説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】集合住宅共用部に共用部子機を備え、共用部子機からの呼び出しで予約者の情報が記憶された情報に基づいて、次の予約者の居室親機へ通知して共用部の利用を円滑におこなうことができる集合住宅インターホンシステムを提供する
【解決手段】来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機と、居住者が集合玄関機からの呼び出しに応答して来訪者と通話するための居室親機と、集合玄関機及び居室親機をそれぞれ制御するための制御装置と、から構成される集合住宅用インターホンシステムであって、制御装置は、集合住宅の共用部の予約状況として少なくとも居住者の居室親機を特定するための居室ID情報が記憶される予約記憶部を備え、共用部に設置され、当該制御装置に接続される共用部子機から呼び出し操作されたとき、予約記憶部の予約状況を参照して、次の予約者の居室親機に通知するために居室IDを付加した通知信号を当該居室親機に送信する制御をおこなう制御装置CPUを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅用インターホンシステムに係わり、特に集合住宅共用部に設置の共用部子機から、次の共用部予約者の居室親機へ通知を行う機能を備える集合住宅用インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこのような集合住宅用インターホンシステムは、共用部の使用スケジュールを居室親機で登録し、登録されたスケジュールに従い共用部の使用を行うというものであった。これにより、居住者は管理人等への連絡なしに共用部予約をおこなうことができるので便利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2007−133646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来例の集合住宅用インターホンシステムにおいて、集合住宅の共用部の使用者が使用を終了した場合に次の予約者に使用完了を知らせる術がなく、次の予約者はスケジュールに従い使用をするしかなかった。これにより、共用部の有効活用を図れないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、集合住宅共用部に共用部子機を備え、共用部子機からの呼び出しで予約者の情報が記憶された情報に基づいて、次の予約者の居室親機へ通知して共用部の利用を円滑におこなうことができる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である集合住宅インターホンシステムは、来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機と、居住者が集合玄関機からの呼び出しに応答して来訪者と通話するための居室親機と、集合玄関機及び居室親機をそれぞれ制御するための制御装置と、から構成される集合住宅用インターホンシステムであって、制御装置は、集合住宅の共用部の予約状況として少なくとも居住者の居室親機を特定するための居室ID情報が記憶される予約記憶部を備え、共用部に設置され、当該制御装置に接続される共用部子機から呼び出し操作されたとき、予約記憶部の予約状況を参照して、次の予約者の居室親機に通知するために居室IDを付加した通知信号を当該居室親機に送信する制御をおこなう制御装置CPUを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様である集合住宅インターホンシステムは、請求項1において、居室親機は、通知信号を受信したとき、前の共用部使用者が使用を終了したことを通知するためにモニタ、LED又はスピーカ等の報知部で終了通知の制御をおこなう居室親機CPUを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様である集合住宅インターホンシステムは、請求項1又は請求項2において、予約記憶部の予約情報には、複数の居室IDを登録可能であって、制御装置CPUは、通知信号を受信したとき、予約情報に記憶された居室ID全てに前の共用部使用者が使用を終了したことを通知する制御をおこなうものであることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の第4の態様である集合住宅インターホンシステムは、請求項1乃至請求項3何れかにおいて、制御装置は、時間を計時する計時部を有し、予約記憶部には使用時間情報が記憶され、制御装置CPUは、予約記憶部に記憶された使用時間情報のうち終了時刻または終了時刻から所定時間前となったとき、共用部子機のモニタ、LED又はスピーカ等の報知部で使用終了時刻となったことを通知する終了信号を送信するための制御をおこなうものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、共用部の使用を終了したことを共用部子機の操作をするだけで、居室の特定をすることなく次の使用者へ終了した旨の報告(通知)をおこなうことができる。
請求項2の発明によれば、次の使用者に対しては、モニタでの表示やLED表示、または自動音声メッセージ等で知らせることができるので、前の使用者と通話することなく、使用終了を知ることができる。
請求項3の発明によれば、登録されている全ての居室親機に対して通知することができるので、責任者が気づかない場合であっても他の人が確認することができるし、別途、全ての使用者に対して集合の連絡をする必要がなくなるため便利である。
請求項4の発明によれば、現在使用している人が使用終了の時刻に気づかない場合であっても、自動的に共用部子機から知らせることができるので、後に使用する人に迷惑をかけることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例による集合住宅インターホンシステムのブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の集合住宅用インターホンシステムを適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の集合住宅用インターホンシステムの構成を示すブロック図である。
本発明は、図1に示す通り、各居室に設置され来訪者と通話するための居室親機10と、来訪者が居住者を呼び出すために操作し、居室親機10と通話するための集合玄関機20と、集会室や電気自動車充電装置等の共用部に設置され、共用部の使用者が操作するための共用部子機40と、居室親機10、集合玄関機20及び共用部子機40をそれぞれ制御する制御装置30から構成されている。
【0013】
居室親機10は、居住者が居室親機を操作するための操作部11と、玄関やエントランスなどの映像を表示するための表示部12と、他の場所との音声通話時などに音声を入力および出力するためのマイク13およびスピーカ14と、制御装置30との通信を行うための通信回路15と、制御装置30との間で音声信号を送受信するための音声回路16と、居室親機全体の制御を行うための居室親機CPU17とを有する。
制御装置30は、居室親機10との通信を行なうための通信回路31と、集合玄関機20と共用部子機40との通信を行なうための通信回路33と、居室親機10との間で音声信号を送受信するための音声回路34と、集合玄関機20と共用部子機40との間で音声信号を送受信するための音声映像回路35と、制御装置全体の制御を行うための制御装置CPU37と、共用部の予約状況を記憶する予約記憶部38、時刻を計時する計時部39とを有する。
【0014】
共用部子機40は、共用部使用完了者が次の共用部使用者に対して呼出または通知を行うための操作部41と、音声通話時に音声を入力および出力するためのマイク43およびスピーカ44と、制御装置30との通信を行うための通信回路45と、制御装置30に対して音声信号を送受信するための音声回路46と、共用部子機全体の制御を行うための子機CPU47とを有する。
なお、制御装置30の予約記憶部38には、予め共用部の予約状況として、少なくとも居住者の居室親機を特定するための居室ID情報が記憶され、更に予約時間、予約者名等が記憶されていてもよい。この予約は、各居室親機の操作部11及び表示部12を用いておこなうことができるものであり、予約をおこなった居室親機10だけでなく、他の居室親機(部屋番号)等の情報を入力することができ、一つの予約に対して、複数の居室IDを登録することができるものである。
【0015】
次に、このような集合住宅用インターホンシステムにおいて動作を説明する。
ここで、来訪者が集合玄関機20を操作して居住者を呼び出し、居室親機10のスピーカ14からの呼出音報知及び表示部12における来訪者の映像を確認して通話する点については従来と同様であるため説明を省略し、ここでは、共用部を予約して使用することについて詳述する。
まず、上述のように、使用者は居室親機10の操作部11及び表示部12を用いて、共用部の使用予約をおこなう。これによって、施設予約がおこなわれ、使用者は予約した時間帯の使用許可を得ることができる。
【0016】
この使用時間帯情報は、制御装置30の予約記憶部38に記憶されて、制御装置30の計時部39により、使用終了時刻又は終了時刻から所定時間前となったとき、共用部子機40に対して、終了時刻となった旨若しくは間もなく終了時刻である旨の通知をおこなうために終了信号を生成し、通信回路33を介して送信する。共用部子機40では、通信回路45を介して子機CPU47で当該終了信号を受信し、子機CPU47の制御によりスピーカ44等の報知部で使用終了時刻となったことを通知する。これを確認した使用者は、共用部利用を終了し、共用部子機40の操作部41を操作する。例えば、終了通知ボタン等を操作すると、これを検出した子機CPU47は、通知信号を生成して、終了信号と逆の経路で制御装置30に送信する。
【0017】
制御装置30は、制御装置CPU37でこれを検出し、予約記憶部38を参照して次の使用者を特定する。そして、次の使用者の居室ID情報を読み出して通知信号に付加して対象の居室親機10へ通知する。この通知信号は通信回路31を介して居室親機10に送信され、居室親機10では、通信回路15を介して居室親機CPU17で当該通知信号を受信する。居室親機CPU17は、前の共用部使用者が使用を終了したことを通知するためにスピーカ14から通知音を鳴動させると共に、モニタ12において「共用部を使用することができます」等のメッセージを表示させる制御をおこなう。これにより、次の使用者である居住者は、共用部を速やかに使用することができる。また、予約記憶部38に、使用者情報として居室IDが複数記憶されている場合には、全ての居室IDを対象に上記通知信号を送出し、各居室親機10において通知音の鳴動及びモニタでのメッセージ表示をおこなうこともできる。これにより、予約した責任者が気づかない場合であっても他の人が確認することができるし、別途、全ての使用者に対して集合の連絡をする必要がなくなるため便利である。
【0018】
ここで、上記の「次の使用者の特定」については、終了通知ボタンを操作するごとに次の使用者の居室ID情報を読み出すように制御する方法、現在の時刻から次の使用者の居室ID情報を読み出す方法、共用部子機に別途モニタを設け、当該モニタに制御装置30の予約記憶部38に記憶された予約情報を表示させて、操作部41にて次の使用者を選択して居室ID情報を読み出す方法が考えられる。
【0019】
なお、共用部子機40には、マイク43及びスピーカ44を備えているので、前の使用者が次の使用者に対して終了通知した際に、通話することも可能であり、例えば、「片付けに5分程度係りそうだ」といったやりとりを直接おこなうことができる。また、前の使用者が一方的にマイク43を用いてメッセージを残すことも可能であり、次の使用者は居室親機10の操作部11を操作することにより、前の人のメッセージを確認することもできる。
さらに、居室親機10は、共用部子機40を呼び出すことも可能であり、使用状況を次の使用者側から確認することもできる。この場合には、共用部子機40で呼出音が鳴動し、操作部41で応答操作することで居室親機10との通話路が形成されて通話することができる。
【符号の説明】
【0020】
10・・・ 居室親機
11・・・ 操作部
12・・・ 表示部
13・・・ マイク
14・・・ スピーカ
16・・・ 音声回路
17・・・ 居室親機CPU
20・・・ 集合玄関機
30・・・ 制御装置
37・・・ 制御装置CPU
40・・・ 共用部子機
41・・・ 操作部
43・・・ マイク
44・・・ スピーカ
46・・・ 音声回路
47・・・ 子機CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出して通話するための集合玄関機と、前記居住者が前記集合玄関機からの呼び出しに応答して前記来訪者と通話するための居室親機と、前記集合玄関機及び前記居室親機をそれぞれ制御するための制御装置と、から構成される集合住宅用インターホンシステムであって、
前記制御装置は、集合住宅の共用部の予約状況として少なくとも居住者の居室親機を特定するための居室ID情報が記憶される予約記憶部を備え、当該制御装置に接続され、前記共用部に設置された共用部子機から呼び出し操作されたとき、前記予約記憶部の予約状況を参照して、次の予約者の前記居室親機に通知するために前記居室IDを付加した通知信号を当該居室親機に送信する制御をおこなう制御装置CPUを備えたことを特徴とする集合住宅用インターホンシステム。
【請求項2】
前記居室親機は、前記通知信号を受信したとき、前の共用部使用者が使用を終了したことを通知するためにモニタ、LED又はスピーカ等の報知部で終了通知の制御をおこなう居室親機CPUを備えたことを特徴とする請求項1記載の集合住宅用インターホンシステム。
【請求項3】
前記予約記憶部の予約情報には、複数の居室IDを登録可能であって、
前記制御装置CPUは、前記通知信号を受信したとき、予約情報に記憶された居室ID全てに前の共用部使用者が使用を終了したことを通知する制御をおこなうものであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、時間を計時する計時部を有し、前記予約記憶部には使用時間情報が記憶され、
前記制御装置CPUは、前記予約記憶部に記憶された使用時間情報のうち終了時刻または終了時刻から所定時間前となったとき、前記共用部子機のモニタ、LED又はスピーカ等の報知部で使用終了時刻となったことを通知する終了信号を送信するための制御をおこなうものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか1項記載の集合住宅インターホンシステム。


【図1】
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【公開番号】特開2012−175645(P2012−175645A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38565(P2011−38565)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】