鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具
【課題】無収縮モルタルなどの充填材の漏出を簡便且つ確実に防止して、好適に柱部材などの鉛直部材同士を接合することが可能な鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具を提供する。
【解決手段】内周縁13cが下方の鉛直部材2の外周面2bに固着されて横方向外側に延出する受け部13と、受け部13の外周縁13bから上方に延出する立上がり部14とを備えた環状の受け治具11を下方の鉛直部材2の上端部2a側に取り付ける。また、一対の鉛直部材1、2を所定位置に配設する。さらに、一対の鉛直部材1、2との間に隙間Hを確保し、受け治具11の受け部13及び立上がり部14と下方の鉛直部材2の外周面2bとで囲まれた空間15内に下端部4aが配されるように筒状体4を設置する。そして、空間15内に閉塞材12を注入して隙間Hの下方開口部H1を閉塞させた後に、充填材6を隙間Hに充填する。
【解決手段】内周縁13cが下方の鉛直部材2の外周面2bに固着されて横方向外側に延出する受け部13と、受け部13の外周縁13bから上方に延出する立上がり部14とを備えた環状の受け治具11を下方の鉛直部材2の上端部2a側に取り付ける。また、一対の鉛直部材1、2を所定位置に配設する。さらに、一対の鉛直部材1、2との間に隙間Hを確保し、受け治具11の受け部13及び立上がり部14と下方の鉛直部材2の外周面2bとで囲まれた空間15内に下端部4aが配されるように筒状体4を設置する。そして、空間15内に閉塞材12を注入して隙間Hの下方開口部H1を閉塞させた後に、充填材6を隙間Hに充填する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば既設建物の柱部材を解体して新設建物の柱部材にリユースする際などに用いて好適な鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地球環境保全や資源の有効利用などの観点から、建物の構成部材をリサイクルすることが重要になっている。例えば、建物の解体工事などで発生した柱部材や梁部材などの構成部材を再資源化、再部材化、転用して有効活用することが提案、実施されている。
【0003】
一方、例えば建物の躯体を解体した後のコンクリートをコンクリートガラとして埋め立てや道路舗装などに活用したり、解体後の鋼管や鉄骨を溶融して新たな鋼材に再生するなどの再資源化と比較し、現状では、既設建物の構成部材を新たに構築する建物の構成部材に利用する再部材化への対応が十分になされていない。
【0004】
これに対し、特許文献1には、既設建物の柱部材(鉛直部材)を新たに構築する建物の柱部材として利用するにあたり、新設の建物の構築現場に搬入して所定位置に配設した一対の柱部材同士を接合する方法(いわゆるリングソケット工法)が開示されている。このリングソケット工法では、図9及び図10に示すように、上方の柱部材1の下端部1aと下方の柱部材2の上端部2aを突き合わせた接合部3を内包するように(覆うように)リングソケット(筒状体)4を設置するとともに、例えば斜めシュート(導入板)5や漏斗などを用いてリングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに無収縮モルタル(充填材)6を注入充填し、リングソケット4及び無収縮モルタル6を介して上下一対の柱部材1、2を接合する。
【0005】
また、このリングソケット工法では、下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に、下方の柱部材2の外周面2bに内周縁(一端7a)が溶接などで固着されて下方の柱部材2の外周面2bから直交方向外側(横方向外側)に延出するリング状受板(受け部)7bを備えた受け治具(位置決め用仮設金物)7を取り付けるようにしている。そして、この受け治具7は、リング状受板7bの上に載せることでリングソケット4を所定位置に位置決めし、リングソケット荷重を支持する。また、受け治具7は、リング状受板7bがリングソケット4の下端部4a側の隙間Hの下方開口部H1を閉塞し、リングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hに無収縮モルタル6を注入充填した際にこの無収縮モルタル6がリングソケット4の下端部4a側から外部に漏れることを防止する。
【0006】
さらに、リングソケット工法では、一対の柱部材1、2やリングソケット4の製作、建て方誤差を吸収できるように、予めリングソケット4の下端部4aとリング状受板7b(受け治具7)の間に5〜10mm程度の逃げ(隙間)をとる場合もある。この場合には、図11に示すように、リング状受板7bの上にポリエチレン樹脂発泡体などのパッキン材8を配設し、リングソケット4とリング状受板7bの間に介装したパッキン材8によって無収縮モルタル6がリングソケット4の下端部4a側から外部に漏出することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−184201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のリングソケット工法では、リングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hに空隙を発生させることなく確実に充填するために、充填材として硬化前の粘性が非常に低いほぼ液状の無収縮モルタル6を使用している。このため、リングソケット4の下端部4aと受け治具7のリング状受板7bとの間が完全に密閉されていないと、無収縮モルタル6の漏出を防止することが難しい。そして、事前に製作したパッキン材8を設置した場合であっても、図12に示すように、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差に伴って生じるリングソケット4の下端部4aとリング状受板7bの間(隙間P)を完全に密閉することは困難な場合が多く、また、パッキン材8で隙間Pを塞ぐことができたとしても、無収縮モルタル6の充填時(注入時)にその圧力によって新たな隙間Pが発生して無収縮モルタル6が漏れることがあり、簡便且つ確実に無収縮モルタル6の漏出を防止する手法が強く求められていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、無収縮モルタルなどの充填材の漏出を簡便且つ確実に防止して、好適に柱部材などの鉛直部材同士を接合することが可能な鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の鉛直部材の接合方法は、上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合方法であって、内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えた環状の受け治具を前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付ける受け治具取付工程と、上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように前記一対の鉛直部材を配設する鉛直部材設置工程と、前記一対の鉛直部材の外周面との間に所定の隙間を確保し、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように、筒状体を設置する筒状体設置工程と、前記空間内に閉塞材を注入して前記隙間の下方開口部を閉塞させる閉塞工程と、前記閉塞工程後に充填材を前記隙間に充填する充填工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の鉛直部材の接合構造は、上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合構造であって、内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備え、前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられた環状の受け治具と、上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように配設した前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように設置された筒状体と、前記空間内に注入されて前記隙間の下方開口部を閉塞する閉塞材と、前記筒状体と前記一対の鉛直部材の間の隙間に充填されて前記筒状体と前記一対の鉛直部材を一体にする充填材とを備えていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の受け治具は、上下一対の鉛直部材を、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように設置した筒状体と前記一対の鉛直部材との間の隙間に充填材を充填して接合する際に、下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられて、前記充填材が前記隙間の下方開口部から漏出することを防止するための受け治具であって、内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えて環状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
これら発明においては、受け治具が受け部及び立上がり部を備えて形成され、この受け治具の受け部及び立上がり部と下方の鉛直部材(例えば下方の柱部材)で囲まれた空間内に、筒状体(リングソケット)の下端部が配される。そして、筒状体と一対の鉛直部材(例えば上方の柱部材と下方の柱部材)の間の隙間に無収縮モルタルなどの充填材を充填する前の段階で、受け治具と下方の鉛直部材で囲まれた前記空間内に無収縮モルタルなどの閉塞材を注入する。これにより、閉塞材が硬化するとともに、筒状体と一対の鉛直部材の前記隙間の下方開口部を閉塞材で閉塞させることが可能になる。
【0015】
そして、このとき、筒状体や一対の鉛直部材の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、閉塞材の液面が筒状体の下端部よりも上方に配されるように前記空間内に閉塞材を注入することで、誤差の大小にかかわらず、硬化した閉塞材の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間の下方開口部を閉塞させることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具によれば、受け治具が受け部及び立上がり部を備えて形成されていることにより、筒状体や一対の鉛直部材の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、閉塞材の液面が筒状体の下端部よりも上方に配されるように前記空間内に閉塞材を注入することで、誤差の大小にかかわらず、閉塞材の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間の下方開口部を閉塞材で閉塞させることが可能になる。そして、このように前記隙間の下方開口部が閉塞材で閉塞されているため、無収縮モルタルなどの充填材を筒状体と一対の鉛直部材の間の隙間に充填しても、筒状体の下端部側から充填材が漏出することを確実に防止することが可能になる。
【0017】
よって、従来のリングソケット工法と比較し、筒状体や一対の鉛直部材(リングソケットや一対の柱部材)の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、筒状体と一対の鉛直部材の間の隙間に好適に充填材が充填され、筒状体と充填材を介して、接合耐力が低減することのない好適な状態で確実に一対の鉛直部材を接合することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合構造を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る受け治具を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、一対の鉛直部材及び筒状体(一対の柱部材及びリングソケット)を設置する方法を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、一対の鉛直部材、受け治具及び筒状体(一対の柱部材、受け治具及びリングソケット)を設置した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、閉塞材を注入する状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、閉塞材を注入した状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、筒状体や一対の鉛直部材(リングソケットや一対の柱部材)に製作、建て方誤差が生じている場合における閉塞材の注入状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、充填材を充填する状態を示す図である。
【図9】従来のリングソケット工法を示す斜視図である。
【図10】従来の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具を示す図である。
【図11】従来の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具を示す図である。
【図12】従来の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具において、リングソケットや一対の柱部材に製作、建て方誤差が生じている場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具について説明する。本実施形態は、例えば既設建物を解体して得た柱部材を新設の建物の柱部材にリユースするにあたり、上下一対の柱部材同士を接合するための柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具に関するものである。
【0020】
本実施形態の柱部材の接合構造10は、図1に示すように、上下一対の柱部材1、2(建物の構成部材である上下一対の鉛直部材)と、受け治具11と、リングソケット(筒状体)4と、充填材6と、閉塞材12とを備えて構成されている。
【0021】
一対の柱部材1、2は、例えば鋼製で断面円形状に形成されたものであり、既設建物を解体して得た柱部材1、2を工場などに搬送して清掃などの処理を施した後に、新たな建物の構築現場に搬入されたものである。そして、これら一対の柱部材1、2は、上方の柱部材1の下端部1aと下方の柱部材2の上端部2aを突き合わせるように設置されて、新たな建物の柱部材1、2として利用される。
【0022】
受け治具11は、例えば鋼製とされ、図1及び図2(a)に示すように、受け部13と立上がり部14を備えて環状に形成されている。受け部13は、中央に柱部材2の断面積と同大の内孔13aを備えた円板状に形成され、立上がり部14は、受け部13の外周縁(他端)13bから上方に延出し、受け部13の外周縁13bに沿って繋がる円環状に形成されている。そして、この受け治具11は、内孔13aを形成する受け部13の内周縁(一端)13cを下方の柱部材2の外周面2bに例えば溶接などで固着して、下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に一体に取り付けられている。このように下方の柱部材2に取り付けることで、受け治具13は、受け部13が下方の柱部材2の外周面2bから直交方向外側(横方向外側)に延出し、受け部13と立上がり部14と下方の柱部材2の外周面2bとによって上方に開口する円環状の空間15を形成する。
【0023】
なお、本発明に係る受け治具11は、例えば図2(b)に示すように、周方向に分割可能に形成し、分割した受け治具片11a、11bをそれぞれ下方の柱部材2の所定位置に下方の柱部材2の周方向に並設し、これとともに隣り合う受け治具片11a、11b同士をボルト16とナット17などで一体に固定することにより、下方の柱部材2に取り付けた状態で環状を呈するように構成されていてもよい。
【0024】
リングソケット4は、鋼製の筒状体であり、従来のリングソケット工法で用いるリングソケットと同様のものである。このリングソケット4は、図1に示すように、柱部材1、2の外径よりも大きな内径を備え、且つ受け治具11の外径よりも小さな外径を備えて円筒状に形成されている。そして、リングソケット4は、上下一対の柱部材1、2の上端部2aと下端部1aを互いに突き合わせた接合部3を内包するように一対の柱部材1、2を覆って設置されている。また、このとき、リングソケット4は、一対の柱部材1、2の外周面1b、2bとの間に所定の隙間Hを確保した状態で設置され、また、その下端部4aが受け治具11によって形成された前記空間15内に配されるように設置されている。
【0025】
なお、本発明に係る筒状体4は、受け治具11と同様に、例えば周方向に分割可能に形成し、分割した筒状体片をそれぞれ一対の柱部材1、2の接合部3の周方向に並設し、これとともに隣り合う筒状体片同士をボルトとナットなどで一体に固定することにより、筒状を呈するように構成されていてもよい。
【0026】
充填材6は、従来のリングソケット工法に用いる充填材と同様に、硬化前(充填時)の状態で粘性が非常に低くほぼ液状の無収縮モルタルであり、リングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに充填されている。このように充填材6を前記隙間Hに充填することで、一対の柱部材1、2は、硬化した充填材6とリングソケット4を介して一体に接合されている。
【0027】
閉塞材12は、充填材6と同一もしくは充填材6よりも高い強度が発現するモルタルであり、例えば30分程度の短時間で硬化するものである。そして、この閉塞材12は、受け治具11によって形成された前記空間15内に注入して設けられている。また、このとき、閉塞材12は、前記空間15内に配されたリングソケット4の下端部4aよりも上方に上面(注入時の液面)12aが位置するように設けられている。
【0028】
ついで、上記構成からなる柱部材の接合構造10によって上下一対の柱部材1、2を接合する方法について説明するとともに、本実施形態の鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造10並びに受け治具11の作用及び効果について説明する。
【0029】
はじめに、建物を解体して得た柱部材1、2を工場などに搬入し、柱部材1、2を新たに構築する建物の柱部材1、2として利用できるように清掃、長さ調整などの処理を施す。調整を施す。そして、本実施形態では、このように処理を施した段階で、予め、下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に、受け部13の内周縁の一端13cを例えば溶接などで下方の柱部材2の外周面に固着して受け治具11を取り付けておく(受け治具取付工程)。
【0030】
ついで、上記のように処理した柱部材1、2を、新たに建物を構築する現場に搬入し、適宜手段によって上下一対の柱部材1、2を所定位置に配設する。このとき、図3及び図4に示すように、互いの軸線O1、O2が同軸上に配し、上方の柱部材1の下端部1aと下方の柱部材2の上端部2aが突き合わされるように一対の柱部材1、2を配設する(鉛直部材設置工程)。
【0031】
また、本実施形態では、このように一対の柱部材1、2を配設する際に、上方の柱部材1を設置する前の段階でリングソケット4を設置しておく(筒状体設置工程)。このリングソケット4は、予め下方の柱部材2に取り付けられている受け治具11の受け部13及び立上がり部14と下方の柱部材2の外周面2bとで囲まれた空間15内に下端部4aが配されるように、且つ下方の柱部材2と互いの軸線O2、O3が同軸上に配されるように設置される。また、本実施形態では、図4に示すように受け治具11の受け部13上にスペーサ20を設置して、このスペーサ20上に載置するようにリングソケット4を設置する。これにより、リングソケット4は、スペーサ20を介して受け治具11に支持され、このスペーサ20によって下端部4aと受け部13との間に隙間をあけた状態で所定位置に設置される。なお、リングソケット4を設置するにあたり、必ずしもスペーサ20を設ける必要はなく、例えばチェーンブロックなどを用いてリングソケットを所定位置に吊り上げた状態で設置するようにしてもよい。
【0032】
そして、このようにリングソケット4を設置した状態で、図3及び図4に示すように、リングソケット4の上端部4b側から内部に上方の柱部材1を挿入し、この上方の柱部材1の下端部1aが下方の柱部材2の上端部2aに突き合わされるように、且つ下方の柱部材2と互いの軸線O1、O2が同軸上に配されるようにして上方の柱部材1を設置する。これにより、リングソケット4は、一対の柱部材1、2との間に所定の隙間Hを確保した状態で、且つ一対の柱部材1、2の接合部3を内包するようにして設置されることになる。
【0033】
ここで、本実施形態では、下方の柱部材2に予め受け治具11を取り付けておき、さらに上方の柱部材1を設置する前の段階でリングソケット4を設置するものとしている。これに対し、上述のように受け治具11やリングソケット4を分割可能に形成した場合などにおいては、新設の建物の構築現場で下方の柱部材2を所定位置に設置した段階で、この下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に受け治具11を取り付けるようにしたり、一対の柱部材1、2をそれぞれ所定位置に設置した段階で、受け治具11やリングソケット4を設置するようにしてもよい。
【0034】
ついで、一対の柱部材1、2及びリングソケット4を設置した段階で、図5に示すように、受け治具11の受け部13及び立上がり部14と下方の柱部材2の外周面2bとで囲まれた空間15内に、例えば斜めシュート(導入板)5や漏斗などを用いて閉塞材12を注入する(閉塞工程)。このとき、図6に示すように、液状の無収縮モルタルなどの閉塞材12をその液面(上面12a)がリングソケット4の下端部4aよりも例えば数cm程度、上方に配されるようにして注入する。すなわち、リングソケット4の下端部4aよりも高い位置まで閉塞材12を注入する。このように注入した閉塞材12は、注入とともにリングソケット4の下端部4a側を埋設するように、リングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hの下方開口部H1からこの隙間Hに入り込み(リングソケット4の内部に入り込み)、30分程度の短時間で硬化する。これにより、前記隙間Hの下方開口部H1は、閉塞材12によって閉塞されることになる。
【0035】
そして、このとき、例えば図7に示すように、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、リングソケット4の下端部4aよりも高い位置まで閉塞材12を注入することで、リングソケット4の下端部4aと受け治具11の受け部13の間の隙間Pに確実に閉塞材12が充填され、さらに、この閉塞材12がリングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hの下方開口部H1から隙間Hに入り込むことで、確実に前記隙間Hの下方開口部H1が硬化した閉塞材12によって閉塞されることになる。また、このようにリングソケット4の下端部4aよりも高い位置まで閉塞材12を注入することで、誤差の大小にかかわらず、閉塞材12の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間Hの下方開口部H1が閉塞(密閉)される。また、閉塞材12が硬化することによって、この閉塞材12を介して確実にリングソケット荷重が受け治具11で支持されることになる。
【0036】
ついで、上記のように閉塞材12が硬化して前記隙間Hの下方開口部H1を閉塞させた後に、図8に示すように、リングソケット4の上端部4b側の前記隙間Hの上方開口部H2から、この隙間Hに充填材6を注入して充填する(充填工程)。そして、硬化前(充填時)の状態で粘性が非常に低くほぼ液状の無収縮モルタルを充填材6として用いた場合であっても、硬化した閉塞材12によって前記隙間Hの下方開口部H1が閉塞されているため、充填材6がリングソケット4の下端部4a側から漏出することが確実に防止される。また、従来のパッキン材8を用いた場合のように、充填材6の充填時(注入時)にその圧力によって新たな隙間Pが発生して充填材6が漏出するようなこともない。
【0037】
これにより、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、図1に示すように、リングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに好適に充填材6が充填され、この充填材6が硬化するとともに、リングソケット4と充填材6を介して接合耐力が低減することのない好適な状態で確実に一対の柱部材1、2が接合される。
【0038】
したがって、本実施形態の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造10並びに受け治具11においては、受け治具11が受け部13及び立上がり部14を備えて形成されていることにより、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、閉塞材12の液面12aがリングソケット4の下端部4aよりも上方に配されるように前記空間15内に閉塞材12を注入することで、誤差の大小にかかわらず、閉塞材12の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間Hの下方開口部H1を閉塞材12で閉塞させることが可能になる。そして、このように前記隙間Hの下方開口部H1が閉塞材12で閉塞されているため、無収縮モルタルなどの充填材6をリングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに充填しても、リングソケット4の下端部4a側から充填材6が漏出することを確実に防止することが可能になる。
【0039】
よって、従来のリングソケット工法と比較し、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、リングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに好適に充填材6が充填され、リングソケット4と充填材6を介して、接合耐力が低減することのない好適な状態で確実に一対の柱部材1、2を接合することが可能になる。
【0040】
以上、本発明に係る鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、断面円形状の一対の柱部材1、2を接合するものとして説明を行い、これに伴って受け治具11が円環状に形成されているものとしたが、本発明の受け治具11は、受け部13と立上がり部14を備えて形成されていればよく、例えば断面方形状に一対の鉛直部材1、2が形成されている場合などにおいては、鉛直部材1、2の断面形状に応じて適宜受け治具11の形状を変更すればよい。
【0041】
また、本実施形態では、一対の柱部材1、2を接合するものとして説明を行ったが、本発明は、例えば柱部材(上方の鉛直部材)と杭(下方の鉛直部材)を接合する場合などに適用することも可能である。すなわち、本発明は、上下一対の鉛直部材を接合するあらゆる場合に適用可能であり、必ずしも鉛直部材を柱部材に限定しなくてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、充填材6が無収縮モルタルであるものとして説明を行ったが、本発明に係る充填材は、筒状体と上下一対の鉛直部材の間の隙間に充填して、筒状体と一対の鉛直部材を一体にし、上下一対の鉛直部材を接合することが可能であれば、例えば樹脂などであってもよく、必ずしも無収縮モルタルに限定しなくてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態では、閉塞材12が、充填材6と同一もしくは充填材6よりも高い強度が発現するモルタルであるものとして説明を行ったが、本発明に係る閉塞材は、受け治具の受け部及び立上がり部と下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に注入して、筒状体と上下一対の鉛直部材の間の隙間の下方開口部を閉塞させることが可能であれば、例えば樹脂などであってもよく、また、特に強度を限定しなくてもよく、必ずしもモルタルでなくてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 上方の柱部材(上方の鉛直部材)
1a 下端部
1b 外周面
2 下方の柱部材(下方の鉛直部材)
2a 上端部
2b 外周面
3 接合部
4 リングソケット(筒状体)
4a 下端部
4b 上端部
5 斜めシュート(導入板)
6 充填材(無収縮モルタル)
7 従来の受け治具
7a 内周縁(一端)
7b リング状受け板
8 パッキン材
10 柱部材の接合構造(鉛直部材の接合構造)
11 受け治具
12 閉塞材(モルタル)
12a 液面(上面)
13 受け部
13a 内孔
13b 外周縁(他端)
13c 内周縁(一端)
14 立上がり部
15 空間
16 ボルト
17 ナット
20 スペーサ
H リングソケットと一対の柱部材(筒状体と一対の鉛直部材)の間の隙間
H1 下方開口部
H2 上方開口部
O1 上方の柱部材(上方の鉛直部材)の軸線
O2 下方の柱部材(下方の鉛直部材)の軸線
O3 リングソケット(筒状体)の軸線
P リングソケット(筒状体)と受け治具の間の隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば既設建物の柱部材を解体して新設建物の柱部材にリユースする際などに用いて好適な鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地球環境保全や資源の有効利用などの観点から、建物の構成部材をリサイクルすることが重要になっている。例えば、建物の解体工事などで発生した柱部材や梁部材などの構成部材を再資源化、再部材化、転用して有効活用することが提案、実施されている。
【0003】
一方、例えば建物の躯体を解体した後のコンクリートをコンクリートガラとして埋め立てや道路舗装などに活用したり、解体後の鋼管や鉄骨を溶融して新たな鋼材に再生するなどの再資源化と比較し、現状では、既設建物の構成部材を新たに構築する建物の構成部材に利用する再部材化への対応が十分になされていない。
【0004】
これに対し、特許文献1には、既設建物の柱部材(鉛直部材)を新たに構築する建物の柱部材として利用するにあたり、新設の建物の構築現場に搬入して所定位置に配設した一対の柱部材同士を接合する方法(いわゆるリングソケット工法)が開示されている。このリングソケット工法では、図9及び図10に示すように、上方の柱部材1の下端部1aと下方の柱部材2の上端部2aを突き合わせた接合部3を内包するように(覆うように)リングソケット(筒状体)4を設置するとともに、例えば斜めシュート(導入板)5や漏斗などを用いてリングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに無収縮モルタル(充填材)6を注入充填し、リングソケット4及び無収縮モルタル6を介して上下一対の柱部材1、2を接合する。
【0005】
また、このリングソケット工法では、下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に、下方の柱部材2の外周面2bに内周縁(一端7a)が溶接などで固着されて下方の柱部材2の外周面2bから直交方向外側(横方向外側)に延出するリング状受板(受け部)7bを備えた受け治具(位置決め用仮設金物)7を取り付けるようにしている。そして、この受け治具7は、リング状受板7bの上に載せることでリングソケット4を所定位置に位置決めし、リングソケット荷重を支持する。また、受け治具7は、リング状受板7bがリングソケット4の下端部4a側の隙間Hの下方開口部H1を閉塞し、リングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hに無収縮モルタル6を注入充填した際にこの無収縮モルタル6がリングソケット4の下端部4a側から外部に漏れることを防止する。
【0006】
さらに、リングソケット工法では、一対の柱部材1、2やリングソケット4の製作、建て方誤差を吸収できるように、予めリングソケット4の下端部4aとリング状受板7b(受け治具7)の間に5〜10mm程度の逃げ(隙間)をとる場合もある。この場合には、図11に示すように、リング状受板7bの上にポリエチレン樹脂発泡体などのパッキン材8を配設し、リングソケット4とリング状受板7bの間に介装したパッキン材8によって無収縮モルタル6がリングソケット4の下端部4a側から外部に漏出することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−184201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のリングソケット工法では、リングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hに空隙を発生させることなく確実に充填するために、充填材として硬化前の粘性が非常に低いほぼ液状の無収縮モルタル6を使用している。このため、リングソケット4の下端部4aと受け治具7のリング状受板7bとの間が完全に密閉されていないと、無収縮モルタル6の漏出を防止することが難しい。そして、事前に製作したパッキン材8を設置した場合であっても、図12に示すように、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差に伴って生じるリングソケット4の下端部4aとリング状受板7bの間(隙間P)を完全に密閉することは困難な場合が多く、また、パッキン材8で隙間Pを塞ぐことができたとしても、無収縮モルタル6の充填時(注入時)にその圧力によって新たな隙間Pが発生して無収縮モルタル6が漏れることがあり、簡便且つ確実に無収縮モルタル6の漏出を防止する手法が強く求められていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、無収縮モルタルなどの充填材の漏出を簡便且つ確実に防止して、好適に柱部材などの鉛直部材同士を接合することが可能な鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の鉛直部材の接合方法は、上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合方法であって、内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えた環状の受け治具を前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付ける受け治具取付工程と、上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように前記一対の鉛直部材を配設する鉛直部材設置工程と、前記一対の鉛直部材の外周面との間に所定の隙間を確保し、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように、筒状体を設置する筒状体設置工程と、前記空間内に閉塞材を注入して前記隙間の下方開口部を閉塞させる閉塞工程と、前記閉塞工程後に充填材を前記隙間に充填する充填工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の鉛直部材の接合構造は、上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合構造であって、内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備え、前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられた環状の受け治具と、上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように配設した前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように設置された筒状体と、前記空間内に注入されて前記隙間の下方開口部を閉塞する閉塞材と、前記筒状体と前記一対の鉛直部材の間の隙間に充填されて前記筒状体と前記一対の鉛直部材を一体にする充填材とを備えていることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の受け治具は、上下一対の鉛直部材を、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように設置した筒状体と前記一対の鉛直部材との間の隙間に充填材を充填して接合する際に、下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられて、前記充填材が前記隙間の下方開口部から漏出することを防止するための受け治具であって、内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えて環状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
これら発明においては、受け治具が受け部及び立上がり部を備えて形成され、この受け治具の受け部及び立上がり部と下方の鉛直部材(例えば下方の柱部材)で囲まれた空間内に、筒状体(リングソケット)の下端部が配される。そして、筒状体と一対の鉛直部材(例えば上方の柱部材と下方の柱部材)の間の隙間に無収縮モルタルなどの充填材を充填する前の段階で、受け治具と下方の鉛直部材で囲まれた前記空間内に無収縮モルタルなどの閉塞材を注入する。これにより、閉塞材が硬化するとともに、筒状体と一対の鉛直部材の前記隙間の下方開口部を閉塞材で閉塞させることが可能になる。
【0015】
そして、このとき、筒状体や一対の鉛直部材の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、閉塞材の液面が筒状体の下端部よりも上方に配されるように前記空間内に閉塞材を注入することで、誤差の大小にかかわらず、硬化した閉塞材の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間の下方開口部を閉塞させることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具によれば、受け治具が受け部及び立上がり部を備えて形成されていることにより、筒状体や一対の鉛直部材の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、閉塞材の液面が筒状体の下端部よりも上方に配されるように前記空間内に閉塞材を注入することで、誤差の大小にかかわらず、閉塞材の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間の下方開口部を閉塞材で閉塞させることが可能になる。そして、このように前記隙間の下方開口部が閉塞材で閉塞されているため、無収縮モルタルなどの充填材を筒状体と一対の鉛直部材の間の隙間に充填しても、筒状体の下端部側から充填材が漏出することを確実に防止することが可能になる。
【0017】
よって、従来のリングソケット工法と比較し、筒状体や一対の鉛直部材(リングソケットや一対の柱部材)の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、筒状体と一対の鉛直部材の間の隙間に好適に充填材が充填され、筒状体と充填材を介して、接合耐力が低減することのない好適な状態で確実に一対の鉛直部材を接合することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合構造を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る受け治具を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、一対の鉛直部材及び筒状体(一対の柱部材及びリングソケット)を設置する方法を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、一対の鉛直部材、受け治具及び筒状体(一対の柱部材、受け治具及びリングソケット)を設置した状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、閉塞材を注入する状態を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、閉塞材を注入した状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、筒状体や一対の鉛直部材(リングソケットや一対の柱部材)に製作、建て方誤差が生じている場合における閉塞材の注入状態を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法において、充填材を充填する状態を示す図である。
【図9】従来のリングソケット工法を示す斜視図である。
【図10】従来の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具を示す図である。
【図11】従来の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具を示す図である。
【図12】従来の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具において、リングソケットや一対の柱部材に製作、建て方誤差が生じている場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係る鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具について説明する。本実施形態は、例えば既設建物を解体して得た柱部材を新設の建物の柱部材にリユースするにあたり、上下一対の柱部材同士を接合するための柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造並びに受け治具に関するものである。
【0020】
本実施形態の柱部材の接合構造10は、図1に示すように、上下一対の柱部材1、2(建物の構成部材である上下一対の鉛直部材)と、受け治具11と、リングソケット(筒状体)4と、充填材6と、閉塞材12とを備えて構成されている。
【0021】
一対の柱部材1、2は、例えば鋼製で断面円形状に形成されたものであり、既設建物を解体して得た柱部材1、2を工場などに搬送して清掃などの処理を施した後に、新たな建物の構築現場に搬入されたものである。そして、これら一対の柱部材1、2は、上方の柱部材1の下端部1aと下方の柱部材2の上端部2aを突き合わせるように設置されて、新たな建物の柱部材1、2として利用される。
【0022】
受け治具11は、例えば鋼製とされ、図1及び図2(a)に示すように、受け部13と立上がり部14を備えて環状に形成されている。受け部13は、中央に柱部材2の断面積と同大の内孔13aを備えた円板状に形成され、立上がり部14は、受け部13の外周縁(他端)13bから上方に延出し、受け部13の外周縁13bに沿って繋がる円環状に形成されている。そして、この受け治具11は、内孔13aを形成する受け部13の内周縁(一端)13cを下方の柱部材2の外周面2bに例えば溶接などで固着して、下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に一体に取り付けられている。このように下方の柱部材2に取り付けることで、受け治具13は、受け部13が下方の柱部材2の外周面2bから直交方向外側(横方向外側)に延出し、受け部13と立上がり部14と下方の柱部材2の外周面2bとによって上方に開口する円環状の空間15を形成する。
【0023】
なお、本発明に係る受け治具11は、例えば図2(b)に示すように、周方向に分割可能に形成し、分割した受け治具片11a、11bをそれぞれ下方の柱部材2の所定位置に下方の柱部材2の周方向に並設し、これとともに隣り合う受け治具片11a、11b同士をボルト16とナット17などで一体に固定することにより、下方の柱部材2に取り付けた状態で環状を呈するように構成されていてもよい。
【0024】
リングソケット4は、鋼製の筒状体であり、従来のリングソケット工法で用いるリングソケットと同様のものである。このリングソケット4は、図1に示すように、柱部材1、2の外径よりも大きな内径を備え、且つ受け治具11の外径よりも小さな外径を備えて円筒状に形成されている。そして、リングソケット4は、上下一対の柱部材1、2の上端部2aと下端部1aを互いに突き合わせた接合部3を内包するように一対の柱部材1、2を覆って設置されている。また、このとき、リングソケット4は、一対の柱部材1、2の外周面1b、2bとの間に所定の隙間Hを確保した状態で設置され、また、その下端部4aが受け治具11によって形成された前記空間15内に配されるように設置されている。
【0025】
なお、本発明に係る筒状体4は、受け治具11と同様に、例えば周方向に分割可能に形成し、分割した筒状体片をそれぞれ一対の柱部材1、2の接合部3の周方向に並設し、これとともに隣り合う筒状体片同士をボルトとナットなどで一体に固定することにより、筒状を呈するように構成されていてもよい。
【0026】
充填材6は、従来のリングソケット工法に用いる充填材と同様に、硬化前(充填時)の状態で粘性が非常に低くほぼ液状の無収縮モルタルであり、リングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに充填されている。このように充填材6を前記隙間Hに充填することで、一対の柱部材1、2は、硬化した充填材6とリングソケット4を介して一体に接合されている。
【0027】
閉塞材12は、充填材6と同一もしくは充填材6よりも高い強度が発現するモルタルであり、例えば30分程度の短時間で硬化するものである。そして、この閉塞材12は、受け治具11によって形成された前記空間15内に注入して設けられている。また、このとき、閉塞材12は、前記空間15内に配されたリングソケット4の下端部4aよりも上方に上面(注入時の液面)12aが位置するように設けられている。
【0028】
ついで、上記構成からなる柱部材の接合構造10によって上下一対の柱部材1、2を接合する方法について説明するとともに、本実施形態の鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造10並びに受け治具11の作用及び効果について説明する。
【0029】
はじめに、建物を解体して得た柱部材1、2を工場などに搬入し、柱部材1、2を新たに構築する建物の柱部材1、2として利用できるように清掃、長さ調整などの処理を施す。調整を施す。そして、本実施形態では、このように処理を施した段階で、予め、下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に、受け部13の内周縁の一端13cを例えば溶接などで下方の柱部材2の外周面に固着して受け治具11を取り付けておく(受け治具取付工程)。
【0030】
ついで、上記のように処理した柱部材1、2を、新たに建物を構築する現場に搬入し、適宜手段によって上下一対の柱部材1、2を所定位置に配設する。このとき、図3及び図4に示すように、互いの軸線O1、O2が同軸上に配し、上方の柱部材1の下端部1aと下方の柱部材2の上端部2aが突き合わされるように一対の柱部材1、2を配設する(鉛直部材設置工程)。
【0031】
また、本実施形態では、このように一対の柱部材1、2を配設する際に、上方の柱部材1を設置する前の段階でリングソケット4を設置しておく(筒状体設置工程)。このリングソケット4は、予め下方の柱部材2に取り付けられている受け治具11の受け部13及び立上がり部14と下方の柱部材2の外周面2bとで囲まれた空間15内に下端部4aが配されるように、且つ下方の柱部材2と互いの軸線O2、O3が同軸上に配されるように設置される。また、本実施形態では、図4に示すように受け治具11の受け部13上にスペーサ20を設置して、このスペーサ20上に載置するようにリングソケット4を設置する。これにより、リングソケット4は、スペーサ20を介して受け治具11に支持され、このスペーサ20によって下端部4aと受け部13との間に隙間をあけた状態で所定位置に設置される。なお、リングソケット4を設置するにあたり、必ずしもスペーサ20を設ける必要はなく、例えばチェーンブロックなどを用いてリングソケットを所定位置に吊り上げた状態で設置するようにしてもよい。
【0032】
そして、このようにリングソケット4を設置した状態で、図3及び図4に示すように、リングソケット4の上端部4b側から内部に上方の柱部材1を挿入し、この上方の柱部材1の下端部1aが下方の柱部材2の上端部2aに突き合わされるように、且つ下方の柱部材2と互いの軸線O1、O2が同軸上に配されるようにして上方の柱部材1を設置する。これにより、リングソケット4は、一対の柱部材1、2との間に所定の隙間Hを確保した状態で、且つ一対の柱部材1、2の接合部3を内包するようにして設置されることになる。
【0033】
ここで、本実施形態では、下方の柱部材2に予め受け治具11を取り付けておき、さらに上方の柱部材1を設置する前の段階でリングソケット4を設置するものとしている。これに対し、上述のように受け治具11やリングソケット4を分割可能に形成した場合などにおいては、新設の建物の構築現場で下方の柱部材2を所定位置に設置した段階で、この下方の柱部材2の上端部2a側の所定位置に受け治具11を取り付けるようにしたり、一対の柱部材1、2をそれぞれ所定位置に設置した段階で、受け治具11やリングソケット4を設置するようにしてもよい。
【0034】
ついで、一対の柱部材1、2及びリングソケット4を設置した段階で、図5に示すように、受け治具11の受け部13及び立上がり部14と下方の柱部材2の外周面2bとで囲まれた空間15内に、例えば斜めシュート(導入板)5や漏斗などを用いて閉塞材12を注入する(閉塞工程)。このとき、図6に示すように、液状の無収縮モルタルなどの閉塞材12をその液面(上面12a)がリングソケット4の下端部4aよりも例えば数cm程度、上方に配されるようにして注入する。すなわち、リングソケット4の下端部4aよりも高い位置まで閉塞材12を注入する。このように注入した閉塞材12は、注入とともにリングソケット4の下端部4a側を埋設するように、リングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hの下方開口部H1からこの隙間Hに入り込み(リングソケット4の内部に入り込み)、30分程度の短時間で硬化する。これにより、前記隙間Hの下方開口部H1は、閉塞材12によって閉塞されることになる。
【0035】
そして、このとき、例えば図7に示すように、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、リングソケット4の下端部4aよりも高い位置まで閉塞材12を注入することで、リングソケット4の下端部4aと受け治具11の受け部13の間の隙間Pに確実に閉塞材12が充填され、さらに、この閉塞材12がリングソケット4と一対の柱部材1、2の隙間Hの下方開口部H1から隙間Hに入り込むことで、確実に前記隙間Hの下方開口部H1が硬化した閉塞材12によって閉塞されることになる。また、このようにリングソケット4の下端部4aよりも高い位置まで閉塞材12を注入することで、誤差の大小にかかわらず、閉塞材12の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間Hの下方開口部H1が閉塞(密閉)される。また、閉塞材12が硬化することによって、この閉塞材12を介して確実にリングソケット荷重が受け治具11で支持されることになる。
【0036】
ついで、上記のように閉塞材12が硬化して前記隙間Hの下方開口部H1を閉塞させた後に、図8に示すように、リングソケット4の上端部4b側の前記隙間Hの上方開口部H2から、この隙間Hに充填材6を注入して充填する(充填工程)。そして、硬化前(充填時)の状態で粘性が非常に低くほぼ液状の無収縮モルタルを充填材6として用いた場合であっても、硬化した閉塞材12によって前記隙間Hの下方開口部H1が閉塞されているため、充填材6がリングソケット4の下端部4a側から漏出することが確実に防止される。また、従来のパッキン材8を用いた場合のように、充填材6の充填時(注入時)にその圧力によって新たな隙間Pが発生して充填材6が漏出するようなこともない。
【0037】
これにより、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、図1に示すように、リングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに好適に充填材6が充填され、この充填材6が硬化するとともに、リングソケット4と充填材6を介して接合耐力が低減することのない好適な状態で確実に一対の柱部材1、2が接合される。
【0038】
したがって、本実施形態の柱部材の接合方法及び柱部材の接合構造10並びに受け治具11においては、受け治具11が受け部13及び立上がり部14を備えて形成されていることにより、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、閉塞材12の液面12aがリングソケット4の下端部4aよりも上方に配されるように前記空間15内に閉塞材12を注入することで、誤差の大小にかかわらず、閉塞材12の硬化とともに簡便且つ確実に前記隙間Hの下方開口部H1を閉塞材12で閉塞させることが可能になる。そして、このように前記隙間Hの下方開口部H1が閉塞材12で閉塞されているため、無収縮モルタルなどの充填材6をリングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに充填しても、リングソケット4の下端部4a側から充填材6が漏出することを確実に防止することが可能になる。
【0039】
よって、従来のリングソケット工法と比較し、リングソケット4や一対の柱部材1、2の製作、建て方誤差が生じた場合であっても、リングソケット4と一対の柱部材1、2の間の隙間Hに好適に充填材6が充填され、リングソケット4と充填材6を介して、接合耐力が低減することのない好適な状態で確実に一対の柱部材1、2を接合することが可能になる。
【0040】
以上、本発明に係る鉛直部材の接合方法及び鉛直部材の接合構造並びに受け治具の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、断面円形状の一対の柱部材1、2を接合するものとして説明を行い、これに伴って受け治具11が円環状に形成されているものとしたが、本発明の受け治具11は、受け部13と立上がり部14を備えて形成されていればよく、例えば断面方形状に一対の鉛直部材1、2が形成されている場合などにおいては、鉛直部材1、2の断面形状に応じて適宜受け治具11の形状を変更すればよい。
【0041】
また、本実施形態では、一対の柱部材1、2を接合するものとして説明を行ったが、本発明は、例えば柱部材(上方の鉛直部材)と杭(下方の鉛直部材)を接合する場合などに適用することも可能である。すなわち、本発明は、上下一対の鉛直部材を接合するあらゆる場合に適用可能であり、必ずしも鉛直部材を柱部材に限定しなくてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、充填材6が無収縮モルタルであるものとして説明を行ったが、本発明に係る充填材は、筒状体と上下一対の鉛直部材の間の隙間に充填して、筒状体と一対の鉛直部材を一体にし、上下一対の鉛直部材を接合することが可能であれば、例えば樹脂などであってもよく、必ずしも無収縮モルタルに限定しなくてもよい。
【0043】
さらに、本実施形態では、閉塞材12が、充填材6と同一もしくは充填材6よりも高い強度が発現するモルタルであるものとして説明を行ったが、本発明に係る閉塞材は、受け治具の受け部及び立上がり部と下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に注入して、筒状体と上下一対の鉛直部材の間の隙間の下方開口部を閉塞させることが可能であれば、例えば樹脂などであってもよく、また、特に強度を限定しなくてもよく、必ずしもモルタルでなくてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 上方の柱部材(上方の鉛直部材)
1a 下端部
1b 外周面
2 下方の柱部材(下方の鉛直部材)
2a 上端部
2b 外周面
3 接合部
4 リングソケット(筒状体)
4a 下端部
4b 上端部
5 斜めシュート(導入板)
6 充填材(無収縮モルタル)
7 従来の受け治具
7a 内周縁(一端)
7b リング状受け板
8 パッキン材
10 柱部材の接合構造(鉛直部材の接合構造)
11 受け治具
12 閉塞材(モルタル)
12a 液面(上面)
13 受け部
13a 内孔
13b 外周縁(他端)
13c 内周縁(一端)
14 立上がり部
15 空間
16 ボルト
17 ナット
20 スペーサ
H リングソケットと一対の柱部材(筒状体と一対の鉛直部材)の間の隙間
H1 下方開口部
H2 上方開口部
O1 上方の柱部材(上方の鉛直部材)の軸線
O2 下方の柱部材(下方の鉛直部材)の軸線
O3 リングソケット(筒状体)の軸線
P リングソケット(筒状体)と受け治具の間の隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合方法であって、
内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えた環状の受け治具を前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付ける受け治具取付工程と、
上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように前記一対の鉛直部材を配設する鉛直部材設置工程と、
前記一対の鉛直部材の外周面との間に所定の隙間を確保し、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように、筒状体を設置する筒状体設置工程と、
前記空間内に閉塞材を注入して前記隙間の下方開口部を閉塞させる閉塞工程と、
前記閉塞工程後に充填材を前記隙間に充填する充填工程とを備えることを特徴とする鉛直部材の接合方法。
【請求項2】
上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合構造であって、
内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備え、前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられた環状の受け治具と、
上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように配設した前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように設置された筒状体と、
前記空間内に注入されて前記隙間の下方開口部を閉塞する閉塞材と、
前記筒状体と前記一対の鉛直部材の間の隙間に充填されて前記筒状体と前記一対の鉛直部材を一体にする充填材とを備えていることを特徴とする鉛直部材の接合構造。
【請求項3】
上下一対の鉛直部材を、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように設置した筒状体と前記一対の鉛直部材との間の隙間に充填材を充填して接合する際に、下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられて、前記充填材が前記隙間の下方開口部から漏出することを防止するための受け治具であって、
内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えて環状に形成されていることを特徴とする受け治具。
【請求項1】
上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合方法であって、
内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えた環状の受け治具を前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付ける受け治具取付工程と、
上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように前記一対の鉛直部材を配設する鉛直部材設置工程と、
前記一対の鉛直部材の外周面との間に所定の隙間を確保し、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように、筒状体を設置する筒状体設置工程と、
前記空間内に閉塞材を注入して前記隙間の下方開口部を閉塞させる閉塞工程と、
前記閉塞工程後に充填材を前記隙間に充填する充填工程とを備えることを特徴とする鉛直部材の接合方法。
【請求項2】
上下一対の鉛直部材を接合する鉛直部材の接合構造であって、
内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備え、前記下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられた環状の受け治具と、
上方の鉛直部材の下端部と下方の鉛直部材の上端部が突き合わされるように配設した前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように、且つ前記受け治具の受け部及び立上がり部と前記下方の鉛直部材の外周面とで囲まれた空間内に下端部が配されるように設置された筒状体と、
前記空間内に注入されて前記隙間の下方開口部を閉塞する閉塞材と、
前記筒状体と前記一対の鉛直部材の間の隙間に充填されて前記筒状体と前記一対の鉛直部材を一体にする充填材とを備えていることを特徴とする鉛直部材の接合構造。
【請求項3】
上下一対の鉛直部材を、前記一対の鉛直部材の接合部を内包するように設置した筒状体と前記一対の鉛直部材との間の隙間に充填材を充填して接合する際に、下方の鉛直部材の上端部側に取り付けられて、前記充填材が前記隙間の下方開口部から漏出することを防止するための受け治具であって、
内周縁の一端が下方の鉛直部材の外周面に固着されて横方向外側に延出する受け部と、該受け部の外周縁の他端から上方に延出する立上がり部とを備えて環状に形成されていることを特徴とする受け治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−174444(P2010−174444A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15509(P2009−15509)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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