雨水浸透ます
【課題】雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することのできる雨水浸透ますを提供する。
【解決手段】雨水浸透ます10は、内部に雨水を一時的に貯留する空間11aが形成されたます本体11と、ます本体11内において周囲よりも低くなった泥溜め部27とを備えている。ます本体11の天板16における泥溜め部27の真上の位置には、開口19が形成されている。開口19の下側には、バスケット24が配置されている。泥溜め部27には、バケット28が設けられている。
【解決手段】雨水浸透ます10は、内部に雨水を一時的に貯留する空間11aが形成されたます本体11と、ます本体11内において周囲よりも低くなった泥溜め部27とを備えている。ます本体11の天板16における泥溜め部27の真上の位置には、開口19が形成されている。開口19の下側には、バスケット24が配置されている。泥溜め部27には、バケット28が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水浸透ますに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、降雨時における河川に対する雨水の急激な流入を抑制することを目的として、雨水を一時的に貯留し、その貯留した雨水を地中にゆっくりと浸透させることによって排出する雨水浸透施設が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3に開示された雨水浸透施設は、例えばショッピングセンターの地下等に設置される比較的大型のものである。
【0003】
また、比較的小型の雨水浸透施設として、雨水を一時的に貯留する箱体を備えた雨水浸透ますも知られている(例えば、特許文献4〜6参照)。この雨水浸透ますは、例えば、宅地内における庭や車庫等の地下に埋設可能なものである。
【0004】
ところで、雨水浸透施設内に流入する雨水には、泥が含まれていることが多い。そのため、雨水浸透施設を長期間使用していると、泥による目詰まりが発生し、雨水を円滑に浸透させることが困難となる。
【0005】
そこで、特許文献1に開示された雨水浸透施設では、排水路に雨水流下方向に沿った傾斜面部を設け、雨水と共に流入した砂や汚泥を、傾斜面部に沿って点検用マンホール部に導くこととしている。この雨水浸透施設では、作業員が点検用マンホール部内に入り込み、堆積した砂または汚泥等を除去することができる(特許文献1の段落0104参照)。そのため、作業員が定期的に清掃作業を行うことにより、泥による目詰まりを防止することができる。
【特許文献1】特開2007−16582号公報
【特許文献2】特開2007−32152号公報
【特許文献3】特開2002−70091号公報
【特許文献4】特開2000−45372号公報
【特許文献5】特開2003−34970号公報
【特許文献6】特開2007−32025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、大型の雨水浸透施設では、作業員が中に入って清掃作業を行うための作業用スペースが確保されている。しかしながら、大型の雨水浸透施設と異なり、比較的小型の雨水浸透ますでは、作業員が中に入って清掃作業を行うことができない。そのため、長期間にわたって使用していると、泥による目詰まりが生じ、雨水の浸透能力が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することのできる雨水浸透ますを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る雨水浸透ますは、天板を有し、内部に雨水を一時的に貯留する空間が形成されたます本体と、前記ます本体内において、周囲よりも低くなった泥溜め部と、を備え、前記天板における前記泥溜め部の真上の位置に、開口が形成されているものである。
【0009】
上記雨水浸透ますによれば、周囲よりも低くなった泥溜め部がます本体内に設けられているので、ます本体内に流入した雨水に含まれる泥は、泥溜め部に集まる。また、上記雨水浸透ますによれば、ます本体における泥溜め部の真上の位置に開口が形成されている。そのため、作業員は、泥溜め部に溜まった泥を、上記開口を通じて一括して排出することができる。したがって、上記雨水浸透ますによれば、作業員がます本体内に入ることはできなくても、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0010】
前記雨水浸透ますは、前記開口を通じて前記泥溜め部に着脱自在な容器を備えていてもよい。
【0011】
上記雨水浸透ますによれば、ます本体内に流入した泥は、容器内に集まることになる。そのため、作業員は、ます本体の天板の開口を通じて容器を取り出すだけで、ます本体内の泥を一括して排出することができる。したがって、上記雨水浸透ますによれば、雨水と共に流入する泥をさらに容易に排出することができる。
【0012】
前記雨水浸透ますは、前記ます本体内に配置されまたは前記ます本体の底板の一部をなし、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板を備えていてもよい。
【0013】
上記雨水浸透ますによれば、雨水に含まれる泥は、傾斜板の傾斜に沿って泥溜め部に導かれる。したがって、泥は泥溜め部に効率的に集められる。
【0014】
前記ます本体は、底板を有し、前記雨水浸透ますは、前記ます本体内に配置され、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板をさらに備え、前記傾斜板と前記底板との間に、雨水を貯留可能な空間が形成されていてもよい。
【0015】
上記雨水浸透ますによれば、傾斜板の下側の空間も、雨水を貯留する空間として有効利用される。そのため、傾斜板を付加することによってます本体の雨水貯留容積が大きく減少することはない。
【0016】
前記雨水浸透ますは、上側開口および下側開口を有し、前記下側開口と前記天板の前記開口とが上下に揃うように前記天板に接続され、前記上側開口を覆う蓋を有する立管部材をさらに備え、前記立管部材の側方に、雨水を導入する配管が接続されるものであってもよい。
【0017】
上記雨水浸透ますによれば、雨水を導入する配管を立管部材の側方に接続することにより、ます本体に雨水を導入する管路を形成することができる。そのため、雨水を導入する管路を容易に形成することができる。
【0018】
前記雨水浸透ますは、前記ます本体における前記開口の下方に配置されたフィルタ部材を備えていてもよい。
【0019】
これにより、流入する雨水に枯葉やごみなどの固形物が含まれていたとしても、それらはフィルタ部材によって捕集される。したがって、固形物による目詰まりが防止される。
【0020】
また、前記ます本体は、雨水を導入する導入口が形成された、または形成される側板を備え、前記雨水浸透ますは、前記ます本体内に配置され、前記ます本体の内部空間を前記導入口側の導入空間と前記泥溜め部側の雨水浸透空間とに仕切るとともに、前記導入空間から前記雨水浸透空間に雨水を導く流通口が前記開口の真下の位置に形成された仕切板を備えていてもよい。
【0021】
上記雨水浸透ますによれば、導入口から導入された雨水は、いったん導入空間に流れ込んだ後、流通口を通じて雨水浸透空間に導かれる。雨水浸透ますは地中に埋設されるものであるため、その埋設の際には、雨水浸透ますの上下方向長さよりも深い穴を掘る必要がある。ところが、上記雨水浸透ますによれば、雨水を導入する雨水導入管は側壁に接続されるので、雨水導入管が上方に出っ張ることを防止することができる。そのため、雨水導入管を含めた雨水浸透ます全体の上下方向長さを比較的短く抑えることができる。したがって、設置の際に、深い穴を掘る必要がなくなる。
【0022】
前記雨水浸透ますは、前記仕切板における前記流通口の下方に配置されたフィルタ部材を備えていてもよい。
【0023】
上記雨水浸透ますによれば、雨水と共に導入空間に流れ込んだ固形物は、フィルタ部材によって捕集される。フィルタ部材は天板の開口の真下の位置に配置されているので、作業員は、フィルタ部材に捕集された固形物を、上記開口を通じて容易に排出することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することのできる雨水浸透ますを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<実施形態1>
−雨水浸透ます10の構成−
図1に示すように、実施形態1に係る雨水浸透ます10は、内部に雨水を一時的に貯留する空間11aが形成されたます本体11と、ます本体11の外面を覆う被覆部材12と、ます本体11の上部に接続される立管部材13とを備えている。この雨水浸透ます10は、例えば宅地内の庭や車庫等の狭小地に埋設することができる比較的小型のものである。
【0026】
ます本体11は、立方体形状または直方体形状に形成されている。ただし、ます本体11の形状は、立方体形状や直方体形状に限らず、その他の形状であってもよい。図2に示すように、ます本体11は、底板14と、側板15と、天板16とを備えている。これら底板14、側板15および天板16の材料は特に限定されないが、本実施形態では、これら底板14、側板15および天板16は合成樹脂によって成形されている。これにより、ます本体11の軽量化が図られている。
【0027】
図示は省略するが、底板14の内面または外面には、複数のリブが設けられている。これらのリブによって、底板14は補強されている。また、図示は省略するが、底板14には、複数の孔が形成されている。これらの孔は、ます本体11の内部に貯留された雨水を地中に排出するためのものである。
【0028】
図1に示すように、側板15にも、補強用の複数のリブ17が設けられている。また、側板15にも、ます本体11の内部に貯留された雨水を地中に排出するための複数の孔18が形成されている。図1に示すように、天板16にも、補強用の複数のリブ17が設けられている。
【0029】
ただし、底板14、側板15および天板16のリブ17は、必ずしも必要ではない。また、底板14および側板15の孔18も、必ずしも必要ではない。例えば、底板14および側板15の少なくとも一方を透水性材料(例えば透水性プラスチック等)で形成することにより、上記孔18を省略することも可能である。ます本体11が全体として透水性を有する限り、上記孔18を省略してもよい。なお、図1以外の図では、上記リブ17および孔18の図示は省略することとする。
【0030】
天板16には、開口19が形成されている。この開口19には、立管部材13が嵌め込まれている。なお、本実施形態では、開口19は円形状に形成されているが、開口19の具体的形状は特に限定されない。また、本実施形態では、開口19は、略正方形状に形成された天板16の隅部に設けられているが、開口19の位置も特に限定される訳ではない。ただし、開口19を天板16の隅部に形成することとすれば、開口19の形成に伴う剛性の低下を効果的に抑えることができる。
【0031】
被覆部材12は、不織布、透水性フィルム、織布、編布等といった透水性材料からなるシート材を裁断して形成されたものである。この被覆部材12は、底板14および側板15に設けられた孔18を被覆することにより、孔18内に土砂が入り込むことによる目詰まりの発生を抑制する。
【0032】
図2に示すように、立管部材13は、下方から順に、導水管接続筒20、立管21、蓋22を備えている。立管21は導水管接続筒20に上方から嵌め込まれ、蓋22は立管21の上側開口を開閉自在に覆っている。なお、立管21に代えて、または立管21と共に、上下長さの調整が可能なアジャスターを設けてもよい。導水管接続筒20は、上下方向に延びる筒状部材の側部に、導水管23を接続するための受口部41を設けたような形状に形成されている。そのため、導水管接続筒20の下側は開放されている。この導水管接続筒20の下側部分は、天板16の開口19に嵌め込まれている。導水管23内を流れてきた雨水は、導水管接続筒20および開口19を通じて、ます本体11の内部空間11aに流入し、この内部空間11aに一時的に貯留される。なお、立管21の上側の開口21a、導水管接続筒20の下側の開口20aは、それぞれ立管部材13の「上側開口」、「下側開口」に対応する。
【0033】
図1に示すように、ます本体11内における開口19の下方には、バスケット24が配置されている。バスケット24は、雨水に含まれる固形物(例えば、小石、枯葉、ごみ等)を除去するためのフィルタ部材である。開口19から流入した雨水に固形物が混入している場合、その固形物はバスケット24によって捕集される。バスケット24の上端には、フランジ部24aが設けられている。天板16の開口19の周囲には、このフランジ部24aを支持する段差部16aが形成されている。バスケット24の胴部の外径は、開口19の内径よりも小さくなっている。すなわち、バスケット24は、開口19を通じてます本体11内に挿入可能な大きさに形成されている。バスケット24を上方から開口19内に挿入すると、やがてフランジ部24aが天板16の段差部16aに引っ掛かり、バスケット24は天板16によってます本体11内の所定の位置に支持される。バスケット24の材料は特に限定されないが、本実施形態では、バスケット24はポリエチレン製である。
【0034】
図2に示すように、ます本体11の内部の下側には、傾斜板25が設けられている。傾斜板25における開口19の真下の位置には開口26が形成されており、この開口26の下側に泥溜め部27が形成されている。泥溜め部27は、その周囲よりも低くなっている。具体的には、本実施形態では、底板14における開口26の真下の部分が泥溜め部27を構成しており、この泥溜め部27の上下位置は、傾斜板25における開口26の周縁部26aの上下位置よりも低くなっている。
【0035】
本実施形態に係る傾斜板25は、開口26に向かって一様に傾斜した板である。言い換えると、傾斜板25は、泥溜め部27に向かって斜め下向きに傾斜している。ただし、傾斜板25は、雨水に含まれる泥を泥溜め部27に案内するものであればよく、必ずしもその全体が一様に傾斜している必要はない。傾斜板25の一部は傾斜していなくてもよい。また、傾斜板25の一部が開口26以外の箇所に向かって傾斜していてもよい。
【0036】
前述したように、傾斜板25の開口26は、天板16の開口19の真下の位置に形成されている。言い換えると、天板16の開口19は、泥溜め部27の真上の位置に配設されている。すなわち、開口19と泥溜め部26とは、鉛直方向に重なった位置に設けられている。そのため、図3に示すように、雨水浸透ます10を上方から見ると、開口19を通じて泥溜め部26を視認することができる(厳密には、開口19を通じてバスケット24およびバケット28を視認することができる)。
【0037】
図2に示すように、泥溜め部27には、バケット28が配置されている。バケット28は、泥溜め部27に集められた泥を回収する容器である。図4に示すように、本実施形態では、バケット28は有底円筒状に形成されており、傾斜板25の開口26に着脱自在に嵌め込まれている。バケット28には、把手28aが設けられている。バケット28は、天板16の開口19から挿入可能な大きさに形成されている。具体的には、バケット28の外径は、開口19の内径よりも小さくなっている。そのため、バケット28は、開口19を通じてます本体11の内部に挿入することができ、また、開口19を通じてます本体11の外部に取り出すことができる。バケット28の材料は特に限定されないが、本実施形態では、バケット28はポリエチレン製である。
【0038】
傾斜板25は、透水性を有している。すなわち、傾斜板25は、傾斜板25の上側にある雨水を下側に透過させる性質を有している。傾斜板25に透水性を与える手段は何ら限定されず、例えば、傾斜板25を透水性材料で形成してもよい。また、傾斜板25に、雨水は透過させるが泥は透過させない程度の微小な孔を設けるようにしてもよい。ただし、バケット28が透水性を有していれば、傾斜板25は透水性を有していなくてもよい。
【0039】
図2に示すように、傾斜板25と底板14との間には、雨水浸透空間30が区画されている。傾斜板25を透過した雨水は、雨水浸透空間30に一時的に貯留される。このように、本実施形態の雨水浸透ますでは、傾斜板25の裏側の空間30も、雨水を貯留する空間として有効活用される。
【0040】
−雨水浸透ますの設置方法−
次に、雨水浸透ます10の設置方法について説明する。雨水浸透ます10の設置にあたっては、まず、雨水浸透ます10よりも一回り大きな穴を掘削する。なお、雨水浸透ます10を埋設した後は、立管部材13の蓋22が地表面GLと面一となる(図2参照)。そのため、穴は、ます本体11および立管部材13の合計の上下方向長さに応じた深さに掘削する必要がある。穴を掘削した後は、この穴内にます本体11を設置する。そして、立管部材13の導水管接続筒20に、導水管23を接続する。その後、立管部材13の蓋22が地表面GLと面一になるまで、穴を埋め戻す。これにより、雨水浸透ます10を土中に埋設することができる。なお、雨水浸透ます10は単独で用いることもできるが、図5に示すように、導水管23を介して複数の雨水浸透ます10を互いに接続するようにしてもよい。
【0041】
−雨水浸透ますの機能−
降雨時には、導水管23から雨水が流れ込む。導水管23から導水管接続筒20に流れ込んだ雨水は、ます本体11の天板16の開口19を通じて、ます本体11の内部に流入する。この際、雨水に含まれる固形物(例えば、小石、枯葉、ごみ等)は、バスケット24によって捕集される。ます本体11の内部に流入した雨水は、内部空間11aに一時的に貯留され、側板15や底板14をゆっくりと透過することによって、ます本体11の外部に流出する。この際、雨水に含まれる泥は沈降し、傾斜板25の傾斜に沿って泥溜め部27に導かれる(図2の矢印D参照)。その結果、雨水に含まれる泥は、泥溜め部27に設けられたバケット28に回収される。このように、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、雨水に含まれる泥の多くがバケット28に回収されるので、側板15や底板14における泥による目詰まりが抑制される。
【0042】
−雨水浸透ますのメンテナンス−
ところで、バケット28に回収された泥の量が増えてくると、やがて泥がバケット28に回収しきれなくなり、バケット28から溢れることになる。そこで、定期的または不定期に、雨水浸透ます10のメンテナンスを行うことが好ましい。雨水浸透ます10のメンテナンスは、以下のようにして行われる。
【0043】
すなわち、作業員は、まず、立管部材13の蓋22を開く。次に、作業員は、上方から立管21に手を挿入し、天板16の開口19を通じてバスケット24を地上に引き上げる。次に、作業員は、再び立管21に上方から手を挿入し、バケット28の把手28aをつかみ、バケット28を地上に引き上げる。そして、バスケット24に溜まった固形物を排出するとともに、バケット28に回収された泥を洗い流す。これにより、バスケット24およびバケット28は、元通りの状態に復帰する。このようにバスケット24およびバケット28を清掃した後は、立管21および天板16の開口19を通じて、バケット28を傾斜板25の開口26に嵌め込み、次に、バスケット24を天板16の開口19に嵌め込む。そして、立管部材13の蓋22を閉じる。以上により、雨水浸透ます10のメンテナンス作業が終了する。
【0044】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、ます本体11の内部に、周囲よりも低くなった泥溜め部27が設けられている。そのため、ます本体11内に導入した雨水に含まれる泥を、泥溜め部27に回収することができる。さらに、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、泥溜め部27の真上の位置に、天板16の開口19が形成されている。そのため、ます本体11は作業員が入れるほど大きなものではないが、作業員は、泥溜め部27に回収された泥を、天板16の開口19を通じて一括して排出することができる。したがって、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、泥溜め部27には、着脱自在なバケット28が設けられている。そのため、作業員は、天板16の開口19を通じてバケット28を取り出すことによって、泥溜め部27の泥を容易に排出することができる。また、清掃したバケット28を、開口19を通じて泥溜め部27に再び装着することにより、雨水浸透ます10を泥が堆積していない初期状態に容易に復帰させることができる。したがって、雨水浸透ます10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ます本体11の内部に、泥溜め部27に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板25を配置することとした。そのため、雨水に含まれる泥を泥溜め部27に円滑に導くことができる。したがって、雨水に含まれる泥を効率的に回収することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、傾斜板25とます本体11の底板14との間に、雨水を貯留可能な空間30が形成されている。そのため、傾斜板25を設けたからといって、ます本体11の内部容積が著しく減少することはない。したがって、傾斜板25を設けているにも拘わらず、ます本体11の雨水の貯留容積を十分に確保することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ます本体11の上側に、導水管接続筒20を有する立管部材13が設けられている。そのため、掘削した穴にます本体11を据え付けた後、導水管接続筒20に導水管23を接続するだけの簡単な作業によって、雨水をます本体11に導入する管路を実現することができる。また、立管部材13の蓋22を取り外し、立管21に手を挿入することによって、上述のメンテナンス作業を容易に実行することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ます本体11の天板16の開口19の下方にバスケット24が配置されている。そのため、雨水に含まれる固形物を、バスケット24によって捕集することができる。したがって、固形物によるます本体11の目詰まりを防止することができる。
【0050】
<実施形態2>
図6および図7に示すように、実施形態2に係る雨水浸透ます10は、導水管23がます本体11に接続されているものである。
【0051】
図6に示すように、実施形態2に係る雨水浸透ます10は、ます本体11と、ます本体11の上側に設けられた点検筒31とを備えている。点検筒31は、天板16の開口19に嵌め込まれている。点検筒31の上側には、蓋22が被せられている。ます本体11の内部は、仕切板32によって、導入空間33と雨水浸透空間34とに仕切られている。
【0052】
ます本体11の側板15には、雨水を導入する導入口44が形成されており、この導入口44に導水管23が差し込まれている。導水管23は、導入空間33に向かって開口しており、雨水を導入空間33に導く。なお、導入口44は側板15に予め形成されていてもよく、あるいは、据え付け現場において形成するようにしてもよい。言い換えると、ます本体11の側板15は、予め導入口44が形成された側板であってもよく、事後的に導入口44が形成可能な側板であってもよい。
【0053】
仕切板32における天板16の開口19の真下の位置には、雨水を導入空間33から雨水浸透空間34に導く流通口35が形成されている。この流通口35には、バスケット24が嵌め込まれている。バスケット24は、仕切板32の流通口35の周縁部に支持されている。仕切板32は、流通口35に向かって斜め下方に傾斜している。すなわち、仕切板32は、バスケット24に向かって斜め下方に傾斜している。そのため、導水管23から導入された雨水およびその雨水に含まれる固形物は、仕切板32の傾斜に沿ってバスケット24に案内される。そして、雨水に含まれる固形物は、バスケット24によって捕集される。一方、雨水は、バスケット24を通過し、雨水浸透空間34に流入する。その後は実施形態1と同様にして、雨水に含まれる泥がバケット28に回収され、雨水は側板15および底板14を透過し、ます本体11から排出される。
【0054】
その他の構成は実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。なお、本実施形態においても、天板16の開口19と、バスケット24と、泥溜め部27のバケット28とは、上下方向に一直線上に配置されている。
【0055】
本実施形態においても、実施形態1と同様、雨水に含まれる泥は、泥溜め部27のバケット28に回収される。上述の通り、天板16の開口19とバスケット24とバケット28とは上下方向に一直線上に配置されているので、作業員は、点検筒31の蓋22を開き、点検筒31および開口19から手を挿入することによって、バスケット24およびバケット28を容易に取り出すことができる。また、点検筒31および開口19を通じて、バケット28およびバスケット24を容易に装着することができる。したがって、本実施形態においても、実施形態1と同様、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0056】
さらに、本実施形態によれば、導水管23はます本体11の側板15に接続されており、ます本体11の上側に導水管接続筒20は設けられていない。そのため、雨水浸透ます10の上下方向長さが比較的短くなっている。前述したように、雨水浸透ます10の設置にあたっては、雨水浸透ます10の上下方向長さと同等の深さを有する穴を掘削する必要がある。しかし、本実施形態によれば、雨水浸透ます10の上下方向長さが比較的短いので、掘削する穴の深さを比較的浅くすることができる。したがって、雨水浸透ます10の設置作業がより容易になる。
【0057】
上述の通り、仕切板32は流通口35に向かって斜め下方に傾斜し、流通口35の下方にはバスケット24が設けられている。そのため、導水管23から雨水と共に流れ込んだ固形物は、仕切板32の傾斜に沿ってバスケット24に案内され、バスケット24に回収される。このバスケット24は、天板16の開口19の真下の位置に設けられている。したがって、作業員は、天板16の開口19を通じて、雨水に含まれる固形物を容易に排出することができる。
【0058】
<その他の実施形態>
本発明に係る雨水浸透ますは、前記各実施形態に限らず、他に種々の形態で実施することができる。以下、その他の実施形態について説明する。
【0059】
図2および図12に示すように、前記各実施形態では、ます本体11の底板14は平板であり、傾斜板25の開口26は底板14よりも高い位置に形成されている。しかし、図8に示すように、底板14の一部が下方に凹んでおり、この凹んでいる部分が泥溜め部27を形成していてもよい。この実施形態では、傾斜板25の開口26は、底板14とほぼ同一の高さに形成されている。本実施形態においても、雨水に含まれる泥は傾斜板25によって泥溜め部27のバケット28に案内され、バケット28に回収される。本実施形態によれば、傾斜板25と底板14との間に形成される空間30の容積が比較的小さく抑えられる。
【0060】
なお、前述したように、バケット28を省略することも可能である。例えば、図9に示すように、傾斜板25は、天板16の開口19の真下の位置に向かって斜め下向きに傾斜し、その位置に開口が形成されていなくてもよい。本実施形態によれば、雨水に含まれる泥50は、傾斜板25によって、天板16の開口19の真下の位置に導かれ、その位置に堆積する。メンテナンスの際には、作業員は、例えば天板16の開口19から吸引装置40を挿入し、この吸引装置40によって泥50を一括して吸引除去することができる。そのため、本実施形態においても、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0061】
前記実施形態では、周囲よりも低くなった泥溜め部27を、傾斜板25を設けることによって形成していた。しかし、泥溜め部27は、周囲よりも低くなるものであればよく、傾斜板25は必ずしも必要ではない。例えば、図10に示すように、傾斜板25の代わりに、天板16の開口19の真下の位置に開口26が形成された平板36を設けてもよい。本実施形態では、平板36の開口26の下の部分が泥溜め部27となる。泥溜め部27は、その周囲(平板36の開口26の周縁部36a)よりも一段低くなっている。本実施形態においても、泥溜め部27にはバケット28が設けられている。傾斜板25を用いた方が泥を泥溜め部27に導きやすいが、本実施形態であっても、泥を泥溜め部27に溜めることができる。泥は雨水と共に高い所から低い所に向かって自然に流れるからである。本実施形態においても、天板16の開口19を通じて、泥を比較的容易に排出することができる。
【0062】
図11に示すように、ます本体11の底板14における天板16の開口19の真下の位置に、泥溜め部27となる窪みを設けてもよい。この場合、平板36(図10参照)を省略することができる。
【0063】
図示は省略するが、傾斜板25の代わりに、天板16の開口19の真下の位置に向かって段階的に高さが低くなる段付き板を設けてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、ます本体11は、立方体形状または直方体形状であった。しかし、ます本体11の形状は特に限定される訳ではない。例えば、図12(a)および(b)に示すように、ます本体11は、密閉円筒形状であってもよい。この実施形態では、ます本体11の内部に、略円板形状の傾斜板37が配置される。傾斜板37の中央部分には開口38が形成され、傾斜板37は開口38に向かって斜め下方に傾斜している。傾斜板37の開口38の下方は泥溜め部27となっており、傾斜板37の開口38にはバケット28が嵌め込まれている。図示は省略するが、実施形態1と同様、ます本体11の天板には開口が形成され、その開口には立管部材が上方から嵌め込まれている。なお、この実施形態においても、天板の開口は、泥溜め部27の真上の位置に設けられている。
【0065】
図13に示すように、密閉円筒形状のます本体11の底板39の中央部分が下方に凹み、その凹み部分が泥溜め部27を形成していてもよい。この実施形態では、ます本体11の底板39が、泥溜め部27に向かって斜め下方に傾斜している。本実施形態においても、天板の開口は、泥溜め部27の真上の位置に設けられている。
【0066】
前記実施形態1では、ます本体11に雨水を導入する開口19が、メンテナンス作業用の開口を兼ねている。しかし、雨水を導入する開口19とは別に、メンテナンス作業用の開口を形成することも勿論可能である。
【0067】
実施形態1では、ます本体11と立管部材13とは別部材である。しかし、ます本体11と立管部材13とは、一体化されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、雨水浸透ますについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態1に係る雨水浸透ますの一部を切り欠いて示す正面図である。
【図2】実施形態1に係る雨水浸透ますの断面図である。
【図3】実施形態1に係る雨水浸透ますの平面図である。
【図4】実施形態1に係る雨水浸透ますの一部の分解斜視図である。
【図5】実施形態1に係る雨水浸透ますの設置例を示す斜視図である。
【図6】実施形態2に係る雨水浸透ますの断面図である。
【図7】実施形態2に係る雨水浸透ますの設置例を示す斜視図である。
【図8】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図9】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図10】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図11】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図12】(a)は変形例に係る雨水浸透ますの一部の分解斜視図であり、(b)はその断面図である。
【図13】変形例に係る雨水浸透ますの斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
10 雨水浸透ます
11 ます本体
12 被覆部材
13 立管部材
14 底板
15 側板
16 天板
19 開口
20 導水管接続筒
21 立管
22 蓋
23 導水管
24 バスケット(フィルタ部材)
25 傾斜板
27 泥溜め部
28 バケット(容器)
32 仕切板
33 導入空間
34 雨水浸透空間
35 流通口
44 導入口
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水浸透ますに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、降雨時における河川に対する雨水の急激な流入を抑制することを目的として、雨水を一時的に貯留し、その貯留した雨水を地中にゆっくりと浸透させることによって排出する雨水浸透施設が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1〜3に開示された雨水浸透施設は、例えばショッピングセンターの地下等に設置される比較的大型のものである。
【0003】
また、比較的小型の雨水浸透施設として、雨水を一時的に貯留する箱体を備えた雨水浸透ますも知られている(例えば、特許文献4〜6参照)。この雨水浸透ますは、例えば、宅地内における庭や車庫等の地下に埋設可能なものである。
【0004】
ところで、雨水浸透施設内に流入する雨水には、泥が含まれていることが多い。そのため、雨水浸透施設を長期間使用していると、泥による目詰まりが発生し、雨水を円滑に浸透させることが困難となる。
【0005】
そこで、特許文献1に開示された雨水浸透施設では、排水路に雨水流下方向に沿った傾斜面部を設け、雨水と共に流入した砂や汚泥を、傾斜面部に沿って点検用マンホール部に導くこととしている。この雨水浸透施設では、作業員が点検用マンホール部内に入り込み、堆積した砂または汚泥等を除去することができる(特許文献1の段落0104参照)。そのため、作業員が定期的に清掃作業を行うことにより、泥による目詰まりを防止することができる。
【特許文献1】特開2007−16582号公報
【特許文献2】特開2007−32152号公報
【特許文献3】特開2002−70091号公報
【特許文献4】特開2000−45372号公報
【特許文献5】特開2003−34970号公報
【特許文献6】特開2007−32025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、大型の雨水浸透施設では、作業員が中に入って清掃作業を行うための作業用スペースが確保されている。しかしながら、大型の雨水浸透施設と異なり、比較的小型の雨水浸透ますでは、作業員が中に入って清掃作業を行うことができない。そのため、長期間にわたって使用していると、泥による目詰まりが生じ、雨水の浸透能力が低下するという課題があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することのできる雨水浸透ますを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る雨水浸透ますは、天板を有し、内部に雨水を一時的に貯留する空間が形成されたます本体と、前記ます本体内において、周囲よりも低くなった泥溜め部と、を備え、前記天板における前記泥溜め部の真上の位置に、開口が形成されているものである。
【0009】
上記雨水浸透ますによれば、周囲よりも低くなった泥溜め部がます本体内に設けられているので、ます本体内に流入した雨水に含まれる泥は、泥溜め部に集まる。また、上記雨水浸透ますによれば、ます本体における泥溜め部の真上の位置に開口が形成されている。そのため、作業員は、泥溜め部に溜まった泥を、上記開口を通じて一括して排出することができる。したがって、上記雨水浸透ますによれば、作業員がます本体内に入ることはできなくても、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0010】
前記雨水浸透ますは、前記開口を通じて前記泥溜め部に着脱自在な容器を備えていてもよい。
【0011】
上記雨水浸透ますによれば、ます本体内に流入した泥は、容器内に集まることになる。そのため、作業員は、ます本体の天板の開口を通じて容器を取り出すだけで、ます本体内の泥を一括して排出することができる。したがって、上記雨水浸透ますによれば、雨水と共に流入する泥をさらに容易に排出することができる。
【0012】
前記雨水浸透ますは、前記ます本体内に配置されまたは前記ます本体の底板の一部をなし、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板を備えていてもよい。
【0013】
上記雨水浸透ますによれば、雨水に含まれる泥は、傾斜板の傾斜に沿って泥溜め部に導かれる。したがって、泥は泥溜め部に効率的に集められる。
【0014】
前記ます本体は、底板を有し、前記雨水浸透ますは、前記ます本体内に配置され、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板をさらに備え、前記傾斜板と前記底板との間に、雨水を貯留可能な空間が形成されていてもよい。
【0015】
上記雨水浸透ますによれば、傾斜板の下側の空間も、雨水を貯留する空間として有効利用される。そのため、傾斜板を付加することによってます本体の雨水貯留容積が大きく減少することはない。
【0016】
前記雨水浸透ますは、上側開口および下側開口を有し、前記下側開口と前記天板の前記開口とが上下に揃うように前記天板に接続され、前記上側開口を覆う蓋を有する立管部材をさらに備え、前記立管部材の側方に、雨水を導入する配管が接続されるものであってもよい。
【0017】
上記雨水浸透ますによれば、雨水を導入する配管を立管部材の側方に接続することにより、ます本体に雨水を導入する管路を形成することができる。そのため、雨水を導入する管路を容易に形成することができる。
【0018】
前記雨水浸透ますは、前記ます本体における前記開口の下方に配置されたフィルタ部材を備えていてもよい。
【0019】
これにより、流入する雨水に枯葉やごみなどの固形物が含まれていたとしても、それらはフィルタ部材によって捕集される。したがって、固形物による目詰まりが防止される。
【0020】
また、前記ます本体は、雨水を導入する導入口が形成された、または形成される側板を備え、前記雨水浸透ますは、前記ます本体内に配置され、前記ます本体の内部空間を前記導入口側の導入空間と前記泥溜め部側の雨水浸透空間とに仕切るとともに、前記導入空間から前記雨水浸透空間に雨水を導く流通口が前記開口の真下の位置に形成された仕切板を備えていてもよい。
【0021】
上記雨水浸透ますによれば、導入口から導入された雨水は、いったん導入空間に流れ込んだ後、流通口を通じて雨水浸透空間に導かれる。雨水浸透ますは地中に埋設されるものであるため、その埋設の際には、雨水浸透ますの上下方向長さよりも深い穴を掘る必要がある。ところが、上記雨水浸透ますによれば、雨水を導入する雨水導入管は側壁に接続されるので、雨水導入管が上方に出っ張ることを防止することができる。そのため、雨水導入管を含めた雨水浸透ます全体の上下方向長さを比較的短く抑えることができる。したがって、設置の際に、深い穴を掘る必要がなくなる。
【0022】
前記雨水浸透ますは、前記仕切板における前記流通口の下方に配置されたフィルタ部材を備えていてもよい。
【0023】
上記雨水浸透ますによれば、雨水と共に導入空間に流れ込んだ固形物は、フィルタ部材によって捕集される。フィルタ部材は天板の開口の真下の位置に配置されているので、作業員は、フィルタ部材に捕集された固形物を、上記開口を通じて容易に排出することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することのできる雨水浸透ますを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<実施形態1>
−雨水浸透ます10の構成−
図1に示すように、実施形態1に係る雨水浸透ます10は、内部に雨水を一時的に貯留する空間11aが形成されたます本体11と、ます本体11の外面を覆う被覆部材12と、ます本体11の上部に接続される立管部材13とを備えている。この雨水浸透ます10は、例えば宅地内の庭や車庫等の狭小地に埋設することができる比較的小型のものである。
【0026】
ます本体11は、立方体形状または直方体形状に形成されている。ただし、ます本体11の形状は、立方体形状や直方体形状に限らず、その他の形状であってもよい。図2に示すように、ます本体11は、底板14と、側板15と、天板16とを備えている。これら底板14、側板15および天板16の材料は特に限定されないが、本実施形態では、これら底板14、側板15および天板16は合成樹脂によって成形されている。これにより、ます本体11の軽量化が図られている。
【0027】
図示は省略するが、底板14の内面または外面には、複数のリブが設けられている。これらのリブによって、底板14は補強されている。また、図示は省略するが、底板14には、複数の孔が形成されている。これらの孔は、ます本体11の内部に貯留された雨水を地中に排出するためのものである。
【0028】
図1に示すように、側板15にも、補強用の複数のリブ17が設けられている。また、側板15にも、ます本体11の内部に貯留された雨水を地中に排出するための複数の孔18が形成されている。図1に示すように、天板16にも、補強用の複数のリブ17が設けられている。
【0029】
ただし、底板14、側板15および天板16のリブ17は、必ずしも必要ではない。また、底板14および側板15の孔18も、必ずしも必要ではない。例えば、底板14および側板15の少なくとも一方を透水性材料(例えば透水性プラスチック等)で形成することにより、上記孔18を省略することも可能である。ます本体11が全体として透水性を有する限り、上記孔18を省略してもよい。なお、図1以外の図では、上記リブ17および孔18の図示は省略することとする。
【0030】
天板16には、開口19が形成されている。この開口19には、立管部材13が嵌め込まれている。なお、本実施形態では、開口19は円形状に形成されているが、開口19の具体的形状は特に限定されない。また、本実施形態では、開口19は、略正方形状に形成された天板16の隅部に設けられているが、開口19の位置も特に限定される訳ではない。ただし、開口19を天板16の隅部に形成することとすれば、開口19の形成に伴う剛性の低下を効果的に抑えることができる。
【0031】
被覆部材12は、不織布、透水性フィルム、織布、編布等といった透水性材料からなるシート材を裁断して形成されたものである。この被覆部材12は、底板14および側板15に設けられた孔18を被覆することにより、孔18内に土砂が入り込むことによる目詰まりの発生を抑制する。
【0032】
図2に示すように、立管部材13は、下方から順に、導水管接続筒20、立管21、蓋22を備えている。立管21は導水管接続筒20に上方から嵌め込まれ、蓋22は立管21の上側開口を開閉自在に覆っている。なお、立管21に代えて、または立管21と共に、上下長さの調整が可能なアジャスターを設けてもよい。導水管接続筒20は、上下方向に延びる筒状部材の側部に、導水管23を接続するための受口部41を設けたような形状に形成されている。そのため、導水管接続筒20の下側は開放されている。この導水管接続筒20の下側部分は、天板16の開口19に嵌め込まれている。導水管23内を流れてきた雨水は、導水管接続筒20および開口19を通じて、ます本体11の内部空間11aに流入し、この内部空間11aに一時的に貯留される。なお、立管21の上側の開口21a、導水管接続筒20の下側の開口20aは、それぞれ立管部材13の「上側開口」、「下側開口」に対応する。
【0033】
図1に示すように、ます本体11内における開口19の下方には、バスケット24が配置されている。バスケット24は、雨水に含まれる固形物(例えば、小石、枯葉、ごみ等)を除去するためのフィルタ部材である。開口19から流入した雨水に固形物が混入している場合、その固形物はバスケット24によって捕集される。バスケット24の上端には、フランジ部24aが設けられている。天板16の開口19の周囲には、このフランジ部24aを支持する段差部16aが形成されている。バスケット24の胴部の外径は、開口19の内径よりも小さくなっている。すなわち、バスケット24は、開口19を通じてます本体11内に挿入可能な大きさに形成されている。バスケット24を上方から開口19内に挿入すると、やがてフランジ部24aが天板16の段差部16aに引っ掛かり、バスケット24は天板16によってます本体11内の所定の位置に支持される。バスケット24の材料は特に限定されないが、本実施形態では、バスケット24はポリエチレン製である。
【0034】
図2に示すように、ます本体11の内部の下側には、傾斜板25が設けられている。傾斜板25における開口19の真下の位置には開口26が形成されており、この開口26の下側に泥溜め部27が形成されている。泥溜め部27は、その周囲よりも低くなっている。具体的には、本実施形態では、底板14における開口26の真下の部分が泥溜め部27を構成しており、この泥溜め部27の上下位置は、傾斜板25における開口26の周縁部26aの上下位置よりも低くなっている。
【0035】
本実施形態に係る傾斜板25は、開口26に向かって一様に傾斜した板である。言い換えると、傾斜板25は、泥溜め部27に向かって斜め下向きに傾斜している。ただし、傾斜板25は、雨水に含まれる泥を泥溜め部27に案内するものであればよく、必ずしもその全体が一様に傾斜している必要はない。傾斜板25の一部は傾斜していなくてもよい。また、傾斜板25の一部が開口26以外の箇所に向かって傾斜していてもよい。
【0036】
前述したように、傾斜板25の開口26は、天板16の開口19の真下の位置に形成されている。言い換えると、天板16の開口19は、泥溜め部27の真上の位置に配設されている。すなわち、開口19と泥溜め部26とは、鉛直方向に重なった位置に設けられている。そのため、図3に示すように、雨水浸透ます10を上方から見ると、開口19を通じて泥溜め部26を視認することができる(厳密には、開口19を通じてバスケット24およびバケット28を視認することができる)。
【0037】
図2に示すように、泥溜め部27には、バケット28が配置されている。バケット28は、泥溜め部27に集められた泥を回収する容器である。図4に示すように、本実施形態では、バケット28は有底円筒状に形成されており、傾斜板25の開口26に着脱自在に嵌め込まれている。バケット28には、把手28aが設けられている。バケット28は、天板16の開口19から挿入可能な大きさに形成されている。具体的には、バケット28の外径は、開口19の内径よりも小さくなっている。そのため、バケット28は、開口19を通じてます本体11の内部に挿入することができ、また、開口19を通じてます本体11の外部に取り出すことができる。バケット28の材料は特に限定されないが、本実施形態では、バケット28はポリエチレン製である。
【0038】
傾斜板25は、透水性を有している。すなわち、傾斜板25は、傾斜板25の上側にある雨水を下側に透過させる性質を有している。傾斜板25に透水性を与える手段は何ら限定されず、例えば、傾斜板25を透水性材料で形成してもよい。また、傾斜板25に、雨水は透過させるが泥は透過させない程度の微小な孔を設けるようにしてもよい。ただし、バケット28が透水性を有していれば、傾斜板25は透水性を有していなくてもよい。
【0039】
図2に示すように、傾斜板25と底板14との間には、雨水浸透空間30が区画されている。傾斜板25を透過した雨水は、雨水浸透空間30に一時的に貯留される。このように、本実施形態の雨水浸透ますでは、傾斜板25の裏側の空間30も、雨水を貯留する空間として有効活用される。
【0040】
−雨水浸透ますの設置方法−
次に、雨水浸透ます10の設置方法について説明する。雨水浸透ます10の設置にあたっては、まず、雨水浸透ます10よりも一回り大きな穴を掘削する。なお、雨水浸透ます10を埋設した後は、立管部材13の蓋22が地表面GLと面一となる(図2参照)。そのため、穴は、ます本体11および立管部材13の合計の上下方向長さに応じた深さに掘削する必要がある。穴を掘削した後は、この穴内にます本体11を設置する。そして、立管部材13の導水管接続筒20に、導水管23を接続する。その後、立管部材13の蓋22が地表面GLと面一になるまで、穴を埋め戻す。これにより、雨水浸透ます10を土中に埋設することができる。なお、雨水浸透ます10は単独で用いることもできるが、図5に示すように、導水管23を介して複数の雨水浸透ます10を互いに接続するようにしてもよい。
【0041】
−雨水浸透ますの機能−
降雨時には、導水管23から雨水が流れ込む。導水管23から導水管接続筒20に流れ込んだ雨水は、ます本体11の天板16の開口19を通じて、ます本体11の内部に流入する。この際、雨水に含まれる固形物(例えば、小石、枯葉、ごみ等)は、バスケット24によって捕集される。ます本体11の内部に流入した雨水は、内部空間11aに一時的に貯留され、側板15や底板14をゆっくりと透過することによって、ます本体11の外部に流出する。この際、雨水に含まれる泥は沈降し、傾斜板25の傾斜に沿って泥溜め部27に導かれる(図2の矢印D参照)。その結果、雨水に含まれる泥は、泥溜め部27に設けられたバケット28に回収される。このように、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、雨水に含まれる泥の多くがバケット28に回収されるので、側板15や底板14における泥による目詰まりが抑制される。
【0042】
−雨水浸透ますのメンテナンス−
ところで、バケット28に回収された泥の量が増えてくると、やがて泥がバケット28に回収しきれなくなり、バケット28から溢れることになる。そこで、定期的または不定期に、雨水浸透ます10のメンテナンスを行うことが好ましい。雨水浸透ます10のメンテナンスは、以下のようにして行われる。
【0043】
すなわち、作業員は、まず、立管部材13の蓋22を開く。次に、作業員は、上方から立管21に手を挿入し、天板16の開口19を通じてバスケット24を地上に引き上げる。次に、作業員は、再び立管21に上方から手を挿入し、バケット28の把手28aをつかみ、バケット28を地上に引き上げる。そして、バスケット24に溜まった固形物を排出するとともに、バケット28に回収された泥を洗い流す。これにより、バスケット24およびバケット28は、元通りの状態に復帰する。このようにバスケット24およびバケット28を清掃した後は、立管21および天板16の開口19を通じて、バケット28を傾斜板25の開口26に嵌め込み、次に、バスケット24を天板16の開口19に嵌め込む。そして、立管部材13の蓋22を閉じる。以上により、雨水浸透ます10のメンテナンス作業が終了する。
【0044】
−実施形態の効果−
以上のように、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、ます本体11の内部に、周囲よりも低くなった泥溜め部27が設けられている。そのため、ます本体11内に導入した雨水に含まれる泥を、泥溜め部27に回収することができる。さらに、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、泥溜め部27の真上の位置に、天板16の開口19が形成されている。そのため、ます本体11は作業員が入れるほど大きなものではないが、作業員は、泥溜め部27に回収された泥を、天板16の開口19を通じて一括して排出することができる。したがって、本実施形態に係る雨水浸透ます10によれば、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、泥溜め部27には、着脱自在なバケット28が設けられている。そのため、作業員は、天板16の開口19を通じてバケット28を取り出すことによって、泥溜め部27の泥を容易に排出することができる。また、清掃したバケット28を、開口19を通じて泥溜め部27に再び装着することにより、雨水浸透ます10を泥が堆積していない初期状態に容易に復帰させることができる。したがって、雨水浸透ます10のメンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、ます本体11の内部に、泥溜め部27に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板25を配置することとした。そのため、雨水に含まれる泥を泥溜め部27に円滑に導くことができる。したがって、雨水に含まれる泥を効率的に回収することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、傾斜板25とます本体11の底板14との間に、雨水を貯留可能な空間30が形成されている。そのため、傾斜板25を設けたからといって、ます本体11の内部容積が著しく減少することはない。したがって、傾斜板25を設けているにも拘わらず、ます本体11の雨水の貯留容積を十分に確保することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ます本体11の上側に、導水管接続筒20を有する立管部材13が設けられている。そのため、掘削した穴にます本体11を据え付けた後、導水管接続筒20に導水管23を接続するだけの簡単な作業によって、雨水をます本体11に導入する管路を実現することができる。また、立管部材13の蓋22を取り外し、立管21に手を挿入することによって、上述のメンテナンス作業を容易に実行することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、ます本体11の天板16の開口19の下方にバスケット24が配置されている。そのため、雨水に含まれる固形物を、バスケット24によって捕集することができる。したがって、固形物によるます本体11の目詰まりを防止することができる。
【0050】
<実施形態2>
図6および図7に示すように、実施形態2に係る雨水浸透ます10は、導水管23がます本体11に接続されているものである。
【0051】
図6に示すように、実施形態2に係る雨水浸透ます10は、ます本体11と、ます本体11の上側に設けられた点検筒31とを備えている。点検筒31は、天板16の開口19に嵌め込まれている。点検筒31の上側には、蓋22が被せられている。ます本体11の内部は、仕切板32によって、導入空間33と雨水浸透空間34とに仕切られている。
【0052】
ます本体11の側板15には、雨水を導入する導入口44が形成されており、この導入口44に導水管23が差し込まれている。導水管23は、導入空間33に向かって開口しており、雨水を導入空間33に導く。なお、導入口44は側板15に予め形成されていてもよく、あるいは、据え付け現場において形成するようにしてもよい。言い換えると、ます本体11の側板15は、予め導入口44が形成された側板であってもよく、事後的に導入口44が形成可能な側板であってもよい。
【0053】
仕切板32における天板16の開口19の真下の位置には、雨水を導入空間33から雨水浸透空間34に導く流通口35が形成されている。この流通口35には、バスケット24が嵌め込まれている。バスケット24は、仕切板32の流通口35の周縁部に支持されている。仕切板32は、流通口35に向かって斜め下方に傾斜している。すなわち、仕切板32は、バスケット24に向かって斜め下方に傾斜している。そのため、導水管23から導入された雨水およびその雨水に含まれる固形物は、仕切板32の傾斜に沿ってバスケット24に案内される。そして、雨水に含まれる固形物は、バスケット24によって捕集される。一方、雨水は、バスケット24を通過し、雨水浸透空間34に流入する。その後は実施形態1と同様にして、雨水に含まれる泥がバケット28に回収され、雨水は側板15および底板14を透過し、ます本体11から排出される。
【0054】
その他の構成は実施形態と同様であるので、それらの説明は省略する。なお、本実施形態においても、天板16の開口19と、バスケット24と、泥溜め部27のバケット28とは、上下方向に一直線上に配置されている。
【0055】
本実施形態においても、実施形態1と同様、雨水に含まれる泥は、泥溜め部27のバケット28に回収される。上述の通り、天板16の開口19とバスケット24とバケット28とは上下方向に一直線上に配置されているので、作業員は、点検筒31の蓋22を開き、点検筒31および開口19から手を挿入することによって、バスケット24およびバケット28を容易に取り出すことができる。また、点検筒31および開口19を通じて、バケット28およびバスケット24を容易に装着することができる。したがって、本実施形態においても、実施形態1と同様、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0056】
さらに、本実施形態によれば、導水管23はます本体11の側板15に接続されており、ます本体11の上側に導水管接続筒20は設けられていない。そのため、雨水浸透ます10の上下方向長さが比較的短くなっている。前述したように、雨水浸透ます10の設置にあたっては、雨水浸透ます10の上下方向長さと同等の深さを有する穴を掘削する必要がある。しかし、本実施形態によれば、雨水浸透ます10の上下方向長さが比較的短いので、掘削する穴の深さを比較的浅くすることができる。したがって、雨水浸透ます10の設置作業がより容易になる。
【0057】
上述の通り、仕切板32は流通口35に向かって斜め下方に傾斜し、流通口35の下方にはバスケット24が設けられている。そのため、導水管23から雨水と共に流れ込んだ固形物は、仕切板32の傾斜に沿ってバスケット24に案内され、バスケット24に回収される。このバスケット24は、天板16の開口19の真下の位置に設けられている。したがって、作業員は、天板16の開口19を通じて、雨水に含まれる固形物を容易に排出することができる。
【0058】
<その他の実施形態>
本発明に係る雨水浸透ますは、前記各実施形態に限らず、他に種々の形態で実施することができる。以下、その他の実施形態について説明する。
【0059】
図2および図12に示すように、前記各実施形態では、ます本体11の底板14は平板であり、傾斜板25の開口26は底板14よりも高い位置に形成されている。しかし、図8に示すように、底板14の一部が下方に凹んでおり、この凹んでいる部分が泥溜め部27を形成していてもよい。この実施形態では、傾斜板25の開口26は、底板14とほぼ同一の高さに形成されている。本実施形態においても、雨水に含まれる泥は傾斜板25によって泥溜め部27のバケット28に案内され、バケット28に回収される。本実施形態によれば、傾斜板25と底板14との間に形成される空間30の容積が比較的小さく抑えられる。
【0060】
なお、前述したように、バケット28を省略することも可能である。例えば、図9に示すように、傾斜板25は、天板16の開口19の真下の位置に向かって斜め下向きに傾斜し、その位置に開口が形成されていなくてもよい。本実施形態によれば、雨水に含まれる泥50は、傾斜板25によって、天板16の開口19の真下の位置に導かれ、その位置に堆積する。メンテナンスの際には、作業員は、例えば天板16の開口19から吸引装置40を挿入し、この吸引装置40によって泥50を一括して吸引除去することができる。そのため、本実施形態においても、雨水と共に流入する泥を比較的容易に排出することができる。
【0061】
前記実施形態では、周囲よりも低くなった泥溜め部27を、傾斜板25を設けることによって形成していた。しかし、泥溜め部27は、周囲よりも低くなるものであればよく、傾斜板25は必ずしも必要ではない。例えば、図10に示すように、傾斜板25の代わりに、天板16の開口19の真下の位置に開口26が形成された平板36を設けてもよい。本実施形態では、平板36の開口26の下の部分が泥溜め部27となる。泥溜め部27は、その周囲(平板36の開口26の周縁部36a)よりも一段低くなっている。本実施形態においても、泥溜め部27にはバケット28が設けられている。傾斜板25を用いた方が泥を泥溜め部27に導きやすいが、本実施形態であっても、泥を泥溜め部27に溜めることができる。泥は雨水と共に高い所から低い所に向かって自然に流れるからである。本実施形態においても、天板16の開口19を通じて、泥を比較的容易に排出することができる。
【0062】
図11に示すように、ます本体11の底板14における天板16の開口19の真下の位置に、泥溜め部27となる窪みを設けてもよい。この場合、平板36(図10参照)を省略することができる。
【0063】
図示は省略するが、傾斜板25の代わりに、天板16の開口19の真下の位置に向かって段階的に高さが低くなる段付き板を設けてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、ます本体11は、立方体形状または直方体形状であった。しかし、ます本体11の形状は特に限定される訳ではない。例えば、図12(a)および(b)に示すように、ます本体11は、密閉円筒形状であってもよい。この実施形態では、ます本体11の内部に、略円板形状の傾斜板37が配置される。傾斜板37の中央部分には開口38が形成され、傾斜板37は開口38に向かって斜め下方に傾斜している。傾斜板37の開口38の下方は泥溜め部27となっており、傾斜板37の開口38にはバケット28が嵌め込まれている。図示は省略するが、実施形態1と同様、ます本体11の天板には開口が形成され、その開口には立管部材が上方から嵌め込まれている。なお、この実施形態においても、天板の開口は、泥溜め部27の真上の位置に設けられている。
【0065】
図13に示すように、密閉円筒形状のます本体11の底板39の中央部分が下方に凹み、その凹み部分が泥溜め部27を形成していてもよい。この実施形態では、ます本体11の底板39が、泥溜め部27に向かって斜め下方に傾斜している。本実施形態においても、天板の開口は、泥溜め部27の真上の位置に設けられている。
【0066】
前記実施形態1では、ます本体11に雨水を導入する開口19が、メンテナンス作業用の開口を兼ねている。しかし、雨水を導入する開口19とは別に、メンテナンス作業用の開口を形成することも勿論可能である。
【0067】
実施形態1では、ます本体11と立管部材13とは別部材である。しかし、ます本体11と立管部材13とは、一体化されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、雨水浸透ますについて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態1に係る雨水浸透ますの一部を切り欠いて示す正面図である。
【図2】実施形態1に係る雨水浸透ますの断面図である。
【図3】実施形態1に係る雨水浸透ますの平面図である。
【図4】実施形態1に係る雨水浸透ますの一部の分解斜視図である。
【図5】実施形態1に係る雨水浸透ますの設置例を示す斜視図である。
【図6】実施形態2に係る雨水浸透ますの断面図である。
【図7】実施形態2に係る雨水浸透ますの設置例を示す斜視図である。
【図8】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図9】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図10】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図11】変形例に係る雨水浸透ますの一部の断面図である。
【図12】(a)は変形例に係る雨水浸透ますの一部の分解斜視図であり、(b)はその断面図である。
【図13】変形例に係る雨水浸透ますの斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
10 雨水浸透ます
11 ます本体
12 被覆部材
13 立管部材
14 底板
15 側板
16 天板
19 開口
20 導水管接続筒
21 立管
22 蓋
23 導水管
24 バスケット(フィルタ部材)
25 傾斜板
27 泥溜め部
28 バケット(容器)
32 仕切板
33 導入空間
34 雨水浸透空間
35 流通口
44 導入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を有し、内部に雨水を一時的に貯留する空間が形成されたます本体と、
前記ます本体内において、周囲よりも低くなった泥溜め部と、を備え、
前記天板における前記泥溜め部の真上の位置に、開口が形成されている雨水浸透ます。
【請求項2】
請求項1に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記開口を通じて前記泥溜め部に着脱自在な容器を備えている雨水浸透ます。
【請求項3】
請求項1または2に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体内に配置されまたは前記ます本体の底板の一部をなし、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板を備えている雨水浸透ます。
【請求項4】
請求項1または2に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体は、底板を有し、
前記ます本体内に配置され、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板をさらに備え、
前記傾斜板と前記底板との間に、雨水を貯留可能な空間が形成されている雨水浸透ます。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の雨水浸透ますにおいて、
上側開口および下側開口を有し、前記下側開口と前記天板の前記開口とが上下に揃うように前記天板に接続され、前記上側開口を覆う蓋を有する立管部材をさらに備え、
前記立管部材の側方に、雨水を導入する配管が接続される雨水浸透ます。
【請求項6】
請求項5に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体における前記開口の下方に配置されたフィルタ部材を備えている雨水浸透ます。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体は、雨水を導入する導入口が形成された、または形成される側板を備え、
前記ます本体内に配置され、前記ます本体の内部空間を前記導入口側の導入空間と前記泥溜め部側の雨水浸透空間とに仕切るとともに、前記導入空間から前記雨水浸透空間に雨水を導く流通口が前記開口の真下の位置に形成された仕切板を備えている雨水浸透ます。
【請求項8】
請求項7に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記仕切板における前記流通口の下方に配置されたフィルタ部材を備えている雨水浸透ます。
【請求項1】
天板を有し、内部に雨水を一時的に貯留する空間が形成されたます本体と、
前記ます本体内において、周囲よりも低くなった泥溜め部と、を備え、
前記天板における前記泥溜め部の真上の位置に、開口が形成されている雨水浸透ます。
【請求項2】
請求項1に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記開口を通じて前記泥溜め部に着脱自在な容器を備えている雨水浸透ます。
【請求項3】
請求項1または2に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体内に配置されまたは前記ます本体の底板の一部をなし、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板を備えている雨水浸透ます。
【請求項4】
請求項1または2に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体は、底板を有し、
前記ます本体内に配置され、前記泥溜め部に向かって斜め下方に傾斜する傾斜板をさらに備え、
前記傾斜板と前記底板との間に、雨水を貯留可能な空間が形成されている雨水浸透ます。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の雨水浸透ますにおいて、
上側開口および下側開口を有し、前記下側開口と前記天板の前記開口とが上下に揃うように前記天板に接続され、前記上側開口を覆う蓋を有する立管部材をさらに備え、
前記立管部材の側方に、雨水を導入する配管が接続される雨水浸透ます。
【請求項6】
請求項5に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体における前記開口の下方に配置されたフィルタ部材を備えている雨水浸透ます。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の雨水浸透ますにおいて、
前記ます本体は、雨水を導入する導入口が形成された、または形成される側板を備え、
前記ます本体内に配置され、前記ます本体の内部空間を前記導入口側の導入空間と前記泥溜め部側の雨水浸透空間とに仕切るとともに、前記導入空間から前記雨水浸透空間に雨水を導く流通口が前記開口の真下の位置に形成された仕切板を備えている雨水浸透ます。
【請求項8】
請求項7に記載の雨水浸透ますにおいて、
前記仕切板における前記流通口の下方に配置されたフィルタ部材を備えている雨水浸透ます。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−24417(P2009−24417A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189488(P2007−189488)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】
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