説明

間欠データ受信装置

【課題】受信機における消費電力を抑えて低電力化を図るとともに、間欠受信の動作を安定かつ正常に行う。
【解決手段】受信機1の受信部10において、通話音声、制御データ等のデータ信号S1の到来電波信号が受信された受信回路102は、局部発振回路100から出力される局部発振信号S10と到来電波信号とを混合して中間周波数を生成し検波して受信信号S11を生成し、この受信信号を検出した制御回路105がAND回路106を制御することにより、局部発振回路から受信回路に出力される局部発振信号の発振状態が安定した後に受信電源回路103から受信回路に動作電源の供給が開始され、受信回路におけるデータ信号の間欠受信の動作が能動となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話音声、制御データ等のデータ信号を受信機にて受信する間欠データ送受信装置に係り、特に、受信機における消費電力を抑えて低電力化を図ることができる間欠データ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の間欠データ受信装置として、消費電力を低減させることにより、電池を電源とした無線通信装置等の電池寿命を延ばし、当該装置の連続使用可能時間を長くすることができる受信回路が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
この受信回路によれば、シンセサイザ及び水晶発振器のうち選択された何れかにて局部発振信号が生成され、MCA方式の制御チャンネルにおける待受状態等の消費電力を低減することができる。
【0004】
【特許文献1】特開平5−14231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、通話音声、制御データ等のデータ信号を受信機にて受信するにあたり、その動作電源としては長寿命の電池が好適される一方、消費電力を十分に抑える要望がある。しかしながら、背景技術に記載した特許文献1の受信回路によれば、シンセサイザの構成としてVCOが備えられているため、電源の投入から局部発振信号の周波数が一定となり安定するまでに一定の時間が必要とされ、この時間内において受信回路の受信動作は正常とならず無駄な電力消費であった。
【0006】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、受信機における消費電力を抑えて低電力化を図るとともに、間欠受信の動作を安定かつ正常に行うことができる間欠データ受信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の間欠データ受信装置は、通話音声、制御データ等のデータ信号を受信するための受信部を有する受信機を設けたものである。受信部は、局部発振信号を出力するための局部発振回路と、局部発振回路の動作電源を供給するための局部発振電源回路と、局部発振信号及び受信機にて受信される到来電波信号を混合して中間周波数を生成し検波して受信信号を出力するための受信回路と、受信回路の動作電源を供給するための受信電源回路と、局部発振回路にて生成される局部発振信号の信号レベルを検知するための局部発振レベル監視回路と、受信回路からの受信信号が入力され間欠受信する受信動作制御信号を局部発振電源回路に出力するための制御回路と、局部発振レベル監視回路にて局部発振信号が検知されて局部発振回路の安定発振状態を示す安定発振状態信号及び受信動作制御信号が入力されて両信号のアンド条件下で受信電源回路を制御するためのAND回路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の間欠データ受信装置によれば、受信機の受信部において、通話音声、制御データ等のデータ信号の到来電波信号が受信された受信回路は、局部発振回路から出力される局部発振信号と到来電波信号とを混合して中間周波数を生成し検波して受信信号を生成し、この受信信号を検出した制御回路がAND回路を制御することにより、局部発振回路から受信回路に出力される局部発振信号の発振状態が安定した後に受信電源回路から受信回路に動作電源の供給が開始され、受信回路におけるデータ信号の間欠受信の動作が能動となる。これにより、局部発振電源回路からの動作電源の供給開始時より局部発振信号の周波数が一定となり安定するまでの一定の時間において、受信回路におけるデータ信号の間欠受信動作は開始せず当該受信回路における消費電力が抑えられて低電力化を図ることができるばかりでなく、局部発振信号の周波数が一定となり安定した後に受信回路における間欠受信動作が開始されるため、データ信号を安定かつ正常に間欠受信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の間欠データ受信装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1(a)は、本発明の実施例による間欠データ受信装置の構成を示すブロック図である。この間欠データ受信装置は、通話音声、制御データ等のデータ信号を受信するための受信部10を有する受信機1が設けられており、このデータ信号は、通常、送信機2の送信部20から送信されるものである。また、受信機1には、前述の受信部10と、通話音声が出力される受信機通話部11と、受信部10からの信号入力により受信機通話部11等の当該受信機の構成各部(図示せず。)を制御するための受信機制御部12とが備えられている。さらに、送信機2には、前述の送信部20と、通話音声が入力される送信機通話部21と、送信機通話部21からの信号入力により送信部20等の当該送信機の構成各部(図示せず。)を制御するための送信機制御部22とが備えられている。
【0011】
また、図1(b)は、本発明の実施例による間欠データ受信装置において、受信機1の受信部10の具体的な構成を示す回路ブロック図である。この受信部10には、局部発振信号を出力するための局部発振回路100と、直流電源Vを生成する例えば、電池に接続され局部発振回路100の動作電源を供給するための局部発振電源回路101と、局部発振回路100からの局部発振信号及びアンテナ120にて受信される(送信機2の送信部20からの)到来電波信号を混合して中間周波数を生成し検波して受信信号(検波受信信号)を後述する制御回路105に出力するための受信回路102と、直流電源Vを生成する例えば、電池に接続され受信回路102の動作電源を供給するための受信電源回路103と、局部発振回路100にて生成される局部発振信号の信号レベルを検知し、当該局部発振回路の安定発振状態を監視するための局部発振レベル監視回路104と、受信回路102からの受信信号が入力され間欠受信する受信動作制御信号を局部発振電源回路101及び後述するAND回路106にそれぞれ出力するための制御回路105と、局部発振レベル監視回路104にて局部発振信号が検知されて局部発振回路100の安定発振状態を示す安定発振状態信号及び制御回路105からの受信動作制御信号がそれぞれ第1、第2の各入力端子P1、P2に入力され、両信号のアンド条件下で受信電源回路103を制御するための信号を出力端子P3から出力するAND回路106とが備えられている。
【0012】
このように構成された本発明の実施例による間欠データ受信装置において、以下、具体的な動作について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1(a)、(b)に示す受信機1の受信部10にて間欠データの受信動作を行うにあたり、送信機2の送信部20からの後述する到来電波信号が受信回路102を構成するアンテナ120にて受信されていない場合において、局部発振電源回路101及び受信電源回路103はそれぞれ、消費電力の小さい待機電源を局部発振回路100及び受信回路102に供給している。
【0014】
次に、図1(a)に示す送信機2の送信機制御部22の制御により、送信部20から例えば、送信機通話部21にて入力された通話音声、送信機制御部22にて生成された制御データ等のデータ信号S1が受信機1に送信され、このデータ信号S1の到来電波信号が図1(b)に示す受信部10の受信回路102を構成するアンテナ120にて受信されると、受信回路102は、前述の待機電源を受電した局部発振回路100から継続して出力されている(非安定の)局部発振信号S10とアンテナ120にて受信された到来電波信号とを混合して中間周波数を生成し検波して、受信信号(検波受信信号)S11を制御回路105に出力する。
【0015】
また、図1(b)に示す受信機1の受信部10において、制御回路105は、受信回路102からの受信信号S11が入力されると、間欠受信の動作を能動とする通常、一定の周期でオン/オフが切り換わる受信動作制御信号S12を生成して局部発振電源回路101及びAND回路106の第2の入力端子P2にそれぞれ出力することにより、この第2の入力端子P2はH(High)レベルとなる。ここで、局部発振電源回路101は、受信動作制御信号S12がHレベルとなるタイミングで局部発振回路100に動作電源を供給するため、局部発振回路100における消費電力を抑えることができ省電力化が図られる。
【0016】
また、図1(b)に示す受信機1の受信部10において、局部発振レベル監視回路104は、局部発振回路100から受信回路102に出力される局部発振信号S10の信号レベルを検知し、局部発振電源回路101からの動作電源の供給開始時より一定の時間が経過して局部発振回路100の発振状態が安定になると、安定発振状態信号S13を生成してAND回路106の第1の入力端子P1に出力することにより、この第1の入力端子P1はHレベルとなる一方、前述の一定の時間が経過するまでの間のように局部発振回路100の発振状態が不安定であると、安定発振状態信号S13が入力されることはないために第1の入力端子P1はL(Low)レベルとなる。なお、第1の入力端子P1がLレベルとなる状態は、前述の待機電源が局部発振電源回路101から局部発振回路100に供給されている場合も同様である。
【0017】
また、図1(b)に示す受信機1の受信部10において、AND回路106は、第2の入力端子P2に制御回路105からの受信動作制御信号S12が入力されてHレベルとなったとき、第1の入力端子P1の電位を確認し、局部発振回路100の発振状態が安定であり局部発振レベル監視回路104からの安定発振状態信号S13が入力されてHレベルである場合にのみ、すなわち、局部発振電源回路101からの動作電源の電源供給の開始時より一定の時間が経過した後に出力端子P3もHレベルとなるため、間欠受信の動作を能動とする通常、受信動作制御信号S12がHレベルになってから一定時間の経過後にオンとなる一方、受信動作制御信号S12がLレベルになるとオフに切り換わる受信動作制御信号S14が受信電源回路103に出力される。ここで、受信電源回路103は、受信動作制御信号S14がHレベルとなるタイミングで受信回路102に動作電源を供給するため、受信回路102における消費電力を抑えた状態でデータ信号S1の間欠受信の動作を安定かつ正常に行うことができ、低電力化も図られる。
【0018】
さらに、図1(b)に示す受信機1の受信部10において、受信回路102にて安定かつ正常に受信されたデータ信号S1は、制御回路105から図1(a)に示す受信機制御部12に伝送され、通話音声の場合には受信機通話部11から出力されることになる一方、制御データの場合には当該制御データの内容に対応した制御が行われることになる。
【0019】
前述までの説明から明らかなように、受信機1の受信部10において、通話音声、制御データ等のデータ信号S1の到来電波信号が受信された受信回路102は、局部発振回路100から出力される局部発振信号S10と到来電波信号とを混合して中間周波数を生成し検波して受信信号S11を生成し、この受信信号S11を検出した制御回路105がAND回路106を制御することにより、局部発振回路100から受信回路102に出力される局部発振信号S10の発振状態が安定した後に受信電源回路103から受信回路102に動作電源の供給が開始され、受信回路102におけるデータ信号S1の間欠受信の動作が能動となる。これにより、局部発振電源回路101からの動作電源の供給開始時より局部発振信号S10の周波数が一定となり安定するまでの一定の時間において、受信回路102におけるデータ信号S1の間欠受信動作は開始せず当該受信回路における消費電力が抑えられて低電力化を図ることができるばかりでなく、局部発振信号S10の周波数が一定となり安定した後に受信回路102における間欠受信動作が開始されるため、データ信号S1を安定かつ正常に間欠受信することができる。
【0020】
なお、本発明の実施例によれば、図1(a)に示すように、送信機2の送信部20から送信される通話音声、制御データ等のデータ信号S1を受信するための受信部10を有する受信機1のように、データ信号S1の送信元の機器と受信先の機器とに分け、送信機能及び受信機能のうち何れか1の機能のみを備えた機器を有する間欠データ受信装置を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、本発明の他の実施例として、図2のブロック図に示すように同一な構成の送受信機3を複数、ここでは、2つ設け、図1(a)に示す送信部20及び図1(b)に示す構成の受信部10と、通話音声を入力・出力するための送受信機通話部30と、当該送受信機の構成各部を制御するための送受信機制御部31とを当該送受信機に備えた態様の間欠データ受信装置を適用することもでき、前述の実施例と同様な効果を奏する。
【0021】
本発明の間欠データ受信装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の間欠データ受信装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(a)は、本発明の実施例による間欠データ受信装置の構成を示すブロック図であり、図1(b)は、当該間欠データ受信装置における受信機の受信部の具体的な構成を示す回路ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施例による間欠データ受信装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0023】
1……受信機
10……受信部
100……局部発振回路
101……局部発振電源回路
102……受信回路
103……受信電源回路
104……局部発振レベル監視回路
105……制御回路
106……AND回路
S1……データ信号
S10……局部発振信号
S11……受信信号
S12……受信動作制御信号
S13……安定発振状態信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話音声、制御データ等のデータ信号(S1)を受信するための受信部(10)を有する受信機(1)を設け、
前記受信部は、局部発振信号(S10)を出力するための局部発振回路(100)と、前記局部発振回路の動作電源を供給するための局部発振電源回路(101)と、前記局部発振信号及び前記受信機にて受信される到来電波信号を混合して中間周波数を生成し検波して受信信号(S11)を出力するための受信回路(102)と、前記受信回路の動作電源を供給するための受信電源回路(103)と、前記局部発振回路にて生成される前記局部発振信号の信号レベルを検知するための局部発振レベル監視回路(104)と、前記受信回路からの前記受信信号が入力され間欠受信する受信動作制御信号(S12)を前記局部発振電源回路に出力するための制御回路(105)と、前記局部発振レベル監視回路にて前記局部発振信号が検知されて前記局部発振回路の安定発振状態を示す安定発振状態信号(S13)及び前記受信動作制御信号が入力されて両信号のアンド条件下で前記受信電源回路を制御するためのAND回路(106)とを備えたことを特徴とする間欠データ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−111818(P2009−111818A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283029(P2007−283029)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】