説明

野菜又は青果が梱包された段ボール箱の幅検査装置及びピッキング装置

【課題】廉価で比較的確実に段ボール箱の変形や破損を検知して次行程に搬送できる野菜又は青果が梱包された段ボール箱の幅検査装置及びピッキング装置を提供。
【解決手段】野菜又は青果が梱包された段ボール箱2と、段ボール箱を搬送する搬入コンベア4と、搬入コンベアから移送された段ボール箱を所定位置に停止させる待機部10と、待機部の段ボール箱を把持するロボット13と、ロボットに把持された段ボールが積み込まれる搬送用台車15とを有するピッキング装置1及び、ピッキング装置に用いる幅検査装置5であって、待機部の前行程に一対の当接板54,56を段ボール箱の両側面4bに当接させ、一対の当接板の距離Hが予め定められた距離以上の場合には、待機部外7,8へ搬出し、未満の場合には、待機部へ搬送する判別機6を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜又は青果が梱包された段ボール箱をロボットでピッキング作業する際の段ボール箱の検査に関し、特に幅検査装置、及びそれを用いたピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜又は青果が梱包された段ボール箱は、生産地からトラックで集荷され、集荷地で小分けされ、さらに、スーパー、小売りに移送される。この際、段ボール箱の積み替えをロボットにより行うことが期待される。しかし、野菜、青果等は不揃いのものや、梱包内容量の多寡、片より等により、段ボールの外形形状は必ずしも一定ではない。また、輸送途中で変形したり、さらには箱が破損する場合がある。人による積み替え作業であれば、目視で簡単に判定できるので、かかる不具合の作業への影響は少ない。しかし、ロボットによる積み替え作業にあっては、かかる判定をおこなわずに、破損又は変形した段ボール箱を把持すると、段ボール箱を完全に破壊し、中の野菜等をばらまいたり、落としたり、うまく積めなかったりするので、段ボール箱を予め検査する必要がある。
【0003】
箱類の検査は、例えば、特許文献1では、箱ではなくパレットであるが、検査すべきパレットを相対向する回転レバーの間に通し、回転レバーが所定の角度で一定の動きをしていれば破損なし、回転レバーの移動が所定量より少なければ、破損している。回転レバーの移動量が所定以上の場合は、釘の出っ張りや、材料の変形等がある等として、破損、変形状態を検査している。また、特許文献2にあっては、投光装置、超音波装置、視覚装置等を用いて大きさを測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−086639号公報
【特許文献2】特開2004−257939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものでは、回転レバー方式では、レバー間を移動するパレットの時間的変化をチェックする必要があり、パレットの種類が多くなると判断要因が増し、プログラムが複雑になるという問題があった。また、段ボール箱は種々の幅、長さ、高さがあり、それぞれ変形量等は異なるので、必ずしも安定した検査ができない。また、特許文献2のものでは、費用がかかるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、前述した問題点に鑑みて、廉価で比較的確実に段ボール箱の変形や破損を検知して次行程に搬送できる野菜又は青果が梱包された段ボール箱の幅検査装置を提供することである。さらに、かかる幅検査装置を用いた稼働率の高いロボットによるピッキング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者等は、野菜等が梱包された段ボールの状況について、種々観察した。その結果、段ボール箱の破損はほとんど無く、野菜等の押し込みにより変形も殆ど中央近傍が膨らんでいるものであった。さらに、産地から比較的まとめて運ばれたものは、破損もほとんど無く、下側、上側、前後の変形も殆どない。また、各部の変形や破損が大きいものは、幅方向の変形が大きいことを知得した。
【0008】
この知得により、本発明においては、野菜又は青果が梱包された段ボール箱と、前記段ボール箱の長手方向がコンベア移動方向となるように前記段ボール箱を搬送する搬入コンベアと、前記搬入コンベアから移送された段ボール箱を所定位置に停止させる待機部と、前記待機部の段ボール箱を把持するロボットと、前記ロボットに把持された段ボールが積み込まれる搬送用台車と、を有するピッキング装置に用いる幅検査装置であって、前記待機部の前行程にあって、搬送方向に平行な面を有し、前記段ボール箱の両側面に少なくとも一方が進退可能に出入りする一対の当接板と、前記一対の当接板の距離が予め定められた距離以上の場合には、前記待機部外へ搬出し、前記一対の当接板の距離が予め定められた距離未満の場合には、前記待機部へ搬送する判別機と、を有する野菜又は青果が梱包された段ボール箱の幅検査装置を提供することにより前述した課題を解決した。
【0009】
即ち、ロボットに把持させる前に、搬送方向に平行な面を有し、段ボール箱の両側面に少なくとも一方が進退可能に出入りする一対の当接板により、段ボール箱の両側面を抑えて幅(距離)を測定(判定)するようにした。当接板を用いて判定するので、段ボール箱の幅方向が膨らんでいるとき、その膨らむ場所が段ボール箱の側面の前後、上下のいずれであっても最大幅又はそれに近い値を測定(判定)できる。従って、変形の大きいものを除外して次行程のロボットに搬送するので、ロボットのピッキング作業に支障をきたさない。より好ましくは当接版は段ボール側面中央部又は中央部を含む側面で当接させる。
【0010】
このように、側面以外の変形は側面に比べ少ないので、側面幅で問題なければピッキング作業への影響は少ないので、かかる幅検査装置により、ロボットによるピッキング装置を可能にする。そこで、請求項2に記載の発明においては、野菜又は青果が梱包された段ボール箱と、前記段ボール箱の長手方向がコンベア移動方向となるように前記段ボール箱を搬送する搬入コンベアと、前記搬入コンベアから移送された段ボール箱の幅を測定する請求項1記載の前記幅検査装置と、前記幅検査装置から移送された段ボール箱を所定位置に停止させる待機部と、前記待機部の段ボール箱を把持するロボットと、前記ロボットに把持された段ボールが積み込まれる搬送用台車と、を有するピッキング装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、当接板を用いて、段ボール箱の幅方向の膨らみを測定し、ふくらみ量を判別機で判別するだけでよいので、廉価で確実、簡単な段ボール箱の変形や破損を検知できる検査装置を提供できるものとなった。また、産地から直送される段ボール箱の特性を考慮してかかる簡単な幅検査装置を用いたので、廉価で稼働率の高いロボットによりピッキング装置を提供するものとなった(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態を示すピッキング装置の模式図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す幅検査装置の平面図である。
【図3】図2の矢視Aからみた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明の幅検査装置は、図1に示すようなピッキング装置1に用いる。野菜又は青果が梱包された段ボール箱2が産地から多量に積載されたトラック31から荷下ろし位置3に降ろされる。自動機、又は人力により降ろされた段ボール箱搬入ローラコンベア4に載せられ幅検査装置5に送られる。幅検査装置5の手前には出入り可能な供給ストッパ41が設けられており、幅検査装置への段ボール箱の供給又は停止を選択可能にされている。幅検査装置5にて幅を測定され、判別機6により幅が所定量より大きいものは不合格とし、排出コンベア7に送られ、排出置き場8に送られる。幅が所定量よりも小さいものは合格とし、合格ローラコンベア9から待機部10に搬送される。待機部10の手前には、出入り可能な入口ストッパ11が設けられており、入口ストッパを出入りさせることにより、待機部への段ボール箱の供給(搬送)を制限している。
【0014】
待機部10には待機部ストッパ12が設けられており、段ボール箱2の先端2aが当接して所定位置に停止するようにされている。ロボット13には段ボール箱2を長手方向に把持する把持部14がアーム先端に設けられており、段ボール箱2の長手方向を狭持することにより、段ボール箱を把持し持ちあげ移動することができる。持ち上げた段ボール箱は人力で取り扱える、例えば、車輪付きの三方に保護柵が設けられた台車15に積み込まれる。所定量の段ボール箱が積まれた台車15は、所定の地区又は場所へ搬送される。ストッパ12は出入り可能にされており、ロボットが把持できない段ボール箱やその他の理由で積み込みを中止したときに、待機部ストッパを外し待機部から排出可能にしてもよい。
【0015】
幅検査装置5は、図2,3に示すように、直線状の架台51上に測定ローラコンベア52が直線方向に設けられている。測定ローラコンベア52の入口52a側には、搬入ローラコンベア4側に開く53a平面視ハ字状になるように平板53,53が設けられ、段ボール箱2の姿勢を一定にする。ハ字状の最小幅は取り扱う最大の段ボール幅よりやや大きくされている。平板53のハ字状の出口側53bに続き一方に当接板54が測定ローラコンベア52に沿って設けられている。さらに、位置決めストッパ55が出入り自在に設けられており、段ボール箱2を停止又は次工程へ搬出選択可能にされている。当接板54に対向して移動当接板56が測定ローラコンベア52に沿って設けられている。
【0016】
移動当接板56の大きさは処理すべき段ボール箱の少なくとも中央近傍に当接するような大きさにされている。移動当接板56は空気圧シリンダ57により測定ローラコンベア52直角方向に移動可能にされている。移動当接板56には図示しない位置検出器が設けられており、当接板54と移動当接板56の当接面の距離Hを検出できるようにされている。これにより、両当接板間で段ボール箱を狭持し、段ボール箱の幅を測定できる。当接板54は空気圧シリンダの圧力で押圧される。押圧力は段ボール箱側面に確実に接触し、段ボール箱があまり変形しないような適度な強さにされる。
【0017】
判別機6は、図示しない位置検出器からの信号と、予め設定された値とを比較して、当接板の距離Hが予め定められた距離以上の場合には、待機部外(排出コンベア7,排出置き場8)へ搬出し、距離未満の場合には、合格ローラコンベア9を経て待機部10へ搬送するようにされている。
【0018】
かかる実施の形態においては、搬入された野菜又は青果が梱包された段ボール箱2は、搬入ローラコンベア4から幅検査装置5に送られる。幅検査装置が作動中は手前の供給ストッパ41により、停止される。供給ストッパが解除され、段ボール箱2はハ字状の開口部53aで姿勢を整えられて、位置決めストッパ55に当接して位置決めされる。次に、移動当接板56が前進し、段ボール箱の側面2bに当接し、停止する。所定時間(ストローク所用時間プラスα)経過後までに、予め設定された値である位置検出器の値(あるいはリミット信号)が無い場合は、異常と判断し、排出コンベア7にはき出す。所定時間内に信号をあれば、正常として、合格ローラコンベアを通って、待機部10に送られ、ロボット13によるピッキング作業が行われる。
【0019】
このように本発明の実施の形態によれば、段ボール箱2の側面2bの中央近傍を押して幅を検出することで容易に段ボール箱の変形、特にふくらみ変形を検出することができ、ロボットでのピッキング作業の異常停止を減じ、効率的な作業を行うことができる。
【0020】
なお、本実施の形態は一事例を示すに過ぎず、待機部10,ロボット13は単数でなく、複数設けて、仕向け先等にわけることも可能である。また、ローラコンベア4、幅検査装置5、判別機6、待機部8の他、製品の種類を判定したり、箱を反転したり、回転したり、シールを貼ったり、仕向け先に仕分けたり等適宜の工程が配置されるのはいうまでもない。
【0021】
さらに、段ボール箱の変形はある程度修正できる。そこで、当接板を段ボール箱の側面に所定強さで押圧させることができるようにしてもよい。当接板を当てることにより、段ボール箱のふくらみを抑えるようにすることができるので、少々の変形は補正して次行程に搬送できるものとなる。制御は複雑になるが、幅が広すぎた場合に、排出処理するのではなく、押圧力を上げて段ボール箱を押圧し、当接板を一端引き戻し、所定押圧力に下げて再度段ボール箱の幅を再判定することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 野菜又は青果が梱包された段ボール箱のピッキング装置
2 野菜又は青果が梱包された段ボール箱
4 搬入(ローラ)コンベア
4b 段ボール箱の(両)側面
5 野菜又は青果が梱包された段ボール箱の幅検査装置。
6 判別機
7 待機部外(排出コンベア)
8 待機部外(排出置き場)
10 待機部
13 ロボット
15 搬送用台車
54 当接板
56 当接板(移動当接板)
H 一対の当接板の距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野菜又は青果が梱包された段ボール箱と、前記段ボール箱の長手方向がコンベア移動方向となるように前記段ボール箱を搬送する搬入コンベアと、前記搬入コンベアから移送された段ボール箱を所定位置に停止させる待機部と、前記待機部の段ボール箱を把持するロボットと、前記ロボットに把持された段ボールが積み込まれる搬送用台車と、を有するピッキング装置に用いる幅検査装置であって、前記待機部の前行程にあって、搬送方向に平行な面を有し、前記段ボール箱の側面中央部を含む両側面に少なくとも一方が進退可能に出入りする一対の当接板と、前記一対の当接板の距離が予め定められた距離以上の場合には、前記待機部外へ搬出し、前記一対の当接板の距離が予め定められた距離未満の場合には、前記待機部へ搬送する判別機と、を有することを特徴とする野菜又は青果が梱包された段ボール箱の幅検査装置。
【請求項2】
野菜又は青果が梱包された段ボール箱と、前記段ボール箱の長手方向がコンベア移動方向となるように前記段ボール箱を搬送する搬入コンベアと、前記搬入コンベアから移送された段ボール箱の幅を測定する請求項1記載の前記幅検査装置と、前記幅検査装置から移送された段ボール箱を所定位置に停止させる待機部と、前記待機部の段ボール箱を把持するロボットと、前記ロボットに把持された段ボールが積み込まれる搬送用台車と、を有することを特徴とするピッキング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−50923(P2011−50923A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204600(P2009−204600)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【出願人】(592209803)株式会社中野 (4)
【Fターム(参考)】