説明

防水型機器の電源停止方法、及び防水型機器

【課題】可逆的な操作によって防水型機器の電源をON状態からOFF状態に移行することなく、当該防水型機器の電源が容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができる、防水型機器の電源停止方法及び防水型機器を提供すること。
【解決手段】防水筐体10の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器1であって、所定の第1の動作が行われることによって、防水型機器1の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器1の電源停止方法において、防水型機器1の電源がON状態の際に、第1の動作と逆の動作を行うことなく、第1の動作とは異なる所定の第2の動作を行うことによって、防水型機器1の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする第1のステップと、待機状態において、第1の動作と逆の動作、及び第2の動作と逆の動作を行うことによって、防水型機器1の電源をOFF状態にする第2のステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型機器の電源停止方法、及び防水型機器に関する。
【背景技術】
【0002】
厨房や浴室のような湿度の高い環境で使用される電気機器に対しては、高い防水性が要求される。例えば、特許文献1(ただし本願出願時において未公開)には、防水構造を有する筐体の内部に電気回路を配置した防水型機器が開示されている。この防水型機器は、電気回路を設定するための設定部材と、この筐体の内部に配置されたものであって、設定部材を検知するための検知部と、検知部による検知結果に応じて電気回路の設定を行う設定部とを備えて構成されている。この防水型機器によれば、作業者が上述の設定部材を防水型機器の所定の位置に配置することによって、検知部にて設定部材が検知されて、設定部によって防水型機器の電源がON状態になる。そして、この防水型機器の電源がON状態の際に、設定部材が所定の位置から取り出されることによって、検知部にて設定部材が検知されなくなった場合には、設定部によって防水型機器の電源がOFF状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−000822号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような防水型機器では、電源を停止するための操作に関して改善の余地があった。例えば、防水型機器の電源がON状態の際に、設定部材が所定の位置に配置されるといった電源がON状態になる操作に対して、可逆的な操作、すなわち、設定部材が所定の位置から取り出される操作によって、電源がOFF状態になるので、作業者によって上述の可逆的な操作が誤って行われた場合には、防水型機器がOFF状態になるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、可逆的な操作によって防水型機器の電源をON状態からOFF状態に移行することなく、当該防水型機器の電源が容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができる、防水型機器の電源停止方法及び防水型機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の防水型機器の電源停止方法は、防水筐体の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器であって、所定の第1の動作が行われることによって、前記防水型機器の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器の電源停止方法において、前記防水型機器の電源がON状態の際に、前記第1の動作と逆の動作を行うことなく、前記第1の動作とは異なる所定の第2の動作を行うことによって、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする第1のステップと、前記待機状態において、前記第1の動作と逆の動作、及び前記第2の動作と逆の動作を行うことによって、前記防水型機器の電源をOFF状態にする第2のステップとを含む。
【0007】
また、請求項2に記載の防水型機器の電源停止方法は、請求項1に記載の防水型機器の電源停止方法において、前記第1のステップにおいて、前記第2の動作後の状態を所定の時間継続することによって、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする。
【0008】
また、請求項3に記載の防水型機器の電源停止方法は、請求項1又は2に記載の防水型機器の電源停止方法において、前記防水筐体の外面側には、前記電気回路を設定するための第1の設定具を保持するための保持部が形成され、前記第1の動作は、前記第1の設定具を前記保持部に配置する動作である。
【0009】
また、請求項4に記載の防水型機器の電源停止方法は、請求項1から3のいずれか一項に記載の防水型機器の電源停止方法において、前記第1の設定具とは異なる第2の設定具を前記防水筐体の所定の位置に近接するように配置する動作である。
【0010】
また、請求項5に記載の防水型機器の電源停止方法は、防水筐体の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器であって、前記電気回路を設定するための第1の設定具が、前記防水筐体の外面側に形成された保持部に配置されることによって、前記防水型機器の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器の電源停止方法において、前記防水型機器の電源がON状態の際に、前記第1の設定具を前記保持部から取り外すことなく、前記第1の設定具とは異なる第2の設定具を前記防水筐体の所定の位置に近接するように配置した状態を所定の時間継続することによって、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする第1のステップと、前記待機状態において、前記第1の設定具を前記保持部から取り外し、且つ前記第2の設定具を前記防水筐体の所定の位置から離間させることによって、前記防水型機器の電源をOFF状態にする第2のステップとを含む。
【0011】
また、請求項6に記載の防水型機器は、防水筐体の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器であって、所定の第1の動作が行われることによって、前記防水型機器の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器において、前記防水型機器の電源がON状態の際に、前記第1の動作と逆の動作が行われることなく、所定の第2の動作が行われた場合に、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態とし、前記待機状態において、前記第1の動作と逆の動作、及び前記第2の動作と逆の動作が行われた場合に、前記防水型機器の電源をOFF状態とする制御部を有する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の防水型機器の電源停止方法、又は請求項6に記載の防水型機器によれば、防水型機器の電源がON状態の際に、作業者が所定の第1の動作と逆の動作といった可逆的な操作を行った場合であっても、電源がOFF状態になることなく、作業者が所定の第2の動作を行うことによって、電源が待機状態になり、そしてこの待機状態において、作業者が第1の動作と逆の動作、及び第2の動作と逆の動作を行うことによって、電源がOFF状態になるので、電源が容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができ、作業者の誤操作によって、電源がOFF状態になることを回避することができる。
【0013】
請求項2に記載の防水型機器の電源停止方法によれば、第1のステップにおいて、作業者が第2の動作後の状態を所定の時間継続することによって、防水型機器の電源が待機状態になるので、作業者が電源をOFF状態にさせる意図をもって操作した場合に、電源がOFF状態になるようにすることができ、作業者の誤操作によって、電源がOFF状態になることを一層回避することができる。
【0014】
請求項3に記載の防水型機器の電源停止方法によれば、第1の動作は、第1の設定具を保持部に配置する動作であるので、防水性を損なうことなく電気回路の設定を容易に行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の防水型機器の電源停止方法によれば、第2の動作は、第1の設定具とは異なる第2の設定具を防水筐体の所定の位置に近接するように配置する動作であるので、防水性を損なうことなく電気回路の設定を容易に行うことができる。また、第2の動作と第1の動作は異なる操作となるため、作業者の誤操作によって電源がOFF状態になることを回避することができる。
【0016】
請求項5に記載の防水型機器の電源停止方法によれば、防水型機器の電源がON状態の際に、作業者が第1の設定具を保持部に配置した後、当該第1の設定具を保持部から取り外すといった可逆的な操作を行った場合であっても、作業者が第1の設定具を保持部に配置するといった電源をON状態にするための操作に対して可逆的な操作、すなわち、当該第1の設定具を保持部から取り出す操作を行った場合であっても、電源がOFF状態になることなく、作業者が第1の設定具及び第2の設定具を所定の順序とタイミングに基づいて配置することによって、電源がON状態から待機状態になり、そしてこの待機状態において、作業者が第1の設定具及び第2の設定具の配置を所定の順序とタイミングに基づいて解除することによって、電源が待機状態からOFF状態になるので、電源が容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができ、作業者の誤操作によって、電源がOFF状態になることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1に係る防水型機器としての感知器の外観を示す3面図であり、図1(a)は感知器の背面図、図1(b)は感知器の側面図、図1(c)は感知器の正面図である。
【図2】図1に示した感知器の詳細を示す図であり、図2(a)は感知器の背面図、図2(b)は感知器の側断面図である。
【図3】実施の形態1に係る防水型機器の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。
【図4】実施の形態1に係る設定テーブルの内容を例示した表である。
【図5】実施の形態1に係る電源停止方法のフローチャートである。
【図6】実施の形態1に係る電源停止処理のフローチャートである。
【図7】実施の形態2に係る設定テーブルの内容を例示した表である。
【図8】実施の形態2に係る電源停止方法のフローチャートである。
【図9】実施の形態2に係る電源停止処理のフローチャートである。
【図10】図9に続く実施の形態2に係る電源停止処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る防水型機器の各実施の形態を詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
各実施の形態に係る防水型機器の適用対象は任意であり、防水性が要求され、且つ外部から設定操作可能とする必要のある各種電気機器に適用することができ、例えば防災システムにおいて高湿度の環境に設置される感知器や受信機等に適用することができる。なお、以下の各実施の形態では、無線式定温感知器に適用した場合を例として説明する。
【0020】
〔実施の形態1〕
まず実施の形態1について説明する。この形態は、第1の設定具及び第2の設定具を用いて電気回路の電源を停止する形態である。
【0021】
(構成)
図1は実施の形態1に係る防水型機器としての感知器の外観を示す3面図であり、図1(a)は感知器の背面図、図1(b)は感知器の側面図、図1(c)は感知器の正面図である。図2は図1に示した感知器の詳細を示す図であり、図2(a)は感知器の背面図、図2(b)は感知器の側断面図である。図3は実施の形態1に係る防水型機器の電気的構成を機能概念的に示したブロック図である。図1から図3に示すように、防水型機器1は防水筐体10を備え、この防水筐体10の外部に第1の設定具21又は第2の設定具22が適宜配置される。
【0022】
(構成−第1の設定具と第2の設定具)
第1の設定具21及び第2の設定具22は、防水型機器1の電気回路を設定するために用いられるものである。これら第1の設定具21及び第2の設定具22の具体的構成は任意であり、例えば略棒状に形成された磁石を用いることができる。第1の設定具21は、防水型機器1の電気回路の電源をON状態に設定し、又は電源をOFF状態に設定するためのものであると共に、防水型機器1の電気回路の所定機能の動作状態を設定するためのものである。ここで「電気回路の電源をON状態」とは、例えば電気回路が動作モードに設定されている状態を意味する。また、「電気回路の電源をOFF状態」とは、例えば電気回路が休止モードに設定されている状態を意味する。また「所定機能の動作状態」としては、例えば防水型機器1としての感知器が公知の無線通信手段(図示省略)を介して無線通信を行う際に使用する無線CHの設定状態が挙げられる。以下では、無線CH1の使用又は不使用を設定するための第1の設定具21a(以下、必要に応じて「第1の設定具A」)と、無線CH2の使用又は不使用を設定するための第1の設定具21b(以下、必要に応じて「第1の設定具B」)とを用いる場合を例として説明する。第2の設定具22は、防水型機器1の電気回路の電源をOFF状態に設定するためのものであると共に、防水型機器1の試験(例えば通信試験等)を行う際に用いられるものである。この第2の設定具22は、第1の設定具21よりも強い磁場を発生させる。なお、実施の形態1では、第1の設定具21、及び第2の設定具22が相互に異なる構造であってもよく、あるいは相互に同一となる構造であってもよい。
【0023】
(構成−防水筐体)
防水筐体10は、防水構造を有する筐体であり、その内部に電池30、表示部60、及び回路基板40が搭載されている。防水筐体10の具体的な構造は任意であり、例えば合成樹脂を用いて形成され、図2に示したように、第1ケース10aと第2ケース10bとを相互に組み合わせて構成される。これらの第1ケース10aと第2ケース10bとの嵌合部に溝部10cが形成され、当該溝部10cに公知のOリング10dが装着される。このOリング10dが適度に圧縮され溝部10cの壁面に密着することにより、第1ケース10aと第2ケース10bとで囲繞された空間の内外間の気密性が保持される。
【0024】
また、防水筐体10の外面側には保持部50が設けられている。この保持部50は防水筐体10の外部で第1の設定具21を保持するための保持手段であり、第1の設定具21aを保持する第1保持部51、及び第1の設定具21bを保持するための第2保持部52を備えて構成されている。これらの保持部50の具体的な構成は任意で、例えば第1ケース10aの外面側において、略棒状に形成された第1の設定具21を差込可能な凹部が形成されている。さらに、これら保持部50に差し込まれた第1の設定具21の脱落を防止するために、第1の設定具21が差し込まれた保持部50の開口部はネジ53で封止される。または、ネジ53の代わりに、ゴムや樹脂製のキャップ(図示省略)により保持部50が封止されることによって、第1の設定具21の脱落を防ぐこともできる。また、このキャップと第1の設定具21とを一体化し、ひも(図示省略)を介して防水筐体10が掛止されることによって、第1の設定具21の脱落、紛失を防ぐこともできる。また、第1保持部51及び第2保持部52は、相互に同一形状にて形成されることで、例えば、第1保持部51、又は第2保持部52の何れかに択一的に第1の設定具21a又は第1の設定具21bが差し込まれることで所望の設定がなされるようにしてもよい。なお、第2の設定具22は、防水型機器1の試験を行う際に用いられるものであり、防水筐体10の外部に継続的に保持する必要がないため、実施の形態1では当該第2の設定具22を保持するための保持部50が省略されている。もちろん、この第2の設定具22を保持するための保持部50が設けられることによって、試験設定の状態を継続できるようにしてもよい。
【0025】
さらに、防水型機器1の背面全体または一部が覆われるように、背面カバー11が設けられている。この背面カバー11を、例えば天井面や壁面等に防水型機器1を取り付けるための取り付け金具としてもよい。なお、第1の設定具21の着脱や背面カバー11の着脱に際しては、防水筐体10は開閉する必要がないため、防水筐体10の防水性能を容易かつ確実に維持することが可能となる。
【0026】
(構成−防水筐体−電池)
電池30は、防水型機器1の各部に電力を供給する。この電池30としては、公知の乾電池や充電池を用いることができる。
【0027】
(構成−防水筐体−表示部)
表示部60は、防水型機器1の各部に電力を供給する。この表示部60としては、公知のLEDランプ、蛍光ランプ等を用いることができる。
【0028】
(構成−防水筐体−回路基板)
回路基板40は、防水型機器1の各種機能を実現するための電気回路(図示省略)が実装された基板であり、検知部41、制御部42、及び記憶部43を備えて構成されている。
【0029】
検知部41は、防水筐体10の外部に配置された第1の設定具21又は第2の設定具22を検知する検知手段であり、第1の検知部41a、及び第2の検知部41bを備えている。このうち、第1の検知部41aは、第1の検知部41a1(以下、必要に応じて「第1の検知部A」)、及び第1の検知部41a2(以下、必要に応じて「第1の検知部B」)、を備えている。
【0030】
検知部41の具体的な構成は任意であり、上述のように第1の設定具21及び第2の設定具22が磁石である場合、例えば第1の設定具21及び第2の設定具22の磁気を検知するリードスイッチや、ホール素子等の磁気検知素子を検知部41として用いることができる。また、第1の検知部41aは、回路基板40上において保持部50と適当な位置、及び/又は向きの関係を保持するように配置される。例えば、第1の検知部41aが当該第1の検知部41aの検知面に直交する方向の磁気を検知して動作する場合には、第1の検知部41a1は第1保持部51と対向する位置に配置され、第1の検知部41a2は第2保持部52に対向する位置に配置される。これにより、保持部50に差し込まれた第1の設定具21は、第1の検知部41aの検知面に直交する方向に磁気を発するような向きで配置され、その磁気を第1の検知部41aによって検知することができる。なお、第1の検知部41aと保持部50とを接近させることにより、第1の検知部41aにて検知される第1の設定具21の磁気の強さが強くなるので、外乱による誤検知を防止することができる。また、第2の検知部41bについては、防水型機器1の試験を行う際に、作業者によって第2の設定具22が防水型機器1に近接させる位置の近傍位置、例えば回路基板40の周縁部に配置される。
【0031】
制御部42は、防水型機器1の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0032】
この制御部42は、機能概念的に設定部42aを備えている。設定部42aは、検知部41による検知結果に応じて電気回路の設定を行う設定手段である。設定部42aの具体的な動作は任意で、例えば検知部41としてリードスイッチが用いられている場合には、当該リードスイッチの開閉に応じて、電源のON/OFFを行ったり、無線CH設定等の電気回路の設定を行う。また、検知部41としてホール素子が用いられている場合には、当該ホール素子の出力を定期的に読み取り、当該出力に応じて動作モードの切替等の電気回路の設定を行う。この制御部42によって実行される処理の詳細については後述する。
【0033】
記憶部43は、設定部42aが電気回路の設定を行う際に参照するための設定テーブル43aを備えている。この記憶部43は、書き換え可能な記録媒体を用いて構成され、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記録媒体や、防水型機器1の制御プログラムを格納するROM等の記録媒体を用いることができる。また、設定テーブル43aの機能は、防水型機器1の制御プログラムにおけるIF文、SWICH文等の条件分岐動作によって実現されてもよい。
【0034】
図4は、実施の形態1に係る設定テーブル43aの内容を例示した表である。図4に示したように、設定テーブル43aには、テーブル項目「第1の設定具A」、「第1の設定具B」、「第2の設定具」、及び「設定内容」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。
【0035】
項目「第1の設定具A」、「第1の設定具B」、及び「第2の設定具」に対応して格納される情報は、各項目名に対応する第1の設定具21及び第2の設定具22の検知内容を特定する情報であり、例えば第1の設定具21又は第2の設定具22が検知されたことを示す「有り」、第1の設定具21又は第2の設定具22が検知されていないことを示す「無し」が格納される。項目「設定内容」に対応して格納される情報は、検知部41の検知結果に応じて設定部42aが行う電気回路の設定内容を特定する情報である。
【0036】
例えば、第2の設定具22が検知されていない場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれることにより第1の検知部41a1によって当該第1の設定具21aが検知され、第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれておらず第1の検知部41a2によって当該第1の設定具21bが検知されていない場合は、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、無線CH1を使用する設定とする。
【0037】
また、第2の設定具22が検知されていない場合であって、第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれることにより第1の検知部41a2によって当該第1の設定具21bが検知され、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれておらず第1の検知部41a1によって当該第1の設定具21aが検知されていない場合は、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、無線CH2を使用する設定とする。
【0038】
また、第2の設定具22が検知されていない場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれると共に第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれることにより、第1の検知部41a1及び第1の検知部41a2によって当該第1の設定具21a及び当該第1の設定具21bが検知されている場合は、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、直前に設定されていた無線CHを使用する設定とする。あるいは、無線CH1及びCH2とは異なる無線CH3を使用する設定とするように構成してもよい。
【0039】
また、作業者が第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置することにより、当該第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されている場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれておらず、第1の設定具21bも第2保持部52に差し込まれていないことにより、第1の検知部41a1及び第1の検知部41a2によって当該第1の設定具21a及び当該第1の設定具21bが検知されていない場合は、試験処理を実行する。
【0040】
また、第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されている場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれることにより第1の検知部41a1によって当該第1の設定具21aが検知され、第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれておらず第1の検知部41a2によって当該第1の設定具21bが検知されていない場合は、試験処理を実行する。
【0041】
また、第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されている場合であって、第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれることにより第1の検知部41a2によって当該第1の設定具21bが検知され、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれておらず第1の検知部41a1によって当該第1の設定具21aが検知されていない場合は、試験処理を実行する。
【0042】
また、第1の検知部41a1及び当該第1の検知部41a2によって第1の設定具21a及び第1の設定具21bが検知されている場合であって、作業者が第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置することにより、第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されている場合には、電気回路の電源をOFF状態になるまでの待機状態に設定する。ただし、このような電気回路の電源を待機状態に設定するのは、作業者が後述する図5の電源停止方法の所定手順を踏むことにより、後述する図6の電源停止処理において、検知部41が第1の設定具21又は第2の設定具22を所定の順序とタイミングで検知した場合に限られる(後述する図6の例では、SB1〜SB6の処理)。なお、作業者がこの方法の所定手順を踏まなかったことにより、検知部41が第1の設定具21又は第2の設定具22を所定の順序とタイミングで検知しなかった場合には、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、直前に設定されていた無線CHを使用する設定とする。
【0043】
また、第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されていない場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれておらず、第1の設定具21bも第2保持部52に差し込まれていないことにより、第1の検知部41a1及び第1の検知部41a2によって第1の設定具21a及び第1の設定具21bが検知されていない場合は、電気回路の電源をOFF状態に設定する。ただし、このような電気回路の電源をOFF状態に設定するのは、当該電気回路の電源が待機状態になった後、作業者が後述する図5の電源停止方法の所定手順を踏むことにより、後述する図6の電源停止処理において、検知部41が第1の設定具21又は第2の設定具22を所定の順序とタイミングで検知しなかった場合に限られる(後述する図6の例では、SB7〜SB9の処理)。なお、作業者がこの方法の所定手順を踏まなかったことにより、検知部41が第1の設定具21又は第2の設定具22を所定の順序とタイミングで検知した場合には、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、直前に設定されていた無線CHを使用する設定とする。
【0044】
(電源停止方法)
次に、上述のように構成される防水型機器1の電源停止方法及び電源停止処理について説明する。まず、作業者によって行われる電源停止方法について簡潔に説明する。図5は実施の形態1に係る電源停止方法のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この説明においては、図2に示すように、何も入っていない状態の第2保持部52に、第1の設定具21bが差し込まれることによって、電気回路の電源がON状態に設定されると共に、無線CH2が使用される設定とされ、そしてこのような設定状態が維持されているものとする(以下、後述する実施の形態1に係る電源停止処理、並びに実施の形態2に係る電源停止方法及び電源停止処理も同様とする)。
【0045】
図5に示すように、最初に、第1の設定具21aを第1保持部51に差し込むことによって、第1の設定具21を配置する(SA1)。この第1の設定具21を保持部50に差し込む動作は、特許請求の範囲における所定の第1の動作に対応するものである。次に、第1の設定具21aを第1保持部51に差し込んだ状態、及び第1の設定具21bを第2保持部52に差し込んだ状態を維持しながら、第1の所定の時間(例えば、2〜4sec)待機する(SA2)。この第1の所定の時間経過後、第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置することによって、第2の設定具22を配置する(SA3)。次に、第1の設定具21aを第1保持部51に差し込んだ状態、第1の設定具21bを第2保持部52に差し込んだ状態、及び第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置した状態を、第2の所定時間(例えば、20sec)継続する(SA4)。この第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置する動作は、特許請求の範囲における所定の第2の動作に対応するものである。続いて、第2の所定の時間経過後、第2の所定時間経過してから第3の所定時間(例えば、60sec)以内に、第1の設定具21aを第1保持部51から抜き出し、第1の設定具21bを第2保持部52から抜き出し、第2の設定具22を第2の検知部41bから離間させることによって、第1の設定具21及び第2の設定具22の配置を解除する(SA5)。この第3の所定時間は、特許請求の範囲における所定の時間に対応するものである。
【0046】
(電源停止処理)
次に、防水型機器1によって実行される電源停止処理を、図5に示すSA1〜SA5の電源停止方法と関連づけて説明する。図6は実施の形態1に係る電源停止処理のフローチャートである。この処理は、例えば第1の設定具21が保持部に差し込まれている場合を除いて、防水筐体10に電池30が設置されている間、所定周期で起動される(以下、実施の形態2に係る電源停止処理も同様とする)。
【0047】
図6に示すように、最初に、制御部42は第1の検知部41aが第1の設定具21を検知したか否かを判定する(SB1)。具体的な判定方法は任意で、例えば、第1の検知部41a1にて一定の強度以上の磁気が検知された場合に、制御部42は第1の設定具21aを検知したと判定する(以下、後述するSB4、SB8、SB10、SB11、SD1、SD4、SD9、SD11、SD13−15も同様とする)。
【0048】
その結果、SA1にて第1の設定具21が配置されることによって、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知し、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したと判定された場合には(SB1、Yes)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源をON状態に維持すると共に、直前に設定されていた無線CH(ここでは、無線CH2)を使用する設定とする(SB2)。
【0049】
次に、SA2にて作業者が待機している間、制御部42は、第1の所定時間(例えば、2〜4sec)経過するまで待機する(SB3)。ここで、第1の所定時間が経過する前に(SB3、No)、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知されなくなり、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知されなくなり、又は第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知された場合には(SB10、Yes)、制御部42は、電気回路の電源をON状態からOFF状態にすることなく、ON状態に維持しながら、この処理を終了する。これにより、例えば電気回路の電源がON状態の際に、第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれるといった電源がON状態になるための操作に対して可逆的な操作、すなわち、第1の設定具21bが第2保持部52から抜き出される操作が行われることによって、電気回路の電源がON状態からOFF状態になることを防止できる。
【0050】
一方、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知された状態、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知された状態、及び第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知されていない状態で(SB10、No)、第1の所定時間が経過した後には(SB3、Yes)、制御部42は第2の検知部41bが第2の設定具22を検知したか否かを判定する(SB4)。
【0051】
その結果、SA3にて第2の設定具22が配置されることによって、第2の検知部41bが第2の設定具22を検知したと判定された場合には(SB4、Yes)、制御部42は、第2の所定時間(例えば、20sec)経過するまで待機する(SB5)。ここで、第2の所定時間が経過する前に(SB5、No)、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知されなくなり、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知されなくなり、又は第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知されなくなった場合には(SB11、No)、制御部42は、電気回路の電源をON状態からOFF状態にすることなく、ON状態に維持しながら、この処理を終了する。
【0052】
一方、SA4にて第1の設定具21及び第2の設定具22が配置された後の状態が継続されることによって、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知された状態、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知された状態、及び第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知された状態で(SB11、Yes)、第2の所定時間が経過した後には(SB5、Yes)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源をOFF状態になるまでの待機状態に設定する。(SB6)。これにより、第2の設定具22が配置された後第2の所定時間が経過しなければ、電気回路の電源が待機状態にならないので、この電気回路の電源が容易にOFF状態にならないようにすることができる。また、制御部42は、後述する第3の所定時間が経過するまで、表示部60によって点滅(又は点灯)させる(SB6)。これにより、作業者に対して電気回路の電源が待機状態であることを報知することができる。なお、第2の設定具22が配置された後の状態が第2の所定時間継続されることによって、電気回路の電源がON状態から待機状態になるステップは、特許請求の範囲における第1のステップに対応するものである。
【0053】
次に、SB6の処理から第3の所定時間(例えば、60sec)経過する前に(SB7、No)、制御部42は第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したか否か、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したか否か、及び第2の検知部41bが第2の設定具22を検知したか否かを判定する(SB8)。
【0054】
その結果、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したと判定され、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したと判定され、又は第2の検知部41bが第2の設定具22を検知したと判定され続けて(SB8、Yes)、第3の所定時間が経過した場合には(SB7、Yes)、制御部42は、電気回路の電源を待機状態からOFF状態にすることなく、待機状態からON状態にして、この処理を終了する。なお、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したと判定され、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したと判定され、及び第2の検知部41bが第2の設定具22を検知したと判定され続けて、第3の所定時間が経過した場合には、制御部42は処理を終了せずに、SB4の直前に戻るようにしてもよい。この場合に、作業者が第2の設定具22を第2の検知部41bから一度離間させてから、再度第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置することによって、SB4の処理が行われる。これにより、電源停止方法において、最初からやり直す場合の作業量に比べて、作業量を低減することができる。
【0055】
一方、第3の所定時間経過する前に(SB7、No)、SA5にて第1の設定具21及び第2の設定具22の配置が解除されることによって、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知しないと判定され、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知しないと判定され、及び第2の検知部41bが第2の設定具22を検知しないと判定された場合には(SB8、No)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源を待機状態からOFF状態に設定し(SB9)、この処理を終了する。これにより、第1の設定具21及び第2の設定具22の配置が第3の所定時間以内に解除されなければ、電気回路の電源がOFF状態にならないので、この電気回路の電源が容易にOFF状態にならないようにすることができる。なお、第1の設定具21及び第2の設定具22の配置が解除されることによって、電気回路の電源が待機状態からOFF状態になるステップは、特許請求の範囲における第2のステップに対応するものである
【0056】
(効果)
このように実施の形態1によれば、防水型機器1の電気回路の電源がON状態の際に、作業者が所定の第1の動作と逆の動作といった可逆的な操作を行った場合であっても、この電気回路の電源がOFF状態になることなく、作業者が所定の第2の動作を行うことによって、この電気回路の電源が待機状態になり、そしてこの待機状態において、作業者が第1の動作と逆の動作、及び第2の動作と逆の動作を行うことによって、この電気回路の電源がOFF状態になるので、この電気回路の電源が容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができ、作業者の誤操作によって、この電気回路の電源がOFF状態になることを回避することができる。
【0057】
また、第1のステップにおいて、作業者が第2の動作後の状態を所定の時間継続することによって、防水型機器1の電気回路の電源が待機状態になるので、作業者がこの電気回路の電源をOFF状態にさせる意図をもって操作した場合に、この電気回路の電源がOFF状態になるようにすることができ、作業者の誤操作によって、この電気回路の電源がOFF状態になることを一層回避することができる。
【0058】
また、第1の動作は、第1の設定具21aを第1保持部51に配置すると共に、第1の設定具21bを第2保持部52に配置する動作であるので、防水性を損なうことなく電気回路の設定を容易に行うことができる。
【0059】
また、第2の動作は、第1の設定具21とは異なる第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置する動作であるので、防水性を損なうことなく電気回路の設定を容易に行うことができる。また、第2の動作と第1の動作は異なる操作となるため、作業者の誤操作によって電源がOFF状態になることを回避することができる。
【0060】
このように実施の形態1によれば、防水型機器1の電気回路の電源がON状態の際に、作業者が第1の設定具21bを第2保持部52に差し込むといった電源をON状態にするための操作に対して可逆的な操作、すなわち、第1の設定具21bを第2保持部52から抜き出す操作を行った場合であっても、この電気回路の電源がOFF状態になることなく、作業者が第1の設定具21及び第2の設定具22を所定の順序とタイミングに基づいて配置することによって、この電気回路の電源がON状態から待機状態になり、そしてこの待機状態において、作業者が第1の設定具21及び第2の設定具22の配置を所定の順序とタイミングに基づいて解除することによって、この電気回路の電源が待機状態からOFF状態になるので、この電気回路の電源が容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができ、作業者の誤操作によって、この電気回路の電源がOFF状態になることを回避することができる。
【0061】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、実施の形態1の第1の設定具21のみを用いて電気回路の電源を停止する形態である。なお、実施の形態2の構成は特記する場合を除いて実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0062】
図7は、実施の形態2に係る設定テーブル43aの内容を例示した表である。図7に示したように、項目「第1の設定具A」、「第1の設定具B」、及び「第2の設定具」に対応して格納される情報は、例えば第1の設定具21又は第2の設定具22が検知されたことを示す「有り」、第1の設定具21又は第2の設定具22が検知されていないことを示す「無し」、又は第1の設定具21又は第2の設定具22の検知結果が設定内容に影響を与えない「−−−」が格納される。
【0063】
例えば、作業者が第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置することにより、当該第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されている場合は、他の第1の設定具21a、及び第2の設定具22bについての第1の検知部41a1、及び第1の検知部41a2による検知結果に関わらず、試験処理を実行する。
【0064】
また、第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されていない場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれると共に第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれることにより、第1の検知部41a1及び第1の検知部41a2によって第1の設定具21a及び第1の設定具21bが検知されている場合は、電気回路の電源をOFF状態になるまでの待機状態に設定する。ただし、このような電気回路の電源を待機状態に設定するのは、作業者が後述する図8の電源停止方法の所定手順を踏むことにより、後述する図9の電源停止処理において、検知部41が第1の設定具21を所定の順序とタイミングで検知した場合に限られる(後述する図9の例では、SD1〜SD7の処理)。なお、作業者がこの方法の所定手順を踏まなかったことにより、検知部41が第1の設定具21を所定の順序とタイミングで検知しなかった場合には、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、直前に設定されていた無線CHを使用する設定とする。
【0065】
また、第2の検知部41bによって第2の設定具22が検知されていない場合であって、第1の設定具21aが第1保持部51に差し込まれておらず、第1の設定具21bが第2保持部52に差し込まれていないことにより、第1の検知部41a1及び第1の検知部41a2によって第1の設定具21a及び第1の設定具21bが検知されていない場合は、電気回路の電源をOFF状態に設定する。ただし、このような電気回路の電源をOFF状態に設定するのは、当該電気回路の電源が待機状態になった後、作業者が後述する図8の電源停止方法の所定手順を踏むことにより、後述する図9の電源停止処理において、検知部41が第1の設定具21を所定の順序とタイミングで検知しなかった場合に限られる(後述する図9の例では、SD8〜SD12の処理)。なお、作業者がこの方法の所定手順を踏まなかったことにより、検知部41が第1の設定具21を所定の順序とタイミングで検知した場合には、電気回路の電源をON状態に設定すると共に、直前に設定されていた無線CHを使用する設定とする。
【0066】
(電源停止方法)
次に、上述のように構成される防水型機器1の電源停止方法及び電源停止処理について説明する。まず、作業者によって行われる電源停止方法について簡潔に説明する。図8は実施の形態2に係る電源停止方法のフローチャートである。
【0067】
図8に示すように、最初に、第2保持部52から第1の設定具21bを抜き出した後、第1の設定具21aを第1保持部51に差し込むことによって、第1の設定具21aを配置する(SC1)。次に、第1の設定具21を第1保持部51に差し込んだ状態を維持しながら、第1の所定の時間(例えば、2〜4sec)待機する(SC2)。この第1の所定の時間経過後、第2保持部52から抜き出した第1の設定具21bを当該第2保持部52に再び差し込むことによって、第1の設定具21bを配置する(SC3)。次いで、第1の設定具21aを第1保持部51に差し込んだ状態、及び第1の設定具21bを第2保持部52に差し込んだ状態を第2の所定時間(例えば、20sec)継続する(SC4)。続いて、この第2の所定時間経過してから第3の所定時間(例えば、60sec)以内に、第1の設定具21bを第2保持部52から抜き出すことによって、第1の設定具21bの配置を解除する(SC5)。その後、第1の設定具21を第1保持部51に差し込んだ状態を維持しながら、第4の所定時間(例えば、2〜4sec)経過するまで待機する(SC6)。そして、この第4の所定時間経過後であって、第2の所定時間経過してから第3の所定時間以内に、第1の設定具21aを第1保持部51から抜き出すことによって、第1の設定具21aの配置を解除する(SC7)。
【0068】
(電源停止処理)
次に、防水型機器1によって実行される電源停止処理を、図8に示すSC1〜SC7の電源停止方法と関連づけて説明する。図9は実施の形態2に係る電源停止処理のフローチャートである。また、図10は図9に続く実施の形態2に係る電源停止処理のフローチャートである。
【0069】
図9及び図10に示すように、最初に、制御部42は、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したか否かを判定する(SD1)。その結果、SC1にて第1の設定具21aが配置されることによって、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したと判定された場合には(SD1、Yes)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源をON状態の設定を維持すると共に、無線CH1を使用する設定とする(SD2)。
【0070】
次に、SC2にて作業者が待機している間、制御部42は、第1の所定時間(例えば、2〜4sec)経過するまで待機する(SD3)。ここで、第1の所定時間が経過する前に(SD3、No)、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知されなくなり、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知され、又は第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知された場合には(SD13、Yes)、制御部42は、電気回路の電源をON状態からOFF状態にすることなく、ON状態に維持しながら、この処理を終了する。
【0071】
一方、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知された状態、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知されていない状態、及び第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知されていない状態で(SD13、No)、第1の所定時間が経過した後には(SD3、Yes)、制御部42は、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したか否かを判定する(SD4)。
【0072】
その結果、SC3にて第1の設定具21bが配置されることによって、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したと判定された場合には(SD4、Yes)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源をON状態に維持すると共に、直前に設定されていた無線CH(ここでは、無線CH1)を使用する設定とする(SD5)。
【0073】
次いで、制御部42は、第2の所定時間(例えば、20sec)経過するまで待機する(SD6)。ここで、第2の所定時間が経過する前に(SD6、No)、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知されなくなり、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知されなくなり、又は第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知される場合には(SD14、Yes)、制御部42は、電気回路の電源をON状態からOFF状態にすることなく、ON状態に維持しながら、この処理を終了する。
【0074】
一方、SC4にて第1の設定具21及び第2の設定具22が配置された後の状態が継続されることによって、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知された状態、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知された状態、及び第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知されない状態で(SD14、No)、第2の所定時間が経過した後には(SD6、Yes)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源をON状態からOFF状態になるまでの待機状態に設定する(SD7)。また、制御部42は、後述する第3の所定時間が経過するまで、表示部60によって点滅(あるいは点灯)させる(SD7)。
【0075】
次に、SD7の処理から第3の所定時間(例えば、60sec)経過する前に(SD8、No)、制御部42は、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したか否かを判定する(SD9)。
【0076】
その結果、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したと判定され続けて(SD9、Yes)、第3の所定時間が経過した場合には(SD8、Yes)、制御部42は、電気回路の電源を待機状態からOFF状態にすることなく、待機状態からON状態にして、この処理を終了する。
【0077】
一方、第3の所定時間経過する前に(SD8、No)、SC5にて第1の設定具21bの配置が解除されることによって、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知しないと判定された場合(SD9、No)、制御部42は、電気回路の電源を待機状態に維持する。その後、SC6にて作業者が待機している間、制御部42は、第4の所定時間(例えば、2〜4sec)経過するまで待機する(SD10)。ここで、第4の所定時間が経過する前に(SD10、No)、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知されなくなり、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知され、又は第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知された場合には(SD15、Yes)、制御部42は、電気回路の電源を待機状態からOFF状態にすることなく、待機状態をON状態にして、この処理を終了する。
【0078】
一方、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知される状態、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知されない状態、及び第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知されない状態で(SD15、No)、第4の所定時間が経過した後には(SD10、Yes)、制御部42は第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したか否かを判定する(SD11)。
【0079】
その結果、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したと判定された場合には(SD11、Yes)、制御部42は、SD8の直前に戻る。一方、SC7にて第1の設定具21aの配置が解除されることによって、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知しないと判定された場合には(SD11、No)、設定部42aは、設定テーブル43aを参照し、第1の設定具21及び第2の設定具22の検知結果に応じて、電気回路の電源を待機状態からOFF状態に設定し(SD12)、この処理を終了する。
【0080】
(効果)
このように実施の形態2によれば、防水型機器1の電気回路の電源がON状態の際に、作業者が第1の設定具21a及び第1の設定具21bを所定の順序とタイミングに基づいて配置することによって、この電気回路の電源が待機状態になり、そしてこの待機状態において、作業者が第1の設定具21a及び第1の設定具21bの配置を所定の順序とタイミングに基づいて解除することによって、この電気回路の電源がOFF状態になるので、実施の形態1に示す所定の第2の動作を省略した場合でも、この電気回路の電源を容易にON状態からOFF状態に移行しないようにすることができ、作業者の誤操作によって、この電気回路の電源がOFF状態になることを回避することができる。
【0081】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0082】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0083】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成できる。
【0084】
(第1設定具及び第1の検知部について)
上述の各実施の形態では、第1の設定具21として磁石を使用し、ホール素子等の磁気検知素子を第1の検知部41aとして使用した場合を例として説明したが、他の手段を用いてもよい。例えば、第1の設定具21として非透光性の材料を使用してもよい。この場合、防水筐体10に透光性の保持部50を形成し、防水筐体10の内部において当該保持部50を狭むように投光手段と受光手段とを第1の検知部41aとして配置する。保持部50が第1の設定具21を保持している場合、投光手段から投光された光を受光手段が受光できなくなることにより、第1の検知部41aは第1の設定具21を検知することができる。
【0085】
あるいは、第1の設定具21として金属等の導体を使用し、第1の検知部41aとして静電容量センサを使用してもよい。この場合、防水筐体10の内部において保持部50に近接して静電容量センサを配置する。保持部50に第1の設定具21を差し込んだ場合に静電容量センサによって検出される静電容量の変化に基づいて、第1の検知部41aは第1の設定具21を検知することができる。
【0086】
(第1の動作及び第2の動作について)
上述の実施の形態では、第1の動作は、第1の設定具21aを第1保持部51に配置すると共に、第1の設定具21bを第2保持部52に配置する動作であり、第2の動作は、第1の設定具21とは異なる第2の設定具22を第2の検知部41bに近接するように配置する動作であると説明したが、これに限られない。例えば、第1の動作は、防水型機器1を鉛直方向に所定の回数振動させる動作とし、第2の動作は、防水型機器1を水平方向に所定の回数振動させる動作としてもよい。この場合には、第1の設定具21及び第2の設定具22を検知するための公知の振動センサ部を、防水筐体10の内部に配置する。
【0087】
(電源停止方法について)
上述の実施の形態1では、SA1において、単に第1の設定具21a及び第1の設定具21bを保持部50に差し込むことによって、第1の設定具21を配置すると説明したが、これに限られず、第1の設定具21を配置する順序とタイミングを変更してもよい。例えば、第1の設定具21aを第1保持部51に差し込んでから所定の時間経過した後に、第1の設定具21bを第2保持部52に差し込むことによって、第1の設定具21を配置してもよい。これと同様に、SA5において、第3の所定時間以内に、単に第1の設定具21aを第1保持部51から抜き出し、第1の設定具21bを第2保持部52から抜き出し、第2の設定具22を第2の検知部41bから離間させることによって、第1の設定具21a、第1の設定具21b、及び第2の設定具22の配置を解除すると説明したが、例えば、第2の設定具22を第2の検知部41bから離間させてから、所定の時間経過した後に、第1の設定具21aを第1保持部51から抜き出し、第1の設定具21bを第2保持部52から抜き出すことによって、第1の設定具21a、第1の設定具21b、及び第2の設定具22の配置を解除してもよい。
【0088】
また、上述の実施の形態2では、SC1、SC3において、第1の設定具21aを配置してから第1の設定Bを配置すると説明したが、これに限られず、第1の設定具21a及び第1の設定具21bを配置する順序とタイミングを変更してもよい。例えば、第1の設定具21bを配置してから第1の設定Aを配置してもよい。これと同様に、SC5、SC7において、第1の設定具21bの配置を解除してから第1の設定Aの配置を解除すると説明したが、例えば、第1の設定具21aの配置を解除してから第1の設定Bの配置を解除してもよい。
【0089】
(電源停止処理について)
上述の実施の形態1では、SB7、SB8において、第1の検知部41a1が第1の設定具21aを検知したと判定され、第1の検知部41a2が第1の設定具21bを検知したと判定され、又は第2の検知部41bが第2の設定具22を検知したと判定され続けて、第3の所定時間が経過した場合には、待機状態からON状態になるように、制御部42によって電気回路が制御されると説明したが、これに限られない。例えば、第1の設定具21a、第1の設定具21b、及び第2の設定具22の配置が解除されることなく、電気配線や照明等により外乱磁場が生じることで、第1の検知部41a1にて第1の設定具21aが検知されなくなり、第1の検知部41a2にて第1の設定具21bが検知されなくなり、及び第2の検知部41bにて第2の設定具22が検知されなくなった場合には、電気回路の電源が待機状態からOFF状態になることなく、待機状態からON状態になるように、制御部42によって当該電気回路が制御されてもよい。この場合には、第1の設定具21及び第2の設定具22の有無を磁気以外の方法(例えば、光等)で検知するための公知のセンサ部を、防水筐体10の内部において第1の検知部41a又は第2の検知部41bの近傍に各々配置する。
【符号の説明】
【0090】
1 防水型機器
10 防水筐体
10a 第1ケース
10b 第2ケース
10c 溝部
10d Oリング
11 背面カバー
21 第1の設定具
21a 第1の設定具A
21b 第1の設定具B
22 第2の設定具
30 電池
40 回路基板
41 検知部
41a 第1の検知部
41a1 第1の検知部A
41a2 第1の検知部B
41b 第2の検知部
42 制御部
42a 設定部
43 記憶部
43a 設定テーブル
50 保持部
51 第1保持部
52 第2保持部
53 ネジ
60 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水筐体の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器であって、所定の第1の動作が行われることによって、前記防水型機器の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器の電源停止方法において、
前記防水型機器の電源がON状態の際に、前記第1の動作と逆の動作を行うことなく、前記第1の動作とは異なる所定の第2の動作を行うことによって、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする第1のステップと、
前記待機状態において、前記第1の動作と逆の動作、及び前記第2の動作と逆の動作を行うことによって、前記防水型機器の電源をOFF状態にする第2のステップと、
を含む防水型機器の電源停止方法。
【請求項2】
前記第1のステップにおいて、前記第2の動作後の状態を所定の時間継続することによって、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする、
請求項1に記載の防水型機器の電源停止方法。
【請求項3】
前記防水筐体の外面側には、前記電気回路を設定するための第1の設定具を保持するための保持部が形成され、
前記第1の動作は、前記第1の設定具を前記保持部に配置する動作である、
請求項1又は2に記載の防水型機器の電源停止方法。
【請求項4】
前記第2の動作は、前記第1の設定具とは異なる第2の設定具を前記防水筐体の所定の位置に近接するように配置する動作である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の防水型機器の電源停止方法。
【請求項5】
防水筐体の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器であって、前記電気回路を設定するための第1の設定具が、前記防水筐体の外面側に形成された保持部に配置されることによって、前記防水型機器の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器の電源停止方法において、
前記防水型機器の電源がON状態の際に、前記第1の設定具を前記保持部から取り外すことなく、前記第1の設定具とは異なる第2の設定具を前記防水筐体の所定の位置に近接するように配置した状態を所定の時間継続することによって、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態にする第1のステップと、
前記待機状態において、前記第1の設定具を前記保持部から取り外し、且つ前記第2の設定具を前記防水筐体の所定の位置から離間させることによって、前記防水型機器の電源をOFF状態にする第2のステップと、
を含む防水型機器の電源停止方法。
【請求項6】
防水筐体の内部に電気回路を備えて構成された防水型機器であって、所定の第1の動作が行われることによって、前記防水型機器の電源がOFF状態からON状態になる防水型機器において、
前記防水型機器の電源がON状態の際に、前記第1の動作と逆の動作が行われることなく、所定の第2の動作が行われた場合に、前記防水型機器の電源をOFF状態になるまでの待機状態とし、
前記待機状態において、前記第1の動作と逆の動作、及び前記第2の動作と逆の動作が行われた場合に、前記防水型機器の電源をOFF状態とする制御部を有する、
防水型機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate