説明

開口部装置

【課題】 厚さが異なる種々のガラスに対応して格子を取り付けることができるとともに、ガラスと格子との離間距離を常に一定に保つことが可能な開口部装置を提供する。
【解決手段】 本発明の開口部装置は、建物の開口に設けられる枠体と、この枠体内に開閉自在に設けられるドア本体1と、ドア本体1に設けられた開口部22内に嵌め込み装着されるガラス20と、ガラス20の周縁を押える押え体34と、開口部22を横断するようにガラス20の外側に配置される格子30とを備える開口部装置であって、格子30を押え体34に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段40を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口に取り付けられる玄関ドア等の開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドアは、建物の開口に設けられる枠体と、この枠体内にヒンジを介して開閉自在に設けられるドア本体とを備えている。また、このドア本体には、装飾や採光を目的としてガラスが装着される場合がある。
【0003】
前記ドア本体にガラスを装着する場合には、例えば、ドア本体に開口部を設け、この開口部内にガラスが嵌め込み装着される。この時、前記ガラスの周縁が押え体によって押えられ、また、前記ガラスの外側には前記開口部を横断するように装飾用またはガラス保護用として格子が取り付けられる場合もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−146747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、ドア本体の開口部内にガラスを装着し且つその外側に格子を取り付ける場合には、一般に、格子と一体に形成された前記押え体が前記開口部(前記ガラス)の周縁に装着される。
【0006】
しかしながら、このように押え体と格子とが一体に形成されていると、ガラスは様々な厚さを有していることから、格子とガラスとの間の距離を常に一定に保つことができなかったり、あるいは、ガラスの厚さに合わせてその都度専用の格子一体型押え体を製造しなければならず、デザインおよびコストの面で様々な問題が生じる。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、厚さが異なる種々のガラスに対応して格子を取り付けることができるとともに、ガラスと格子との離間距離を常に一定に保つことが可能な開口部装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の開口部装置は、建物の開口に設けられる枠体と、この枠体内に開閉自在に設けられるドア本体と、前記ドア本体に設けられた開口部内に嵌め込み装着されるガラスと、前記ガラスの周縁を押える押え体と、前記開口部を横断するように前記ガラスの外側に配置される格子とを備える開口部装置であって、前記格子を前記押え体に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
この請求項1に記載の開口部装置においては、格子を押え体に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段が設けられているため、すなわち、格子と押え体とが一体ではなく(格子と押え体とが別個の部材から成り)且つ取り付け手段を介して格子を押え体に対して取り付けることができるため、厚さが異なる種々のガラスに対応して格子を取り付けることが可能になり、また、ガラスの厚さによらず格子とガラスとの間の距離を一定に保つことも可能になる。したがって、ガラスの厚さに合わせてその都度専用の格子および押え体を製造しなくて済む。
【0010】
また、請求項2に記載の開口部装置は、請求項1に記載された開口部装置において、前記取り付け手段は、前記押え体に対する前記格子の相対的な移動を許容し、それにより、前記格子と前記ガラスとの間の離間距離を調整可能にすることを特徴とする。
【0011】
この請求項2に記載の開口部装置においては、前記押え体に対する前記格子の相対的な移動が可能となり、それにより、前記格子と前記ガラスとの間の離間距離を調整できるため、ガラスの厚さとは無関係にガラスと格子との離間距離を常に一定に保つことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の開口部装置によれば、格子を押え体に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段が設けられているため、厚さが異なる種々のガラスに対応して格子を取り付けることができる。また、前記押え体に対する前記格子の相対的な移動を許容し、それにより、前記格子と前記ガラスとの間の離間距離を調整できるため、ガラスの厚さとは無関係にガラスと格子との離間距離を常に一定に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る開口部装置は、建物の開口に設けられる枠体(図示せず)と、この枠体内にヒンジを介して開閉自在に設けられるドア本体1とを備えている。また、ドア本体1には、装飾や採光を目的として例えば複層ガラス(ペアガラス)20が装着されている。具体的には、ドア本体1の上下にわたって長尺な開口部22が設けられ、この開口部22内に複層ガラス20が嵌め込み装着されている。また、複層ガラス20の外側(室内側)には、開口部22を横断するように装飾用またはガラス保護用の格子30が設けられている。なお、図1において、格子30は、開口部22を横方向(左右方向)に横断しているが、格子30の横断方向はこれに限らず、例えば図2に示すように格子30が開口部22を縦方向(上下方向)に横断していても構わない。また、ガラス20も複層形態に限らない。
【0014】
図3に示すように、ドア本体1は、断熱材2と、室外に面する断熱材2の外側面に設けられる外側表面材3と、室内に面する断熱材2の内側面に設けられる内側表面材4などから主に構成されている。
【0015】
また、前述したように、ドア本体1の開口部22には、装飾や採光を目的として例えば断熱性を有する複層ガラス(ペアガラス)20が嵌め込み装着されており、複層ガラス20の外側(室内側)には、開口部22を横断するように装飾用またはガラス保護用の格子30が設けられている。なお、複層ガラス20の一方のガラス体は、内部にフィルム39が挿入された合せガラスとして形成されている。
【0016】
複層ガラス20の取付構造を更に具体的に説明すると、開口部22の周縁に支持枠部材26(例えばアルミニウム合金の押出形材から成る)が嵌め込まれて装着されており、この支持枠部材26には、室外側からガラス20を押える外側押え体32と、室内側からガラス20を押える内側押え体34とが取り付けられている。この場合、外側押え体32は、支持枠部材26の一部と軟質押え部材36とから成る。また、内側押え体34は、図4〜図7にも示すように、額縁部材34aと、ガラス20の周縁を押える軟質押え部材34cおよび硬質押え部材34bとから成る。軟質押え部材34cおよび硬質押え部材34bは一体に形成されている。軟質押え部材34cは、先端側の部分を切り離すことにより、高さを低くできるようになっている。
【0017】
また、本実施形態の開口部装置には、格子30を内側押え体34に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段が設けられている。具体的には、この取り付け手段は、図4〜図7に示すように、額縁部材34aの側面に形成された一対の長穴50と、格子30の端部に着脱自在に嵌め付けられるパッキン部材40とから成る。パッキン部材40は、例えば、合成ゴム、軟質合成樹脂等のエラストマーなどから成る。パッキン部材40は、ガラス20に当接される当接部40aと、格子30の端部に嵌挿される取付部40bとを有しており、取付部40bには、額縁部材34aの長穴50と係合する一対の係合突起43が形成されている。
【0018】
次に、ドア本体1の開口部22に格子30取り付ける方法について簡単に説明する。
まず、図4および図5に示す分解された状態から、図6に示すようにパッキン部材40の取付部40bを格子30の端部に嵌め付けて装着するとともに、図3に示すように、パッキン部材40の当接部40aをガラス20の表面上に当接させて、ガラス20の上にパッキン部材40を介して格子30を載置する。
次いで、軟質押え部材34cの先端部がパッキン部材40の当接部40aを圧接するようにして、硬質押え部材34bを支持枠部材26上に載置し、クリップ35と硬質押え部材34bとをネジ47で支持枠部材26に共締めして固定する。
【0019】
最後に、額縁部材34aの長穴50にパッキン部材40の係合突起43が嵌まり込むようにしつつ、額縁部材34aを押し込んで、クリップ35の係合部に嵌合して固定する。なお、額縁部材34aは、必要に応じてさらにネジ等により支持枠部材26に固定するようにしてもよい。
なお、格子30の他方の端部も同様にして固定される。
このようにして、格子30の端部にはパッキン部材40の取付部40aが嵌め込まれている一方、このパッキン部材40aの当接部40aが軟質押え部材34cの先端部により押え付けられることにより、格子30がガラス20と一定の距離をおいて取り付けられる。
【0020】
このような取り付け構造によれば、厚さが異なる種々のガラスに対応して格子を取り付けることが可能になり、また、ガラスの厚さによらず格子とガラスとの間の距離を一定に保つことも可能になる。これは、長穴50に沿ってパッキン部材40の係合突起43を移動させることができ、内側押え体34に対して格子30を相対的に移動させることができるからである。したがって、厚さが異なる種々のガラスに対応して、格子30とガラスとの間の離間距離を調整することができる。すなわち、図3に示す合せガラスを有する複層ガラス20の厚さT1よりも薄い厚さT2を有する複層ガラス20A(網ガラス+合せガラス)に対して格子30を取り付ける場合(図8参照)であっても、図3の状態からパッキン部材40の係合突起43が長穴50に沿って距離S1だけ移動するだけ(図3の場合には、格子30の室内側面と額縁部材34aの室内側面とが略面一となっている。)で、ガラス20Aと格子30との間の離間距離Lを図3のそれと同一に設定することができる。また、同様に、図3に示す合せガラスを有する複層ガラス20の厚さT1よりも薄い厚さT3を有する複層ガラス20B(標準ガラス)に対して格子30を取り付ける場合(図9参照)であっても、図3の状態からパッキン部材40の係合突起43が長穴50に沿って距離S2だけ移動するだけで、ガラス20Bと格子30との間の離間距離Lを図3のそれと同一に設定することができる。更に、図10に示すような防火用の網入りガラス20Cにあっても、図3と同様の状態で取り付けることができる。
【0021】
以上のように、本実施形態の開口部装置においては、格子30を内側押え体34に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段が設けられているため、すなわち、格子30と内側押え体34とが一体ではなく(格子30と内側押え体34とが別個の部材から成り)且つ取り付け手段を介して格子30を内側押え体34に対して取り付けることができるため、厚さが異なる種々のガラスに対応して格子30を取り付けることが可能になり、また、ガラスの厚さによらず格子30とガラス20,20A,20B,20Cとの間の距離Lを一定に保つことも可能になる。したがって、ガラスの厚さに合わせてその都度専用の格子および押え体を製造しなくて済む。
【0022】
また、本実施形態の開口部装置においては、内側押え体34に対する格子30の相対的な移動が可能となり、それにより、格子30とガラス20との間の離間距離を調整できるため、ガラス20の厚さとは無関係にガラス20と格子30との離間距離を常に一定に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、建物の開口に開閉可能に取り付けられる玄関ドア等の様々な開口部装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るドア本体を室内側から見た正面図、(b)は(a)のドア本体を室外側から見た正面図である。
【図2】(a)は本発明の変形例に係るドア本体を室内側から見た正面図、(b)は(a)のドア本体を室外側から見た正面図である。
【図3】ドア本体に対する格子の取り付け構造における第1の態様を示す断面図である。
【図4】格子およびその取り付け部品の完全分解斜視図である。
【図5】格子およびその取り付け部品の完全分解斜視図である。
【図6】格子およびその取り付け部品の部分分解斜視図である。
【図7】格子およびその取り付け部品の組立斜視図である。
【図8】ドア本体に対する格子の取り付け構造における第2の態様を示す断面図である。
【図9】ドア本体に対する格子の取り付け構造における第3の態様を示す断面図である。
【図10】ドア本体に対する格子の取り付け構造における第4の態様を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ドア本体
20 ガラス
22 開口部
30 格子
34 内側押え体
40 パッキン部材(取り付け手段)
50 長穴(取り付け手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口に設けられる枠体と、この枠体内に開閉自在に設けられるドア本体と、前記ドア本体に設けられた開口部内に嵌め込み装着されるガラスと、前記ガラスの周縁を押える押え体と、前記開口部を横断するように前記ガラスの外側に配置される格子とを備える開口部装置であって、前記格子を前記押え体に対して着脱自在に取り付けるための取り付け手段を備えていることを特徴とする開口部装置。
【請求項2】
前記取り付け手段は、前記押え体に対する前記格子の相対的な移動を許容し、それにより、前記格子と前記ガラスとの間の離間距離を調整可能にすることを特徴とする請求項1に記載の開口部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−226005(P2006−226005A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41757(P2005−41757)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】