説明

電動芝刈機

【課題】バッテリ式の電動芝刈機において、本体部のバッテリ取り付け台座部に、標準バッテリに代えて、複数本の仕様外のバッテリを収容したバッテリコンバータを使用できるようにすることで、当該電動芝刈機の使い勝手を一層高めるとともに、バッテリの有効活用を図る。
【解決手段】複数本のバッテリを収容したコンバータ本体部51を本体部10の前部に搭載し、電源コード53を経て接続されたアダプタ52を標準バッテリに代えてバッテリ取り付け台座部23に取り付ける構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外において使用者が押して移動させながら芝生等の刈り込みに用いる電動芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動芝刈機は、車輪を備えた本体部と、本体部から後方斜め上方へ延びるハンドル部を備えており、使用者はハンドル部を把持して本体部を押しながら移動させることにより芝刈りを行うことができる。本体部には、電動モータを駆動源として回転する刈り込み刃が備え付けられている。電動モータはその軸線を上下にした縦向きに内装されており、このモータ軸線を中心にして刈り込み刃は本体部の下面に沿って水平方向に回転する。このため、本体部に対する車輪高さを変更することにより、刈り込み高さを変更することができる。電動芝刈機に関する様々な技術が、下記の特許文献に開示されている。
電動芝刈機は、交流電源を電源とするものの他、バッテリを搭載して直流電源で動作するものが提供されている。バッテリを電源とする直流電源タイプの電動芝刈機によれば、長い電源コード等を引きずる必要がないので、屋外での取り回し(使い勝手)が良くなって効率よく作業を行うことができる。バッテリは、本体部から取り外して、別途用意した充電器により充電することにより繰り返し使用することができる。
近年、バッテリには、電動工具等に用いられるリチウムイオン式のバッテリパック(バッテリケースに複数本のセルを収容したもの)が広く普及してきており、このリチウムイオンバッテリを電源として搭載する電動芝刈機が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3160759号公報
【特許文献2】特許第3329654号公報
【特許文献3】特許第3553277号公報
【特許文献4】特許第3776772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリ式の電動芝刈機については、さらに改良を加える必要があった。例えば、近年、生垣刈り込み用のヘッジトリマや木材切断用のチェーンソー等の主として園芸用のバッテリ式電動工具については、本体部に装着したバッテリに代えてバッテリコンバータを用いる技術が提供されている。このバッテリコンバータは、複数のバッテリを収容したコンバータケースと、工具本体部のバッテリ装着部に装着するアダプタを電源コードで接続したもので、係るバッテリコンバータによれば、工具本体部に対して複数バッテリを使用できるようになる。
本発明は、バッテリ式の電動芝刈機について、係るバッテリコンバータを利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、下記の発明によって解決される。
第1の発明は、電動モータにより回転する刈り込み刃を備えた本体部を備え、電動モータがバッテリを電源として駆動する電動芝刈機であって、バッテリを装着するバッテリ装着部に、バッテリコンバータを接続可能な電動芝刈機である。
第1の発明によれば、バッテリ装着部からバッテリを取り外してバッテリコンバータを接続することにより、当該電動芝刈機を異なる形態で使用することができ、当該電動芝刈機の付加価値を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、本体部の前部にコンバータ本体部を装着可能な電動芝刈機である。
第2の発明によれば、本体部の前部に比較的重量の大きなコンバータ本体部を装着することにより、当該本体部を前進させる際の直進性を高めることができ、これにより当該電動芝刈機の操作性及び作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る電動芝刈機の全体斜視図である。
【図2】本実施形態に係る電動芝刈機の本体部の縦断面図である。本図は、バッテリカバーを閉じたバッテリ装着状態を示している。
【図3】本実施形態に係る電動芝刈機の本体部の縦断面図である。本図は、バッテリカバーを開けてバッテリを取り外した状態を示している。
【図4】本実施形態に係る電動芝刈機の本体部の平面図である。
【図5】図4の(V)-(V)線断面矢視図であって、ロックオフキー及びその周辺の縦断面図である。
【図6】スイッチ装置を図1中矢印(VI)方向から見た縦断面図である。
【図7】スイッチ装置を構成する主要部材の位置関係を図1中矢印(VI)方向から見た左側面図である。本図は、第1スイッチと第2スイッチの何れもオン操作されていない状態を示している。
【図8】図7に示す状態のスイッチ装置を図7中矢印(VIII)方向から見た前面図である。
【図9】スイッチ装置の前面図である。本図は、第1スイッチのみがオン操作された状態を示している。
【図10】スイッチ装置の左側面図である。本図は、第2スイッチのみがオン操作された状態を示している。
【図11】刈り高さ調整機構の図柄表示部の平面図である。本図では、5種類(A)〜(E)の図柄表示部が例示されている。
【図12】刈り高さ調整機構の図柄表示部の平面図である。本図では、5種類(F)〜(J)の図柄表示部が例示されている。
【図13】本実施形態に係る電動芝刈機の全体斜視図である。本図は、バッテリコンバータ搭載タイプを示している。
【図14】バッテリコンバータを搭載した本体部の左側面図である。
【図15】バッテリコンバータを搭載した本体部の縦断面図である。
【図16】バッテリコンバータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。図1は、本実施形態の電動芝刈機1の全体を示している。この電動芝刈機1は、本体部10とハンドル部3を備えている。本体部10は、前後左右の車輪2〜2を備えている。本体部10の後部に、刈り取った芝等を溜めておくための刈り取りボックス4が備え付けられている。この刈り取りボックス4の上方であって本体部10の後部から、枠形のハンドル部3が後方斜め上方へ延びる状態に装備されている。使用者は、電動芝刈機1の後部側に位置してハンドル部3を把持し、前方へ押して移動させることにより芝刈作業等を行うことができる。このハンドル部3は、左右のハンドル固定ねじ3a,3aを緩めることにより前側へ回動させて本体部10に折り重なる位置に収納することもできる。以下の説明では、部材や構成等の左右方向については使用者を基準とした方向で用いる。
図2及び図3に示すように、本体部10は、車輪2〜2を支持するデッキ部11と、デッキ部11の上方を覆うように取り付けられたカウリング部12を備えている。デッキ部11のほぼ中央に電動モータ13が取り付けられている。この電動モータ13は、出力軸13aを路面Gに向けた下向きの姿勢(モータ軸線Jを路面Gにほぼ直交させる向き)で取り付けられている。
デッキ部11には、刈り込み刃14により刈り取った芝等を集草するための集草ダクト17が設けられている。デッキ部11の下面側は、路面Gに向けて円筒形に大きく開口しており、これが集草ダクト17の集草口17aとなる。この集草口17a内に刈り込み刃14が水平に配置されている。この集草ダクト17は、電動モータ13を中心とする螺旋経路に沿って集草口17aの前部から後ろ側に向けて徐々に上方へ奥深く形成されて、本体部10の後部に大きく開口された排出口17bに至っている。この排出口17bに上記刈り取りボックス4が接続されている。
電動モータ13の出力軸13aは、デッキ部11の下面側に突き出されており、この突き出し部分に刈り込み刃14が取り付けられている。刈り込み刃14は、出力軸13aを中心にしてデッキ部11の下面に沿った水平方向に回転する。この刈り込み刃14の路面Gからの高さが刈り込み高さとなる。この刈り込み高さは、刈り込み高さ調整機構15によって任意に調整できるようになっている。この刈り高さ調整機構については公知の技術であるので簡単に説明する。デッキ部11に対して車輪2〜2は上下に変位可能に支持されている。図4に示すように本体部10の左側部には、刈り込み高さを調整するための刈り込み高さ調整機構15が設けられている。この刈り込み高さ調整機構15は、使用者が前後に傾動操作する刈り込み高さ調整レバー18を備えている。この刈り込み高さ調整レバー18の操作によりリンク機構16を介して車輪2〜2の高さ位置を上下に変更することができる。デッキ部11に対する車輪2〜2の高さを変更することにより、当該デッキ部11の路面Gからの車高を変更することができ、これにより、刈り込み刃14の路面G(刈り込み面)に対する高さ位置(刈り込み高さ)を調整できるようになっている。
【0008】
本実施形態の電動芝刈機1は、充電式のバッテリを電源として作動する。本体部10の上面であって、カウリング部12の上面ほぼ中央には、バッテリ装着部20が設けられている。このバッテリ装着部20は、上下に開閉可能なバッテリカバー22を備えている。図3に示すようにバッテリカバー22を上方へ回動させて開くと、バッテリ取り付け台座部23が開放される。このバッテリ取り付け台座部23に一つのバッテリ21が取り付けられている。図2に示すようにバッテリカバー22を下方へ回動させて閉じると、バッテリ21を取り付けた状態でバッテリ取り付け台座部23の全体が覆われる。バッテリカバー22の後部には、後述するバッテリコンバータ50の電源コード53を通すためのコード挿通口22bが設けられている。
バッテリ21には、ねじ締め機やマルノコ等のバッテリ式電動工具に用いられるリチウムイオンバッテリを利用することができる。本実施形態では、スライド取り付け形式のバッテリ21を用いることができる。図4に示すようにバッテリ取り付け台座部23に左右一対のスライドレール23a,23aが設けられている。この左右一対のスライドレール23a,23aに対してバッテリ21を前後にスライドさせることにより、当該バッテリ21をバッテリ取り付け台座部23に取り付けることができ、逆に取り外すことができる。左右のスライドレール23a,23a間にコネクタ部24が設けられている。左右のスライドレール23a,23aに対してバッテリ21を前方へスライドさせて取り付けると、このコネクタ部24を経て当該バッテリ21が本体部10の電源回路に電気的に接続される。
図示するようにバッテリ21の取り付け方向(図3において白抜きの矢印で示す方向)は、前方斜め下方に傾斜した方向になっている。このため、バッテリ取り付け台座部23は前方へ下る方向に傾斜した状態に設けられている。
図2に示すようにバッテリ21は、バッテリ取り付け台座部23に取り付けられると、電動モータ13よりも上方かつそのモータ軸線Jよりも後ろ側(後方斜め上方)で平面的に見て当該電動モータ13の上方を避けた位置となるようその取り付け位置が設定されている。
このように、バッテリ21が電動モータ13の上方を避けて後ろ側へずれた位置に取り付けられる構成とすることにより、本体部10が高さ方向にコンパクトに構成されている。しかも、バッテリ21の取り付け方向がモータ軸線Jに対して傾斜方向に設定され、その後部側を上側にした前傾姿勢に取り付けられる構成であるので、当該バッテリ21の取り付け、取り外し操作を楽に行うことができるようになっている。
また、バッテリ取り付け台座部23がカウリング部12の上面に設けられて、電動モータ13を取り付けたデッキ部11から切り離されている(直接接触していない)ので、電動モータ13の振動がバッテリ21に直接伝わらないようになっている。この点で、バッテリ21の振動対策が施されている。
【0009】
バッテリ21の後部には、バッテリ取り付け台座部23に対する取り付け状態をロックするためのロック爪21aとこれを解除操作するための解除ボタン(図では見えていない)が設けられている。バッテリ21のバッテリ取り付け台座部23への取り付け状態において、この後面に配置された解除ボタンは、本体部10(カウリング部12)の最頂部10aよりも高い位置となるようこれらの相対的な高さ位置が設定されている。バッテリ21の解除ボタンが本体部10の最頂部10aよりも高い位置にあることから、バッテリ取り外し時のロック解除操作を楽に行うことができる。なお、本体部10の最頂部10aは、デッキ部11に螺旋状に上昇する経路で設けられた集草ダクト17の排出口17bの上部に相当する部位に相当している。
図4に示すように前側に下る方向に傾斜したバッテリ取り付け台座部23の最も低い前部左右には、排水孔25,25が設けられている。この左右の排水孔25,25は、図4に示すように平面的に見てモータ13の上方を避けた位置に配置されている。バッテリ取り付け台座部23上に浸入した雨水等は、当該バッテリ取り付け台座部23の最も低い位置に集水された後、この排水孔25,25を経てデッキ部11側へ排水される。左右の排水孔25,25は、電動モータ13の上方を避けた位置に配置されているので、排水が電動モータ13に降りかからないようになっており、これにより電動モータ13の水濡れが防止されている。
また、図2及び図3に示すようにバッテリ取り付け台座部23の前側には、上方へ張り出す防水リブ26が設けられている。この防水リブ26は、平面視で前側に半円弧形状に膨らんだ向きに設けられている。この防水リブ26は、当該本体部10を起立させた姿勢で、バッテリ取り付け台座部23の上方に張り出した状態となる。この防水リブ26によって、閉じ状態のバッテリカバー22内に隙間から浸入した雨水等がバッテリ取り付け台座部23に直接降りかかることが防止される。
【0010】
次に、バッテリ取り付け台座部23の右側であって、本体部10の中央に対して刈り込み高さ調整レバー18とは反対側に、いわゆるロックオフキー30の差し込み部31が設けられている。また、このキー差し込み部31は、バッテリ21の右側方であって、当該バッテリ21のバッテリ装着部20(バッテリ取り付け台座部23)に対する取り付け、取り外し経路を避けた部位に配置されている。このため、バッテリ21のバッテリ取り付け台座部23に対する取り付け、取り外しの際に差し込んだロックオフキー30が邪魔になることがない。
図4及び図5に示すようにロックオフキー30をキー差し込み部31に差し込んでロックオフ解除操作することにより本体部10の電源回路にバッテリ21が電気的に接続されて、後述するスイッチ操作により本体部10(電動モータ13)を起動可能な状態となる。ロックオフキー30をキー差し込み部31から抜き出したロックオフ状態では、バッテリ21が電源回路に電気的に接続されず、従ってスイッチ操作しても本体部10(電動モータ13)は起動しない。このようにこのロックオフキー30は、本体部10のロックオフ状態を解除し、またロックオフ状態にする機能を有している。
このキー差し込み部31も、バッテリカバー22で覆われる範囲内に配置されている。このことから、ロックオフキー30及びキー差し込み部31についても、バッテリ取り付け台座部23と同様、雨水や散水等に対する防水がなされている。
また、図5に示すようにバッテリカバー22の後部内側には、規制凸部22aが一体に設けられている。この規制凸部22aは、バッテリカバー22を閉じると、ロックオフキー30の真上に位置する。この規制凸部22aによってロックオフキー30の振動等による不用意な抜けが防止されるようになっている。バッテリカバー22を明けると、この規制凸部22aがロックオフキー30の真上から退避するので、ロックオフキー30をキー差し込み部31から抜き出すことができるようになる。
【0011】
図4に示すようにロックオフキー30には、平板形状のつまみ部30aが設けられている。ロックオフキー30は、このつまみ部30aの面方向を前後方向に沿わせた向きでキー差し込み口31に差し込まれる。このため、ロックオフキー30は、つまみ部30aを左右に張り出さない状態でキー差し込み口31に差し込まれる。これによりロックオフキー30をよりバッテリ取り付け台座部23により接近させることができるとともに、バッテリカバー22の左右幅のコンパクト化を図りつつ、当該バッテリカバー22を閉じてその内側にロックオフキー30を収容することができる。
また、ロックオフキー30がバッテリ取り付け台座部23により近い部位に配置されていることにより、使用者は双方を一目で確認することができ、これによりバッテリ21の外し忘れ、及びロックオフキー30の抜き忘れ等を未然に防止することができる。
図4に示すようにバッテリ取り付け台座部23の後方であって本体部10の最頂部10aには、当該電動芝刈機1を持ち運ぶ際に使用者が把持するキャリングハンドル27が設けられている。また、このキャリングハンドル27の前側であってバッテリ取り付け台座部23の後部には、バッテリカバー22を閉じ状態にロックするためのロック爪及びこれを解除するための閉じロック解除レバー28が設けられている。さらに、本体部10の後部には、左右一対の脚部29,29が設けられている。この脚部29,29によって、刈り取りボックス4を取り外した状態で本体部10を自立させておくことができ、この自立状態で当該電動芝刈機1を収納しておくことができる。
【0012】
ハンドル部3の右側部には、二重操作形式のスイッチ装置40が装備されている。このスイッチ装置40の詳細が図6に示されている。このスイッチ装置40は、押しボタン形式の第1スイッチ41とレバー形式の第2スイッチ42とメインスイッチ43を備えている。第1スイッチ41と第2スイッチ42とメインスイッチ43は、スイッチケース44内に収容されている。スイッチケース44を介して当該スイッチ装置40がハンドル部3の右側部であって、使用者が操作しやすい位置に取り付けられている。スイッチケース44内において、第1スイッチ41の下側に第2スイッチ42が配置されている。第1スイッチ41の前側にメインスイッチ43が配置されている。
第1スイッチ41は、円柱体形状の押しボタンで、図6において紙面に直交する方向(左右方向)に移動可能に支持されている。第1スイッチ41の頭部は、スイッチケース44の左側部から突き出されている。この突き出し部分の下方は、図1に示すようにスイッチケース44の左側部に一体に設けた半円形のスイッチカバー49によって覆われている。このスイッチカバー49によって第1スイッチ41に不用意に手が触れたり、他の物品が干渉することによる誤操作が防止される。
第1スイッチ41は、図6において紙面手前側のオフ位置に戻される方向にばね付勢されている。従って、この第1スイッチ41は、指先でばね付勢力に抗して押し込み操作するとオン位置に移動する。
第2スイッチ42は、支軸42cを介して上下に傾動可能に支持されている。この第2スイッチ42の後部には、スイッチレバー45の一端側が結合されている。このスイッチレバー45は、スイッチケース44の後部から後方へ突き出されている。このスイッチレバー45は、ハンドル部3の把持部3bに沿って反対側(左側)まで延びている。このスイッチレバー45の他端側は、ハンドル部3の左側部に設けた傾動支持部46を介して上下に傾動可能に結合されている。使用者は、ハンドル部3の把持部3bを把持した手の指先でこのスイッチレバー45を上下に傾動させることにより第2スイッチ42をオンオフ操作することができる。本実施形態では、スイッチレバー45を下側へ傾動させて第2スイッチ42がオン操作され、上側へ傾動させて第2スイッチ42がオフ操作される。スイッチレバー45は引っ張りばね48によってオフ側に付勢されている。
メインスイッチ43には、オフ側にばね付勢された作動ボタン43aを有する公知のマイクロスイッチが用いられている。本実施形態では、作動ボタン43aを下側に向けた姿勢で当該メインスイッチ43が固定されている。この作動ボタン43aがばね付勢力に抗して上側へ押し込まれると当該メインスイッチ43がオンする。メインスイッチ43のオン信号は、配線47を経て本体部10の電源回路側へ送信される。
【0013】
本実施形態のスイッチ装置40は、第1スイッチ41を先にオン操作した状態でのみ、第2スイッチ42のオン操作が有効になってメインスイッチ43がオンするロックオフ機能を備えている。このロックオフ機能によれば、先に第2スイッチ42をオン操作した状態では、その後に第1スイッチ41をオン操作することができないためメインスイッチ43はオフ状態に維持され、これにより本体部10(電動モータ13)の不用意な起動が防止される。以下、前者の先に第1スイッチ41をオン操作した後、第2スイッチ42をオン操作する操作手順を正しい操作手順といい、後者の第1スイッチ41をオン操作する前に第2スイッチ42をオン操作する操作手順を誤った操作手順という。本実施形態のスイッチ装置40は、第1スイッチ41と第2スイッチ42を正しい手順でオン操作した場合に本体部10を起動させ、誤った手順で操作した場合には本体部10を起動させないとするロックオフ機能を備えている。
図6及び図7に示すように第1スイッチ41の側部には、第1作動部41aが一体に設けられている。第1作動部41aは、第1スイッチ41の下面からメインスイッチ43側(前側)に延びている。第1スイッチ41の下面であって、第1作動部41aの基部後ろ側には、第1干渉回避部41bが設けられている。第1干渉回避部41bは、第1スイッチ41の下面から下方へ山形に突き出す突起形状に形成されている。
第2スイッチ42の前端には、第2作動部42aが一体に設けられている。第2作動部42aは、前方に延びてその先端部はメインスイッチ43の下方に至っている。この第2作動部42aの基部上面には、第2干渉回避部42bが一体に設けられている。この第2干渉回避部42bは、上方へ山形に突き出す突起形状に形成されている。
【0014】
図6〜図8は、第1スイッチ41及び第2スイッチ42の何れもオン操作していない非操作状態を示している。この非操作状態では、図8に示すように第1スイッチ41の第1作動部41aが第2スイッチ42の第2作動部42aに対して左側にずれた位置であって、第2作動部42aの先端部とメインスイッチ43の作動ボタン43aとの間(第2作動部42aの移動経路)から左側へ外れた位置に保持されている。
この非操作状態において、正しい操作手順により先に第1スイッチ41をオン操作すると、図9に示すようにその第1作動部41aが第2作動部42aの移動経路途中に進入する。このため、その後に第2スイッチ42をオン操作すると、第2作動部42aによって第1作動部41aが図9において上方へ押され、これによりメインスイッチ43の作動ボタン43aが第1作動部41aによってオン位置に押し込み操作される。こうして第2スイッチ42のオン操作によりメインスイッチ43がオンすると、このオン信号が配線47を経て本体部10に出力されて電動モータ13が起動する。
これに対して、誤った操作手順により、第1スイッチ41をオフ位置に位置させたまま、先に第2スイッチ42をオン操作した場合には、第2作動部42aの先端部は、メインスイッチ43の作動ボタン43aに届かない空振り状態となるためメインスイッチ43はオンされない。
しかも、第2スイッチ43の空振り状態において、その後に第1スイッチ41をオン操作しようとすると、図10に示すように第1スイッチ41の第1干渉回避部41bが、第2スイッチ42の第2干渉回避部42bに当接するため、第1スイッチ41をオン位置まで押し込み操作することができない。第2干渉回避部42bに第1干渉回避部41bが当接して第1スイッチ41をオン位置まで押し込み操作できないため、第1スイッチ41の第1作動部41aが第2スイッチ42の第2作動部42aに干渉することが回避される。
【0015】
このことから、強度的に比較的大きな外力を受けることができる第1干渉回避部41bと第2干渉回避部42bとの干渉により、アーム形状に長く延びる状態に設けられて比較的強度が低い第1作動部41aと第2作動部42aとの干渉が回避される。これにより、使用者が誤った操作手順で第1スイッチ41を無理な力で押し込み操作(オン操作)した場合に、この大きな外力が両作動部41a,42aに負荷されることを回避することができ、これにより当該両作動部41a,42aの損傷を回避して、スイッチ装置40の耐久性を高めることができる。なお、図10では、第2作動部42aの先端部に第1作動部41aの先端部が紙面手前側から重なった状態で示されているが、実際には両者は紙面直交方向(左右方向)に隙間をおいて離れており、当接した状態とはなっていない。
正しい操作手順により、先ず第1スイッチ41をオン操作した場合には、その第1干渉回避部41bが第2スイッチ42の第2干渉回避部42bの移動経路を横切って通過した状態となる。このためその後に第2スイッチ42をオン操作しても、第2干渉回避部42bが第1干渉回避部41bに当接しない。第1スイッチ41と第2スイッチ42のオフ位置及びオン位置における第1干渉回避部41bと第2干渉回避部42bとの相互の位置は、上記の条件を満足する部位に適切に設けられている。
【0016】
次に、図1及び図4に示すように本体部10の左側部には、刈り込み高さを調整するための刈り込み高さ調整機構15が設けられている。前記したように刈り込み高さ調整レバー18を前後方向に傾動操作すると、リンク機構16を介して車輪2〜2の上下位置が変化することにより本体部10の路面Gに対する車高を変化させることができる。本体部10の車高が変化することにより路面G(刈り込み面)に対する刈り込み刃14の高さ位置を変更して芝等の刈り込み高さを調整することができる。
刈り込み高さ調整レバー18の側方には、刈り込み高さが目盛りと図柄で表示されて、調整時の便宜が図られている。図4に示すように刈り込み高さ調整レバー18は、レバー挿通窓19を経てカウリング部12の上方へ突き出されている。レバー挿通窓19の左側(図4において下側)には刈り取られた後の芝等の高さ(刈り込み高さ)が目盛りと数値で表示する目盛り表示部61が設けられている。これに対して、レバー挿通窓19の右側(図4において上側)には、刈り込み高さを主として芝等の図柄で表示する図柄表示部60が設けられている。本実施形態では、カウリング部12の上面に成形により図柄表示部60が表示されている。
図11には、図柄及び刈り込み高さの数値表示について様々な形態の図柄表示部60が示されている。図示するように各図柄表示部60では、刈り込み高さが15mm〜70mmの範囲で10段階表示されて、図示左側から右側へ徐々に刈り込み高さが小さくなる(刈り込み量が大きくなる)並びで表示されている。図11中Aタイプの図柄表示部60Aには、芝の図柄の上側に刈り込み高さを示す数値が表示されている。25mm、35mm、45mmについては黒点表示に置き換えられている。図11中Bタイプの図柄表示部60Bには、芝の図柄の中に刈り込み高さが数値表示されている。Aタイプと同様、25mm、35mm、45mmについては黒点表示に置き換えられている。図11中Cタイプの図柄表示部60Cには、芝の図柄表示の中に刈り込み高さが数値表示された点はBタイプと同様であるが、25mm、35mm、45mmについてはその他よりも小さな数字で数値表示されている。
【0017】
図11中Dタイプの図柄表示部60Dは、Aタイプと同様芝の図柄の上側に刈り込み高さを示す数値が表示されている。Dタイプの図柄表示部60Dは、芝の刈り取り面(上面)の表示方法がA〜Cタイプよりも粗く(ラフに)表示されている。図11中Eタイプの図柄表示部60Eは、Bタイプと同様芝の図柄の中に刈り取り高さを示す数値が表示されているが、Dタイプと同じく刈り取り面が粗く表示されている。これら種々形態の図柄表示部60A〜60Eを選択して刈り込み高さ調整レバー18の移動方向に沿って表示してビジュアル化しておくことにより、使用者は刈り込み状態を目で見て直感的に把握することができ、これにより当該電動芝刈機1の使い勝手を一層高めることができる。図柄表示部60は、例えば上記したA〜Eタイプのものを、当該電動芝刈機の製造メーカや実際の使用者の好みに合わせて表示しておくことができる。
図12には、さらに異なる形態の図柄表示部60が示されている。図12に示す各図柄表示部60では、刈り込み状態がそれぞれ6段階で表示されている。図12中、Fタイプの図柄表示部60Fは刈り込み高さを山の図柄に比喩させた表示であり、Gタイプの図柄表示部60Gは芝等に対する刈り込み作業をハサミ(鋏)の図柄に比喩させた表示であり、Hタイプの図柄表示部60Hは刈り込まれた芝等に加えて刈り取られた量を併記した表示であり、Iタイプの図柄表示部60Iは刈り込み刃と刈り込み前の芝高さを併記した表示であり、Jタイプの図柄表示部60Jは刈り込み刃と刈り込み高さとの関係を示した表示になっている。図11では、各図柄を表示した図柄表示部60をレバー挿通窓19に沿ってカウリング部12の上面に成形により表示する構成を例示したが、図12に示すように各図柄を印刷等の手段によりレバー挿通窓19に沿ってカウリング部12の上面に表示する構成、あるいは図柄表示部60を印刷したラベルを貼り付ける構成としてもよい。
以上のような芝等の刈り込み高さを目盛り表示に加えて若しくは代えて図柄表示(ビジュアル化)することにより、使用者は刈り込み状態を一目で判別することができ、この点で当該電動芝刈機1の使い勝手を高めることができる。
【0018】
本実施形態の電動芝刈機1は、本体部10の上面に取り付けたバッテリ22を電源として使用できる他、これに代えていわゆるバッテリコンバータ50を用いることができる。このバッテリコンバータ50が図16に示されている。このバッテリコンバータ50は、二つのバッテリ(図では見えていない)を収容したコンバータ本体部51と、電動芝刈機1の本体部10のバッテリ装着部20に装着可能な接続用のアダプタ52を備えている。コンバータ本体部51とアダプタ52は電源コード53で電気的に接続されている。コンバータ本体部51は、ケース本体51aと、これを開閉する蓋51bを備えている。蓋51bを開けることにより、ケース本体51a内に収容した2つのバッテリを取り出すことができる。ケース本体51aの背面には、腰ベルト引き掛け用のフック55が設けられている。
このバッテリコンバータ50は、ヘッジトリマや高圧洗浄機等の主として屋外作業用あるいは園芸作業用の電動工具に用いられるもので、工具本体部に取り付ける一つのバッテリに代えてアダプタ52を装着し、二つのバッテリを収容したコンバータ本体部51をフック55を利用して例えば作業者が腰ベルト等に引き掛けて携帯することにより、電動工具を軽量化した状態で使用できることから作業効率を高めることができる。また、電圧仕様の高い電動工具に電圧仕様の低いバッテリを複数用いることができるので、電圧仕様の異なるバッテリを有効活用することができる。例えば、コンバータ本体部51に18V仕様のバッテリを二つ収容することにより、36V仕様の電動工具を用いることができる。
電動芝刈機1にこのバッテリコンバータ50を装備した状態が図13〜図15に示されている。本体部10の前部上面の幅方向(左右方向)中央であって、バッテリカバー22の前側には、コンバータ本体部51を保持しておくためのポケット形の引き掛け部54が設けられている。この引き掛け部54は、カウリング部12の前部上面に一体に設けられている。この引き掛け部54にフック55を引き掛けておくことにより、コンバータ本体部51を電動芝刈機1の本体部10の前部上面に保持しておくことができる。二つのバッテリを収容することにより比較的重量が大きなコンバータ本体部51を本体部10の前部幅方向中央に装備することにより当該本体部10の直進性がよくなることから、当該電動芝刈機1の操作性及び作業性が高まる。
【0019】
一方、アダプタ52は、本体部10のバッテリ取り付け部20に取り付けられる。このアダプタ52は、バッテリ22と同一のスライド取り付け構造を備えるもので、バッテリ取り付け台座部23の左右スライドレール23a,23aに対して前方へスライドさせて取り付けることができ、逆に後方へスライドさせてバッテリ取り付け台座部23から取り外すことができる。また、アダプタ52は、バッテリ22と同様バッテリ取り付け台座部23に対する取り付け状態をロックするためのロック爪とこれを解除するための解除ボタンを供えている。
本体部10の前部に保持したコンバータ本体部51と、バッテリ取り付け台座部23に取り付けたアダプタ52とは電源コード53を介して電気的に接続されている。電源コード53は、バッテリカバー22の後部に設けたコード挿通口22bを経て当該バッテリカバー22の内側と外側との間を取り回されている。また、電源コード53は、ハンドル部3の右側部に取り付けた配線クリップ56,56により当該ハンドル部3の右側部に沿って保持されて、その不必要なたるみが吸収されて作業の邪魔にならないようになっている。
本実施形態において、バッテリ21には、36V仕様のリチウムイオンバッテリが用いられており、これに合わせて36V仕様の電源回路が用いられ、また36V仕様の電動モータ13が用いられている。一方、コンバータ本体部51には、18V仕様のリチウムイオンバッテリが二つ収容されている。本実施形態のバッテリコンバータ50を用いることにより、36V仕様の電動芝刈機1を18V仕様のバッテリを二つ用いて動作させることができる。これにより、バッテリ21をバッテリ取り付け台座部23から取り外して、例えば別途用意した充電器で充電する場合に、電動ねじ締め機等のその他の電動工具に使用する18V仕様のバッテリを用いて電動芝刈機1を利用することができ、これにより当該18V仕様のバッテリを有効活用することができる。
【0020】
以上のように構成した本実施形態の電動芝刈機1によれば、標準のバッテリ21に代えてバッテリコンバータ50を装着することにより、バッテリ取り付け台座部23に直接取り付けることのできない仕様外のバッテリを有効活用することができ、この点で当該電動芝刈機1の付加価値を高めることができる。
また、本実施形態の場合、二つのバッテリを収容して比較的重量の大きなコンバータ本体部51を本体部10の前部幅方向中央に装着する構成であるので、当該本体部10の直進性を高めることができ、これにより当該電動芝刈機1の操作性及び作業性を高めることができる。
【0021】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、36V仕様のバッテリ21に代えて、18V仕様のバッテリを二つ収容したバッテリコンバータ50を例示したが、コンバータ本体部51に36V仕様のバッテリを二つ並列に収容する構成であってもよい。この場合には、バッテリ残量が増大することから1回の充電で電動芝刈機1を長時間使用することができる。
また、例示したようにアダプタ52については、バッテリ取り付け台座部23に対してスライド取り付け形式とする一方、コンバータ本体51には差し込み式のバッテリを複数本収容可能な構成としてもよい。
さらに、コンバータ本体部51を本体部10の前部上面に装備する構成を例示したが、例えばハンドル部3等のその他の部位に装備する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1…電動芝刈機
2…車輪
3…ハンドル部、3b…把持部
4…刈り取りボックス
10…本体部、10a…最頂部
11…デッキ部
12…カウリング部
13…電動モータ、13a…出力軸
J…モータ軸線
G…路面(刈り込み面)
14…刈り込み刃
15…刈り込み高さ調整機構
16…リンク機構
17…集草ダクト、17a…集草口、17b…排出口
18…刈り込み高さ調整レバー
19…レバー挿通窓
20…バッテリ装着部
21…バッテリ、21a…ロック爪
22…バッテリカバー、22a…規制凸部、22b…コード挿通口
23…バッテリ取り付け台座部、23a…スライドレール
24…コネクタ部
25…排水孔
26…防水リブ
27…キャリングハンドル
28…閉じロック解除レバー
29…脚部
30…ロックオフキー、30a…つまみ部
31…キー差し込み部
40…スイッチ装置
41…第1スイッチ、41a…第1作動部、41b…第1干渉回避部
42…第2スイッチ、42a…第2作動部、42b…第2干渉回避部、42c…支軸
43…メインスイッチ、43a…作動ボタン
44…スイッチケース
45…スイッチレバー
46…傾動支持部
47…配線
49…スイッチカバー
50…バッテリコンバータ
51…コンバータ本体部、51a…ケース本体、51b…蓋
52…アダプタ
53…電源コード
54…引き掛け部
55…フック
56…配線クリップ
60…図柄表示部(60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60H,60I,60J)
61…目盛り表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータにより回転する刈り込み刃を備えた本体部を備え、前記電動モータがバッテリを電源として駆動する電動芝刈機であって、
前記バッテリを装着するバッテリ装着部に、バッテリコンバータを接続可能な電動芝刈機。
【請求項2】
請求項1記載の電動芝刈機であって、前記本体部の前部にコンバータ本体部を装着可能な電動芝刈機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−29(P2013−29A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132157(P2011−132157)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】