説明

部品包装用トレイ及びそれを用いた梱包体

【課題】搬送時における部品の飛び出しを防止することを回避すると共に、トレイの厚さの増加を抑えつつ、搬送時においてトレイが削れることを防止することができる部品包装用トレイを提供する。
【解決手段】
部品包装用トレイ10は、部品Pを収納するための複数の収納凹部11が形成されている。収納凹部11の側壁部12には、収納凹部11の深さ方向dに沿って突出した突条部15が形成されている。部品Pを収納凹部11に収納する際に、突条部15は、部品Pの側面によって押し潰されるように変形すると共に、該変形に対して復元力Fが生じるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等を収納する部品包装用トレイに係り、特に、部品を収納した状態で保管し、搬送するのに好適な部品包装用トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、IC部品、液晶表示パネル(LCD)、液晶モジュール、または携帯情報端末装置(PDA)等の各種電子部品等を保管し、搬送する際には、これらの部品を収納(包装)するための部品包装用トレイが利用されている。
【0003】
このような部品包装用トレイには、通常、部品を収納するための収納凹部が複数形成されている。複数の部品は、各収納凹部に収納されて梱包体とされ、この梱包体の状態で複数の部品が同時に搬送される。
【0004】
しかしながら、トレイに梱包された部品は、搬送時の振動等により、収納凹部から飛び出すことがある。このような点を鑑みて、例えば、図9(a)に示すように、トレイ9Aの収納凹部91の開口の一部に、突起部93が設けられている(例えば、特許文献1参照)。このような突起部93により、搬送時に、部品Pが収納凹部91から飛び出すことを防止している。
【0005】
また、別の態様としては、図9(b)に示すように、トレイ9Bの収納凹部95の側壁部95aにおいて、内側に突出した突起部96が形成されている(例えば、特許文献2または特許文献3参照)。この突起部96により、搬送時に、収納凹部95において、部品(または梱包材となる部品の保護用のマット)Pに突起部96が係止するので、部品Pの飛び出しを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−152178号公報
【特許文献2】特開2001−48269号公報
【特許文献3】特開2002−302114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図9(a)に示すトレイ9Aを用いる場合、部品Pを収納するためには、部品Pの大きさよりも大きい収納空間が必要となる。これにより、トレイ9A全体の厚さ(高さ)は突起部93が無いものに比べて厚くなり、さらに部品Pを収納した状態でトレイ9Aの収納凹部91と部品Pとに、部品Pが移動可能な隙間ができてしまう。この隙間により、搬送時に部品Pがトレイ9Aの側壁部91aを削ってしまうことがある。
【0008】
また、図9(b)に示すトレイであっても、部品Pの上方から突起部96で、部品Pを係止するような構造となっているので、トレイ9Bの厚さは突起部96が無いものに比べて厚くなる。また、部品を収納した状態で、トレイ9Bと部品Pとに隙間が生じることもあり、同様に、搬送時に部品Pがトレイ9Bの側壁部95aを削ってしまうことがある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、搬送時において、収納凹部からの部品の飛び出しを防止することを回避すると共に、トレイの厚さの増加を抑えつつ、搬送時において部品によりトレイが削られることを防止することができる部品包装用トレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決すべく、発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、これまでの部品包装用トレイは、部品を収納する収納凹部の上部において、飛び出そうとする部品を押える構造としていたので、トレイの厚みが増加したが、収納時に、部品をその側面において収納凹部の側壁部で挟持する構造にすれば、トレイの厚みも増加することなく、搬送時に、収納凹部内において部品は振動することがないとの新たな知見を得た。
【0011】
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、本発明に係る部品包装用トレイは、部品を収納するための複数の収納凹部が形成された部品包装用トレイであって、前記収納凹部の側壁部には、前記収納凹部の深さ方向に沿って突出した突条部が形成されており、前記部品を前記収納凹部に収納する際に、前記突条部は、前記部品の側面によって押し潰されるように変形すると共に、該変形に対して復元力が生じるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、収納凹部に部品を収納する際に、収納凹部の突条部を部品の側面に押し潰すように突条部を変形させながら、部品を収納することができる。この際に、変形した突条部が元の形状に戻ろうとする復元力により、部品の側面において、突条部により収納した部品が押圧される。
【0013】
このような結果、部品が収納されたトレイ(梱包体)を搬送する場合、復元力により収納凹部内において部品が挟持(固定)されているので、トレイから部品が飛び出すことを防止することができる。また、トレイに収納されているときは、部品が収納凹部に固定されているので(部品が移動可能な隙間は存在しないので)、トレイの側壁部が部品の振動等により削り取られることはない。また、突条部の復元力により部品の側面を押圧するので、これまでのように収納凹部の上部に突起部を設ける必要がなく、これにより、トレイの厚みの増加を抑制することができる。
【0014】
ここで本発明にいう「部品を収納凹部に収納する際に、突条部は、部品の側面によって押し潰されるように変形すると共に、変形に対して復元力が生じるように構成されている」とは、突条部が、部品を収納した状態で、部品の側面により押し潰されるように変形することができる厚さ、材質(例えば硬さ)、大きさ、及び形状等を有しており、かつ、このように押し潰されるように変形したときに、この変形した突条部が元の形状に戻ろうとする復元力(変形に対する反発力)を部品の側面に作用することができる厚さ、材質(例えば硬さ)、大きさ、及び形状等を有することをいう。
【0015】
また、突条部の形状は、例えば、幅方向に沿って三角形状、多角形状に突出していたり、湾曲していたりした形状を挙げることができ、部品を収納したときに、部品の側面により突条部が変形すると共に、この変形による復元力が生じる形状であれば特に限定されるものではない。
【0016】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記突条部は、前記収納凹部の幅方向に沿って湾曲していることがより好ましい。この態様によれば、収納凹部の幅方向に沿って湾曲した突条部は、部品を収納する際に変形し易く、さらに元の形状に復元し易いので、部品により大きな復元力を作用させることができる。
【0017】
また、収納凹部の深さ方向に沿った突条部の長さは、搬送時等における飛び出しを防止することができる復元力を部品に作用させることができるのであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記深さ方向に沿った前記突条部の長さは、前記部品の前記側面における前記部品の厚さよりも長い。この態様によれば、突条部の長さを部品の厚さよりも大きく(長く)することにより、より確実に部品の側面を復元力により押圧することができる。
【0018】
さらに、より好ましい態様としては、前記側壁部には、前記部品が前記収納凹部に収納された時に、前記側壁部の表面と前記部品の前記側面との間に隙間が形成されるように、前記側壁部から内側に張り出した凸部が形成されており、該凸部の先端には前記突条部が形成されている。
【0019】
この態様によれば、前記側壁部から内側に張り出した凸部を形成することにより、前記部品が前記収納凹部に収納された時に、前記側壁部の表面と前記部品の前記側面と間に隙間が形成される。このような隙間を設けることにより、部品を収納する際に、部品とトレイとの接触を軽減し、トレイが削られることを抑えることができる。
【0020】
さらに、好ましい態様としては、前記部品包装用トレイは、発泡樹脂からなり、前記突条部の表面のアスカーC硬度は、70°以下である。部品包装用トレイに発泡樹脂を用いて、その樹脂に応じた発泡倍率を設定することにより、上記範囲のアスカーC硬度に容易にすることができる。これにより、部品により突条部を変形させることが容易にできる。すなわち、アスカーC硬度が70°を超えた場合、突条部の変形が生じにくい。
【0021】
さらに、アスカーC硬度が、20°以上の場合には、部品による突条部の変形に対して、突条部に復元力を生じさせることが容易にできる。すなわち、アスカーC硬度が20 °未満の場合には、突条部の変形に対して、部品を挟持するに充分な復元力が生じ難い。
【0022】
なお、アスカーC硬度とは、高分子計器株式会社製のゴム硬度計で測定するゴム、又は樹脂等の硬さの測定値として知られた値であり、アスカー(高分子計器)C型、SRIS(日本ゴム協会規格)0101に準拠する規格値である。このアスカーC硬度を計測する硬度計は、直径5.08mm、最大高さ2.54mmの球形状の押針をスプリング荷重が0度のとき55g、100度のとき855gの力で試料の表面に押付けて変形を与え、試料の抵抗力とスプリングの力がバランスした状態での押針の押込み深さをもとに硬度を測定するものである。測定方法は計器を両手で垂直に保持し、水平に置いた試料の表面に計器の加圧面を押付け、そのときの目盛り板上の指針の位置から読取る。
【0023】
このようにして、上述した部品包装用トレイの前記収納凹部に、前記部品を収納することによって梱包体とすることにより、トレイの収納凹部から部品が飛び出すことなく、梱包体を搬送することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、搬送時における部品の飛び出しを防止することを回避すると共に、トレイの厚さの増加を抑えつつ、搬送時においてトレイが削れることを防止することができる。また、トレイの厚さの増加を抑えることにより、部品を収納したトレイを積み重ねた梱包体は、これまでのものに比べてコンパクトになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の形態に係る部品包装用トレイを説明するための模式的斜視図。
【図2】図1に示すA部における側壁部に形成された突条部近傍の拡大図。
【図3】図1に示す部品包装用トレイの収納凹部の上面図であり、(a)は、収納凹部に、部品を収納する前の上面図、(b)は、収納凹部に、部品を収納した後の上面図。
【図4】図1に示す部品包装用トレイの収納凹部に部品を収納する方法を説明するための模式的断面図であり、(a)は、図1のB−B線矢視断面図に相当する部品収納前の状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の部品を収納する途中の状態を示す断面図であり、(c)は、図1のC−C線矢視断面図に相当する部品収納後の状態を示す断面図。
【図5】図2に示す突条部の変形例を示す模式的斜視図であり、(a)は、第1の変形例を示す図であり、(b)は、第2の変形例を示す図であり、(c)は、第3の変形例であり、(d)は、第4の変形例を示す図。
【図6】第2の形態に係る部品包装用トレイを説明するための模式図であり、(a)は、部品包装用トレイの収納凹部の上面図であり、(b)は、(a)のD部における側壁部に形成された突条部近傍の拡大斜視図。
【図7】図6に示す部品包装用トレイの収納凹部に、部品を収納後の突条部近傍の模式的斜視図。
【図8】図6(b)に示す突条部の変形例を示す模式的斜視図であり、(a)は、第1の変形例を示す図であり、(b)は、第2の変形例を示す図であり、(c)は、第3の変形例を示す図であり、(d)は、第4の変形例を示す図。
【図9】従来の部品包装用トレイを説明するための、収納凹部の模式的断面図であり、(a)は、収納凹部の上部に突起部を形成した収納凹部の断面図であり、(b)は、側壁部に突起部を形成した収納凹部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面に基づき、本発明に係る部品包装用トレイのいくつかの実施形態を説明する。図1は、第1の形態に係る部品包装用トレイを説明するための模式的斜視図であり、図2は、図1に示すA部における側壁部に形成された突条部近傍の拡大図である。図3は、図1に示す部品包装用トレイの収納凹部の上面図であり、(a)は、収納凹部に、部品を収納する前の上面図、(b)は、収納凹部に、部品を収納した後の上面図である。
【0027】
図4は、図1に示す部品包装用トレイの収納凹部に部品を収納する方法を説明するための模式的断面図であり、(a)は、図1のB−B線矢視断面図に相当する部品収納前の状態を示す断面図であり、(b)は、(a)の部品を収納する途中の状態を示す断面図であり、(c)は、図1のC−C線矢視断面図に相当する部品収納後の状態を示す断面図である。
【0028】
図1に示す部品包装用トレイ10(以下トレイ10という)は、板状の部品Pを包装するためのトレイである。トレイ10は、シート状の例えば熱可塑性樹脂を素材として、これを真空成形等の熱成形手段により一体成形してなる。素材としては、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HiPS)等のポリスチレン(PS)系樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタラート(PET)等のポリエステル系樹脂からなる発泡材、又は非発泡材からなるシート状の樹脂を挙げることができ、熱成形が可能な樹脂であれば、素材は特に限定されない。なお、本実施形態では、後述するように発泡ポリプロピレン樹脂をトレイ10の素材として用いている。
【0029】
図1〜3に示すように、成形された部品包装用トレイ10の内部には、部品Pを収納する複数(図では、2×5個)の収納凹部11が等間隔に形成されており、収納凹部11の深さは、部品Pの厚さよりも深くなっている。
【0030】
また、収納凹部11の側壁部11aから張り出した凹部12が設けられている。張り出し凹部12は、隣接した収納凹部11間を連結するように張り出した凹部と、外周周縁35に向かって張り出した凹部とから構成される。張り出し凹部12により、収納凹部11に収納された部品Pの側面を指で係止して、包装用トレイから部品Pを容易に取り出すことができる。
【0031】
また、収納凹部11の四隅には、円柱状の空間を形成するように成形された逃がし部33が設けられている。この逃がし部33を設けることにより、部品Pの角部Pbによりトレイ10が削れることを防止することができる(図3(b)参照)。
【0032】
また、トレイ10には、外周に形成されたスタック部37及び内部に形成された凹スタック部39をさらに設けられている。スタック部37,39を設けることにより、より部品Pを収納した状態のトレイを積み重ねた際に、スタック部37,39で上位のトレイの荷重を支持することができる。また、外周スタック部37は、トレイの中心線に沿って対称に配置されているが、トレイの位置決めを行うべく、非対称に配置されていてもよい。
【0033】
また、図1及び図3(a)に示すように、部品包装用トレイ10の各収納凹部11の側壁部11aには、その対向する側面部分において、張り出し凹部12を挟んで、4つの突条部15が形成されている。図1及び図2に示すように、突条部15は、収納凹部11の側壁部11aにおいて、深さ方向dに沿って、収納凹部11の開口11bから底部11cまで、突出して形成されている。さらに、収納凹部11の深さ方向dに沿った突条部15の長さLは、部品Pの側面Paにおける部品Pの厚さtよりも長くなっている。
【0034】
そして、図4(a)から(c)の状態となるように、部品Pを、収納凹部11の上方から収納凹部11に収納する際には、突条部15は、部品Pの側面Paによって押し潰されるように変形すると共に、変形に対して弾性変形分の復元力Fが生じるように構成されている。
【0035】
具体的には、本実施形態の場合、部品包装用トレイ10は、上述した樹脂のうち、発泡倍率3〜4倍の発泡ポリプロピレン樹脂により成形された成形体であり、肉厚は、0.5mm〜1.8mm程度である。そして、上述する発泡倍率にすることにより、突条部15の表面のアスカーC硬度は、20°〜70°とすることができる。
【0036】
また、突条部15は、収納凹部11の幅方向wに沿って湾曲しており、本実施形態では、幅方向に円弧状に湾曲している。また、部品の幅をb、突条部15の高さをh、収納凹部11の幅をcとしたときに、(b−c)/2=hとし、突条部15の高さhは、0.2〜0.7mmであることがより好ましい。突条部15は、収納時に変形し、この変形により復元力を好適に生じることができる。また、高さhは、成形可能な最大高さであることがより好ましく、幅fは、1.0〜2.5mmの範囲にあり、より部品との接触面積を減らしてトレイが削れることを防止するためにも、成形できる最小幅であることがより好ましい。
【0037】
このように、構成することにより、図4(b)から(c)の状態へ、収納凹部11に部品Pを収納する際に、収納凹部11の突条部15を部品Pの側面Paに押し潰すように突条部15を変形させながら(歪ませながら)、部品Pを収納することができる。この際に、突条部の一部の弾性変形により、変形した突条部15が元の形状に戻ろうとする復元力(反発力)Fにより、部品Pの側面において、突条部15が部品Pを押圧する。
【0038】
なお、上述した突条部15の厚さ、材質(例えば硬さ)、大きさ、及び形状等は、上述した部品Pを収納した状態で、部品Pの側面Paにより押し潰されるように変形することができ、かつ、このように押し潰される(歪ませる)ように変形したときに、この変形した突条部が元の形状に戻ろうとする復元力(反発力)を部品の側面に作用することができる厚さ、材質(例えば硬さ)、大きさ、及び形状等の一例であり、厚さ、材質(例えば硬さ)、大きさ、及び形状のいずれかを変更すれば、その変更に応じて、その他の値を変更すればよい。
【0039】
このような結果、部品が収納されたトレイ(梱包体)10を搬送する場合であっても、さらには、トレイ10を反転させた場合であっても、復元力Fにより収納凹部11内において部品Pが挟持されているので、トレイ10から部品が飛び出すことを防止することができる。
【0040】
また、トレイ10に収納されているときは、部品Pが収納凹部11に固定されているので(部品Pが移動可能な隙間は存在しないので)、トレイ10の側壁部11aが部品Pの振動等により削り取られることはない。また、突条部15の復元力Fにより部品Pの側面Paを押圧するので、収納凹部の上部にこれまでのような突起部を設ける必要がなく、トレイの厚みの増加を抑制することができる。
【0041】
さらに、収納凹部11の深さ方向dに沿った突条部15の長さLは、部品Pの側面Paにおける部品Pの厚さtよりも長いので、深さ方向dにわたって、より確実に部品Pの側面Paを突条部15の復元力Fにより押圧することができる。
【0042】
また、図2に示すように、収納凹部11の幅方向wに沿って湾曲した突条部15は、部品Pを収納する際に変形し易く、さらにこの変形に対して元の形状に復元し易いので、部品Pに容易に復元力を作用させることができる。
【0043】
しかしながら、このような突条部15の他にも、図5に示すような突条部であってもよい。図5は、図2に示す突条部の変形例を示す模式的斜視図であり、(a)は、第1の変形例を示す図であり、(b)は、第2の変形例を示す図であり、(c)は、第3の変形例であり、(d)は、第4の変形例を示す図である。
【0044】
図5(a)に示すように、突条部15Aの形状を、幅方向wに沿って三角形状にしてもよい。このような形状にすることにより、部品に局所的に復元力を作用することができる。
【0045】
また、図5(b)に示すように、突条部15Bの形状を、幅方向wに沿って矩形状にしてもよく、図5(c)に示すように、突条部15Cの形状を、幅方向に沿って台形状にしてもよい。このような突条部15B及び15Cとすることにより、部品との接触面積を増やし、より均一な分布の復元力を部品Pに作用させることができる。
【0046】
また、図5(d)に示すように、収納凹部11の深さ方向dに沿った突条部15Dの長さを、部品Pの側面Paにおける部品Pの厚さtよりも小さく(短く)してもよい。これにより、部品Pの底部近傍の側面において、突条部15を変形させるので、収納された部品Pをトレイから取り出しやすくなる。
【0047】
図6は、第2の形態に係る部品包装用トレイ10Aを説明するための模式図であり、(a)は、部品包装用トレイ10Aの収納凹部の上面図であり、(b)は、(a)のD部における側壁部に形成された突条部近傍の拡大斜視図であり、図7は、図6に示す部品包装用トレイの収納凹部に、部品を収納後の突条部近傍の模式的斜視図である。
【0048】
第2の形態が第1の形態と相違する点は、収納凹部の側壁部に凸部を設けた点である。したがって、第1の形態と同じ構成は、同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
第二の形態では、側壁部11aには、部品Pが収納凹部11に収納された時に、側壁部11aの表面11fと部品Pの側面Paと隙間Dが形成されるように、側壁部11aには、部品Pの形状に応じて側壁部11aから内側に張り出し、幅方向wに沿って円弧状に湾曲した凸部17が形成されている。すなわち、図6に示すように、凸部同士の間の距離が部品Pの幅bに相当することになる。さらに、凸部17の先端には、第1実施形態と同様の突条部15が形成されている。
【0050】
この態様によれば、図7に示すように、側壁部11aから内側に張り出した凸部17を形成することにより、部品Pが収納凹部11に収納された時に、側壁部の表面11fと部品Pの側面Paと隙間Dが形成される。このような隙間Dを設けることにより、部品Pを収納する際に、部品Pとトレイとの接触を軽減し、部品Pの接触によりトレイが削れることを抑えることができる。
【0051】
また、図6(b)に示すように、第2の形態では、収納凹部11の幅方向wに沿って、凸部17を円弧状に湾曲することにより、凸部17と部品Pの接触によりトレイが削れることを軽減することができ、さらに、収納凹部11の幅方向wに沿って、突条部15を湾曲させることにより、部品Pを収納する際にこれを変形させ、さらに突条部15を元の形状に復元し易くさせることができる。
【0052】
しかしながら、このような突条部15及び凸部17の他にも、図8に示すような突条部と凸部の組み合わせであってもよい。図8は、図6(b)に示す突条部の変形例を示す模式的斜視図であり、(a)は、第1の変形例を示す図であり、(b)は、第2の変形例を示す図であり、(c)は、第3の変形例を示す図であり、(d)は、第4の変形例を示す図である。
【0053】
図8(a)に示すように、凸部17Aの形状を、幅方向wに沿って台形状とし、その台形の上部に相当する位置に突条部15を設けてもよい。さらに、図8(b)に示すように、突条部15Aの形状を、幅方向wに沿って三角形状にしてもよい。このような形状にすることにより、部品に局所的に復元力を作用することができる。また、図8(b)に示すように、突条部15Bの形状を、幅方向wに沿って矩形状にしてもよい。突条部15Bとすることにより、部品との接触面積を増やし、より均一な分布の復元力を部品Pに作用させることができる。
【0054】
また、図8(d)に示すように、突条部15D及び凸部17Bの深さ方向dに沿った長さが、部品Pの側面Paにおける部品Pの厚さtよりも小さく(短く)してもよい。これにより、部品Pの底部近傍の側面において、突条部15を変形させるので、収納された部品Pをトレイから取り出し易くなる。
【符号の説明】
【0055】
10、10A:部品包装用トレイ、11:収納凹部、11a:側壁部、11b:開口、11c:底部、12:張り出し凹部、15、15A〜D:突条部、17、17A、17B:凸部、33:逃がし部、35:外周周縁、36:外縁壁、37:外周スタック部、39:凹スタック部、d:深さ方向、P:部品、Pa:部品の側面、Pb:部品の角部、w:幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を収納するための複数の収納凹部が形成された部品包装用トレイであって、
前記収納凹部の側壁部には、前記収納凹部の深さ方向に沿って突出した突条部が形成されており、
前記部品を前記収納凹部に収納する際に、前記突条部は、前記部品の側面によって押し潰されるように変形すると共に、該変形に対して復元力が生じるように構成されていることを特徴とする部品梱包用トレイ。
【請求項2】
前記突条部は、前記収納凹部の幅方向に沿って湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の部品梱包用トレイ。
【請求項3】
前記深さ方向に沿った前記突条部の長さは、前記部品の前記側面における前記部品の厚さよりも長いことを特徴とする請求項1又は2に記載の部品梱包用トレイ。
【請求項4】
前記側壁部には、前記部品が前記収納凹部に収納された時に、前記側壁部の表面と前記部品の前記側面との間に隙間が形成されるように、前記側壁部から内側に張り出した凸部が形成されており、該凸部の先端には前記突条部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の部品梱包用トレイ。
【請求項5】
前記部品包装用トレイは、発泡樹脂からなり、前記突条部の表面のアスカーC硬度は、70°以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の部品包装用トレイ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の部品包装用トレイの前記収納凹部に、前記部品が収納されたことを特徴とする梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−46240(P2012−46240A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192452(P2010−192452)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】