説明

電動送風機、及び、この電動送風機を用いた掃除機

【課題】
ファンカバーへ整流板を強固に固定でき、送風性能の安定した電動送風機の提供。
【解決手段】
モータ部と、このモータ部の出力軸に取り付けられた送風用ファンと、この送風用ファンを覆うように周壁部がモータ部に固定された吸気口を有するファンカバーと、このファンカバーを覆い、前記吸気口に対向して開口部を形成した整流筒とを備え、ファンカバーの外周壁部全周に凹状の段差部を形成し、該段差部に前記整流筒を嵌合固定したことにより、課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に掃除機に用いる電動送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、掃除機に用いられる電動送風機のファンカバーに、吸引する空気の流れを整流する整流板が設けられたものがある。
この整流板の形状は、外周部に段部が形成され、この段部の周囲に鍔部が形成され、中央に開口部が形成されている。
そして、この整流板は、段部をモータクッションに嵌合させ、鍔部をモータクッションと電動送風機のファンカバーに挟持し、開口部をファンカバーに形成された吸気口に一致した状態で、掃除機に用いられる(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−14827号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この整流板は、モータクッションに段部が嵌合して取付けられ、モータクッションとファンカバーに挟持される為、ファンカバーに対しては固定されていない。
この為、電動送風機を掃除機に組み込む際や使用時の振動・衝撃によりに、ファンカバーに対するモータクッションの位置がずれると、ファンカバーと整流板の位置もずれてしまう。
これにより、ファンカバーの吸気口と整流板の開口部がずれた状態となり、整流板が吸気口を塞いでしまうことから、電動送風機が吸引する空気の流入量が減少し、送風性能の低下につながる問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、整流板をファンカバーの所定位置に固定でき、送風性能の安定した電動送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動送風機は、モータ部と、このモータ部の出力軸に取り付けられた送風用ファンと、この送風用ファンを覆うように周壁部がモータ部に固定された吸気口を有するファンカバーと、このファンカバーを覆い、前記吸気口に対向して開口部を形成した整流筒とを備え、ファンカバーの外周壁部全周に凹状の段差部を形成し、該段差部に前記整流筒を嵌合固定したことにより、課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電動送風機は、整流筒をファンカバーの周壁部に直接嵌合固定するので、電動送風機を掃除機に取付ける際や振動・衝撃により、モータクッションと電動送風機との位置がずれても、ファンカバーと整流板との位置はずれない。
つまり、ファンカバーへ整流筒を直接固定でき、送風性能の安定した電動送風機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1を示す電動送風機の断面図である。
図2は、図1の要部拡大図である。
【0009】
図1〜図2において、電動送風機100は、送風用ファン32を回転駆動するモータ部10と、この送風用ファン32の回転により冷却風を取り込み、整流するブロア部30から構成されている。
モータ部10の外郭は、一端に開口部11aを他端には底部11bを有する筒状のフレーム11により構成される。
【0010】
このフレーム11の開口部11aは、後述するモータ部10の出力軸15を中心とする円形に形成されたブラケット12が、フレーム11の取付けフランジ11dに、螺子12cにより固着されて組み付けられている。
尚、ブラケット12には、後述するファンガイド33により整流された冷却風をモータ部10の内部に導入する開口部12aが形成され、外周端12bは、フレーム11とは逆方向に折り曲げられている。
【0011】
次に、フレーム11の底部11bには後軸受13が、ブラケット12には前軸受14が、それぞれ設けられている。
そして、後述するロータ16に取付けられた出力軸15が、ブラケット12を貫通して前軸受14から先端部15aが突出した状態で、前軸受14及び後軸受13に回転自在に支持されている。
尚、フレーム11には、モータ部10の内部の空気を排出する開口部11cが形成されている。
【0012】
次に、ロータ16は、複数の鉄の板材を積層した鉄心で形成されたスロットに、コイルを巻回することにより構成されている。そして、このロータ16を構成する鉄心の中心には、出力軸15が固着して取付けられている。
そして、この出力軸15のロータ16と後軸受13の間には、整流子17が固着して取付けられている。整流子17は、ロータ16のコイルに電気的に接続され、フレーム11に設けられた一対のブラシ18と接触する。
【0013】
次に、ロータ16に作用する磁力を発生させるステータ19は、複数の鉄の板材を積層し、一対の磁極を有するステータコアと、このステータコアに絶縁材料から成る巻枠を介して巻回するコイルから構成される。
このように各部を構成したステータ19は、フレーム11の内面に、ステータコアの外周面を当接して保持され、向かい合う一対の磁極が介する空隙には、ロータ16が回転可能に位置する。
【0014】
次に、図1〜図2を参照して、ブロア部30について説明する。
ブロア部30は、ファンカバー31と送風用ファン32とファンガイド33と整流筒34により構成されている。
ファンカバー31は、円筒形状である周壁部31aと、この周壁部31aの一方の開口を塞ぐ蓋部31bからなる。
【0015】
このファンカバー31の蓋部31bは、周壁部31aから円筒の内方に向かって延在する平面部31fと、この平面部31fから送風用ファン32の形状に沿って立ち上がる、断面形状が円弧状をした突出部31gからなる。
そして、この突出部31gの頂部の位置、つまり、蓋部31bの中央部には、開口を開けることにより、空気の吸気口31cが形成される。
尚、吸気口31cの中心は、送風用ファン32の回転中心と一致している。
【0016】
また、蓋部31b側である周壁部31aの上端側には、周壁部31aの外周面を全周に渡って凹ますことにより、段差部31eが形成されている。尚、この段差部31eの深さは、整流筒34の厚さと略一致する程度の深さである。
そして、ファンカバー31は、周壁部31aの下端部31dが、ブラケット12の外周端12bに嵌合して、ブラケット12に固定されている。
【0017】
次に、整流筒34は、ファンカバー31の吸気口31c側に設けられ、ファンカバー31の吸気口31c側を所定の間隙をもって覆うことにより、吸気口31に吸引される空気の流れを整流するものである。
この整流筒34は、円筒形状の筒部34aと、この筒部34aの一方の開口を塞ぐ蓋部34bから構成されている。
【0018】
この整流筒34の蓋部34bは、筒部34aから円筒の内方に向かって延在する第1の平面部34fと、この第1の平面部34fから垂直に立ち上がる立ち上げ部34gと、この立ち上げ部34gから円筒の内方に向かって延在する第2の平面部34hからなる。
そして、この第2の平面部34hの中心位置、つまり、この蓋部34bの中央部には、開口部34cが形成されている。
【0019】
そして、このように構成された整流筒34は、整流筒34の第1の平面部34fとファンカバー31の平面部31fが重なった状態で、ファンカバー31の段差部31eに、筒部34aの内周34iが密接した状態で嵌合して、ファンカバー31に取付けられる。
この時、ファンカバー31の吸気口31cと整流筒の開口部34cは、互いに対向する位置となる。また、ファンカバー31の突出部31gと整流筒34の第2の平面34hは、空隙を介して位置している。
このように、突出した形状であるファンカバー31の吸気口31c側を、整流筒34の第2の平面部34hで平面に覆うことにより、吸気口31c及び突出部31gの周囲で発生する渦流の発生を抑えることができる。
【0020】
次に、掃除機内部にこの電動送風機100を取付ける場合、ブロアー部30の外形状に合った形状のモータクッション20に、ブロアー部30を嵌合して掃除機内部に取付けられる。
例えば、図1〜図2を参照すると、モータクッション20の内周面が、整流筒34の第1の平面部34fを覆うと共に、整流筒34の筒部34aの外周面と、ファンカバー31の周壁部31aの外周面を覆った状態で、取付けられる。
【0021】
次に、送風用ファン32は、ファンカバー31の内部で、モータ10の内部からブラケット12を突出する出力軸15の先端部15aに固着されている。
ファンガイド33は、送風用ファン32とブラケット12の間に位置し、送風用ファン32からの気流を整流して、効率良くブラケット12に形成された開口部12aへ送出する。
【0022】
以上のように各部を構成すると、整流筒34は、ファンカバー31に直接固定して取付けられるので、電動送風機100をモータクッションに取付ける際や振動・衝撃等により、モータクッション20と電動送風機100がずれても、整流筒34とファンカバー31の位置がずれない構成にすることができる。
【0023】
また、整流筒34の筒部34aの厚みと略一致する程度の大きさの凹みからなるファンカバー31の段差部31eに、筒部34aの内周が嵌合してファンカバー31に取付けられるので、ファンカバー31の最大外形内で、整流筒34を固定できると共に、ファンカバー31の内部領域を確保することができる。
これにより、ファンカバー31の取付けによる電動送風機の大型化を防ぐことができる。
【0024】
実施の形態2
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態2について説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図3は、本発明の実施の形態2を示す電動送風機の断面図である。
図4は、図3の斜視図である。
【0025】
図3〜図4において、実施の形態2の電動送風機200は、ブロア部40にブレード44iを有する整流板44を用いたものである。
この整流筒44は、ファンカバー31の吸気口31c側に設けられ、ファンカバー31を覆うことにより、吸引する空気の流れを整流するものである。
この整流筒44は、円筒状の筒部44aと、この筒部44aの一方の開口を塞ぐ蓋部44bから構成されている。
【0026】
この蓋部44bは、筒部44aから円筒の内方に向かって延在する第1の平面部44fと、この第1の平面部44fから立ち上がる立ち上げ部44gと、この立ち上げ部44gから円筒の内方に向かって延在する第2の平面部44hからなる。
この第2の平面部44hの中心位置、つまり、この蓋部44bの先端には、開口部44cが形成されている。
【0027】
そして、第2の平面部44hの上面には、開口部44cを中心に、この開口部44cの周縁から外方に向かって放射状に、所定曲率で湾曲した複数のブレード44iが整列して設けられている。
このブレード44iの向きは、送風用ファン32の回転方向と同じ方向に、旋回気流が発生するように形成されている。
【0028】
以上のように各部を構成すると、送風用ファン32が回転することにより、整流板44の周囲の空気が開口部44cに向かって吸引される気流となる。
この時、開口部44cに吸引される気流は、整流板44に設けられたブレード44iにより整流されて、開口部44cに流入する。
このように、電動送風機が駆動中に常に大きな風圧を受けるブレード44iを有する整流板44を電動送風機に用いても、整流板44がファンカバー31に嵌合することにより固定されているので、整流板44がファンカバー31に対してずれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1を示す電動送風機の断面図
【図2】実施の形態1を示す電動送風機の断面の要部拡大図
【図3】実施の形態2を示す電動送風機の断面図
【図4】実施の形態2を示す電動送風機の斜視図
【符号の説明】
【0030】
100 電動送風機
10 モータ部
11 フレーム
12 ブラケット
13 後軸受
14 前軸受
15 回転軸
16 ロータ
17 整流子
18 ブラシ
19 ステータ
20 モータクッション
30 ブロア部
31 ファンカバー
31a ファンカバーの周壁部
31b ファンカバーの蓋部
31c ファンカバーの吸気口
31e 段差部
32 送風用ファン
33 ファンガイド
34 整流筒
34a 整流筒の筒部
34b 整流筒の蓋部
34c 整流筒の開口部
44 整流筒(実施の形態2)
44i ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部と、
前記モータ部の出力軸に取り付けられた送風用ファンと、
前記送風用ファンを覆うように周壁部が前記モータ部に固定された吸気口を有するファンカバーと、
前記ファンカバーを覆い、前記吸気口に対向して開口部を形成した整流筒と、
を備え、
前記ファンカバーの外周壁部全周に凹状の段差部を形成し、該段差部に前記整流筒を嵌合固定したことを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
前記段差部が、前記整流筒の厚さに略一致することを特徴とする請求項1に記載の電動送風機。
【請求項3】
前記整流板の開口部の周囲に、所定曲率を有し、該開口部に流入する気流を整流する複数枚のブレードを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動送風機。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のいずれかの電動送風機を用いた掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−96149(P2010−96149A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269692(P2008−269692)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】