説明

長さとレベルの調節ができる仮設梁

【課題】支柱を使用しない仮設梁で、長さとレベルの調節ができる仮設梁を提供する。
【解決手段】 本発明は、梁鋼管4と、接続孔開き鋼管5から成る上構成梁部材1と、その上構成梁部材1の接続孔開き鋼管5の孔15を開けない接続鋼管6(接続孔開き鋼管5でもよい)を用いた下構成梁部材2を重ね合わせて、上構成梁部材1の梁鋼管4の孔15に串材8を挿入する。梁鋼管4の他方の孔15にレベルの調整機能を備えた固定部材7をボルト14で固定をして、串材8に輪状の結合部材9を図4、図5に示すように架けて複数の固定部材7で長さとレベルの調節をしつつ締め付け結合させることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構築物のスラブ型枠を構築する鋼製支柱を使用しない仮設梁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、仮設梁として長さの調整が可能なペコビームなどが多く使用されている。それら仮設梁は、全て軽量化するために成形または加工したものである。
【0003】
長さの調整が可能なペコビームなど仮設梁の機能は、仮設梁を架ける梁の間隔に合わせて長さを調整する機能と、荷重を支えるだけの機能である。
【0004】
なお本願発明に関連する公知技術としてペコビームがある(インターネット検索可)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の支柱を使用しない仮設梁には次の問題があった。
軽量化するために成形または加工したものであるが、重量や体積が大きくなり運搬コストも収納スペースも多大である。
スラブ型枠の仮設梁として使用した場合など、長さを調節する機能と荷重を支える機能はあるが、スラブ型枠のレベルを調節することができない。
スラブ型枠の仮設梁として使用した場合など、仮設梁の重量や体積が大きいため組み解体がコスト高となる。
他方、従来の鋼製支柱を利用した場合の、スラブ型枠のレベル調整は、林立する個々の鋼製支柱でレベルの調整をすることは可能であるが、林立する鋼製支柱の中でレベルを見るのは困難である。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて成されたものであり、スラブ型枠を支える仮設梁を、上下に重ね合わせた構成梁部材を紐状の結合部材と固定部材を用いて、安価で且つ容易に長さとレベルの調節ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成する本発明の仮設梁は、長さとレベルの調節ができるスラブ型枠を支える仮設梁であって、上構成梁部材1と下構成梁部材2を串材8と輪状の結合部材9を用いて、固定部材7で締め付けながら長さとレベルの調節ができることを特徴とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁の工法を要旨とする。
【0008】
請求項2記載の、複数の孔15を設けた梁鋼管4と、孔15を均等間隔に設けた接続孔開き鋼管5から成る上構成梁部材1と、その上構成梁部材1の接続孔開き鋼管5の孔15を開けない接続鋼管6(接続孔開き鋼管5でもよい)を用いた下構成梁部材2を重ね合わせて、上構成梁部材1の梁鋼管4の孔15に串材8を挿入する。梁鋼管4の他方の孔15にレベルの調整機能を備えた固定部材7をボルト14で固定をして、串材8に輪状の結合部材9を図4、図5に示すように架けて複数の固定部材7で長さとレベルの調節をしつつ締め付け結合させることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁を要旨とする。
【0009】
請求項3記載の、長さとレベルの調節ができる仮設梁の上構成梁部材1と下構成梁部材2の間に中構成梁部材3(上構成梁部材1と同じ仕様材)を添えて、長いスパンにも対応させることができることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁を要旨とする。
【0010】
請求項4記載の、上構成梁部材1でスパン近くまで長さの調節をして、下構成梁部材2で長さの微調節ができることを特長とする、長さの調節ができる仮設梁を要旨とする。
【0011】
請求項5記載の、上下に重ね合わせた上構成梁部材1と下構成梁部材2を輪状の結合部材9と固定部材7を用いてスラブ型枠のレベルを調節することができることを特長とする、レベルの調整機能を備えた固定部材を要旨とする。
【0012】
請求項6記載の、長さとレベルの調節ができる仮設梁で、解体すれば最小の元の部材に戻せることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁を要旨とする。
【0013】
請求項7記載の、結合部材9を長くして、レベルの調整機能を備えた固定部材7の長尺物を使用することで、足場を使用しないで、床から直接にスラブ型枠のレベルを調節することができることを特長とする、レベルの調整機能を備えた固定部材を要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、スラブ型枠を支える仮設梁を、上下に重ね合わせた構成梁部材を結合部材と固定部材を用いて構成した仮設梁としたことで、仮設梁の長さもスラブ型枠のレベル調節もミリ単位まで容易にできる。また、本仮設梁は固定した製品ではなく、一般仮設鋼管でも構成し組み立てることが可能であり、組み立てる場所についても、工場や現場など場所を選ばないで容易に組み立てや解体が出来ることは、安価で且つ作業効率を大きく向上させる。
【0015】
前記、上下に重ね合わせた構成梁部材の間に構成梁部材を追加挿入して、強度を持たせることで、より重い積載荷重に耐えて長いスパンにも容易に対応する、長さとレベルの調節ができる仮設梁が構築できる。
【0016】
前記、長さとレベルの調節ができる仮設梁を使用することで、スラブ型枠を支える鋼製支柱など仮設材の大幅な削減ができる。鋼製支柱は重量が重く大量であるため、運搬や設置、解体や保管などの運搬費と労務費がかさむ、本仮設梁の使用はそれらの費用を大幅に削減できる。
【0017】
結合部材9を長くして、レベルの調整機能を備えた固定部材7の長尺物を使用することで、足場を使用しないで、床から直接にスラブ型枠のレベルを調節することができる。床上での作業により敏速に且つ安全に作業効率を高めることができる。
【0018】
重ね合わせた構成梁部材の接続部分に、見えやすい紐を張り渡すことで、スラブ型枠のレベルを見る必要もなく、固定部材の長さを操作調整することで、スラブ型枠のレベルが容易に調節できる。
【0019】
本発明の最大の特長は、組み立てや解体が容易に出来ると共に、解体すれば元の部材に戻せることにある。そのため費用も安価で保管スペースも最小であり、部材調達も容易である。更に、大幅な仮設材の削減や大幅な建設費の削減と工期の短縮を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0021】
図1〜図4は本発明の実施の形態に係り、図1は本発明の実施図を示した部分詳細図、図2は一般スパン用寸法調整が可能な仮設梁の姿図、図3は長スパン用寸法調整が可能な仮設梁の姿図、図4は図2に示した仮設梁の結合部分の断面詳細図、図5は図2に示した仮設梁の結合部分の姿図、図6は図2に示した仮設梁の固定部材部分の断面詳細図、図7は図2に示した仮設梁の結合部分の姿図である。
【0022】
本発明は、構築物のスラブ型枠をささえる、長さとレベルの調節ができる仮設梁であって。実施の形態は図2に示すように、複数の孔15を設けた梁鋼管4と、孔15を均等間隔に設けた接続孔開き鋼管5から成る上構成梁部材1と、その上構成梁部材1の接続孔開き鋼管5の孔15を開けない接続鋼管6(接続孔開き鋼管5でもよい)を用いた下構成梁部材2を重ね合わせて、上構成梁部材1の梁鋼管4の孔15に串材8を挿入する。梁鋼管4の他方の孔15にレベルの調整機能を備えた固定部材7をボルト14で固定をして、串材8に輪状の結合部材9を図4、図5に示すように架けて複数の固定部材7で長さとレベルの調節をしつつ締め付け結合させて構成した、長さとレベルの調節ができる仮設梁を型枠17に載せビス19固定した仮設梁受け18に載せる。
【0023】
図1の本発明の実施図を示した部分詳細図は、在来工法でコンクリート躯体の型枠組みをした型枠に、前記した長さとレベルの調節ができる仮設梁を架けてスラブ型枠を載せてコンクリートを打設した実施の部分詳細図である。
【0024】
図2の一般スパン用寸法調整が可能な仮設梁の姿図は前記した通りであるが、梁鋼管4について補足すれば、梁鋼管4には二つの孔15が設けられている、その一つは串材8を取り付ける孔15と固定部材7に設けられている梁鋼管受け11を固定する孔15である。
【0025】
図3の長スパン用寸法調整が可能な仮設梁の姿図は、図2の上下に重ね合わせた上構成梁部材1と下構成梁部材2の間に仮設梁の補強部材として中構成梁部材3を追加挿入したものである。
【0026】
図5の図2に示した仮設梁の結合部分の姿図は、型枠17に載せビス19固定した仮設梁受け18に上構成梁部材1と下構成梁部材2を載せた型枠17取り合い部分の詳細な姿図である。上構成梁部材1の梁鋼管4に設けられた孔15に串材8を取り付けて、結合部材9を図4、図5に取り付けたものである。図4はその断面詳細図である。
【0027】
図7の図2に示した仮設梁の結合部分の姿図は、固定部材7の取り付けを詳細に説明するための姿図である。固定部材7の梁鋼管受け11に設けた梁鋼管受け孔16は上下に移動する孔16として下構成梁部材2が左右に動きやすくする。梁鋼管受け11を上構成梁部材1にボルト14固定をして、固定部材7の下部に設けたボルト14付き結合部材受け10に結合部材9を挟み込み結合部材固定金物12を用いてナット13固定をして、固定部材7を回して長さとレベルの調節をしつつ締め付け結合させて長さとレベルの調節ができる仮設梁を構成する。図6は、図7の断面詳細図である。
【0028】
図2〜図7に示した上構成梁部材1、下構成梁部材2、中構成梁部材3の梁鋼管4は仮設用角鋼管で図示してあるが、本発明は材質を限定するものではない。また、結合部材9についてもワイヤーロープなど引張強度を有する輪状のものであり、結合部材9の材質も形状も限定するものではない。
【0029】
本発明の前記した仮設梁は、構築物のスラブ型枠を構築する仮設梁として記述してきたが、使用目的を限定するものではなく、仮設の足場や車両などの通行のため、支柱が設けられない仮設足場などの上部足場の仮設梁など、利用範囲は無限である。
【実施例】
【0030】
図1は、本発明の長さとレベルの調節ができる仮設梁とラーメン構造の型枠組みをわかり易くするための、実施図を示した部分詳細図である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施図を示した部分詳細図である。(実施図)
【図2】一般スパン用寸法調整が可能な仮設梁の姿図である。
【図3】長スパン用寸法調整が可能な仮設梁の姿図である。
【図4】図2に示した仮設梁の結合部分の断面詳細図である。
【図5】図2に示した仮設梁の結合部分の姿図である。
【図6】図2に示した仮設梁の固定部材部分の断面詳細図である。
【図7】図2に示した仮設梁の結合部分の姿図である。
【符号の説明】
【0032】
上構成梁部材
下構成梁部材
中構成梁部材
梁鋼管
接続孔開き鋼管
接続鋼管
固定部材
串材
結合部材
結合部材受け
梁鋼管受け
結合部材固定金物
ナット
ボルト

梁鋼管受け孔
型枠
仮設梁受け
ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構築物のコンクリートスラブを構築する、スラブ型枠を支える仮設梁であって、上構成梁部材1と下構成梁部材2を串材8と輪状の結合部材9を用いて、固定部材7で締め付けながら長さとレベルの調節ができることを特徴とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁の工法。
【請求項2】
複数の孔15を設けた梁鋼管4と、孔15を均等間隔に設けた接続孔開き鋼管5から成る上構成梁部材1と、その上構成梁部材1の接続孔開き鋼管5の孔15を開けない接続鋼管6(接続孔開き鋼管5でもよい)を用いた下構成梁部材2を重ね合わせて、上構成梁部材1の梁鋼管4の孔15に串材8を挿入する。梁鋼管4の他方の孔15にレベルの調整機能を備えた固定部材7をボルト14で固定をして、串材8に輪状の結合部材9を図4、図5に示すように架けて複数の固定部材7で長さとレベルの調節をしつつ締め付け結合させることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁。
【請求項3】
前記、長さとレベルの調節ができる仮設梁の上構成梁部材1と下構成梁部材2の間に中構成梁部材3(上構成梁部材1と同じ仕様材)を添えて、長いスパンにも対応させることができることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁。
【請求項4】
上構成梁部材1でスパン近くまで長さの調節をして、下構成梁部材2で長さの微調節ができることを特長とする、長さの調節ができる仮設梁。
【請求項5】
上下に重ね合わせた上構成梁部材1と下構成梁部材2を輪状の結合部材9と固定部材7を用いてスラブ型枠のレベルを調節することができることを特長とする、レベルの調整機能を備えた固定部材。
【請求項6】
長さとレベルの調節ができる仮設梁で、解体すれば最小の元の部材に戻せることを特長とする、長さとレベルの調節ができる仮設梁。
【請求項7】
結合部材9を長くして、レベルの調整機能を備えた固定部材7の長尺物を使用することで、足場を使用しないで、床から直接にスラブ型枠のレベルを調節することができることを特長とする、レベルの調整機能を備えた固定部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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