電子撮像装置
【課題】 装置の電源として装着される電池に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能な電子撮像装置を提供する。
【解決手段】 撮像素子27の受光部上に透光性の防塵フィルタ21を設け、この防塵フィルタ21を振動させる加振手段を設け、この加振手段の動作のタイミングを、メインミラー13bの駆動を考慮して制御する。
【解決手段】 撮像素子27の受光部上に透光性の防塵フィルタ21を設け、この防塵フィルタ21を振動させる加振手段を設け、この加振手段の動作のタイミングを、メインミラー13bの駆動を考慮して制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子への塵埃の付着を防ぐ防塵機能を有する電子撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換可能な一眼レフレックス方式のデジタルカメラにおいては、撮影レンズをカメラ本体から取り外した際、カメラ本体の内部に空気中に浮遊する塵埃が進入する可能性がある。また、カメラ内部にはシャッタや絞り機構等の機械的に動作する各種の機構が配設されているので、これらの機構等からその動作中に塵埃が発生する場合もある。
【0003】
これら塵埃がカメラ内部の撮像素子の表面に付着し、撮影した画像に影響を及ぼすという問題がある。
【0004】
対策として、撮像素子の受光部を封止ないし保護する防塵部材を備え、撮像素子の受光部に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の表面に付着する塵埃等に対しては、加振手段によって防塵部材に所定の振動を与えることによってこれを除去する技術が、近年多く提案されている。
【0005】
例えば、防塵部材に振動を与えることによって塵埃を除去する技術に関し、少なくとも撮像素子の撮像動作中に振動を開始させる例がある(例えば特許文献1)。この場合、実質的な露光中にも振動させるが、露光中のみだと撮影のシャッタ秒時が短い設定のときに塵除去効果が少ないので、撮像動作よりも早めに塵除去動作を開始させている。
【0006】
別の例として、防塵部材に振動を与えるタイミングについて考慮し、連写モード中には1枚目の撮像素子の撮像動作中に振動を与え、2枚目以降は加振しないようにするものがある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−23159号公報
【特許文献2】特願2003−30876号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
防塵部材に振動を与えて塵埃を除去する塵除去動作には、大きな電力が必要となる。しかしながら、一眼レフレックスカメラの場合、撮像素子の撮像動作の直前にミラーアップや絞り駆動が行われており、それらの動作と同時に塵除去動作を行うことは、装置の電源として装着されている電池に多大な負荷を与えるという問題がある。電池に多大な負荷を与えると、カメラの動作に支障をきたしてしまう。
【0008】
また、撮影モードによっては、レンズ駆動動作をミラーアップ動作中に実行する場合もあるが、その際に塵除去動作を行うことは、やはり電池に多大な負荷を与えることになる。
【0009】
本発明は、上記の事情を考慮し、装置の電源として装着される電池に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能な電子撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明の電子撮像装置は、撮像素子を備えたものであって、撮像素子の受光部上に設けられた透光性部材と、この透光性部材を振動させる加振手段と、この加振手段の動作のタイミングを制御する制御手段と、を備えている。
【0011】
請求項2に係る発明の電子撮像装置は、請求項1に係る発明において、さらに、撮像素子の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするミラーと、このミラーを駆動するミラー駆動手段と、を備えている。そして、制御手段は、ミラー駆動手段の駆動と並行するタイミングで加振手段を動作させる第1の制御、およびミラー駆動手段の駆動前のタイミングで加振手段を動作させ且つその動作を終了しておく第2の制御のうち、いずれかの制御を選択的に実行する。
【0012】
請求項3に係る発明の電子撮像装置は、請求項2に係る発明において、さらに、当該装置の電源として装着される電池の容量を判別する判別手段を備えている。そして、制御手段は、上記判別手段により判別された容量が所定以上の場合に第1の制御を実行し、上記判別手段により判別された容量が所定未満の場合に第2の制御を実行する。
【0013】
請求項4に係る発明の電子撮像装置は、請求項2に係る発明において、さらに、撮影モードを選択する選択手段を備えている。そして、制御手段は、上記選択手段により選択された撮影モードが移動被写体の撮影に適する動体モードである場合に第2の制御を実行し、上記選択手段により選択された撮影モードが上記動体モードでない場合に第1の制御を実行する。
【0014】
請求項5に係る発明の電子撮像装置は、請求項2に係る発明において、さらに、被写体の光学像を撮像素子に投影する撮像光学系と、この撮像光学系の焦点検出を行う焦点検出手段と、を備えている。ミラー駆動手段の駆動前のタイミングは、少なくとも焦点検出手段の動作中である。
【0015】
請求項6に係る発明の電子撮像装置は、請求項1または請求項2に係る発明において、透光性部材について限定している。すなわち、透光性部材は、撮像素子の受光部を覆う状態に設けられた透光性の防塵フィルタである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電池の電力容量あるいは撮影モードに応じて塵除去動作のタイミングを制御することにより、装置の電源として装着される電池に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能な電子撮像装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、例示する本発明の電子撮像装置は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットの防塵機能を有する装置であり、ここでは一例として電子カメラの防塵に係わる改良技術として説明する。特にレンズ交換可能な一眼レフレックス式電子カメラ(デジタルカメラ)に関して説明する。
【0018】
[1]第1の実施形態
まず、第1の実施形態の電子撮像装置であるカメラの要部の概念を説明するための図を図1に示している。
【0019】
被写体からの入射光が通る経路に、メインミラー(メインミラーともいう)101、サブミラー102、およびシャッタ103を介して撮像素子(CCD)104が設けられ、その撮像素子104の受光部を覆う状態に透光性の防塵フィルタ105が設けられている。撮像素子104の受光部に付着しようとする塵埃は、防塵フィルタ105に付着し、撮像素子104の受光部には付着しない。この防塵フィルタ105が防塵フィルタ駆動部200によって駆動されることで、防塵フィルタ105に付着した塵埃が払い落とされて除去される。
【0020】
防塵フィルタ駆動部200の駆動タイミングは、シーケンス制御部201によって決定される。シーケンス制御部201には、当該カメラの電源である電池の電力容量を判別する容量判別部202、および当該カメラの撮影モードを設定するためのモード設定部203が接続されている。シーケンス制御部201は、容量判別部202の判別結果、およびモード設定部203で設定される撮影モードに基づいて、防塵フィルタ駆動部200の動作タイミングを決定する。
【0021】
一眼レフレックス式電子カメラの動作の一例を時間tの流れに沿うシーケンスとして同じ図1に示している。すなわち、撮像素子104の撮像動作による1コマ撮影後にメインミラー101をダウンさせ(204)、続いてオートフォーカス(AF)動作(AFセンサ積分&AF演算)(205)を行い、続いて、連写モードの場合には次のコマの撮影に入るべくメインミラー101をアップし(206)、そのアップが完了すると撮像素子104への露光(撮像)動作(207)に至る。このシーケンス中、撮影モードによっては、AF動作に基づくレンズ駆動(208)がミラーアップ動作と並行して行われる。
【0022】
このようなカメラのシーケンスにおいて、シーケンス制御部201は、防塵フィルタ駆動部200を、ミラー駆動が終了して次のミラー駆動が始まる前の第1タイミングt1、あるいはミラー駆動と並行する第2タイミングt2のいずれかで、動作させる。
【0023】
以下、カメラの具体的な構成を図2および図3に示している。図2は、カメラの一部を切断してその機械的な内部構造を概略的に示す斜視図である。図3は、このカメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック図である。最初に機械的な構造について説明する。
【0024】
カメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体部11およびレンズ鏡筒12とから成り、それぞれは互いに着脱自在に構成されている。
【0025】
レンズ鏡筒12は複数のレンズやその駆動機構等から成る撮影光学系12aを内部に保持して構成され、この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることで当該被写体光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子27の受光面上)に結像せしめるように例えば複数の光学レンズ等によって構成されるものである。そしてこのレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に向けて突出するように配設される。
【0026】
なお、このレンズ鏡筒12については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。したがって、その詳細な構成についての説明は省略する。
【0027】
カメラ本体部11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えて構成された、いわゆる「一眼レフレックス方式」のカメラである。
【0028】
つまり、カメラ本体部11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体部11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。
【0029】
カメラ本体部11の外面側には、その前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体部11を動作させるための各種の操作部材、例えば撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。これらの操作部材については、本発明とは直接関連しない部分であるので、図面の煩雑化を避けるために、レリーズボタン17以外の操作部材については、その図示および説明を省略する。
【0030】
カメラ本体部11の内部には、図示の如くの各種の構成部材、例えば撮影光学系12aによって形成される所望の被写体像を後述する撮像素子(上記撮像素子104に相当する)27の受光面上とは異なる所定位置に形成させるために設けられいわゆる「観察光学系」を成すファインダ装置13と、後述する撮像素子27の受光面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ(上記シャッタ103に相当する)14と、撮影光学系12aおよびシャッタ14を通った被写体光束に基づき形成される被写体像に対応した画像信号を得る光電変換素子である後述の撮像素子27、この撮像素子27の受光面を覆うように配設されて当該受光面への塵埃等の付着を防止する透光性部材である防塵フィルタ21(上記防塵フィルタ105に相当する、詳細は後述する)等から成る撮像ユニット15と、撮像素子27により取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16を始めとする複数の回路基板(図2では主回路基板16のみを図示)等が、それぞれ所定位置に配設されている。
【0031】
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成されたメインミラー(上記メインミラー101に相当する)13bと、このメインミラー13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するに最適な形態の像を結象させる接眼レンズ13c等によって構成されている。
【0032】
メインミラー13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態は、撮影光学系12aの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にある際は、メインミラー13bによってその光軸が折り曲げられて、当該メインミラー13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
【0033】
一方、カメラ1が撮影動作の実行中において、その実際の露光動作中には、当該メインミラー13bが撮影光学系12aの光軸から退避する所定位置に移動するようになっている。これによって被写体光束は、撮像素子27の側へと導かれ、その受光面に照射されるようになっている。
【0034】
シャッタ(上記シャッタ103に相当する)14は、例えばフォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様のものが適用される。従ってその詳細な構成についての説明は省略する。
【0035】
図3に基づく電気的な説明は後に詳しく述べるとして、続いて、カメラ1における撮像ユニット15の詳細構造について以下に説明する。
【0036】
図4、図5、および図6は、カメラ1における撮像ユニット15の一部を取り出して示しており、図4は当該撮像ユニット15を分解して示す要部分解斜視図、図5は組立状態の当該撮像ユニット15の一部を切断して示す斜視図、図6は図5の切断面に沿う断面図である。
【0037】
なお、カメラ1の撮像ユニット15は、上述したようにシャッタ14を含む複数の部材で構成されるユニットであるが、図4〜図6では、その主要部を図示するに留め、シャッタ14の図示は省略している。また、各構成部材の位置関係を示すため図4〜図6では、当該撮像ユニット15の近傍に設けられ撮像素子27が実装されると共に、画像信号処理回路やワークメモリ等から成る撮像系の電気回路が実装される主回路基板16を合わせて図示している。なお、この主回路基板16それ自体の詳細については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものが適用されるものとして、その説明は省略する。
【0038】
撮像ユニット15はCCD等から成り、撮影光学系12aを透過し自己の受光面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子27と、この撮像素子27を固定支持する薄板状の部材から成る撮像素子固定板28と、撮像素子27の受光面の側に配設され、撮影光学系12aを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学的ローパスフィルタ(Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)25と、この光学LPF25と撮像素子27との間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子27を収納し固定保持すると共に光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持し且つ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23(後述する第1の部材)に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(後述する第2の部材;以下「CCDケース24」と称す)と、このCCDケース24の前面側に配置され防塵フィルタ21(防塵部材)をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子27の受光面を覆うように光学LPF25の前面側において当該光学LPF25との間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される透光性部材である防塵フィルタ21と、この防塵フィルタ21の周縁部に配設され当該防塵フィルタ21を振動させる加振手段たとえば圧電素子22と、この圧電素子22を駆動する駆動回路である後述の防塵フィルタ駆動回路48(上記防塵フィルタ駆動部200に相当する、図4〜図6には図示せず、図3参照)と、防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合させ固定保持する弾性体から成る押圧部材20等によって構成されている。
【0039】
光電変換手段である撮像素子27は、撮影光学系12aを透過した被写体光束を自己の受光面に受けて光電変換処理を行なうことで、当該受光面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであり、例えば電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)が適用される。
【0040】
撮像素子27は、撮像素子固定板28を介して主回路基板16上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16(図示しない)には、上述の如くに画像信号処理回路およびワークメモリ等が共に実装され、撮像素子27からの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が処理される。
【0041】
この撮像素子27の前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟持して光学LPF25が配設されている。そしてこれを覆う如くにCCDケース24が配設されている。
【0042】
つまり、CCDケース24には、略中央部分に矩形状から成る開口24cが設けられ、この開口24cには、その後方側から光学LPF25および撮像素子27が配設されている。この開口24cの後方側の内周縁部には、図5および図6に示すような断面が略L字形状から成る段部24aが形成されている。
【0043】
上述の如く、光学LPF25と撮像素子27との間には、弾性部材等から成るローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子27の前面側の周縁部にてその受光面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF25の背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして光学LPF25と撮像素子27との間を略気密性が保持されるように構成している。これにより、光学LPF25にはローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働く。
【0044】
そこで、光学LPF25の前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF25をその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF25の光軸方向における位置を規制するようにしている。換言すれば、CCDケース24の開口24cの内部に背面側より挿入された光学LPF25は、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF25は、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
【0045】
このようにして、CCDケース24の開口24cの内部に背面側から光学LPF25が挿入された後、光学LPF25の背面側には、撮像素子27が配設されるようになっている。この場合、光学LPF25と撮像素子27との間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持される。
【0046】
また、撮像素子27は、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16に実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16がスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
【0047】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。この場合において、CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、図5および図6に詳細に示すように、周溝24dが略環状に形成されている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23d(図4には図示しない)が全周にわたって略環状に形成されている。したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、即ち周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密的に嵌合するようになっている。
【0048】
防塵フィルタ21は、全体として円形ないし多角形の板状を成し、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部を成しており、この透明部が光学LPF25の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。
【0049】
また、防塵フィルタ21の一方の面(本実施形態では背面側)の周縁部には、当該防塵フィルタ21に対して振動を与えるための所定の加振用部材であり、電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。この圧電素子22は後述の防塵フィルタ駆動回路48から所定周期の駆動パルス電圧が印加されることにより、防塵フィルタ21に所定の振動、即ち定在波振動を発生させることができるように構成されている。そして、防塵フィルタ21は、防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように板ばね等の弾性体から成る押圧部材20によって固定保持されている。
【0050】
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状から成る開口23fが設けられている。この開口23fは、撮影光学系12aを透過した被写体光束を透過させて、当該光束が後方に配置される撮像素子27の受光面を照射するのに充分な大きさとなるように設定されている。
【0051】
この開口23fの周縁部には、前面側に突出する壁部23e(図5、図6参照)が略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように受け部23cが形成されている。
【0052】
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定位置に複数(本実施形態では3箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。突状部23aは、防塵フィルタ21を固定保持する押圧部材20を固設するために形成され、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してネジ20a等により固設されている。
【0053】
押圧部材20は、上述の如くに板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21の外周縁部に当接することで、当該防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23の側、即ち光軸方向に向けて押圧するようになっている。
【0054】
この場合、防塵フィルタ21の背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することで、防塵フィルタ21および圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。したがって、これにより防塵フィルタ21は、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように固定保持される。
【0055】
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による附勢力によって防塵フィルタ21と圧電素子22を介して気密的に接合するように構成されている。
【0056】
ところで、上述したように、防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23d(図4、図5参照)とが相互に略気密的に嵌合するように設定されていると同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とは、押圧部材20の附勢力により圧電素子22を介して気密的に接合するように設定されている。また、CCDケース24に配設される光学LPF25は、光学LPF25の前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF25の背面側には、撮像素子27がローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF25と撮像素子27との間でも、略気密性が保持されるようになっている。
【0057】
したがって、光学LPF25と防塵フィルタ21とが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成される。また、光学LPF25の周縁部、即ちCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とによって、空間部51bが形成される。この空間部51bは、光学LPF25の外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である(図5、図6参照)。またこの空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。そして、空隙部51aと空間部51bとから成る空間は、上述の如くCCDケース24、防塵フィルタ受け部材23、防塵フィルタ21および光学LPF25によって、略気密的に封止される封止空間51となっている。
【0058】
このように、カメラ1における撮像ユニット15では、光学LPF25および防塵フィルタ21の周縁に形成され空隙部51aを含む略密閉された封止空間51を形成する封止構造部が構成されている。そして、この封止構造部は、光学LPF25の周縁ないしその近傍から外側の位置に設けられるようになっている。
【0059】
さらにこの第1の実施形態においては、防塵フィルタ21をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する第1の部材である防塵フィルタ受け部材23と、光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍位置に密着して支持すると共に、自己の所定部位で防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と密に接触するように配設される第2の部材であるCCDケース24等によって、封止構造部が構成されている。
【0060】
上述の如くに構成されたカメラ1においては、撮像素子27の受光面に防塵フィルタ21を対向配置し、かつ撮像素子27の受光面と防塵フィルタ21との周縁に形成される封止空間51を封止して、撮像素子27の受光面を防塵フィルタ21で覆う構成としたことにより、撮像素子27の受光面に塵埃等が付着するのを防いでいる。
【0061】
そしてこの場合、防塵フィルタ21の前面側の露出面に付着する塵埃等については、当該防塵フィルタ21の周縁部に一体となるように配設される圧電素子22に周期電圧を印加して防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えることで、除去することができるようになっている。
【0062】
ここで、防塵フィルタ21の振動(埃除去動作)について説明する。
【0063】
図7は、カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21およびこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
【0064】
図8および図9は、図7の圧電素子22に対して周期的な駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ21および圧電素子22の状態変化を示し、図8は図7のA−A線に沿う断面図、図9は図7のB−B線に沿う断面図である。
【0065】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合、防塵フィルタ21は、図8、図9に実線で示すように変形する。圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図に破線で示すように変形する。
【0066】
この場合、図7〜図9の符号21aで示すような振動の節の位置では、実質的に振幅は零になる。この節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させることにより、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を確実に支持することができる。この状態で、圧電素子22に周期的にレベル変化する電圧を印加することにより、防塵フィルタ21が振動し、防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等が除去される。
【0067】
なお、このときの防塵フィルタ21の共振周波数は、防塵フィルタ21の形状や板厚・材質等により決定される。上述の図7〜図9に示す例では、一次振動を発生させた場合を示している。
【0068】
なお、防塵フィルタ21に二次振動を発生させた場合の様子を図10から図12に示している。
【0069】
図10は、図7と同様に、カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21およびこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
【0070】
図11および図12は、圧電素子22に二次振動を発生させるための周期的にレベル変化する電圧を印加した際の、防塵フィルタ21および圧電素子22の状態変化を示している。図11は図10のA−A線に沿う断面図、図12は図10のB−B線に沿う断面図である。
【0071】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合に、防塵フィルタ21は、図11および図12に実線で示すように変形する。圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図に破線で示すように変形することになる。
【0072】
この場合、図10〜図12の符号21a,21bで示すように、この二次振動では二対の節が存在することになる。たとえば、節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させることにより、上述の図7〜図8に示す例と同様に、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を確実に支持することができる。
【0073】
ここで、カメラ1のシステム構成について詳しく説明する。
【0074】
図3に示すように、カメラ1のシステムは、カメラ本体であるボディユニット100、アクセサリ装置(以下「アクセサリ」と略称する)であるところの例えば交換レンズであるレンズユニット(即ちレンズ鏡筒)12、撮影した画像データを記録しておく記録メディア39、外部電源70および外付けのストロボユニット80などで構成されている。
【0075】
ユーザが所望するレンズユニット12は、ボディユニット100の前面に設けられたレンズマウント(図示しない)を介して着脱自在に装着することができる。
【0076】
記録メディア39は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、通信コネクタ35を介してカメラ本体と通信可能かつ交換可能に装着される。
【0077】
外部電源70は、AC/DCコンバータ機能を内蔵し、付属のコネクタ71およびプラグ72を介して、例えば家庭用電源コンセントとカメラ本体側のジャック37との間に接続されることにより、カメラ1の動作に必要な電力をボディユニット100に供給する。
【0078】
また、ストロボユニット80は、閃光電球81、DC/DCコンバータ82、ストロボ制御マイクロコンピュータ83、および電池84から成り、ストロボ通信コネクタ85を介してボディユニット100に対し通信可能に装着される。
【0079】
レンズユニット12の制御は、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下“Lucom”と称する)5が行なう。ボディユニット100の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(上記シーケンス制御部201に相当する、以下“Bucom”と称する)50が行なう。これらLucom5とBucom50とは、レンズユニット12とボディユニット100の合体時に通信コネクタ6を介して電気的に接続される。Lucom5は、Bucom50に従属的に協働しながら稼動する。
【0080】
レンズユニット12内には、撮影レンズ12aおよび絞り3が設けられている。撮影レンズ12aは、レンズ駆動機構2内に在するDCモータ(図示しない)によって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内に在するステッピングモータ(図示しない)によって駆動される。Lucom5は、Bucom50の指令に従ってこれら各モータを制御する。
【0081】
ボディユニット100内には、次の構成部材が配設されている。例えば、撮像光学系として一眼レフ方式のペンタプリズム13a、メインミラー13b、接眼レンズ13c、サブミラー13dのほかに、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタ14、および上記サブミラー(上記サブミラー102に相当する)13dからの反射光束を受けて自動測距する為のAFセンサユニット30aなどが設けられている。
【0082】
さらに、AFセンサユニット30aを駆動制御するAFセンサ駆動回路30b、上記メインミラー13bを駆動制御するミラー駆動機構18、上記シャッタ14の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19、その先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路31、上記ペンタリズム13aからの光束に基づき測光処理する測光回路32などが設けられている。
【0083】
光軸上には、上記光学系を通過した被写体像を光電変換する撮像素子27が設けられ、この撮像素子27の受光面を覆う状態に設けられた透光性の防塵フィルタ21によって撮像素子27が保護されている。そして、防塵フィルタ21を所定の周波数で振動させる加振手段の一部として、圧電素子22が、その防塵フィルタ21の周縁部に取り付けられている。
【0084】
圧電素子22は2つの電極を有しており、その両電極間に防塵フィルタ駆動回路48から電圧が印加されることにより、防塵フィルタ21が振動する。この振動により、防塵フィルタ21の表面に付着していた塵が振り落とされて除去される。こうして、いわゆる「防塵機能付きカメラ」の基本構造をもつ電子カメラシステムが構成されている。
【0085】
なお、撮像素子27の周辺の温度を測定するために、防塵フィルタ21の近傍に、温度測定回路33が設けられている。
【0086】
このカメラシステムには、また、撮像素子27に接続されたCCDインターフェイス回路34、液晶モニタ36、記憶領域として設けられたSDRAM38a、FlashROM38bや記録メディア39などを利用して画像処理する画像処理コントローラ40などが設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0087】
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として例えばEEPROMから成る不揮発性メモリ29が、Bucom50からアクセス可能に設けられている。
【0088】
Bucom50には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD57、および撮影モードを選択するための選択手段としてカメラ操作スイッチ(上記モード設定部203に相当する)52が設けられている。カメラ操作スイッチ52は、例えばレリーズスイッチ、モード変更スイッチおよびパワースイッチなど、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群であり、連写モードの選択スイッチのほかにSWRAFモードを変更して動体AFモードにする選択スイッチを含んでいる。さらに、カメラ1の動作電源である電池54、この電池54の電圧を当該カメラシステムの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53a、外部電源70からジャック71を介して入力される電圧および電池54の電圧を検出する電圧検出回路53b、電池54の種類(電力容量の違い)を検出する電源種類検出回路53cが併設されている。電源種類検出回路53cは、電池54の種類(電力容量の違い)に応じてオンまたはオフするメカ的なスイッチをアクチュエータとして備え、そのスイッチの状態を判別することで電池54の電源の種類(電力容量の違い)を検出する。この電源種類検出回路53cおよび電圧検出回路53bにより、電池54の電力容量を判別する上記容量判別部202が構成されている。
【0089】
上述した如くに構成されたカメラシステムの各部は次のように稼動する。
【0090】
まず、画像処理コントローラ40は、Bucom50の指令に従ってCCDインターフェイス回路34を制御して撮像素子27から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ40でビデオ信号に変換され、液晶モニタ36にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ36の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。
【0091】
SDRAM38aは、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データは、JPEGデータに変換された後で記録メディア39に保管される。
【0092】
撮像素子27は、受光面が透光性の防塵フィルタ21によって保護されている。この防塵フィルタ21の周縁部にはそのフィルタ面を加振するための圧電素子22が配置され、この圧電素子22は、前述の如く防塵フィルタ駆動回路48によって駆動される。
【0093】
撮像素子34および圧電素子22は、防塵フィルタ21を一面とし且つ破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
【0094】
通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数を変化を考慮しなければならない。稼動中に、温度上昇が激しい撮像素子27の前面を保護するため設けられた防塵フィルタ21の温度変化を測定して、その時の固有振動数を予想するほうがよい。
【0095】
したがってこの例の場合、上記温度測定回路33に接続されたセンサ(図示しない)が、撮像素子27の周辺温度を測定するため設けられている。なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵フィルタ21の振動面の極近傍に設定されるのが好ましい。
【0096】
ミラー駆動機構18は、メインミラー13bをアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構であり、このメインミラー13bが下降してダウン位置にある時、撮影レンズ12aからの光束はAFセンサユニット30a側とペンタプリズム13a側へと分割されて導かれる。
【0097】
AFセンサユニット30a内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路30bを介してBucom50へ送信されて周知の測距処理が行われる。
【0098】
また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部は測光回路32内のホトセンサ(図示しない)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0099】
次に、図13に示す防塵フィルタ駆動回路48の回路、および図14に示すタイムチャートに基づいて、防塵フィルタ21の駆動について説明する。
【0100】
防塵フィルタ駆動回路48は、図13の回路構成を有し、その各部において生成される図14のタイムチャートに示す波形の信号Sig1〜Sig4に基づき、次のように同長する。
【0101】
防塵フィルタ駆動回路48は、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタ(Q00.Q01.Q02)44a、44b、44c、トランス45および抵抗(R00)46により構成されている。
【0102】
上記トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bおよびトランジスタ(Q02)44cのオン/オフ切替動作によって、そのトランス45の2次側に所定周期の信号Sig4が発生する。この信号Sig4に基づいて圧電素子22を駆動し、防塵フィルタ21を共振させる。
【0103】
Bucom50は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwContおよびIOポートD_NCntを有し、内部のクロックジェネレータ55を用いて防塵フィルタ駆動回路48を次のように制御する。クロックジェネレータ55は、圧電素子22へ印加する信号の周波数より充分に高い周波数のパルス信号(基本クロック信号という)を出力する。この基本クロック信号が、Sig1であり、N進カウンタ41へ入力される。
【0104】
N進カウンタ41は、入力された基本クロック信号Sig1のパルスをカウントし、カウント値が所定値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号Sig1を1/Nに分周することになる。この分周後のパルス信号が、Sig2である。
【0105】
分周後のパルス信号Sig2は、高レベルと低レベルのデューティ比が1:1ではない。そこで、分周後のパルス信号Sig2を1/2分周回路42に通して、デューティ比を1:1へ変換する。なお、この変換後のパルス信号がSig3である。
【0106】
変換されたパルス信号Sig3の高レベル期間において、MOSトランジスタ(Q01)44bがオンする。一方、トランジスタ(Q02)44cへはインバータ43を経由して上記パルス信号Sig3が印加される。したがって、パルス信号Sig3の低レベル期間において、トランジスタ(Q02)44cがオンする。トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bとトランジスタ(Q02)44cが交互にオンすると、トランス45の2次側にSig4の如き周期の信号が発生する。
【0107】
トランス45の巻き線比は、電源回路53aの出力電圧と圧電素子22の駆動に必要な電圧から決定される。なお、抵抗(R00)46はトランス45に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0108】
圧電素子22を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)44aがオン状態にあり、電源回路53aからトランス45のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。トランジスタ(Q00)44aは、IOポートP_PwContの出力によりオン,オフ制御される。N進カウンタ41の設定値“N”は、IOポートD_NCntの出力により設定できる。Bucom50は、設定値“N”を適宜に制御することにより、圧電素子22に対する駆動信号の周波数を任意に変更可能である。
【0109】
圧電素子22に対する駆動信号の周波数は、次式によって表わされる。
fdrv=fpls/2N
NはN進カウンタ41への設定値、fplsはクロックジェネレータ55の出力信号の周波数、fdrvは圧電素子22へ印加される信号の周波数である。
上記の式に基づいた演算は、Bucom50のCPU(制御手段)で行われる。
【0110】
カメラシーケンス手順のフローチャートを説明する前に、電池の電力容量について説明する。
【0111】
図15は、電池24として、電力容量の異なる2種類の電池のいずれかがカメラ本体部11に装着される様子を示している。
【0112】
すなわち、電力容量が小さい充電タイプの電池(例えばLiイオン電池)111、および電力容量が大きい充電タイプの電池(例えばLiイオン電池)112が、電池24として、電池装着部113へ装着可能となっている。
【0113】
電池111,112のどちらが装着されたかを判別するためのスイッチ部114が電源種類検出回路53Cのアクチュエータとして設けられており、容量の大きい電池112が装着されるとその電池112の凸部112aがスイッチ部114のメカ的スイッチを押圧してオンし、電池112が装着されたことを示す電気信号がBucom50に送られる。容量の小さい電池111が装着された場合は、スイッチ部114のメカ的スイッチが押圧されない(オフ状態)。このとき、電池111の装着そのものについては、電圧検出回路53bによる電池電圧の検出によって把握することができる。
Bucom50は、スイッチ部114の出力と電圧検出回路53bの出力とに基づいて、電池111,112のどちらが装着されたか、つまり電池54の電力容量が所定以上であるか所定未満であるかを判別する判別手段(図1の容量判別部202に相当する)を有している。
【0114】
図16は、撮影動作中の積算消費電力、とくに防塵フィルタ21が加振されることによる塵除去動作をメインミラー13bのミラーアップ中に行なった場合の積算消費電力の変化を示している。図において、横軸は時間、縦軸は消費電力(電池54からの供給電力)を表わしている。スタートと記した時点が現像シーケンス開始タイミング(メインミラー13bのアップ開始タイミング)に相当する。
【0115】
現像シーケンス開始時には、レンズ駆動機構2による撮影光学系12aの駆動、絞り駆動機構4による絞り3の駆動、ミラー駆動機構18によるメインミラー13bの駆動という3つのメカトロ制御が同時に実行されるので、図示のように、レンズ駆動突入電力、絞り駆動突入電力、ミラー駆動突入電力が重畳される。それぞれの突入電力は、大電流を必要とする各モータの起動開始時の電力に相当する。
【0116】
ここで防塵フィルタ駆動電力は、防塵フィルタ駆動回路48の消費電力である。ミラー駆動と並行して塵除去動作を行う場合には、この防塵フィルタ駆動回路48の消費電力も重畳される。
【0117】
その他のデバイスの駆動電力とは、レンズ駆動機構2、絞り駆動機構4、ミラー駆動機構18、防塵フィルタ駆動回路48を除く他のデバイスの消費電力を示し、ほぼ一定である。
【0118】
電力容量の小さいLiイオン電池111の定格電力容量、および容量の大きいLiイオン電池112の定格電力容量を、図16に破線で示している。つまり、防塵フィルタ駆動回路48をミラー駆動機構18と並行して動作させるためには、電力容量の大きいLiイオン電池112の使用が必要となる。電力容量の小さいLiイオン電池111を使用されている場合には、防塵フィルタ駆動回路48をミラー駆動機構18と並行して動作させることができない。
【0119】
Bucom50は、主要な機能として、ミラー駆動機構18の駆動と並行するタイミングで加振手段であるところの圧電素子22を動作させる第1の制御機能、およびミラー駆動機構18の駆動前のタイミングで圧電素子22を動作させ且つその動作を終了しておく第2の制御機能を有し、これら制御機能のいずれかを選択的に実行する。
【0120】
このBucom50で実行される制御を図17およびそれに続く図18のフローチャートにより示している。
Bucom50の制御は、カメラ1の電源スイッチ(図示しない)がオン操作されることにより、開始される。
【0121】
まず#000において、当該カメラシステムの起動時の初期設定動作として、電源回路53aから当該カメラシステムにおける各回路ユニットへの電力供給を開始させるとともに、各回路ユニットの初期設定を行う。
【0122】
#001では、防塵フィルタ21に対する駆動時間(Tosc)と駆動周波数(共振周波数:Nosc)に関するデータを、EEPROM29の所定領域から読出す。
【0123】
#002では、上記読出したデータに従い、Bucom50の出力ポートD_NCntから駆動周波数(Nosc)の信号を出力する。この出力は、防塵フィルタ駆動回路48のN進カウンタ41へ供給される。
【0124】
#003では、圧電素子22の動作による防塵フィルタ21の振動(塵除去動作)を開始する。すなわち、IOポートP_PwContの出力を高レベルにセットすることにより、圧電素子22を所定の駆動周波数(Nosc)で駆動して防塵フィルタ21を振動させ、その振動により、防塵フィルタ21に付着した塵が払い落とされる。つまり、塵除去動作を開始する。これにより、カメラ1がまだ撮影に使用されないこの期間に、ユーザは何も意図することなく、防塵フィルタ21に付着した塵を自動的に除去することができる。
【0125】
#004では、防塵フィルタ21の振動を継続したまま、上記読出したデータに基づく所定時間(Tosc)の待機を行なう。
【0126】
所定時間(Tosc)の経過後、#005において、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットし、これにより圧電素子22の駆動を止めて防塵フィルタ21の振動を停止し、塵除去動作を停止する。
【0127】
続く#006〜#039は、周期的に実行されるステップである。
#006では、Lucom5と通信により、レンズユニット12の状態を検出するための着脱検出動作を実行する。
【0128】
#007では、レンズユニット12がボディユニット100に装着されたことを検出した場合に、#010へ移行して、制御フラグF_Lensを“1”にセットする。#008では、レンズユニット12がボディユニット100から外されたことを検出した場合に#009へ移行して、制御フラグF_Lensを“0”にセットする。その後、#014へ移行する。
【0129】
制御フラグF_Lensは、ボディユニット100にレンズユニット12が装着されている期間は“1”となり、レンズユニット12が外されている期間は“0”となる。
【0130】
ここでは、レンズユニット12が装着されているので、#011〜#013において、上述同様にして塵除去動作を行う。即ち、IOポートP_PwContの出力を高レベルにセットすることで、塵除去動作を開始する。圧電素子22は、所定の周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振して防塵フィルタ21に付着した塵を振り払う(#011)。
【0131】
この防塵フィルタ21の振動を継続したまま所定時間(Tosc)だけ待機し(#012)、所定時間(Tosc)が経過した後、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットすることで塵除去動作を停止する(#013)。すなわち、カメラ1がまだ撮影に使用されないこの期間に、ユーザは何も意図することなく、防塵フィルタ21に付着した塵を自動的に除去することができる。
【0132】
このように、ボディユニット100にレンズユニット12が装着されていない期間には、通常、各レンズや防塵フィルタ21等に塵が付着する可能性が高いことから、レンズユニット12の装着を検出したタイミングで塵を振り払う動作を実行することが望ましい。また、レンズ交換するとカメラ内部に外部の空気が循環して塵が付着する可能性が高いので、このレンズ交換時にも塵除去動作を行うことは有意義である。
【0133】
#014では、カメラ操作スイッチの1つである1stレリーズスイッチ(図示しない)が操作されたか否かを、その1stレリーズスイッチのオン,オフ状態で判定する。仮に、1stレリーズスイッチが所定時間以上オン操作されない場合には、#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理して例えばスリープ状態となる。
【0134】
1stレリーズスイッチがオン操作された場合には、#016において、測光回路32から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報から撮像素子27の露光時間(Tv値)とレンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
【0135】
#017では、1stレリーズスイッチオン中一度加振済フラグがセットされているか判断する。このフラグは1stレリーズスイッチのオン中(#006→#026→#040→#006のループ中)に防塵フィルタ21の加振を一度行ったかどうかの指標となるもので、後述する#019でセットされ、後述する#039でクリアされる。#000の初期設定動作でもクリアされる。
【0136】
同フラグがセットされている場合には、既に1stレリーズスイッチオン中に一度は防塵フィルタ21の加振が済んでいるので、ここでは加振を行うことなく#021に移行し、クリアされている場合には加振を行うために#018へ移行する。
【0137】
#018では、図15および図16で説明した概念に基づいて、電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、現タイミングで塵除去動作を行うべく、#019に移行して予め1stレリーズスイッチオン中一度加振済フラグをセットした上で、#020で塵除去動作を開始する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、そのまま#021に移行する。
【0138】
#021では、AFセンサ駆動回路30bを経由してAFセンサユニット30aの検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。
【0139】
#022では、再度、電池54の電力容量を判別する。電池54として、容量が小さい電池が装着されている場合には、#023でIOポートP_PwContの出力を低レベルにセットすることにより塵除去動作を停止し、#024に移行する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、そのまま#024に移行する。
【0140】
#024では、制御フラグF_Lensの状態を判定する。制御フラグF_Lensが“0”であれば、レンズユニット12が存在しないことを意味するので、次の#025以降の撮影動作は実行できない。そこでこの場合は、#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理して例えばスリープ状態となる。制御フラグF_Lensが“1”であれば、次の#025に移行する。
【0141】
#025では、Lucom5に対してピントのズレ量を送信して、このズレ量に基づく撮影レンズ12aの駆動制御を指令する。
【0142】
#026では、カメラ操作スイッチ52の1つである2ndレリーズスイッチ(図示しない)がオン操作されたか否かを判定する。この2ndレリーズスイッチがオンしているときは、続く#027へ移行するが、2ndレリーズスイッチがオフのときは#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理して例えばスリープ状態となる。
【0143】
#027では、再度、電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、このタイミングでは塵除去動作が不要(既に塵除去動作が済んでいる)との判断の下に、そのまま#029に移行する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、このタイミングで塵除去動作が必要との判断の下に、#028に移行する。
【0144】
#028では、撮影動作に先立って塵を除くための塵除去動作を、IOポートP_PwContの出力を高レベルにセットすることで開始する。
【0145】
この塵除去動作の開始直後の#029からは、まずLucom5へAv値を送信し、かつ絞り3の駆動を指令し、#030にてメインミラー13bをアップ位置へ移動させる。#031にて、シャッタ14の先幕走行を開始させてオープン制御し、#032にて、画像処理コントローラ40に対して撮像動作の実行を指令する。撮像動作のルーチンを図19に示しており、これについては後述する。
【0146】
Tv値で示された時間だけ撮像素子27への露光(撮像)が終了すると、#033において、シャッタ14の後幕走行を開始させてクローズ制御する。
【0147】
#034では、再度、電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、このタイミングでは塵除去動作を行わなかったので(既に実行済みなので)、#036に移行する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、このタイミングで塵除去動作を行ったので、#035に移行する。#035では、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットすることにより、塵除去動作を停止する。
【0148】
なお、#032の撮像動作中は、通常の如く、露出の為に設定された秒時(露出秒時)に対応した時間の電子撮像動作を制御している(詳細省略)。
【0149】
このようにして、撮像動作中であっても、ユーザは何も意図することなく、防塵フィルタ21に付着した塵を自動的に除去することができる。
【0150】
その後は、#036にてメインミラー13bをダウン位置へ駆動すると共に、シャッタ14のチャージ動作を行なう。
【0151】
そして#037では、Lucom5に対して、絞り3を開放位置へ復帰させるように指令する。#038では、画像処理コントローラ40に対して、撮影した画像データを記録メディア39へ記録するように指令する。その画像データの記録動作が終了すると、#039において、#019でセットした1stレリーズスイッチオン中一度加振済フラグをクリアし、再び、上述した#006へ移行して、同様の一連の処理を繰り返す。
【0152】
最後の#040では、#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理(スリープ等)となる。そして、稼動状態を休止する。
【0153】
ここで、図19に示した撮像動作のルーチンについて説明する。
カメラ1の塵除去動作では、撮像動作が例えば2秒〜3秒のように「長秒時」に設定された場合において、圧電素子22の駆動を塵除去用としてあらかじめ設定された所定時間(例えば20ms)だけ行ない、その後は、圧電素子22の駆動を終了するように制御する。
【0154】
すなわち、撮像動作中は、露出の為に設定された秒時(露出秒時)と、その制限された所定時間(200ms)との比較判定を行なっており、その所定時間を優先して判定することで、塵除去動作時間を適宜制御している。よって、この所定時間よりも長い露出秒時が設定されても、その途中で塵除去動作が停止するように制御される。
【0155】
まず、#050において、Bucom50は、シャッタ制御回路31やCCDインターフェイス回路34等に対して、設定された露出秒時(長秒時を含む)の撮像動作の開始を指令する。
【0156】
#051において、Bucom50は、撮像動作に係わる露出秒時時間の経過を判定する。ここで、もしその露出秒時が早くも経過したならば、メインルーチンの#033へ移行する。
【0157】
露出秒時が長秒時間である故にまだ経過しない場合は、#052において電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、ここでは塵除去動作を行っていないので#051に戻る。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、既にこの時点では塵除去動作が進行中であることから、#053において、塵除去動作が開始されてから所定時間(200ms)が経過したか否かを判定する。まだ経過していなければ、#051へ戻って、塵除去動作を継続させる。もし、上記所定時間が経過していれば、#054において、露出秒時(長秒時)に達していない場合でも、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットして塵除去動作を停止する。そして#051へ戻る。
【0158】
以上のように、この第1の実施形態では、撮像素子27の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするメインミラー13bの駆動と並行するタイミングで防塵フィルタ21の加振による塵除去動作を実行する第1の制御、およびメインミラー13bの駆動前のタイミングで塵除去動作を開始し且つその塵除去動作を終了しておく第2の制御があって、装着された電池54の電力容量が所定以上であれば第1の制御を実行し、装着された電池54の電力容量が所定未満であれば第2の制御を実行するようにしている。
【0159】
すなわち、電池54の電力容量が大きい場合には、メインミラー13bのミラーアップ開始直前に塵除去動作を開始させ、ミラーアップを含む撮像中までその塵除去動作を継続しており、撮像タイミングにより近いタイミングでの塵除去動作が可能となる。これにより、塵埃による撮影画像への悪影響を確実に解消することができる。
【0160】
電池54の電力容量が小さい場合には、メインミラー13bのミラーアップ開始前のタイミングで塵除去動作を開始し且つその塵除去動作を終了しておくようにしているので、たとえ防塵フィルタ21の加振による塵除去動作に大きな電力が必要であっても、電池54に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能である。電池54に多大な負荷を与えないので、カメラの動作に支障をきたすなどの不具合を回避することができる。
【0161】
メインミラー13bのミラーアップ開始前のタイミングは、具体的には焦点検出の動作中であり、この焦点検出動作と並行して塵除去動作を行うことの利点として、次の3つがある。
【0162】
(1)焦点検出動作のタイミングでは、他のデバイスが多く動作していないので、電力的に余裕がある。
【0163】
(2)連写モードでは、メインミラー13bのダウン動作後に焦点検出を行い、焦点検出後に引き続いてレンズ駆動動作に移行するので、できるだけ塵除去動作がタイムラグにならないようにするには、焦点検出と並行するのがよい。
【0164】
(3)特に被写体が暗めの場合にはAFセンサユニット30a中のAFセンサの電荷蓄積時間に時間を要するので、塵除去動作を行うタイミングとして適する。
【0165】
焦点検出動作だけでなく、塵除去動作を測光回路32の測光動作(図18の#016)とも並行させてもよい。
【0166】
[2]第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、カメラ操作スイッチ52の操作により選択される撮影モードが移動被写体の撮影に適する動体モードたとえば動体AFモードであるか否かを判別し、動体AFモードであれば、メインミラー13bの駆動前のタイミングで塵除去動作を開始し且つその塵除去動作を終了しておく(第2の制御)。動体AFモードでなければ(静止被写体に適する撮影モード)、撮像素子27の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするメインミラー13bの駆動と並行するタイミングで塵除去動作を実行する(第1の制御)。
【0167】
既に説明したように、動体AFモードは、移動する被写体にピントを合焦させるいわゆる動体予測技術を搭載するモードである。一般的に、動体AFモードでは、図1で説明したようにタイムラグを短縮するためにレンズ駆動動作をミラーアップ動作と並行して行う。ミラーアップ中にレンズ駆動も行う動体AFモードでは、電池の負荷軽減のためにミラーアップ中に塵除去動作は行わない。
【0168】
この第2の実施形態におけるBucom50の制御のうち、第1の実施形態と異なる部分を図20のフローチャート(図17に続くフローチャート)に示している。すなわち、電池54の電力容量を判別する#022、#027、#034に代えて、動体AFモードであるか否かを判別する#022a、#027a、#034aを採用している。
【0169】
また、#032における撮像動作のルーチンを図21に示しており、電池54の電力容量を判別する#052に代えて、動体AFモードであるか否かを判別する#052aを採用している。
【0170】
他の構成および作用は第1の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0171】
なお、図20の処理は、1コマ撮影の単写モードの例を示しているが、連写モードと組み合わせてもよい。その場合には、図1で説明したように、1コマ撮影後にメインミラー13bをダウンさせ、続いてAF動作(AFセンサ積分&AF演算)を行い、続いて連写モードなので次のコマの撮影に入るべくメインミラー13bをアップし、アップが完了すると次のコマの露光動作に至る。AF結果に基づく(動体予測技術に基づく)レンズ駆動はミラーアップ動作とも並行して行われている。これの繰り返しである。
【0172】
このようなカメラの連写シーケンスの中で、ミラーアップ駆動前に動作完了しているように塵除去動作を行えばよい。
【0173】
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】第1の実施形態の要部の概念を説明するための図。
【図2】第1の実施形態のカメラの一部を切断してその内部構造を概略的に示す斜視図。
【図3】第1の実施形態のカメラの電気的な構成を示すブロック図。
【図4】第1の実施形態における撮像ユニットを分解して示す斜視図。
【図5】第1の実施形態における撮像ユニットの組立状態の一部を切断して示す斜視図。
【図6】図5の切断面に沿う断面図。
【図7】第1の実施形態における防塵フィルタの構成を示す図。
【図8】図7のA−A線に沿う断面を示す図。
【図9】図7のB−B線に沿う断面を示す図。
【図10】第1の実施形態における防塵フィルタに二次振動を発生させた場合の防塵フィルタの構成を示す図。
【図11】図10のA−A線に沿う断面を示す図。
【図12】図10のB−B線に沿う断面を示す図。
【図13】第1の実施形態における防塵フィルタ駆動回路のブロック図。
【図14】第1の実施形態における防塵フィルタ駆動回路の各部の信号波形図。
【図15】第1の実施形態における2種類の電池が装着される様子を示す図。
【図16】第1の実施形態におけるカメラの積算消費電力の変化を示す図。
【図17】第1の実施形態におけるBucomの動作を説明するためのフローチャート。
【図18】図17に続くフローチャート。
【図19】図18における撮像動作を示すフローチャート。
【図20】第2の実施形態におけるBucomの動作を説明するためのフローチャート。
【図21】図20における撮像動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0175】
101…メインミラー、103…シャッタ、104…撮像素子、105…防塵フィルタ、200…防塵フィルタ駆動部、201…シーケンス制御部、202…容量判別部、203…モード設定部、1…カメラ、11…カメラ本体部、12…レンズ鏡筒、12a…撮影光学系、13…ファインダ装置、14…シャッタ、15…撮像ユニット、18…ミラー駆動機構、50…Bucom、52…カメラ操作スイッチ(選択手段)、53a…電源回路、53b…電圧検出回路、54…電池(電源)
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子への塵埃の付着を防ぐ防塵機能を有する電子撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ交換可能な一眼レフレックス方式のデジタルカメラにおいては、撮影レンズをカメラ本体から取り外した際、カメラ本体の内部に空気中に浮遊する塵埃が進入する可能性がある。また、カメラ内部にはシャッタや絞り機構等の機械的に動作する各種の機構が配設されているので、これらの機構等からその動作中に塵埃が発生する場合もある。
【0003】
これら塵埃がカメラ内部の撮像素子の表面に付着し、撮影した画像に影響を及ぼすという問題がある。
【0004】
対策として、撮像素子の受光部を封止ないし保護する防塵部材を備え、撮像素子の受光部に塵埃等が付着するのを抑制すると共に、防塵部材の表面に付着する塵埃等に対しては、加振手段によって防塵部材に所定の振動を与えることによってこれを除去する技術が、近年多く提案されている。
【0005】
例えば、防塵部材に振動を与えることによって塵埃を除去する技術に関し、少なくとも撮像素子の撮像動作中に振動を開始させる例がある(例えば特許文献1)。この場合、実質的な露光中にも振動させるが、露光中のみだと撮影のシャッタ秒時が短い設定のときに塵除去効果が少ないので、撮像動作よりも早めに塵除去動作を開始させている。
【0006】
別の例として、防塵部材に振動を与えるタイミングについて考慮し、連写モード中には1枚目の撮像素子の撮像動作中に振動を与え、2枚目以降は加振しないようにするものがある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2004−23159号公報
【特許文献2】特願2003−30876号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
防塵部材に振動を与えて塵埃を除去する塵除去動作には、大きな電力が必要となる。しかしながら、一眼レフレックスカメラの場合、撮像素子の撮像動作の直前にミラーアップや絞り駆動が行われており、それらの動作と同時に塵除去動作を行うことは、装置の電源として装着されている電池に多大な負荷を与えるという問題がある。電池に多大な負荷を与えると、カメラの動作に支障をきたしてしまう。
【0008】
また、撮影モードによっては、レンズ駆動動作をミラーアップ動作中に実行する場合もあるが、その際に塵除去動作を行うことは、やはり電池に多大な負荷を与えることになる。
【0009】
本発明は、上記の事情を考慮し、装置の電源として装着される電池に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能な電子撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明の電子撮像装置は、撮像素子を備えたものであって、撮像素子の受光部上に設けられた透光性部材と、この透光性部材を振動させる加振手段と、この加振手段の動作のタイミングを制御する制御手段と、を備えている。
【0011】
請求項2に係る発明の電子撮像装置は、請求項1に係る発明において、さらに、撮像素子の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするミラーと、このミラーを駆動するミラー駆動手段と、を備えている。そして、制御手段は、ミラー駆動手段の駆動と並行するタイミングで加振手段を動作させる第1の制御、およびミラー駆動手段の駆動前のタイミングで加振手段を動作させ且つその動作を終了しておく第2の制御のうち、いずれかの制御を選択的に実行する。
【0012】
請求項3に係る発明の電子撮像装置は、請求項2に係る発明において、さらに、当該装置の電源として装着される電池の容量を判別する判別手段を備えている。そして、制御手段は、上記判別手段により判別された容量が所定以上の場合に第1の制御を実行し、上記判別手段により判別された容量が所定未満の場合に第2の制御を実行する。
【0013】
請求項4に係る発明の電子撮像装置は、請求項2に係る発明において、さらに、撮影モードを選択する選択手段を備えている。そして、制御手段は、上記選択手段により選択された撮影モードが移動被写体の撮影に適する動体モードである場合に第2の制御を実行し、上記選択手段により選択された撮影モードが上記動体モードでない場合に第1の制御を実行する。
【0014】
請求項5に係る発明の電子撮像装置は、請求項2に係る発明において、さらに、被写体の光学像を撮像素子に投影する撮像光学系と、この撮像光学系の焦点検出を行う焦点検出手段と、を備えている。ミラー駆動手段の駆動前のタイミングは、少なくとも焦点検出手段の動作中である。
【0015】
請求項6に係る発明の電子撮像装置は、請求項1または請求項2に係る発明において、透光性部材について限定している。すなわち、透光性部材は、撮像素子の受光部を覆う状態に設けられた透光性の防塵フィルタである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電池の電力容量あるいは撮影モードに応じて塵除去動作のタイミングを制御することにより、装置の電源として装着される電池に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能な電子撮像装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、例示する本発明の電子撮像装置は、光電変換によって画像信号を得る撮像素子ユニットの防塵機能を有する装置であり、ここでは一例として電子カメラの防塵に係わる改良技術として説明する。特にレンズ交換可能な一眼レフレックス式電子カメラ(デジタルカメラ)に関して説明する。
【0018】
[1]第1の実施形態
まず、第1の実施形態の電子撮像装置であるカメラの要部の概念を説明するための図を図1に示している。
【0019】
被写体からの入射光が通る経路に、メインミラー(メインミラーともいう)101、サブミラー102、およびシャッタ103を介して撮像素子(CCD)104が設けられ、その撮像素子104の受光部を覆う状態に透光性の防塵フィルタ105が設けられている。撮像素子104の受光部に付着しようとする塵埃は、防塵フィルタ105に付着し、撮像素子104の受光部には付着しない。この防塵フィルタ105が防塵フィルタ駆動部200によって駆動されることで、防塵フィルタ105に付着した塵埃が払い落とされて除去される。
【0020】
防塵フィルタ駆動部200の駆動タイミングは、シーケンス制御部201によって決定される。シーケンス制御部201には、当該カメラの電源である電池の電力容量を判別する容量判別部202、および当該カメラの撮影モードを設定するためのモード設定部203が接続されている。シーケンス制御部201は、容量判別部202の判別結果、およびモード設定部203で設定される撮影モードに基づいて、防塵フィルタ駆動部200の動作タイミングを決定する。
【0021】
一眼レフレックス式電子カメラの動作の一例を時間tの流れに沿うシーケンスとして同じ図1に示している。すなわち、撮像素子104の撮像動作による1コマ撮影後にメインミラー101をダウンさせ(204)、続いてオートフォーカス(AF)動作(AFセンサ積分&AF演算)(205)を行い、続いて、連写モードの場合には次のコマの撮影に入るべくメインミラー101をアップし(206)、そのアップが完了すると撮像素子104への露光(撮像)動作(207)に至る。このシーケンス中、撮影モードによっては、AF動作に基づくレンズ駆動(208)がミラーアップ動作と並行して行われる。
【0022】
このようなカメラのシーケンスにおいて、シーケンス制御部201は、防塵フィルタ駆動部200を、ミラー駆動が終了して次のミラー駆動が始まる前の第1タイミングt1、あるいはミラー駆動と並行する第2タイミングt2のいずれかで、動作させる。
【0023】
以下、カメラの具体的な構成を図2および図3に示している。図2は、カメラの一部を切断してその機械的な内部構造を概略的に示す斜視図である。図3は、このカメラの主に電気的な構成を概略的に示すブロック図である。最初に機械的な構造について説明する。
【0024】
カメラ1は、それぞれが別体に構成されるカメラ本体部11およびレンズ鏡筒12とから成り、それぞれは互いに着脱自在に構成されている。
【0025】
レンズ鏡筒12は複数のレンズやその駆動機構等から成る撮影光学系12aを内部に保持して構成され、この撮影光学系12aは、被写体からの光束を透過させることで当該被写体光束により形成される被写体の像を所定の位置(後述する撮像素子27の受光面上)に結像せしめるように例えば複数の光学レンズ等によって構成されるものである。そしてこのレンズ鏡筒12は、カメラ本体部11の前面に向けて突出するように配設される。
【0026】
なお、このレンズ鏡筒12については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものと同様のものが適用される。したがって、その詳細な構成についての説明は省略する。
【0027】
カメラ本体部11は、内部に各種の構成部材等を備えて構成され、かつ撮影光学系12aを保持するレンズ鏡筒12を着脱自在となるように配設するための連結部材である撮影光学系装着部11aをその前面に備えて構成された、いわゆる「一眼レフレックス方式」のカメラである。
【0028】
つまり、カメラ本体部11の前面側の略中央部には、被写体光束を当該カメラ本体部11の内部へと導き得る所定の口径を有する露光用開口が形成され、この露光用開口の周縁部に撮影光学系装着部11aが形成されている。
【0029】
カメラ本体部11の外面側には、その前面に上述の撮影光学系装着部11aが配設されているほか、上面部や背面部等の所定の位置にカメラ本体部11を動作させるための各種の操作部材、例えば撮影動作を開始せしめるための指示信号等を発生させるためのレリーズボタン17等が配設されている。これらの操作部材については、本発明とは直接関連しない部分であるので、図面の煩雑化を避けるために、レリーズボタン17以外の操作部材については、その図示および説明を省略する。
【0030】
カメラ本体部11の内部には、図示の如くの各種の構成部材、例えば撮影光学系12aによって形成される所望の被写体像を後述する撮像素子(上記撮像素子104に相当する)27の受光面上とは異なる所定位置に形成させるために設けられいわゆる「観察光学系」を成すファインダ装置13と、後述する撮像素子27の受光面への被写体光束の照射時間等を制御するシャッタ(上記シャッタ103に相当する)14と、撮影光学系12aおよびシャッタ14を通った被写体光束に基づき形成される被写体像に対応した画像信号を得る光電変換素子である後述の撮像素子27、この撮像素子27の受光面を覆うように配設されて当該受光面への塵埃等の付着を防止する透光性部材である防塵フィルタ21(上記防塵フィルタ105に相当する、詳細は後述する)等から成る撮像ユニット15と、撮像素子27により取得した画像信号に対して各種の信号処理を施す画像信号処理回路等の電気回路を成す各種の電気部材が実装された主回路基板16を始めとする複数の回路基板(図2では主回路基板16のみを図示)等が、それぞれ所定位置に配設されている。
【0031】
ファインダ装置13は、撮影光学系12aを透過した被写体光束の光軸を折り曲げて観察光学系の側へと導くように構成されたメインミラー(上記メインミラー101に相当する)13bと、このメインミラー13bから出射する光束を受けて正立正像を形成するペンタプリズム13aと、このペンタプリズム13aにより形成される像を拡大して観察するに最適な形態の像を結象させる接眼レンズ13c等によって構成されている。
【0032】
メインミラー13bは、撮影光学系12aの光軸から退避する位置と当該光軸上の所定の位置との間で移動自在に構成され、通常状態は、撮影光学系12aの光軸上にて当該光軸に対して所定角度、例えば角度45°に配置されている。これにより、撮影光学系12aを透過した被写体光束は、当該カメラ1が通常状態にある際は、メインミラー13bによってその光軸が折り曲げられて、当該メインミラー13bの上方に配置されるペンタプリズム13aの側へと反射されるようになっている。
【0033】
一方、カメラ1が撮影動作の実行中において、その実際の露光動作中には、当該メインミラー13bが撮影光学系12aの光軸から退避する所定位置に移動するようになっている。これによって被写体光束は、撮像素子27の側へと導かれ、その受光面に照射されるようになっている。
【0034】
シャッタ(上記シャッタ103に相当する)14は、例えばフォーカルプレーン方式のシャッタ機構や、このシャッタ機構の動作を制御する駆動回路等、従来のカメラ等で一般的に利用されているものと同様のものが適用される。従ってその詳細な構成についての説明は省略する。
【0035】
図3に基づく電気的な説明は後に詳しく述べるとして、続いて、カメラ1における撮像ユニット15の詳細構造について以下に説明する。
【0036】
図4、図5、および図6は、カメラ1における撮像ユニット15の一部を取り出して示しており、図4は当該撮像ユニット15を分解して示す要部分解斜視図、図5は組立状態の当該撮像ユニット15の一部を切断して示す斜視図、図6は図5の切断面に沿う断面図である。
【0037】
なお、カメラ1の撮像ユニット15は、上述したようにシャッタ14を含む複数の部材で構成されるユニットであるが、図4〜図6では、その主要部を図示するに留め、シャッタ14の図示は省略している。また、各構成部材の位置関係を示すため図4〜図6では、当該撮像ユニット15の近傍に設けられ撮像素子27が実装されると共に、画像信号処理回路やワークメモリ等から成る撮像系の電気回路が実装される主回路基板16を合わせて図示している。なお、この主回路基板16それ自体の詳細については、従来のカメラ等において一般的に利用されているものが適用されるものとして、その説明は省略する。
【0038】
撮像ユニット15はCCD等から成り、撮影光学系12aを透過し自己の受光面上に照射された光に対応した画像信号を得る撮像素子27と、この撮像素子27を固定支持する薄板状の部材から成る撮像素子固定板28と、撮像素子27の受光面の側に配設され、撮影光学系12aを透過して照射される被写体光束から高周波成分を取り除くべく形成される光学的ローパスフィルタ(Low Pass Filter;以下「光学LPF」と称す)25と、この光学LPF25と撮像素子27との間の周縁部に配置され、略枠形状の弾性部材等によって形成されるローパスフィルタ受け部材26と、撮像素子27を収納し固定保持すると共に光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持し且つ所定の部位を後述する防塵フィルタ受け部材23(後述する第1の部材)に密に接触するように配設される撮像素子収納ケース部材24(後述する第2の部材;以下「CCDケース24」と称す)と、このCCDケース24の前面側に配置され防塵フィルタ21(防塵部材)をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と、この防塵フィルタ受け部材23によって支持されて撮像素子27の受光面を覆うように光学LPF25の前面側において当該光学LPF25との間に所定の間隔を持つ所定の位置に対向配置される透光性部材である防塵フィルタ21と、この防塵フィルタ21の周縁部に配設され当該防塵フィルタ21を振動させる加振手段たとえば圧電素子22と、この圧電素子22を駆動する駆動回路である後述の防塵フィルタ駆動回路48(上記防塵フィルタ駆動部200に相当する、図4〜図6には図示せず、図3参照)と、防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合させ固定保持する弾性体から成る押圧部材20等によって構成されている。
【0039】
光電変換手段である撮像素子27は、撮影光学系12aを透過した被写体光束を自己の受光面に受けて光電変換処理を行なうことで、当該受光面に形成される被写体像に対応した画像信号を取得するものであり、例えば電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)が適用される。
【0040】
撮像素子27は、撮像素子固定板28を介して主回路基板16上の所定の位置に実装されている。この主回路基板16(図示しない)には、上述の如くに画像信号処理回路およびワークメモリ等が共に実装され、撮像素子27からの出力信号、即ち光電変換処理により得られた画像信号が処理される。
【0041】
この撮像素子27の前面側には、ローパスフィルタ受け部材26を挟持して光学LPF25が配設されている。そしてこれを覆う如くにCCDケース24が配設されている。
【0042】
つまり、CCDケース24には、略中央部分に矩形状から成る開口24cが設けられ、この開口24cには、その後方側から光学LPF25および撮像素子27が配設されている。この開口24cの後方側の内周縁部には、図5および図6に示すような断面が略L字形状から成る段部24aが形成されている。
【0043】
上述の如く、光学LPF25と撮像素子27との間には、弾性部材等から成るローパスフィルタ受け部材26が配設されている。このローパスフィルタ受け部材26は、撮像素子27の前面側の周縁部にてその受光面の有効範囲を避ける位置に配設され、かつ光学LPF25の背面側の周縁部近傍に当接するようになっている。そして光学LPF25と撮像素子27との間を略気密性が保持されるように構成している。これにより、光学LPF25にはローパスフィルタ受け部材26による光軸方向への弾性力が働く。
【0044】
そこで、光学LPF25の前面側の周縁部を、CCDケース24の段部24aに対して略気密的に接触させるように配置することで、当該光学LPF25をその光軸方向に変位させようとするローパスフィルタ受け部材26による弾性力に抗して当該光学LPF25の光軸方向における位置を規制するようにしている。換言すれば、CCDケース24の開口24cの内部に背面側より挿入された光学LPF25は、段部24aによって光軸方向における位置規制がなされている。これにより、当該光学LPF25は、CCDケース24の内部から前面側へ向けて外部に抜け出ないようになっている。
【0045】
このようにして、CCDケース24の開口24cの内部に背面側から光学LPF25が挿入された後、光学LPF25の背面側には、撮像素子27が配設されるようになっている。この場合、光学LPF25と撮像素子27との間には、周縁部においてローパスフィルタ受け部材26が挟持される。
【0046】
また、撮像素子27は、上述したように撮像素子固定板28を挟んで主回路基板16に実装されている。そして、撮像素子固定板28は、CCDケース24の背面側からネジ孔24eに対してネジ28bによってスペーサ28aを介して固定されている。また、撮像素子固定板28には、主回路基板16がスペーサ16cを介してネジ16dによって固定されている。
【0047】
CCDケース24の前面側には、防塵フィルタ受け部材23がCCDケース24のネジ孔24bに対してネジ23bによって固定されている。この場合において、CCDケース24の周縁側であって前面側の所定の位置には、図5および図6に詳細に示すように、周溝24dが略環状に形成されている。その一方で、防塵フィルタ受け部材23の周縁側であって背面側の所定の位置には、CCDケース24の周溝24dに対応させた環状凸部23d(図4には図示しない)が全周にわたって略環状に形成されている。したがって、環状凸部23dと周溝24dとが嵌合することによりCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23とは、環状の領域、即ち周溝24dと環状凸部23dとが形成される領域において相互に略気密的に嵌合するようになっている。
【0048】
防塵フィルタ21は、全体として円形ないし多角形の板状を成し、少なくとも自己の中心から放射方向に所定の広がりを持つ領域が透明部を成しており、この透明部が光学LPF25の前面側に所定の間隔をもって対向配置されている。
【0049】
また、防塵フィルタ21の一方の面(本実施形態では背面側)の周縁部には、当該防塵フィルタ21に対して振動を与えるための所定の加振用部材であり、電気機械変換素子等によって形成される圧電素子22が一体となるように、例えば接着剤による貼着等の手段により配設されている。この圧電素子22は後述の防塵フィルタ駆動回路48から所定周期の駆動パルス電圧が印加されることにより、防塵フィルタ21に所定の振動、即ち定在波振動を発生させることができるように構成されている。そして、防塵フィルタ21は、防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように板ばね等の弾性体から成る押圧部材20によって固定保持されている。
【0050】
防塵フィルタ受け部材23の略中央部近傍には、円形状又は多角形状から成る開口23fが設けられている。この開口23fは、撮影光学系12aを透過した被写体光束を透過させて、当該光束が後方に配置される撮像素子27の受光面を照射するのに充分な大きさとなるように設定されている。
【0051】
この開口23fの周縁部には、前面側に突出する壁部23e(図5、図6参照)が略環状に形成されており、この壁部23eの先端側には、さらに前面側に向けて突出するように受け部23cが形成されている。
【0052】
一方、防塵フィルタ受け部材23の前面側の外周縁部近傍には、所定位置に複数(本実施形態では3箇所)の突状部23aが前面側に向けて突出するように形成されている。突状部23aは、防塵フィルタ21を固定保持する押圧部材20を固設するために形成され、当該押圧部材20は、突状部23aの先端部に対してネジ20a等により固設されている。
【0053】
押圧部材20は、上述の如くに板ばね等の弾性体によって形成される部材であって、その基端部が突状部23aに固定され、自由端部が防塵フィルタ21の外周縁部に当接することで、当該防塵フィルタ21を防塵フィルタ受け部材23の側、即ち光軸方向に向けて押圧するようになっている。
【0054】
この場合、防塵フィルタ21の背面側の外周縁部に配設される圧電素子22の所定の部位が、受け部23cに当接することで、防塵フィルタ21および圧電素子22の光軸方向における位置が規制されるようになっている。したがって、これにより防塵フィルタ21は、圧電素子22を介して防塵フィルタ受け部材23に対して気密的に接合するように固定保持される。
【0055】
換言すれば、防塵フィルタ受け部材23は、押圧部材20による附勢力によって防塵フィルタ21と圧電素子22を介して気密的に接合するように構成されている。
【0056】
ところで、上述したように、防塵フィルタ受け部材23とCCDケース24とは、周溝24dと環状凸部23d(図4、図5参照)とが相互に略気密的に嵌合するように設定されていると同時に、防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とは、押圧部材20の附勢力により圧電素子22を介して気密的に接合するように設定されている。また、CCDケース24に配設される光学LPF25は、光学LPF25の前面側の周縁部とCCDケース24の段部24aとの間で略気密的となるように配設されている。さらに、光学LPF25の背面側には、撮像素子27がローパスフィルタ受け部材26を介して配設されており、光学LPF25と撮像素子27との間でも、略気密性が保持されるようになっている。
【0057】
したがって、光学LPF25と防塵フィルタ21とが対向する間の空間には、所定の空隙部51aが形成される。また、光学LPF25の周縁部、即ちCCDケース24と防塵フィルタ受け部材23と防塵フィルタ21とによって、空間部51bが形成される。この空間部51bは、光学LPF25の外側に張り出すようにして形成されている封止された空間である(図5、図6参照)。またこの空間部51bは、空隙部51aよりも広い空間となるように設定されている。そして、空隙部51aと空間部51bとから成る空間は、上述の如くCCDケース24、防塵フィルタ受け部材23、防塵フィルタ21および光学LPF25によって、略気密的に封止される封止空間51となっている。
【0058】
このように、カメラ1における撮像ユニット15では、光学LPF25および防塵フィルタ21の周縁に形成され空隙部51aを含む略密閉された封止空間51を形成する封止構造部が構成されている。そして、この封止構造部は、光学LPF25の周縁ないしその近傍から外側の位置に設けられるようになっている。
【0059】
さらにこの第1の実施形態においては、防塵フィルタ21をその周縁部位ないしその近傍部位に密着して支持する第1の部材である防塵フィルタ受け部材23と、光学LPF25をその周縁部位ないしその近傍位置に密着して支持すると共に、自己の所定部位で防塵フィルタ受け部材23(第1の部材)と密に接触するように配設される第2の部材であるCCDケース24等によって、封止構造部が構成されている。
【0060】
上述の如くに構成されたカメラ1においては、撮像素子27の受光面に防塵フィルタ21を対向配置し、かつ撮像素子27の受光面と防塵フィルタ21との周縁に形成される封止空間51を封止して、撮像素子27の受光面を防塵フィルタ21で覆う構成としたことにより、撮像素子27の受光面に塵埃等が付着するのを防いでいる。
【0061】
そしてこの場合、防塵フィルタ21の前面側の露出面に付着する塵埃等については、当該防塵フィルタ21の周縁部に一体となるように配設される圧電素子22に周期電圧を印加して防塵フィルタ21に対して所定の振動を与えることで、除去することができるようになっている。
【0062】
ここで、防塵フィルタ21の振動(埃除去動作)について説明する。
【0063】
図7は、カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21およびこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
【0064】
図8および図9は、図7の圧電素子22に対して周期的な駆動電圧を印加した際の防塵フィルタ21および圧電素子22の状態変化を示し、図8は図7のA−A線に沿う断面図、図9は図7のB−B線に沿う断面図である。
【0065】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合、防塵フィルタ21は、図8、図9に実線で示すように変形する。圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図に破線で示すように変形する。
【0066】
この場合、図7〜図9の符号21aで示すような振動の節の位置では、実質的に振幅は零になる。この節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させることにより、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を確実に支持することができる。この状態で、圧電素子22に周期的にレベル変化する電圧を印加することにより、防塵フィルタ21が振動し、防塵フィルタ21の表面に付着した塵埃等が除去される。
【0067】
なお、このときの防塵フィルタ21の共振周波数は、防塵フィルタ21の形状や板厚・材質等により決定される。上述の図7〜図9に示す例では、一次振動を発生させた場合を示している。
【0068】
なお、防塵フィルタ21に二次振動を発生させた場合の様子を図10から図12に示している。
【0069】
図10は、図7と同様に、カメラ1における撮像ユニット15のうち防塵フィルタ21およびこれに一体に設けられる圧電素子22のみを取り出して示す正面図である。
【0070】
図11および図12は、圧電素子22に二次振動を発生させるための周期的にレベル変化する電圧を印加した際の、防塵フィルタ21および圧電素子22の状態変化を示している。図11は図10のA−A線に沿う断面図、図12は図10のB−B線に沿う断面図である。
【0071】
例えば圧電素子22に負(マイナス;−)電圧を印加した場合に、防塵フィルタ21は、図11および図12に実線で示すように変形する。圧電素子22に正(プラス;+)電圧を印加した場合には、防塵フィルタ21は、同図に破線で示すように変形することになる。
【0072】
この場合、図10〜図12の符号21a,21bで示すように、この二次振動では二対の節が存在することになる。たとえば、節21aに対応する部位に防塵フィルタ受け部材23の受け部23cを当接させることにより、上述の図7〜図8に示す例と同様に、振動を阻害することなく防塵フィルタ21を確実に支持することができる。
【0073】
ここで、カメラ1のシステム構成について詳しく説明する。
【0074】
図3に示すように、カメラ1のシステムは、カメラ本体であるボディユニット100、アクセサリ装置(以下「アクセサリ」と略称する)であるところの例えば交換レンズであるレンズユニット(即ちレンズ鏡筒)12、撮影した画像データを記録しておく記録メディア39、外部電源70および外付けのストロボユニット80などで構成されている。
【0075】
ユーザが所望するレンズユニット12は、ボディユニット100の前面に設けられたレンズマウント(図示しない)を介して着脱自在に装着することができる。
【0076】
記録メディア39は、各種のメモリカードや外付けのHDD等の外部記録媒体であり、通信コネクタ35を介してカメラ本体と通信可能かつ交換可能に装着される。
【0077】
外部電源70は、AC/DCコンバータ機能を内蔵し、付属のコネクタ71およびプラグ72を介して、例えば家庭用電源コンセントとカメラ本体側のジャック37との間に接続されることにより、カメラ1の動作に必要な電力をボディユニット100に供給する。
【0078】
また、ストロボユニット80は、閃光電球81、DC/DCコンバータ82、ストロボ制御マイクロコンピュータ83、および電池84から成り、ストロボ通信コネクタ85を介してボディユニット100に対し通信可能に装着される。
【0079】
レンズユニット12の制御は、レンズ制御用マイクロコンピュータ(以下“Lucom”と称する)5が行なう。ボディユニット100の制御は、ボディ制御用マイクロコンピュータ(上記シーケンス制御部201に相当する、以下“Bucom”と称する)50が行なう。これらLucom5とBucom50とは、レンズユニット12とボディユニット100の合体時に通信コネクタ6を介して電気的に接続される。Lucom5は、Bucom50に従属的に協働しながら稼動する。
【0080】
レンズユニット12内には、撮影レンズ12aおよび絞り3が設けられている。撮影レンズ12aは、レンズ駆動機構2内に在するDCモータ(図示しない)によって駆動される。絞り3は絞り駆動機構4内に在するステッピングモータ(図示しない)によって駆動される。Lucom5は、Bucom50の指令に従ってこれら各モータを制御する。
【0081】
ボディユニット100内には、次の構成部材が配設されている。例えば、撮像光学系として一眼レフ方式のペンタプリズム13a、メインミラー13b、接眼レンズ13c、サブミラー13dのほかに、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタ14、および上記サブミラー(上記サブミラー102に相当する)13dからの反射光束を受けて自動測距する為のAFセンサユニット30aなどが設けられている。
【0082】
さらに、AFセンサユニット30aを駆動制御するAFセンサ駆動回路30b、上記メインミラー13bを駆動制御するミラー駆動機構18、上記シャッタ14の先幕と後幕を駆動するばねをチャージするシャッタチャージ機構19、その先幕と後幕の動きを制御するシャッタ制御回路31、上記ペンタリズム13aからの光束に基づき測光処理する測光回路32などが設けられている。
【0083】
光軸上には、上記光学系を通過した被写体像を光電変換する撮像素子27が設けられ、この撮像素子27の受光面を覆う状態に設けられた透光性の防塵フィルタ21によって撮像素子27が保護されている。そして、防塵フィルタ21を所定の周波数で振動させる加振手段の一部として、圧電素子22が、その防塵フィルタ21の周縁部に取り付けられている。
【0084】
圧電素子22は2つの電極を有しており、その両電極間に防塵フィルタ駆動回路48から電圧が印加されることにより、防塵フィルタ21が振動する。この振動により、防塵フィルタ21の表面に付着していた塵が振り落とされて除去される。こうして、いわゆる「防塵機能付きカメラ」の基本構造をもつ電子カメラシステムが構成されている。
【0085】
なお、撮像素子27の周辺の温度を測定するために、防塵フィルタ21の近傍に、温度測定回路33が設けられている。
【0086】
このカメラシステムには、また、撮像素子27に接続されたCCDインターフェイス回路34、液晶モニタ36、記憶領域として設けられたSDRAM38a、FlashROM38bや記録メディア39などを利用して画像処理する画像処理コントローラ40などが設けられ、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0087】
その他の記憶領域としては、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性記憶手段として例えばEEPROMから成る不揮発性メモリ29が、Bucom50からアクセス可能に設けられている。
【0088】
Bucom50には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザへ告知するための動作表示用LCD57、および撮影モードを選択するための選択手段としてカメラ操作スイッチ(上記モード設定部203に相当する)52が設けられている。カメラ操作スイッチ52は、例えばレリーズスイッチ、モード変更スイッチおよびパワースイッチなど、当該カメラを操作するために必要な操作釦を含むスイッチ群であり、連写モードの選択スイッチのほかにSWRAFモードを変更して動体AFモードにする選択スイッチを含んでいる。さらに、カメラ1の動作電源である電池54、この電池54の電圧を当該カメラシステムの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給する電源回路53a、外部電源70からジャック71を介して入力される電圧および電池54の電圧を検出する電圧検出回路53b、電池54の種類(電力容量の違い)を検出する電源種類検出回路53cが併設されている。電源種類検出回路53cは、電池54の種類(電力容量の違い)に応じてオンまたはオフするメカ的なスイッチをアクチュエータとして備え、そのスイッチの状態を判別することで電池54の電源の種類(電力容量の違い)を検出する。この電源種類検出回路53cおよび電圧検出回路53bにより、電池54の電力容量を判別する上記容量判別部202が構成されている。
【0089】
上述した如くに構成されたカメラシステムの各部は次のように稼動する。
【0090】
まず、画像処理コントローラ40は、Bucom50の指令に従ってCCDインターフェイス回路34を制御して撮像素子27から画像データを取り込む。この画像データは画像処理コントローラ40でビデオ信号に変換され、液晶モニタ36にて出力表示される。ユーザはこの液晶モニタ36の表示画像から、撮影した画像イメージを確認できる。
【0091】
SDRAM38aは、画像データの一時的保管用メモリであり、画像データが変換される際のワークエリアなどに使用される。またこの画像データは、JPEGデータに変換された後で記録メディア39に保管される。
【0092】
撮像素子27は、受光面が透光性の防塵フィルタ21によって保護されている。この防塵フィルタ21の周縁部にはそのフィルタ面を加振するための圧電素子22が配置され、この圧電素子22は、前述の如く防塵フィルタ駆動回路48によって駆動される。
【0093】
撮像素子34および圧電素子22は、防塵フィルタ21を一面とし且つ破線で示すような枠体によって囲まれたケース内に一体的に収納されることが、防塵のためにはより好ましい。
【0094】
通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響し、その固有振動数を変化させる要因の1つであるため、運用時にその温度を計測してその固有振動数を変化を考慮しなければならない。稼動中に、温度上昇が激しい撮像素子27の前面を保護するため設けられた防塵フィルタ21の温度変化を測定して、その時の固有振動数を予想するほうがよい。
【0095】
したがってこの例の場合、上記温度測定回路33に接続されたセンサ(図示しない)が、撮像素子27の周辺温度を測定するため設けられている。なお、そのセンサの温度測定ポイントは、防塵フィルタ21の振動面の極近傍に設定されるのが好ましい。
【0096】
ミラー駆動機構18は、メインミラー13bをアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構であり、このメインミラー13bが下降してダウン位置にある時、撮影レンズ12aからの光束はAFセンサユニット30a側とペンタプリズム13a側へと分割されて導かれる。
【0097】
AFセンサユニット30a内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路30bを介してBucom50へ送信されて周知の測距処理が行われる。
【0098】
また、ペンタプリズム13aに隣接する接眼レンズ13cからはユーザが被写体を目視できる一方、このペンタプリズム13aを通過した光束の一部は測光回路32内のホトセンサ(図示しない)へ導かれ、ここで検知された光量に基づき周知の測光処理が行われる。
【0099】
次に、図13に示す防塵フィルタ駆動回路48の回路、および図14に示すタイムチャートに基づいて、防塵フィルタ21の駆動について説明する。
【0100】
防塵フィルタ駆動回路48は、図13の回路構成を有し、その各部において生成される図14のタイムチャートに示す波形の信号Sig1〜Sig4に基づき、次のように同長する。
【0101】
防塵フィルタ駆動回路48は、N進カウンタ41、1/2分周回路42、インバータ43、複数のMOSトランジスタ(Q00.Q01.Q02)44a、44b、44c、トランス45および抵抗(R00)46により構成されている。
【0102】
上記トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bおよびトランジスタ(Q02)44cのオン/オフ切替動作によって、そのトランス45の2次側に所定周期の信号Sig4が発生する。この信号Sig4に基づいて圧電素子22を駆動し、防塵フィルタ21を共振させる。
【0103】
Bucom50は、制御ポートとして設けられた2つのIOポートP_PwContおよびIOポートD_NCntを有し、内部のクロックジェネレータ55を用いて防塵フィルタ駆動回路48を次のように制御する。クロックジェネレータ55は、圧電素子22へ印加する信号の周波数より充分に高い周波数のパルス信号(基本クロック信号という)を出力する。この基本クロック信号が、Sig1であり、N進カウンタ41へ入力される。
【0104】
N進カウンタ41は、入力された基本クロック信号Sig1のパルスをカウントし、カウント値が所定値“N”に達する毎にカウント終了パルス信号を出力する。即ち、基本クロック信号Sig1を1/Nに分周することになる。この分周後のパルス信号が、Sig2である。
【0105】
分周後のパルス信号Sig2は、高レベルと低レベルのデューティ比が1:1ではない。そこで、分周後のパルス信号Sig2を1/2分周回路42に通して、デューティ比を1:1へ変換する。なお、この変換後のパルス信号がSig3である。
【0106】
変換されたパルス信号Sig3の高レベル期間において、MOSトランジスタ(Q01)44bがオンする。一方、トランジスタ(Q02)44cへはインバータ43を経由して上記パルス信号Sig3が印加される。したがって、パルス信号Sig3の低レベル期間において、トランジスタ(Q02)44cがオンする。トランス45の1次側に接続されたトランジスタ(Q01)44bとトランジスタ(Q02)44cが交互にオンすると、トランス45の2次側にSig4の如き周期の信号が発生する。
【0107】
トランス45の巻き線比は、電源回路53aの出力電圧と圧電素子22の駆動に必要な電圧から決定される。なお、抵抗(R00)46はトランス45に過大な電流が流れることを制限するために設けられている。
【0108】
圧電素子22を駆動するに際しては、トランジスタ(Q00)44aがオン状態にあり、電源回路53aからトランス45のセンタータップに電圧が印加されていなければならない。トランジスタ(Q00)44aは、IOポートP_PwContの出力によりオン,オフ制御される。N進カウンタ41の設定値“N”は、IOポートD_NCntの出力により設定できる。Bucom50は、設定値“N”を適宜に制御することにより、圧電素子22に対する駆動信号の周波数を任意に変更可能である。
【0109】
圧電素子22に対する駆動信号の周波数は、次式によって表わされる。
fdrv=fpls/2N
NはN進カウンタ41への設定値、fplsはクロックジェネレータ55の出力信号の周波数、fdrvは圧電素子22へ印加される信号の周波数である。
上記の式に基づいた演算は、Bucom50のCPU(制御手段)で行われる。
【0110】
カメラシーケンス手順のフローチャートを説明する前に、電池の電力容量について説明する。
【0111】
図15は、電池24として、電力容量の異なる2種類の電池のいずれかがカメラ本体部11に装着される様子を示している。
【0112】
すなわち、電力容量が小さい充電タイプの電池(例えばLiイオン電池)111、および電力容量が大きい充電タイプの電池(例えばLiイオン電池)112が、電池24として、電池装着部113へ装着可能となっている。
【0113】
電池111,112のどちらが装着されたかを判別するためのスイッチ部114が電源種類検出回路53Cのアクチュエータとして設けられており、容量の大きい電池112が装着されるとその電池112の凸部112aがスイッチ部114のメカ的スイッチを押圧してオンし、電池112が装着されたことを示す電気信号がBucom50に送られる。容量の小さい電池111が装着された場合は、スイッチ部114のメカ的スイッチが押圧されない(オフ状態)。このとき、電池111の装着そのものについては、電圧検出回路53bによる電池電圧の検出によって把握することができる。
Bucom50は、スイッチ部114の出力と電圧検出回路53bの出力とに基づいて、電池111,112のどちらが装着されたか、つまり電池54の電力容量が所定以上であるか所定未満であるかを判別する判別手段(図1の容量判別部202に相当する)を有している。
【0114】
図16は、撮影動作中の積算消費電力、とくに防塵フィルタ21が加振されることによる塵除去動作をメインミラー13bのミラーアップ中に行なった場合の積算消費電力の変化を示している。図において、横軸は時間、縦軸は消費電力(電池54からの供給電力)を表わしている。スタートと記した時点が現像シーケンス開始タイミング(メインミラー13bのアップ開始タイミング)に相当する。
【0115】
現像シーケンス開始時には、レンズ駆動機構2による撮影光学系12aの駆動、絞り駆動機構4による絞り3の駆動、ミラー駆動機構18によるメインミラー13bの駆動という3つのメカトロ制御が同時に実行されるので、図示のように、レンズ駆動突入電力、絞り駆動突入電力、ミラー駆動突入電力が重畳される。それぞれの突入電力は、大電流を必要とする各モータの起動開始時の電力に相当する。
【0116】
ここで防塵フィルタ駆動電力は、防塵フィルタ駆動回路48の消費電力である。ミラー駆動と並行して塵除去動作を行う場合には、この防塵フィルタ駆動回路48の消費電力も重畳される。
【0117】
その他のデバイスの駆動電力とは、レンズ駆動機構2、絞り駆動機構4、ミラー駆動機構18、防塵フィルタ駆動回路48を除く他のデバイスの消費電力を示し、ほぼ一定である。
【0118】
電力容量の小さいLiイオン電池111の定格電力容量、および容量の大きいLiイオン電池112の定格電力容量を、図16に破線で示している。つまり、防塵フィルタ駆動回路48をミラー駆動機構18と並行して動作させるためには、電力容量の大きいLiイオン電池112の使用が必要となる。電力容量の小さいLiイオン電池111を使用されている場合には、防塵フィルタ駆動回路48をミラー駆動機構18と並行して動作させることができない。
【0119】
Bucom50は、主要な機能として、ミラー駆動機構18の駆動と並行するタイミングで加振手段であるところの圧電素子22を動作させる第1の制御機能、およびミラー駆動機構18の駆動前のタイミングで圧電素子22を動作させ且つその動作を終了しておく第2の制御機能を有し、これら制御機能のいずれかを選択的に実行する。
【0120】
このBucom50で実行される制御を図17およびそれに続く図18のフローチャートにより示している。
Bucom50の制御は、カメラ1の電源スイッチ(図示しない)がオン操作されることにより、開始される。
【0121】
まず#000において、当該カメラシステムの起動時の初期設定動作として、電源回路53aから当該カメラシステムにおける各回路ユニットへの電力供給を開始させるとともに、各回路ユニットの初期設定を行う。
【0122】
#001では、防塵フィルタ21に対する駆動時間(Tosc)と駆動周波数(共振周波数:Nosc)に関するデータを、EEPROM29の所定領域から読出す。
【0123】
#002では、上記読出したデータに従い、Bucom50の出力ポートD_NCntから駆動周波数(Nosc)の信号を出力する。この出力は、防塵フィルタ駆動回路48のN進カウンタ41へ供給される。
【0124】
#003では、圧電素子22の動作による防塵フィルタ21の振動(塵除去動作)を開始する。すなわち、IOポートP_PwContの出力を高レベルにセットすることにより、圧電素子22を所定の駆動周波数(Nosc)で駆動して防塵フィルタ21を振動させ、その振動により、防塵フィルタ21に付着した塵が払い落とされる。つまり、塵除去動作を開始する。これにより、カメラ1がまだ撮影に使用されないこの期間に、ユーザは何も意図することなく、防塵フィルタ21に付着した塵を自動的に除去することができる。
【0125】
#004では、防塵フィルタ21の振動を継続したまま、上記読出したデータに基づく所定時間(Tosc)の待機を行なう。
【0126】
所定時間(Tosc)の経過後、#005において、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットし、これにより圧電素子22の駆動を止めて防塵フィルタ21の振動を停止し、塵除去動作を停止する。
【0127】
続く#006〜#039は、周期的に実行されるステップである。
#006では、Lucom5と通信により、レンズユニット12の状態を検出するための着脱検出動作を実行する。
【0128】
#007では、レンズユニット12がボディユニット100に装着されたことを検出した場合に、#010へ移行して、制御フラグF_Lensを“1”にセットする。#008では、レンズユニット12がボディユニット100から外されたことを検出した場合に#009へ移行して、制御フラグF_Lensを“0”にセットする。その後、#014へ移行する。
【0129】
制御フラグF_Lensは、ボディユニット100にレンズユニット12が装着されている期間は“1”となり、レンズユニット12が外されている期間は“0”となる。
【0130】
ここでは、レンズユニット12が装着されているので、#011〜#013において、上述同様にして塵除去動作を行う。即ち、IOポートP_PwContの出力を高レベルにセットすることで、塵除去動作を開始する。圧電素子22は、所定の周波数(Nosc)で防塵フィルタ21を加振して防塵フィルタ21に付着した塵を振り払う(#011)。
【0131】
この防塵フィルタ21の振動を継続したまま所定時間(Tosc)だけ待機し(#012)、所定時間(Tosc)が経過した後、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットすることで塵除去動作を停止する(#013)。すなわち、カメラ1がまだ撮影に使用されないこの期間に、ユーザは何も意図することなく、防塵フィルタ21に付着した塵を自動的に除去することができる。
【0132】
このように、ボディユニット100にレンズユニット12が装着されていない期間には、通常、各レンズや防塵フィルタ21等に塵が付着する可能性が高いことから、レンズユニット12の装着を検出したタイミングで塵を振り払う動作を実行することが望ましい。また、レンズ交換するとカメラ内部に外部の空気が循環して塵が付着する可能性が高いので、このレンズ交換時にも塵除去動作を行うことは有意義である。
【0133】
#014では、カメラ操作スイッチの1つである1stレリーズスイッチ(図示しない)が操作されたか否かを、その1stレリーズスイッチのオン,オフ状態で判定する。仮に、1stレリーズスイッチが所定時間以上オン操作されない場合には、#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理して例えばスリープ状態となる。
【0134】
1stレリーズスイッチがオン操作された場合には、#016において、測光回路32から被写体の輝度情報を入手する。そしてこの情報から撮像素子27の露光時間(Tv値)とレンズユニット12の絞り設定値(Av値)を算出する。
【0135】
#017では、1stレリーズスイッチオン中一度加振済フラグがセットされているか判断する。このフラグは1stレリーズスイッチのオン中(#006→#026→#040→#006のループ中)に防塵フィルタ21の加振を一度行ったかどうかの指標となるもので、後述する#019でセットされ、後述する#039でクリアされる。#000の初期設定動作でもクリアされる。
【0136】
同フラグがセットされている場合には、既に1stレリーズスイッチオン中に一度は防塵フィルタ21の加振が済んでいるので、ここでは加振を行うことなく#021に移行し、クリアされている場合には加振を行うために#018へ移行する。
【0137】
#018では、図15および図16で説明した概念に基づいて、電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、現タイミングで塵除去動作を行うべく、#019に移行して予め1stレリーズスイッチオン中一度加振済フラグをセットした上で、#020で塵除去動作を開始する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、そのまま#021に移行する。
【0138】
#021では、AFセンサ駆動回路30bを経由してAFセンサユニット30aの検知データを入手する。このデータに基づきピントのズレ量を算出する。
【0139】
#022では、再度、電池54の電力容量を判別する。電池54として、容量が小さい電池が装着されている場合には、#023でIOポートP_PwContの出力を低レベルにセットすることにより塵除去動作を停止し、#024に移行する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、そのまま#024に移行する。
【0140】
#024では、制御フラグF_Lensの状態を判定する。制御フラグF_Lensが“0”であれば、レンズユニット12が存在しないことを意味するので、次の#025以降の撮影動作は実行できない。そこでこの場合は、#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理して例えばスリープ状態となる。制御フラグF_Lensが“1”であれば、次の#025に移行する。
【0141】
#025では、Lucom5に対してピントのズレ量を送信して、このズレ量に基づく撮影レンズ12aの駆動制御を指令する。
【0142】
#026では、カメラ操作スイッチ52の1つである2ndレリーズスイッチ(図示しない)がオン操作されたか否かを判定する。この2ndレリーズスイッチがオンしているときは、続く#027へ移行するが、2ndレリーズスイッチがオフのときは#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理して例えばスリープ状態となる。
【0143】
#027では、再度、電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、このタイミングでは塵除去動作が不要(既に塵除去動作が済んでいる)との判断の下に、そのまま#029に移行する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、このタイミングで塵除去動作が必要との判断の下に、#028に移行する。
【0144】
#028では、撮影動作に先立って塵を除くための塵除去動作を、IOポートP_PwContの出力を高レベルにセットすることで開始する。
【0145】
この塵除去動作の開始直後の#029からは、まずLucom5へAv値を送信し、かつ絞り3の駆動を指令し、#030にてメインミラー13bをアップ位置へ移動させる。#031にて、シャッタ14の先幕走行を開始させてオープン制御し、#032にて、画像処理コントローラ40に対して撮像動作の実行を指令する。撮像動作のルーチンを図19に示しており、これについては後述する。
【0146】
Tv値で示された時間だけ撮像素子27への露光(撮像)が終了すると、#033において、シャッタ14の後幕走行を開始させてクローズ制御する。
【0147】
#034では、再度、電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、このタイミングでは塵除去動作を行わなかったので(既に実行済みなので)、#036に移行する。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、このタイミングで塵除去動作を行ったので、#035に移行する。#035では、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットすることにより、塵除去動作を停止する。
【0148】
なお、#032の撮像動作中は、通常の如く、露出の為に設定された秒時(露出秒時)に対応した時間の電子撮像動作を制御している(詳細省略)。
【0149】
このようにして、撮像動作中であっても、ユーザは何も意図することなく、防塵フィルタ21に付着した塵を自動的に除去することができる。
【0150】
その後は、#036にてメインミラー13bをダウン位置へ駆動すると共に、シャッタ14のチャージ動作を行なう。
【0151】
そして#037では、Lucom5に対して、絞り3を開放位置へ復帰させるように指令する。#038では、画像処理コントローラ40に対して、撮影した画像データを記録メディア39へ記録するように指令する。その画像データの記録動作が終了すると、#039において、#019でセットした1stレリーズスイッチオン中一度加振済フラグをクリアし、再び、上述した#006へ移行して、同様の一連の処理を繰り返す。
【0152】
最後の#040では、#040へ移行し、電源スイッチのオフにより終了処理(スリープ等)となる。そして、稼動状態を休止する。
【0153】
ここで、図19に示した撮像動作のルーチンについて説明する。
カメラ1の塵除去動作では、撮像動作が例えば2秒〜3秒のように「長秒時」に設定された場合において、圧電素子22の駆動を塵除去用としてあらかじめ設定された所定時間(例えば20ms)だけ行ない、その後は、圧電素子22の駆動を終了するように制御する。
【0154】
すなわち、撮像動作中は、露出の為に設定された秒時(露出秒時)と、その制限された所定時間(200ms)との比較判定を行なっており、その所定時間を優先して判定することで、塵除去動作時間を適宜制御している。よって、この所定時間よりも長い露出秒時が設定されても、その途中で塵除去動作が停止するように制御される。
【0155】
まず、#050において、Bucom50は、シャッタ制御回路31やCCDインターフェイス回路34等に対して、設定された露出秒時(長秒時を含む)の撮像動作の開始を指令する。
【0156】
#051において、Bucom50は、撮像動作に係わる露出秒時時間の経過を判定する。ここで、もしその露出秒時が早くも経過したならば、メインルーチンの#033へ移行する。
【0157】
露出秒時が長秒時間である故にまだ経過しない場合は、#052において電池54の電力容量を判別する。電池54として、電力容量が小さい電池が装着されている場合には、ここでは塵除去動作を行っていないので#051に戻る。電池54として、電力容量が大きい電池が装着されている場合には、既にこの時点では塵除去動作が進行中であることから、#053において、塵除去動作が開始されてから所定時間(200ms)が経過したか否かを判定する。まだ経過していなければ、#051へ戻って、塵除去動作を継続させる。もし、上記所定時間が経過していれば、#054において、露出秒時(長秒時)に達していない場合でも、IOポートP_PwContの出力を低レベルにセットして塵除去動作を停止する。そして#051へ戻る。
【0158】
以上のように、この第1の実施形態では、撮像素子27の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするメインミラー13bの駆動と並行するタイミングで防塵フィルタ21の加振による塵除去動作を実行する第1の制御、およびメインミラー13bの駆動前のタイミングで塵除去動作を開始し且つその塵除去動作を終了しておく第2の制御があって、装着された電池54の電力容量が所定以上であれば第1の制御を実行し、装着された電池54の電力容量が所定未満であれば第2の制御を実行するようにしている。
【0159】
すなわち、電池54の電力容量が大きい場合には、メインミラー13bのミラーアップ開始直前に塵除去動作を開始させ、ミラーアップを含む撮像中までその塵除去動作を継続しており、撮像タイミングにより近いタイミングでの塵除去動作が可能となる。これにより、塵埃による撮影画像への悪影響を確実に解消することができる。
【0160】
電池54の電力容量が小さい場合には、メインミラー13bのミラーアップ開始前のタイミングで塵除去動作を開始し且つその塵除去動作を終了しておくようにしているので、たとえ防塵フィルタ21の加振による塵除去動作に大きな電力が必要であっても、電池54に多大な負荷を与えることなく、常に確実かつ良好な塵除去動作が可能である。電池54に多大な負荷を与えないので、カメラの動作に支障をきたすなどの不具合を回避することができる。
【0161】
メインミラー13bのミラーアップ開始前のタイミングは、具体的には焦点検出の動作中であり、この焦点検出動作と並行して塵除去動作を行うことの利点として、次の3つがある。
【0162】
(1)焦点検出動作のタイミングでは、他のデバイスが多く動作していないので、電力的に余裕がある。
【0163】
(2)連写モードでは、メインミラー13bのダウン動作後に焦点検出を行い、焦点検出後に引き続いてレンズ駆動動作に移行するので、できるだけ塵除去動作がタイムラグにならないようにするには、焦点検出と並行するのがよい。
【0164】
(3)特に被写体が暗めの場合にはAFセンサユニット30a中のAFセンサの電荷蓄積時間に時間を要するので、塵除去動作を行うタイミングとして適する。
【0165】
焦点検出動作だけでなく、塵除去動作を測光回路32の測光動作(図18の#016)とも並行させてもよい。
【0166】
[2]第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、カメラ操作スイッチ52の操作により選択される撮影モードが移動被写体の撮影に適する動体モードたとえば動体AFモードであるか否かを判別し、動体AFモードであれば、メインミラー13bの駆動前のタイミングで塵除去動作を開始し且つその塵除去動作を終了しておく(第2の制御)。動体AFモードでなければ(静止被写体に適する撮影モード)、撮像素子27の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするメインミラー13bの駆動と並行するタイミングで塵除去動作を実行する(第1の制御)。
【0167】
既に説明したように、動体AFモードは、移動する被写体にピントを合焦させるいわゆる動体予測技術を搭載するモードである。一般的に、動体AFモードでは、図1で説明したようにタイムラグを短縮するためにレンズ駆動動作をミラーアップ動作と並行して行う。ミラーアップ中にレンズ駆動も行う動体AFモードでは、電池の負荷軽減のためにミラーアップ中に塵除去動作は行わない。
【0168】
この第2の実施形態におけるBucom50の制御のうち、第1の実施形態と異なる部分を図20のフローチャート(図17に続くフローチャート)に示している。すなわち、電池54の電力容量を判別する#022、#027、#034に代えて、動体AFモードであるか否かを判別する#022a、#027a、#034aを採用している。
【0169】
また、#032における撮像動作のルーチンを図21に示しており、電池54の電力容量を判別する#052に代えて、動体AFモードであるか否かを判別する#052aを採用している。
【0170】
他の構成および作用は第1の実施形態と同じである。よって、その説明は省略する。
【0171】
なお、図20の処理は、1コマ撮影の単写モードの例を示しているが、連写モードと組み合わせてもよい。その場合には、図1で説明したように、1コマ撮影後にメインミラー13bをダウンさせ、続いてAF動作(AFセンサ積分&AF演算)を行い、続いて連写モードなので次のコマの撮影に入るべくメインミラー13bをアップし、アップが完了すると次のコマの露光動作に至る。AF結果に基づく(動体予測技術に基づく)レンズ駆動はミラーアップ動作とも並行して行われている。これの繰り返しである。
【0172】
このようなカメラの連写シーケンスの中で、ミラーアップ駆動前に動作完了しているように塵除去動作を行えばよい。
【0173】
この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】第1の実施形態の要部の概念を説明するための図。
【図2】第1の実施形態のカメラの一部を切断してその内部構造を概略的に示す斜視図。
【図3】第1の実施形態のカメラの電気的な構成を示すブロック図。
【図4】第1の実施形態における撮像ユニットを分解して示す斜視図。
【図5】第1の実施形態における撮像ユニットの組立状態の一部を切断して示す斜視図。
【図6】図5の切断面に沿う断面図。
【図7】第1の実施形態における防塵フィルタの構成を示す図。
【図8】図7のA−A線に沿う断面を示す図。
【図9】図7のB−B線に沿う断面を示す図。
【図10】第1の実施形態における防塵フィルタに二次振動を発生させた場合の防塵フィルタの構成を示す図。
【図11】図10のA−A線に沿う断面を示す図。
【図12】図10のB−B線に沿う断面を示す図。
【図13】第1の実施形態における防塵フィルタ駆動回路のブロック図。
【図14】第1の実施形態における防塵フィルタ駆動回路の各部の信号波形図。
【図15】第1の実施形態における2種類の電池が装着される様子を示す図。
【図16】第1の実施形態におけるカメラの積算消費電力の変化を示す図。
【図17】第1の実施形態におけるBucomの動作を説明するためのフローチャート。
【図18】図17に続くフローチャート。
【図19】図18における撮像動作を示すフローチャート。
【図20】第2の実施形態におけるBucomの動作を説明するためのフローチャート。
【図21】図20における撮像動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0175】
101…メインミラー、103…シャッタ、104…撮像素子、105…防塵フィルタ、200…防塵フィルタ駆動部、201…シーケンス制御部、202…容量判別部、203…モード設定部、1…カメラ、11…カメラ本体部、12…レンズ鏡筒、12a…撮影光学系、13…ファインダ装置、14…シャッタ、15…撮像ユニット、18…ミラー駆動機構、50…Bucom、52…カメラ操作スイッチ(選択手段)、53a…電源回路、53b…電圧検出回路、54…電池(電源)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を備えた電子撮像装置において、
上記撮像素子の受光部上に設けられた透光性部材と、
上記透光性部材を振動させる加振手段と、
上記加振手段の動作のタイミングを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子撮像装置。
【請求項2】
上記撮像素子の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするミラーと、このミラーを駆動するミラー駆動手段と、を更に備え、
上記制御手段は、上記ミラー駆動手段の駆動と並行するタイミングで上記加振手段を動作させる第1の制御、および上記ミラー駆動手段の駆動前のタイミングで上記加振手段を動作させ且つその動作を終了しておく第2の制御のうち、いずれかの制御を選択的に実行することを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項3】
当該装置の電源として装着される電池の容量を判別する判別手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記判別手段により判別された容量が所定以上の場合に上記第1の制御を実行し、上記判別手段により判別された容量が所定未満の場合に上記第2の制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項4】
撮影モードを選択する選択手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記選択手段により選択された撮影モードが移動被写体の撮影に適する動体モードである場合に上記第2の制御を実行し、上記選択手段により選択された撮影モードが上記動体モードでない場合に上記第1の制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項5】
被写体の光学像を上記撮像素子に投影する撮像光学系と、この撮像光学系の焦点検出を行う焦点検出手段と、をさらに備え、
上記ミラー駆動手段の駆動前のタイミングは、少なくとも上記焦点検出手段の動作中であることを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項6】
上記透光性部材は、上記撮像素子の受光部を覆う状態に設けられた透光性の防塵フィルタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項1】
撮像素子を備えた電子撮像装置において、
上記撮像素子の受光部上に設けられた透光性部材と、
上記透光性部材を振動させる加振手段と、
上記加振手段の動作のタイミングを制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子撮像装置。
【請求項2】
上記撮像素子の撮像動作前にアップして撮像動作後にダウンするミラーと、このミラーを駆動するミラー駆動手段と、を更に備え、
上記制御手段は、上記ミラー駆動手段の駆動と並行するタイミングで上記加振手段を動作させる第1の制御、および上記ミラー駆動手段の駆動前のタイミングで上記加振手段を動作させ且つその動作を終了しておく第2の制御のうち、いずれかの制御を選択的に実行することを特徴とする請求項1に記載の電子撮像装置。
【請求項3】
当該装置の電源として装着される電池の容量を判別する判別手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記判別手段により判別された容量が所定以上の場合に上記第1の制御を実行し、上記判別手段により判別された容量が所定未満の場合に上記第2の制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項4】
撮影モードを選択する選択手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記選択手段により選択された撮影モードが移動被写体の撮影に適する動体モードである場合に上記第2の制御を実行し、上記選択手段により選択された撮影モードが上記動体モードでない場合に上記第1の制御を実行することを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項5】
被写体の光学像を上記撮像素子に投影する撮像光学系と、この撮像光学系の焦点検出を行う焦点検出手段と、をさらに備え、
上記ミラー駆動手段の駆動前のタイミングは、少なくとも上記焦点検出手段の動作中であることを特徴とする請求項2に記載の電子撮像装置。
【請求項6】
上記透光性部材は、上記撮像素子の受光部を覆う状態に設けられた透光性の防塵フィルタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−203533(P2006−203533A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12825(P2005−12825)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]