説明

電力貯蔵型太陽光発電システム

【課題】太陽電池の発電電力と蓄電器の放電電力とを特定し、系統からの電力で充電された蓄電器の放電電力を逆潮流させないようにする。
【解決手段】太陽電池を系統と連系させる太陽光発電システムのパワーコンディショナを、太陽電池からの直流電力を交流変換するインバータ動作および系統からの交流電力を直流変換するコンバータ動作の双方向機能を有する電力変換器と、系統に逆潮流が発生したことを検出する逆潮流継電器と、太陽電池の出力変動を抑制する第一の蓄電器または夜間電力を充電する第二の蓄電器のいずれか一方に対する電力の充放電を選択的に制御する単一の制御器と、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器の出力に基づいて第二の蓄電器と制御器との接続を遮断する切替スイッチとで構成し、制御器を電力変換器の太陽電池側に接続し、切替スイッチを第一の蓄電器および第二の蓄電器と電力変換器との間に挿入接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池をパワーコンディショナにより系統と連系させ、太陽電池の発電電力あるいは系統からの電力を負荷に供給すると共に、夜間に系統からの電力を貯蔵するようにした電力貯蔵型太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点からクリーンな自然エネルギーの一つとして太陽光を利用した太陽光発電システムが注目されている。この太陽光発電システムは、太陽電池をパワーコンディショナにより系統と連系させ、太陽電池の発電電力あるいは系統からの電力を負荷に供給すると共に、夜間に系統からの電力を貯蔵するようにした電力貯蔵型太陽光発電システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の太陽光発電システムでは、昼間、太陽電池で発電された直流電力をパワーコンディショナにより交流電力に変換し、系統と連系して電力を負荷に供給するようにしている。このパワーコンディショナは、系統と連系していることから、太陽電池の発電電力が負荷の消費電力よりも小さい場合、太陽電池の発電電力は全て負荷で消費され、不足分が系統から供給される。また、太陽電池の発電電力が負荷の消費電力よりも大きい場合には、余剰電力が発生するので、その余剰電力を系統に逆潮流電力として供給するようにしている。
【0004】
一方、太陽電池の発電電力が得られない夜間では、系統からの電力をパワーコンディショナを介してバッテリ等の蓄電器に充電し、昼間にこれを利用することにより昼間の発電電力のピークを抑制し、夜間電力の有効利用を図るようにしている。
【特許文献1】特開2002−171674号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した従来の電力貯蔵型太陽光発電システムでは、太陽電池の発電電力が負荷の消費電力よりも小さい場合、太陽電池の発電電力は全て負荷で消費される。ここで、蓄電器に充電された電力が十分でなければ、負荷の消費電力に対する太陽電池の発電電力の不足分を系統からの電力で補っているが、蓄電器の充電電力が十分な場合、電力の不足分を蓄電器の放電電力で補うようにしている。一方、太陽電池の発電電力と蓄電器の放電電力との和が負荷の消費電力よりも大きい場合、余剰電力が発生するので、その余剰電力を系統に逆潮流電力として供給するようにしている。
【0006】
近年、電力会社の電力料金の関係で、前述の逆潮流電力が太陽電池で得られた発電電力であるのか、あるいは蓄電器で得られた放電電力であるのかを特定する必要がある。つまり、太陽電池からの発電電力による余剰電力は、逆潮流時に発電電力として電力料金を計量してもよいが、系統から蓄電器に充電された電力が逆潮流している余剰電力については、発電電力として電力料金を計量することは好ましくない。
【0007】
しかしながら、従来の電力貯蔵型太陽光発電システムでは、太陽電池で得られた発電電力であるのか、あるいは蓄電器で得られた放電電力であるのかを特定することができないため、前述した電力料金の算定を行うことが困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、前述した問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、太陽電池の発電電力と蓄電器の放電電力とを特定することができ、系統からの電力で充電された蓄電器の放電電力を逆潮流させないようにし得る電力貯蔵型太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、太陽電池と系統との間に設置され、太陽電池を系統と連系させるパワーコンディショナを備えた太陽光発電システムであって、パワーコンディショナは、太陽電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作および系統からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ動作の双方向機能を有する電力変換器と、系統に逆潮流が発生したことを検出する逆潮流継電器と、太陽電池の出力変動を抑制する第一の蓄電器または夜間電力を充電する第二の蓄電器のいずれか一方に対する電力の充放電を選択的に制御する単一の制御器と、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器の出力に基づいて第二の蓄電器と制御器との接続を遮断する機械式切替器とを備え、電力変換器を太陽電池と系統との間に挿入接続すると共に、逆潮流継電器を電力変換器と系統との間に挿入接続し、制御器を電力変換器の太陽電池側に接続すると共に、機械式切替器を第一の蓄電器および第二の蓄電器と電力変換器との間に挿入接続したことを特徴とする。
【0010】
本発明では、太陽電池の出力変動を抑制する第一の蓄電器または夜間電力を充電する第二の蓄電器のいずれか一方に対する電力の充放電を選択的に制御する単一の制御器を備え、この制御器により、二つの蓄電器で機能を分担させるように制御する。つまり、夜間に系統からの電力を第一の蓄電器に充電せずに第二の蓄電器に充電する。一方、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時、その系統に発生した逆潮流を逆潮流継電器で検出し、その検出信号に基づいて第二の蓄電器と制御器との接続を機械式切替器で遮断する。この第二の蓄電器と制御器との接続を切替器により機械的に遮断することで、第二の蓄電器を系統から確実に切り離すことができるので、系統からの電力が充電された第二の蓄電器の放電電力が余剰電力として系統に逆潮流されることはない。
【0011】
従って、逆潮流する余剰電力に系統からの電力が含まれることなく、その余剰電力の逆潮流を太陽電池の発電電力と特定することができ、太陽電池からの発電電力のみを逆潮流時の発電電力として電力料金を計量することができる。なお、第一の蓄電器は、太陽電池の出力変動を抑制するために充放電するものである。
【0012】
(1)前述の特徴点における機械式切替器は、第一の蓄電器が接続された第一の接点と、第二の蓄電器が接続された第二の接点とを備え、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器の出力に基づいて第二の接点を開成する切替スイッチとした構成が可能である。
【0013】
この構成では、夜間、切替スイッチにおける第二の接点を閉成することにより、系統からの電力を第二の蓄電器に充電する。この時、切替スイッチにおける第一の接点が開成されているので、系統からの電力が第一の蓄電器に充電されることはない。
【0014】
一方、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時、切替スイッチにおける第二の接点を開成することにより、第二の蓄電器と制御器との接続を切替スイッチにより機械的に遮断することで、第二の蓄電器を系統から確実に切り離すことができる。
【0015】
その結果、系統からの電力を充電した第二の蓄電器の放電電力が逆潮流されることはなく、逆潮流する余剰電力に系統からの電力が含まれることなく、余剰電力の逆潮流を太陽電池の発電電力のみに特定することができる。
【0016】
(2)前述の特徴点における機械式切替器は、第一の蓄電器が接続された第一のスイッチと、第二の蓄電器が接続され、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器の出力に基づいて開成する第二のスイッチとで構成することも可能である。
【0017】
この構成では、夜間、第二のスイッチを閉成することにより、系統からの電力を第二の蓄電器に充電する。この時、第一のスイッチを開成しているので、系統からの電力が第一の蓄電器に充電されることはない。
【0018】
一方、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時、第二のスイッチを開成することにより、第二の蓄電器と制御器との接続を第二のスイッチにより機械的に遮断することで、第二の蓄電器を系統から確実に切り離すことができる。
【0019】
その結果、系統からの電力を充電した第二の蓄電器の放電電力が逆潮流されることはなく、逆潮流する余剰電力に系統からの電力が含まれることなく、その余剰電力の逆潮流を太陽電池の発電電力のみに特定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、太陽電池の出力変動を抑制する第一の蓄電器または夜間電力を充電する第二の蓄電器のいずれか一方に対する電力の充放電を選択的に制御する単一の制御器を備え、この制御器により、二つの蓄電器で機能を分担させるように制御する。つまり、夜間に系統からの電力を第二の蓄電器に充電する。一方、太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時、その系統に発生した逆潮流を逆潮流継電器で検出し、その検出信号に基づいて第二の蓄電器と制御器との接続を機械式切替器で遮断する。この機械式切替器による遮断でもって、第二の蓄電器を系統から確実に切り離すことができ、系統からの電力が充電された第二の蓄電器の放電電力が余剰電力として系統に逆潮流されることはない。
【0021】
従って、逆潮流する余剰電力に系統からの電力が含まれることなく、その余剰電力の逆潮流を太陽電池の発電電力と特定することができ、太陽電池からの発電電力のみを逆潮流時の発電電力として電力料金を計量することができ、電力料金の算定を行うことが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る電力貯蔵型太陽光発電システムの実施形態を以下に詳述する。図1は本発明の第一の実施形態における太陽光発電システムの全体構成を例示する。図2(A)(B)は晴天時および曇天時における太陽光発電システムの運転パターンとして太陽電池の発電電力と負荷電力を例示する。図3は図1の太陽光発電システムの運転アルゴリズムを例示する。
【0023】
図1に示す第一の実施形態における太陽光発電システムは、太陽電池10をパワーコンディショナ20により系統30と連系させ、昼間に太陽電池10の発電電力あるいは系統30からの電力を負荷40に供給すると共に、夜間に系統30からの電力を貯蔵する電力貯蔵型である。なお、負荷40には、一般負荷42と重要負荷44とがある。この太陽光発電システムでは、太陽電池10の出力変動を抑制して出力安定化を図るための第一の蓄電器50と、夜間に系統30からの電力を充電するための第二の蓄電器60とを備えている。これら二つの蓄電器50,60としては、バッテリ等の二次電池や電気二重層コンデンサが使用可能である。
【0024】
パワーコンディショナ20は、太陽電池10からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作および系統30からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ動作の双方向機能を有する電力変換器22と、第一の蓄電器50または第二の蓄電器60のいずれか一方に対して電力の充放電を選択的に制御する単一の制御器(バッテリコントローラ)24と、系統30に逆潮流が発生したことを検出する逆潮流継電器(RPR)28aと、太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器28aの出力に基づいて第二の蓄電器60と制御器24との接続を遮断する機械式切替器である切換スイッチ27と、電力変換器22の連系運転と自立運転を切り替えるための連系スイッチ25とを具備する。なお、前述の逆潮流継電器28aは、系統30の不足電力を検出する不足電力継電器(UPR)28bと共に受電電力監視部28を構成する。
【0025】
制御器24は、電力変換器22の太陽電池10側に接続されている。また、第一の蓄電器50は、切替スイッチ27における第一の接点27aを介して制御器24に接続され、第二の蓄電器60は、切替スイッチ27における第二の接点27bを介して制御器24に接続されている。逆潮流継電器28aは、電力変換器22と系統30との間に挿入接続され、連系スイッチ25は、その逆潮流継電器28aと電力変換器22との間に挿入接続されている。なお、負荷40のうち、重要負荷44は、電力変換器22の系統30側に接続され、一般負荷42は、電力変換器22の系統30側に連系スイッチ25を介して接続されている。
【0026】
図2(A)は晴天時における太陽光発電システムの運転パターンとして太陽電池10の発電電力と負荷40の消費電力の関係を例示し、同図(B)は曇天時における太陽光発電システムの運転パターンとして太陽電池10の発電電力と負荷40の消費電力の関係を例示する。
【0027】
図2(A)に示すように、晴天時には、昼間料金時間帯で太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力を大きく上回る時間帯があり、この時間帯では太陽電池10の発電電力のみを負荷40に供給することになる。また、図2(B)に示すように、曇天時には、昼間料金時間帯で太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力を下回る時間帯があり、この時間帯では太陽電池10の発電電力に加えて、第二の蓄電器60の放電電力、系統30からの電力を負荷40に供給することになる。同図(A)(B)に示すように、晴天時および曇天時の両方において、安い深夜料金となる夜間時間帯では、太陽電池10の発電電力はなく、系統30からの電力を第二の蓄電器60に充電することになる。
【0028】
以下、図1の太陽光発電システムの運転アルゴリズムを図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0029】
この太陽光発電システムでは、まず、系統30に停電などの系統事故が発生しているか否かを判断する(STEP1)。系統事故が発生している場合、連系スイッチ25を開成することにより(STEP2)、電力変換器22を系統30から切り離して電圧制御により自立運転させる(STEP3)。なお、系統事故が発生していない場合には、連系スイッチ25が閉成された状態にあり、電力変換器22は系統30と連系して電流制御により連系運転している。
【0030】
系統事故の発生により連系スイッチ25を開成して電力変換器22が自立運転している状況で、第二の蓄電器60の充電電圧が十分(満充電状態)であるか否かを判断する(STEP4)。
【0031】
第二の蓄電器60の充電電圧が十分であれば、切替スイッチ27における第二の接点27bを閉成して第二の蓄電器60を制御器24により放電させる(STEP5)。これにより、太陽電池10の発電電力および第二の蓄電器60の放電電力が負荷40に供給されることになる(STEP6)。
【0032】
第二の蓄電器60の充電電圧が不十分であれば、切替スイッチ27における第一の接点27aを閉成して第一の蓄電器50を制御器24により放電させる(STEP7)。これにより、太陽電池10の発電電力および第一の蓄電器50の放電電力が負荷40に供給されることになる(STEP8)。
【0033】
このように、負荷40への電力供給は、第一の蓄電器50の放電電力あるいは第二の蓄電器60の放電電力のいずれか一方で行われる。太陽電池10の発電電力、および第一の蓄電器50の放電電力または第二の蓄電器60の放電電力を負荷40に供給する際、電力変換器22は、太陽電池10、第一の蓄電器50あるいは第二の蓄電器60からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作を実行する。
【0034】
一方、系統事故が発生していない場合には、太陽電池10の系統連系が夜間モード(夜間料金時間帯)であるか否かを判断する(STEP9)。なお、夜間モード(夜間料金時間帯)でなければ、昼間モード(昼間料金時間帯)となる。
【0035】
夜間モードの場合、電力変換器22は、系統30からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ動作(DC電圧一定制御)を実行する(STEP10)。この時、切換スイッチ27における第二の接点27bを閉成して制御器24により、系統30からの電力を第二の蓄電器60に充電する(STEP11,STEP12)。
【0036】
昼間モードの場合、電力変換器22を最大電力追従制御して太陽電池10から最大電力を引き出すことが可能か否か、また、電力変換器22をDC電圧一定制御することが可能か否かを判断する(STEP13)。ここで、最大電力追従制御(MPPT制御)とは、常に、太陽電池10からその時の日射で得られる最大の出力が取り出せるように太陽電池10の動作点をコントロールすることを意味する。例えば、晴天の場合、電力変換器22を最大電力追従制御(放電モード)することが可能であり、曇天などで日射量が少ない場合、電力変換器22の最大電力追従制御による太陽電池からの最大出力が有効に得られないことがある。その時にはDC電圧一定制御(放電モード)を行うことになる。
【0037】
従って、晴天の場合、電力変換器22は、太陽電池10に対する最大電力追従制御を行い、第一の蓄電器50あるいは第二の蓄電器60からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作を実行することになる(STEP14)。また、曇天などで日射量が少ない場合、電力変換器22は、太陽電池10、第一の蓄電器50あるいは第二の蓄電器60からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作(DC電圧一定制御)を実行することになる(STEP15)。
【0038】
ここで、太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも大きいか否かを判断する(STEP16)。太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも大きい場合には、太陽電池10の発電電力を負荷40に供給する。逆に、太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも小さい場合には、太陽電池10の発電電力を負荷40に供給すると共に、その不足分を第二の蓄電器60の放電電力で補う。つまり、切換スイッチ27における第二の接点27bを閉成して制御器24により第二の蓄電器60の放電電力を負荷40に供給する。
【0039】
前述したように、太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも大きい場合、太陽電池10の発電電力を負荷40に供給するに際して、太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生することがある。このような太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生した時、その系統30に発生した逆潮流を逆潮流継電器28aで検出し、その検出信号に基づいて切替スイッチ27における第二の接点27bを開成することにより第二の蓄電器60と制御器24との接続を遮断する(STEP17)。
【0040】
この第二の蓄電器60と制御器24との接続を切替スイッチ27により機械的に遮断することで、第二の蓄電器60を系統30から確実に切り離すことができるので、系統30からの電力が充電された第二の蓄電器60の放電電力が余剰電力として系統30に逆潮流されることはない。
【0041】
太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生した時、切替スイッチ27における第二の接点27bの開成でもって第二の蓄電器60と制御器24との接続を遮断することにより、系統30からの電力を充電した第二の蓄電器60の放電電力が逆潮流されることはなく、逆潮流する余剰電力に系統30からの電力が含まれることなく、余剰電力の逆潮流を太陽電池10の発電電力のみに特定することができる(STEP18)。
【0042】
このように、切替スイッチ27における第二の接点27bの開成でもって第二の蓄電器60と制御器24との接続を遮断することにより第二の蓄電器60を系統30から確実に切り離すことができる。この時、第一の蓄電器50は、切替スイッチ27における第一の接点27aが閉成されているので、太陽電池10の出力変動を抑制して出力安定化を図るために充放電される(STEP17)。
【0043】
なお、切換スイッチ27における第二の接点27bの開成による機械的な遮断でもって第二の蓄電器60を系統30から確実に切り離した後は、逆潮流継電器28aの検出動作を無効にして余剰電力の逆潮流を可能にする。
【0044】
一方、太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも小さい場合、第二の蓄電器60の充電電圧が十分(満充電状態)であるか否かを判断する(STEP19)。
【0045】
太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも小さい場合、第二の蓄電器60の充電電圧が十分であれば、切換スイッチ27における第二の接点27bを閉成して制御器24により第二の蓄電器60を放電させる(STEP20)。これにより、太陽電池10の発電電力、第二の蓄電器60の放電電力および系統30からの電力が負荷40に供給されることになる(STEP21)。
【0046】
この時、第二の蓄電器60の放電電力が負荷40に供給されるため、逆潮流継電器28aは、その検出動作により逆潮流を監視する状態にある。系統30に逆潮流が発生した場合には、前述したようにこの逆潮流継電器28aの検出出力に基づいて切替スイッチ27における第二の接点27bを開成することにより、第二の蓄電器60を系統30から切り離すことになる。
【0047】
太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも小さい場合、第二の蓄電器60の充電電圧が不十分であれば、第一の蓄電器50の充電電圧が十分(満充電状態)であるか否かを判断する(STEP22)。
【0048】
第一の蓄電器50の充電電圧が十分であれば、切換スイッチ27における第一の接点27aを閉成して制御器24により第一の蓄電器50を放電させる(STEP23)。これにより、太陽電池10の発電電力、第一の蓄電器50の放電電力および系統30からの電力が負荷40に供給されることになる(STEP24)。なお、第一の蓄電器50は、その充放電により太陽電池10の出力変動を抑制して出力安定化を図る機能も発揮している。
【0049】
この時、第二の蓄電器60は系統30から切り離されてその放電電力が系統30に逆潮流されることはないので、逆潮流継電器28aは、その検出動作を無効にすることにより逆潮流の監視を不要としている。
【0050】
一方、第一の蓄電器50の充電電圧が不十分であれば、切換スイッチ27における第一の接点27aを閉成して制御器24により第一の蓄電器50を充放電させる(STEP25)。この第一の蓄電器50は、太陽電池10の出力変動を抑制して出力安定化を図る機能のみを発揮する。この場合、太陽電池10の発電電力および系統30からの電力が負荷40に供給されることになる(STEP26)。
【0051】
この時、第二の蓄電器60は系統30から切り離されてその放電電力が系統30に逆潮流されることはないので、逆潮流継電器28aは、その検出動作を無効にすることにより逆潮流の監視を不要としている。
【0052】
以上で説明した第一の実施形態では、第一の蓄電器50が接続された第一の接点27aと、第二の蓄電器60が接続された第二の接点27bとを備えた切替スイッチ27を第一の蓄電器50および第二の蓄電器60と制御器24との間に設けた構成としている。
【0053】
本発明における太陽光発電システムは、第一の実施形態のような構成以外に、図4に示す第二の実施形態のような構成とすることも可能である。なお、図4に示す第二の実施形態の太陽光発電システムにおいて、図1に示す第一の実施形態の太陽光発電システムと同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
【0054】
図4に示す第二の実施形態の太陽光発電システムにおいては、太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器28aの出力に基づいて第二の蓄電器60と制御器24との接続を遮断する機械式切替器を、第一の蓄電器50が接続された第一のスイッチ29と、第二の蓄電器60が接続され、太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生した時に逆潮流継電器28aの出力に基づいて開成する第二のスイッチ21とで構成している。
【0055】
このような構成を具備した太陽光発電システムでは、系統事故が発生していない場合、電力変換器22が系統30からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ動作(DC電圧一定制御)を実行する夜間モードで、第二のスイッチ21を閉成することにより、制御器24でもって系統30からの電力を第二の蓄電器60に充電する。この時、第一のスイッチ29を開成しているので、系統30からの電力が第一の蓄電器50に充電されることはない。
【0056】
一方、電力変換器22が太陽電池10、第一の蓄電器50あるいは第二の蓄電器60からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作(曇天などで日射量が少ない時:DC電圧一定制御、晴天時:最大電力追従制御)を実行する昼間モードで、太陽電池10の発電電力が負荷40の消費電力よりも大きい場合、太陽電池10の発電電力を負荷40に供給するに際して、太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生することがある。
【0057】
この太陽電池10の余剰電力の逆潮流が発生した時、逆潮流継電器28aの検出信号に基づいて第二のスイッチ21を開成することにより、第二の蓄電器60と制御器24との接続を第二のスイッチ21により機械的に遮断することで、第二の蓄電器60を系統30から確実に切り離すことができる。
【0058】
その結果、系統30からの電力を充電した第二の蓄電器60の放電電力が逆潮流されることはなく、逆潮流する余剰電力に系統30からの電力が含まれることなく、余剰電力の逆潮流を太陽電池10の発電電力のみに特定することができる。
【0059】
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明における第一の実施形態で、太陽光発電システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】(A)は晴天時における太陽光発電システムの運転パターンとして太陽電池の発電電力と負荷電力を示すグラフ、(B)は曇天時における太陽光発電システムの運転パターンとして太陽電池の発電電力と負荷電力を示すグラフである。
【図3】図1の太陽光発電システムの運転アルゴリズムを示すフローチャートである。
【図4】本発明における第二の実施形態で、太陽光発電システムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
10 太陽電池
20 パワーコンディショナ
21 機械式切替器(第二のスイッチ)
22 電力変換器
24 制御器
27 機械式切替器(切替スイッチ)
28a 逆潮流継電器
29 機械式切替器(第一のスイッチ)
30 系統
50 第一の蓄電器
60 第二の蓄電器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と系統との間に設置され、前記太陽電池を系統と連系させるパワーコンディショナを備えた太陽光発電システムであって、
前記パワーコンディショナは、太陽電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータ動作および系統からの交流電力を直流電力に変換するコンバータ動作の双方向機能を有する電力変換器と、系統に逆潮流が発生したことを検出する逆潮流継電器と、太陽電池の出力変動を抑制する第一の蓄電器または夜間電力を充電する第二の蓄電器のいずれか一方に対する電力の充放電を選択的に制御する単一の制御器と、前記太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に前記逆潮流継電器の出力に基づいて第二の蓄電器と制御器との接続を遮断する機械式切替器とを備え、
前記電力変換器を太陽電池と系統との間に挿入接続すると共に、前記逆潮流継電器を電力変換器と系統との間に挿入接続し、前記制御器を電力変換器の太陽電池側に接続すると共に、前記機械式切替器を第一の蓄電器および第二の蓄電器と電力変換器との間に挿入接続したことを特徴とする電力貯蔵型太陽光発電システム。
【請求項2】
前記機械式切替器は、第一の蓄電器が接続された第一の接点と、第二の蓄電器が接続された第二の接点とを備え、前記太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に前記逆潮流継電器の出力に基づいて第二の接点を開成する切替スイッチとした請求項1に記載の電力貯蔵型太陽光発電システム。
【請求項3】
前記機械式切替器は、第一の蓄電器が接続された第一のスイッチと、第二の蓄電器が接続され、前記太陽電池の余剰電力の逆潮流が発生した時に前記逆潮流継電器の出力に基づいて開成する第二のスイッチとで構成されている請求項1に記載の電力貯蔵型太陽光発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−33802(P2009−33802A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192427(P2007−192427)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 新エネルギー技術研究開発 太陽光発電システム実用化加速技術開発 太陽光・蓄電ハイブリッドシステム技術開発に係る共同研究 産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(594208075)フジプレアム株式会社 (15)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】