配線ボックスの設置方法及び配線ボックス
【課題】透孔に配線ボックスを通過させた後に挿入孔に管類又はケーブル類を挿入することができ、透孔の大型化を抑制して該大型化に起因した不具合の発生を防止することができる配線ボックスの設置方法及び配線ボックスを提供する。
【解決手段】配線ボックス11の第1側壁13aには、波付電線管10を径方向に沿って底壁12に向けて移動させることで該波付電線管10を挿入可能とする挿入口21が底壁12側に開放して形成されている。底壁12には、手の指を配線ボックス11外へ突出可能とする貫通孔36が挿入口21に連通して形成されている。そして、ボックス内空間11aに手を挿入し、貫通孔36から配線ボックス11の外側へ手の指を突出させ、建物壁W内に配設された波付電線管10に指を係止させる。さらに、手を建物壁Wの表側へ移動させることで波付電線管10を底壁12側に引き寄せ、波付電線管10を挿入口21に挿入することができる。
【解決手段】配線ボックス11の第1側壁13aには、波付電線管10を径方向に沿って底壁12に向けて移動させることで該波付電線管10を挿入可能とする挿入口21が底壁12側に開放して形成されている。底壁12には、手の指を配線ボックス11外へ突出可能とする貫通孔36が挿入口21に連通して形成されている。そして、ボックス内空間11aに手を挿入し、貫通孔36から配線ボックス11の外側へ手の指を突出させ、建物壁W内に配設された波付電線管10に指を係止させる。さらに、手を建物壁Wの表側へ移動させることで波付電線管10を底壁12側に引き寄せ、波付電線管10を挿入口21に挿入することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底壁に側壁が立設されて有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有する配線ボックスの建物壁への設置方法及び配線ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物壁にスイッチ等の配線器具を設置する場合、前記建物壁には配線ボックスが設置される。また、配線ボックス内には、前記配線器具に接続されるケーブルが引き込まれ、このケーブルは配線ボックスに接続された電線保護管内に挿通されて保護されている。前記電線保護管は、合成樹脂材料よりなり、リング状山部とリング状谷部とが繰り返し連続形成された可撓管である。
【0003】
また、前記配線ボックスとしては例えば、特許文献1に開示の電設用ボックス(配線ボックス)が挙げられる。この電設用ボックスは、四角板状をなす底壁の周縁に側壁が立設されたボックス本体を有している。前記ボックス本体における前記側壁には保護管保持用口部が開設されている。また、側壁には、該側壁における底壁側の端縁で開放する切欠口部が前記保護管保持用口部に連通して形成され、さらに、底壁には前記切欠口部につながる開口部が形成されている。なお、前記保護管保持用口部、及び切欠口部と開口部はそれぞれ蓋板によって閉塞されている。また、保護管保持用口部と切欠口部との境界箇所には突片が相対向して形成されている。
【0004】
上記構成の電設用ボックスを用いて配線器具を建物壁に設置する方法としては、一対の壁材によって建物壁を構築する前に電設用ボックスを柱に固定する方法(所謂、先付け方法)がある。この先付け方法は、まず、電設用ボックスを柱の側面に固定し、次いで、電線保護管を接続するために必要になる保護管保持用口部、切欠口部、及び開口部を閉塞している蓋板を除去する。次に、電線保護管を前記保護管保持用口部に向けて径方向に移動させ、開口部、切欠口部に差し込み、さらに奥方に押し込む。すると、リング状谷部に保護管保持用口部が嵌合し、電線保護管が側壁に保持(接続)される。また、一対の突片により、保護管保持用口部に保持された電線保護管の切欠口部からの抜け出しが規制されるようになっている。その後、電線保護管内にケーブルが挿入され、電設用ボックス内にまでケーブルが引き込まれる。
【0005】
そして、該電設用ボックスの開口が建物壁の表側に臨むように一対の壁材を立設して建物壁を構築する。その後、建物壁の表側の壁材に透孔を穿設し、電設用ボックスを建物壁の表側に臨ませるとともに、ケーブルを建物壁の表側に引き出し、該ケーブルと配線器具とを接続する。そして、配線器具が電設用ボックス内に収容された後、化粧プレート等によって電設用ボックスの開口が閉塞されるとともに、配線器具が建物壁に設置される。
【0006】
また、電設用ボックスを用いて配線器具を建物壁に設置する方法として、上記先付け方法の他に前記建物壁を構築した後に電設用ボックスを建物壁に固定する方法(所謂、後付け方法)も存在する。この後付け方法は、建物壁の構築後に、建物壁の表側の壁材に透孔を穿設し、電線保護管を建物壁の表側に引き出す。次に、上述のように、前記蓋板が除去された保護管保持用口部に電線保護管を保持(接続)させる。その後、引き出した電線保護管を透孔から建物壁内に収容し、さらに、電設用ボックスを透孔を通過させて建物壁内に収容する。そして、電設用ボックスの開口を建物壁の表側に臨ませた状態で電設用ボックスを壁材に固定し、その後、ケーブルを壁表側に引き出し、該ケーブルと配線器具とを接続する。そして、配線器具が電設用ボックス内に収容された後、化粧プレート等によって電設用ボックスの開口が閉塞されるとともに、配線器具が壁に設置される。
【特許文献1】実開平7−11822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電設用ボックスの後付け方法においては、電設用ボックスは電線保護管が接続された状態で透孔を通過させて建物壁に固定される。このとき、電線保護管は屈曲させることが困難であるため、電線保護管が接続された電設用ボックスは建物壁の壁面(鉛直方向)に対して斜めに傾いた状態でしか透孔を通過させることができない。すなわち、電線保護管が接続された電設用ボックスは、電設用ボックスの外形サイズよりわずかに大きく穿設された透孔を通過させることは不可能である。このため、電線保護管が接続された電設用ボックスを通過可能とするため、電設用ボックスの外形より遙かに大きくした透孔を建物壁に穿設しなければならない。なお、前記電線保護管の代わりにケーブル、特に屈曲させることが困難な大径ケーブルを電設用ボックスに引き込んだ場合であっても、電設用ボックスを通過可能とするために透孔を電設用ボックスの外形より遙かに大きくしなければならない。したがって、電設用ボックスの後付け方法においては、透孔内に電設用ボックスが収容された状態では、該電設用ボックスと透孔との間に大きな隙間ができ、電設用ボックスの壁材への固定が不十分の場合には、電設用ボックスが透孔内でがたつく等の不具合が発生していた。
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、透孔に配線ボックスを通過させた後に挿入孔に管類又はケーブル類を挿入することができ、透孔の大型化を抑制して該大型化に起因した不具合の発生を防止することができる配線ボックスの設置方法及び配線ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、底壁に側壁が立設されて有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有する配線ボックスの建物壁への設置方法であり、前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間内に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成され、前記配線ボックスを前記底壁側から挿入可能な透孔を前記建物壁に穿設し、前記透孔に配線ボックスを底壁側から挿入して前記開口が建物壁の表側に臨むように配置し、前記開口からボックス内空間に手を挿入し、前記貫通孔から配線ボックスの外側へ手の指を突出させ、前記建物壁内に配設された管類又はケーブル類に指を係止させ、手を建物壁の表側へ移動させることで管類又はケーブル類を底壁側に引き寄せ、該管類又はケーブル類を前記挿入口内に挿入した後、配線ボックスを建物壁に固定することを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、底壁の周縁に側壁が立設された有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有し、建物壁に穿設された透孔から前記建物壁に設置される配線ボックスであって、前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成されていることを要旨とする。
【0011】
したがって、請求項1又は請求項5に記載の発明によれば、配線ボックスの建物壁への設置時には、貫通孔から配線ボックスの外側へ突出させた指で管類又はケーブル類を底壁側へ引き寄せることが可能となり、そのまま挿入口に管類又はケーブル類を挿入することができる。このため、透孔に配線ボックスを通過させ、建物壁内に配線ボックスを収容した後であっても、配線ボックスの挿入口に管類又はケーブル類を挿入することが可能となる。したがって、建物壁の表側に管類又はケーブル類を引き出し、配線ボックスの挿入口に挿入した後、該管類又はケーブル類が挿入された配線ボックスを透孔を通過させて建物壁内に収容する作業を行う必要がなくなる。その結果として、引き出した管類又はケーブル類とともに配線ボックスを透孔を通過可能とするために、該透孔が大型化してしまうことを無くし、透孔のサイズを配線ボックスの外形よりわずかに大きいサイズとすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線ボックスの設置方法において、前記貫通孔の少なくとも一部は蓋部材により閉塞され、前記蓋部材による貫通孔の閉塞状態を解除した後、該貫通孔から前記指を配線ボックスの外側へ突出させることを要旨とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、配線ボックスを建物壁に設置するまでは蓋部材によって底壁が閉塞され、剛性を高い状態に維持することができる。したがって、例えば、配線ボックスの運搬等に配線ボックスが変形したり、破損したりすることを抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配線ボックスの設置方法において、前記蓋部材は、前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は挿入口に管類又はケーブル類が挿入された後、前記蓋部材を前記建物壁に当接させることで前記ヒンジ部を回動中心として該蓋部材を貫通孔を閉塞する方向へ回動させることを要旨とする。請求項3に記載の発明によれば、配線ボックスを建物壁内へ収容すると蓋部材によって貫通孔の開放度合いを小さくすることができる。そして、配線ボックスの設置後、挿入口に挿入された管類又はケーブル類が挿入口から抜け出る方向へ移動した際には、管類又はケーブル類が蓋部材に当接するため、挿入口からの抜け出しを規制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の配線ボックスの設置方法において、前記蓋部材は、前記ヒンジ部を回動中心として配線ボックスの外側に向けて回動させることを要旨とする。請求項4に記載の発明によれば、回動した蓋部材が、ボックス内空間内への手の挿入の障害となることを防止することができ、さらには、挿入口内への管類又はケーブル類の挿入途中に、回動した蓋部材が管類又はケーブル類の挿入の障害となることを無くすことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の配線ボックスにおいて、前記貫通孔は蓋部材により少なくとも一部が閉塞されているとともに、該蓋部材は前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は前記ヒンジ部を回動中心として貫通孔を開放させる方向へ回動可能に形成されていることを要旨とする。請求項6に記載の発明によれば、配線ボックスを建物壁に設置するまでは蓋部材によって底壁が閉塞されるとともに剛性を高い状態に維持することができる。したがって、例えば、配線ボックスの運搬等に配線ボックスが変形したり、破損したりすることを抑制することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の配線ボックスにおいて、前記蓋部材は、貫通孔の周縁に連結片によって連結されていることを要旨とする。請求項7に記載の発明によれば、連結片を分断することにより、ヒンジ部を残して蓋部材を貫通孔の周縁から分離させて回動可能とすることができる。したがって、例えば、ヒンジ部以外の蓋部材の周縁を底壁から切断して蓋部材を回動させる場合に比して、該回動作業を容易とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、透孔に配線ボックスを通過させた後に挿入孔に管類又はケーブル類を挿入することができ、透孔の大型化を抑制して該大型化に起因した不具合の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12にしたがって説明する。なお、以下の説明において配線ボックスの「前」「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を前後方向とし、「左」「右」は、図1に示す矢印Y2の方向を左右方向とし、「上」「下」は、図1に示す矢印Y3の方向を上下方向とする。
【0020】
まず、配線ボックスに接続される管類としての波付電線管10について説明する。図6に示すように、合成樹脂製の波付電線管10は円管状をなすとともに、管の周方向に延びる円環状の凸条10a及び凹条10bが管の軸方向に交互に形成されており、可撓性を有する。また、前記配線ボックスが設置される建物壁Wは、一対の壁材Waを所定間隔を開けて相対向するように立設することで構築され、該建物壁W内には前記波付電線管10が配設されている。
【0021】
次に、前記建物壁Wに設置されるとともに、前記波付電線管10が接続される配線ボックス11について説明する。図1に示すように、合成樹脂製の配線ボックス11は、四角板状をなす底壁12と、該底壁12の四側周縁から立設された側壁13a〜13dとから有底四角箱状に形成されている。そして、配線ボックス11は、前記底壁12及び側壁13a〜13dよりなる周壁によって、配線ボックス11の内側にボックス内空間11aが囲み形成されているとともに、底壁12に対向する側にボックス内空間11aが開口されている。なお、以下の説明において、説明を容易とするために、図1において、底壁12の上側縁に立設された側壁13を第1側壁13a、底壁12の下側縁に立設された側壁13を第2側壁13b、底壁12の左側縁に立設された側壁13を第3側壁13c、底壁12の右側縁に立設された側壁13を第4側壁13dとする。そして、第1側壁13aと第2側壁13bは上下方向に相対向し、第3側壁13cと第4側壁13dとは左右方向に相対向している。
【0022】
前記第3側壁13c及び第4側壁13dには、配線ボックス11の前後方向(深さ方向)へ延びる長孔状の固定孔14が2箇所ずつ形成されている。そして、前記固定孔14から柱(図示せず)に固定ビス(図示せず)を固定することにより、配線ボックス11を柱の側面に固定することが可能となっている。また、配線ボックス11の四隅部の前側にはビス取付部15が形成されているとともに、底壁12における前記ビス取付部15に対向する位置にはビス挿通孔16が形成されている(図2参照)。そして、各ビス取付部15からビス挿通孔16にビス17が挿通されることで配線ボックス11の四隅部にビス17が取り付けられているとともに、各ビス17には金属板製の舌片18が螺着されている。第1〜第4側壁13a〜13dの底壁12側には、前記舌片18を収容する収容孔19が形成されている。前記第3側壁13c及び第4側壁13dにおいて、配線ボックス11の開口側の端面たる前端面には、配線ボックス11の外側方へ向けて突出する係合片20が一対ずつ形成されている。
【0023】
図5に示すように、第1側壁13aには、略U字状をなす挿入口21が2箇所に形成され、この挿入口21には前記波付電線管10の一端部(下端部)たる接続端部10Aが挿入、接続されるようになっている(図8参照)。なお、挿入口21は、配線ボックス11の未使用時(例えば、運搬時等)には閉鎖部材27によって閉鎖されているが、以下の挿入口21の説明は、閉鎖部材27を除去した状態で行う。各挿入口21は、前記接続端部10Aを第1側壁13aに接続するための接続口21aと、前記接続端部10Aを前記接続口21aに向けてガイド可能に収容する収容口21bとを備えている。前記収容口21bは、第1側壁13aと、該第1側壁13aに隣接する底壁12とに跨って形成され、該第1側壁13aの底壁12側と、底壁12の第1側壁13a側が切り欠かれることで形成されている。
【0024】
収容口21bにおいて、第1側壁13a長さ方向(左右方向)に沿った開口幅は波付電線管10の凸条10aにおける外径より大きく形成されている(図8参照)。また、収容口21bにおいて、第1側壁13aに直交する方向(上下方向)に沿った開口深さは、接続端部10Aの複数の凸条10a及び凹条10bを配線ボックス11内に収容可能な深さに形成されている(図7参照)。そして、底壁12の裏側に配設された波付電線管10を底壁12に向けて径方向へ移動させると、収容口21bには接続端部10Aを収容することができ、本実施形態では接続端部10Aの径方向に沿った略2/3を収容口21bに収容することが可能となっている。また、収容口21bに接続端部10Aが収容された状態では、接続端部10Aの内側が配線ボックス11の内側(ボックス内空間11a)に露出し、接続端部10Aの内側の略2/3が配線ボックス11の内側に露出するようになっている。
【0025】
図1、図2及び図5に示すように、前記接続口21aは前記収容口21bに連通するように、収容口21bより配線ボックス11の開口側に形成されている。図2に示すように、第1側壁13aには、挿入口21の周縁に沿って延びる接続部22が接続口21a内に向けて突設され、この接続部22は波付電線管10をその軸方向への移動を規制した状態で第1側壁13a(周壁)に接続するために設けられている。接続部22は、接続口21aの周縁に一体形成された第1接続部23と、該第1接続部23に沿って形成された第2接続部24とを備えている。前記第1接続部23と第2接続部24は、両接続部23,24の間に形成された複数の連結片25によって連結されている。接続口21aにおける第1側壁13aの長さ方向(左右方向)への開口幅は、収容口21bにおける前記開口幅より狭くなっている。
【0026】
そして、図5に示すように、連結片25を分断することにより、第1接続部23から第2接続部24を除去することが可能となっている。第2接続部24が除去された状態において、収容口21bに収容された波付電線管10を接続口21a側へ移動させると、第1接続部23が接続端部10Aの凹条10bに嵌合するようになっており、この嵌合により波付電線管10が挿入口21に接続されるようになっている。また、この接続状態において、第1接続部23が、接続端部10Aの外面としての凸条10aの外面に係合することで波付電線管10の軸方向への移動が規制されるようになっている。また、図示しないが、第2接続部24が除去されていない状態で、前記第1接続部23に嵌合可能な波付電線管10よりも小径の波付電線管(図示せず)を収容口21bから接続口21a側へ移動させると、第2接続部24が小径の波付電線管の凹条に嵌合するようになっている。そして、この嵌合により小径の波付電線管を挿入口21に接続することができるようになっている。
【0027】
図2に示すように、前記収容口21bと接続口21aの間となる第1接続部23の上面には、突起状の抜出し規制部23aが形成されている。この抜出し規制部23aは、前記第1接続部23によって接続口21aに接続された波付電線管10における接続端部10Aの凸条10aに係合することで、波付電線管10の径方向に沿った接続口21aからの抜け出しを規制するようになっている。また、収容口21bと接続口21aの間となる第2接続部24の上面には、突起状の抜出し規制部24aが形成されている。この抜出し規制部24aは、前記第2接続部24によって接続口21aに接続された前記小径の波付電線管における接続端部の凸条に係合することで、小径の波付電線管の径方向に沿った接続口21aからの抜け出しを規制するようになっている。なお、前記抜出し規制部23a,24aは、前記収容口21bに前記波付電線管10を収容し、凹条10bに接続部22が嵌合する前に、接続端部10Aの凸条10aが係合する位置に形成されている。そして、図8の網掛け部に示すように、凸条10aに抜出し規制部23a,24aが係合した状態では、接続端部10Aにて径方向に沿った略2/3が配線ボックス11内に収容されるように、収容口21bの接続口21a側への深さ及び抜出し規制部23a,24aの位置が設定されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、各挿入口21において、接続口21a、及び収容口21bにおける上面側は、前記閉鎖部材27によって閉塞され、この閉鎖部材27は第2接続部24の周縁に連結片28を介して連結されている。すなわち、閉鎖部材27は、連結片28、及び接続部22を介して第1側壁13aに連結されている。前記閉鎖部材27は薄板状をなし、第1側壁13aの厚みよりも薄くなっている。そして、前記連結片28を分断し、閉鎖部材27を挿入口21から除去することにより、挿入口21(第2接続部24の内側の接続口21a及び収容口21b)を開放させることができるようになっている。
【0029】
図3(a)に示すように、第2側壁13bにて左右方向の中央には、底壁12側から開口側へ向けてU字状に延びる挿通孔29が形成されている。この挿通孔29は、第2側壁13bに隣接する底壁12の端縁に達するまで形成されている。また、挿通孔29は、閉塞部としての閉塞板30によって閉塞され、該閉塞板30は挿通孔29の周縁に連結片31を介して連結されている。また、前記閉塞板30は、底壁12の面に対して平行に延びる挿通孔29の周縁に連結部32を介して連結され、該連結部32は第2側壁13bにて、ボックス内空間11aの開口側に左右方向へ直線状に延びるように形成されている。また、図3(b)に示すように、連結部32は、第2側壁13bの長さ方向に対して直交する幅方向、かつ第2側壁13bの厚み方向に沿った断面視が、前記幅方向へテーパ状に凹むように第2側壁13bを薄肉状に成形することで構成され、該テーパ状をなすことでヒンジとして機能するようになっている。
【0030】
そして、連結部32を回動中心として、閉塞板30を配線ボックス11の外側へ向けて回動させることで、閉塞板30による挿通孔29の閉塞状態を解除して該挿通孔29を開放させ、該挿通孔29に波付電線管10又はケーブルCを挿通することができるようになっている。なお、閉塞板30の第2側壁13bに対する連結部32の回動可能な角度は90度未満となっている(図11参照)。また、図11に示すように、連結部32を回動中心として閉塞板30を配線ボックス11の外側へ向けて回動させた状態において、第2側壁13bの幅方向及び厚み方向に沿った連結部32の断面視では、前記連結部32の配線ボックス11内に臨む箇所32aは緩やかな弧状をなす。
【0031】
また、図3(a)に示すように、前記閉塞板30には、前記底壁12の端縁側に向けて開放された挿入孔33がU字状に延びるように形成されている。この挿入孔33はノック部35によって閉塞され、該ノック部35は挿入孔33の周縁に連結片34を介して連結されている。図3(b)に示すように、前記ノック部35は、閉塞板30より薄板状をなす。また、前記挿入孔33の周縁部33aは、前記第2側壁13bの幅方向及び厚み方向への断面視が緩やかな弧状に成形されている。図2に示すように、第2側壁13bに隣接する底壁12の第2側壁13b側には、閉塞板30を回動させた状態で前記挿通孔29に連通する連通孔55が形成されている。
【0032】
図2に示すように、底壁12の左右両側には、四角孔状をなし、底壁12を厚み方向へ貫通する貫通孔36が配線ボックス11の上下方向へ延びるように形成されている。各貫通孔36のほぼ全体は、それぞれ蓋部材37によって閉塞されているが、各蓋部材37の第1側壁13a側端縁と、前記挿入口21を閉塞する閉鎖部材27の底壁12側端縁との間は離間している。このように、貫通孔36が蓋部材37によって閉塞された状態では、貫通孔36に手の指を通過させて底壁12の裏側へ指を突出させることは不可能となっている。前記蓋部材37は、貫通孔36の第1側壁13a側(上側)ほぼ半分を閉塞する第1蓋部38と、貫通孔36の第2側壁13b側(下側)ほぼ半分を閉塞する第2蓋部39とが一体化されて形成されている。前記第1蓋部38と第2蓋部39とはそれぞれ連結片40を介して貫通孔36の周縁たる底壁12に連結されている。また、第1蓋部38と第2蓋部39とはヒンジ部41を介してヒンジ連結されている。前記ヒンジ部41は、蓋部材37における厚み方向に沿った断面視がテーパ状に凹むように蓋部材37を薄肉状に成形することで構成されている。そして、第1蓋部38及び第2蓋部39のいずれか一方において、前記連結片40を分断すると、該一方の蓋部を前記ヒンジ部41を回動中心として配線ボックス11の外側へ向けて回動させることが可能となる。
【0033】
なお、ヒンジ部41は、第1蓋部38及び第2蓋部39のいずれか一方が、他方に接触することで一方の蓋部の回動角度が90度未満となるように形成されている。図5に示すように、第1蓋部38をヒンジ部41を回動中心として回動させ、第1蓋部38による貫通孔36の閉塞状態を解除したとき、前記貫通孔36に手の指を挿通し、底壁12の裏側に指を突出させることが可能となる。すなわち、第1蓋部38を回動させることで貫通孔36の底壁12での開口面積が、第1蓋部38の回動前より広くなり、その広くなった箇所に手の指を挿通することができるようになる。
【0034】
次に、上記構成の配線ボックス11を建物壁Wを構築した後に、該建物壁Wに設置する方法について説明する。まず、一対の壁材Waを所定間隔をおいて相対向するように立設し、建物壁Wを構築する。この建物壁Wの構築状態では、建物壁Wの内側(一対の壁材Waの間)に波付電線管10が配設されている。次に、図4に示すように、建物壁Wの表側に立設された壁材Waに透孔50を穿設する。この透孔50は、配線ボックス11の外形よりわずかに大きく、配線ボックス11を底壁12側から挿入可能な大きさであるとともに、係合片20が壁材Waにおける透孔50の周縁部に係合可能とする大きさに穿設される。次に、図5に示すように、連結片28を分断して閉鎖部材27を挿入口21内から除去するとともに、第2接続部24を第1接続部23から除去する。さらに、挿入口21に連通する貫通孔36において、第1蓋部38を底壁12に連結する連結片40を分断し、該第1蓋部38をヒンジ部41を回動中心として配線ボックス11の外側へ向けて回動させ、貫通孔36の開口面積を広げる。
【0035】
次いで、図6に示すように、配線ボックス11を底壁12側から透孔50を通過させ、配線ボックス11の開口を建物壁Wの表側に臨ませる。続いて、配線ボックス11の開口からボックス内空間11aに手を挿入し、開口面積の広げられた貫通孔36に指を挿通して該指を配線ボックス11の外側へ突出させて建物壁W内に挿入する。そして、建物壁W内に配設された波付電線管10の接続端部10A(下端部)から波付電線管10の内側に指を挿入し、該指を波付電線管10の内周面に引っ掛ける。次に、手を建物壁Wの表側へ移動させ、指を底壁12側(配線ボックス11側)へ引き寄せて波付電線管10を底壁12側へ引き寄せ、さらに、図7及び図8に示すように、収容口21b内に波付電線管10の接続端部10Aを収容するとともに、凸条10aの外面に抜出し規制部23aを係合させる。
【0036】
図7及び図8の網掛け部に示すように、この係合状態では、波付電線管10の接続端部10Aが配線ボックス11内へ径方向の略2/3が収容され、波付電線管10の内側の半分以上が配線ボックス11の内側に向けて露出している。続けて、波付電線管10を配線ボックス11の内側へ引き寄せると、図8の2点鎖線及び図9に示すように、波付電線管10は収容口21bから接続口21aに向けて、すなわち、挿入口21の長さ方向へ弾性変形する。このとき、指で波付電線管10を、挿入口21の長さ方向(前後方向)へ引っ張ることで、波付電線管10は挿入口21の長さ方向へ細長に延びる楕円状に弾性変形する。そして、波付電線管10が弾性変形することで、波付電線管10の凹条10bに第1接続部23が嵌合されると同時に、抜出し規制部23aに係合した凸条10aが弾性変形して抜出し規制部23aを乗り越える。
【0037】
その結果、図8の2点鎖線及び図10に示すように、抜出し規制部23aよりも挿入口21の奥側、すなわち、接続口21aに波付電線管10が挿入され、この挿入状態では第1接続部23が凹条10bに嵌合している。そして、第1接続部23により、挿入口21の接続口21a内に波付電線管10の軸方向への移動が規制された状態に接続されるとともに、抜出し規制部23aにより、波付電線管10の径方向に沿った挿入口21外への抜け出しが規制されている。
【0038】
また、波付電線管10を配線ボックス11の内側へ引き寄せる際、配線ボックス11は透孔50内へ押し込まれ、係合片20が透孔50の周縁部に係合される。すると、第1蓋部38が、建物壁Wの裏側の壁材Waに当接し、ヒンジ部41を回動中心として貫通孔36を閉塞する方向に向けて回動し、貫通孔36を若干閉塞する。このため、貫通孔36の開放度合いが小さくなる。次いで、ビス17を回転させ、舌片18を配線ボックス11の前方へ引き寄せて、該舌片18と係合片20によって建物壁Wの表側の壁材Waを挟持させる。その結果、配線ボックス11が壁材Waに固定され、建物壁Wに設置される。その後、波付電線管10内にケーブル(図示せず)が引き込まれ、該ケーブルに配線器具が接続される。
【0039】
なお、上記構成の配線ボックス11は、以下に説明するように、ケーブルCを配線ボックス11内に引き込んだ後に、該配線ボックス11を透孔50内に収容して建物壁Wに設置することも可能である。なお、この場合、波付電線管10内にはケーブルCが挿通されている。
【0040】
まず、図11に示すように、連結片34を分断し、ノック部35を閉塞板30から除去するとともに、挿入孔33を開放させる。次に、連結片31を分断し、閉塞板30を連結部32を回動中心として配線ボックス11の外側へ向けて回動させ、挿通孔29と連通孔55とを連通させる。次いで、建物壁Wの表側に立設された壁材Waに透孔50を穿設し、ケーブルCを透孔50から壁材Waの表側へ引き出す。そして、引き出されたケーブルCの端部を挿通孔29内へ挿入する。このとき、挿通孔29は、閉塞板30が回動したことによる閉塞状態の解除により、閉塞板30の回動前より開口面積が広くなり、さらに、挿通孔29が連通孔55に連通することでさらに開口面積が広くなっている。さらに、閉塞板30自体も挿入孔33によって開口され、閉塞板30が回動することで広くなった挿通孔29に挿入孔33が連通している。このため、挿通孔29へのケーブルCの挿入が速やかに行われる。
【0041】
次いで、図12に示すように、配線ボックス11を底壁12側から透孔50を通過させ、配線ボックス11の開口を建物壁Wの表側に臨ませる。このとき、配線ボックス11は引き出されたケーブルCに沿って透孔50へ向けて移動する。このとき、図11及び図12に示すように、挿入孔33の周縁部33a及び、連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aは緩やかな弧状に形成されている。このため、配線ボックス11がケーブルCに沿って移動しても、挿入孔33の周縁部33a及び連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aによってケーブルCが損傷を受けることが防止される。その後、配線ボックス11が建物壁Wに設置される。
【0042】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)手の指を配線ボックス11の外側へ突出可能とする貫通孔36を底壁12に形成した。そして、配線ボックス11の設置時には、建物壁Wの透孔50に配線ボックス11を通過させた後、貫通孔36から配線ボックス11の外側へ突出させた指で波付電線管10を配線ボックス11側へ引き寄せることで、挿入口21に波付電線管10を挿入、接続することができる。すなわち、透孔50から建物壁W内に配線ボックス11を収容した後に、配線ボックス11に波付電線管10を接続することができ、配線ボックス11を建物壁Wに後付けすることができる。したがって、配線ボックス11に波付電線管10を接続した後に、該配線ボックス11を建物壁W内に収容する場合のように、配線ボックス11と波付電線管10を同時に通過可能とする大きな透孔50を壁材Waに穿設する必要が無くなり、透孔50のサイズを配線ボックス11の外形よりわずかに大きいサイズとすることができる。その結果として、透孔50が配線ボックス11の外形より遙かに大きくなることにより、配線ボックス11の固定が不十分の場合には、該配線ボックス11が透孔50内でがたつくといった不具合の発生を防止することができる。
【0043】
(2)また、配線ボックス11を建物壁W内に収容した後、又は収容する途中に、配線ボックス11に波付電線管10を接続することができるため、波付電線管10を透孔50から建物壁Wの表側に引き出す必要がなくなる。したがって、波付電線管10を建物壁Wの表側に引き出す際に、波付電線管10が透孔50の周縁に接触して、透孔50や波付電線管10が損傷を受けることを無くすことができる。
【0044】
(3)貫通孔36は、蓋部材37(第1蓋部38及び第2蓋部39)によって閉塞され、波付電線管10の接続時にヒンジ部41を回動中心として蓋部材37(第1蓋部38)を回動させることで貫通孔36の開口面積を広げて指を挿通することが可能となる。したがって、貫通孔36に指を通すまでは、すなわち、配線ボックス11を建物壁Wに設置するまでは蓋部材37によって底壁12が閉塞されるとともに剛性を高い状態に維持することができる。その結果、例えば、配線ボックス11の運搬等に配線ボックス11が変形したり、破損したりすることを抑制することができるとともに、配線ボックス11内へのゴミ等の侵入を抑制することができる。
【0045】
(4)波付電線管10が配線ボックス11に接続された後、蓋部材37(第1蓋部38)は壁材Waに当接することにより貫通孔36を閉塞する方向へ回動する。このため、閉鎖部材27によって貫通孔36の開放度合いを小さくすることができるとともに、貫通孔36を開放させる方向への蓋部材37の回動を規制することができる。したがって、蓋部材37によって、波付電線管10が収容口21bから挿入口21外へ抜け出ることを防止することができる。
【0046】
(5)蓋部材37(第1蓋部38)は、配線ボックス11の外側へ突出する方向へ回動して貫通孔36を開放する。このため、例えば、蓋部材37が配線ボックス11の内側へ入り込む方向へ回動した場合のように蓋部材37が配線ボックス11内に存在することがない。したがって、蓋部材37がボックス内空間11a内への手の挿入の妨げとなることが防止でき、さらに、挿入口21内に波付電線管10を挿入するとき、蓋部材37が障害となることが無く、挿入口21に波付電線管10を速やかに接続することができる。
【0047】
(6)挿入口21には接続部22が形成され、この接続部22に凹条10bが嵌合された状態では、該接続部22は接続端部10Aの凸条10aに係合するようになっている。このため、接続部22により、挿入口21に挿入された波付電線管10の軸方向への移動を規制した状態で配線ボックス11に波付電線管10を接続することができる。その結果、波付電線管10が配線ボックス11の内側へ過度に入り込むことを防止し、接続端部10Aが配線ボックス11内に収容される配線器具の妨げとなることを防止することができる。
【0048】
(7)挿入口21の接続部22には、抜出し規制部23a,24aが形成され、この抜出し規制部23a,24aは接続端部10Aの凸条10aに係合可能に形成されている。このため、挿入口21に挿入された波付電線管10の径方向への移動を規制して、挿入口21(接続口21a)からの波付電線管10の径方向への抜け出しを規制することができる。その結果として、波付電線管10に保護されたケーブルCを配線ボックス11内に引き込んだ状態を維持することができる。
【0049】
(8)蓋部材37(第1蓋部38)は、連結片40を介して底壁12に連結されている。このため、蓋部材37を回動させない場合は、蓋部材37は底壁12に一体化されて揺動することを防止することができる。
【0050】
(9)蓋部材37(第1蓋部38)は、貫通孔36を開放させるとき、ヒンジ部41を回動中心として回動する。すなわち、蓋部材37はヒンジ部41を介して底壁12に連結されている。このため、貫通孔36を開放させても蓋部材37は配線ボックス11から分断されることはなく、配線ボックス11を設置する際に蓋部材37がゴミ(廃棄物)として生じることを無くすことができる。
【0051】
(10)配線ボックス11の挿通孔29にケーブルC(ケーブル類)を挿入して該配線ボックス11を建物壁Wに設置する場合において、連結部32を回動中心として閉塞板30(閉塞部)を回動させることにより、閉塞板30による挿通孔29の閉塞状態を解除することができる。このとき、閉塞板30は連結部32によって第2側壁13b(周壁)に連結されたままであるため、配線ボックス11の設置作業の際に、挿通孔29を閉塞する閉塞板30が、配線ボックス11から分離された廃棄物となることが防止される。
【0052】
(11)連結部32は、第2側壁13b(周壁)と閉塞板30(閉塞部)との連結箇所を薄肉状に成形してなるヒンジより形成されている。すなわち、配線ボックス11の成形時に薄肉状に成形した簡単な構成で、閉塞板30を配線ボックス11に一体化しつつ回動可能とする構成を可能とすることができる。
【0053】
(12)閉塞板30(閉塞部)を回動させた状態では、該閉塞板30の端縁が、閉塞板30の形成された第2側壁13bに隣接する底壁12(周壁)から離間して挿通孔29の開口面積が広くなる。さらに、閉塞板30の底壁12側に挿入孔33を形成することで、開放された挿通孔29に挿入孔33が連通し、挿入孔33を形成しない場合に比して挿通孔29の開口面積をより広くすることができる。その結果として、閉塞板30が第2側壁13bに一体化されていても、ケーブルCを挿通孔29に挿入する作業の作業性を向上させことができる。
【0054】
(13)挿通孔29には連通孔55が連通されており、挿通孔29は該挿通孔29が形成された第2側壁13bから底壁12にまで跨って形成されている。このため、例えば、挿通孔29が、該挿通孔29が形成された第2側壁13bのみに形成されている場合に比して、閉塞板30を回動させたときの挿通孔29の開口面積を広くすることができ、ケーブルCを挿通孔29に挿入する作業の作業性を向上させることができる。
【0055】
(14)閉塞板30(閉塞部)を回動させ、ケーブルC(ケーブル類)を挿通孔29に挿入した状態で、配線ボックス11がケーブルCに沿って移動したとき、連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aとケーブルCとが摺接する場合がある。このとき、閉塞板30を回動させた後の連結部32にて、配線ボックス11内に臨む箇所32aは緩やかな弧状に形成されているため、該箇所32aがピン角状に形成されている場合のように、ケーブルCが損傷を受けることを防止することができる。また、閉塞板30の挿入孔33の周縁部33aも緩やかな弧状をなすため、配線ボックス11がケーブルCに沿って移動したとき、ケーブルCに挿入孔33の周縁部33aが摺接するが、該挿入孔33によってケーブルCが損傷を受けることを防止することができる。
【0056】
(15)挿入口21に波付電線管10(管類)の接続端部10Aを挿入する際、収容口21bに接続端部10Aを収容すると、接続端部10Aの外面(凸条10aの外面)に抜出し規制部23aが係合し、波付電線管10の移動が一旦停止される。このとき、接続端部10Aの内側が、収容口21bから配線ボックス11の内側に露出しているため、指を挿入したまま収容口21b側から接続口21aへ向けて波付電線管10を引っ張ることができる。そして、指を接続端部10Aの内側に引っ掛けて引っ張ると、接続端部10Aはその引っ張り方向へ弾性変形するため、収容口21b側から接続口21aに向けて細長に延びるように弾性変形して抜出し規制部23aを通過させやすくすることができる。これに対し、波付電線管10の外面を、収容口21b側から接続口21a側へ向けて押す方法は、接続端部10Aが前記引っ張り方向と交差する方向へ拡がるように弾性変形するため、接続端部10Aの抜出し規制部23aへの係合面積が拡がることとなる。したがって、接続端部10Aの内側に指を引っ掛けて引っ張る方法は、波付電線管10の外面を、収容口21b側から接続口21a側へ向けて押す方法に比して、接続端部10Aを挿入口21に挿入、接続しやすくなる。
【0057】
(16)抜出し規制部23aに接続端部10Aの外面が係合した状態では、波付電線管10の内側の半分以上(略2/3)が配線ボックス11の内側に露出している。このため、接続端部10Aの内側に確実に指を挿入することができ、接続端部10Aの内側に指を引っ掛けて波付電線管10を引っ張る作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0058】
(17)収容口21bは第1側壁13aから底壁12に跨って形成されている。このため、建物壁Wの構築後に、配線ボックス11を透孔50を通過させた際に、接続端部10Aが底壁12側から収容口21b内へ収容されやすくなる。そして、このとき、接続端部10Aの内側が、収容口21bから配線ボックス11の内側に露出し、接続端部10Aの内側に手の指を挿入することができる。したがって、建物壁Wの表側に波付電線管10を引き出し、配線ボックス11の挿入口21に挿入した後、配線ボックス11を透孔50に収容する作業が必要なくなり、その結果として、引き出した波付電線管10とともに配線ボックス11を透孔50を通過可能とするために透孔50が大型化してしまうことも無くなる。
【0059】
(18)蓋部材37(第1蓋部38)が回動し、貫通孔36の開口面積が蓋部材37の回動前より広くなった状態では、第1蓋部38は貫通孔36へ向かって傾斜した状態になっている。このため、第1蓋部38に接続端部10Aの端縁を当接させた状態で波付電線管10を挿入口21側へ引き寄せることで、波付電線管10を挿入口21(収容口21b)側へ向かうようにガイドすることができる。したがって、波付電線管10を挿入口21に向けて引き寄せる作業を行い易くすることができる。
【0060】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 抜出し規制部23aに接続端部10Aの凸条10aが係合した状態において、接続端部10Aの内側の半分未満又は内側の全てが配線ボックス11の内側に露出するように抜出し規制部23aの位置及び収容口21bの接続口21a側への深さを設定してもよい。すなわち、抜出し規制部23aに接続端部10Aの凸条10aが係合した状態において、接続端部10Aの内側に指を挿入することが可能となるように波付電線管10の管径に合わせて抜出し規制部23aの位置及び収容口21bの接続口21a側への深さを設定してもよい。
【0061】
○ 閉塞板30が回動した状態において、連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aが緩やかな弧状に形成されていなくてもよい。
○ 底壁12において、挿通孔29に連通する連通孔55を削除してもよい。
【0062】
○ 第2側壁13bの閉塞板30は連結部32によって連結されておらず、第2側壁13bから除去可能であってもよい。
○ 閉塞板30において、挿入孔33を削除し、この削除に伴いノック部35を削除してもよい。
【0063】
○ 図13に示すように、建物壁W内に配線ボックス11が予め設置されているとともに、該配線ボックス11の挿通孔29内にケーブルCが挿入された状態で該ケーブルCを建物壁Wの表側へ引き出してもよい。この場合、ボックス内空間11aの開口が建物壁Wの表側へ臨むように壁材Waに透孔50が穿設される。そして、ケーブルCが配線ボックス11の開口を介して建物壁Wの表側へ引き出される際、該ケーブルCはボックス内空間11aの開口側にある連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32a及び挿入孔33の周縁部33aに摺接する場合がある。このとき、閉塞板30を回動させた後の連結部32及び挿入孔33の周縁部33aは緩やかな弧状に形成されているため、該連結部32及び周縁部33aがピン角状に形成されている場合のように、ケーブルCが損傷を受けることを防止することができる。
【0064】
○ 図14に示すように、挿通孔29は、第2側壁13bにヒンジ連結された閉塞部60によって閉塞されていてもよい。前記挿通孔29は底壁12側に開放されていない。また、閉塞部60は左右方向へ直線状に延びる連結部61によって第2側壁13bに一体化されている。
【0065】
○ 図15に示すように、挿通孔29は、第2側壁13bに形成されたヒンジよりなる連結部61によって部分的に閉塞されていてもよい。
○ 以下に説明するように、回動した蓋部材37(第1蓋部38)を利用してケーブルCを配線ボックス11内に引き込む作業を行ってもよい。図16に示すように、まず、閉鎖部材27が除去されて挿入口21が開放されるとともに、第1蓋部38を回動させて貫通孔36が開放された配線ボックス11を透孔50を通過させ、係合片20を透孔50の周縁部に係合させる。このとき、蓋部材37(第1蓋部38)は、壁材Waに当接することにより貫通孔36の開放度合いを小さくする方向へ回動している。次に、実施形態と同様に指で波付電線管10を配線ボックス11側に引き寄せ、接続端部10Aを収容口21bに収容するとともに、凸条10aを抜出し規制部23aに係合させる。そして、この状態で波付電線管10内にケーブルCを挿入すると、ケーブルCは底壁12に対して斜めに傾斜した蓋部材37(第1蓋部38)に当接し、貫通孔36へ向かうようにガイドされる。その結果、ケーブルCは貫通孔36を通過して配線ボックス11内へ入り込む。
【0066】
○ 蓋部材37を底壁12に連結する連結片40は、その分断後に分断箇所同士が係合することで、回動した蓋部材37(第1蓋部38又は第2蓋部39)を貫通孔36を閉塞する位置に保持させる係合部であってもよい。また、底壁12と蓋部材37(第1蓋部38又は第2蓋部39)との間に、蓋部材37が貫通孔36を閉塞する方向へ回動した際に、互いに係合することで該蓋部材37を閉塞位置に保持する保持手段を連結片40とは別に備えていてもよい。
【0067】
○ 蓋部材37(第1蓋部38及び第2蓋部39の少なくとも一方)に、ボックス内空間11a内へ突出する突部を形成してもよい。このように構成すると、貫通孔36を開放させる方向へ回動した蓋部材37を、貫通孔36を閉塞する方向へ回動させる際、前記突部を手の指で摘んだり、工具を係止させることで蓋部材37を回動させる作業を容易に行うことができる。
【0068】
○ 閉塞板30を第2側壁13bに連結する連結片31は、その分断後に分断箇所同士が係合することで、回動した閉塞板30を挿通孔29を閉塞する位置に保持させる係合部であってもよい。また、第2側壁13bと、閉塞板30との間に、閉塞板30が挿通孔29を閉塞する方向へ回動した際に、互いに係合することで該閉塞板30を閉塞位置に保持する保持手段を連結片31とは別に備えていてもよい。
【0069】
○ 挿通孔29の周縁に、該挿通孔29を閉塞する別の閉塞部を形成するとともに、該別の閉塞部に閉塞板30を連結部32を介してヒンジ連結してもよい。
○ 第2側壁13bにおいて、挿通孔29の周縁であり、閉塞板30との連結箇所を薄肉状に成形せず、第2側壁13bの厚みのままとしてもよい。そして、挿通孔29の周縁であり、閉塞板30との連結箇所を回動中心として閉塞板30を回動させる構成としてもよく、この場合、挿通孔29の周縁と閉塞板30との連結箇所が閉塞板30の連結部を構成している。
【0070】
○ 接続部22を削除し、凹条10bを挿入口21の周縁に嵌合させてもよい。このとき、第1側壁13aの上面に抜出し規制部が突設されている。
○ 配線ボックス11の設置時に、底壁12に貫通孔36を穿設してもよく、この場合、貫通孔36は蓋部材37ではなく底壁12に閉塞されている。
【0071】
○ 底壁12において、蓋部材37の周縁を薄肉状に成形して、配線ボックス11の設置時に薄肉状をなす箇所を切断して蓋部材37(第1蓋部38)を回動させて貫通孔36を開放させてもよい。
【0072】
○ 貫通孔36は、蓋部材37だけでなく、他の蓋部材とともに閉塞されていてもよい。また、蓋部材37は前記他の蓋部材にヒンジ部を介して連結されていてもよい。
○ 配線ボックス11の設置時、回動した第1蓋部38を壁材Waに当接させて貫通孔36を閉塞する方向へ回動させないように、第1蓋部38の回動角度を小さくしてもよい。
【0073】
○ 貫通孔36は、蓋部材37によって閉塞されておらず、底壁12にて常に開放されていてもよい。
○ 波付電線管10の一端部(下端部)に管連結具を接続するとともに、該管連結具を波付電線管10の接続端部とし、該接続端部を挿入口21に挿入、接続してもよい。この場合、管連結具の内側に手の指が差し込まれて波付電線管10が配線ボックス11側へ引き寄せられる。
【0074】
○ 底壁12において、第1蓋部38を実施形態よりコンパクトにし、貫通孔36の一部を第1蓋部38で閉塞しつつも、貫通孔36に手の指を挿入可能な大きさにしてもよい。
【0075】
○ 底壁12において、連通孔55を削除するとともに、第2側壁13bの挿通孔29に貫通孔36を連通させてもよい。このように構成した場合、第2蓋部39をヒンジ部41を回動中心として回動させることにより、貫通孔36に指を挿通可能に開放することができ、挿通孔29に波付電線管10を接続する際に、指で波付電線管10を挿通孔29に引き寄せて接続することができる。
【0076】
○ 実施形態において、建物壁W内にケーブルCのみが配設された状態では、配線ボックス11を透孔50内に収容した後、貫通孔36から配線ボックス11外へ手の指を突出させ、ケーブルCを手の指に引っ掛けて挿入口21に引き寄せて挿入口21に挿入するようにしてもよい。
【0077】
○ 配線ボックス11において、挿入口21の収容口21bの深さ及び抜出し規制部23aの位置を変更して、抜出し規制部23aが接続端部10Aの凸条10aに係合した状態において、接続端部10Aの内側に指が挿入できない構成としてもよい。
【0078】
○ 第2側壁13bの挿通孔29及び閉塞板30を削除する代わりに、第2側壁13bに挿入口21を形成し、該挿入口21を閉鎖部材27によって閉鎖してもよい。すなわち、配線ボックス11を、第1側壁13a及び第2側壁13bの両側壁に挿入口21を形成した構成(挿通孔29及び閉塞板30(閉塞部)を削除)としてもよい。この場合、配線ボックス11は、貫通孔36から指を配線ボックス11の外側へ突出可能とする構成であるとともに、抜出し規制部23aに接続端部10Aの凸条10aが係合した状態において、接続端部10Aの内側に指を挿入可能となっている。さらに、この配線ボックス11において、抜出し規制部23aの位置及び収容口21bの深さを変更して、抜出し規制部23aが接続端部10Aの凸条10aに係合した状態において、接続端部10Aの内側に指が挿入できない構成としてもよい。
【0079】
○ 実施形態では、建物壁Wの構築時に波付電線管10を配設した場合について説明したが、建物壁Wの構築時に波付電線管10を配設しなくてもよく、配線ボックス11を設置する際に、建物壁W内に波付電線管10を配設してもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記挿入口には前記管類の接続端部が挿入され、前記側壁における前記挿入口の周囲には、前記接続端部の外面に係合することで前記管類の軸方向への移動を規制する接続部が形成されているとともに、前記接続部には、前記接続端部の外面に係合することで前記管類の径方向に沿った挿入口からの抜け出しを規制する抜出し規制部が形成され、さらに、前記挿入口は前記接続端部を前記側壁に接続するための接続口と、該接続口に連通するとともに該接続口が形成された側壁から底壁にまで跨り、前記接続端部を収容可能とする収容口とを備えており、前記収容口に接続端部が収容され、かつ抜出し規制部に接続端部の外面が係合した状態では、ボックス内空間内に挿入された手の指を接続端部の内側へ挿入可能とする位置にまで接続端部が配線ボックス内へ収容されるように前記収容口の接続口側への深さ及び抜出し規制部の形成位置が設定されている請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0081】
(2)前記抜出し規制部に接続端部の外面が係合した状態では、接続端部の内側の半分以上が配線ボックスの内側に露出している技術的思想(1)に記載の配線ボックス。
(3)前記側壁には、前記管類又はケーブル類を挿通可能とする挿通孔が形成され、該挿通孔は閉塞部により閉塞されているとともに、前記閉塞部は、前記側壁、又は前記閉塞部とは別に挿通孔を閉塞するとともに側壁に一体形成された別の閉塞部に連結部を介して連結され、該閉塞部は前記連結部を回動中心として回動可能に形成されている請求項5〜請求項7、技術的思想(1)及び(2)のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0082】
(4)前記連結部は、前記側壁と閉塞部との連結箇所又は閉塞部と別の閉塞部との連結箇所を薄肉状に成形してなるヒンジより形成されている技術的思想(3)に記載の配線ボックス。
【0083】
(5)前記連結部は、前記ヒンジを直線状に形成してなる技術的思想(4)に記載の配線ボックス。
(6)前記挿通孔は、前記側壁にて前記底壁の端縁に達するまで形成され、前記閉塞部には、該閉塞部にて前記底壁の端縁側に向けて開放された挿入孔が形成されている技術的思想(3)〜(5)のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0084】
(7)前記挿通孔は、該挿通孔が形成された側壁から前記底壁に跨るように形成されている技術的思想(6)に記載の配線ボックス。
(8)前記閉塞部の回動後の前記連結部において、配線ボックス内に臨む箇所は前記連結部が形成された側壁の厚み方向への断面視が緩やかな弧状に形成されている技術的思想(3)〜(7)のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0085】
(9)前記連結部は前記側壁における前記ボックス内空間の開口側に形成されている技術的思想(8)に記載の配線ボックス。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態の配線ボックスを前面側から示す斜視図。
【図2】配線ボックスを底壁側から示す斜視図。
【図3】(a)は配線ボックスを第2側壁側から示す斜視図、(b)は図3(a)の3b−3b線断面図。
【図4】配線ボックスを透孔に収容した状態を示す正面図。
【図5】配線ボックスを透孔に収容した状態を示す斜視図。
【図6】貫通孔に手の指を挿通した状態を示す断面図。
【図7】波付電線管を配線ボックス側に引き寄せた状態を示す断面図。
【図8】挿入口における波付電線管を示す平面図。
【図9】挿入口における波付電線管を示す平面図。
【図10】配線ボックスに波付電線管が接続された状態を示す側面図。
【図11】挿通孔にケーブルを挿通した状態を示す断面図。
【図12】挿入孔にケーブルが挿入された状態を示す断面図。
【図13】別例を示す側断面図。
【図14】別例の挿通孔を示す斜視図。
【図15】別例の挿通孔を示す斜視図。
【図16】別例の配線ボックスの設置方法を示す側断面図。
【符号の説明】
【0087】
C…ケーブル類としてのケーブル、W…建物壁、10…管類としての波付電線管、11a…ボックス内空間、11…配線ボックス、12…底壁、13(13a,13b,13c,13d)…側壁(第1〜第4側壁)、21…挿入口、36…貫通孔、37…蓋部材、38…蓋部材を構成する第1蓋部、39…蓋部材を構成する第2蓋部、40…連結片、41…ヒンジ部、50…透孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、底壁に側壁が立設されて有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有する配線ボックスの建物壁への設置方法及び配線ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物壁にスイッチ等の配線器具を設置する場合、前記建物壁には配線ボックスが設置される。また、配線ボックス内には、前記配線器具に接続されるケーブルが引き込まれ、このケーブルは配線ボックスに接続された電線保護管内に挿通されて保護されている。前記電線保護管は、合成樹脂材料よりなり、リング状山部とリング状谷部とが繰り返し連続形成された可撓管である。
【0003】
また、前記配線ボックスとしては例えば、特許文献1に開示の電設用ボックス(配線ボックス)が挙げられる。この電設用ボックスは、四角板状をなす底壁の周縁に側壁が立設されたボックス本体を有している。前記ボックス本体における前記側壁には保護管保持用口部が開設されている。また、側壁には、該側壁における底壁側の端縁で開放する切欠口部が前記保護管保持用口部に連通して形成され、さらに、底壁には前記切欠口部につながる開口部が形成されている。なお、前記保護管保持用口部、及び切欠口部と開口部はそれぞれ蓋板によって閉塞されている。また、保護管保持用口部と切欠口部との境界箇所には突片が相対向して形成されている。
【0004】
上記構成の電設用ボックスを用いて配線器具を建物壁に設置する方法としては、一対の壁材によって建物壁を構築する前に電設用ボックスを柱に固定する方法(所謂、先付け方法)がある。この先付け方法は、まず、電設用ボックスを柱の側面に固定し、次いで、電線保護管を接続するために必要になる保護管保持用口部、切欠口部、及び開口部を閉塞している蓋板を除去する。次に、電線保護管を前記保護管保持用口部に向けて径方向に移動させ、開口部、切欠口部に差し込み、さらに奥方に押し込む。すると、リング状谷部に保護管保持用口部が嵌合し、電線保護管が側壁に保持(接続)される。また、一対の突片により、保護管保持用口部に保持された電線保護管の切欠口部からの抜け出しが規制されるようになっている。その後、電線保護管内にケーブルが挿入され、電設用ボックス内にまでケーブルが引き込まれる。
【0005】
そして、該電設用ボックスの開口が建物壁の表側に臨むように一対の壁材を立設して建物壁を構築する。その後、建物壁の表側の壁材に透孔を穿設し、電設用ボックスを建物壁の表側に臨ませるとともに、ケーブルを建物壁の表側に引き出し、該ケーブルと配線器具とを接続する。そして、配線器具が電設用ボックス内に収容された後、化粧プレート等によって電設用ボックスの開口が閉塞されるとともに、配線器具が建物壁に設置される。
【0006】
また、電設用ボックスを用いて配線器具を建物壁に設置する方法として、上記先付け方法の他に前記建物壁を構築した後に電設用ボックスを建物壁に固定する方法(所謂、後付け方法)も存在する。この後付け方法は、建物壁の構築後に、建物壁の表側の壁材に透孔を穿設し、電線保護管を建物壁の表側に引き出す。次に、上述のように、前記蓋板が除去された保護管保持用口部に電線保護管を保持(接続)させる。その後、引き出した電線保護管を透孔から建物壁内に収容し、さらに、電設用ボックスを透孔を通過させて建物壁内に収容する。そして、電設用ボックスの開口を建物壁の表側に臨ませた状態で電設用ボックスを壁材に固定し、その後、ケーブルを壁表側に引き出し、該ケーブルと配線器具とを接続する。そして、配線器具が電設用ボックス内に収容された後、化粧プレート等によって電設用ボックスの開口が閉塞されるとともに、配線器具が壁に設置される。
【特許文献1】実開平7−11822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、電設用ボックスの後付け方法においては、電設用ボックスは電線保護管が接続された状態で透孔を通過させて建物壁に固定される。このとき、電線保護管は屈曲させることが困難であるため、電線保護管が接続された電設用ボックスは建物壁の壁面(鉛直方向)に対して斜めに傾いた状態でしか透孔を通過させることができない。すなわち、電線保護管が接続された電設用ボックスは、電設用ボックスの外形サイズよりわずかに大きく穿設された透孔を通過させることは不可能である。このため、電線保護管が接続された電設用ボックスを通過可能とするため、電設用ボックスの外形より遙かに大きくした透孔を建物壁に穿設しなければならない。なお、前記電線保護管の代わりにケーブル、特に屈曲させることが困難な大径ケーブルを電設用ボックスに引き込んだ場合であっても、電設用ボックスを通過可能とするために透孔を電設用ボックスの外形より遙かに大きくしなければならない。したがって、電設用ボックスの後付け方法においては、透孔内に電設用ボックスが収容された状態では、該電設用ボックスと透孔との間に大きな隙間ができ、電設用ボックスの壁材への固定が不十分の場合には、電設用ボックスが透孔内でがたつく等の不具合が発生していた。
【0008】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、透孔に配線ボックスを通過させた後に挿入孔に管類又はケーブル類を挿入することができ、透孔の大型化を抑制して該大型化に起因した不具合の発生を防止することができる配線ボックスの設置方法及び配線ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、底壁に側壁が立設されて有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有する配線ボックスの建物壁への設置方法であり、前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間内に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成され、前記配線ボックスを前記底壁側から挿入可能な透孔を前記建物壁に穿設し、前記透孔に配線ボックスを底壁側から挿入して前記開口が建物壁の表側に臨むように配置し、前記開口からボックス内空間に手を挿入し、前記貫通孔から配線ボックスの外側へ手の指を突出させ、前記建物壁内に配設された管類又はケーブル類に指を係止させ、手を建物壁の表側へ移動させることで管類又はケーブル類を底壁側に引き寄せ、該管類又はケーブル類を前記挿入口内に挿入した後、配線ボックスを建物壁に固定することを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、底壁の周縁に側壁が立設された有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有し、建物壁に穿設された透孔から前記建物壁に設置される配線ボックスであって、前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成されていることを要旨とする。
【0011】
したがって、請求項1又は請求項5に記載の発明によれば、配線ボックスの建物壁への設置時には、貫通孔から配線ボックスの外側へ突出させた指で管類又はケーブル類を底壁側へ引き寄せることが可能となり、そのまま挿入口に管類又はケーブル類を挿入することができる。このため、透孔に配線ボックスを通過させ、建物壁内に配線ボックスを収容した後であっても、配線ボックスの挿入口に管類又はケーブル類を挿入することが可能となる。したがって、建物壁の表側に管類又はケーブル類を引き出し、配線ボックスの挿入口に挿入した後、該管類又はケーブル類が挿入された配線ボックスを透孔を通過させて建物壁内に収容する作業を行う必要がなくなる。その結果として、引き出した管類又はケーブル類とともに配線ボックスを透孔を通過可能とするために、該透孔が大型化してしまうことを無くし、透孔のサイズを配線ボックスの外形よりわずかに大きいサイズとすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線ボックスの設置方法において、前記貫通孔の少なくとも一部は蓋部材により閉塞され、前記蓋部材による貫通孔の閉塞状態を解除した後、該貫通孔から前記指を配線ボックスの外側へ突出させることを要旨とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、配線ボックスを建物壁に設置するまでは蓋部材によって底壁が閉塞され、剛性を高い状態に維持することができる。したがって、例えば、配線ボックスの運搬等に配線ボックスが変形したり、破損したりすることを抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配線ボックスの設置方法において、前記蓋部材は、前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は挿入口に管類又はケーブル類が挿入された後、前記蓋部材を前記建物壁に当接させることで前記ヒンジ部を回動中心として該蓋部材を貫通孔を閉塞する方向へ回動させることを要旨とする。請求項3に記載の発明によれば、配線ボックスを建物壁内へ収容すると蓋部材によって貫通孔の開放度合いを小さくすることができる。そして、配線ボックスの設置後、挿入口に挿入された管類又はケーブル類が挿入口から抜け出る方向へ移動した際には、管類又はケーブル類が蓋部材に当接するため、挿入口からの抜け出しを規制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の配線ボックスの設置方法において、前記蓋部材は、前記ヒンジ部を回動中心として配線ボックスの外側に向けて回動させることを要旨とする。請求項4に記載の発明によれば、回動した蓋部材が、ボックス内空間内への手の挿入の障害となることを防止することができ、さらには、挿入口内への管類又はケーブル類の挿入途中に、回動した蓋部材が管類又はケーブル類の挿入の障害となることを無くすことができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の配線ボックスにおいて、前記貫通孔は蓋部材により少なくとも一部が閉塞されているとともに、該蓋部材は前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は前記ヒンジ部を回動中心として貫通孔を開放させる方向へ回動可能に形成されていることを要旨とする。請求項6に記載の発明によれば、配線ボックスを建物壁に設置するまでは蓋部材によって底壁が閉塞されるとともに剛性を高い状態に維持することができる。したがって、例えば、配線ボックスの運搬等に配線ボックスが変形したり、破損したりすることを抑制することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の配線ボックスにおいて、前記蓋部材は、貫通孔の周縁に連結片によって連結されていることを要旨とする。請求項7に記載の発明によれば、連結片を分断することにより、ヒンジ部を残して蓋部材を貫通孔の周縁から分離させて回動可能とすることができる。したがって、例えば、ヒンジ部以外の蓋部材の周縁を底壁から切断して蓋部材を回動させる場合に比して、該回動作業を容易とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、透孔に配線ボックスを通過させた後に挿入孔に管類又はケーブル類を挿入することができ、透孔の大型化を抑制して該大型化に起因した不具合の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12にしたがって説明する。なお、以下の説明において配線ボックスの「前」「後」は、図1に示す矢印Y1の方向を前後方向とし、「左」「右」は、図1に示す矢印Y2の方向を左右方向とし、「上」「下」は、図1に示す矢印Y3の方向を上下方向とする。
【0020】
まず、配線ボックスに接続される管類としての波付電線管10について説明する。図6に示すように、合成樹脂製の波付電線管10は円管状をなすとともに、管の周方向に延びる円環状の凸条10a及び凹条10bが管の軸方向に交互に形成されており、可撓性を有する。また、前記配線ボックスが設置される建物壁Wは、一対の壁材Waを所定間隔を開けて相対向するように立設することで構築され、該建物壁W内には前記波付電線管10が配設されている。
【0021】
次に、前記建物壁Wに設置されるとともに、前記波付電線管10が接続される配線ボックス11について説明する。図1に示すように、合成樹脂製の配線ボックス11は、四角板状をなす底壁12と、該底壁12の四側周縁から立設された側壁13a〜13dとから有底四角箱状に形成されている。そして、配線ボックス11は、前記底壁12及び側壁13a〜13dよりなる周壁によって、配線ボックス11の内側にボックス内空間11aが囲み形成されているとともに、底壁12に対向する側にボックス内空間11aが開口されている。なお、以下の説明において、説明を容易とするために、図1において、底壁12の上側縁に立設された側壁13を第1側壁13a、底壁12の下側縁に立設された側壁13を第2側壁13b、底壁12の左側縁に立設された側壁13を第3側壁13c、底壁12の右側縁に立設された側壁13を第4側壁13dとする。そして、第1側壁13aと第2側壁13bは上下方向に相対向し、第3側壁13cと第4側壁13dとは左右方向に相対向している。
【0022】
前記第3側壁13c及び第4側壁13dには、配線ボックス11の前後方向(深さ方向)へ延びる長孔状の固定孔14が2箇所ずつ形成されている。そして、前記固定孔14から柱(図示せず)に固定ビス(図示せず)を固定することにより、配線ボックス11を柱の側面に固定することが可能となっている。また、配線ボックス11の四隅部の前側にはビス取付部15が形成されているとともに、底壁12における前記ビス取付部15に対向する位置にはビス挿通孔16が形成されている(図2参照)。そして、各ビス取付部15からビス挿通孔16にビス17が挿通されることで配線ボックス11の四隅部にビス17が取り付けられているとともに、各ビス17には金属板製の舌片18が螺着されている。第1〜第4側壁13a〜13dの底壁12側には、前記舌片18を収容する収容孔19が形成されている。前記第3側壁13c及び第4側壁13dにおいて、配線ボックス11の開口側の端面たる前端面には、配線ボックス11の外側方へ向けて突出する係合片20が一対ずつ形成されている。
【0023】
図5に示すように、第1側壁13aには、略U字状をなす挿入口21が2箇所に形成され、この挿入口21には前記波付電線管10の一端部(下端部)たる接続端部10Aが挿入、接続されるようになっている(図8参照)。なお、挿入口21は、配線ボックス11の未使用時(例えば、運搬時等)には閉鎖部材27によって閉鎖されているが、以下の挿入口21の説明は、閉鎖部材27を除去した状態で行う。各挿入口21は、前記接続端部10Aを第1側壁13aに接続するための接続口21aと、前記接続端部10Aを前記接続口21aに向けてガイド可能に収容する収容口21bとを備えている。前記収容口21bは、第1側壁13aと、該第1側壁13aに隣接する底壁12とに跨って形成され、該第1側壁13aの底壁12側と、底壁12の第1側壁13a側が切り欠かれることで形成されている。
【0024】
収容口21bにおいて、第1側壁13a長さ方向(左右方向)に沿った開口幅は波付電線管10の凸条10aにおける外径より大きく形成されている(図8参照)。また、収容口21bにおいて、第1側壁13aに直交する方向(上下方向)に沿った開口深さは、接続端部10Aの複数の凸条10a及び凹条10bを配線ボックス11内に収容可能な深さに形成されている(図7参照)。そして、底壁12の裏側に配設された波付電線管10を底壁12に向けて径方向へ移動させると、収容口21bには接続端部10Aを収容することができ、本実施形態では接続端部10Aの径方向に沿った略2/3を収容口21bに収容することが可能となっている。また、収容口21bに接続端部10Aが収容された状態では、接続端部10Aの内側が配線ボックス11の内側(ボックス内空間11a)に露出し、接続端部10Aの内側の略2/3が配線ボックス11の内側に露出するようになっている。
【0025】
図1、図2及び図5に示すように、前記接続口21aは前記収容口21bに連通するように、収容口21bより配線ボックス11の開口側に形成されている。図2に示すように、第1側壁13aには、挿入口21の周縁に沿って延びる接続部22が接続口21a内に向けて突設され、この接続部22は波付電線管10をその軸方向への移動を規制した状態で第1側壁13a(周壁)に接続するために設けられている。接続部22は、接続口21aの周縁に一体形成された第1接続部23と、該第1接続部23に沿って形成された第2接続部24とを備えている。前記第1接続部23と第2接続部24は、両接続部23,24の間に形成された複数の連結片25によって連結されている。接続口21aにおける第1側壁13aの長さ方向(左右方向)への開口幅は、収容口21bにおける前記開口幅より狭くなっている。
【0026】
そして、図5に示すように、連結片25を分断することにより、第1接続部23から第2接続部24を除去することが可能となっている。第2接続部24が除去された状態において、収容口21bに収容された波付電線管10を接続口21a側へ移動させると、第1接続部23が接続端部10Aの凹条10bに嵌合するようになっており、この嵌合により波付電線管10が挿入口21に接続されるようになっている。また、この接続状態において、第1接続部23が、接続端部10Aの外面としての凸条10aの外面に係合することで波付電線管10の軸方向への移動が規制されるようになっている。また、図示しないが、第2接続部24が除去されていない状態で、前記第1接続部23に嵌合可能な波付電線管10よりも小径の波付電線管(図示せず)を収容口21bから接続口21a側へ移動させると、第2接続部24が小径の波付電線管の凹条に嵌合するようになっている。そして、この嵌合により小径の波付電線管を挿入口21に接続することができるようになっている。
【0027】
図2に示すように、前記収容口21bと接続口21aの間となる第1接続部23の上面には、突起状の抜出し規制部23aが形成されている。この抜出し規制部23aは、前記第1接続部23によって接続口21aに接続された波付電線管10における接続端部10Aの凸条10aに係合することで、波付電線管10の径方向に沿った接続口21aからの抜け出しを規制するようになっている。また、収容口21bと接続口21aの間となる第2接続部24の上面には、突起状の抜出し規制部24aが形成されている。この抜出し規制部24aは、前記第2接続部24によって接続口21aに接続された前記小径の波付電線管における接続端部の凸条に係合することで、小径の波付電線管の径方向に沿った接続口21aからの抜け出しを規制するようになっている。なお、前記抜出し規制部23a,24aは、前記収容口21bに前記波付電線管10を収容し、凹条10bに接続部22が嵌合する前に、接続端部10Aの凸条10aが係合する位置に形成されている。そして、図8の網掛け部に示すように、凸条10aに抜出し規制部23a,24aが係合した状態では、接続端部10Aにて径方向に沿った略2/3が配線ボックス11内に収容されるように、収容口21bの接続口21a側への深さ及び抜出し規制部23a,24aの位置が設定されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、各挿入口21において、接続口21a、及び収容口21bにおける上面側は、前記閉鎖部材27によって閉塞され、この閉鎖部材27は第2接続部24の周縁に連結片28を介して連結されている。すなわち、閉鎖部材27は、連結片28、及び接続部22を介して第1側壁13aに連結されている。前記閉鎖部材27は薄板状をなし、第1側壁13aの厚みよりも薄くなっている。そして、前記連結片28を分断し、閉鎖部材27を挿入口21から除去することにより、挿入口21(第2接続部24の内側の接続口21a及び収容口21b)を開放させることができるようになっている。
【0029】
図3(a)に示すように、第2側壁13bにて左右方向の中央には、底壁12側から開口側へ向けてU字状に延びる挿通孔29が形成されている。この挿通孔29は、第2側壁13bに隣接する底壁12の端縁に達するまで形成されている。また、挿通孔29は、閉塞部としての閉塞板30によって閉塞され、該閉塞板30は挿通孔29の周縁に連結片31を介して連結されている。また、前記閉塞板30は、底壁12の面に対して平行に延びる挿通孔29の周縁に連結部32を介して連結され、該連結部32は第2側壁13bにて、ボックス内空間11aの開口側に左右方向へ直線状に延びるように形成されている。また、図3(b)に示すように、連結部32は、第2側壁13bの長さ方向に対して直交する幅方向、かつ第2側壁13bの厚み方向に沿った断面視が、前記幅方向へテーパ状に凹むように第2側壁13bを薄肉状に成形することで構成され、該テーパ状をなすことでヒンジとして機能するようになっている。
【0030】
そして、連結部32を回動中心として、閉塞板30を配線ボックス11の外側へ向けて回動させることで、閉塞板30による挿通孔29の閉塞状態を解除して該挿通孔29を開放させ、該挿通孔29に波付電線管10又はケーブルCを挿通することができるようになっている。なお、閉塞板30の第2側壁13bに対する連結部32の回動可能な角度は90度未満となっている(図11参照)。また、図11に示すように、連結部32を回動中心として閉塞板30を配線ボックス11の外側へ向けて回動させた状態において、第2側壁13bの幅方向及び厚み方向に沿った連結部32の断面視では、前記連結部32の配線ボックス11内に臨む箇所32aは緩やかな弧状をなす。
【0031】
また、図3(a)に示すように、前記閉塞板30には、前記底壁12の端縁側に向けて開放された挿入孔33がU字状に延びるように形成されている。この挿入孔33はノック部35によって閉塞され、該ノック部35は挿入孔33の周縁に連結片34を介して連結されている。図3(b)に示すように、前記ノック部35は、閉塞板30より薄板状をなす。また、前記挿入孔33の周縁部33aは、前記第2側壁13bの幅方向及び厚み方向への断面視が緩やかな弧状に成形されている。図2に示すように、第2側壁13bに隣接する底壁12の第2側壁13b側には、閉塞板30を回動させた状態で前記挿通孔29に連通する連通孔55が形成されている。
【0032】
図2に示すように、底壁12の左右両側には、四角孔状をなし、底壁12を厚み方向へ貫通する貫通孔36が配線ボックス11の上下方向へ延びるように形成されている。各貫通孔36のほぼ全体は、それぞれ蓋部材37によって閉塞されているが、各蓋部材37の第1側壁13a側端縁と、前記挿入口21を閉塞する閉鎖部材27の底壁12側端縁との間は離間している。このように、貫通孔36が蓋部材37によって閉塞された状態では、貫通孔36に手の指を通過させて底壁12の裏側へ指を突出させることは不可能となっている。前記蓋部材37は、貫通孔36の第1側壁13a側(上側)ほぼ半分を閉塞する第1蓋部38と、貫通孔36の第2側壁13b側(下側)ほぼ半分を閉塞する第2蓋部39とが一体化されて形成されている。前記第1蓋部38と第2蓋部39とはそれぞれ連結片40を介して貫通孔36の周縁たる底壁12に連結されている。また、第1蓋部38と第2蓋部39とはヒンジ部41を介してヒンジ連結されている。前記ヒンジ部41は、蓋部材37における厚み方向に沿った断面視がテーパ状に凹むように蓋部材37を薄肉状に成形することで構成されている。そして、第1蓋部38及び第2蓋部39のいずれか一方において、前記連結片40を分断すると、該一方の蓋部を前記ヒンジ部41を回動中心として配線ボックス11の外側へ向けて回動させることが可能となる。
【0033】
なお、ヒンジ部41は、第1蓋部38及び第2蓋部39のいずれか一方が、他方に接触することで一方の蓋部の回動角度が90度未満となるように形成されている。図5に示すように、第1蓋部38をヒンジ部41を回動中心として回動させ、第1蓋部38による貫通孔36の閉塞状態を解除したとき、前記貫通孔36に手の指を挿通し、底壁12の裏側に指を突出させることが可能となる。すなわち、第1蓋部38を回動させることで貫通孔36の底壁12での開口面積が、第1蓋部38の回動前より広くなり、その広くなった箇所に手の指を挿通することができるようになる。
【0034】
次に、上記構成の配線ボックス11を建物壁Wを構築した後に、該建物壁Wに設置する方法について説明する。まず、一対の壁材Waを所定間隔をおいて相対向するように立設し、建物壁Wを構築する。この建物壁Wの構築状態では、建物壁Wの内側(一対の壁材Waの間)に波付電線管10が配設されている。次に、図4に示すように、建物壁Wの表側に立設された壁材Waに透孔50を穿設する。この透孔50は、配線ボックス11の外形よりわずかに大きく、配線ボックス11を底壁12側から挿入可能な大きさであるとともに、係合片20が壁材Waにおける透孔50の周縁部に係合可能とする大きさに穿設される。次に、図5に示すように、連結片28を分断して閉鎖部材27を挿入口21内から除去するとともに、第2接続部24を第1接続部23から除去する。さらに、挿入口21に連通する貫通孔36において、第1蓋部38を底壁12に連結する連結片40を分断し、該第1蓋部38をヒンジ部41を回動中心として配線ボックス11の外側へ向けて回動させ、貫通孔36の開口面積を広げる。
【0035】
次いで、図6に示すように、配線ボックス11を底壁12側から透孔50を通過させ、配線ボックス11の開口を建物壁Wの表側に臨ませる。続いて、配線ボックス11の開口からボックス内空間11aに手を挿入し、開口面積の広げられた貫通孔36に指を挿通して該指を配線ボックス11の外側へ突出させて建物壁W内に挿入する。そして、建物壁W内に配設された波付電線管10の接続端部10A(下端部)から波付電線管10の内側に指を挿入し、該指を波付電線管10の内周面に引っ掛ける。次に、手を建物壁Wの表側へ移動させ、指を底壁12側(配線ボックス11側)へ引き寄せて波付電線管10を底壁12側へ引き寄せ、さらに、図7及び図8に示すように、収容口21b内に波付電線管10の接続端部10Aを収容するとともに、凸条10aの外面に抜出し規制部23aを係合させる。
【0036】
図7及び図8の網掛け部に示すように、この係合状態では、波付電線管10の接続端部10Aが配線ボックス11内へ径方向の略2/3が収容され、波付電線管10の内側の半分以上が配線ボックス11の内側に向けて露出している。続けて、波付電線管10を配線ボックス11の内側へ引き寄せると、図8の2点鎖線及び図9に示すように、波付電線管10は収容口21bから接続口21aに向けて、すなわち、挿入口21の長さ方向へ弾性変形する。このとき、指で波付電線管10を、挿入口21の長さ方向(前後方向)へ引っ張ることで、波付電線管10は挿入口21の長さ方向へ細長に延びる楕円状に弾性変形する。そして、波付電線管10が弾性変形することで、波付電線管10の凹条10bに第1接続部23が嵌合されると同時に、抜出し規制部23aに係合した凸条10aが弾性変形して抜出し規制部23aを乗り越える。
【0037】
その結果、図8の2点鎖線及び図10に示すように、抜出し規制部23aよりも挿入口21の奥側、すなわち、接続口21aに波付電線管10が挿入され、この挿入状態では第1接続部23が凹条10bに嵌合している。そして、第1接続部23により、挿入口21の接続口21a内に波付電線管10の軸方向への移動が規制された状態に接続されるとともに、抜出し規制部23aにより、波付電線管10の径方向に沿った挿入口21外への抜け出しが規制されている。
【0038】
また、波付電線管10を配線ボックス11の内側へ引き寄せる際、配線ボックス11は透孔50内へ押し込まれ、係合片20が透孔50の周縁部に係合される。すると、第1蓋部38が、建物壁Wの裏側の壁材Waに当接し、ヒンジ部41を回動中心として貫通孔36を閉塞する方向に向けて回動し、貫通孔36を若干閉塞する。このため、貫通孔36の開放度合いが小さくなる。次いで、ビス17を回転させ、舌片18を配線ボックス11の前方へ引き寄せて、該舌片18と係合片20によって建物壁Wの表側の壁材Waを挟持させる。その結果、配線ボックス11が壁材Waに固定され、建物壁Wに設置される。その後、波付電線管10内にケーブル(図示せず)が引き込まれ、該ケーブルに配線器具が接続される。
【0039】
なお、上記構成の配線ボックス11は、以下に説明するように、ケーブルCを配線ボックス11内に引き込んだ後に、該配線ボックス11を透孔50内に収容して建物壁Wに設置することも可能である。なお、この場合、波付電線管10内にはケーブルCが挿通されている。
【0040】
まず、図11に示すように、連結片34を分断し、ノック部35を閉塞板30から除去するとともに、挿入孔33を開放させる。次に、連結片31を分断し、閉塞板30を連結部32を回動中心として配線ボックス11の外側へ向けて回動させ、挿通孔29と連通孔55とを連通させる。次いで、建物壁Wの表側に立設された壁材Waに透孔50を穿設し、ケーブルCを透孔50から壁材Waの表側へ引き出す。そして、引き出されたケーブルCの端部を挿通孔29内へ挿入する。このとき、挿通孔29は、閉塞板30が回動したことによる閉塞状態の解除により、閉塞板30の回動前より開口面積が広くなり、さらに、挿通孔29が連通孔55に連通することでさらに開口面積が広くなっている。さらに、閉塞板30自体も挿入孔33によって開口され、閉塞板30が回動することで広くなった挿通孔29に挿入孔33が連通している。このため、挿通孔29へのケーブルCの挿入が速やかに行われる。
【0041】
次いで、図12に示すように、配線ボックス11を底壁12側から透孔50を通過させ、配線ボックス11の開口を建物壁Wの表側に臨ませる。このとき、配線ボックス11は引き出されたケーブルCに沿って透孔50へ向けて移動する。このとき、図11及び図12に示すように、挿入孔33の周縁部33a及び、連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aは緩やかな弧状に形成されている。このため、配線ボックス11がケーブルCに沿って移動しても、挿入孔33の周縁部33a及び連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aによってケーブルCが損傷を受けることが防止される。その後、配線ボックス11が建物壁Wに設置される。
【0042】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)手の指を配線ボックス11の外側へ突出可能とする貫通孔36を底壁12に形成した。そして、配線ボックス11の設置時には、建物壁Wの透孔50に配線ボックス11を通過させた後、貫通孔36から配線ボックス11の外側へ突出させた指で波付電線管10を配線ボックス11側へ引き寄せることで、挿入口21に波付電線管10を挿入、接続することができる。すなわち、透孔50から建物壁W内に配線ボックス11を収容した後に、配線ボックス11に波付電線管10を接続することができ、配線ボックス11を建物壁Wに後付けすることができる。したがって、配線ボックス11に波付電線管10を接続した後に、該配線ボックス11を建物壁W内に収容する場合のように、配線ボックス11と波付電線管10を同時に通過可能とする大きな透孔50を壁材Waに穿設する必要が無くなり、透孔50のサイズを配線ボックス11の外形よりわずかに大きいサイズとすることができる。その結果として、透孔50が配線ボックス11の外形より遙かに大きくなることにより、配線ボックス11の固定が不十分の場合には、該配線ボックス11が透孔50内でがたつくといった不具合の発生を防止することができる。
【0043】
(2)また、配線ボックス11を建物壁W内に収容した後、又は収容する途中に、配線ボックス11に波付電線管10を接続することができるため、波付電線管10を透孔50から建物壁Wの表側に引き出す必要がなくなる。したがって、波付電線管10を建物壁Wの表側に引き出す際に、波付電線管10が透孔50の周縁に接触して、透孔50や波付電線管10が損傷を受けることを無くすことができる。
【0044】
(3)貫通孔36は、蓋部材37(第1蓋部38及び第2蓋部39)によって閉塞され、波付電線管10の接続時にヒンジ部41を回動中心として蓋部材37(第1蓋部38)を回動させることで貫通孔36の開口面積を広げて指を挿通することが可能となる。したがって、貫通孔36に指を通すまでは、すなわち、配線ボックス11を建物壁Wに設置するまでは蓋部材37によって底壁12が閉塞されるとともに剛性を高い状態に維持することができる。その結果、例えば、配線ボックス11の運搬等に配線ボックス11が変形したり、破損したりすることを抑制することができるとともに、配線ボックス11内へのゴミ等の侵入を抑制することができる。
【0045】
(4)波付電線管10が配線ボックス11に接続された後、蓋部材37(第1蓋部38)は壁材Waに当接することにより貫通孔36を閉塞する方向へ回動する。このため、閉鎖部材27によって貫通孔36の開放度合いを小さくすることができるとともに、貫通孔36を開放させる方向への蓋部材37の回動を規制することができる。したがって、蓋部材37によって、波付電線管10が収容口21bから挿入口21外へ抜け出ることを防止することができる。
【0046】
(5)蓋部材37(第1蓋部38)は、配線ボックス11の外側へ突出する方向へ回動して貫通孔36を開放する。このため、例えば、蓋部材37が配線ボックス11の内側へ入り込む方向へ回動した場合のように蓋部材37が配線ボックス11内に存在することがない。したがって、蓋部材37がボックス内空間11a内への手の挿入の妨げとなることが防止でき、さらに、挿入口21内に波付電線管10を挿入するとき、蓋部材37が障害となることが無く、挿入口21に波付電線管10を速やかに接続することができる。
【0047】
(6)挿入口21には接続部22が形成され、この接続部22に凹条10bが嵌合された状態では、該接続部22は接続端部10Aの凸条10aに係合するようになっている。このため、接続部22により、挿入口21に挿入された波付電線管10の軸方向への移動を規制した状態で配線ボックス11に波付電線管10を接続することができる。その結果、波付電線管10が配線ボックス11の内側へ過度に入り込むことを防止し、接続端部10Aが配線ボックス11内に収容される配線器具の妨げとなることを防止することができる。
【0048】
(7)挿入口21の接続部22には、抜出し規制部23a,24aが形成され、この抜出し規制部23a,24aは接続端部10Aの凸条10aに係合可能に形成されている。このため、挿入口21に挿入された波付電線管10の径方向への移動を規制して、挿入口21(接続口21a)からの波付電線管10の径方向への抜け出しを規制することができる。その結果として、波付電線管10に保護されたケーブルCを配線ボックス11内に引き込んだ状態を維持することができる。
【0049】
(8)蓋部材37(第1蓋部38)は、連結片40を介して底壁12に連結されている。このため、蓋部材37を回動させない場合は、蓋部材37は底壁12に一体化されて揺動することを防止することができる。
【0050】
(9)蓋部材37(第1蓋部38)は、貫通孔36を開放させるとき、ヒンジ部41を回動中心として回動する。すなわち、蓋部材37はヒンジ部41を介して底壁12に連結されている。このため、貫通孔36を開放させても蓋部材37は配線ボックス11から分断されることはなく、配線ボックス11を設置する際に蓋部材37がゴミ(廃棄物)として生じることを無くすことができる。
【0051】
(10)配線ボックス11の挿通孔29にケーブルC(ケーブル類)を挿入して該配線ボックス11を建物壁Wに設置する場合において、連結部32を回動中心として閉塞板30(閉塞部)を回動させることにより、閉塞板30による挿通孔29の閉塞状態を解除することができる。このとき、閉塞板30は連結部32によって第2側壁13b(周壁)に連結されたままであるため、配線ボックス11の設置作業の際に、挿通孔29を閉塞する閉塞板30が、配線ボックス11から分離された廃棄物となることが防止される。
【0052】
(11)連結部32は、第2側壁13b(周壁)と閉塞板30(閉塞部)との連結箇所を薄肉状に成形してなるヒンジより形成されている。すなわち、配線ボックス11の成形時に薄肉状に成形した簡単な構成で、閉塞板30を配線ボックス11に一体化しつつ回動可能とする構成を可能とすることができる。
【0053】
(12)閉塞板30(閉塞部)を回動させた状態では、該閉塞板30の端縁が、閉塞板30の形成された第2側壁13bに隣接する底壁12(周壁)から離間して挿通孔29の開口面積が広くなる。さらに、閉塞板30の底壁12側に挿入孔33を形成することで、開放された挿通孔29に挿入孔33が連通し、挿入孔33を形成しない場合に比して挿通孔29の開口面積をより広くすることができる。その結果として、閉塞板30が第2側壁13bに一体化されていても、ケーブルCを挿通孔29に挿入する作業の作業性を向上させことができる。
【0054】
(13)挿通孔29には連通孔55が連通されており、挿通孔29は該挿通孔29が形成された第2側壁13bから底壁12にまで跨って形成されている。このため、例えば、挿通孔29が、該挿通孔29が形成された第2側壁13bのみに形成されている場合に比して、閉塞板30を回動させたときの挿通孔29の開口面積を広くすることができ、ケーブルCを挿通孔29に挿入する作業の作業性を向上させることができる。
【0055】
(14)閉塞板30(閉塞部)を回動させ、ケーブルC(ケーブル類)を挿通孔29に挿入した状態で、配線ボックス11がケーブルCに沿って移動したとき、連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aとケーブルCとが摺接する場合がある。このとき、閉塞板30を回動させた後の連結部32にて、配線ボックス11内に臨む箇所32aは緩やかな弧状に形成されているため、該箇所32aがピン角状に形成されている場合のように、ケーブルCが損傷を受けることを防止することができる。また、閉塞板30の挿入孔33の周縁部33aも緩やかな弧状をなすため、配線ボックス11がケーブルCに沿って移動したとき、ケーブルCに挿入孔33の周縁部33aが摺接するが、該挿入孔33によってケーブルCが損傷を受けることを防止することができる。
【0056】
(15)挿入口21に波付電線管10(管類)の接続端部10Aを挿入する際、収容口21bに接続端部10Aを収容すると、接続端部10Aの外面(凸条10aの外面)に抜出し規制部23aが係合し、波付電線管10の移動が一旦停止される。このとき、接続端部10Aの内側が、収容口21bから配線ボックス11の内側に露出しているため、指を挿入したまま収容口21b側から接続口21aへ向けて波付電線管10を引っ張ることができる。そして、指を接続端部10Aの内側に引っ掛けて引っ張ると、接続端部10Aはその引っ張り方向へ弾性変形するため、収容口21b側から接続口21aに向けて細長に延びるように弾性変形して抜出し規制部23aを通過させやすくすることができる。これに対し、波付電線管10の外面を、収容口21b側から接続口21a側へ向けて押す方法は、接続端部10Aが前記引っ張り方向と交差する方向へ拡がるように弾性変形するため、接続端部10Aの抜出し規制部23aへの係合面積が拡がることとなる。したがって、接続端部10Aの内側に指を引っ掛けて引っ張る方法は、波付電線管10の外面を、収容口21b側から接続口21a側へ向けて押す方法に比して、接続端部10Aを挿入口21に挿入、接続しやすくなる。
【0057】
(16)抜出し規制部23aに接続端部10Aの外面が係合した状態では、波付電線管10の内側の半分以上(略2/3)が配線ボックス11の内側に露出している。このため、接続端部10Aの内側に確実に指を挿入することができ、接続端部10Aの内側に指を引っ掛けて波付電線管10を引っ張る作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0058】
(17)収容口21bは第1側壁13aから底壁12に跨って形成されている。このため、建物壁Wの構築後に、配線ボックス11を透孔50を通過させた際に、接続端部10Aが底壁12側から収容口21b内へ収容されやすくなる。そして、このとき、接続端部10Aの内側が、収容口21bから配線ボックス11の内側に露出し、接続端部10Aの内側に手の指を挿入することができる。したがって、建物壁Wの表側に波付電線管10を引き出し、配線ボックス11の挿入口21に挿入した後、配線ボックス11を透孔50に収容する作業が必要なくなり、その結果として、引き出した波付電線管10とともに配線ボックス11を透孔50を通過可能とするために透孔50が大型化してしまうことも無くなる。
【0059】
(18)蓋部材37(第1蓋部38)が回動し、貫通孔36の開口面積が蓋部材37の回動前より広くなった状態では、第1蓋部38は貫通孔36へ向かって傾斜した状態になっている。このため、第1蓋部38に接続端部10Aの端縁を当接させた状態で波付電線管10を挿入口21側へ引き寄せることで、波付電線管10を挿入口21(収容口21b)側へ向かうようにガイドすることができる。したがって、波付電線管10を挿入口21に向けて引き寄せる作業を行い易くすることができる。
【0060】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 抜出し規制部23aに接続端部10Aの凸条10aが係合した状態において、接続端部10Aの内側の半分未満又は内側の全てが配線ボックス11の内側に露出するように抜出し規制部23aの位置及び収容口21bの接続口21a側への深さを設定してもよい。すなわち、抜出し規制部23aに接続端部10Aの凸条10aが係合した状態において、接続端部10Aの内側に指を挿入することが可能となるように波付電線管10の管径に合わせて抜出し規制部23aの位置及び収容口21bの接続口21a側への深さを設定してもよい。
【0061】
○ 閉塞板30が回動した状態において、連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32aが緩やかな弧状に形成されていなくてもよい。
○ 底壁12において、挿通孔29に連通する連通孔55を削除してもよい。
【0062】
○ 第2側壁13bの閉塞板30は連結部32によって連結されておらず、第2側壁13bから除去可能であってもよい。
○ 閉塞板30において、挿入孔33を削除し、この削除に伴いノック部35を削除してもよい。
【0063】
○ 図13に示すように、建物壁W内に配線ボックス11が予め設置されているとともに、該配線ボックス11の挿通孔29内にケーブルCが挿入された状態で該ケーブルCを建物壁Wの表側へ引き出してもよい。この場合、ボックス内空間11aの開口が建物壁Wの表側へ臨むように壁材Waに透孔50が穿設される。そして、ケーブルCが配線ボックス11の開口を介して建物壁Wの表側へ引き出される際、該ケーブルCはボックス内空間11aの開口側にある連結部32にて配線ボックス11内に臨む箇所32a及び挿入孔33の周縁部33aに摺接する場合がある。このとき、閉塞板30を回動させた後の連結部32及び挿入孔33の周縁部33aは緩やかな弧状に形成されているため、該連結部32及び周縁部33aがピン角状に形成されている場合のように、ケーブルCが損傷を受けることを防止することができる。
【0064】
○ 図14に示すように、挿通孔29は、第2側壁13bにヒンジ連結された閉塞部60によって閉塞されていてもよい。前記挿通孔29は底壁12側に開放されていない。また、閉塞部60は左右方向へ直線状に延びる連結部61によって第2側壁13bに一体化されている。
【0065】
○ 図15に示すように、挿通孔29は、第2側壁13bに形成されたヒンジよりなる連結部61によって部分的に閉塞されていてもよい。
○ 以下に説明するように、回動した蓋部材37(第1蓋部38)を利用してケーブルCを配線ボックス11内に引き込む作業を行ってもよい。図16に示すように、まず、閉鎖部材27が除去されて挿入口21が開放されるとともに、第1蓋部38を回動させて貫通孔36が開放された配線ボックス11を透孔50を通過させ、係合片20を透孔50の周縁部に係合させる。このとき、蓋部材37(第1蓋部38)は、壁材Waに当接することにより貫通孔36の開放度合いを小さくする方向へ回動している。次に、実施形態と同様に指で波付電線管10を配線ボックス11側に引き寄せ、接続端部10Aを収容口21bに収容するとともに、凸条10aを抜出し規制部23aに係合させる。そして、この状態で波付電線管10内にケーブルCを挿入すると、ケーブルCは底壁12に対して斜めに傾斜した蓋部材37(第1蓋部38)に当接し、貫通孔36へ向かうようにガイドされる。その結果、ケーブルCは貫通孔36を通過して配線ボックス11内へ入り込む。
【0066】
○ 蓋部材37を底壁12に連結する連結片40は、その分断後に分断箇所同士が係合することで、回動した蓋部材37(第1蓋部38又は第2蓋部39)を貫通孔36を閉塞する位置に保持させる係合部であってもよい。また、底壁12と蓋部材37(第1蓋部38又は第2蓋部39)との間に、蓋部材37が貫通孔36を閉塞する方向へ回動した際に、互いに係合することで該蓋部材37を閉塞位置に保持する保持手段を連結片40とは別に備えていてもよい。
【0067】
○ 蓋部材37(第1蓋部38及び第2蓋部39の少なくとも一方)に、ボックス内空間11a内へ突出する突部を形成してもよい。このように構成すると、貫通孔36を開放させる方向へ回動した蓋部材37を、貫通孔36を閉塞する方向へ回動させる際、前記突部を手の指で摘んだり、工具を係止させることで蓋部材37を回動させる作業を容易に行うことができる。
【0068】
○ 閉塞板30を第2側壁13bに連結する連結片31は、その分断後に分断箇所同士が係合することで、回動した閉塞板30を挿通孔29を閉塞する位置に保持させる係合部であってもよい。また、第2側壁13bと、閉塞板30との間に、閉塞板30が挿通孔29を閉塞する方向へ回動した際に、互いに係合することで該閉塞板30を閉塞位置に保持する保持手段を連結片31とは別に備えていてもよい。
【0069】
○ 挿通孔29の周縁に、該挿通孔29を閉塞する別の閉塞部を形成するとともに、該別の閉塞部に閉塞板30を連結部32を介してヒンジ連結してもよい。
○ 第2側壁13bにおいて、挿通孔29の周縁であり、閉塞板30との連結箇所を薄肉状に成形せず、第2側壁13bの厚みのままとしてもよい。そして、挿通孔29の周縁であり、閉塞板30との連結箇所を回動中心として閉塞板30を回動させる構成としてもよく、この場合、挿通孔29の周縁と閉塞板30との連結箇所が閉塞板30の連結部を構成している。
【0070】
○ 接続部22を削除し、凹条10bを挿入口21の周縁に嵌合させてもよい。このとき、第1側壁13aの上面に抜出し規制部が突設されている。
○ 配線ボックス11の設置時に、底壁12に貫通孔36を穿設してもよく、この場合、貫通孔36は蓋部材37ではなく底壁12に閉塞されている。
【0071】
○ 底壁12において、蓋部材37の周縁を薄肉状に成形して、配線ボックス11の設置時に薄肉状をなす箇所を切断して蓋部材37(第1蓋部38)を回動させて貫通孔36を開放させてもよい。
【0072】
○ 貫通孔36は、蓋部材37だけでなく、他の蓋部材とともに閉塞されていてもよい。また、蓋部材37は前記他の蓋部材にヒンジ部を介して連結されていてもよい。
○ 配線ボックス11の設置時、回動した第1蓋部38を壁材Waに当接させて貫通孔36を閉塞する方向へ回動させないように、第1蓋部38の回動角度を小さくしてもよい。
【0073】
○ 貫通孔36は、蓋部材37によって閉塞されておらず、底壁12にて常に開放されていてもよい。
○ 波付電線管10の一端部(下端部)に管連結具を接続するとともに、該管連結具を波付電線管10の接続端部とし、該接続端部を挿入口21に挿入、接続してもよい。この場合、管連結具の内側に手の指が差し込まれて波付電線管10が配線ボックス11側へ引き寄せられる。
【0074】
○ 底壁12において、第1蓋部38を実施形態よりコンパクトにし、貫通孔36の一部を第1蓋部38で閉塞しつつも、貫通孔36に手の指を挿入可能な大きさにしてもよい。
【0075】
○ 底壁12において、連通孔55を削除するとともに、第2側壁13bの挿通孔29に貫通孔36を連通させてもよい。このように構成した場合、第2蓋部39をヒンジ部41を回動中心として回動させることにより、貫通孔36に指を挿通可能に開放することができ、挿通孔29に波付電線管10を接続する際に、指で波付電線管10を挿通孔29に引き寄せて接続することができる。
【0076】
○ 実施形態において、建物壁W内にケーブルCのみが配設された状態では、配線ボックス11を透孔50内に収容した後、貫通孔36から配線ボックス11外へ手の指を突出させ、ケーブルCを手の指に引っ掛けて挿入口21に引き寄せて挿入口21に挿入するようにしてもよい。
【0077】
○ 配線ボックス11において、挿入口21の収容口21bの深さ及び抜出し規制部23aの位置を変更して、抜出し規制部23aが接続端部10Aの凸条10aに係合した状態において、接続端部10Aの内側に指が挿入できない構成としてもよい。
【0078】
○ 第2側壁13bの挿通孔29及び閉塞板30を削除する代わりに、第2側壁13bに挿入口21を形成し、該挿入口21を閉鎖部材27によって閉鎖してもよい。すなわち、配線ボックス11を、第1側壁13a及び第2側壁13bの両側壁に挿入口21を形成した構成(挿通孔29及び閉塞板30(閉塞部)を削除)としてもよい。この場合、配線ボックス11は、貫通孔36から指を配線ボックス11の外側へ突出可能とする構成であるとともに、抜出し規制部23aに接続端部10Aの凸条10aが係合した状態において、接続端部10Aの内側に指を挿入可能となっている。さらに、この配線ボックス11において、抜出し規制部23aの位置及び収容口21bの深さを変更して、抜出し規制部23aが接続端部10Aの凸条10aに係合した状態において、接続端部10Aの内側に指が挿入できない構成としてもよい。
【0079】
○ 実施形態では、建物壁Wの構築時に波付電線管10を配設した場合について説明したが、建物壁Wの構築時に波付電線管10を配設しなくてもよく、配線ボックス11を設置する際に、建物壁W内に波付電線管10を配設してもよい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(1)前記挿入口には前記管類の接続端部が挿入され、前記側壁における前記挿入口の周囲には、前記接続端部の外面に係合することで前記管類の軸方向への移動を規制する接続部が形成されているとともに、前記接続部には、前記接続端部の外面に係合することで前記管類の径方向に沿った挿入口からの抜け出しを規制する抜出し規制部が形成され、さらに、前記挿入口は前記接続端部を前記側壁に接続するための接続口と、該接続口に連通するとともに該接続口が形成された側壁から底壁にまで跨り、前記接続端部を収容可能とする収容口とを備えており、前記収容口に接続端部が収容され、かつ抜出し規制部に接続端部の外面が係合した状態では、ボックス内空間内に挿入された手の指を接続端部の内側へ挿入可能とする位置にまで接続端部が配線ボックス内へ収容されるように前記収容口の接続口側への深さ及び抜出し規制部の形成位置が設定されている請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0081】
(2)前記抜出し規制部に接続端部の外面が係合した状態では、接続端部の内側の半分以上が配線ボックスの内側に露出している技術的思想(1)に記載の配線ボックス。
(3)前記側壁には、前記管類又はケーブル類を挿通可能とする挿通孔が形成され、該挿通孔は閉塞部により閉塞されているとともに、前記閉塞部は、前記側壁、又は前記閉塞部とは別に挿通孔を閉塞するとともに側壁に一体形成された別の閉塞部に連結部を介して連結され、該閉塞部は前記連結部を回動中心として回動可能に形成されている請求項5〜請求項7、技術的思想(1)及び(2)のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0082】
(4)前記連結部は、前記側壁と閉塞部との連結箇所又は閉塞部と別の閉塞部との連結箇所を薄肉状に成形してなるヒンジより形成されている技術的思想(3)に記載の配線ボックス。
【0083】
(5)前記連結部は、前記ヒンジを直線状に形成してなる技術的思想(4)に記載の配線ボックス。
(6)前記挿通孔は、前記側壁にて前記底壁の端縁に達するまで形成され、前記閉塞部には、該閉塞部にて前記底壁の端縁側に向けて開放された挿入孔が形成されている技術的思想(3)〜(5)のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0084】
(7)前記挿通孔は、該挿通孔が形成された側壁から前記底壁に跨るように形成されている技術的思想(6)に記載の配線ボックス。
(8)前記閉塞部の回動後の前記連結部において、配線ボックス内に臨む箇所は前記連結部が形成された側壁の厚み方向への断面視が緩やかな弧状に形成されている技術的思想(3)〜(7)のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
【0085】
(9)前記連結部は前記側壁における前記ボックス内空間の開口側に形成されている技術的思想(8)に記載の配線ボックス。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施形態の配線ボックスを前面側から示す斜視図。
【図2】配線ボックスを底壁側から示す斜視図。
【図3】(a)は配線ボックスを第2側壁側から示す斜視図、(b)は図3(a)の3b−3b線断面図。
【図4】配線ボックスを透孔に収容した状態を示す正面図。
【図5】配線ボックスを透孔に収容した状態を示す斜視図。
【図6】貫通孔に手の指を挿通した状態を示す断面図。
【図7】波付電線管を配線ボックス側に引き寄せた状態を示す断面図。
【図8】挿入口における波付電線管を示す平面図。
【図9】挿入口における波付電線管を示す平面図。
【図10】配線ボックスに波付電線管が接続された状態を示す側面図。
【図11】挿通孔にケーブルを挿通した状態を示す断面図。
【図12】挿入孔にケーブルが挿入された状態を示す断面図。
【図13】別例を示す側断面図。
【図14】別例の挿通孔を示す斜視図。
【図15】別例の挿通孔を示す斜視図。
【図16】別例の配線ボックスの設置方法を示す側断面図。
【符号の説明】
【0087】
C…ケーブル類としてのケーブル、W…建物壁、10…管類としての波付電線管、11a…ボックス内空間、11…配線ボックス、12…底壁、13(13a,13b,13c,13d)…側壁(第1〜第4側壁)、21…挿入口、36…貫通孔、37…蓋部材、38…蓋部材を構成する第1蓋部、39…蓋部材を構成する第2蓋部、40…連結片、41…ヒンジ部、50…透孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁に側壁が立設されて有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有する配線ボックスの建物壁への設置方法であり、
前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間内に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成され、
前記配線ボックスを前記底壁側から挿入可能な透孔を前記建物壁に穿設し、
前記透孔に配線ボックスを底壁側から挿入して前記開口が建物壁の表側に臨むように配置し、
前記開口からボックス内空間に手を挿入し、前記貫通孔から配線ボックスの外側へ手の指を突出させ、前記建物壁内に配設された管類又はケーブル類に指を係止させ、手を建物壁の表側へ移動させることで管類又はケーブル類を底壁側に引き寄せ、該管類又はケーブル類を前記挿入口内に挿入した後、配線ボックスを建物壁に固定することを特徴とする配線ボックスの設置方法。
【請求項2】
前記貫通孔の少なくとも一部は蓋部材により閉塞され、前記蓋部材による貫通孔の閉塞状態を解除した後、該貫通孔から前記指を配線ボックスの外側へ突出させる請求項1に記載の配線ボックスの設置方法。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は挿入口に管類又はケーブル類が挿入された後、前記蓋部材を前記建物壁に当接させることで前記ヒンジ部を回動中心として該蓋部材を貫通孔を閉塞する方向へ回動させる請求項2に記載の配線ボックスの設置方法。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記ヒンジ部を回動中心として配線ボックスの外側に向けて回動させる請求項3に記載の配線ボックスの設置方法。
【請求項5】
底壁の周縁に側壁が立設された有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有し、建物壁に穿設された透孔から前記建物壁に設置される配線ボックスであって、
前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成されていることを特徴とする配線ボックス。
【請求項6】
前記貫通孔は蓋部材により少なくとも一部が閉塞されているとともに、該蓋部材は前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は前記ヒンジ部を回動中心として貫通孔を開放させる方向へ回動可能に形成されている請求項5に記載の配線ボックス。
【請求項7】
前記蓋部材は、貫通孔の周縁に連結片によって連結されている請求項6に記載の配線ボックス。
【請求項1】
底壁に側壁が立設されて有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有する配線ボックスの建物壁への設置方法であり、
前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間内に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成され、
前記配線ボックスを前記底壁側から挿入可能な透孔を前記建物壁に穿設し、
前記透孔に配線ボックスを底壁側から挿入して前記開口が建物壁の表側に臨むように配置し、
前記開口からボックス内空間に手を挿入し、前記貫通孔から配線ボックスの外側へ手の指を突出させ、前記建物壁内に配設された管類又はケーブル類に指を係止させ、手を建物壁の表側へ移動させることで管類又はケーブル類を底壁側に引き寄せ、該管類又はケーブル類を前記挿入口内に挿入した後、配線ボックスを建物壁に固定することを特徴とする配線ボックスの設置方法。
【請求項2】
前記貫通孔の少なくとも一部は蓋部材により閉塞され、前記蓋部材による貫通孔の閉塞状態を解除した後、該貫通孔から前記指を配線ボックスの外側へ突出させる請求項1に記載の配線ボックスの設置方法。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は挿入口に管類又はケーブル類が挿入された後、前記蓋部材を前記建物壁に当接させることで前記ヒンジ部を回動中心として該蓋部材を貫通孔を閉塞する方向へ回動させる請求項2に記載の配線ボックスの設置方法。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記ヒンジ部を回動中心として配線ボックスの外側に向けて回動させる請求項3に記載の配線ボックスの設置方法。
【請求項5】
底壁の周縁に側壁が立設された有底箱状をなすとともに、前記底壁に対向する側に開口するボックス内空間を有し、建物壁に穿設された透孔から前記建物壁に設置される配線ボックスであって、
前記側壁には、可撓性を有する管類又はケーブル類を径方向に沿って前記底壁に向けて移動させることで該管類又はケーブル類を挿入可能とする挿入口が底壁側に開放して形成されているとともに、前記底壁には、前記開口からボックス内空間に挿入された手の指を配線ボックスの外側へ突出可能とする貫通孔が前記挿入口に連通して形成されていることを特徴とする配線ボックス。
【請求項6】
前記貫通孔は蓋部材により少なくとも一部が閉塞されているとともに、該蓋部材は前記底壁、又は前記蓋部材とは別に貫通孔を閉塞するとともに底壁に一体形成された別の蓋部材にヒンジ部を介して連結され、前記蓋部材は前記ヒンジ部を回動中心として貫通孔を開放させる方向へ回動可能に形成されている請求項5に記載の配線ボックス。
【請求項7】
前記蓋部材は、貫通孔の周縁に連結片によって連結されている請求項6に記載の配線ボックス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−228651(P2007−228651A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43684(P2006−43684)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]