集積回路検査装置およびその製造方法
【課題】基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置において、安価で、コンパクトかつ取り扱いが容易な装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】基板2の集積回路3の複数の入出力端子3aに接触して、この入出力端子3aと電気的に接続される複数のプローブ7と、これら複数のプローブ7を集積回路3の複数の入出力端子3aに接触可能な状態で担持する積層回路部5と、この積層回路部5を担持する積層回路担持基板4とを備え、複数のプローブ7は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路部5に担持された柱状のカーボンナノチューブ群7aを備えている。
【解決手段】基板2の集積回路3の複数の入出力端子3aに接触して、この入出力端子3aと電気的に接続される複数のプローブ7と、これら複数のプローブ7を集積回路3の複数の入出力端子3aに接触可能な状態で担持する積層回路部5と、この積層回路部5を担持する積層回路担持基板4とを備え、複数のプローブ7は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路部5に担持された柱状のカーボンナノチューブ群7aを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリコンウェハーなどの基板に形成された集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリコンウェハーなどの基板に形成された集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置として、複数のプローブと、これら複数のプローブを集積回路の複数の入出力端子に接触可能な状態で担持する積層回路担持基板とを備えたものが知られている。
【0003】
このような集積回路検査装置として、例えば、特許文献1には、プローブ針群によりウェーハー基板の上に形成されたICチップの電極群に接触してこのICチップを検査することができるようになったプローブカードの技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−87440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されたプローブカードは、プローブ針として多数の金属針を積層回路担持基板に手作業で取り付けなければならず、非常に高価な装置になるという問題があった。
【0005】
また、これら金属針は、ひとつひとつをこれ以上微細なものにすることに限界があるだけでなく、適当な接触圧力を確保するために一定の長さのアーム部が必要になる結果、集積回路検査装置のコンパクト化に限界があるという問題があった。
【0006】
さらに、上述の特許文献1に開示されたプローブカードは、一般的に積層回路担持基板と、外部のテスターとの間に中継基板を設けなければならないので、これら積層回路担持基板と中継基板との間、中継基板とテスターとの間にも配線が必要となる結果、集積回路検査装置がさらに大きく、高価で、かつ取り扱いの困難なものになるという問題があった。
【0007】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、安価で、コンパクトかつ取り扱いが容易な集積回路検査装置とその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る集積回路検査装置は、基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置であって、上記基板の集積回路の複数の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続される複数のプローブと、これら複数のプローブに電気的に接続されるとともにこれら複数のプローブを集積回路の複数の入出力端子に接触可能な状態で担持する積層回路部と、この積層回路部を担持する積層回路担持基板と、を備え、上記複数のプローブは、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路部に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする集積回路検査装置である。
【0009】
本発明によれば、各プローブが、積層回路部の上に一度に多数成長させることができるカーボンナノチューブ群で構成されているので、金属針を多数取り付ける手間が不要であり、集積回路検査装置を極めて安価なものにすることができる。また、これらカーボンナノチューブ群で構成されるプローブは、ひとつひとつを微細かつ高密度にすることができるだけでなく、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、適当な接触圧力を確保するためのアーム部が不要になる。その結果、集積回路検査装置を極めてコンパクトなものにすることができる。
【0010】
また、本発明によれば、プローブに電気的に接続される回路が、積層回路担持基板に担持される積層回路部として設けられるので、中継基板が不要となり、さらに集積回路検査装置を小さく、安価で、かつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0011】
ここで、上記積層回路担持基板は、外部に設けられた検査装置本体の入出力端子から積層回路部に電気的に接続可能な入出力端子と導通部とを備えていることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、積層回路部と外部に設けられた検査装置本体とを積層回路担持基板に設けられた入出力端子と導通部とを介して電気的に接続することができるので、外部からこの集積回路検査装置を制御することができるようになる。また、検査結果を別置きの記憶装置に記憶させたり、表示装置で表示させたりすることができるようになる。
【0013】
また、上記積層回路担持基板の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路担持基板の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えているように構成してもよい。
【0014】
このようにすれば、積層回路担持基板の入出力端子が、柱状のカーボンナノチューブ群を備えているので、検査装置本体の入出力端子と、積層回路担持基板の入出力端子とを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブの数とほぼ同じ数だけの入出力端子を、特に自由な配列で積層回路担持基板に設けることができる。その結果、積層回路担持基板の入出力端子の配列が検査装置本体の入出力端子の配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板を製作することにより、同じ検査装置本体であっても積層回路担持基板を交換するだけで、種々の基板の集積回路に対応することができるようになる。
【0015】
また、積層回路担持基板の入出力端子に設けられたこれらカーボンナノチューブ群は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、検査装置本体の入出力端子に押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら検査装置本体と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路と積層回路担持基板の積層回路部と検査装置本体の入出力端子とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0016】
あるいは、上記検査装置本体の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で検査装置本体の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えているように構成してもよい。
【0017】
このようにすれば、検査装置本体の入出力端子が、柱状のカーボンナノチューブ群を備えているので、検査装置本体の入出力端子と、積層回路担持基板の入出力端子とを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブの数とほぼ同じ数だけの入出力端子を、特に自由な配列で積層回路担持基板に設けることができる。その結果、積層回路担持基板の入出力端子の配列が検査装置本体の入出力端子の配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板を製作することにより、同じ検査装置本体であっても積層回路担持基板を交換するだけで、種々の基板の集積回路に対応することができるようになる。
【0018】
また、検査装置本体の入出力端子に設けられたこれらカーボンナノチューブ群は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、積層回路担持基板の入出力端子に押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら積層回路部と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路と積層回路担持基板の積層回路部と検査装置本体の入出力端子とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0019】
また、上記検査装置本体は、ウェハー状の検査基板上の集積回路として形成され、上記積層回路担持基板の入出力端子は、この検査基板上の集積回路の入出力端子に連結可能に構成されているものであってもよい。
【0020】
このようにすれば、検査装置本体が、ウェハー状の検査基板上の集積回路として形成され、積層回路担持基板の入出力端子が、この検査基板上の集積回路の入出力端子に連結可能に構成されているので、基板の集積回路と積層回路担持基板の積層回路部と検査基板の集積回路である検査装置本体とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる。その結果、取り扱いが極めて容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0021】
また、この集積回路検査装置は、積層回路部の外部に設けられた検査装置本体と協同して基板の集積回路を電気的に検査可能な検査回路を備えていることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、検査回路が、検査装置本体と協同して検査を行うことができるので、積層回路担持基板の積層回路部と外部に設けられた検査装置本体との間の配線数を少なくして、より集積回路検査装置を小さく、安価で、かつ取り扱いの容易なものにすることができる。
【0023】
また、上記基板は、シリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板であり、上記複数のプローブは、このシリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板に形成された集積回路の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続されるものであることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、シリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板に形成された集積回路の集積回路検査装置を極めて安価で、コンパクトかつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0025】
また、上記複数のプローブは、基板に形成された集積回路の入出力端子の表面がプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態で、集積回路の入出力端子に接触してこの入出力端子と電気的に接続されるものであることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、酸化被膜が取り除かれた状態の入出力端子の表面にプローブが接触するので、入出力端子とプローブとの間に確実で安定した電気的接続が得られる。
【0027】
また、上記課題を解決するための本発明に係る集積回路検査装置の製造方法は、基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置の製造方法であって、上記動作確認を行う積層回路部を積層回路担持基板の上に形成する積層回路部形成工程と、上記積層回路部形成工程により、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、複数のプローブを、上記集積回路の複数の入出力端子に電気的に接続可能な状態で形成するプローブ形成工程とを含み、上記プローブ形成工程は、上記プローブを構成するカーボンナノチューブ群がそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部を転写用基板上に形成するベース形成工程と、この複数の転写用ベース部の上にそれぞれカーボンナノチューブ群を成長させるカーボン成長工程と、上記カーボン成長工程により転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、転写する転写工程と、を含んでいることを特徴としている。
【0028】
本発明によれば、転写工程により、転写用基板の転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に転写するので、積層回路部をカーボンナノチューブの成長のために高温にさらさないようにすることができる。
【0029】
ここで、上記カーボン成長工程は、化学気相成長法により上記転写用基板の転写用ベース部の上にカーボンナノチューブ群を生成させるものであることが好ましい。
【0030】
このようにすれば、成膜制御が容易な化学気相成長法により転写用ベース部の上にカーボンナノチューブ群を生成させるので、寸法や密度など、さまざまな仕様の中から所望のカーボンナノチューブ群を得ることができる。
【0031】
また、上記転写工程は、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に導電ペーストが形成される導電ペースト形成工程と、この導電ペースト形成工程により積層回路部に形成された導電ペーストに、上記カーボンナノチューブ群の先端を固着させるチューブ群固着工程と、このチューブ群固着工程により先端が導電ペーストに固着されたカーボンナノチューブ群を転写用基板の転写用ベース部から分離する分離工程とを含んでいることが好ましい。
【0032】
このようにすれば、チューブ群固着工程により積層回路部に形成された導電ペーストに、カーボンナノチューブ群の先端を固着させ、分離工程により先端が導電ペーストに固着されたカーボンナノチューブ群を転写用基板の転写用ベース部から分離するので、より確実かつ効果的に、転写用基板の転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に転写することができるようになる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、各プローブが、積層回路部の上に一度に多数成長させることができるカーボンナノチューブ群で構成されているので、金属針を多数取り付ける手間が不要であり、集積回路検査装置を極めて安価なものにすることができるという顕著な効果を奏する。
【0034】
また、これらカーボンナノチューブ群で構成されるプローブは、ひとつひとつを微細かつ高密度にすることができるだけでなく、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、適当な接触圧力を確保するためのアーム部が不要になる。その結果、集積回路検査装置を極めてコンパクトなものにすることができるという顕著な効果を奏する。
【0035】
また、本発明によれば、プローブに電気的に接続される回路が、積層回路担持基板に担持される積層回路部として設けられるので、さらに集積回路検査装置を小さく、安価で、かつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0036】
また、本発明によれば、積層回路担持基板を何度でも繰り返し使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の概略の構成を示す斜視図であり、図2は、集積回路検査装置1の積層回路担持基板4の構成を示す断面図である。
【0038】
図1と図2とを参照して、図示の本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1は、基板2に形成された個々の集積回路3を検査する際に、それぞれの集積回路3と検査装置本体8との間でそれぞれに電気的に接続されるものであり、基板2の集積回路3の複数の入出力端子3aと電気的に接続される複数のプローブ7(図2)と、これら複数のプローブ7を担持する積層回路部5と、この積層回路部5を担持する積層回路担持基板4と、積層回路担持基板4の上面に設けられた検査回路6(図1)とを備えている。
【0039】
本実施形態では、基板2に形成された集積回路3の入出力端子3aの表面は、あらかじめプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態になっている。プラズマクリーニングとしては、プラズマによるエッチングの他、反応ガスプラズマを用いて酸化被膜を還元するなどの方法が採用される。そして、プローブ7は、このようなプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態の入出力端子3aに接触してこの入出力端子3aと電気的に接続されるようになっている。
【0040】
上記基板2は、本実施形態では、特に、表面に形成された集積回路3が分離される前の直径300mmの円盤状のシリコンウェハー基板を対象としている。すなわち、集積回路検査装置1は、このような分離される前のシリコンウェハーの基板2の多数の集積回路3を一度に検査するものとして構成される。
【0041】
上記集積回路3は、本実施形態では、例えばメモリーIC(512MDRAM)として用いられる超小型集積回路が対象となっており、個々の集積回路3は、それぞれ2列の多数の入出力端子3aを有している。これらの多数の入出力端子3aは、アルミニウム、銅、金などからなる一辺約80ミクロンの矩形の微細な端子構造であり、入出力端子3a同士の中心間隔も、それぞれ百数十ミクロンという微小なものになっている。これらの微細な入出力端子3aに対しては、従来のプローブカードの場合では、プローブ針として金属針を手作業で高密度に配列しなければならなかったものである。
【0042】
上記積層回路担持基板4は、下面に設けられた積層回路部5を担持する基板となるものである。この積層回路担持基板4は、基板2とほぼ同じサイズの薄い平板状の電気的絶縁性を有する材料で構成され、本実施形態では、基板2と同様の平板状のシリコンウェハーが採用されている。
【0043】
この積層回路担持基板4は、表面から裏面にかけて積層回路担持基板4を貫通した状態で、積層回路担持基板4の面に対して概ね垂直に伸びている導通部4a(図2)を有している。この導通部4aは、外部に設けられた検査装置本体8(図1)と下面に設けられた積層回路部5とを電気的に接続するためのものであり、円柱形状もしくは、後述するように円錐状(図15)の微細な棒状の埋め込み金属で構成されている。この棒状の埋め込み金属は、例えば本実施形態のメモリーIC(寸法7mm×8mm)の場合、一辺が約500ミクロンの矩形のパッドからなる入出力端子4bと一端側が接続され、他端側が積層回路部5に電気的に接続されている。そして、これら導通部4a同士の中心間隔は、約900ミクロンとなっている。
【0044】
なお、積層回路担持基板4において導通部4aが埋め込まれる箇所には、導通部4aが埋め込まれる前に、SiO2などの絶縁層4cが形成されている。
【0045】
上記積層回路部5は、積層回路担持基板4の下面に形成された集積回路である。この積層回路部5は、広く工業的に生産されている通常の大規模集積回路と同様に、フォトレジスト形成工程、露光工程などを経て積層回路担持基板4に微細な回路を積層することにより形成されている。
【0046】
そして、この積層回路部5は、導電性のベース部5aを介して複数のプローブ7にも電気的に接続されており、この積層回路部5のベース部5aは、プローブ7を基板2の集積回路3に設けられた複数の入出力端子3a(図1)に接触可能かつ電気的に接続可能な状態で担持している。
【0047】
なお、この積層回路部5には、高分子の樹脂などからなるスペーサー5bがプローブ7の間を埋めるように設けられておりプローブ7を保護している。
【0048】
また、この積層回路部5は、積層回路担持基板4の導通部4a、入出力端子4b、および多数本の導線8a(図1)を介して検査装置本体8と電気的に接続され、検査装置本体8から電力の供給を受けたり、検査装置本体8と検査データや制御に係る信号をやりとりすることが可能になっている。
【0049】
上記検査回路6(図1)は、検査装置本体8と協同して基板2の集積回路3を電気的に検査する論理演算集積回路である。この検査回路6は、積層回路担持基板4に積層された積層回路部5とは異なり、別に製造された集積回路を積層回路担持基板4の上面に取り付けることにより、集積回路検査装置1の回路の一部分を構成するようになっている。このように検査回路6を積層回路担持基板4に設けることにより、積層回路部5と検査装置本体8との間の配線の数が少ないものになっている。
【0050】
上記複数のプローブ7(図2)は、基板2の集積回路3の複数の入出力端子3aに接触して、この入出力端子3aと電気的に接続されるものであり、隣接するプローブ7同士の中心間隔は、複数の入出力端子3aの中心間隔に対応してそれぞれ百数十ミクロンとなっている。
【0051】
このプローブ7は、特に長手方向が積層回路担持基板4に対して概ね垂直かつ互いに平行になるような状態で積層回路部5に担持された柱状のカーボンナノチューブ群で構成されている。このカーボンナノチューブ群は、本実施形態では、後述するように、転写用基板9(図8)の上に化学気相成長法(熱CVD法やプラズマCVD法)により原料としてアセチレンガスなどを用いて数10ミクロンの所定の長さに形成されたカーボンナノチューブ群7a(図11)を積層回路部5のベース部5aに転写して形成したものである。このカーボンナノチューブ群7aは、その特性として長手方向に弾力的に撓むことができるものになっており、基板2の入出力端子3aと弾力的に接触することができるようになっている。
【0052】
なお、積層回路部5のベース部5aは、カーボンナノチューブ群7aを転写可能なベースとして積層回路部5の最下面に形成されたものであり、導電性金属の薄い層で成層されている。
【0053】
ここで、図3〜図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の作用について説明する。図3は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが離れている状態を示す断面図であり、図4は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続された状態を示している。また、図5は、基板2の入出力端子3aとプローブ7との接触を示す拡大図であり、(a)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが離れている状態を、(b)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【0054】
図3〜図5に示すように、本発明の実施の形態に係る集積回路検査装置1においては、複数のプローブ7が、シリコンウェハーの基板2に形成された集積回路3の入出力端子3aに接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続されるが、この時、カーボンナノチューブ群7aからなるプローブ7が、弾力的に撓むことにより両端部が容易に積層回路担持基板4の厚み方向に変位して入出力端子3aのそれぞれの高低差を吸収する(図5)。
【0055】
そして、導通部4a、入出力端子4bを介して電気的に接続された外部の検査装置本体8(図1)と、積層回路担持基板4の上の検査回路6(図1)とが協同して基板2の集積回路3を電気的に検査する。
【0056】
なお、図5は、入出力端子3aに示すように、入出力端子3aの高さが低い場合であり、スペーサー5bの高さは、この入出力端子3aとプローブ7の高さに応じた適当な高さに設定されている。また、入出力端子3aとして金や銅を比較的高く設けた場合は、図6に示すように、スペーサー5bの高さを比較的高くするように、変更することにより対応可能である。図6は、入出力端子3aの高さが、比較的高い場合の入出力端子3aとプローブ7との接触を示す拡大図であり、(a)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが離れている状態を、(b)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【0057】
また、積層回路担持基板4は、検査装置本体8のメーカーの標準の入出力装置の仕様に合わせて製作されたものであり、一方、積層回路部5とプローブ7とは、この標準の仕様に合わせた積層回路担持基板4と種々の集積回路3とを電気的に接続するために種々のものが用意される。それ故、本実施形態によれば、検査装置本体8のメーカーは、標準の仕様の入出力装置を準備するだけでよく、多様な集積回路3ごとに入出力装置の仕様を変更する必要がない。その結果、検査装置本体8を汎用性のあるものにすることができるようになっている。
【0058】
以上説明したように、第1の実施形態に係る集積回路検査装置1によれば、各プローブ7が、一度に多数成長させることができるカーボンナノチューブ群7aで構成されているので、金属針を多数取り付ける手間が不要であり、集積回路検査装置1を極めて安価なものにすることができる。
【0059】
また、これらカーボンナノチューブ群7aで構成されるプローブ7は、ひとつひとつを微細かつ高密度にすることができるだけでなく、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、適当な接触圧力を確保するためのアーム部が不要になる。その結果、集積回路検査装置1を極めてコンパクトなものにすることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、プローブ7に電気的に接続される回路が、積層回路担持基板4に担持される積層回路部5として設けられるので、中継基板が不要となり、さらに集積回路検査装置1を小さく、安価で、かつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、積層回路部5と外部に設けられた検査装置本体8とを導通部4aと入出力端子4bとを介して電気的に接続することができるので、外部からこの集積回路検査装置1を制御することができるようになる。また、検査結果を別置きの記憶装置に記憶させたり、表示装置で表示させたりすることができるようになる。
【0062】
さらに、検査回路6が、検査装置本体8と協同して検査を行うことができるので、積層回路担持基板4の積層回路部5と外部に設けられた検査装置本体8との間の配線数を少なくして、より集積回路検査装置1を小さく、安価で、かつ取り扱いの容易なものにすることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、酸化被膜が取り除かれた状態の入出力端子3aの表面にプローブ7が接触するので、入出力端子3aとプローブ7との間に確実で安定した電気的接続が得られる。
【0064】
ここで、図7〜図14を参照して、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の製造方法について説明する。図7は、積層回路部形成工程の概略を示す説明図である。また、図8は、プローブ形成工程に用いられる転写用基板9の概略を示す平面図であり、カーボンナノチューブ群7aがそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部10が形成された状態を示している。図9は、転写用基板9の部分9aの部分拡大図である。また、図10は、プローブ形成工程のベース形成工程の概略を示す説明図であり、(a)は、カーボンナノチューブ群7aが成長するための触媒が転写用基板9の上に薄膜状に形成された状態を、(b)は、触媒が熱処理されて薄膜状から粒状に分散した状態をそれぞれ示している。また、図11は、プローブ形成工程のカーボン成長工程の概略を示す説明図である。
【0065】
また、図12は、転写工程の導電ペースト形成工程の概略を示す説明図であり、図13は、転写工程のチューブ群固着工程の概略を示す説明図である。そして図14は、転写工程の分離工程の概略を示す説明図である。
【0066】
これらの図に示すように、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の製造方法は、積層回路部形成工程(図7)と、プローブ形成工程(図10〜図14)とを含んでいる。
【0067】
上記積層回路部形成工程は、図7に示すように、動作確認を行う積層回路部5を積層回路担持基板4の上に形成する工程であり、この積層回路部形成工程により、通常の大規模集積回路と同様に、フォトレジスト形成工程、露光工程などを経て積層回路担持基板4に微細な集積回路を積層して集積回路検査装置の積層回路部5を形成する。
【0068】
上記プローブ形成工程は、積層回路部形成工程(図7)により、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に、複数のプローブ7を、集積回路3の入出力端子3aに電気的に接続可能な状態に形成する工程である。このプローブ形成工程は、ベース形成工程(図10)と、カーボン成長工程(図11)と、転写工程(図12〜図14)とを含んでいる。
【0069】
上記ベース形成工程(図10)は、プローブ7を構成するカーボンナノチューブ群7aがそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部10をシリコンウェハー基板からなる転写用基板9の上に形成する工程である。
【0070】
このベース形成工程において、本実施形態では、ベース成分として分散した粒状の鉄触媒が用いられる。すなわち、まず、図10(a)に示すように、鉄触媒が、転写用基板9の上に3〜4ナノメータの厚みに薄膜状に形成される。次に、この状態で薄膜状の触媒と転写用基板9とが約700度に加熱されて、図10(b)に示すような粒状に分散した状態の鉄触媒からなる転写用ベース部10が得られる。(この粒状の鉄触媒からなる転写用ベース部10は、次のカーボン成長工程においてプローブ7のカーボンナノチューブ群7aが成長するための触媒として作用する)。
【0071】
上記カーボン成長工程(図11)は、転写用基板9の複数の転写用ベース部10の上にそれぞれカーボンナノチューブ群7aを成長させる工程であり、このカーボン成長工程は、本実施形態では、特に化学気相成長法によりカーボンナノチューブ群7aを生成させるようになっている。
【0072】
すなわち、転写用ベース部10の上にそれぞれカーボンナノチューブ群7aを化学気相成長法(熱CVD法)により所定の長さとして数10ミクロンの長さに生成させる。この時、カーボンナノチューブ群7aの原料としては、アセチレンガスが用いられ、転写用ベース部10、転写用基板9などは約700℃に保たれる。
【0073】
上記転写工程は、カーボン成長工程により転写用ベース部10の上に成長させたカーボンナノチューブ群7aを、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に、転写する工程であり、この転写工程は、導電ペースト形成工程(図12)と、チューブ群固着工程(図13)と、分離工程(図14)とを含んでいる。
【0074】
導電ペースト形成工程(図12)は、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5のベース部5aにハンダなどの低温で溶融可能な金属からなる導電ペースト11を形成するものである。この時、導電ペースト11の大きさと位置とは、カーボンナノチューブ群7aが導電ペースト11を介して積層回路部5に転写された場合にカーボンナノチューブ群7aが集積回路の入出力端子に電気的に接続可能な大きさと位置とになるように形成される。
【0075】
チューブ群固着工程(図13)は、この導電ペースト形成工程により積層回路部5に形成された導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を固着させる工程であり、加熱して溶融させた導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を押し付けて浸漬させた後、導電ペースト11を冷却して凝固させ、導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を固着させる。
【0076】
分離工程(図14)は、このチューブ群固着工程により先端が導電ペースト11に固着されたカーボンナノチューブ群7aを転写用基板9の転写用ベース部10から分離する工程である。カーボンナノチューブ群7aの先端は、導電ペースト11に強力に固着されている一方、カーボンナノチューブ群7aの基端は、比較的容易に分離することができるので、積層回路部5と転写用基板9との間隔を広げることにより、カーボンナノチューブ群7aの基端が、転写用基板9から分離して、カーボンナノチューブ群7aの全体が積層回路部5に転写される。
【0077】
このように、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の製造方法によれば、転写工程により、転写用基板9の転写用ベース部10の上に成長したカーボンナノチューブ群7aを、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に転写するので、積層回路部5をカーボンナノチューブ群7aの成長のために高温にさらさないようにすることができる。
【0078】
また、成膜制御が容易な化学気相成長法により転写用ベース部10の上にカーボンナノチューブ群7aを生成させるので、寸法や密度など、さまざまな仕様の中から所望のカーボンナノチューブ群7aを得ることができる。
【0079】
さらに、チューブ群固着工程により積層回路部5に形成された導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を固着させ、分離工程により先端が導電ペースト11に固着されたカーボンナノチューブ群7aを転写用基板9の転写用ベース部10から分離するので、より確実かつ効果的に、転写用基板9の転写用ベース部10の上に成長したカーボンナノチューブ群7aを、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に転写することができるようになる。
【0080】
次に、図16〜図19を参照して、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21について詳述する。図16は、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21の概略の構成を示す斜視図であり、図17は、集積回路検査装置21の積層回路担持基板24の構成を示す断面図である。なお、第1の実施形態に係る集積回路検査装置1と同様の構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるものとする。
【0081】
図16と図17とを参照して、図示の本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21は、集積回路3の温度条件を高温に維持したり、加湿したり、電気パルスを与えたりするなど、さまざまな条件で検査するバーンインテストのための検査装置である。この第2の実施形態に係る集積回路検査装置21においては、積層回路担持基板24の入出力端子24bも、プローブ7と同様の柱状のカーボンナノチューブ群27を備えており、このカーボンナノチューブ群27は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路担持基板24の入出力端子24bに担持されている。
【0082】
また、検査装置本体28は、本実施形態では、ウェハー状の検査基板28a上の集積回路28bとして形成され、積層回路担持基板24の入出力端子24bは、カーボンナノチューブ群27を介して、この検査基板28a上の集積回路28bの入出力端子28cに接続可能に構成されている。
【0083】
そして、この検査基板28a上の集積回路28bは、この集積回路28bに電気的に接続される入出力部26とリード線群26aとを有しており、これら入出力部26とリード線群26aとを介して外部に設けられた図略の情報処理装置と電気的に接続されている。
【0084】
ここで、この積層回路担持基板24は、表面から裏面にかけて積層回路担持基板24を貫通した状態で、積層回路担持基板24の面に対して概ね垂直に伸びている導通部24aを有している。この導通部24aは、外部に設けられた検査装置本体28と下面に設けられた積層回路部25とを電気的に接続するためのものであり、積層回路担持基板24において導通部24aが埋め込まれる箇所には、導通部24aが埋め込まれる前に、SiO2などの絶縁層24cが形成されている。
【0085】
また、カーボンナノチューブ群27は、入出力端子24bの上にプローブ7と同様の方法で形成されている。
【0086】
上記検査基板28aは、検査装置本体28である集積回路28bを下面に担持する基板となるものである。この検査基板28aは、基板2とほぼ同じサイズの薄い平板状の電気的絶縁性を有する材料で構成され、本実施形態では、基板2と同様の平板状のシリコンウェハーが採用されている。
【0087】
ここで、図18〜図19を参照して、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21の作用について説明する。図18は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板24のカーボンナノチューブ群27と検査基板28aの入出力端子28cとが離れている状態を示す断面図であり、図19は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板24のカーボンナノチューブ群27と検査基板28aの入出力端子28cとが接触して、基板2の集積回路3と、積層回路担持基板24の積層回路部5と、検査基板28aの集積回路28bである検査装置本体28とが電気的に接続された状態を示している。
【0088】
図18〜図19に示すように、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21においては、複数のプローブ7が、シリコンウェハーの基板2に形成された集積回路3の入出力端子3aに接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続されるが、この時、カーボンナノチューブ群7aからなるプローブ7が、弾力的に撓むことにより両端部が容易に積層回路担持基板24の厚み方向に変位して入出力端子3aのそれぞれの高低差を吸収する(図19)。
【0089】
また、積層回路担持基板24の入出力端子24bと検査基板28aの入出力端子28cとが接触して、基板2の集積回路3と、積層回路担持基板24の積層回路部25と、検査基板28aの集積回路28bである検査装置本体28とが電気的に接続されるが、この時、カーボンナノチューブ群27が、弾力的に撓むことにより両端部が容易に積層回路担持基板24の厚み方向に変位して入出力端子24bのそれぞれの高低差を吸収する(図19)。
【0090】
この時、スペーサー25bの高さが、検査基板28aの入出力端子28cとカーボンナノチューブ群27の高さに応じた適当な高さに設定されるのは、プローブ7の場合と同様である。
【0091】
そして、積層回路部25を介して基板2の集積回路3に対して電気的に接続された検査装置本体28が、基板2の集積回路3を電気的に検査するが、この時、基板2と、積層回路担持基板24と、検査基板28aとが重ね合わされ、図略の連結手段で固定された状態で、バーンインテストが行われ、集積回路3の温度条件を高温に維持したり、加湿したり、電気パルスを与えたりするなど、さまざまな条件で検査される。
【0092】
このように第2の実施形態に係る集積回路検査装置21によれば、積層回路担持基板24の入出力端子24bが、柱状のカーボンナノチューブ群27を備えているので、検査装置本体28の入出力端子28cと、積層回路担持基板24の入出力端子24bとを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブ7の数とほぼ同じ数だけの入出力端子24bを、特に自由な配列で積層回路担持基板24に設けることができる。その結果、積層回路担持基板24の入出力端子24bの配列が検査装置本体28の入出力端子28cの配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板24を製作することにより、同じ検査装置本体28であっても積層回路担持基板24を交換するだけで、種々の基板の集積回路3に対応することができるようになる。
【0093】
また、積層回路担持基板24の入出力端子24bに設けられたこれらカーボンナノチューブ群27は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、検査装置本体28の入出力端子28cに押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら検査装置本体28と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路3と積層回路担持基板24の積層回路部25と検査装置本体28の入出力端子28cとを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置21を実現することができる。
【0094】
さらに、検査装置本体28が、ウェハー状の検査基板28a上の集積回路28bとして形成され、積層回路担持基板24の入出力端子24bが、この検査基板28a上の集積回路28bの入出力端子24bに連結可能に構成されているので、基板の集積回路3と積層回路担持基板24の積層回路部25と検査基板28aの集積回路28bである検査装置本体28とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる。その結果、取り扱いが極めて容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0095】
次に、図20〜図23を参照して、本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31について詳述する。図20は、本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31の概略の構成を示す斜視図であり、図21は、集積回路検査装置31の積層回路担持基板24の構成を示す断面図である。なお、第1、第2の実施形態に係る集積回路検査装置1、21と同様の構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるものとする。
【0096】
図20と図21とを参照して、図示の本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31も、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、バーンインテストのための検査装置である。この第3の実施形態に係る集積回路検査装置31においては、検査装置本体38の入出力端子38c(図21)側に、プローブ7と同様の柱状のカーボンナノチューブ群37を備えており、このカーボンナノチューブ群37は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で検査基板38aに担持された入出力端子38cに形成されている。
【0097】
ここで、カーボンナノチューブ群37は、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、入出力端子34bの上にプローブ7と同様の方法で形成されている。
【0098】
また、検査装置本体38は、本実施形態でも、ウェハー状の検査基板38a上の集積回路38bとして形成され、積層回路担持基板34の入出力端子34bは、カーボンナノチューブ群37を介して、検査基板38a上の集積回路38bの入出力端子38cに接続可能に構成されている。
【0099】
この時、スペーサー35bの高さが、積層回路担持基板34の入出力端子34bとカーボンナノチューブ群37の高さに応じた適当な高さに設定されるのは、プローブ7、27の場合と同様である。
【0100】
そして、上記検査基板38aは、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、検査装置本体38である集積回路38bを下面に担持する基板となるものであり、平板状のシリコンウェハーが採用されている。
【0101】
また、検査基板38a上の集積回路38bは、この集積回路38bに電気的に接続される入出力部36とリード線群36aとを有しており、これら入出力部36とリード線群36aとを介して外部に設けられた図略の情報処理装置と電気的に接続されている。
【0102】
ここで、図22〜図23を参照して、本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31の作用について説明する。図22は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板34の入出力端子34bと検査基板38aのカーボンナノチューブ群37とが離れている状態を示す断面図であり、図23は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板34の入出力端子34bと検査基板38aのカーボンナノチューブ群37とが接触して、基板2の集積回路3と、積層回路担持基板34の積層回路部5と、検査基板38aの集積回路38bである検査装置本体38とが電気的に接続された状態を示している。
【0103】
そして、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、基板2と、積層回路担持基板34と、検査基板38aとが重ね合わされ、図略の連結手段で固定された状態で、バーンインテストが行われる。
【0104】
このように第3の実施形態に係る集積回路検査装置31によれば、検査装置本体38の入出力端子38cが、柱状のカーボンナノチューブ群37を備えているので、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、検査装置本体38の入出力端子38cと、積層回路担持基板34の入出力端子34bとを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブ7の数とほぼ同じ数だけの入出力端子34bを、特に自由な配列で積層回路担持基板34に設けることができる。その結果、積層回路担持基板34の入出力端子34bの配列が検査装置本体38の入出力端子38cの配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板34を製作することにより、同じ検査装置本体38であっても積層回路担持基板34を交換するだけで、種々の基板の集積回路3に対応することができるようになる。
【0105】
また、検査装置本体38の入出力端子38cに設けられたこれらカーボンナノチューブ群37は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、積層回路担持基板34の入出力端子34bに押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら積層回路部25と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路3と積層回路担持基板34の積層回路部25と検査装置本体38の入出力端子38cとを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置31を実現することができる。
【0106】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0107】
例えば、集積回路検査装置1は、集積回路3と検査装置本体8との間で配線されるものに限定されない。検査装置本体8とは別に独立して集積回路3を検査し、積層回路部5に検査データを蓄積するものでも良いし、あるいは無線を介して積層回路部5と検査装置本体8との間で通信されるものでも良いなど、種々の設計変更が可能である。
【0108】
また、基板2は、本実施形態では、直径300mmの円盤状のシリコンウェハー基板を対象としているが、その他のサイズにも適用可能である。また、シリコンカーバイドウェハー基板など、シリコン系のウェハー基板、もしくはガリウム・リンやガリウム・砒素などの化合物半導体系のウェハー基板など、その他の材質の基板にも適用可能である。
【0109】
また、集積回路3も、メモリーIC(512MDRAM)として用いられる超小型集積回路を対象としているが、携帯電話の画像制御用の超小型集積回路など、その他の電子部品に用いられる集積回路に設計変更することも可能である。
【0110】
また、検査回路6も必ずしも必須ではなく、例えば外部に設けた検査装置本体8ですべての検査を行う場合は、省略可能である。
【0111】
そして、プローブ7同士の中心間隔は、百数十ミクロンに限定されず、集積回路3の入出力端子の間隔に応じて種々の設計変更が可能である。
【0112】
さらに、入出力端子3aとプローブ7との配列も必ずしも図示のように直線的に配列されたものに限らず、千鳥状に配列されたものでもよいなど、種々の設計変更が可能である。
【0113】
また、プローブ7のカーボンナノチューブ群は、柱状のものに限定されない。螺旋を描くように形成されたものや、波型にウェーブしたものなど、種々の設計変更が可能である。また、カーボンナノチューブ群7aの原料も必ずしもアセチレンガスに限定されない。積層回路部5のベース部5aにカーボンナノチューブ群7aを生成可能な材料であれば、その他の炭素化合物が採用可能である。これは、カーボンナノチューブ群27、37についても同様のことが言える。
【0114】
次に、本発明の実施の形態に係る集積回路検査装置1の製造方法のベース形成工程(図10)においても、転写用基板9は、シリコンウェハーでなくともよい。例えば化学的あるいは熱的に安定であるなど集積回路検査装置1の製造工程に適した材料であれば、種々の材料が採用可能である。
【0115】
また、ベース成分も、鉄に限定されない。カーボンナノチューブ群7aが成長するための触媒として作用するものであれば、転写用ベース部10は、アルミ、チタン、コバルトなど種々の材料が採用可能である。
【0116】
さらに、導電ペースト形成工程(図12)においても、導電ペースト11は、ハンダなどの低温で溶融可能な金属に限定されない。その他市場に広く流通している導電ペースト11が採用可能である。
【0117】
また、本発明の実施の形態に係る集積回路検査装置1、21、31は、必ずしも常圧の通常の検査だけに限定されない。例えば、さまざまな圧力条件における個々の集積回路3の電気的な動作確認を行うテストなど、その他の検査にも適用可能である。
【0118】
また、積層回路担持基板4、24、34および検査基板28a、38aは、シリコンウェハーに限らない。電気的絶縁性を有し、必要とされる検査に対応可能な材料であれば、例えばシリコンウェハーに熱膨張係数が近いガラスセラミック基板など、種々の設計変更が可能である。また必ずしも薄い平板状の部材に限らず、立体的な形状を有した部材であってもよい。
【0119】
また、積層回路担持基板4、24、34の導通部4a、24aは、必ずしも円柱形状に限らない。図15は、例えば積層回路担持基板4の導通部4aの変形例を示す断面図である。図15に示すように、導通部4aは、勾配を有する円錐状の微細な棒状の埋め込み金属で構成されることが可能であり、導通部24a、34aについても同様のことが言える。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る集積回路検査装置の積層回路担持基板の構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブとが離れている状態を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブとが接触して、基板の集積回路と積層回路部とが電気的に接続された状態を示している。
【図5】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブとの接触を示す拡大図であり、(a)は、基板の入出力端子とプローブとが離れている状態を、(b)は、基板の入出力端子とプローブとが接触して、基板の集積回路と積層回路部とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【図6】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、入出力端子の高さが、比較的高い場合の入出力端子とプローブとの接触を示す拡大図であり、(a)は、基板の入出力端子とプローブとが離れている状態を、(b)は、基板2の入出力端子とプローブとが接触して、基板の集積回路と積層回路部とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【図7】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、積層回路部形成工程の概略を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、プローブ形成工程に用いられる転写用基板の概略を示す平面図であり、カーボンナノチューブ群がそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部が形成された状態を示している。
【図9】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写用基板の部分の部分拡大図である。
【図10】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、プローブ形成工程のベース形成工程の概略を示す説明図であり、(a)は、カーボンナノチューブ群が成長するための触媒が転写用基板の上に薄膜状に形成された状態を、(b)は、触媒が熱処理されて薄膜状から粒状に分散した状態をそれぞれ示している。
【図11】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、プローブ形成工程のカーボン成長工程の概略を示す説明図である。
【図12】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写工程の導電ペースト形成工程の概略を示す説明図である。
【図13】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写工程のチューブ群固着工程の概略を示す説明図である。
【図14】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写工程の分離工程の概略を示す説明図である。
【図15】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、積層回路担持基板の導通部の変形例を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図17】第2の実施形態に係る集積回路検査装置の積層回路担持基板の構成を示す断面図である。
【図18】第2の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板のカーボンナノチューブ群と検査基板の入出力端子とが離れている状態を示す断面図である。
【図19】第2の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板のカーボンナノチューブ群37と検査基板の入出力端子とが接触して、基板の集積回路と、積層回路担持基板の積層回路部と、検査基板の集積回路である検査装置本体とが電気的に接続された状態を示している。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図21】第3の実施形態に係る集積回路検査装置の積層回路担持基板の構成を示す断面図である。
【図22】第3の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板の入出力端子と検査基板のカーボンナノチューブ群とが離れている状態を示す断面図である。
【図23】第3の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板の入出力端子と検査基板のカーボンナノチューブ群とが接触して、基板の集積回路と、積層回路担持基板の積層回路部と、検査基板の集積回路である検査装置本体とが電気的に接続された状態を示している。
【符号の説明】
【0121】
1、21、31 集積回路検査装置
2 基板
3 集積回路
3a 集積回路の入出力端子
4、24、34 積層回路担持基板
4a、24a 導通部
4b、24b、34b 積層回路担持基板の入出力端子
24c、34c 検査基板上の集積回路の入出力端子
5、25 積層回路部
6 検査回路
7 プローブ
7a、27、37 カーボンナノチューブ群
8、28、38 検査装置本体
28b、38b 検査基板
9 転写用基板
10 転写用ベース部
11 導電ペースト
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリコンウェハーなどの基板に形成された集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、シリコンウェハーなどの基板に形成された集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置として、複数のプローブと、これら複数のプローブを集積回路の複数の入出力端子に接触可能な状態で担持する積層回路担持基板とを備えたものが知られている。
【0003】
このような集積回路検査装置として、例えば、特許文献1には、プローブ針群によりウェーハー基板の上に形成されたICチップの電極群に接触してこのICチップを検査することができるようになったプローブカードの技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−87440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示されたプローブカードは、プローブ針として多数の金属針を積層回路担持基板に手作業で取り付けなければならず、非常に高価な装置になるという問題があった。
【0005】
また、これら金属針は、ひとつひとつをこれ以上微細なものにすることに限界があるだけでなく、適当な接触圧力を確保するために一定の長さのアーム部が必要になる結果、集積回路検査装置のコンパクト化に限界があるという問題があった。
【0006】
さらに、上述の特許文献1に開示されたプローブカードは、一般的に積層回路担持基板と、外部のテスターとの間に中継基板を設けなければならないので、これら積層回路担持基板と中継基板との間、中継基板とテスターとの間にも配線が必要となる結果、集積回路検査装置がさらに大きく、高価で、かつ取り扱いの困難なものになるという問題があった。
【0007】
本発明は上記不具合に鑑みてなされたものであり、安価で、コンパクトかつ取り扱いが容易な集積回路検査装置とその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る集積回路検査装置は、基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置であって、上記基板の集積回路の複数の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続される複数のプローブと、これら複数のプローブに電気的に接続されるとともにこれら複数のプローブを集積回路の複数の入出力端子に接触可能な状態で担持する積層回路部と、この積層回路部を担持する積層回路担持基板と、を備え、上記複数のプローブは、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路部に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする集積回路検査装置である。
【0009】
本発明によれば、各プローブが、積層回路部の上に一度に多数成長させることができるカーボンナノチューブ群で構成されているので、金属針を多数取り付ける手間が不要であり、集積回路検査装置を極めて安価なものにすることができる。また、これらカーボンナノチューブ群で構成されるプローブは、ひとつひとつを微細かつ高密度にすることができるだけでなく、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、適当な接触圧力を確保するためのアーム部が不要になる。その結果、集積回路検査装置を極めてコンパクトなものにすることができる。
【0010】
また、本発明によれば、プローブに電気的に接続される回路が、積層回路担持基板に担持される積層回路部として設けられるので、中継基板が不要となり、さらに集積回路検査装置を小さく、安価で、かつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0011】
ここで、上記積層回路担持基板は、外部に設けられた検査装置本体の入出力端子から積層回路部に電気的に接続可能な入出力端子と導通部とを備えていることが好ましい。
【0012】
このようにすれば、積層回路部と外部に設けられた検査装置本体とを積層回路担持基板に設けられた入出力端子と導通部とを介して電気的に接続することができるので、外部からこの集積回路検査装置を制御することができるようになる。また、検査結果を別置きの記憶装置に記憶させたり、表示装置で表示させたりすることができるようになる。
【0013】
また、上記積層回路担持基板の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路担持基板の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えているように構成してもよい。
【0014】
このようにすれば、積層回路担持基板の入出力端子が、柱状のカーボンナノチューブ群を備えているので、検査装置本体の入出力端子と、積層回路担持基板の入出力端子とを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブの数とほぼ同じ数だけの入出力端子を、特に自由な配列で積層回路担持基板に設けることができる。その結果、積層回路担持基板の入出力端子の配列が検査装置本体の入出力端子の配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板を製作することにより、同じ検査装置本体であっても積層回路担持基板を交換するだけで、種々の基板の集積回路に対応することができるようになる。
【0015】
また、積層回路担持基板の入出力端子に設けられたこれらカーボンナノチューブ群は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、検査装置本体の入出力端子に押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら検査装置本体と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路と積層回路担持基板の積層回路部と検査装置本体の入出力端子とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0016】
あるいは、上記検査装置本体の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で検査装置本体の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えているように構成してもよい。
【0017】
このようにすれば、検査装置本体の入出力端子が、柱状のカーボンナノチューブ群を備えているので、検査装置本体の入出力端子と、積層回路担持基板の入出力端子とを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブの数とほぼ同じ数だけの入出力端子を、特に自由な配列で積層回路担持基板に設けることができる。その結果、積層回路担持基板の入出力端子の配列が検査装置本体の入出力端子の配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板を製作することにより、同じ検査装置本体であっても積層回路担持基板を交換するだけで、種々の基板の集積回路に対応することができるようになる。
【0018】
また、検査装置本体の入出力端子に設けられたこれらカーボンナノチューブ群は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、積層回路担持基板の入出力端子に押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら積層回路部と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路と積層回路担持基板の積層回路部と検査装置本体の入出力端子とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0019】
また、上記検査装置本体は、ウェハー状の検査基板上の集積回路として形成され、上記積層回路担持基板の入出力端子は、この検査基板上の集積回路の入出力端子に連結可能に構成されているものであってもよい。
【0020】
このようにすれば、検査装置本体が、ウェハー状の検査基板上の集積回路として形成され、積層回路担持基板の入出力端子が、この検査基板上の集積回路の入出力端子に連結可能に構成されているので、基板の集積回路と積層回路担持基板の積層回路部と検査基板の集積回路である検査装置本体とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる。その結果、取り扱いが極めて容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0021】
また、この集積回路検査装置は、積層回路部の外部に設けられた検査装置本体と協同して基板の集積回路を電気的に検査可能な検査回路を備えていることが好ましい。
【0022】
このようにすれば、検査回路が、検査装置本体と協同して検査を行うことができるので、積層回路担持基板の積層回路部と外部に設けられた検査装置本体との間の配線数を少なくして、より集積回路検査装置を小さく、安価で、かつ取り扱いの容易なものにすることができる。
【0023】
また、上記基板は、シリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板であり、上記複数のプローブは、このシリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板に形成された集積回路の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続されるものであることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、シリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板に形成された集積回路の集積回路検査装置を極めて安価で、コンパクトかつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0025】
また、上記複数のプローブは、基板に形成された集積回路の入出力端子の表面がプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態で、集積回路の入出力端子に接触してこの入出力端子と電気的に接続されるものであることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、酸化被膜が取り除かれた状態の入出力端子の表面にプローブが接触するので、入出力端子とプローブとの間に確実で安定した電気的接続が得られる。
【0027】
また、上記課題を解決するための本発明に係る集積回路検査装置の製造方法は、基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置の製造方法であって、上記動作確認を行う積層回路部を積層回路担持基板の上に形成する積層回路部形成工程と、上記積層回路部形成工程により、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、複数のプローブを、上記集積回路の複数の入出力端子に電気的に接続可能な状態で形成するプローブ形成工程とを含み、上記プローブ形成工程は、上記プローブを構成するカーボンナノチューブ群がそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部を転写用基板上に形成するベース形成工程と、この複数の転写用ベース部の上にそれぞれカーボンナノチューブ群を成長させるカーボン成長工程と、上記カーボン成長工程により転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、転写する転写工程と、を含んでいることを特徴としている。
【0028】
本発明によれば、転写工程により、転写用基板の転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に転写するので、積層回路部をカーボンナノチューブの成長のために高温にさらさないようにすることができる。
【0029】
ここで、上記カーボン成長工程は、化学気相成長法により上記転写用基板の転写用ベース部の上にカーボンナノチューブ群を生成させるものであることが好ましい。
【0030】
このようにすれば、成膜制御が容易な化学気相成長法により転写用ベース部の上にカーボンナノチューブ群を生成させるので、寸法や密度など、さまざまな仕様の中から所望のカーボンナノチューブ群を得ることができる。
【0031】
また、上記転写工程は、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に導電ペーストが形成される導電ペースト形成工程と、この導電ペースト形成工程により積層回路部に形成された導電ペーストに、上記カーボンナノチューブ群の先端を固着させるチューブ群固着工程と、このチューブ群固着工程により先端が導電ペーストに固着されたカーボンナノチューブ群を転写用基板の転写用ベース部から分離する分離工程とを含んでいることが好ましい。
【0032】
このようにすれば、チューブ群固着工程により積層回路部に形成された導電ペーストに、カーボンナノチューブ群の先端を固着させ、分離工程により先端が導電ペーストに固着されたカーボンナノチューブ群を転写用基板の転写用ベース部から分離するので、より確実かつ効果的に、転写用基板の転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に転写することができるようになる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、各プローブが、積層回路部の上に一度に多数成長させることができるカーボンナノチューブ群で構成されているので、金属針を多数取り付ける手間が不要であり、集積回路検査装置を極めて安価なものにすることができるという顕著な効果を奏する。
【0034】
また、これらカーボンナノチューブ群で構成されるプローブは、ひとつひとつを微細かつ高密度にすることができるだけでなく、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、適当な接触圧力を確保するためのアーム部が不要になる。その結果、集積回路検査装置を極めてコンパクトなものにすることができるという顕著な効果を奏する。
【0035】
また、本発明によれば、プローブに電気的に接続される回路が、積層回路担持基板に担持される積層回路部として設けられるので、さらに集積回路検査装置を小さく、安価で、かつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0036】
また、本発明によれば、積層回路担持基板を何度でも繰り返し使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の概略の構成を示す斜視図であり、図2は、集積回路検査装置1の積層回路担持基板4の構成を示す断面図である。
【0038】
図1と図2とを参照して、図示の本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1は、基板2に形成された個々の集積回路3を検査する際に、それぞれの集積回路3と検査装置本体8との間でそれぞれに電気的に接続されるものであり、基板2の集積回路3の複数の入出力端子3aと電気的に接続される複数のプローブ7(図2)と、これら複数のプローブ7を担持する積層回路部5と、この積層回路部5を担持する積層回路担持基板4と、積層回路担持基板4の上面に設けられた検査回路6(図1)とを備えている。
【0039】
本実施形態では、基板2に形成された集積回路3の入出力端子3aの表面は、あらかじめプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態になっている。プラズマクリーニングとしては、プラズマによるエッチングの他、反応ガスプラズマを用いて酸化被膜を還元するなどの方法が採用される。そして、プローブ7は、このようなプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態の入出力端子3aに接触してこの入出力端子3aと電気的に接続されるようになっている。
【0040】
上記基板2は、本実施形態では、特に、表面に形成された集積回路3が分離される前の直径300mmの円盤状のシリコンウェハー基板を対象としている。すなわち、集積回路検査装置1は、このような分離される前のシリコンウェハーの基板2の多数の集積回路3を一度に検査するものとして構成される。
【0041】
上記集積回路3は、本実施形態では、例えばメモリーIC(512MDRAM)として用いられる超小型集積回路が対象となっており、個々の集積回路3は、それぞれ2列の多数の入出力端子3aを有している。これらの多数の入出力端子3aは、アルミニウム、銅、金などからなる一辺約80ミクロンの矩形の微細な端子構造であり、入出力端子3a同士の中心間隔も、それぞれ百数十ミクロンという微小なものになっている。これらの微細な入出力端子3aに対しては、従来のプローブカードの場合では、プローブ針として金属針を手作業で高密度に配列しなければならなかったものである。
【0042】
上記積層回路担持基板4は、下面に設けられた積層回路部5を担持する基板となるものである。この積層回路担持基板4は、基板2とほぼ同じサイズの薄い平板状の電気的絶縁性を有する材料で構成され、本実施形態では、基板2と同様の平板状のシリコンウェハーが採用されている。
【0043】
この積層回路担持基板4は、表面から裏面にかけて積層回路担持基板4を貫通した状態で、積層回路担持基板4の面に対して概ね垂直に伸びている導通部4a(図2)を有している。この導通部4aは、外部に設けられた検査装置本体8(図1)と下面に設けられた積層回路部5とを電気的に接続するためのものであり、円柱形状もしくは、後述するように円錐状(図15)の微細な棒状の埋め込み金属で構成されている。この棒状の埋め込み金属は、例えば本実施形態のメモリーIC(寸法7mm×8mm)の場合、一辺が約500ミクロンの矩形のパッドからなる入出力端子4bと一端側が接続され、他端側が積層回路部5に電気的に接続されている。そして、これら導通部4a同士の中心間隔は、約900ミクロンとなっている。
【0044】
なお、積層回路担持基板4において導通部4aが埋め込まれる箇所には、導通部4aが埋め込まれる前に、SiO2などの絶縁層4cが形成されている。
【0045】
上記積層回路部5は、積層回路担持基板4の下面に形成された集積回路である。この積層回路部5は、広く工業的に生産されている通常の大規模集積回路と同様に、フォトレジスト形成工程、露光工程などを経て積層回路担持基板4に微細な回路を積層することにより形成されている。
【0046】
そして、この積層回路部5は、導電性のベース部5aを介して複数のプローブ7にも電気的に接続されており、この積層回路部5のベース部5aは、プローブ7を基板2の集積回路3に設けられた複数の入出力端子3a(図1)に接触可能かつ電気的に接続可能な状態で担持している。
【0047】
なお、この積層回路部5には、高分子の樹脂などからなるスペーサー5bがプローブ7の間を埋めるように設けられておりプローブ7を保護している。
【0048】
また、この積層回路部5は、積層回路担持基板4の導通部4a、入出力端子4b、および多数本の導線8a(図1)を介して検査装置本体8と電気的に接続され、検査装置本体8から電力の供給を受けたり、検査装置本体8と検査データや制御に係る信号をやりとりすることが可能になっている。
【0049】
上記検査回路6(図1)は、検査装置本体8と協同して基板2の集積回路3を電気的に検査する論理演算集積回路である。この検査回路6は、積層回路担持基板4に積層された積層回路部5とは異なり、別に製造された集積回路を積層回路担持基板4の上面に取り付けることにより、集積回路検査装置1の回路の一部分を構成するようになっている。このように検査回路6を積層回路担持基板4に設けることにより、積層回路部5と検査装置本体8との間の配線の数が少ないものになっている。
【0050】
上記複数のプローブ7(図2)は、基板2の集積回路3の複数の入出力端子3aに接触して、この入出力端子3aと電気的に接続されるものであり、隣接するプローブ7同士の中心間隔は、複数の入出力端子3aの中心間隔に対応してそれぞれ百数十ミクロンとなっている。
【0051】
このプローブ7は、特に長手方向が積層回路担持基板4に対して概ね垂直かつ互いに平行になるような状態で積層回路部5に担持された柱状のカーボンナノチューブ群で構成されている。このカーボンナノチューブ群は、本実施形態では、後述するように、転写用基板9(図8)の上に化学気相成長法(熱CVD法やプラズマCVD法)により原料としてアセチレンガスなどを用いて数10ミクロンの所定の長さに形成されたカーボンナノチューブ群7a(図11)を積層回路部5のベース部5aに転写して形成したものである。このカーボンナノチューブ群7aは、その特性として長手方向に弾力的に撓むことができるものになっており、基板2の入出力端子3aと弾力的に接触することができるようになっている。
【0052】
なお、積層回路部5のベース部5aは、カーボンナノチューブ群7aを転写可能なベースとして積層回路部5の最下面に形成されたものであり、導電性金属の薄い層で成層されている。
【0053】
ここで、図3〜図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の作用について説明する。図3は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが離れている状態を示す断面図であり、図4は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続された状態を示している。また、図5は、基板2の入出力端子3aとプローブ7との接触を示す拡大図であり、(a)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが離れている状態を、(b)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【0054】
図3〜図5に示すように、本発明の実施の形態に係る集積回路検査装置1においては、複数のプローブ7が、シリコンウェハーの基板2に形成された集積回路3の入出力端子3aに接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続されるが、この時、カーボンナノチューブ群7aからなるプローブ7が、弾力的に撓むことにより両端部が容易に積層回路担持基板4の厚み方向に変位して入出力端子3aのそれぞれの高低差を吸収する(図5)。
【0055】
そして、導通部4a、入出力端子4bを介して電気的に接続された外部の検査装置本体8(図1)と、積層回路担持基板4の上の検査回路6(図1)とが協同して基板2の集積回路3を電気的に検査する。
【0056】
なお、図5は、入出力端子3aに示すように、入出力端子3aの高さが低い場合であり、スペーサー5bの高さは、この入出力端子3aとプローブ7の高さに応じた適当な高さに設定されている。また、入出力端子3aとして金や銅を比較的高く設けた場合は、図6に示すように、スペーサー5bの高さを比較的高くするように、変更することにより対応可能である。図6は、入出力端子3aの高さが、比較的高い場合の入出力端子3aとプローブ7との接触を示す拡大図であり、(a)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが離れている状態を、(b)は、基板2の入出力端子3aとプローブ7とが接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【0057】
また、積層回路担持基板4は、検査装置本体8のメーカーの標準の入出力装置の仕様に合わせて製作されたものであり、一方、積層回路部5とプローブ7とは、この標準の仕様に合わせた積層回路担持基板4と種々の集積回路3とを電気的に接続するために種々のものが用意される。それ故、本実施形態によれば、検査装置本体8のメーカーは、標準の仕様の入出力装置を準備するだけでよく、多様な集積回路3ごとに入出力装置の仕様を変更する必要がない。その結果、検査装置本体8を汎用性のあるものにすることができるようになっている。
【0058】
以上説明したように、第1の実施形態に係る集積回路検査装置1によれば、各プローブ7が、一度に多数成長させることができるカーボンナノチューブ群7aで構成されているので、金属針を多数取り付ける手間が不要であり、集積回路検査装置1を極めて安価なものにすることができる。
【0059】
また、これらカーボンナノチューブ群7aで構成されるプローブ7は、ひとつひとつを微細かつ高密度にすることができるだけでなく、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、適当な接触圧力を確保するためのアーム部が不要になる。その結果、集積回路検査装置1を極めてコンパクトなものにすることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、プローブ7に電気的に接続される回路が、積層回路担持基板4に担持される積層回路部5として設けられるので、中継基板が不要となり、さらに集積回路検査装置1を小さく、安価で、かつ取り扱いが容易なものにすることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、積層回路部5と外部に設けられた検査装置本体8とを導通部4aと入出力端子4bとを介して電気的に接続することができるので、外部からこの集積回路検査装置1を制御することができるようになる。また、検査結果を別置きの記憶装置に記憶させたり、表示装置で表示させたりすることができるようになる。
【0062】
さらに、検査回路6が、検査装置本体8と協同して検査を行うことができるので、積層回路担持基板4の積層回路部5と外部に設けられた検査装置本体8との間の配線数を少なくして、より集積回路検査装置1を小さく、安価で、かつ取り扱いの容易なものにすることができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、酸化被膜が取り除かれた状態の入出力端子3aの表面にプローブ7が接触するので、入出力端子3aとプローブ7との間に確実で安定した電気的接続が得られる。
【0064】
ここで、図7〜図14を参照して、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の製造方法について説明する。図7は、積層回路部形成工程の概略を示す説明図である。また、図8は、プローブ形成工程に用いられる転写用基板9の概略を示す平面図であり、カーボンナノチューブ群7aがそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部10が形成された状態を示している。図9は、転写用基板9の部分9aの部分拡大図である。また、図10は、プローブ形成工程のベース形成工程の概略を示す説明図であり、(a)は、カーボンナノチューブ群7aが成長するための触媒が転写用基板9の上に薄膜状に形成された状態を、(b)は、触媒が熱処理されて薄膜状から粒状に分散した状態をそれぞれ示している。また、図11は、プローブ形成工程のカーボン成長工程の概略を示す説明図である。
【0065】
また、図12は、転写工程の導電ペースト形成工程の概略を示す説明図であり、図13は、転写工程のチューブ群固着工程の概略を示す説明図である。そして図14は、転写工程の分離工程の概略を示す説明図である。
【0066】
これらの図に示すように、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の製造方法は、積層回路部形成工程(図7)と、プローブ形成工程(図10〜図14)とを含んでいる。
【0067】
上記積層回路部形成工程は、図7に示すように、動作確認を行う積層回路部5を積層回路担持基板4の上に形成する工程であり、この積層回路部形成工程により、通常の大規模集積回路と同様に、フォトレジスト形成工程、露光工程などを経て積層回路担持基板4に微細な集積回路を積層して集積回路検査装置の積層回路部5を形成する。
【0068】
上記プローブ形成工程は、積層回路部形成工程(図7)により、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に、複数のプローブ7を、集積回路3の入出力端子3aに電気的に接続可能な状態に形成する工程である。このプローブ形成工程は、ベース形成工程(図10)と、カーボン成長工程(図11)と、転写工程(図12〜図14)とを含んでいる。
【0069】
上記ベース形成工程(図10)は、プローブ7を構成するカーボンナノチューブ群7aがそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部10をシリコンウェハー基板からなる転写用基板9の上に形成する工程である。
【0070】
このベース形成工程において、本実施形態では、ベース成分として分散した粒状の鉄触媒が用いられる。すなわち、まず、図10(a)に示すように、鉄触媒が、転写用基板9の上に3〜4ナノメータの厚みに薄膜状に形成される。次に、この状態で薄膜状の触媒と転写用基板9とが約700度に加熱されて、図10(b)に示すような粒状に分散した状態の鉄触媒からなる転写用ベース部10が得られる。(この粒状の鉄触媒からなる転写用ベース部10は、次のカーボン成長工程においてプローブ7のカーボンナノチューブ群7aが成長するための触媒として作用する)。
【0071】
上記カーボン成長工程(図11)は、転写用基板9の複数の転写用ベース部10の上にそれぞれカーボンナノチューブ群7aを成長させる工程であり、このカーボン成長工程は、本実施形態では、特に化学気相成長法によりカーボンナノチューブ群7aを生成させるようになっている。
【0072】
すなわち、転写用ベース部10の上にそれぞれカーボンナノチューブ群7aを化学気相成長法(熱CVD法)により所定の長さとして数10ミクロンの長さに生成させる。この時、カーボンナノチューブ群7aの原料としては、アセチレンガスが用いられ、転写用ベース部10、転写用基板9などは約700℃に保たれる。
【0073】
上記転写工程は、カーボン成長工程により転写用ベース部10の上に成長させたカーボンナノチューブ群7aを、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に、転写する工程であり、この転写工程は、導電ペースト形成工程(図12)と、チューブ群固着工程(図13)と、分離工程(図14)とを含んでいる。
【0074】
導電ペースト形成工程(図12)は、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5のベース部5aにハンダなどの低温で溶融可能な金属からなる導電ペースト11を形成するものである。この時、導電ペースト11の大きさと位置とは、カーボンナノチューブ群7aが導電ペースト11を介して積層回路部5に転写された場合にカーボンナノチューブ群7aが集積回路の入出力端子に電気的に接続可能な大きさと位置とになるように形成される。
【0075】
チューブ群固着工程(図13)は、この導電ペースト形成工程により積層回路部5に形成された導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を固着させる工程であり、加熱して溶融させた導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を押し付けて浸漬させた後、導電ペースト11を冷却して凝固させ、導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を固着させる。
【0076】
分離工程(図14)は、このチューブ群固着工程により先端が導電ペースト11に固着されたカーボンナノチューブ群7aを転写用基板9の転写用ベース部10から分離する工程である。カーボンナノチューブ群7aの先端は、導電ペースト11に強力に固着されている一方、カーボンナノチューブ群7aの基端は、比較的容易に分離することができるので、積層回路部5と転写用基板9との間隔を広げることにより、カーボンナノチューブ群7aの基端が、転写用基板9から分離して、カーボンナノチューブ群7aの全体が積層回路部5に転写される。
【0077】
このように、本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置1の製造方法によれば、転写工程により、転写用基板9の転写用ベース部10の上に成長したカーボンナノチューブ群7aを、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に転写するので、積層回路部5をカーボンナノチューブ群7aの成長のために高温にさらさないようにすることができる。
【0078】
また、成膜制御が容易な化学気相成長法により転写用ベース部10の上にカーボンナノチューブ群7aを生成させるので、寸法や密度など、さまざまな仕様の中から所望のカーボンナノチューブ群7aを得ることができる。
【0079】
さらに、チューブ群固着工程により積層回路部5に形成された導電ペースト11に、カーボンナノチューブ群7aの先端を固着させ、分離工程により先端が導電ペースト11に固着されたカーボンナノチューブ群7aを転写用基板9の転写用ベース部10から分離するので、より確実かつ効果的に、転写用基板9の転写用ベース部10の上に成長したカーボンナノチューブ群7aを、積層回路担持基板4の上に形成された積層回路部5に転写することができるようになる。
【0080】
次に、図16〜図19を参照して、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21について詳述する。図16は、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21の概略の構成を示す斜視図であり、図17は、集積回路検査装置21の積層回路担持基板24の構成を示す断面図である。なお、第1の実施形態に係る集積回路検査装置1と同様の構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるものとする。
【0081】
図16と図17とを参照して、図示の本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21は、集積回路3の温度条件を高温に維持したり、加湿したり、電気パルスを与えたりするなど、さまざまな条件で検査するバーンインテストのための検査装置である。この第2の実施形態に係る集積回路検査装置21においては、積層回路担持基板24の入出力端子24bも、プローブ7と同様の柱状のカーボンナノチューブ群27を備えており、このカーボンナノチューブ群27は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路担持基板24の入出力端子24bに担持されている。
【0082】
また、検査装置本体28は、本実施形態では、ウェハー状の検査基板28a上の集積回路28bとして形成され、積層回路担持基板24の入出力端子24bは、カーボンナノチューブ群27を介して、この検査基板28a上の集積回路28bの入出力端子28cに接続可能に構成されている。
【0083】
そして、この検査基板28a上の集積回路28bは、この集積回路28bに電気的に接続される入出力部26とリード線群26aとを有しており、これら入出力部26とリード線群26aとを介して外部に設けられた図略の情報処理装置と電気的に接続されている。
【0084】
ここで、この積層回路担持基板24は、表面から裏面にかけて積層回路担持基板24を貫通した状態で、積層回路担持基板24の面に対して概ね垂直に伸びている導通部24aを有している。この導通部24aは、外部に設けられた検査装置本体28と下面に設けられた積層回路部25とを電気的に接続するためのものであり、積層回路担持基板24において導通部24aが埋め込まれる箇所には、導通部24aが埋め込まれる前に、SiO2などの絶縁層24cが形成されている。
【0085】
また、カーボンナノチューブ群27は、入出力端子24bの上にプローブ7と同様の方法で形成されている。
【0086】
上記検査基板28aは、検査装置本体28である集積回路28bを下面に担持する基板となるものである。この検査基板28aは、基板2とほぼ同じサイズの薄い平板状の電気的絶縁性を有する材料で構成され、本実施形態では、基板2と同様の平板状のシリコンウェハーが採用されている。
【0087】
ここで、図18〜図19を参照して、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21の作用について説明する。図18は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板24のカーボンナノチューブ群27と検査基板28aの入出力端子28cとが離れている状態を示す断面図であり、図19は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板24のカーボンナノチューブ群27と検査基板28aの入出力端子28cとが接触して、基板2の集積回路3と、積層回路担持基板24の積層回路部5と、検査基板28aの集積回路28bである検査装置本体28とが電気的に接続された状態を示している。
【0088】
図18〜図19に示すように、本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置21においては、複数のプローブ7が、シリコンウェハーの基板2に形成された集積回路3の入出力端子3aに接触して、基板2の集積回路3と積層回路部5とが電気的に接続されるが、この時、カーボンナノチューブ群7aからなるプローブ7が、弾力的に撓むことにより両端部が容易に積層回路担持基板24の厚み方向に変位して入出力端子3aのそれぞれの高低差を吸収する(図19)。
【0089】
また、積層回路担持基板24の入出力端子24bと検査基板28aの入出力端子28cとが接触して、基板2の集積回路3と、積層回路担持基板24の積層回路部25と、検査基板28aの集積回路28bである検査装置本体28とが電気的に接続されるが、この時、カーボンナノチューブ群27が、弾力的に撓むことにより両端部が容易に積層回路担持基板24の厚み方向に変位して入出力端子24bのそれぞれの高低差を吸収する(図19)。
【0090】
この時、スペーサー25bの高さが、検査基板28aの入出力端子28cとカーボンナノチューブ群27の高さに応じた適当な高さに設定されるのは、プローブ7の場合と同様である。
【0091】
そして、積層回路部25を介して基板2の集積回路3に対して電気的に接続された検査装置本体28が、基板2の集積回路3を電気的に検査するが、この時、基板2と、積層回路担持基板24と、検査基板28aとが重ね合わされ、図略の連結手段で固定された状態で、バーンインテストが行われ、集積回路3の温度条件を高温に維持したり、加湿したり、電気パルスを与えたりするなど、さまざまな条件で検査される。
【0092】
このように第2の実施形態に係る集積回路検査装置21によれば、積層回路担持基板24の入出力端子24bが、柱状のカーボンナノチューブ群27を備えているので、検査装置本体28の入出力端子28cと、積層回路担持基板24の入出力端子24bとを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブ7の数とほぼ同じ数だけの入出力端子24bを、特に自由な配列で積層回路担持基板24に設けることができる。その結果、積層回路担持基板24の入出力端子24bの配列が検査装置本体28の入出力端子28cの配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板24を製作することにより、同じ検査装置本体28であっても積層回路担持基板24を交換するだけで、種々の基板の集積回路3に対応することができるようになる。
【0093】
また、積層回路担持基板24の入出力端子24bに設けられたこれらカーボンナノチューブ群27は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、検査装置本体28の入出力端子28cに押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら検査装置本体28と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路3と積層回路担持基板24の積層回路部25と検査装置本体28の入出力端子28cとを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置21を実現することができる。
【0094】
さらに、検査装置本体28が、ウェハー状の検査基板28a上の集積回路28bとして形成され、積層回路担持基板24の入出力端子24bが、この検査基板28a上の集積回路28bの入出力端子24bに連結可能に構成されているので、基板の集積回路3と積層回路担持基板24の積層回路部25と検査基板28aの集積回路28bである検査装置本体28とを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる。その結果、取り扱いが極めて容易な集積回路検査装置を実現することができる。
【0095】
次に、図20〜図23を参照して、本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31について詳述する。図20は、本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31の概略の構成を示す斜視図であり、図21は、集積回路検査装置31の積層回路担持基板24の構成を示す断面図である。なお、第1、第2の実施形態に係る集積回路検査装置1、21と同様の構成については同じ符号を付し、説明の重複を避けるものとする。
【0096】
図20と図21とを参照して、図示の本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31も、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、バーンインテストのための検査装置である。この第3の実施形態に係る集積回路検査装置31においては、検査装置本体38の入出力端子38c(図21)側に、プローブ7と同様の柱状のカーボンナノチューブ群37を備えており、このカーボンナノチューブ群37は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で検査基板38aに担持された入出力端子38cに形成されている。
【0097】
ここで、カーボンナノチューブ群37は、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、入出力端子34bの上にプローブ7と同様の方法で形成されている。
【0098】
また、検査装置本体38は、本実施形態でも、ウェハー状の検査基板38a上の集積回路38bとして形成され、積層回路担持基板34の入出力端子34bは、カーボンナノチューブ群37を介して、検査基板38a上の集積回路38bの入出力端子38cに接続可能に構成されている。
【0099】
この時、スペーサー35bの高さが、積層回路担持基板34の入出力端子34bとカーボンナノチューブ群37の高さに応じた適当な高さに設定されるのは、プローブ7、27の場合と同様である。
【0100】
そして、上記検査基板38aは、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、検査装置本体38である集積回路38bを下面に担持する基板となるものであり、平板状のシリコンウェハーが採用されている。
【0101】
また、検査基板38a上の集積回路38bは、この集積回路38bに電気的に接続される入出力部36とリード線群36aとを有しており、これら入出力部36とリード線群36aとを介して外部に設けられた図略の情報処理装置と電気的に接続されている。
【0102】
ここで、図22〜図23を参照して、本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置31の作用について説明する。図22は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板34の入出力端子34bと検査基板38aのカーボンナノチューブ群37とが離れている状態を示す断面図であり、図23は、基板2の入出力端子3aとプローブ7と、および積層回路担持基板34の入出力端子34bと検査基板38aのカーボンナノチューブ群37とが接触して、基板2の集積回路3と、積層回路担持基板34の積層回路部5と、検査基板38aの集積回路38bである検査装置本体38とが電気的に接続された状態を示している。
【0103】
そして、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、基板2と、積層回路担持基板34と、検査基板38aとが重ね合わされ、図略の連結手段で固定された状態で、バーンインテストが行われる。
【0104】
このように第3の実施形態に係る集積回路検査装置31によれば、検査装置本体38の入出力端子38cが、柱状のカーボンナノチューブ群37を備えているので、第2の実施形態に係る集積回路検査装置21と同様に、検査装置本体38の入出力端子38cと、積層回路担持基板34の入出力端子34bとを微細かつ高密度にすることができる。そして、プローブ7の数とほぼ同じ数だけの入出力端子34bを、特に自由な配列で積層回路担持基板34に設けることができる。その結果、積層回路担持基板34の入出力端子34bの配列が検査装置本体38の入出力端子38cの配列に適合するように複数種類の積層回路担持基板34を製作することにより、同じ検査装置本体38であっても積層回路担持基板34を交換するだけで、種々の基板の集積回路3に対応することができるようになる。
【0105】
また、検査装置本体38の入出力端子38cに設けられたこれらカーボンナノチューブ群37は、容易に長手方向に撓んで、先端が弾力的に変位することができるので、積層回路担持基板34の入出力端子34bに押し付けるだけで適当な接触圧力を確保しながら積層回路部25と電気的に接続することができるようになる。その結果、基板の集積回路3と積層回路担持基板34の積層回路部25と検査装置本体38の入出力端子38cとを重ねるだけで相互に電気的に接続することができる取り扱いが容易な集積回路検査装置31を実現することができる。
【0106】
上述した実施の形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は上述した実施の形態に限定されない。
【0107】
例えば、集積回路検査装置1は、集積回路3と検査装置本体8との間で配線されるものに限定されない。検査装置本体8とは別に独立して集積回路3を検査し、積層回路部5に検査データを蓄積するものでも良いし、あるいは無線を介して積層回路部5と検査装置本体8との間で通信されるものでも良いなど、種々の設計変更が可能である。
【0108】
また、基板2は、本実施形態では、直径300mmの円盤状のシリコンウェハー基板を対象としているが、その他のサイズにも適用可能である。また、シリコンカーバイドウェハー基板など、シリコン系のウェハー基板、もしくはガリウム・リンやガリウム・砒素などの化合物半導体系のウェハー基板など、その他の材質の基板にも適用可能である。
【0109】
また、集積回路3も、メモリーIC(512MDRAM)として用いられる超小型集積回路を対象としているが、携帯電話の画像制御用の超小型集積回路など、その他の電子部品に用いられる集積回路に設計変更することも可能である。
【0110】
また、検査回路6も必ずしも必須ではなく、例えば外部に設けた検査装置本体8ですべての検査を行う場合は、省略可能である。
【0111】
そして、プローブ7同士の中心間隔は、百数十ミクロンに限定されず、集積回路3の入出力端子の間隔に応じて種々の設計変更が可能である。
【0112】
さらに、入出力端子3aとプローブ7との配列も必ずしも図示のように直線的に配列されたものに限らず、千鳥状に配列されたものでもよいなど、種々の設計変更が可能である。
【0113】
また、プローブ7のカーボンナノチューブ群は、柱状のものに限定されない。螺旋を描くように形成されたものや、波型にウェーブしたものなど、種々の設計変更が可能である。また、カーボンナノチューブ群7aの原料も必ずしもアセチレンガスに限定されない。積層回路部5のベース部5aにカーボンナノチューブ群7aを生成可能な材料であれば、その他の炭素化合物が採用可能である。これは、カーボンナノチューブ群27、37についても同様のことが言える。
【0114】
次に、本発明の実施の形態に係る集積回路検査装置1の製造方法のベース形成工程(図10)においても、転写用基板9は、シリコンウェハーでなくともよい。例えば化学的あるいは熱的に安定であるなど集積回路検査装置1の製造工程に適した材料であれば、種々の材料が採用可能である。
【0115】
また、ベース成分も、鉄に限定されない。カーボンナノチューブ群7aが成長するための触媒として作用するものであれば、転写用ベース部10は、アルミ、チタン、コバルトなど種々の材料が採用可能である。
【0116】
さらに、導電ペースト形成工程(図12)においても、導電ペースト11は、ハンダなどの低温で溶融可能な金属に限定されない。その他市場に広く流通している導電ペースト11が採用可能である。
【0117】
また、本発明の実施の形態に係る集積回路検査装置1、21、31は、必ずしも常圧の通常の検査だけに限定されない。例えば、さまざまな圧力条件における個々の集積回路3の電気的な動作確認を行うテストなど、その他の検査にも適用可能である。
【0118】
また、積層回路担持基板4、24、34および検査基板28a、38aは、シリコンウェハーに限らない。電気的絶縁性を有し、必要とされる検査に対応可能な材料であれば、例えばシリコンウェハーに熱膨張係数が近いガラスセラミック基板など、種々の設計変更が可能である。また必ずしも薄い平板状の部材に限らず、立体的な形状を有した部材であってもよい。
【0119】
また、積層回路担持基板4、24、34の導通部4a、24aは、必ずしも円柱形状に限らない。図15は、例えば積層回路担持基板4の導通部4aの変形例を示す断面図である。図15に示すように、導通部4aは、勾配を有する円錐状の微細な棒状の埋め込み金属で構成されることが可能であり、導通部24a、34aについても同様のことが言える。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る集積回路検査装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る集積回路検査装置の積層回路担持基板の構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブとが離れている状態を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブとが接触して、基板の集積回路と積層回路部とが電気的に接続された状態を示している。
【図5】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブとの接触を示す拡大図であり、(a)は、基板の入出力端子とプローブとが離れている状態を、(b)は、基板の入出力端子とプローブとが接触して、基板の集積回路と積層回路部とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【図6】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、入出力端子の高さが、比較的高い場合の入出力端子とプローブとの接触を示す拡大図であり、(a)は、基板の入出力端子とプローブとが離れている状態を、(b)は、基板2の入出力端子とプローブとが接触して、基板の集積回路と積層回路部とが電気的に接続された状態をそれぞれ示している。
【図7】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、積層回路部形成工程の概略を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、プローブ形成工程に用いられる転写用基板の概略を示す平面図であり、カーボンナノチューブ群がそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部が形成された状態を示している。
【図9】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写用基板の部分の部分拡大図である。
【図10】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、プローブ形成工程のベース形成工程の概略を示す説明図であり、(a)は、カーボンナノチューブ群が成長するための触媒が転写用基板の上に薄膜状に形成された状態を、(b)は、触媒が熱処理されて薄膜状から粒状に分散した状態をそれぞれ示している。
【図11】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、プローブ形成工程のカーボン成長工程の概略を示す説明図である。
【図12】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写工程の導電ペースト形成工程の概略を示す説明図である。
【図13】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写工程のチューブ群固着工程の概略を示す説明図である。
【図14】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、転写工程の分離工程の概略を示す説明図である。
【図15】第1の実施形態に係る集積回路検査装置において、積層回路担持基板の導通部の変形例を示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る集積回路検査装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図17】第2の実施形態に係る集積回路検査装置の積層回路担持基板の構成を示す断面図である。
【図18】第2の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板のカーボンナノチューブ群と検査基板の入出力端子とが離れている状態を示す断面図である。
【図19】第2の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板のカーボンナノチューブ群37と検査基板の入出力端子とが接触して、基板の集積回路と、積層回路担持基板の積層回路部と、検査基板の集積回路である検査装置本体とが電気的に接続された状態を示している。
【図20】本発明の第3の実施形態に係る集積回路検査装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図21】第3の実施形態に係る集積回路検査装置の積層回路担持基板の構成を示す断面図である。
【図22】第3の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板の入出力端子と検査基板のカーボンナノチューブ群とが離れている状態を示す断面図である。
【図23】第3の実施形態に係る集積回路検査装置において、基板の入出力端子とプローブと、および積層回路担持基板の入出力端子と検査基板のカーボンナノチューブ群とが接触して、基板の集積回路と、積層回路担持基板の積層回路部と、検査基板の集積回路である検査装置本体とが電気的に接続された状態を示している。
【符号の説明】
【0121】
1、21、31 集積回路検査装置
2 基板
3 集積回路
3a 集積回路の入出力端子
4、24、34 積層回路担持基板
4a、24a 導通部
4b、24b、34b 積層回路担持基板の入出力端子
24c、34c 検査基板上の集積回路の入出力端子
5、25 積層回路部
6 検査回路
7 プローブ
7a、27、37 カーボンナノチューブ群
8、28、38 検査装置本体
28b、38b 検査基板
9 転写用基板
10 転写用ベース部
11 導電ペースト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置であって、
上記基板の集積回路の複数の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続される複数のプローブと、
これら複数のプローブに電気的に接続されるとともにこれら複数のプローブを集積回路の複数の入出力端子に接触可能な状態で担持する積層回路部と、
この積層回路部を担持する積層回路担持基板と、
を備え、
上記複数のプローブは、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路部に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする集積回路検査装置。
【請求項2】
上記積層回路担持基板は、外部に設けられた検査装置本体の入出力端子から積層回路部に電気的に接続可能な入出力端子と導通部とを備えていることを特徴と
する請求項1に記載の集積回路検査装置。
【請求項3】
上記積層回路担持基板の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路担持基板の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする請求項2に記載の集積回路検査装置。
【請求項4】
上記検査装置本体の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で検査装置本体の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の集積回路検査装置。
【請求項5】
上記検査装置本体は、ウェハー状の検査基板上の集積回路として形成され、上記積層回路担持基板の入出力端子は、この検査基板上の集積回路の入出力端子に連結可能に構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4に記載の集積回路検査装置。
【請求項6】
上記積層回路部の外部に設けられた検査装置本体と協同して基板の集積回路を電気的に検査可能な検査回路を備えていることを特徴とする請求項2ないし請求項5に記載の集積回路検査装置。
【請求項7】
上記基板は、シリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板であり、
上記複数のプローブは、このシリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板に形成された集積回路の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の集積回路検査装置。
【請求項8】
上記複数のプローブは、基板に形成された集積回路の入出力端子の表面がプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態で、集積回路の入出力端子に接触してこの入出力端子と電気的に接続されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の集積回路検査装置。
【請求項9】
基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置の製造方法であって、
上記動作確認を行う積層回路部を積層回路担持基板の上に形成する積層回路部形成工程と、
上記積層回路部形成工程により、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、複数のプローブを、上記集積回路の複数の入出力端子に電気的に接続可能な状態で形成するプローブ形成工程とを含み、
上記プローブ形成工程は、
上記プローブを構成するカーボンナノチューブ群がそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部を転写用基板上に形成するベース形成工程と、
この複数の転写用ベース部の上にそれぞれカーボンナノチューブ群を成長させるカーボン成長工程と、
上記カーボン成長工程により転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、転写する転写工程と、
を含んでいることを特徴とする集積回路検査装置の製造方法。
【請求項10】
上記カーボン成長工程は、化学気相成長法により上記転写用基板の転写用ベース部の上にカーボンナノチューブ群を生成させるものであることを特徴とする請求項9に記載の集積回路検査装置の製造方法。
【請求項11】
上記転写工程は、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に導電ペーストが形成される導電ペースト形成工程と、
この導電ペースト形成工程により積層回路部に形成された導電ペーストに、上記カーボンナノチューブ群の先端を固着させるチューブ群固着工程と、
このチューブ群固着工程により先端が導電ペーストに固着されたカーボンナノチューブ群を転写用基板の転写用ベース部から分離する分離工程と、
を含んでいることを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記載の集積回路検査装置の製造方法。
【請求項1】
基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置であって、
上記基板の集積回路の複数の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続される複数のプローブと、
これら複数のプローブに電気的に接続されるとともにこれら複数のプローブを集積回路の複数の入出力端子に接触可能な状態で担持する積層回路部と、
この積層回路部を担持する積層回路担持基板と、
を備え、
上記複数のプローブは、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路部に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする集積回路検査装置。
【請求項2】
上記積層回路担持基板は、外部に設けられた検査装置本体の入出力端子から積層回路部に電気的に接続可能な入出力端子と導通部とを備えていることを特徴と
する請求項1に記載の集積回路検査装置。
【請求項3】
上記積層回路担持基板の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で積層回路担持基板の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする請求項2に記載の集積回路検査装置。
【請求項4】
上記検査装置本体の入出力端子は、長手方向が互いに概ね平行になるような状態で検査装置本体の入出力端子に担持された柱状のカーボンナノチューブ群を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の集積回路検査装置。
【請求項5】
上記検査装置本体は、ウェハー状の検査基板上の集積回路として形成され、上記積層回路担持基板の入出力端子は、この検査基板上の集積回路の入出力端子に連結可能に構成されていることを特徴とする請求項2ないし請求項4に記載の集積回路検査装置。
【請求項6】
上記積層回路部の外部に設けられた検査装置本体と協同して基板の集積回路を電気的に検査可能な検査回路を備えていることを特徴とする請求項2ないし請求項5に記載の集積回路検査装置。
【請求項7】
上記基板は、シリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板であり、
上記複数のプローブは、このシリコン系もしくは化合物半導体系のウェハー基板に形成された集積回路の入出力端子に接触して、この入出力端子と電気的に接続されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の集積回路検査装置。
【請求項8】
上記複数のプローブは、基板に形成された集積回路の入出力端子の表面がプラズマクリーニングされて酸化被膜が取り除かれた状態で、集積回路の入出力端子に接触してこの入出力端子と電気的に接続されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の集積回路検査装置。
【請求項9】
基板に形成された集積回路と電気的に接続されてこの集積回路の電気的な動作確認を行う集積回路検査装置の製造方法であって、
上記動作確認を行う積層回路部を積層回路担持基板の上に形成する積層回路部形成工程と、
上記積層回路部形成工程により、積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、複数のプローブを、上記集積回路の複数の入出力端子に電気的に接続可能な状態で形成するプローブ形成工程とを含み、
上記プローブ形成工程は、
上記プローブを構成するカーボンナノチューブ群がそれぞれその上で成長することができる複数の転写用ベース部を転写用基板上に形成するベース形成工程と、
この複数の転写用ベース部の上にそれぞれカーボンナノチューブ群を成長させるカーボン成長工程と、
上記カーボン成長工程により転写用ベース部の上に成長したカーボンナノチューブ群を、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に、転写する転写工程と、
を含んでいることを特徴とする集積回路検査装置の製造方法。
【請求項10】
上記カーボン成長工程は、化学気相成長法により上記転写用基板の転写用ベース部の上にカーボンナノチューブ群を生成させるものであることを特徴とする請求項9に記載の集積回路検査装置の製造方法。
【請求項11】
上記転写工程は、上記積層回路担持基板の上に形成された積層回路部に導電ペーストが形成される導電ペースト形成工程と、
この導電ペースト形成工程により積層回路部に形成された導電ペーストに、上記カーボンナノチューブ群の先端を固着させるチューブ群固着工程と、
このチューブ群固着工程により先端が導電ペーストに固着されたカーボンナノチューブ群を転写用基板の転写用ベース部から分離する分離工程と、
を含んでいることを特徴とする請求項9または請求項10のいずれかに記載の集積回路検査装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−279014(P2007−279014A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206847(P2006−206847)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(301071413)株式会社 セルバック (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(301071413)株式会社 セルバック (9)
【Fターム(参考)】
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