説明

電子機器および電子機器のデータ抽出方法

【課題】電子機器に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出する。
【解決手段】電子機器10は、データ記憶部43と該データ記憶部43に通信可能に接続されたCPU44と、データ記憶部43に外部から接続可能に設けられた外部接続端子と、CPU44に外部から電圧を印加可能に設けられた電圧印加端子とを備える。CPU44は、電圧印加端子に所定電圧が印加された場合には外部接続端子を介した外部とデータ記憶部43との通信を許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器および電子機器のデータ抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば複数の計数値のデータを表示部に表示可能として記憶部に記憶するストップウォッチ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−198873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るストップウォッチ装置においては、記憶部に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、内部に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することが可能な電子機器および電子機器のデータ抽出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る電子機器は、データ記憶手段(例えば、実施の形態でのデータ記憶部43)と該データ記憶手段に通信可能に接続された制御手段(例えば、実施の形態でのCPU44)とを備える電子機器であって、前記データ記憶手段に接続可能に設けられた外部接続部材(例えば、実施の形態での外部接続端子42a)と、前記制御手段に電圧を印加可能に設けられた電圧印加部材(例えば、実施の形態での電圧印加端子42b)とを備え、前記制御手段は、前記電圧印加部材に所定電圧が印加された場合には前記外部接続部材を介した前記データ記憶手段との通信を許可する。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る電子機器では、前記制御手段は、前記電圧印加部材に前記所定電圧が印加された場合には前記制御手段から前記データ記憶手段への信号の送信を禁止する。
【0008】
さらに、本発明の第3態様に係る電子機器は、電池(例えば、実施の形態での電池34a)を収容可能な電池収容部材(例えば、実施の形態での電池収容部材32)と前記データ記憶手段および前記制御手段および前記外部接続部材および前記電圧印加部材とを具備するモジュール(例えば、実施の形態でのモジュール11)と、該モジュールを収容する筐体(例えば、実施の形態での筐体12)と、前記モジュールが収容された前記筐体の開口部(例えば、実施の形態での開口部12a)を閉塞可能な蓋体(例えば、実施の形態での蓋体13)とを備える。
【0009】
さらに、本発明の第4態様に係る電子機器では、前記外部接続部材および前記電圧印加部材は、前記モジュールにおいて前記電池収容部材とは干渉しない位置に配置され、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態で外部に露出可能である。
【0010】
さらに、本発明の第5態様に係る電子機器では、前記外部接続部材および前記電圧印加部材は、前記電池収容部材に配置され、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態かつ前記電池収容部材に前記電池が収容されていない状態で外部に露出可能である。
【0011】
さらに、本発明の第6態様に係る電子機器では、前記モジュールは、前記制御手段に電力供給可能に設けられた電源供給部材(例えば、実施の形態での電源端子42c)を備え、前記電源供給部材は、前記電池収容部材に配置され、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態かつ前記電池収容部材に前記電池が収容されていない状態で外部に露出可能である。
【0012】
また、本発明の第7態様に係る電子機器は、データ記憶手段(例えば、実施の形態でのデータ記憶部43)と該データ記憶手段に通信可能に接続された制御手段(例えば、実施の形態でのCPU44)とを備える電子機器であって、前記データ記憶手段および前記制御手段を具備するモジュール(例えば、実施の形態でのモジュール11)と、該モジュールを収容する筐体(例えば、実施の形態での筐体12)と、前記モジュールが収容された前記筐体の開口部(例えば、実施の形態での開口部12a)を閉塞可能な蓋体(例えば、実施の形態での蓋体13)とを備え、前記データ記憶手段は、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態で前記モジュールに対して着脱可能である。
【0013】
さらに、本発明の第8態様に係る電子機器では、前記データ記憶手段は、前記モジュールの端部に配置され、前記データ記憶手段の少なくとも一部が前記端部から前記モジュールの外部に露出している。
【0014】
さらに、本発明の第9態様に係る電子機器では、前記モジュールは、電池(例えば、実施の形態での電池34a)を収容可能な電池収容部材(例えば、実施の形態での電池収容部材32と、前記電池収容部材に収容された前記電池を保持する保持部材(例えば、実施の形態での保持部材35)とを備え、前記保持部材は、前記電池に加えて前記データ記憶手段を保持する。
【0015】
また、本発明の第10態様に係る電子機器のデータ抽出方法は、データ記憶手段(例えば、実施の形態でのデータ記憶部43)と該データ記憶手段に通信可能に接続された制御手段(例えば、実施の形態でのCPU44)とを備える電子機器から前記データ記憶手段に格納されたデータを外部に抽出する電子機器のデータ抽出方法であって、前記データ記憶手段に対する外部からの接続を許可する許可状態を設定する第1ステップ(例えば、実施の形態でのステップS03、ステップS14)と、前記第1ステップにより前記許可状態が設定された後に、前記外部から前記データ記憶手段に接続して、前記データ記憶手段に格納された前記データを前記外部に抽出する第2ステップ(例えば、実施の形態でのステップS05、ステップS15)とを含む。
【0016】
さらに、本発明の第11態様に係る電子機器のデータ抽出方法では、前記第1ステップは、前記許可状態として、前記制御手段から前記データ記憶手段への信号の送信を禁止する状態を設定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1態様に係る電子機器によれば、制御手段は、電圧印加部材に外部から所定電圧が印加された場合に、外部接続部材を介した外部とデータ記憶手段との通信を許可することによって、制御手段とデータ記憶手段との間の通信に加えて、外部接続部材に接続される適宜の外部機器とデータ記憶手段との間の通信にも、異常が生じることを防止することができる。
【0018】
例えばデータ記憶手段と制御手段との間で通信が行なわれている通常状態において、電圧印加部材に外部から所定電圧が印加されると、制御手段は、データ記憶手段と外部機器との間で外部接続部材を介して通信が行なわれる状態であると認識して、外部接続部材を介した外部とデータ記憶手段との通信を許可する。そして、制御手段とデータ記憶手段との間の通常状態での通信と、外部接続部材を介した外部とデータ記憶手段との間の通信とが、干渉してしまうことを防止する。これにより、制御手段とデータ記憶手段との間の通信や制御手段によるデータ記憶手段の制御に異常が生じることを防止することができると共に、データ記憶手段に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することができる。
【0019】
しかも、外部接続部材を介したデータ記憶手段との通信の許可または許可の終了を切り替えるために操作者により操作される特別なスイッチなどを設ける必要無しに、制御手段による許可または許可の終了を切り替えることができ、電子機器が大型化してしまうことを防止することができる。
【0020】
さらに、本発明の第2態様に係る電子機器によれば、制御手段は、電圧印加部材に所定電圧が印加された場合に制御手段からデータ記憶手段への信号の送信を禁止することによって、制御手段から出力される信号と外部から入力される信号とが干渉してしまうことを防止することができる。
これにより、制御手段によるデータ記憶手段の制御に加えて、外部接続部材に接続される適宜の外部機器によるデータ記憶手段の制御にも、異常が生じることを防止することができる。
【0021】
さらに、本発明の第3態様に係る電子機器によれば、外部接続部材および電圧印加部材は、少なくとも蓋体による開口部の閉塞が解除されて開口部が開放された以後に適宜の外部機器が接続可能となる。
これにより、外部接続部材および電圧印加部材に不必要に適宜の外部機器が接続されてしまうことを防止することができる。
【0022】
さらに、本発明の第4態様に係る電子機器によれば、外部接続部材および電圧印加部材は、蓋体が取り外されただけで適宜の外部機器が接続可能となり、データ記憶手段に記憶されたデータを容易に外部に抽出することができる。
【0023】
さらに、本発明の第5態様に係る電子機器によれば、外部接続部材および電圧印加部材は、電池収容部材から電池が取り外された状態で適宜の外部機器が接続可能となる。
これにより、電池から電力が供給される制御手段の作動時(例えば、制御手段とデータ記憶手段との間の通信時など)に、データ記憶手段と外部機器との間で外部接続部材を介して不意な通信(つまり、制御手段により制御されていない通信であって、制御手段とデータ記憶手段との間の通信や制御手段によるデータ記憶手段の制御に異常を生じさせる虞がある通信)が行なわれてしまうことを防止することができる。
【0024】
さらに、本発明の第6態様に係る電子機器によれば、電源供給部材および外部接続部材および電圧印加部材は、電池収容部材から電池が取り外された状態で適宜の外部機器が接続可能となる。
これにより、制御手段に対する電力供給および制御手段の起動を適宜の外部機器により制御することができ、外部接続部材に接続される適宜の外部機器とデータ記憶手段との間の通信を適切に行なうことができる。
【0025】
また、本発明の第7態様に係る電子機器によれば、少なくとも蓋体による開口部の閉塞が解除されて開口部が開放された状態でモジュールからデータ記憶手段を取り外すことができる。
これにより、不必要にモジュールからデータ記憶手段が外れてしまうことを防止しつつ、データ記憶手段に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することができる。
【0026】
さらに、本発明の第8態様に係る電子機器によれば、モジュールに対してデータ記憶手段の着脱が容易になり、データ記憶手段に記憶されたデータを容易に外部に抽出することができる。
【0027】
さらに、本発明の第9態様に係る電子機器によれば、保持部材による電池の保持が解除されると保持部材によるデータ記憶手段の保持も解除されることから、電池収容部材に電池が収容された状態、つまり電池から制御手段に電力が供給されている制御手段の作動時において、不意にモジュールからデータ記憶手段が外れてしまうことを防止することができる。
そして、電池収容部材から電池が取り外されて制御手段への電力供給が遮断された後(つまり、制御手段が停止した後)にデータ記憶手段がモジュールから外されることにより、データ記憶手段に記憶されたデータを適切に外部に抽出することができる。
【0028】
また、本発明の第10態様に係る電子機器のデータ抽出方法によれば、データ記憶手段に対する外部からの接続を許可する許可状態を設定した後に、外部からデータ記憶手段に接続して、データ記憶手段に格納されたデータを外部に抽出することから、制御手段とデータ記憶手段との間の通信や制御手段によるデータ記憶手段の制御に異常が生じることを防止することができると共に、データ記憶手段に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することができる。
【0029】
さらに、本発明の第11態様に係る電子機器のデータ抽出方法によれば、許可状態として、制御手段からデータ記憶手段への信号の送信を禁止することによって、制御手段によるデータ記憶手段の制御に加えて、外部からのデータ記憶手段の制御にも、異常が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電子機器のモジュールの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電子機器の構成図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る電子機器のデータ抽出方法のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る電子機器のデータ抽出方法のフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態の変形例に係る電子機器のモジュールの平面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電子機器のモジュールの平面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の構成図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の第1変形例に係る電子機器のモジュールの平面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る電子機器のモジュールの平面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に対する参考技術に係る電子機器の構成図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に対する参考技術に係る電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の第1の実施形態に係る電子機器および電子機器のデータ抽出方法について添付図面を参照しながら説明する。
【0032】
本実施の形態による電子機器10は、例えば携帯型のデジタル式ストップウォッチなどの電子時計であって、図1に示すように、モジュール11と、モジュール11を収容する筐体12と、モジュール11が収容された筐体12の開口部12aを閉塞可能な蓋体13とを備えて構成されている。
【0033】
なお、筐体12は、例えば、液晶表示パネルからなる表示部21と、表示部21を保持する筒状のケース22となどから構成され、この筐体12には、さらに、表示部21と後述するモジュール11の回路基板31とを電気的に接続する接続部材23と、操作者により入力操作されるボタンなどからなる入力部24(例えば、後述する図3での入力部24)となどが設けられている。
また、蓋体13の内面には、後述するモジュール11のコイルばね36によって回路基板31に電気的に接続されてブザーとして機能する圧電素子(図示略)が装着されている。
【0034】
モジュール11は、例えば図1,2に示すように、回路基板31と、例えばケース状の絶縁部材からなる電池収容部材32と、例えばケース状の絶縁部材からなり、電池収容部材32を保持する部材33と、電池収容部材32に収容されて回路基板31に電力を供給可能な電池34aからなる電源部34と、電池収容部材32に収容された電池34aの表面に接触して電池34aを押圧するようにして保持する保持部材35と、回路基板31に接続されたコイルばね36となどを備えて構成されている。
なお、電源部34は、回路基板31と電池34aの正極および負極とを接続するための正負の接続端子34p,34n(例えば、後述する図6での接続端子34p,34n)などを備えている。
【0035】
回路基板31には、例えば図3に示すような発振部41と外部アクセス部42とデータ記憶部43とCPU(中央処理装置)44となどが配置され、回路配線やボンディングワイヤなどによって所定の電気的な接続が形成されている。
【0036】
発振部41は、計時のための水晶振動子などから構成されている。
外部アクセス部42は、例えば、データ記憶部43に接続可能に設けられた外部接続端子42aと、CPU44に電圧を印加可能に設けられた電圧印加端子42bと、CPU44に電力供給可能に設けられた電源端子42cとなどからなる複数の端子を備えて構成されている。
【0037】
そして、各端子42a,42b,42cなどからなる外部アクセス部42の複数の端子は、例えば図2に示すように、モジュール11の電池収容部材32とは干渉しない位置、例えば部材33に設けられた複数の貫通孔33a,33b,…に臨む位置に配置されている。これにより、各端子42a,42b,42cなどからなる外部アクセス部42の複数の端子は、蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された状態で、各貫通孔33a,33b,…を介して外部に露出するように設定されている。
【0038】
データ記憶部43は、例えばEEPROM(E HYPERLINK "http://www.weblio.jp/content/Electronically+Erasable+and+Programmable+Read+Only+Memory" \o "Electronically Erasable and Programmable Read Only Memoryの意味" lectronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリであって、各種のデータ(例えば、ストップウォッチにより計測された時間のデータなど)を記憶している。
【0039】
CPU(中央処理装置)44は、例えば、表示部21および入力部24と、電源部34と、発振部41と、外部アクセス部42と、データ記憶部43とが接続されている。
CPU44は電源部34から電力が供給されており、また、例えば電源部34からの電源供給が遮断されている場合などであっても、電源端子42cを介して外部から電源供給可能とされている。
【0040】
そして、CPU44は、表示部21での各種の表示(例えば、データ記憶部43に記憶されているデータの表示など)を制御する。
また、CPU44は、入力部24に対する操作者の入力操作に応じた動作(例えば、ストップウォッチによる時間の計測など)を制御する。
また、CPU44は、データ記憶部43に通信可能に接続され、所定の信号の送受信によって、データ記憶部43に各種のデータを記憶させたり、データ記憶部43に記憶されているデータを抽出するなどの各種の動作を制御する。
【0041】
また、CPU44は、電圧印加端子42bに適宜の外部機器(図示略)から所定電圧が印加された場合には、外部接続端子42aを介した外部機器とデータ記憶部43との通信を許可する。
具体的には、CPU44は、例えばCPU44からデータ記憶部43への信号の送信を禁止することによって、外部機器とデータ記憶部43との通信を許可する。
【0042】
この実施の形態による電子機器10は上記構成を備えており、次に、この電子機器10のデータ記憶部43から外部にデータを抽出する動作(つまり、電子機器のデータ抽出方法)について説明する。
【0043】
先ず、以下には、電池収容部材32に電池34aが収容された状態で外部にデータを抽出する動作(電池装着時のデータアクセス)について説明する。
例えば図4に示すステップS01においては、電圧印加端子42bに適宜の外部機器のプローブ(図示略)が接触して、電圧印加端子42bに所定電圧が印加される。
次に、ステップS02においては、CPU44が電圧印加端子42bに印加されている所定電圧を認識する。
【0044】
次に、ステップS03においては、CPU44が、例えばCPU44からデータ記憶部43への信号の送信を禁止することによって、外部接続端子42aを介した外部機器とデータ記憶部43との通信を許可して、外部接続端子42aを外部接続可能状態に設定する。
次に、ステップS04においては、外部接続端子42aに適宜の外部機器のプローブが接触する。
次に、ステップS05においては、外部機器が外部接続端子42aを介してデータ記憶部43からデータを取得する。
【0045】
次に、ステップS06においては、各端子42a,42bと適宜の外部機器のプローブとの接触を解除する。
次に、ステップS07においては、CPU44が電圧印加端子42bの電位(例えば、ゼロ)を認識する。
次に、ステップS08においては、CPU44が通常状態、つまりCPU44からデータ記憶部43への信号送信の禁止を解除する状態に復帰し、データアクセスを終了する。
【0046】
次に、以下には、電池収容部材32に電池34aが収容されていない状態で外部にデータを抽出する動作(電池非装着時のデータアクセス)について説明する。
例えば図5に示すステップS11においては、外部接続端子42aと電圧印加端子42bと電源端子42cとに適宜の外部機器のプローブ(図示略)が接触して、電圧印加端子42bに所定電圧が印加され、かつ、電源端子42cを介してCPU44に電力が供給される。
【0047】
次に、ステップS12においては、CPU44が起動し、所定の初期化の処理が実行される。
次に、ステップS13においては、CPU44が電圧印加端子42bに印加されている所定電圧を認識する。
【0048】
次に、ステップS14においては、CPU44が、例えばCPU44からデータ記憶部43への信号の送信を禁止することによって、外部接続端子42aを介した外部機器とデータ記憶部43との通信を許可して、外部接続端子42aを外部接続可能状態に設定する。
次に、ステップS15においては、外部機器が外部接続端子42aを介してデータ記憶部43からデータを取得する。
【0049】
次に、ステップS16においては、各端子42a,42b,42cと適宜の外部機器のプローブとの接触を解除し、データアクセスを終了する。
【0050】
上述したように、第1の実施形態による電子機器10によれば、CPU44は、電圧印加端子42bに所定電圧が印加された場合に外部接続端子42aを介した外部機器とデータ記憶部43との通信を許可することによって、CPU44とデータ記憶部43との間の通信に加えて、外部接続端子42aに接続される適宜の外部機器とデータ記憶部43との間の通信にも、異常が生じることを防止することができる。
【0051】
例えばデータ記憶部43とCPU44との間で通信が行なわれている通常状態において、電圧印加端子42bに所定電圧が印加されると、CPU44は、データ記憶部43と外部機器との間で外部接続端子42aを介して通信が行なわれる状態であると認識して、外部接続端子42aを介した外部とデータ記憶部43との通信を許可する。そして、CPU44とデータ記憶部43との間の通常状態での通信と、外部接続端子42aを介した外部とデータ記憶部43との間の通信とが、干渉してしまうことを防止する。これにより、CPU44とデータ記憶部43との間の通信やCPU44によるデータ記憶部43の制御に異常が生じることを防止することができると共に、データ記憶部43に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することができる。
【0052】
しかも、外部接続端子42aを介した外部機器とデータ記憶部43との通信の許可または許可の終了を切り替えるために操作者により操作される特別なスイッチなどを設ける必要無しに、CPU44による許可または許可の終了を切り替えることができ、電子機器10が大型化してしまうことを防止することができる。
【0053】
さらに、CPU44は、電圧印加端子42bに所定電圧が印加された場合にCPU44からデータ記憶部43への信号の送信を禁止することによって、CPU44から出力される信号と適宜の外部機器から入力される信号とが干渉してしまうことを防止することができる。
これにより、CPU44によるデータ記憶部43の制御に加えて、外部接続端子42aに接続される適宜の外部機器によるデータ記憶部43の制御にも、異常が生じることを防止することができる。
【0054】
さらに、外部接続端子42aおよび電圧印加端子42bは、少なくとも蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された以後に適宜の外部機器が接続可能となる。
これにより、外部接続端子42aおよび電圧印加端子42bに不必要に適宜の外部機器が接続されてしまうことを防止することができる。
【0055】
さらに、外部接続端子42aおよび電圧印加端子42bは、蓋体13が取り外されただけで適宜の外部機器が接続可能となり、データ記憶部43に記憶されたデータを容易に外部に抽出することができる。
【0056】
また、第1の実施形態による電子機器のデータ抽出方法によれば、データ記憶部43に対する外部からの接続を許可する許可状態を設定した後に、外部からデータ記憶部43に接続して、データ記憶部43に格納されたデータを外部に抽出することから、CPU44とデータ記憶部43との間の通信やCPU44によるデータ記憶部43の制御に異常が生じることを防止することができると共に、データ記憶部43に格納されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することができる。
【0057】
さらに、データ記憶部43に対する外部からの接続が許可される状態として、CPU44からデータ記憶部43への信号の送信を禁止することによって、CPU44によるデータ記憶部43の制御に加えて、外部からのデータ記憶部43の制御にも、異常が生じることを防止することができる。
【0058】
なお、上述した第1の実施形態においては、外部アクセス部42の複数の端子は、モジュール11の電池収容部材32とは干渉しない位置に配置されるとしたが、これに限定されず、例えば図6に示す変形例のように、外部アクセス部42の複数の端子は、モジュール11の電池収容部材32内に配置されてもよい。
この場合、外部アクセス部42の複数の端子は、電池収容部材32に電池34aが収容されていると外部に露出せず、蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された状態かつ電池収容部材32に電池34aが収容されていない状態で外部に露出する。
【0059】
この第1変形例によれば、電池34aから電力が供給されるCPU44の作動時(例えば、CPU44とデータ記憶部43との間の通信時など)に、データ記憶部43と外部機器との間で外部接続端子42aを介して不意な通信(つまり、CPU44により制御されていない通信であって、CPU44とデータ記憶部43との間の通信やCPU44によるデータ記憶部43の制御に異常を生じさせる虞がある通信)が行なわれてしまうことを防止することができる。
【0060】
さらに、CPU44に対する電力供給およびCPU44の起動を、電源端子42cを介して適宜の外部機器により制御することができ、外部接続端子42aに接続される適宜の外部機器とデータ記憶部43との間の通信を適切に行なうことができる。
【0061】
以下、本発明の第2の実施形態に係る電子機器について添付図面を参照しながら説明する。
なお、本実施の形態による電子機器10は、上述した図1に示す第1の実施形態での電子機器10と同様に、モジュール11と、モジュール11を収容する筐体12と、モジュール11が収容された筐体12の開口部12aを閉塞可能な蓋体13とを備えて構成されている。さらに、筐体12には、表示部21と回路基板31とを電気的に接続する接続部材23と、操作者により入力操作されるボタンなどからなる入力部24(例えば、後述する図8での入力部24)となどが設けられている。
【0062】
この第2の実施形態による電子機器10と上述した第1の実施形態での電子機器10との間で異なる点はモジュール11の構成であり、具体的には、第2の実施形態による電子機器10では、外部アクセス部42が省略されて、データ記憶部43は、蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された状態でモジュール11に対して着脱可能である。
【0063】
第2の実施形態によるモジュール11は、例えば図1,図7に示すように、回路基板31と、例えばケース状の絶縁部材からなる電池収容部材32と、例えばケース状の絶縁部材からなり、電池収容部材32を保持する部材33と、電池収容部材32に収容されて回路基板31に電力を供給可能な電池34aからなる電源部34と、電池収容部材32に収容された電池34aの表面に接触して電池34aを押圧するようにして保持する保持部材35と、回路基板31に接続されたコイルばね36となどを備えて構成されている。
なお、電源部34は、回路基板31と電池34aの正極および負極とを接続するための正負の接続端子34p,34n(図示略)などを備えている。
そして、回路基板31には、例えば図8に示すような発振部41とデータ記憶部43とCPU(中央処理装置)44となどが配置され、回路配線やボンディングワイヤなどによって所定の電気的な接続が形成されている。
【0064】
データ記憶部43は、蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された状態でモジュール11に対して着脱可能であり、例えばモジュール11の電池収容部材32とは干渉しない位置となる部材33に設けられた凹部などからなる装着部33Aに着脱可能に装着されている。
【0065】
この第2の実施形態による電子機器10によれば、少なくとも、蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された状態でモジュール11からデータ記憶部43を取り外すことができる。
これにより、不必要にモジュール11からデータ記憶部43が外れてしまうことを防止しつつ、データ記憶部43に記憶されたデータを適切かつ容易に外部に抽出することができる。
【0066】
なお、上述した第2の実施形態においては、例えば図9に示す第1変形例のように、データ記憶部43は、モジュール11の端部に配置され、データ記憶部43の少なくとも一部がモジュール11の端部からモジュール11の外部に露出していてもよい。
この第1変形例によれば、モジュール11に対してデータ記憶部43の着脱が容易になり、データ記憶部43に記憶されたデータを容易に外部に抽出することができる。
【0067】
なお、上述した第2の実施形態においては、例えば図10に示す第2変形例のように、電池収容部材32に収容された電池34aの表面に接触して電池34aを押圧するようにして保持する保持部材35は、電池34aに加えてデータ記憶部43を押圧するようにして保持してもよい。
この第2変形例によれば、保持部材35による電池34aの保持が解除されると保持部材35によるデータ記憶部43の保持も解除されることから、電池収容部材32に電池34aが収容された状態、つまり電池34aからCPU44に電力が供給されているCPU44の作動時において、モジュール11からデータ記憶部43が外れてしまうことを防止することができる。そして、電池収容部材32から電池34aが取り外されてCPU44への電力供給が遮断された後(つまり、CPU44が停止した後)にデータ記憶部43がモジュール11から外されることにより、データ記憶部43に記憶されたデータを適切に外部に抽出することができる。
【0068】
なお、上述した第1の実施形態においては、第2の実施形態のように、データ記憶部43が、蓋体13による開口部12aの閉塞が解除されて開口部12aが開放された状態でモジュール11に対して着脱可能に構成されてもよい。
【0069】
なお、以下には、上述した第1の実施形態に対する参考技術に係る電子機器について添付図面を参照しながら説明する。
この参考技術による電子機器10と上述した第1の実施形態での電子機器10との間で異なる点はモジュール11の構成であり、具体的には、参考技術による電子機器10では、外部アクセス部42が省略されて、データ記憶部43に記憶されているデータを無線通信により外部に送信可能な通信部45を備えている。
【0070】
この参考技術に係る電子機器10は、例えば図11,12に示すように、表示部21と、操作者により入力操作されるボタンなどからなる入力部24と、回路基板31に配置された発振部41とデータ記憶部43とCPU(中央処理装置)44と、通信部45となどを備えて構成されている。
通信部45は、無線通信によって適宜の外部機器と通信可能であって、外部機器から送信される指令信号に応じて、データ記憶部43に記憶されているデータを外部機器に送信する。
この通信部45は、例えば図11に示すように、データ記憶部43とは独立に構成されていてもよいし、例えば図12に示すように、予め通信部45と一体に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 電子機器
11 モジュール
12 筐体
12a 開口部
13 蓋体
32 電池収容部材
34a 電池
35 保持部材
42a 外部接続端子(外部接続部材)
42b 電圧印加端子(電圧印加部材)
42c 電源端子(電源供給部材)
43 データ記憶部(データ記憶手段)
44 CPU(制御手段)
ステップS03、ステップS14 第1ステップ
ステップS05、ステップS15 第2ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶手段と該データ記憶手段に通信可能に接続された制御手段とを備える電子機器であって、
前記データ記憶手段に接続可能に設けられた外部接続部材と、
前記制御手段に電圧を印加可能に設けられた電圧印加部材とを備え、
前記制御手段は、前記電圧印加部材に所定電圧が印加された場合には前記外部接続部材を介した前記データ記憶手段との通信を許可することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御手段は、前記電圧印加部材に前記所定電圧が印加された場合には前記制御手段から前記データ記憶手段への信号の送信を禁止することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
電池を収容可能な電池収容部材と前記データ記憶手段および前記制御手段および前記外部接続部材および前記電圧印加部材とを具備するモジュールと、該モジュールを収容する筐体と、前記モジュールが収容された前記筐体の開口部を閉塞可能な蓋体とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記外部接続部材および前記電圧印加部材は、前記モジュールにおいて前記電池収容部材とは干渉しない位置に配置され、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態で外部に露出可能であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記外部接続部材および前記電圧印加部材は、前記電池収容部材に配置され、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態かつ前記電池収容部材に前記電池が収容されていない状態で外部に露出可能であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の電子機器。
【請求項6】
前記モジュールは、前記制御手段に電力供給可能に設けられた電源供給部材を備え、
前記電源供給部材は、前記電池収容部材に配置され、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態かつ前記電池収容部材に前記電池が収容されていない状態で外部に露出可能であることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
データ記憶手段と該データ記憶手段に通信可能に接続された制御手段とを備える電子機器であって、
前記データ記憶手段および前記制御手段を具備するモジュールと、該モジュールを収容する筐体と、前記モジュールが収容された前記筐体の開口部を閉塞可能な蓋体とを備え、
前記データ記憶手段は、前記蓋体による前記開口部の閉塞が解除されて前記開口部が開放された状態で前記モジュールに対して着脱可能であることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
前記データ記憶手段は、前記モジュールの端部に配置され、前記データ記憶手段の少なくとも一部が前記端部から前記モジュールの外部に露出していることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記モジュールは、電池を収容可能な電池収容部材と、前記電池収容部材に収容された前記電池を保持する保持部材とを備え、
前記保持部材は、前記電池に加えて前記データ記憶手段を保持することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
データ記憶手段と該データ記憶手段に通信可能に接続された制御手段とを備える電子機器から前記データ記憶手段に格納されたデータを外部に抽出する電子機器のデータ抽出方法であって、
前記データ記憶手段に対する外部からの接続を許可する許可状態を設定する第1ステップと、
前記第1ステップにより前記許可状態が設定された後に、前記外部から前記データ記憶手段に接続して、前記データ記憶手段に格納された前記データを前記外部に抽出する第2ステップとを含むことを特徴とする電子機器のデータ抽出方法。
【請求項11】
前記第1ステップは、前記許可状態として、前記制御手段から前記データ記憶手段への信号の送信を禁止する状態を設定することを特徴とする請求項10に記載の電子機器のデータ抽出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−38254(P2012−38254A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180371(P2010−180371)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】