説明

配線回路基板

【課題】電子素子と導体層との電気的な接続信頼性を向上させることのできる配線回路基板を提供すること。
【解決手段】回路付サスペンション基板3は、互いに間隔を隔てて配置され、厚み方向を貫通する第1ベース上開口部37および第2ベース開口部61が形成されるベース絶縁層28と、厚み方向に投影したときに、第1ベース上開口部37に重なる圧電側端子40、および、一端部62が第2ベース開口部61に重なり、圧電側端子40に連続する電源配線25Bを備え、ベース絶縁層28の上に形成される導体層19と、ベース絶縁層28の下に形成され、厚み方向に投影したときに、第2ベース開口部61と重なる第1ベース上開口部37の周りに配置され、圧電素子5を支持するための金属台座部60と、第2ベース開口部61内に充填され、電源配線25Bと金属台座部60とを導通させる導通部64とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板、詳しくは、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板として好適に用いられる配線回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
回路付サスペンション基板などの配線回路基板は、金属支持基板と、その上に形成されるベース絶縁層と、その上に形成され、磁気ヘッドと接続するためのヘッド側端子を有する導体パターンとを備えている。そして、この回路付サスペンション基板は、磁気ヘッドを実装して、磁気ヘッドをヘッド側端子部と接続させて、ハードディスクドライブに用いられる。
【0003】
そのような回路付サスペンション基板には、近年、種々の電子素子、具体的には、例えば、ピエゾ素子(圧電素子)を有し、磁気ヘッドの位置および角度を精細に調節するためのマイクロアクチュエータなどを搭載することが提案されている。
【0004】
例えば、基材、その表面に形成され、貫通孔を有する電気絶縁層、および、その表面に形成される配線部を備える配線部材と、圧電アクチュエータとの接続構造において、電気絶縁層の裏面における貫通孔の周辺に液止め部材を設け、貫通孔に液状の導電性接着剤が注入されることによって、配線部と圧電アクチュエータの電極とを接続することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1では、導電性接着剤が、圧電アクチュエータの電極の表面と、貫通孔の内側の配線部の裏面とに接触することによって、圧電アクチュエータの電極は、配線部と電気的な接続を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−86649号公報(図6(C))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、導電性接着剤を介した圧電アクチュエータと配線部との電気的な接続信頼性をより向上させることが求められている。とりわけ、高温雰囲気における優れた接続信頼性が求められている。
【0008】
本発明の目的は、電子素子と導体層との電気的な接続信頼性を向上させることのできる配線回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の配線回路基板は、互いに間隔を隔てて配置され、厚み方向を貫通する第1開口部および第2開口部が形成される絶縁層と、前記厚み方向に投影したときに、前記第1開口部に重なる端子、および、一部が前記第2開口部に重なり、前記端子に連続する配線を備え、前記絶縁層の上に形成される導体層と、前記絶縁層の下に形成され、前記厚み方向に投影したときに、前記第2開口部と重なるように、前記第1開口部の周りに配置され、電子素子を支持するための金属台座部と、前記第2開口部内に充填され、前記配線と前記金属台座部とを導通させる導通部とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の配線回路基板は、前記端子の表面に形成されるめっき層をさらに備えることが好適である。
【0011】
また、本発明の配線回路基板は、前記端子の表面、および、前記金属台座部の表面に形成されるめっき層をさらに備えることが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の配線回路基板において、端子に導電性接着剤を設ければ、導電性接着剤は、端子と電気的に接続される。
【0013】
一方、金属台座部は、導通部を介して配線と電気的に接続される。
【0014】
そして、電子素子を金属台座部に支持させれば、電子素子の電極を、導電性接着剤を介して端子と電気的に接続させることができるとともに、金属台座部および導通部を介して配線と電気的に接続させることができる。
【0015】
そのため、電子素子の電極と導体層との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を備えるアセンブリの平面図を示す。
【図2】図2は、図1に示すアセンブリのA−A線に沿う断面図を示す。
【図3】図3は、図1に示すアセンブリのB−B線に沿う断面図を示す。
【図4】図4は、図1に示すアセンブリのC−C線に沿う断面図を示す。
【図5】図5は、図4に示すアセンブリのパッド部の拡大断面図を示す。
【図6】図6は、図1に示すアセンブリの接続アームの拡大平面図を示す。
【図7】図7は、図1に示すアセンブリの接続アームの拡大底面図を示す。
【図8】図8は、回路付サスペンション基板を製造する方法を説明する工程図であって、(a)は、金属支持層を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、導体層および導通部を形成する工程、(d)は、カバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図9】図9は、図8に引き続き、回路付サスペンション基板を製造する方法を説明する工程図であって、(e)は、金属台座部を形成する工程、(f)は、第1ベース上開口部および第1ベース下開口部を形成する工程、(g)は、めっき層を形成する工程を示す。
【図10】図10は、本発明の配線回路基板の他の実施形態である回路付サスペンション基板を備えるアセンブリのパッド部の拡大断面図を示す。
【図11】図11は、図10に示す回路付サスペンション基板を製造する方法を説明する工程図であって、(a)は、金属支持層を用意する工程、(b)は、ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、導体層および導通部を形成する工程、(d)は、カバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図12】図12は、図11に引き続き、回路付サスペンション基板を製造する方法を説明する工程図であって、(e)は、めっき層を金属支持層の表面に形成する工程、(f)は、金属台座部を形成する工程、(g)は、第1ベース上開口部および第1ベース下開口部を形成する工程、(h)は、めっき層を端子の表面に形成する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の配線回路基板の一実施形態である回路付サスペンション基板を備えるアセンブリの平面図、図2は、図1に示すアセンブリのA−A線に沿う断面図、図3は、図1に示すアセンブリのB−B線に沿う断面図、図4は、図1に示すアセンブリのC−C線に沿う断面図、図5は、図4に示すアセンブリのパッド部の拡大断面図、図6は、図1に示すアセンブリの接続アームの拡大平面図、図7は、図1に示すアセンブリの接続アームの拡大底面図、図8および図9は、回路付サスペンション基板を製造する方法を説明する工程図を示す。
【0018】
なお、図1において、ベース絶縁層28およびカバー絶縁層29は、金属支持基板18および導体層19の相対配置を明確に示すため、省略している。また、図5において、後述する導電性接着剤42は、導体層19を明確に表示するために、省略している。さらに、図6において、カバー絶縁層29は、金属台座部60および圧電側端子40の相対配置を明確に示すため、省略している。
【0019】
図1および図2において、アセンブリ1は、磁気ヘッド(図示せず)を実装するスライダ22が実装された回路付サスペンション基板3を支持プレート2によって支持させて、ハードディスクドライブ(図示せず)に実装されるヘッドスタックアセンブリ(HSA)である。アセンブリ1は、支持プレート2と、支持プレート2の上に配置され、支持プレート2によって支持される回路付サスペンション基板3と、支持プレート2に支持されながら、回路付サスペンション基板3の位置および角度を精細に調節するための電子素子としての圧電素子(ピエゾ素子)5とを備えている。
【0020】
支持プレート2は、長手方向(先後方向)に延びるように形成されており、アクチュエータプレート部6と、アクチュエータプレート部6の下に形成されるベースプレート部7と、アクチュエータプレート部6の先側に連続して形成されるロードビーム部8とを備えている。
【0021】
アクチュエータプレート部6は、後プレート部9と、後プレート部9の先側に間隔を隔てて配置される先プレート部10と、後プレート部9および先プレート部10の間に形成される可撓部11とを一体的に備えている。
【0022】
後プレート部9は、アクチュエータプレート部6の後端部において、平面視略矩形状に形成されている。
【0023】
先プレート部10は、幅方向(先後方向に直交する方向)に延びる平面視略矩形状に形成されている。
【0024】
可撓部11は、アクチュエータプレート部6の幅方向両側に設けられている。幅方向一方側の可撓部11は、後プレート部9の先端部と、先プレート部10の後端部とを架設するように形成されている。また、幅方向他方側の可撓部11は、後プレート部9の先端部と、先プレート部10の後端部とを架設するように形成されている。
【0025】
各可撓部11は、その先後方向中央部が幅方向両外側に湾曲し、かつ、先後方向にわたって略同幅に形成されている。詳しくは、可撓部11の先後方向中央部は、幅方向両外側に略U字(あるいは略V字)形状に張り出すように形成されている。
【0026】
従って、可撓部11は、後述するが、圧電素子5の伸縮によって、先プレート部10を、後プレート部9に対して離間および近接可能に形成されている。
【0027】
また、アクチュエータプレート部6には、後プレート部9の先面、先プレート部10の後面、および、可撓部11の幅方向内面によって仕切られるプレート開口部12が形成されている。プレート開口部12は、アクチュエータプレート部6の厚み方向を貫通する。
【0028】
また、後プレート部9の先端部および先プレート部10の後端部には、圧電素子5の後端部および先端部がそれぞれ取り付けられる取付領域13が、2組区画されている。各取付領域13は、後プレート部9の先端部と、先プレート部10の後端部とに対応して、幅方向一端部または幅方向他端部において、幅方向に長い底面視略矩形状に、それぞれ、形成されている。
【0029】
ベースプレート部7は、後プレート部9の下面の幅方向中央部および先後方向中央部に固定されている。また、ベースプレート部7は、平面視において、先部が、略矩形状に形成されるとともに、後部が略半円形状に形成されている。
【0030】
また、支持プレート2には、後プレート部9の中央部およびベースプレート部7の中央部を貫通する底面視略円形状の穴14が形成されている。
【0031】
なお、ベースプレート部7には、アセンブリ1の先端部を、穴14を中心として揺動するための駆動コイル(図示せず)が取り付けられる。
【0032】
ロードビーム部8は、アクチュエータプレート部6と一体的に形成されており、具体的には、先プレート部10の先端から先側に向かって延びるように形成され、平面視において、先方に向かうに従って幅狭となる略台形状に形成されている。
【0033】
支持プレート2は、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、および、それらの合金などの金属材料から形成されている。
【0034】
支持プレート2の寸法としては、適宜設定され、例えば、アクチュエータプレート部6およびロードビーム部8の厚みが、例えば、30〜150μmであり、ベースプレート部7の厚みが、例えば、150〜200μmである。
【0035】
なお、この支持プレート2は、アクチュエータプレート部6とロードビーム部8とを一体的に備えるアクチュエータプレート・ロードビーム一体型プレートとされている。
【0036】
回路付サスペンション基板3は、先後方向に延びる平面視略平帯形状に形成されている。
【0037】
回路付サスペンション基板3は、図1に示すように、金属支持基板18と、金属支持基板18に支持される導体層19とが設けられている。
【0038】
金属支持基板18は、回路付サスペンション基板3の外形形状に対応するように形成されており、配線部16と、配線部16の先側に形成される先部15と、配線部16の後側に形成される後部17とを一体的に備えている。
【0039】
配線部16は、金属支持基板18の先後方向中央部に形成されており、先後方向に延びる直線部20と、直線部20の後端部から幅方向一方に屈曲した後、さらに、後方に屈曲する屈曲部21とを一体的に備えている。なお、直線部20および屈曲部21は、先後方向にわたって略同幅に形成されている。
【0040】
配線部16は、配線25(後述)を支持する。
【0041】
先部15は、直線部20の先端から連続しており、配線部16に対して幅方向両外側にわずかに膨出する平面視略矩形状に形成されている。詳しくは、先部15は、スライダ22(後述)が実装されるジンバル23と、ジンバル23および直線部20を連結するジンバル後部24とを備えている。
【0042】
ジンバル23は、直線部20の幅より大きい幅の、平面視略矩形状に形成されている。ジンバル23は、先側端子26(後述)を支持するとともに、先側端子26と電気的に接続される磁気ヘッド(図示せず)を有するスライダ22(後述)を実装する。
【0043】
ジンバル後部24は、ジンバル23の後端に連続し、後方に向かうに従って幅狭となる略三角形状に形成されている。ジンバル後部24は、配線25を支持する。
【0044】
後部17は、屈曲部21の後端から連続しており、屈曲部21と略同幅の平面視略矩形状に形成されている。後部17は、後側端子27(後述)を支持する。
【0045】
導体層19は、金属支持基板18の上において、先後方向に沿って延びる配線25と、配線25の先端部に連続する先側端子26と、配線25の後端部に連続する後側端子27とを一体的に備えている。
【0046】
配線25は、磁気ヘッド(図示せず)およびリード・ライト基板(図示せず)間に電気信号を伝達する信号配線25Aを備え、回路付サスペンション基板3の先後方向全体にわたって配置されている。信号配線25Aは、幅方向に間隔を隔てて複数(4個)配置されている。
【0047】
また、配線25は、さらに、電源配線25Bを複数(2個)備えている。
【0048】
電源配線25Bは、次に説明する電源側端子27Bと電気的に接続されており、後部17において、電源側端子27Bに連続し、後部17および屈曲部21において、信号配線25Aの両側に間隔を隔てて並行して配置され、直線部20の先後方向中央部において、幅方向両外側に屈曲して、後述する圧電側端子40(図4参照)に至るように配置されている。
【0049】
先側端子26は、先部15に配置され、具体的には、ジンバル23の先側において、スライダ22の先端面に沿い、幅方向に間隔を隔てて複数(4個)配置されている。
【0050】
先側端子26は、磁気ヘッド(図示せず)が電気的に接続されるヘッド側端子26Aである。
【0051】
後側端子27は、後部17の後端部に配置され、具体的には、先後方向に間隔を隔てて複数(6個)配置されている。後側端子27は、信号配線25Aに連続し、リード・ライト基板の端子が接続される複数(4個)の外部側端子27Aを備えている。
【0052】
また、後側端子27は、さらに、電源配線25Bに連続し、圧電素子5と電気的に接続される電源側端子27Bを複数(2個)備えている。なお、電源側端子27Bは、外部側端子27Aの先後方向両側に間隔を隔てて配置されており、電源(図示せず)に電気的に接続される。
【0053】
そして、図3および図4に示すように、回路付サスペンション基板3は、金属支持基板18と、その上に形成されるベース絶縁層28と、ベース絶縁層28の上に形成される導体層19と、ベース絶縁層28の上に、配線25を被覆するように形成されるカバー絶縁層29とを備えている。
【0054】
金属支持基板18は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。金属支持基板18の厚みは、例えば、15〜25μm、好ましくは、17〜22μm、さらに好ましくは、18〜20μmである。
【0055】
ベース絶縁層28は、図1が参照されるように、先部15、配線部16および後部17における金属支持基板18の上面に、導体層19に対応するパターンに形成されている。
【0056】
ベース絶縁層28は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0057】
ベース絶縁層28の厚み(最大厚み)は、例えば、4〜15μm、好ましくは、6〜12μm、さらに好ましくは、8〜10μmである。
【0058】
導体層19は、図1および図3に示すように、先部15、配線部16および後部17におけるベース絶縁層28の上面に、上記したパターンに形成されている。
【0059】
導体層19は、例えば、銅、ニッケル、金、はんだ、またはそれらの合金などの導体材料などから形成されている。好ましくは、銅から形成されている。
【0060】
導体層19の厚みは、例えば、4〜15μm、好ましくは、6〜12μm、さらに好ましくは、8〜10μmである。
【0061】
各配線25の幅は、例えば、5〜200μm、好ましくは、8〜100μmであり、各配線25間の間隔は、例えば、5〜1000μm、好ましくは、8〜100μmである。
【0062】
先側端子26および後側端子27の幅および長さは、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。また、各先側端子26間の間隔、および、各後側端子27間の間隔は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。
【0063】
カバー絶縁層29は、配線部16、先部15および後部17において、配線25の周囲のベース絶縁層28の上面と、配線25の上面および側面とを被覆するように形成されている。また、カバー絶縁層29は、図示しないが、先部15において、先側端子26を露出するとともに、後部17において、後側端子27を露出するパターンに形成されている。
【0064】
カバー絶縁層29は、ベース絶縁層28の絶縁材料と同様の絶縁材料から形成されている。カバー絶縁層29の厚みは、例えば、2〜7μm、好ましくは、3〜6μm、さらに好ましくは、4〜5μmである。
【0065】
この回路付サスペンション基板3は、図1および図2に示すように、金属支持基板18の下面が支持プレート2に支持されている。具体的には、配線部16および先部15の下面が、支持プレート2に支持され、後部17の下面が、支持プレート2に支持されることなく、支持プレート2から後方に突出している。
【0066】
詳しくは、回路付サスペンション基板3は、屈曲部21が、後プレート部9の幅方向一端部および先端部に沿って略L字形状に配置され、直線部20が、後プレート部9の先端部の幅方向中央部からプレート開口部12の幅方向中央部を横切り、その後、先プレート部10の幅方向中央部に至るように、配置されている。また、回路付サスペンション基板3は、先部15が、ロードビーム部8の先後方向にわたって、ロードビーム部8の幅方向中央部に形成されるように、配置されている。
【0067】
圧電素子5は、支持プレート2の下側に取り付けられている。
【0068】
具体的には、圧電素子5は、幅方向に間隔を隔てて複数(2個)設けられている。
【0069】
各圧電素子5は、先後方向に伸縮可能なアクチュエータであって、先後方向に長い平面視略矩形状に形成されている。圧電素子5は、プレート開口部12を先後方向に跨ぐように配置されている。
【0070】
詳しくは、各圧電素子5の先後方向両端部は、後プレート部9の先端部および先プレート部10の後端部における取付領域13(図1の破線)に、接着剤層31を介して接着され、固定されている。
【0071】
また、図3に示すように、各圧電素子5の上面には、先後方向中央部に、電極48が設けられており、電極48が、次に説明する金属台座部60に支持されるとともに、回路付サスペンション基板3の導体層19と電気的に接続されている。
【0072】
圧電素子5は、導体層19から電気が供給され、その電圧が制御されることによって、伸縮する。
【0073】
次に、回路付サスペンション基板3における幅方向一方側の圧電側端子40、圧電側端子40を囲む金属台座部60およびその近傍に設けられる導通部64について、図3〜図9を参照して詳述する。なお、幅方向他方側の圧電側端子40、金属台座部60および導通部64は、幅方向一方側の圧電側端子40、金属台座部60および導通部64と直線部20に対して対称となるように形成されており、その説明を省略する。
【0074】
回路付サスペンション基板3には、図6および図7に示すように、圧電側端子40、金属台座部60および導通部64を含む接続アーム32が設けられている。
【0075】
接続アーム32は、直線部20の先後方向中央部から幅方向外側にアーム状に突出するように設けられている。
【0076】
接続アーム32は、直線部20と幅方向一方側に間隔を隔てて配置されるパッド部33と、直線部20およびパッド部33を連結するジョイント部41とを備えている。
【0077】
パッド部33は、図5に示すように、ベース絶縁層28と、ベース絶縁層28の上に形成される導体層19と、ベース絶縁層28の上に、導体層19を被覆するように形成されるカバー絶縁層29と、ベース絶縁層28の下に形成される金属台座部60と、導通部64とを備えている。
【0078】
パッド部33において、図6および図7に示すように、ベース絶縁層28は、平面視略円環(リング)形状に形成されている。また、図5および図6に示すように、ベース絶縁層28の中央部には、厚み方向を貫通する平面視略円形状の第1開口部としての第1ベース上開口部37が形成されている。
【0079】
また、図5に示すように、パッド部33におけるベース絶縁層28の内周部36は、内周部36の外側に区画される外周部35に比べて、薄く形成されている。具体的には、また、内周部36の厚みが、例えば、1.5〜5μmである。
【0080】
また、外周部35の内側であって、内周部36の下側には、第1ベース下開口部38が形成されている。第1ベース下開口部38は、第1ベース上開口部37と同心円に配置され、その内径は、第1ベース上開口部37の内径より大きく形成されている。
【0081】
また、パッド部33において、図5および図7に示すように、ベース絶縁層28には、その幅方向他端部に、厚み方向を貫通する平面視略円形状の第2開口部としての第2ベース開口部61が形成されている。
【0082】
第2ベース開口部61は、第1ベース上開口部37に対して幅方向他方側に間隔を隔てて形成されている。より具体的には、第2ベース開口部61は、第1ベース下開口部38に対して幅方向他方側に間隔を隔てて形成されている。
【0083】
導体層19は、ベース絶縁層28の内周部36の上面に形成される枠導体39と、枠導体39の内側に連続する端子としての圧電側端子40と、電源配線25Bの一端部62とを備えている。
【0084】
枠導体39は、図6に示すように、ベース絶縁層28によりわずかに小さい平面視略円環(リング)形状に形成されている。
【0085】
具体的には、枠導体39の外径は、図3に示すように、厚み方向に投影したときに、ベース絶縁層28の外径より小さく形成されている。
【0086】
圧電側端子40は、図5に示すように、平面視において、枠導体39の内周部に連続する平面視略円形状に形成されている。
【0087】
また、圧電側端子40は、厚み方向に投影したときに、ベース絶縁層28の第1ベース上開口部37と重なる導体層19として形成されている。より具体的には、圧電側端子40は、枠導体39の内周部からベース絶縁層28の第1ベース上開口部37内に落ち込むように形成されている。
【0088】
また、圧電側端子40の下面は、ベース絶縁層28の内周部36の下面と、幅方向および先後方向において面一に形成されている。
【0089】
パッド部33において、図5および図6に示すように、電源配線25Bの一端部62は、枠導体39の幅方向他端部に連続するように形成されている。
【0090】
パッド部33において、図5に示すように、カバー絶縁層29は、平面視略円環(リング)形状(図6参照)であり、その外形形状が、平面視において、ベース絶縁層28の外形形状と同一形状に形成されている。つまり、カバー絶縁層29の外周面は、ベース絶縁層28の外周面と厚み方向において面一に形成されている。
【0091】
また、カバー絶縁層29は、枠導体39の外側部および電源配線25Bの一端部62を被覆している。
【0092】
パッド部33におけるカバー絶縁層29の中央部には、厚み方向を貫通するカバー開口部54が形成されている。カバー開口部54は、厚み方向に投影したときに、圧電側端子40と重なるように形成されている。
【0093】
パッド部33において、図7に示すように、金属台座部60は、底面視において、幅方向一方側に向かって雫が滴る略雫形枠状に形成されている。また、図5および図7に示すように、金属台座部60の中央部には、厚み方向を貫通する平面視略円形状の台座開口部34が形成されている。
【0094】
台座開口部34は、第1ベース上開口部37の周りに配置されており、具体的には、第1ベース上開口部37と同心円に配置され、台座開口部34の内径が、ベース絶縁層28の第1ベース上開口部37より大きく形成されている。また、金属台座部60の外径は、ベース絶縁層28の外径より大きくなるように、形成されている。
【0095】
また、台座開口部34は、第1ベース下開口部38に連通しており、具体的には、底面視において、ベース絶縁層28の第1ベース下開口部38と重なるように形成されている。つまり、また、台座開口部34の内周面は、第1ベース下開口部38の内周面と厚み方向において面一となるように形成されている。
【0096】
さらに、金属台座部60の幅方向他端部は、幅方向他方側に向かって突出状に形成されており、その突出部65は、底面視において、第2ベース開口部61を含んでいる。
【0097】
金属台座部60は、金属支持基板18と同様の金属材料から形成され、厚みは、金属支持基板18の厚みと同一である。
【0098】
図5および図6に示すように、パッド部33において、導通部64は、ベース絶縁層28の第2ベース開口部61内に充填されている。具体的には、導通部64は、電源配線25Bの一端部62と一体的に形成されており、詳しくは、導通部64の上部は、電源配線25Bの一端部62の下面に連続している。また、導通部64の下面は、金属台座部60の突出部65の上面と接触している。
【0099】
これによって、導通部64は、電源配線25Bと金属台座部60とを電気的に接続している(導通させている)。
【0100】
パッド部33の寸法は、適宜選択され、図6に示すように、ベース絶縁層28(の外周部35)の外径(最大長さ)が、例えば、100〜1000μmであり、図7に示すように、ベース絶縁層28の内周部36の内径(第1ベース上開口部37の外径(最大長さ))が、例えば、40〜480μm、好ましくは、100〜300μm、さらに好ましくは、180〜220μmであり、ベース絶縁層28の外周部35の内径(第1ベース下開口部38の外径(最大長さ)が、例えば、50〜500μm、好ましくは、150〜400μm、さらに好ましくは、200〜300μmである。
【0101】
また、ベース絶縁層28の第2ベース開口部61と第1ベース上開口部37との幅方向における間隔は、例えば、20〜100μm、好ましくは、30〜90μm、さらに好ましくは、50〜70μmである。ベース絶縁層28の第2ベース開口部61と第1ベース下開口部38との幅方向における間隔は、例えば、10〜90μm、好ましくは、20〜80μm、さらに好ましくは、40〜60μmである。
【0102】
また、図6に示すように、導体層19の枠導体39の外径(最大長さ)は、例えば、90〜990μmであり、図7に示すように、圧電側端子40の外径(最大長さ)は、第1ベース上開口部37の外径(最大長さ)と同一である。
【0103】
カバー絶縁層29の外径(最大長さ)は、ベース絶縁層28の外径(最大長さ)と同一であり、カバー絶縁層29のカバー開口部54の内径(最大長さ)は、図5に示すように、例えば、40〜480μm、好ましくは、100〜300μm、さらに好ましくは、180〜220μmである。
【0104】
金属台座部60の外径(最大長さ)は、例えば、100〜1000μmであり、金属台座部60の内径(台座開口部34の外径(最大長さ))が、例えば、ベース絶縁層28の外周部35の内径(第1ベース下開口部38の外径(最大長さ))と同一である。
【0105】
また、金属台座部60の外周面と台座開口部34の内周面との距離は、例えば、30〜200μm、好ましくは、50〜150μm、さらに好ましくは、80〜120μmである。
【0106】
ジョイント部41は、図6および図7に示すように、直線部20の先後方向中央部における幅方向一端部と、パッド部33の幅方向他端部とを架設している。
【0107】
ジョイント部41は、幅方向に延び、パッド部33の外径より小さい幅(短い先後方向長さ)の平面視略矩形状に形成されている。
【0108】
ジョイント部41は、図4および図6に示すように、ベース絶縁層28と、ベース絶縁層28の上に形成される電源配線25Bと、ベース絶縁層28の上に、電源配線25Bを被覆するように形成されるカバー絶縁層29(図6において省略)とを備えている。
【0109】
ジョイント部41において、図6に示すように、ベース絶縁層28は、ジョイント部41の外形形状に対応する形状に形成されている。ジョイント部41のベース絶縁層28は、直線部20におけるベース絶縁層28と、パッド部33におけるベース絶縁層28とに連続して形成されている。
【0110】
ジョイント部41における電源配線25Bは、幅方向に沿って延びるように形成され、直線部20の電源配線25Bと、パッド部33の枠導体39とに連続して形成されている。
【0111】
ジョイント部41において、カバー絶縁層29は、電源配線25Bの上面および側面を被覆するように形成されている。
【0112】
また、この回路付サスペンション基板3において、図3および図5が参照されるように、各端子、具体的には、先側端子26(図1参照)、後側端子27(図1参照)、圧電側端子40および枠導体39の表面には、めっき層47が形成されている。
【0113】
パッド部33において、図5に示すように、めっき層47は、枠導体39の上面に形成されるとともに、圧電側端子40の上面および下面の両面に形成されている。
【0114】
めっき層47は、例えば、ニッケル、金などの金属材料から形成されている。好ましくは、金から形成されている。めっき層47の厚みは、例えば、0.3〜2μm、好ましくは、0.5〜1.5μm、さらに好ましくは、0.8〜1.2μmである。
【0115】
次に、このアセンブリ1の製造方法について説明する。
【0116】
アセンブリ1を製造するには、まず、回路付サスペンション基板3、支持プレート2および圧電素子5をそれぞれ用意する。
【0117】
次に、回路付サスペンション基板3を用意(製造)する方法について、図8および図9を参照して説明する。
【0118】
この方法では、図8(a)に示すように、まず、金属支持層67を用意する。
【0119】
金属支持層67は、金属支持基板18および金属台座部60を形成するための基板であり、材料および厚みは、上記した金属支持基板18および金属台座部60のそれらと同一である。
【0120】
次いで、図8(b)に示すように、ベース絶縁層28を、金属支持層67の上に形成する。
【0121】
具体的には、ベース絶縁層28を、金属支持層67の上において、次に形成される第1ベース上開口部37(図9(f)参照)に対応する開口部形成領域4が形成され、かつ、第2ベース開口部61が形成されるパターンに形成する。
【0122】
開口部形成領域4の厚みは、その周囲の厚みに比べて、薄く形成される部分として区画されている。
【0123】
ベース絶縁層28を形成するには、まず、例えば、金属支持層67の上面に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させて、感光性のベース皮膜を形成する。
【0124】
次いで、感光性のベース皮膜を、図示しない階調露光フォトマスクを介して露光(階調露光)する。階調露光フォトマスクは、遮光部分、光半透過部分および光全透過部分をパターンで備えており、ベース絶縁層28を形成する部分(開口部形成領域4を除く。)には光全透過部分を、開口部形成領域4を形成する部分には光半透過部分を、第2ベース開口部61を形成する部分には遮光部分を、ベース皮膜に対して、対向配置する。
【0125】
その後、階調露光後のベース皮膜を現像し、必要により、加熱硬化させることにより、ベース絶縁層28を、開口部形成領域4と、第2ベース開口部61とが形成される上記したパターンに形成する。
【0126】
次いで、図8(c)に示すように、導体層19を、ベース絶縁層28の上面に形成する。これと同時に、導通部64を、第2ベース開口部61から露出する金属支持層67の上面に形成する。
【0127】
つまり、図1が参照されるように、導体層19を、ベース絶縁層28の上に形成される配線25と、それに連続する先側端子26、後側端子27および圧電側端子40とを備えるパターンに形成するとともに、導通部64を、第2ベース開口部61内に充填する。
【0128】
導体層19および導通部64は、アディティブ法またはサブトラクティブ法などにより、同時に形成する。
【0129】
次いで、図8(d)に示すように、カバー絶縁層29を、上記したパターンで形成する。
【0130】
次いで、図9(e)に示すように、金属支持層67を外形加工することにより、上記したパターンの金属支持基板18および金属台座部60を形成する。
【0131】
具体的には、金属支持層67を、例えば、ドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)やウェットエッチング(例えば、化学エッチング)などのエッチング法、例えば、ドリル穿孔、レーザ加工などによって、金属支持基板18および金属台座部60の形状に形成する。好ましくは、金属支持層67を、ウェットエッチングにて外形加工する。
【0132】
次いで、図9(f)に示すように、金属台座部60の台座開口部34から露出するベース絶縁層28を部分的に除去する。
【0133】
ベース絶縁層28は、例えば、エッチング、好ましくは、ウェットエッチングなどによって、除去される。
【0134】
これによって、開口部形成領域4(図9(e)参照)におけるベース絶縁層28が除去され、それによって、第1ベース上開口部37が形成される。
【0135】
それと同時に、ベース絶縁層28の内周部36の下部が除去され、それによって、第1ベース下開口部38が形成される。
【0136】
これによって、第1ベース上開口部37および第1ベース下開口部38から露出する圧電側端子40が形成される。
【0137】
その後、図9(g)に示すように、めっき層47を、例えば、無電解めっき、電解めっきなどのめっき、好ましくは、電解めっきによって、先側端子26(図1参照)、後側端子27(図1参照)、圧電側端子40および枠導体39の表面に形成する。
【0138】
このようにして、回路付サスペンション基板3を用意(製造)する。
【0139】
次いで、図1および図2が参照されるように、用意した回路付サスペンション基板3と、支持プレート2と、圧電素子5とを組み付ける。
【0140】
具体的には、回路付サスペンション基板3を支持プレート2の上面に配置する。すなわち、図1に示すように、回路付サスペンション基板3は、配線部16における直線部20が、プレート開口部12の幅方向中央部を横切り、屈曲部21が、後プレート部9の幅方向一端部および先端部に配置され、かつ、先部15がロードビーム部8の先後方向にわたって、ロードビーム部8の幅方向中央部に配置されるように、支持プレート2に、例えば、溶接あるいは接着剤などによって固定される。また、接続アーム32が、プレート開口部12の幅方向両端部に配置されるように、回路付サスペンション基板3が支持プレート2に固定される。
【0141】
その後、図3に示すように、圧電素子5を、支持プレート2に固定するとともに、圧電素子5の電極48を金属台座部60に支持させる。
【0142】
圧電素子5を支持プレート2に固定するには、アクチュエータプレート部6における取付領域13に接着剤層31を設置し、その接着剤層31を介して、圧電素子5の先後方向両端部を取付領域13に取り付ける。圧電素子5は、図1に示すように、プレート開口部12において、回路付サスペンション基板3の直線部20の幅方向両外側に間隔を隔てて配置される。
【0143】
また、圧電素子5の電極48を金属台座部60に支持させるには、図3に示すように、台座開口部34および第1ベース下開口部38に、導電性接着剤42を設ける。
【0144】
導電性接着剤42は、例えば、比較的低温の加熱(例えば、100〜200℃)により接着作用を発現する接続媒体(例えば、金ペーストや銀ペーストなどの導電性ペースト)である。
【0145】
導電性接着剤42の量は、台座開口部34および第1ベース下開口部38内に充填され、さらに、台座開口部34から溢れ、少なくとも金属台座部60の下面を被覆する量に設定されており、すなわち、台座開口部34および第1ベース下開口部38の総容積より多い量に設定される。導電性接着剤42の量は、例えば、台座開口部34および第1ベース下開口部38の総容積に対して、例えば、110〜1000%、好ましくは、300〜800%に設定される。
【0146】
導電性接着剤42は、台座開口部34および第1ベース下開口部38に充填されるとともに、金属台座部60の下面にも設けられており、かかる導電性接着剤42に、圧電素子5の電極48が接触する。
【0147】
圧電側端子40および金属台座部60は、導電性接着剤42を介して、電極48に接着する。
【0148】
これによって、電極48を金属台座部60に支持させる。
【0149】
そうすると、図4に示すように、圧電側端子40は、めっき層47および導電性接着剤42を介して電極48と電気的に接続されるとともに、電源配線25Bの一端部62は、導通部64、金属台座部60および導電性接着剤42を介して、電極48と電気的に接続される。
【0150】
また、図1および図2に示すように、磁気ヘッド(図示せず)を搭載したスライダ22を、ジンバル23に実装して、磁気ヘッド(図示せず)と先側端子26とを電気的に接続する。
【0151】
さらに、リード・ライト基板(図示せず)と外部側端子27Aとを電気的に接続するとともに、電源(図示せず)と電源側端子27Bとを電気的に接続する。
【0152】
また、ベースプレート部7に、駆動コイル(図示せず)を取り付ける。
【0153】
そして、これによって、アセンブリ1が得られる。アセンブリ1は、ハードディスクドライブ(図示せず)に実装される。
【0154】
ハードディスクドライブにおいて、アセンブリ1は、スライダ22が、回転する円板状のハードディスクに周方向に相対的に走行しながら、ハードディスクの表面に微小間隔を隔てて浮上するとともに、磁気ヘッド(図示せず)が、駆動コイルの駆動に基づいて、ハードディスクの径方向に移動しながら、情報を読み書きする。
【0155】
さらに、磁気ヘッドは、圧電素子5の伸縮によって、ハードディスクドライブに対する位置が精細に調節される。
【0156】
すなわち、一方の圧電素子5は、電気が、電源(図示せず)から、電源側端子27B、電源配線25B、導通部64、圧電側端子40および金属台座部60を介して供給されて、電気の電圧が制御されることによって、収縮する。すると、幅方向一端部における後プレート部9の先端部および先プレート部10の後端部は、可撓部11に柔軟に支持されながら、互いに近接する。
【0157】
これと同時に、他方の圧電素子5は、電気が、電源(図示せず)から、電源側端子27B、電源配線25B、導通部64、圧電側端子40および金属台座部60を介して供給されて、電気の電圧が制御されることによって、伸長する。すると、幅方向他端部における後プレート部9の先端部および先プレート部10の後端部は、可撓部11に柔軟に支持されながら、互いに離間する。
【0158】
そうすると、先プレート部10およびロードビーム部8が、後プレート部9の先端部の幅方向中央部を支点として、幅方向一方側に向かって揺動する。それとともに、ロードビーム部8に固定される回路付サスペンション基板3およびスライダ22が幅方向一方側に向かって揺動する。
【0159】
一方、一方の圧電素子5を伸長させ、他方の圧電素子5を収縮させれば、先プレート部10およびロードビーム部8が上記と逆向きに揺動する。
【0160】
そして、この回路付サスペンション基板3において、圧電側端子40に導電性接着剤42を設けることにより、導電性接着剤42は、圧電側端子40と電気的に接続される。
【0161】
一方、金属台座部60は、導通部64を介して電源配線25Bと電気的に接続される。
【0162】
そして、圧電素子5を金属台座部60に支持させることによって、圧電素子5の電極48を、導電性接着剤42を介して圧電端子5と電気的に接続させることができるとともに、金属台座部60および導通部64を介して電源配線25Bと電気的に接続させることができる。
【0163】
そのため、圧電素子5の電極48と導体層19との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0164】
なお、図5の実線の実施形態では、パッド部33において、めっき層47を、圧電側端子40の表面に設けているが、例えば、図5の仮想線で示すように、さらに、金属台座部60の表面にも設けることができる。
【0165】
図5において、金属台座部60におけるめっき層47は、金属台座部60の表面全面に形成されている。具体的には、金属台座部60におけるめっき層47は、金属台座部60の下面、内側面および外側面に連続して形成されている。
【0166】
図5の仮想線の実施形態は、図5の実線の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、図5の仮想線の実施形態は、金属台座部60の表面にも設けられためっき層47によって、金属台座部60の変色や腐食を抑制して、それによって、導電性接着剤42(図4参照)と金属台座部60との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0167】
さらに、図5の実施形態では、めっき層47を圧電側端子40の表面に設けているが、例えば、図示しないが、めっき層47を圧電側端子40の表面に設けることなく、圧電側端子40の表面を露出させることもできる。
【0168】
好ましくは、図5の実線および仮想線の実施形態のように、めっき層47を圧電側端子40の表面に設ける。これによって、圧電側端子40の変色や腐食を抑制して、それによって、導電性接着剤42(図4参照)と圧電側端子40との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0169】
また、図6および図7の実施形態では、金属台座部60を略滴形状に形成しているが、導通部64と重なる領域が確保できる枠状であれば、その形状は、特に限定されない。金属台座部60を、図示しないが、例えば、略円環(リング)形状、略四角枠形状に形成することもできる。
【0170】
図10は、本発明の配線回路基板の他の実施形態である回路付サスペンション基板を備えるアセンブリのパッド部の拡大断面図、図11および図12は、図10に示す回路付サスペンション基板を製造する方法を説明する工程図を示す。
【0171】
なお、上記した各部に対応する部材については、以降の各図面において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0172】
図5の仮想線の実施形態では、めっき層47を、金属台座部60の表面全面に形成しているが、例えば、図10に示すように、金属台座部60の表面の一部に設けることもできる。
【0173】
図10において、金属台座部60におけるめっき層47は、金属台座部60の下面の一部に形成されている。具体的には、めっき層47は、金属台座部60の下面の外端部および内端部を露出する略雫形状のパターンに形成されている。つまり、めっき層47は、その外端部が、金属台座部60の外端部より内側に配置されるとともに、その内端部が、金属台座部60の内端部より外側に配置されるように、金属台座部60に含まれている。
【0174】
めっき層47の幅W1は、例えば、20〜190μm、好ましくは、25〜140μm、さらに好ましくは、30〜110μmである。また、めっき層47の外側における金属台座部60の外側露出部68の幅W2、および、めっき層47の内側における金属台座部60の内側露出部69の幅W3は、例えば、5〜30μm、好ましくは、5〜25μm、さらに好ましくは、5〜20μmである。
【0175】
次に、図10に示す回路付サスペンション基板3を用意(製造)する方法について、図11および図12を参照して説明する。
【0176】
この方法では、図11(a)に示すように、まず、金属支持層67を用意する。
【0177】
次いで、図11(b)に示すように、ベース絶縁層28を、金属支持層67の上に上記したパターンに形成する。
【0178】
次いで、図11(c)に示すように、導体層19を、ベース絶縁層28の上面に形成する。これと同時に、導通部64を、第2ベース開口部61から露出する金属支持層67の上面に形成する。
【0179】
次いで、図11(d)に示すように、カバー絶縁層29を、上記したパターンで形成する。
【0180】
次いで、図12(e)に示すように、めっき層47を、金属支持層67の下面に上記したパターンで形成する。
【0181】
具体的には、まず、めっき層47を金属支持層67の下面全面にめっきにより形成し(図示せず)、その後、エッチングなどによって、上記したパターン以外の部分を除去することにより、めっき層47を上記したパターンに形成する。
【0182】
あるいは、金属支持層67の下面に、上記したパターンの反転パターンでめっきレジスト(図示せず)を積層し、その後、めっき層47を、めっきによって、めっきレジストから露出する金属支持層67の下面に形成し、その後、めっきレジストを除去する。
【0183】
次いで、図12(f)に示すように、金属支持層67を外形加工することにより、上記したパターンの金属支持基板18および金属台座部60を形成する。
【0184】
次いで、図12(h)に示すように、金属台座部60の台座開口部34から露出するベース絶縁層28を部分的に除去する。これによって、開口部形成領域4(図12(f)参照)におけるベース絶縁層28が除去され、それによって、第1ベース上開口部37が形成される。それと同時に、ベース絶縁層28の内周部36の下部が除去され、それによって、第1ベース下開口部38が形成される。
【0185】
これによって、第1ベース上開口部37および第1ベース下開口部38から露出する圧電側端子40を形成する。
【0186】
その後、図12(h)に示すように、めっき層47を、先側端子26(図1参照)、後側端子27(図1参照)、圧電側端子40および枠導体39の表面に形成する。
【0187】
このようにして、回路付サスペンション基板3を用意(製造)する。
【0188】
そして、図10の実施形態は、図5の仮想線の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例】
【0189】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。
【0190】
実施例1
まず、厚み18μmのステンレスからなる金属支持層を用意した(図8(a)参照)。
【0191】
次いで、ポリイミド樹脂からなるベース絶縁層を、金属支持層の上において、円形状の開口部形成領域が形成され、かつ、円形状の第2ベース開口部が形成されるパターンに形成した(図8(b)参照)。開口部形成領域の内径は200μm、厚みは、3μmであり、開口部形成領域の周りの第2ベース絶縁層の厚みは、10μmであり、第2ベース開口部の内径は、60μmであった。また、第2ベース開口部と開口部形成領域との距離は、65μmであった。
【0192】
次いで、アディティブ法によって、厚み10μmの銅からなる導体層を、ベース絶縁層の上面に形成するとともに、導通部を、第2ベース開口部内に充填した(図8(c)参照)。
【0193】
次いで、厚み4μmのポリイミド樹脂からなるカバー絶縁層を、内径200μmの円形のカバー開口部が形成された上記したパターンで形成した(図8(d)参照)。
【0194】
次いで、ウェットエッチングにより、金属支持層を外形加工することにより、上記したパターンの金属支持基板および金属台座部を形成した(図9(e)参照)。
【0195】
金属台座部は、雫形枠形状であり、突出部は、底面視において、第2ベース開口部(導通部)を含んでいた。また、金属台座部の中央には、内径280μmの円形の台座開口部を形成した。また、金属台座部の幅(金属台座部の外周面と台座開口部の内周面との距離)は、100μmであった。
【0196】
次いで、金属台座部の台座開口部から露出するベース絶縁層を、ウェットエッチングによって、部分的に除去した(図9(f)参照)。
【0197】
これによって、開口部形成領域におけるベース絶縁層が除去されて、第1ベース上開口部が形成され、それと同時に、ベース絶縁層の内周部の下部が除去され、それによって、第1ベース下開口部が形成された。
【0198】
第1ベース上開口部は、円形状であり、内径が200μmであり、また、第1ベース下開口部は、第1ベース上開口部を含む円形状であり、内径が、280μmであった。
【0199】
その後、無電解めっきによって、厚み1.0μmの金からなるめっき層を、先側端子、後側端子、圧電側端子および枠導体の表面に形成した(図9(g)参照)。
【0200】
これによって、回路付サスペンション基板を製造した。
【0201】
実施例2
めっき層を、さらに、金属台座部の表面にも設けた以外は、実施例1と同様に処理して、回路付サスペンション基板を製造した(図5の仮想線参照)。
【0202】
比較例1
ベース絶縁層の形成において、第2ベース開口部を形成せず、かつ、導体層の形成において、導通部を設けなかった以外は、実施例1と同様に処理して、回路付サスペンション基板を製造した。
【0203】
(評価)
実施例1、2および比較例1の圧電側端子に、金ペーストを、台座開口部および第1ベース下開口部より多い量で設け、サンプルを作製し、その後、サンプルを、150℃、30分間加熱した。
【0204】
加熱前後における銅箔および導体層間の電気抵抗を測定した。
【0205】
その結果を表1に示す。
【0206】
【表1】

【符号の説明】
【0207】
1 回路付サスペンション基板
5 圧電素子
25B 電源配線
28 ベース絶縁層
37 第1ベース上開口部
40 圧電側端子
47 めっき層
60 金属台座部
61 第2ベース開口部
62 一端部
64 導通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を隔てて配置され、厚み方向を貫通する第1開口部および第2開口部が形成される絶縁層と、
前記厚み方向に投影したときに、前記第1開口部に重なる端子、および、一部が前記第2開口部に重なり、前記端子に連続する配線を備え、前記絶縁層の上に形成される導体層と、
前記絶縁層の下に形成され、前記厚み方向に投影したときに、前記第2開口部と重なるように、前記第1開口部の周りに配置され、電子素子を支持するための金属台座部と、
前記第2開口部内に充填され、前記配線と前記金属台座部とを導通させる導通部と
を備えることを特徴とする、配線回路基板。
【請求項2】
前記端子の表面に形成されるめっき層をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の配線回路基板。
【請求項3】
前記端子の表面、および、前記金属台座部の表面に形成されるめっき層をさらに備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の配線回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−114708(P2013−114708A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258865(P2011−258865)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【特許番号】特許第5084944号(P5084944)
【特許公報発行日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】