説明

雨水貯留施設

【課題】 構造が簡単で施工が容易であると共に、雨水の貯留及び貯留した雨水の排出が円滑に行え、且つ、雨水に含まれる砂の除去も容易に行える雨水貯留施設を提供する。
【解決手段】 地面を掘削することによって形成した貯水槽1の底部に複数個の雨水誘導ユニット部材20A 、20B を縦横に並設することによって中央部に導水溝22を備え、且つ、両側部にこの導水溝22に向かって下方に傾斜した傾斜面を備えてなる雨水誘導部2を形成し、この雨水誘導部2上に雨水雨水貯留ユニット部材30を積み重ねにことによって雨水貯留部3を形成し、降雨時にマンホール5から上記導水溝22を通じて雨水貯留部3に雨水を一時貯留し、降雨後に雨水誘導部2の傾斜面から導水溝22を通じてマンホール5に排水し、また、導水溝22に堆積した土砂や泥土等をマンホール5から高圧水の噴射によって除去するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公園や駐車場、或いは、道路等の地面下に設けられる雨水貯留施設に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、公園や駐車場等の路面下には、大雨による河川や下水道の氾濫を抑制する一方、溜めた雨水を必要に応じて活用可能にするための雨水貯留施設が設けられている。このような雨水貯留施設としては、例えば、特許文献1に記載されているように、地面を掘り下げることによって底面が雨水の誘導傾斜面に形成されている貯水槽を設け、この貯水槽内に雨水を貯留する内部空間を有する充填体を縦横に敷設すると共に複数段に積み重ねることによって雨水貯留部を形成すると共にこの雨水貯留部をシート材や舗装材等の積層被覆材によって被覆し、さらに、上記誘導傾斜面の下傾端側にマンホールの底部に連通する排砂溝を設けてなり、大雨の際には雨水をこの雨水貯留部内に導入して貯留する一方、この貯留部内の雨水を排出する際には、雨水と共に貯留部内に流入した土砂や泥土等(以下、砂とする)を槽底面の上記誘導傾斜面上を流下させて排砂溝を通じてマンホールに導入し、マンホールを通じて雨水を外部に排出すると共に砂をマンホールの底部に沈降、堆積させ、バキューム装置等によってマンホールから排除するように構成している。
【0003】
また、特許文献2には、地面を掘り下げることによって底面中央部にU字側溝を設けてなる貯留槽を形成し、この貯留槽の底面上に、雨水を上記U字側溝に向かって誘導する傾斜板部を有する多数の第1充填部材を多列、多段に積み重ねると共に最上段の第1充填部材上に仕切板を介して雨水を貯留する第2充填部材を他列、多段に積み重ね、この第2充填部材を被覆材によって被覆する一方、上記U字側溝の端部をマンホールの底部に連通させてなり、第2充填部材内の雨水を第1充填部材の傾斜板部によって砂等と共にU字側溝に誘導すると共に、U字側溝に堆積した砂等の堆積物をマンホール内を通じてバキューム装置や噴射ノズルを有する洗浄水噴射管によって排除するように構成した雨水貯留施設が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−342520号公報
【特許文献2】特開2004−52243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の雨水貯留施設によれば、雨水を貯留する多数の充填体からなる雨水貯留部内の雨水を、この雨水に含まれている砂と共にマンホールの底部内に導入する手段として、貯水槽の底面をマンホールに向かって下方に傾斜させてなる誘導傾斜面によって形成しているため、貯水槽の底面をこのような傾斜面に形成するには、著しい手間と労力を要するばかりでなく、縦横に配列している最下段の全ての充填体の厚みを上記傾斜面が低くなるに従って、この低くなる分だけ傾斜面方向に徐々に厚くなるように形成してその上面を水平面とし、この上面に一定厚みを有する上段の充填体を縦横に配列できるようにしなければならず、構造が複雑化してコスト高になると共に施工費も高くつくといった問題点がある。
【0006】
一方、後者の雨水貯留施設によれば、貯留槽の底面を平坦な水平面に形成して一定厚みを有する同大、同形の第1充填部材を縦横に並設することができるが、雨水に含まれている砂を堆積させる手段を、貯留槽の底面中央部に設けたU字側溝によって形成しているため、このようなU字側溝を溝底に掘削してその表面を溝底面と共に防水構造とするには、上記前者の雨水貯留施設と同様に著しい手間と労力を要するものであり、その上、第1充填部材を貯留槽の底面上に配設する際に、これらの第1充填部材に設けている傾斜板部の下傾端側がU字側溝側に向いているのを確認しながら施工しなければならず、また、U字側溝も予め、上記第1充填部材の傾斜板部の下傾端がその溝の開口部上に通じるように掘削、形成しておく必要があるといった問題点が生じる。
【0007】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、構造が簡単で能率よく且つ正確に施工することができるのは勿論、雨水の貯留や貯留した雨水の排出が円滑に行えると共に、雨水に含まれる砂の集積、除去も簡単且つ確実に行える雨水貯留施設を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の雨水貯留施設は、請求項1に記載したように、地面を掘削することにより形成した貯水槽の底部に複数個の雨水誘導ユニット部材を縦横に並設、設置して雨水誘導部を形成すると共に、この雨水誘導部上に雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を敷設することによって雨水貯留部を形成し、この雨水貯留部の上面を被覆材によって被覆すると共に雨水貯留部の一端側又は中間にマンホールを設けてなる雨水貯留施設において、上記雨水誘導部は雨水を上記マンホールに向かって誘導する導水溝と、雨水貯留部内の雨水をこの導水溝に向かって誘導する傾斜面とを備えていることを特徴とする。
【0009】
このように構成した雨水貯留施設において、請求項2に係る発明は、雨水誘導部を形成している上記各雨水誘導ユニット部材上に上下方向に貫通した多数の通水孔を有する仕切板を取り付けてあり、この仕切板を介して雨水誘導ユニット上に雨水貯留ユニット部材を積層していることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に係る発明は、上記雨水誘導部を形成する雨水貯留ユニット部材は、平面矩形状の底面板の幅方向の中央部に雨水をマンホールに流入させるための導水溝を形成していると共にこの導水溝を中央にして底面板の両側部上面を導水溝に向かって下方に傾斜した雨水誘導傾斜面に形成し、且つ、底面板の少なくとも四隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設してなる中央雨水誘導ユニット部材と、上記底面板と同大、同形の底面板を備え、この底面板の上面を上記中央雨水誘導ユニット部材の雨水誘導傾斜面に向かって下方に傾斜し、且つ、その下傾端が中央雨水誘導ユニットの雨水誘導傾斜面の上傾端に面一状に連続する雨水誘導傾斜面に形成していると共にこの底面板の少なくとも四隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設してなる両側雨水誘導ユニット部材とからなることを特徴とする。
【0011】
上記請求項3に記載の雨水貯留施設において、請求項4に係る発明は、中央雨水誘導ユニット部材の底面板における導水溝が開口している端縁部以外の四方端縁に、下端が上記導水溝の底面よりも下方に位置する一定高さの周壁板部を下方に向かって突設していることを特徴とし、請求項5に係る発明は、両側雨水誘導ユニット部材の底面板の四方端縁に、雨水誘導傾斜面における上傾端側の高さが高く、下傾端側の高さが低い周壁板部を下方に向かって突設してあり、この周壁板部の下端面から底面板の四隅部に設けている仕切板取付用柱状突起の上端までの高さを全面的に等しい高さに形成し、且つ、中央雨水誘導ユニット部材と同一高さに形成していることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、上記中央及び両側の雨水誘導ユニット部材の底面板において、導水溝の長さ方向に直交する互いに平行な両端縁部と該両端縁部間の中間部上とに一定高さの側壁部を突設して隣接する側壁部間に雨水誘導傾斜面を設けていると共に、これらの側壁部の上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成してあり、さらに、側壁部の上端面における両側端部に仕切板取付用柱状突起を突設していることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、雨水貯留ユニット部材は、雨水誘導ユニット部材の底面板と同大、同形の底板部に下端が底板部から下方に全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部を一定間隔毎に突設していると共に、これらの中空突起部の上端に中空突起部の長さ方向に一体間隔毎に該中空突起部内に連通する数個の通孔を穿設した平面長方形状の突出頂部を形成してなり、下段の雨水貯留ユニット部材と上段の雨水貯留ユニット部材とを互いに直角に向きを変えて下段の雨水貯留ユニット部材の各中空突起部の突出頂部を上段の雨水貯留ユニット部材の各対応する中空突起部の下端開口部に嵌合させることにより積み重ねるように構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、貯水槽の底部に複数個の雨水誘導ユニットを縦横に並設、設置することによって形成した雨水誘導部上に雨水貯留ユニット部材を積み重ねることによって雨水貯留部を形成すると共に、雨水貯留部の一端側又は中間にマンホールを設けてなる雨水貯留施設において、上記雨水誘導部は雨水を上記マンホールに向かって誘導する導水溝と、雨水貯留部内の雨水をこの導水溝に向かって誘導する傾斜面とを備えてなるものであるから、施工に際して、貯水槽の底面をマンホールに向かって傾斜させたり、その底面にU字側溝などを設けることなく、全面に亘って平坦な水平面に形成した底面に雨水誘導ユニットを縦横に並列、設置することにより、雨水をマンホールに誘導する導水溝を有する雨水誘導部を簡単に配設することができ、構造の簡素化と共に施工が容易で工事費の低廉化を図ることができると共に、雨水誘導ユニットの配設によって上記マンホールに誘導する導水溝と共にこの導水溝に向かって雨水貯留部内の雨水を誘導する傾斜面も同時に設けることができる。
【0015】
また、雨水貯留部内の雨水を雨水誘導部に設けている傾斜面を通じてこの雨水誘導部に設けている導水溝内に円滑に流入させることができると共に、導水溝内に雨水と共に誘導されて該導水溝に堆積した砂等の堆積物を、雨水の排出後にマンホール側から該導水溝内に高圧噴水ノズル等を挿入することによって容易に洗浄、除去することができる。
【0016】
さらに、請求項2に係る発明によれば、雨水誘導部を形成している上記各雨水誘導ユニット部材上に上下方向に貫通した多数の通水孔を有する仕切板を取り付けてあり、この仕切板を介して雨水誘導ユニット上に雨水貯留ユニット部材を積層しているので、縦横に並設した雨水誘導ユニット部材上に取り付けている全ての仕切板の上面が水平面方向に連なった状態となって、これらの仕切板上に雨水貯留ユニット部材を簡単且つ正確に積み重ねることができて精度のよい安定した雨水貯留部を形成することができると共に、この雨水貯留部内の雨水を仕切板に設けている通水孔を通じて雨水誘導部側に均等に流下させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、上記雨水誘導部を形成する雨水誘導ユニット部材は、平面矩形状の底面板の幅方向の中央部に雨水をマンホールに流入させるための導水溝を形成していると共にこの導水溝を中央にして底面板の両側部上面を導水溝に向かって下方に傾斜した雨水誘導傾斜面に形成し、且つ、底面板の少なくとも四隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設してなる中央雨水誘導ユニット部材と、上記底面板と同大、同形の底面板を備え、この底面板の上面を上記中央雨水誘導ユニット部材の雨水誘導傾斜面に向かって下方に傾斜し、且つ、その下傾端が中央雨水誘導ユニットの雨水誘導傾斜面の上傾端に面一状に連続する雨水誘導傾斜面に形成していると共にこの底面板の少なくとも四隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設してなる両側雨水誘導ユニット部材とからなるので、中央雨水誘導ユニット部材と両側雨水誘導ユニット部材とを組み合わせることによって、中央雨水誘導ユニット部材の中央に設けている導水溝に向かって両側から雨水誘導傾斜面を通じて雨水を誘導できる一組の雨水誘導ユニット体を簡単に形成することができると共に、この雨水誘導ユニット体をその中央の導水溝同士が直状に連通するように施工することによって、貯水溝の広さに応じた雨水誘導部を能率よく且つ正確に形成することができる。
【0018】
その上、中央雨水誘導ユニット部材及び両側雨水誘導ユニット部材の底面板における少なくとも4隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設しているので、この仕切板取付用柱状突起に底面板の同じ大きさの多数の通水孔を有する仕切板を取り付けることにより、縦横に配設したこれらの雨水誘導ユニット部材上に、仕切板を介して雨水貯留ユニット部材を容易に且つ安定した状態に積み重ねることができる。
【0019】
さらに、請求項4に記載したように、中央雨水誘導ユニット部材においては、その底面板における導水溝が開口している端縁部以外の四方端縁に、下端が上記導水溝の底面よりも下方に位置する一定高さの周壁板部を下方に向かって突設しているので、この周壁板部によって中央雨水誘導ユニット部材を貯水槽の底面上に安定した状態で正確に設置することができると共にこの雨水誘導ユニット部材上に積み重ねられる雨水貯留ユニット部材を強固に受止することができる。
【0020】
その上、請求項5に記載したように、両側雨水誘導ユニット部材の底面板の四方端縁に、雨水誘導傾斜面における上傾端側の高さが高く、下傾端側の高さが低い周壁板部を下方に向かって突設してあり、この周壁板部の下端面から底面板の四隅部に設けている仕切板取付用柱状突起の上端までの高さを全面的に等しい高さに形成し、且つ、中央雨水誘導ユニット部材と同一高さに形成しているので、上記中央雨水誘導ユニット部材と共にこの両側雨水誘導ユニット部材を貯水槽の底面上に同一高さとなるように簡単且つ正確に施工することができると共にこれらの雨水誘導ユニット部材上に積み重ねられる雨水貯留ユニット部材からの載荷重を確実に受止することができて安定した雨水貯留施設を構成することができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、上記中央及び両側の雨水誘導ユニット部材の底面板において、導水溝の長さ方向に直交する互いに平行な両端縁と該両端縁部間の中間部上とに一定高さの側壁部を突設して隣接する側壁部間に雨水誘導傾斜面を設けていると共に、これらの側壁部の上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成しているので、この側壁部によって底面板の上面に形成されている傾斜面を小幅の雨水誘導傾斜面に複数分割してこの分割した雨水誘導傾斜面により雨水を正確に導水溝に向かって誘導することができると共に、全ての側壁部の上端面における両側端部に仕切板取付用柱状突起を突設しているので、仕切板上に積載する雨水貯留ユニット部材の荷重を雨水誘導ユニット部材の全面で略均等に受止させることができ、一層安定した雨水貯留施設を構成することができる。
【0022】
また、請求項7に係る発明によれば、雨水貯留ユニット部材は、雨水誘導ユニット部材の底面板と同大、同形の底板部に下端が底板部から下方に全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部を一定間隔毎に突設していると共に、これらの中空突起部の上端に中空突起部の長さ方向に一体間隔毎に該中空突起部内に連通する数個の通孔を穿設した平面長方形状の突出頂部を形成してなり、下段の雨水貯留ユニット部材と上段の雨水貯留ユニット部材とを互いに直角に向きを変えて下段の雨水貯留ユニット部材の各中空突起部の突出頂部を上段の雨水貯留ユニット部材の各対応する中空突起部の下端開口部に嵌合させることにより積み重ねるように構成しているので、上下に隣接する雨水貯留ユニット部材同士の重なり部分が極めて少なくて雨水の貯留空隙率の大きい雨水貯留ユニット部材を提供することができると共に、雨水誘導ユニット部材を安定した積み重ね状態にすることができる。
【0023】
なお、本発明においては、雨水貯留ユニット部材は上記構成に限らず、一定高さの筒状部材を縦横に設けてなる雨水誘導ユニット部材や枡目形状に形成してなる雨水誘導ユニット部材等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】雨水貯留施設の簡略縦断側面図。
【図2】雨水誘導部上に雨水貯留部を積み重ねている状態の拡大正面図。
【図3】中央雨水誘導ユニット部材の斜視図。
【図4】その正面図。
【図5】図3におけるA−A線縦断正面図。
【図6】図3におけるB−B線縦断正面図。
【図7】側部雨水誘導ユニット部材の斜視図。
【図8】その正面図。
【図9】図7におけるA'−A'線縦断正面図。
【図10】図7におけるB'−B'線縦断正面図。
【図11】中央及び側部雨水誘導ユニット部材を組み合わせた状態の平面図。
【図12】雨水誘導部の簡略平面図。
【図13】雨水誘導ユニット部材上に仕切板を取り付けた状態の斜視図。
【図14】仕切板を取り付けた雨水誘導ユニット部材を組み合わせた平面図。
【図15】雨水貯留ユニット部材の斜視図。
【図16】積み重ねている状態の縦断正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1、図2において、雨水貯留施設は、公園等の地面を掘り下げることによって形成した貯水槽1の底面に、平面矩形状で一定高さ(厚み)を有する複数個の雨水誘導ユニット部材20を互いに対向する端面を接合させながら縦横に並設、設置することによって雨水誘導部2を形成していると共に、この雨水誘導部2上に雨水を貯留する内部空間を有する平面矩形状で一定高さの雨水貯留ユニット部材30を縦横に敷き並べることによって一段目(最下段)の雨水貯留ユニット部材列を形成し、この雨水貯留ユニット部材列上に同じく同大、同形の雨水貯留ユニット部材30を縦横に敷き並べることによって二段目の雨水貯留ユニット部材列を形成し、この雨水貯留ユニット部材列を複数段、積み重ねることによって雨水貯留部3を形成してあり、さらに、この雨水貯留部3を、上面を舗装路面に形成している被覆材4によって被覆していると共に上記雨水貯留部3の一端側に底部が上記雨水誘導部2の下端よりも下方に位置するマンホール5を設けて、このマンホール5の底部に雨水誘導部2に設けている後述する導水溝22の開口端を連通させた構造としている。なお、雨水誘導ユニット部材20及び雨水貯留ユニット部材30は合成樹脂からなる成形品である。
【0026】
また、上記雨水貯留ユニット部材30は、雨水誘導ユニット部材20上に直接、積み重ねてもよいが、図2、図13に示すように、各雨水誘導ユニット部材20に上下方向に貫通した多数の通水孔6aを有する仕切板6を取付けてこの仕切板6上に雨水貯留ユニット部材30を設置している。なお、以下に説明する構成において、上記導水溝22の長さ方向の両端を前後端とし、且つ、マンホール5側を前側とすると共に、導水溝22の長さ方向に直交する方向を両側とする。
【0027】
上記貯水槽1は、地面を一定深さ所定面積に亘って掘削してなる凹窪部の掘削底面から四方の掘削壁面全面に亘って防水シート11を被覆していると共に必要に応じて掘削底面にコンクリート壁12を造成してあり、底面全面は水平面に形成されている。
【0028】
この貯水槽1の底面上に形成した上記雨水誘導部2は、中央雨水誘導ユニット部材20Aと、この中央雨水誘導ユニット部材20A の両側に配する側部雨水誘導ユニット部材20B 、20B を組み合わせてなり、中央雨水誘導ユニット部材20A は、図3〜図6に示すように、平面矩形状の底面板21の両側端間の中央部を全長に亘って一定幅の導水溝22に形成していると共に、この導水溝22を中央にして底面板21の両側部における前後両端縁部とこの前後両端縁部間の中間部とに、底面板21の両側端から導水溝22に向かって一定高さを有する平面長方形状の側壁部23を突設してあり、さらに、隣接する側壁部23、23間の底面板部、即ち、側壁部23、23によって区画された底面板部を両側端から導水溝22の両側端に向かって下方に緩やかに傾斜した雨水誘導傾斜面24に形成している。
【0029】
上記導水溝22の深さは全長に亘って一定深さに形成されているが、その幅方向の中央部が両側端部よりも深くなるように両側端から中央部に向かって下方に緩やかに傾斜させてあり、この導水溝22の両側端部を該導水溝22に対して直交する方向に形成している上記両側雨水誘導傾斜面24、24の下傾端部とし、底面板21の両側端側を両側雨水誘導傾斜面24、24の上傾端部としている。さらに、上記側壁部23は、底面板21の一部を上方に向かって一定高さ膨出させることによって形成されてあり、従って、その内部を中空に形成していると共に下端が下方に向かって全面的に開口させている。
【0030】
また、底面板21の前後両側端縁部に設けている上記側壁部23の上端面は、それぞれ前後端から雨水誘導傾斜面24に向かって下方に傾斜した傾斜端面23a に形成している一方、これらの前後側壁部23、23間に設けられている側壁部23の上端面は、その前後幅方向の中央から前後両端に向かって下方に傾斜した山形状の傾斜端面23a'に形成してあり、さらに、全ての側壁部23における長さ方向に一定間隔を存した両側端部上に一定高さの仕切板取付用柱状突起25、25を突設している。この仕切板取付用柱状突起25は一辺が側壁部23の前後幅と同じ寸法を有する平面正方形状に形成されていると共に下端から上端に向かって徐々に先細形状に形成されてあり、さらに、その上端面中央部に仕切板係止用突部25a を突設していると共にこの仕切板係止用突部25a に小径孔25b を穿設している。なお、この仕切板取付用柱状突起25の内部も、側壁部23内に連通した中空部に形成している。
【0031】
さらに、上記底面板21の前後及び両側の四方端縁に、下端が上記導水溝22の外底面よりも下方に位置し、且つ、下端面が同一平面上に連なった周壁板部26を下方に向かって突設してあり、この周壁板部26の下端面から上記全ての仕切板取付用柱状突起25の上端面間の高さを一定、即ち、中央雨水誘導ユニット部材20A の高さを一定に形成している。また、導水溝22の両側端に下端が周壁板部26の下端面と同一平面上に位置する脚片27a を下方に向かって突設していると共に、この脚片27a と底面板21の両側端との間の中間部における底面板21の下面に脚片27a と平行に下端が周壁板部26の下端面と同一平面上に位置する中間脚片27b を下方に向かって突設している。なお、底面板21の両側部における前後両端縁部に突設した側壁部23、23間に設けられている上記中間部の側壁部23は、1個であってもよいが、図においては2個、設けてあり、且つ、前後に隣接する側壁部23、23間の間隔を同一にしている。
【0032】
一方、この中央雨水誘導ユニット部材20A の両側に配する上記側部雨水誘導ユニット部材20B は、図7〜図10に示すように、中央雨水誘導ユニット部材20A の底面板21と平面形状が同大、同形の底面板21' の前後両端縁部における両側部に、上記中央雨水誘導ユニット部材20A の前後両端縁部における両側部に突設した側壁部23と平面形状が同大、同形の側壁部23' を突設していると共に、これらの前後側壁部23' 間の中間部にも平面形状が同大、同形の側壁部23' を突設している。即ち、底面板21' に突設しているこれらの前後側壁部23' 及び中間側壁部23' と、上記中央雨水誘導ユニット部材20A における底面板21に突設した前後側壁部23及び中間側壁部23とは、それぞれ底面板21と底面板21' 上の同じ位置に設けられていると共にその内部は中空に形成されていて下端が下方に向かって全面的に開口している。
【0033】
さらに、全ての側壁部23' における長さ方向に一定間隔を存した両側端部上に、上記中央雨水誘導ユニット部材20A に設けている仕切板取付用柱状突起25、25と同大、同形で内部が側壁部23' 内に連通している中空の仕切板取付用柱状突起25' 、25' を突設してあり、その上端面中央部に上記中央雨水誘導ユニット部材20A の仕切板係止用突部25a と同大、同形の仕切板係止用突部25a'を突設していると共にこの仕切板係止用突部25a'に小径孔25b'を穿設している。なお、この側部雨水誘導ユニット部材20B の底面板21' に突設している上記中間側壁部23' も上記中央雨水誘導ユニット部材20A と同様に、底面板21' の両側部における前後両端縁部に突設した側壁部23、23間の2箇所に設けてあり、且つ、前後に隣接する側壁部23、23間の間隔を同一にしている。
【0034】
また、両側に対向している側壁部23' 、23' との対向面間を該側壁部23' と平面形状が同大、同形で下端が下方に向かって開口している中空の側壁部23''によって直状に連接してこれらの3個の側壁部23' 、23''により底面板21' の内外両側端間に連なる一連の側壁23A を形成している。
【0035】
さらに、底面板21' は外側端から内側端に向かって下方に傾斜してあり、その下傾端を上記中央雨水誘導ユニット部材20A の雨水誘導傾斜面24の上傾端と同一高さにしてこの雨水誘導傾斜面24の上傾端に面一状に連通させる外側雨水誘導傾斜面24' に形成してあり、また、この外側雨水誘導傾斜面24' は、底面板21' 上に前後方向に等間隔毎に突設している上記側壁23A によって3等分されている。
【0036】
底面板21' はその前後及び両側の四方端縁に、上記中央雨水誘導ユニット部材20A の底面板21と同様に周壁板部26' を下方に向かって突設しているが、この周壁板部26' は底面板21' の傾斜面が低くなるに従って、この低くなる分だけその突出高さを徐々に低くなるように形成して、この周壁板部26の下端面から上記全ての仕切板取付用柱状突起25' の上端面間の高さを一定、即ち、側部雨水誘導ユニット部材20B の高さを一定に形成していると共に、中央雨水誘導ユニット部材20A と同一高さになるように形成している。また、底面板21' の下面における中央部と両側部とに前後方向に向かって下端面が周壁板部26' の下端面と同一水平面上に位置する脚片27c 、27d を突設している。
【0037】
また、底面板21' の前後端縁部に設けている上記側壁23A の上端面は、上記中央雨水誘導ユニット部材20A の前後側壁部23、23と同様に、それぞれ前後端から雨水誘導傾斜面24' に向かって下方に傾斜した傾斜端面23a に形成している一方、これらの前後側壁23A 、23A 間の中間部に設けられている側壁23A の上端面は、その前後幅方向の中央から前後両端に向かって下方に傾斜した山形状の傾斜端面23a'に形成して前後側の雨水誘導傾斜面24' 上に雨水を誘導するように形成している。
【0038】
上記のように構成している中央雨水誘導ユニット部材20A と側部雨水誘導ユニット部材20B とを縦横に組み合わせて並設、設置することにより、上記貯水槽1の底面上にマンホール5の底部に連通する雨水誘導部2を形成するには、まず、図11に示すように、中央雨水誘導ユニット部材20A に設けている導水溝22の長さ方向をマンホール5に向かう前後方向に向けた状態にして貯水槽1の底面上に設置すると共にこの中央雨水誘導ユニット部材20A の両側に側部雨水誘導ユニット部材20B 、20B を、その底面板21' によって形成している雨水誘導傾斜面24' の下傾端が中央雨水誘導ユニット部材20A の上傾端に連通するように、且つ、対向する側壁部23、23' が直状に接続するように設置して、中央雨水誘導ユニット部材20A と両側雨水誘導ユニット部材20B 、20B とが横列した一組の雨水誘導ユニット部材列を組み立てる。
【0039】
そして、この雨水誘導ユニット部材列を複数組、互いに中央雨水誘導ユニット部材20Aに設けている導水溝22が前後方向に直状に連通するように対向する前後端面同士を接合しながら貯水槽1の底面全長に亘って並設すると共に貯水槽1が幅広い場合にはその幅に応じて図12に示すように、この雨水誘導ユニット部材列に横列するように雨水誘導ユニット部材列を並設して貯水槽1の底面全面に亘って雨水誘導部2を形成する。なお、各列における直状に連通している導水溝22、22の前端側にはそれぞれマンホール5、5が設置されている。
【0040】
この雨水誘導部2を構成している全ての雨水誘導ユニット部材20A 、20B 上には、図13、図14に示すように、多数の通水孔6aを有する上記仕切板6が取付けられてあり、この仕切板6上に雨水貯留ユニット部材30が積み重ねられて雨水貯留部3を形成している。仕切板6は図13に示すように、雨水誘導ユニット部材20A 、20B と平面形状が同大、同形で一定厚みを有する矩形枠板に上下面間に連通する多数のスリット状通水孔6aを全面に設けていると共に、その下面において、上記雨水誘導ユニット部材20A 、20B に突設している各仕切板取付用柱状突起25、25' に対応した部分に、仕切板取付用柱状突起25、25' の上端面中央部に突設した仕切板係止用突部25a 、25a'に被嵌する係止孔6bを設けてあり、対応する仕切板係止用突部25a ,25a'に係止孔6aを被嵌することによって、各雨水誘導ユニット部材20A 、20B 上に仕切板6を重ね合わせた状態で取付けている。
【0041】
雨水貯留部3を構成する雨水貯留ユニット部材30としては、図15、図16に示すように、上記雨水誘導ユニット部材20の底面板21(21')と同大、同形の底板部31に、下端が底板部31から下方に全面的に開口している一定高さの断面等脚台形状の中空突起部32を前後方向又は左右方向に一定間隔毎に略全長(全幅)に亘って突設していると共にこれらの中空突起部32の上端面に中空突起部32内に連通する数個の通孔33を突設している突出頂部34を中空突起部32の長さ方向にこの中空突起部32と同一間隔毎に形成してなるもので、上記突出頂部34は、長さ方向を中空突起部32の長さ方向に向けている平面長方形状に形成してあり、且つ、中空突起部32の狭い間隔を存した対向した両側傾斜壁の下端間の開口幅を、突出頂部34を長さ方向に跨いでこの突出頂部34を被嵌可能な幅寸法に形成している。
【0042】
このように構成した雨水貯留ユニット部材30を図1、図2に示すように、上記雨水誘導部2を形成している全ての雨水誘導ユニット部材20A 、20B 上に上記仕切板6を介して載置して雨水誘導ユニット部材20A 、20B と同様に縦横に配した雨水貯留ユニット部材列を形成すると共にこの雨水貯留ユニット部材列を一段目として数段の雨水貯留ユニット部材列を積み重ねることにより、雨水貯留部3を構成している。この際、図16に示すように、下段の雨水貯留ユニット部材30とこの雨水貯留ユニット部材列上に設置されている上段の雨水貯留ユニット部材30とは、互いに平面方向に直角向きを変えて下段側の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32に上段側の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32を交差させ、且つ、この上段側の中空突起部32の開口下端面を下段側の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32に突設している突出頂部34に被嵌した状態にして下段の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32の上面に上段の雨水貯留ユニット部材30の中空突起部32の開口下端面を受止させている。
【0043】
さらに、この雨水貯留部3における最上段の雨水貯留ユニット部材列の上面全面を仕切板6'を介して被覆材4によって被覆している。被覆材4としては、雨水誘導部3の上面を防水シート41で被覆すると共にこの防水シート41上に礫層或いは土砂層42を介してアスファルト舗装層43を設けることによって形成しておいてもよく、或いは、上記防水シート41に代えて透水シートを使用し、この透水シート上に土砂層等を介して透水性舗装層を設け、降雨時に雨水を上記雨水貯留部3内に浸透させるように構成しておいてもよい。
【0044】
一方、雨水貯留部3の前端側には、雨水誘導部2における上記導水溝22に対応して、底面がこの導水溝22の前端開口部よりも下方に位置し、且つ、その底部に導水溝22の前端を連通させているマンホール5が設けられてあり、このマンホール5の上端部内に道路等に路肩に設けている側溝等からの雨水を供給する導水管7の開口端を臨ませていると共に、マンホール5の底部における上記雨水誘導部2の導水溝22よりも下位部にオリフィス等を介して一定量の雨水を外部に排出する導出管8の開口端を臨ませている。
【0045】
このように構成したので、降雨時にマンホール5内に流入した雨水は、マンホール5の底部内に充満し、このマンホール5から導出管8を通じて定量ずつ、外部に排出される雨量よりも多量の雨水がマンホール5内に流入すると、マンホール5の底部に臨んでいる雨水誘導部2における中央雨水誘導ユニット部材20A に設けている導水溝22内に流入して該導水溝22内の全長に亘って充満したのち、全ての中央雨水誘導ユニット部材20A の導水溝22からこれらの中央雨水誘導ユニット部材20A の両側に設けている雨水誘導傾斜面24、24上に流入しながら水位が上昇するに従って、この雨水誘導ユニット部材24、24の上傾端からこの上傾端に下傾端を連続させている側部雨水誘導ユニット部材20B 、20B の雨水誘導傾斜面24' 、24' 上に流入する。
【0046】
さらに、マンホール5内の水位が上昇し、その上昇に応じて雨水誘導傾斜面24、24' を形成している底面板21、21’上の空間部が雨水によって充満したのち、さらに水位が上昇すると、雨水誘導ユニット部材20A 、20B 上に設置している仕切板6に設けている多数の通水孔6aを通じて雨水が雨水貯留部3における最下段の雨水貯留ユニット部材30列における全ての中空突起部32内に浸入する。なお、雨水誘導ユニット部材20A 、20B における底面板21、21' の下面側の空間部には、底面板21、21' から上方に突設している中空の側壁部23、23' の上端突部25a'に設けた小径孔25b'等を通じて雨水が充満する。また、各雨水貯留ユニット部材30の隣接する中空突起部32間の空間部にもこれらの中空突起部32の突出頂部34に設けている通孔33等を通じて雨水が充満する。
【0047】
こうして、水位の上昇に従って雨水貯留部3における一段目の雨水貯留ユニット部材列内に雨水が充満したのち、さらに水位が上昇すると、上記同様にして2段目以降の雨水貯留ユニット部材列内に順次雨水が充満し、この状態で一時、貯留される。
【0048】
次いで、マンホール5内に流入する雨量が上記導出管8から排出される定量の雨水よりも少量となるか、或いは、降雨が停止すると、この導出管8から定量宛、雨水が排出されるに従って、雨水貯留部3内に貯留されている雨水が、雨水誘導部2を通じてマンホール5側に排出される。
【0049】
詳しくは、雨水誘導部2内から雨水貯留部3内に亘って貯留されている雨水は、雨水誘導部2の導水溝22を通じてマンホール5の底部内に流出し、この流出に伴って雨水貯留部2内の雨水が、最下段の雨水貯留ユニット部材列内から仕切板6の通水孔6aを通じて雨水誘導部2の中央雨水誘導ユニット部材20A 及び両側雨水誘導ユニット部材20B 内に向かって流動し、中央雨水誘導ユニット部材20A 上の雨水は、この中央雨水誘導ユニット部材20A に設けている上記導水溝22を通じて直接、或いは、この導水溝22の両側に設けている雨水誘導傾斜面24、24上を伝って導水溝22に誘導され、該導水溝22内を通じて上記とは逆方向にマンホール5に向かって流動、排出されると共に、両側雨水誘導ユニット部材20B 上に充満している雨水は、中央雨水誘導ユニット部材20A の両側雨水誘導傾斜面24、24にそれぞれ連通している雨水誘導傾斜面24' 、24' 上を伝って中央雨水誘導ユニット部材20Aの両側雨水誘導傾斜面24、24上から上記導水溝22に誘導され、この導水溝22からマンホール5に流動、排出される。
【0050】
なお、雨水誘導ユニット部材20A 、20B の底面板21、21' に突設している側壁部23、23' 上にある雨水は、これらの側壁部23、23' の上端傾斜端面23a 、23a'によって雨水誘導傾斜面24、24' に向かって誘導される。
【0051】
マンホール5の内に排出された雨水は上記導出管8を通じて外部に排出され、この排出に従って雨水貯留部3内に貯留されている雨水の水位が低下する。また、雨水に含まれている砂は、マンホール5の内底部上に沈降、堆積すると共に、一部は上記導水溝22上にも堆積する。そして、マンホール5の底部に堆積した砂は、地上側からバキューム装置によって排除する一方、導水溝22上に堆積する砂は、雨水誘導部2内の雨水が全て排除されたのち、マンホール5内からこの導水溝22内に高圧噴射ノズルを挿入して高圧水を噴射することによりマンホール5側に高圧水と共に排除すると共に導水溝22を洗浄する。
【0052】
なお、以上の実施例において、雨水誘導部2を構成する中央雨水誘導ユニット部材20Aと側部雨水誘導ユニット部材20B とに側壁部23、23' を突設しているが、このような側壁部23、23' は必ずしも設けておく必要はなく、上記底面板21、21' を導水溝22に向かって外側端から下方に向かって緩傾斜させ、且つ、この底面板21、21' の少なくとも四隅部に突設している仕切板取付用柱状突起25、25' によって仕切板6を介してこの仕切板6上の上載荷重を支持し得る構造であればよい。
【0053】
また、雨水貯留部3を構成する雨水貯留ユニット部材30としては、上記構造に限定されることなく、従来から知られている一定高さの筒状部材を縦横に設けてなる雨水誘導ユニット部材や枡目形状に形成してなる雨水誘導ユニット部材等を採用してもよく、また、段状に積み重ねることなく、一段のみによって雨水貯留部3を構成しておいてもよい。さらに、マンホール5は、雨水貯留部3の一端側にこの雨水貯留部3から雨水誘導部2の一端面に沿って設けているが、雨水貯留部3の両端側に設けてもよく、さらには、中間部、例えば、図12において、一個の雨水誘導ユニット部材20A の部分をこの雨水誘導ユニット部材20A 上に積み重ねている雨水貯留ユニット部材30と共にマンホールと置換した構造とし、且つ、このマンホールの底部の四方の壁面に開口部を設けておき、この開口部に雨水誘導ユニット部材20A の導水溝22を連通させた構造としておいてもよい。この場合、このマンホールを中央にしてその四方に雨水誘導ユニット部材20A 列が配設された構造となる。
【符号の説明】
【0054】
1 貯水槽
2 雨水誘導部
3 雨水貯留部
4 被覆材
5 マンホール
6 仕切板
20A 中央雨水誘導ユニット部材
20B 側部雨水誘導ユニット部材
21 底面板
22 導水溝
23 側壁部
24 雨水誘導傾斜面
25 仕切板取付用柱状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を掘削することにより形成した貯水槽の底部に複数個の雨水誘導ユニット部材を縦横に並設、設置して雨水誘導部を形成すると共に、この雨水誘導部上に雨水を貯留する内部空間を有する雨水貯留ユニット部材を敷設することによって雨水貯留部を形成し、この雨水貯留部の上面を被覆材によって被覆すると共に雨水貯留部の一端側又は中間にマンホールを設けてなる雨水貯留施設において、上記雨水誘導部は雨水を上記マンホールに向かって誘導する導水溝と、雨水貯留部内の雨水をこの導水溝に向かって誘導する傾斜面とを備えていることを特徴とする雨水貯留施設。
【請求項2】
雨水誘導部を形成している各雨水誘導ユニット部材上に上下方向に貫通した多数の通水孔を有する仕切板を取り付けてあり、この仕切板を介して雨水誘導ユニット上に雨水貯留ユニット部材を積層していることを特徴とする請求項1に記載の雨水貯留施設。
【請求項3】
雨水誘導部を形成する雨水貯留ユニット部材は、平面矩形状の底面板の幅方向の中央部に雨水をマンホールに流入させるための溝部を形成していると共にこの溝部を中央にして底面板の両側部上面を溝部に向かって下方に傾斜した雨水誘導傾斜面に形成し、且つ、底面板の少なくとも四隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設してなる中央雨水誘導ユニット部材と、上記底面板と同大、同形の底面板を備え、この底面板の上面を上記中央雨水誘導ユニット部材の雨水誘導傾斜面に向かって下方に傾斜し、且つ、その下傾端が中央雨水誘導ユニットの雨水誘導傾斜面の上傾端に面一状に連続する雨水誘導傾斜面に形成していると共にこの底面板の少なくとも四隅部に一定高さの仕切板取付用柱状突起を突設してなる両側雨水誘導ユニット部材とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。
【請求項4】
中央雨水誘導ユニット部材の底面板における溝が開口している端縁部以外の四方端縁に、下端が上記溝の底面よりも下方に位置する一定高さの周壁板部を下方に向かって突設していることを特徴とする請求項3に記載の雨水貯留施設。
【請求項5】
両側雨水誘導ユニット部材の底面板の四方端縁に、雨水誘導傾斜面における上傾端側の高さが高く、下傾端側の高さが低い周壁板部を下方に向かって突設してあり、この周壁板部の下端面から底面板の四隅部に設けている仕切板取付用柱状突起の上端までの高さを全面的に等しい高さに形成し、且つ、中央雨水誘導ユニット部材と同一高さに形成していることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の雨水貯留施設。
【請求項6】
中央及び両側の雨水誘導ユニット部材の底面板において、溝部の長さ方向に直交する互いに平行な両端縁部と該両端縁部間の中間部上とに一定高さの側壁部を突設して隣接する側壁部間に雨水誘導傾斜面を設けていると共に、これらの側壁部の上端面を雨水誘導傾斜面に向かって雨水を誘導する傾斜端面に形成してあり、さらに、側壁部の上端面における両側端部に仕切板取付用柱状突起を突設していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の雨水貯留施設。
【請求項7】
雨水貯留ユニット部材は、雨水誘導ユニット部材の底面板と同大、同形の底板に下端が底板から下方に全面的に開口している一定高さの截頭角錐形状の中空突起部を縦横に一定間隔毎に突設していると共に、これらの中空突起部の上端に該中空突起部内に連通する数個の通孔を穿設した平面長方形状の突出頂部を形成してなり、下段の雨水貯留ユニット部材と上段の雨水貯留ユニット部材とを互いに直角に向きを変えて下段の雨水貯留ユニット部材の各中空突起部の突出頂部を上段の雨水貯留ユニット部材の各対応する中空突起部の下端開口部に嵌合させることにより積み重ねるように構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雨水貯留施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−74692(P2011−74692A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228855(P2009−228855)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(390033112)積水テクノ成型株式会社 (48)
【Fターム(参考)】