説明

電動送風機

【課題】整流盤によって生じる音の音量を低減し、騒音発生を防止することができる電動送風機を提供すること。
【解決手段】モータフレーム32内に収容されたモータMの回転軸33に取り付けられた遠心ファン37と、この遠心ファン37から放出された空気を整流してモータフレーム32内へと送り込むための整流盤50と、遠心ファン37及び整流盤50を覆うファンカバー31とを備え、整流盤50は、遠心ファン37の回転面と平行に対向する位置に配置された円板51と、この円板51の周縁部から延在された複数の円弧状の放出ブレード(ブレード)52とを有する電動送風機50であって、複数の放出ブレード52を、基端部57の間隔が不均等になるように配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転軸に取り付けられた遠心ファンと、この遠心ファンから放出された空気を整流する整流盤等とを備えた電動送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば電気掃除機に搭載されるような、図6に示す電動送風機1が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この電動送風機1は、モータケース2内に収容されたモータ3と、このモータ3の回転軸4に取り付けられた遠心ファン5と、この遠心ファン5から放出された空気を整流した後にモータケース2内に送り込むための整流盤6と、遠心ファン5及び整流盤6を覆うファンケース7とを備えている。
【0004】
ここで、モータ3は、ロータ3Aと、ステータ3Bと、カーボンホルダ3Cとを有している。
【0005】
また、整流盤6は、遠心ファン5の回転面5Aと平行に対向する位置に配置された円板6Aと、この円板6Aの上面(図6において)の周縁部に設けられた複数の円弧状の第一ブレード6Bと、この円板6の下面(図6において)の周縁部に設けられた複数の円弧状の第二ブレード6Cとを有している。
【0006】
そして、隣接する第一ブレード6Bの間が整流風路となり、隣接する第二ブレード6Cの間が戻り風路となっている。
【0007】
このとき、複数の第一ブレード6Bは、図7に示すように、互いに隣接する第一ブレード6Bの基端部8の間隔が全て均等になるように設けられている。
【0008】
すなわち、一つの第一ブレード6Bの基端部8と、隣接する第一ブレード6Bの基端部8と、円板6Aの中心Oとがなす角度a、b、c(図7参照)は、全て同じ角度となっている。
【0009】
また、図示しないが、複数の第二ブレード6Cも、互いに隣接する第二ブレード6Cの基端部の間隔が全て均等になるように設けられている。
【0010】
このような電動送風機1では、モータ3を駆動すると、回転軸4を介して遠心ファン5が回転され、この遠心ファン5の回転により、ファンケース7の中心部の吸気口7Aから空気が吸入される。
【0011】
吸気口7Aから吸入された空気は、遠心ファン5によって中央から外周へと風向きを変えられて放出され、この放出された空気が複数の第一ブレード6B間の整流風路によって整流されつつファンケース7の外周側へと導かれる。
【0012】
そして、外側へ導かれた空気は、さらに複数の第二ブレード6C間の戻り風路によって整流されつつ、再びファンケース7の中心へ向けて導かれ、モータケース2の内部を通ってモータ3を冷却した後に、モータケース2の排気口2Aから排気される。
【特許文献1】特開2005−90379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述の電動送風機では、互いに隣接する第一ブレード6Bの基端部8の間隔が全て均等になるように設けられているので、全ての整流風路の開口幅が均一になっていた。そのため、各整流風路を通る空気によって生じる風切り音等の音が最大になるときの周波数fが全ての整流風路において同一となり、共鳴して大きな音が生じていた(図8参照)。
【0014】
また、戻り風路においても同様の現象が生じて、大きな音が発生していた。
【0015】
これにより、電動送風機1を駆動させた際に騒音が発生してしまうという問題があった。
【0016】
そこで、この発明は、整流盤によって生じる音の音量を低減し、騒音発生を防止することができる電動送風機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、この発明は、モータフレーム内に収容されたモータの回転軸に取り付けられた遠心ファンと、この遠心ファンから放出された空気を整流して前記モータフレーム内へと送り込むための整流盤と、前記遠心ファン及び前記整流盤を覆うファンカバーとを備え、前記整流盤は、前記遠心ファンの回転面と平行に対向する位置に配置された円板と、この円板の周縁部から延在された複数の円弧状のブレードとを有する電動送風機であって、前記複数のブレードは、基端部の間隔が不均等になるように配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電気掃除機によれば、整流盤のブレードの間を空気が通過する際に生じる音が最大になるときの周波数が各ブレードの基端部の間隔に応じて異なり、最大音量時の周波数をばらつかせることができる。
【0019】
そのため、共鳴して音量が大きくなることを防止し、整流盤によって生じる音の音量を低減して、騒音発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明に係る電動送風機を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1に及び図2示す電動送風機30は、一方端が開口した有底筒状のモータフレーム32と、このモータフレーム32内に収容されたモータMと、このモータMの回転軸33に取り付けられた遠心ファン37と、この遠心ファン37とモータMとの間に配置された整流盤50と、モータフレーム32の開口に跨った状態でネジ39で固定されたフレーム40と、遠心ファン37及び整流盤50を覆うと共にモータフレーム32の開口に取り付けられたファンカバー31とを備えている。
【0022】
モータMは、回転軸33と、この回転軸33に固定された回転子34と、回転子34に対向すると共にモータフレーム32に固定された固定子35と、回転軸33の下部(図1において)に位置すると共にモータフレーム32に保持されたブラシユニット36等とから構成されている。
【0023】
回転軸33は、その下部がモータフレーム32の底壁32Aの中心部に形成された凹部32Abにベアリング42を介して回転自在に支持され、その上部がフレーム40の凹部40aにベアリング43を介して回転自在に支持されて取り付けられている。モータフレーム32の下部(図1において)には排気口32aが形成されている。
【0024】
また、遠心ファン37は、ベースシュラウド37aと、中心に開口37bを有するファンシュラウド37cと、各シュラウド37a,37c間に位置して開口37b側から周縁部に向かって螺旋放射状に延びる複数のフィン37dと、ファンシュラウド37cの周縁部全周から立ち上げられた立壁37eとを備えている。
【0025】
遠心ファン37は、ベースシュラウド37aの上下に位置するワッシャ44,45並びにナット46により回転軸33の上部に固定され、回転軸33と一体に回転する。この回転により、ファンカバー31の上面中心に形成された開口31a及びベースシュラウド37aの開口37bから外気を吸引し、この吸引した空気を複数のフィン37d間から外方へ放出する。
【0026】
整流盤50は、図3に示すように、円板51と、この円板51の周縁部に形成された複数の円弧状の放出ブレード(第一ブレード)52と、円板51を挟んで放出ブレード52の反対側に形成された複数の円弧状の戻りブレード(第二ブレード)53とを備えている。
【0027】
円板51は、ネジ47によりフレーム40に固定されていて、遠心ファン37の回転面であるベースシュラウド37aと平行に対向する位置に配置されている(図1参照)。
【0028】
各放出ブレード52は、円板51の対向面51aから回転軸33の軸方向に沿って立ち上がっており、隣接する放出ブレード52との間に整流風路55を形成している。
【0029】
また、これらの放出ブレード52は、それぞれの基端部57の間隔が不均等になるように配置されている。
【0030】
すなわち、図4に示すように、一つの放出ブレード52の基端部57と、隣接する放出ブレード52の基端部57と、円板51の中心Oとがなす角度x、y、zは、全て異なるようになっている。これにより、複数の整流風路55の開口幅がそれぞれ異なることとなる。
【0031】
そして、各放出ブレード52はこれらの整流風路55によって、遠心ファン37から放出された空気を整流しながらファンカバー31の外周側へと導くようになっている。
【0032】
また、各戻りブレード53は、円板51の対向面51aの裏面51b側から回転軸33の軸方向に沿って立ち上がっており、隣接する戻りブレード53との間に戻り風路56を形成している。
【0033】
また、これらの戻りブレード53は、図示しないがそれぞれの基端部の間隔が均等になるように配置されている。これにより、複数の戻り風路56の開口幅がそれぞれ同一になっている。
【0034】
そして、各戻りブレード56はこれらの戻り風路56によって、ファンカバー31の外周側へ導かれた空気をファンカバー31の中心側へと導くようになっている。
【0035】
次に、上記のように構成される電動送風機30の作用について説明する。
【0036】
モータMが駆動すると、このモータMの駆動に伴って回転軸33が回転して遠心ファン37が回転する。
【0037】
この遠心ファン37の回転により、ファンカバー31の開口31aから空気が吸入され、この吸入された空気は遠心ファン37の複数のフィン37d間から外方へ放出される。そして、この外方へ放出された空気は、整流盤50の整流風路55によって整流されながらファンカバー31の外周側へと導かれる。
【0038】
さらに、ファンカバー31の外周側に導かれた空気は、整流盤50の戻り風路56によって整流されながらファンカバー31の中心側へと導かれる。
【0039】
そして、この空気は、モータフレーム32の内部を通ってモータMを冷却した後、モータフレーム32の排気口32aから排気される。
【0040】
ここで、整流風路55を形成する複数の放出ブレード52は、基端部57の間隔が不均等になるように配置されているので、複数の整流風路55の開口幅がそれぞれ異なることとなる。
【0041】
そのため、これらの整流風路55を空気が通過する際に生じる風切り音等の音が最大になるときの周波数が、放出ブレード52の間隔に応じて異なり、最大音量時の周波数をばらつかせることができる。
【0042】
つまり、図5に模式的に示すように、互いに隣接する基端部57と円板51の中心Oとでなす角度がxの場合における最大音量時の周波数をf、角度がyの場合における最大音量時の周波数をf、角度がzの場合における最大音量時の周波数をfとすると、f〜fは全て異なるので、互いに共鳴することがない。
【0043】
そのため、各整流風路55を空気が通過する際に生じる音が共鳴して、音量が大きくなることを防止し、整流盤50によって生じる音の音量を低減して、騒音発生を防止することが可能となる。
【0044】
特に、上述の実施の形態では、遠心ファン37に対向する円板51の対向面51aから立ち上がる放出ブレード52を不均等に配置している。
【0045】
そのため、戻り風路56側よりも生じる音の音量が大きくなる整流風路55において、音量を低減することができるので、より効果的に騒音発生を防止することができる。
【0046】
以上、この発明にかかる実施の形態の一つを図面により詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施の形態に限らない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等はこの発明に含まれる。
【0047】
上述の実施の形態では、複数の放出ブレード52の基端部57の間隔のみを不均等に配置したが、これに限らず、複数の戻りブレード53の基端部の間隔が不均等になるように配置してもよい。
【0048】
これにより、整流風路55を空気が通過する際に生じる音と、戻り風路56を空気が通過する際に生じる音とのそれぞれの音量を低減することができ、騒音の発生をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明に係る電動送風機の構成を示した半断面図である。
【図2】この発明に係る電動送風機の構成を示した分解斜視図である。
【図3】この発明に係る電動送風機の整流盤の構成を示した斜視図である。
【図4】図3に示す整流盤を上方から見たときの平面図である。
【図5】この発明に係る電動送風機において、整流盤によって発生する音の音量と周波数との関係を模式的に示すグラフである。
【図6】従来の電動送風機の構成を示した半断面図である。
【図7】従来の電動送風機の整流盤の構成を示した斜視図である。
【図8】従来の電動送風機において、整流盤によって発生する音の音量と周波数との関係を模式的に示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
30 電動送風機
31 ファンケース
32 モータフレーム
33 回転軸
37 遠心ファン
50 整流盤
51 円板
52 放出ブレード(ブレード)
57 基端部
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータフレーム内に収容されたモータの回転軸に取り付けられた遠心ファンと、この遠心ファンから放出された空気を整流して前記モータフレーム内へと送り込むための整流盤と、前記遠心ファン及び前記整流盤を覆うファンカバーとを備え、
前記整流盤は、前記遠心ファンの回転面と平行に対向する位置に配置された円板と、この円板の周縁部から延在された複数の円弧状のブレードとを有する電動送風機であって、
前記複数のブレードは、基端部の間隔が不均等になるように配置されていることを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
前記複数のブレードは、前記円板の前記遠心ファンに対向する対向面から前記回転軸の軸方向に沿って立ち上がる第一ブレードと、前記対向面の裏面から前記回転軸の軸方向に沿って立ち上がる第二ブレードとを有し、
少なくとも前記第一ブレードは、基端部の間隔が不均等になるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電動送風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−25440(P2008−25440A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198147(P2006−198147)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】