10いずれかの部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、前記部品保持具に保持されたナットを横転状態で前記開口の前面側から後面側に挿入し、挿入後に前記ナットが前記被配設部材の後面に沿って配されるよう前記ナットの姿勢制御を行なう
ことを特徴とする配設方法。
【請求項13】
請求項6又は請求項7の部品保持具に保持されたナットを、開口を有する被配設部材の後面側に配設するナットの配設方法であって、
前記部品保持具に保持されたナットを前記第1の開口の前面側から後面側に挿入し、前記被配接部材の前面側に前記部品保持具が備える付勢部材を接触させ、この後で前記ナットを前記第2の開口の位置にスライドさせる
ことを特徴とする配設方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−122693(P2011−122693A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282129(P2009−282129)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【出願人】(000204608)大下産業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【出願人】(000204608)大下産業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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