電子機器用卓上および壁掛け装置
【課題】 電子機器用卓上および壁掛け装置において、卓上で使用する場合と壁掛けで使用する場合との間の切替えの作業性を向上させる。
【解決手段】 本体部材2は、機器底面の弾性係合片が係合孔5の両側縁に係合することにより、機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられる。角度調整部材3は、本体部材2の軸11aが長孔17cに係入されることにより、本体部材2に回転自在に支持され、規制片19が本体部材2の下端縁2aに係合することにより回転が規制される。電子機器が本体2の表面2A側に取り付けられ、壁面に植設されたボルトがフック孔6A,6Bに係入されることにより、電子機器が壁面に設置される。電子機器用卓上および壁掛け装置1を機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けることにより、電子機器が卓上に設置される。
【解決手段】 本体部材2は、機器底面の弾性係合片が係合孔5の両側縁に係合することにより、機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられる。角度調整部材3は、本体部材2の軸11aが長孔17cに係入されることにより、本体部材2に回転自在に支持され、規制片19が本体部材2の下端縁2aに係合することにより回転が規制される。電子機器が本体2の表面2A側に取り付けられ、壁面に植設されたボルトがフック孔6A,6Bに係入されることにより、電子機器が壁面に設置される。電子機器用卓上および壁掛け装置1を機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けることにより、電子機器が卓上に設置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机等の卓上と壁面とのいずれにも設置することができる電子機器に備えられる電子機器用卓上および壁掛け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器を卓上に設置して使用する場合は、電子機器の正面部に設けられた操作釦等を操作し易くするために、機器底面に角度調整部材を取り付けて、操作面の卓上面に対する角度を調節可能とすることが要望されている。また、電子機器を壁面に設置して使用する場合は、電子機器を壁面に設置するためのブラケットを先に壁面に取り付けてから、このブラケットに電子機器を装着する方法と、先にブラケットに電子機器を装着してから、ブラケットを壁面に取り付ける方法との二方法が可能であることが要望されている。
【0003】
これらの要望に応えるものとして、機器の底面に前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられるとともに、壁面に着脱自在に取り付けられる角度アダプターと、この角度アダプターの一端に支持され、壁面設置時には壁面と機器底面との間の空間に収容され、卓上設置時には機器正面の操作面の卓上面に対する角度を調節する支持部材とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−326853号公報(段落〔0041〕〜〔0047〕、図1,2,8,9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような電子機器用卓上および壁掛け装置においては、卓上に設置して使用する場合は、角度アダプターを機器底面に回転自在となるように取り付ける作業の他に、支持部材を回動させて起立させるという作業が必要であった。また、この支持部材を起立させる作業は、角度アダプターと機器底面との間の狭い空間で支持部材の嵌合突起を機器底面に設けた嵌合孔に嵌合させる作業であるため、作業が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、卓上で使用する場合と壁掛けで使用する場合との間の切替えの作業性を向上させた電子機器用卓上および壁掛け装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられるとともに、壁面に着脱自在に取り付けられる本体部材と、前記本体部材の一端に支持され、機器底面の前側に位置する壁面設置時には壁面と機器底面との間の空間に収容され、機器底面の後側に位置する卓上設置時には、卓上と前記本体部材との間に位置し機器正面の操作面の卓上面に対する角度を調節する角度調整部材とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器用卓上および壁掛け装置を、機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付ける作業のみにより、電子機器を卓上または壁面に選択的に設置することができるため、従来のように電子機器用卓上および壁掛け装置を電子機器の底面に取り付けた後に、角度調整部材を操作する作業を必要としないから、煩雑な作業が不要になり使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を分解して示す斜視図である。
【図2】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の斜視図である。
【図3】同図(A)は本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の正面図、同図(B)は側面図である。
【図4】同図(A)は図3(A)におけるIV(A)-IV(A) 線断面図、同図(B)は図3(A)におけるIV(B)-IV(B) 線断面図である。
【図5】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の角度調整部材の回動動作を説明するための図3(A)におけるIV(A)-IV(A) 線断面図である。
【図6】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の角度調整部材の回動動作を説明するための図3(A)におけるIV(B)-IV(B) 線断面図である。
【図7】同図(A)は本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を先に壁面に取り付けてから電子機器を壁面に設置する状態を示す斜視図、同図(B)は同じく電子機器を壁面に設置した状態を示す側面図である。
【図8】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置に電子機器を取り付けてから壁面に設置する状態を示す斜視図である。
【図9】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を卓上で使用する場合の斜視図である。
【図10】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を卓上用として電子機器の底面に取り付けた状態を底面側から視た斜視図である。
【図11】同図(A)は電子機器を卓上に設置した状態を示す側面図、同図(B)は同じく立ち上げ角度が小さい状態を示す斜視図、同図(C)は同じく立ち上げ角度を大きくした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし11に基づいて説明する。
【0011】
図1に全体を符号1で示す電子機器用卓上および壁掛け装置は、平板状に形成された本体部材2と、この本体部材2に回転自在に支持され断面がコ字状に形成された角度調整部材3とによって構成されている。本体部材2の中央部には正方形の係合孔5が設けられており、この係合孔5を挟むように上下には、達磨状のフック孔6A,6Bが設けられている。本体部材2の上端部8は直角に折り曲げられ、この上端部8には左右一対の凸条体9,9が突設されている。
【0012】
本体部材2の左右端には一対の突片10,10が左右方向に突設されており、この突片10の突出端部には、本体部材2の表面2A側に向かってL字状の係合突子10aが突設され、この係合突子10aの下面は、角度調整部材3の後述する側板16の第1および第2の係合部16a,16bと、支持片17の第1および第2の係合部17a,17bとが係合する係合部10bを形成している。これら突片10,10の下方には、本体部材2の表面2A側に向かって支持片11が突設されており、これら支持片11,11のそれぞれの外面には、軸11a,11aが互いに反対方向に向かって突設されている。
【0013】
角度調整部材3は、ゴム足14,14が左右の両端部に突設された底板15と、両側板16,16と、この両側板16と対向するように両側板16から折り返されるように形成された弾性変形可能な支持片17,17と、底板15の背面側に突設されたリブ18とによって構成されている。両側板16の上端には、水平方向に延在する第1の係合部16aと、傾斜した第2の係合部16bとが形成されている。支持片17の上端には、両側板16の第1および第2の係合部16a,16bのそれぞれと同じ形状を有する第1および第2の係合部17a,17bが形成されているとともに、上記した支持片11の軸11aが係入される長孔17cが設けられている。リブ18には、本体部材2の下端縁2aに係合する一対の規制片19,19が設けられている。
【0014】
このような構成において、角度調整部材3の支持片17,17を弾性変形させながら、これら支持片17,17の長孔17c,17cに本体部材2の支持片11,11の軸11a,11aを係入させることにより、角度調整部材3が本体部材2に軸11aを回転中心として回転自在に支持される。ここで、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aを本体部材2の係合部10aに係合させた図4(A)に示す状態で、軸11aを回転中心として角度調整部材3を反時計方向に回転させると、規制片19が本体部材2の下端縁2aに係合して角度調整部材3の反時計方向への回転が規制される。また、この状態から、軸11aを長孔17c内を摺動させるように、角度調整部材3を下方に移動させると、図6(A)に示すように角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと本体部材2の係合部10aとの係合が解除され、角度調整部材3が時計方向に回動可能になる。
【0015】
電子機器20の底面21には、図7(A)に示すように底面視コ字状に形成された袴22が突設されており、この袴22の矢印B方向に位置する一辺22aの内側には、上記した本体部材2の凸条体9,9が係入される一対の凹部(図示せず)が設けられている。23,23は袴22の両側部に設けられた保持ブロックであって、この保持ブロック23,23には、本体部材2の係合突子10a,10aが係入される溝23a,23aが設けられている。
【0016】
24,24は電子機器20の底面21に一体に突設した弾性変形可能な一対の係合片であって、後述するように本体部材2の係合孔5の両側縁に係合する。25,25は電子機器20の底面21の袴22に近接した部位に設けられた嵌合凹部であって、後述するように角度調整部材3の第1の係合部16a,17aが嵌合される。26,26は電子機器20の底面21に設けられたゴム足であって、電子機器20を机28の卓上に設置したときに、本体部材2のゴム足14と共に机28の卓上に支承される。
【0017】
次に、このように構成された電子機器用卓上および壁掛け装置1を使用して電子機器20を壁面に設置する場合について説明する。先ず、図7を用いて、先に電子機器用卓上および壁掛け装置1を壁面に取り付けてから、電子機器1を壁面に設置する場合について説明する。角度調整部材3を、同図(A)に示すように本体部材2の下方に位置付け、本体部材2の裏面2Bを壁面27に対向させ、壁面27に植設した2本のボルト(図示せず)を孔6A,6Bに係入させることにより、電子機器用卓上および壁掛け装置1を壁面27に取り付ける。
【0018】
この状態で、電子機器用卓上および壁掛け装置1の凸条体9,9を、電子機器1の袴22の一辺22aに設けた凹部(図示せず)に係入させ、凹部を中心として電子機器1を電子機器用卓上および壁掛け装置1側に回動させ、本体部材2の係合突子10a,10aを電子機器20の底面21の溝23a,23aに係入させる。この係入によって、電子機器20の底面21に設けた係合片24,24が弾性変形しながら本体部材2の係合孔5の両側縁に係合するので、電子機器1が、同図(B)に示すように電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して壁面27に取り付けられる。
【0019】
次に、図7および8を用いて、予め電子機器20に電子機器用卓上および壁掛け装置1を取り付けておいてから壁面に設置する場合について説明する。この場合は、先ず角度調整部材3を、図7(A)に示すように本体部材2の下方に位置付け、本体部材2の表面2Aを電子機器20の底面21に対向させる。このような状態として、電子機器用卓上および壁掛け装置1の凸条体9,9を、電子機器1の袴22の一辺22aに設けた凹部(図示せず)に係入させ、凹部を中心として電子機器用卓上および壁掛け装置1を電子機器1側に回動させる。
【0020】
この回動によって、本体部材2の係合突子10a,10aが電子機器20の底面21の溝23a,23aに係入され、電子機器20の底面21に設けた係合片24,24が弾性変形しながら本体部材2の係合孔5の両側縁に係合することにより、電子機器用卓上および壁掛け装置1が電子機器1に取り付けられる。次いで、電子機器20に取り付けられた電子機器用卓上および壁掛け装置1の本体部材2の裏面2Bを壁面27に対向させ、壁面27に植設した2本のボルト(図示せず)を孔6A,6Bに係入させることにより、電子機器20が電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して壁面27に取り付ける。このように、電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して電子機器20を壁面27に設置すると、図7(B)に示すように、角度調整部材3は、電子機器20の底面21の前側(矢印A方向)に位置するとともに、壁面27と底面21との間の空間に収容される。
【0021】
また、このように電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して壁面27に設置された電子機器20を壁面27から取り外す場合は、先ず、壁面27に植設したボルト(図示せず)から電子機器用卓上および壁掛け装置1の孔6A,6Bの係入を解除して、電子機器用卓上および壁掛け装置1といっしょに電子機器20を壁面27から取り外す。次いで、係合片24,24を弾性変形させながら、本体部材2の係合孔5との係合を解除することにより、電子機器用卓上および壁掛け装置1から電子機器20を取り外す。
【0022】
次に、図2および図4ないし6ならびに図9ないし11を用いて、電子機器20を卓上に設置する場合について説明する。先ず、電子機器用卓上および壁掛け装置1の前後方向(矢印A−B方向)を、図2で示す壁掛けで使用する状態から図9で示すように反転させるとともに、電子機器20の底面21に対して、表裏も反転させる。すなわち、後述するように電子機器用卓上および壁掛け装置1の表面2Aを机28に対向させ、裏面2Bを電子機器20の底面21に対向させる。
【0023】
この状態で、本体部材2の突片10,10を、図10に示すように電子機器20の底面21の保持ブロック23,23に載置し、底面21に設けた係合片24,24を弾性変形させながら、係合孔5の両側縁に係合させることにより、角度調整部材3が電子機器20の後側(矢印B方向)に位置付けられて、電子機器用卓上および壁掛け装置1が裏面2Bを底面21に対向させた状態で取り付けられる。
【0024】
この状態で、角度調整部材3の底板15が電子機器20の袴22の一辺22aに係合するので、角度調整部材3の矢印B方向への移動が規制されているとともに、角度調整部材3の規制片19が、図4(A)に示すように本体部材2の下端縁2aに係合して角度調整部材3の反時計方向への回転が規制されている。したがって、電子機器20を、図11に示すように机28の卓上に設置すると、底面21に設けたゴム足26と、角度調整部材3に設けたゴム足14とが机28に載置され、電子機器20の操作釦(図示せず)等が設けられた操作面29と机28の卓上との角度がαに設定される。
【0025】
すなわち、角度調整部材3の規制片19と、この規制片19が係合する本体部材2の下端縁2aとが、電子機器20を机28の卓上に設置したときに、角度調整部材3の回動を規制して電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度をαに設定する第1の規制手段を構成している。このように、電子機器用卓上および壁掛け装置1を電子機器20の底面21に取り付けることにより、電子機器20を机28の卓上に設置すると、角度調整部材3を操作することなく、操作面29と机28の卓上との角度がαに設定されるため、角度調整部材3を操作するような煩雑な作業が不要になり使い勝手が向上する。
【0026】
この状態から、角度調整部材3の長孔17c内を本体部材2の軸11aを摺動させるように、角度調整部材3を、図4(B)に示すように矢印D方向に移動させることにより、図6(A)に示すように角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと本体部材2の係合部10aとの係合が解除され、角度調整部材3が時計方向に回動可能になる。角度調整部材3を、同図(B)に示すように軸11aを回動中心として時計方向に回動させ、角度調整部材3の第2の係合部16b,17bを本体部材2の係合部10aに対向させる。
【0027】
この状態で、角度調整部材3の長孔17c内を本体部材2の軸11aを摺動させるように、角度調整部材3を、同図(C)に示すように矢印C方向に移動させることにより、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aを電子機器20の底面21の嵌合凹部25に嵌合させて、角度調整部材3の回動を規制する。したがって、この角度調整部材3によって、電子機器20は、図11(C)に示すように電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度がα以上に設定される。すなわち、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと、これら第1の係合部16a,17aが嵌合する電子機器20の底面21の嵌合凹部25とが、電子機器20を机28の卓上に設置したときに、角度調整部材3の回動を規制して電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度をα以上に設定する第2の規制手段を構成している。電子機器20から電子機器用卓上および壁掛け装置1を取り外す場合は、係合片24,24を弾性変形させながら、本体部材2の係合孔5との係合を解除することにより行う。
【0028】
このように、従来のように角度調整部材3が本体部材2と電子機器20の底面21との間に設けられているのではなく、角度調整部材3が机28の卓上と電子機器20の底面21との間に設けられているため、角度調整部材3の作業が容易になる。また、電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度をαとα以上に設定する構造として、軸11aを長孔17cに係入させ、角度調整部材3の規制片19と本体部材2の下端縁2aとからなる第1の規制手段と、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと電子機器20の底面21の嵌合凹部25とからなる第2の規制手段とによって構成したことにより、構造が簡素化され、かつ装置を小型化することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…電子機器用卓上および壁掛け装置、2…本体部材、2A…表面、2B…裏面、2a…下端縁(第1の規制手段)、3…角度調整部材、5…孔、6A,6B…フック孔、11a…軸、16a,17a…第1の係合部(第1の規制手段)、17c…長孔、19…規制片(第1の規制手段)、20…電子機器、21…底面、24…係合片、25…嵌合凹部(第2の規制手段)、27…壁面、28…机、29…操作面。
【技術分野】
【0001】
本発明は、机等の卓上と壁面とのいずれにも設置することができる電子機器に備えられる電子機器用卓上および壁掛け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器を卓上に設置して使用する場合は、電子機器の正面部に設けられた操作釦等を操作し易くするために、機器底面に角度調整部材を取り付けて、操作面の卓上面に対する角度を調節可能とすることが要望されている。また、電子機器を壁面に設置して使用する場合は、電子機器を壁面に設置するためのブラケットを先に壁面に取り付けてから、このブラケットに電子機器を装着する方法と、先にブラケットに電子機器を装着してから、ブラケットを壁面に取り付ける方法との二方法が可能であることが要望されている。
【0003】
これらの要望に応えるものとして、機器の底面に前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられるとともに、壁面に着脱自在に取り付けられる角度アダプターと、この角度アダプターの一端に支持され、壁面設置時には壁面と機器底面との間の空間に収容され、卓上設置時には機器正面の操作面の卓上面に対する角度を調節する支持部材とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−326853号公報(段落〔0041〕〜〔0047〕、図1,2,8,9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような電子機器用卓上および壁掛け装置においては、卓上に設置して使用する場合は、角度アダプターを機器底面に回転自在となるように取り付ける作業の他に、支持部材を回動させて起立させるという作業が必要であった。また、この支持部材を起立させる作業は、角度アダプターと機器底面との間の狭い空間で支持部材の嵌合突起を機器底面に設けた嵌合孔に嵌合させる作業であるため、作業が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、卓上で使用する場合と壁掛けで使用する場合との間の切替えの作業性を向上させた電子機器用卓上および壁掛け装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられるとともに、壁面に着脱自在に取り付けられる本体部材と、前記本体部材の一端に支持され、機器底面の前側に位置する壁面設置時には壁面と機器底面との間の空間に収容され、機器底面の後側に位置する卓上設置時には、卓上と前記本体部材との間に位置し機器正面の操作面の卓上面に対する角度を調節する角度調整部材とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子機器用卓上および壁掛け装置を、機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付ける作業のみにより、電子機器を卓上または壁面に選択的に設置することができるため、従来のように電子機器用卓上および壁掛け装置を電子機器の底面に取り付けた後に、角度調整部材を操作する作業を必要としないから、煩雑な作業が不要になり使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を分解して示す斜視図である。
【図2】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の斜視図である。
【図3】同図(A)は本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の正面図、同図(B)は側面図である。
【図4】同図(A)は図3(A)におけるIV(A)-IV(A) 線断面図、同図(B)は図3(A)におけるIV(B)-IV(B) 線断面図である。
【図5】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の角度調整部材の回動動作を説明するための図3(A)におけるIV(A)-IV(A) 線断面図である。
【図6】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置の角度調整部材の回動動作を説明するための図3(A)におけるIV(B)-IV(B) 線断面図である。
【図7】同図(A)は本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を先に壁面に取り付けてから電子機器を壁面に設置する状態を示す斜視図、同図(B)は同じく電子機器を壁面に設置した状態を示す側面図である。
【図8】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置に電子機器を取り付けてから壁面に設置する状態を示す斜視図である。
【図9】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を卓上で使用する場合の斜視図である。
【図10】本願発明に係る電子機器用卓上および壁掛け装置を卓上用として電子機器の底面に取り付けた状態を底面側から視た斜視図である。
【図11】同図(A)は電子機器を卓上に設置した状態を示す側面図、同図(B)は同じく立ち上げ角度が小さい状態を示す斜視図、同図(C)は同じく立ち上げ角度を大きくした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし11に基づいて説明する。
【0011】
図1に全体を符号1で示す電子機器用卓上および壁掛け装置は、平板状に形成された本体部材2と、この本体部材2に回転自在に支持され断面がコ字状に形成された角度調整部材3とによって構成されている。本体部材2の中央部には正方形の係合孔5が設けられており、この係合孔5を挟むように上下には、達磨状のフック孔6A,6Bが設けられている。本体部材2の上端部8は直角に折り曲げられ、この上端部8には左右一対の凸条体9,9が突設されている。
【0012】
本体部材2の左右端には一対の突片10,10が左右方向に突設されており、この突片10の突出端部には、本体部材2の表面2A側に向かってL字状の係合突子10aが突設され、この係合突子10aの下面は、角度調整部材3の後述する側板16の第1および第2の係合部16a,16bと、支持片17の第1および第2の係合部17a,17bとが係合する係合部10bを形成している。これら突片10,10の下方には、本体部材2の表面2A側に向かって支持片11が突設されており、これら支持片11,11のそれぞれの外面には、軸11a,11aが互いに反対方向に向かって突設されている。
【0013】
角度調整部材3は、ゴム足14,14が左右の両端部に突設された底板15と、両側板16,16と、この両側板16と対向するように両側板16から折り返されるように形成された弾性変形可能な支持片17,17と、底板15の背面側に突設されたリブ18とによって構成されている。両側板16の上端には、水平方向に延在する第1の係合部16aと、傾斜した第2の係合部16bとが形成されている。支持片17の上端には、両側板16の第1および第2の係合部16a,16bのそれぞれと同じ形状を有する第1および第2の係合部17a,17bが形成されているとともに、上記した支持片11の軸11aが係入される長孔17cが設けられている。リブ18には、本体部材2の下端縁2aに係合する一対の規制片19,19が設けられている。
【0014】
このような構成において、角度調整部材3の支持片17,17を弾性変形させながら、これら支持片17,17の長孔17c,17cに本体部材2の支持片11,11の軸11a,11aを係入させることにより、角度調整部材3が本体部材2に軸11aを回転中心として回転自在に支持される。ここで、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aを本体部材2の係合部10aに係合させた図4(A)に示す状態で、軸11aを回転中心として角度調整部材3を反時計方向に回転させると、規制片19が本体部材2の下端縁2aに係合して角度調整部材3の反時計方向への回転が規制される。また、この状態から、軸11aを長孔17c内を摺動させるように、角度調整部材3を下方に移動させると、図6(A)に示すように角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと本体部材2の係合部10aとの係合が解除され、角度調整部材3が時計方向に回動可能になる。
【0015】
電子機器20の底面21には、図7(A)に示すように底面視コ字状に形成された袴22が突設されており、この袴22の矢印B方向に位置する一辺22aの内側には、上記した本体部材2の凸条体9,9が係入される一対の凹部(図示せず)が設けられている。23,23は袴22の両側部に設けられた保持ブロックであって、この保持ブロック23,23には、本体部材2の係合突子10a,10aが係入される溝23a,23aが設けられている。
【0016】
24,24は電子機器20の底面21に一体に突設した弾性変形可能な一対の係合片であって、後述するように本体部材2の係合孔5の両側縁に係合する。25,25は電子機器20の底面21の袴22に近接した部位に設けられた嵌合凹部であって、後述するように角度調整部材3の第1の係合部16a,17aが嵌合される。26,26は電子機器20の底面21に設けられたゴム足であって、電子機器20を机28の卓上に設置したときに、本体部材2のゴム足14と共に机28の卓上に支承される。
【0017】
次に、このように構成された電子機器用卓上および壁掛け装置1を使用して電子機器20を壁面に設置する場合について説明する。先ず、図7を用いて、先に電子機器用卓上および壁掛け装置1を壁面に取り付けてから、電子機器1を壁面に設置する場合について説明する。角度調整部材3を、同図(A)に示すように本体部材2の下方に位置付け、本体部材2の裏面2Bを壁面27に対向させ、壁面27に植設した2本のボルト(図示せず)を孔6A,6Bに係入させることにより、電子機器用卓上および壁掛け装置1を壁面27に取り付ける。
【0018】
この状態で、電子機器用卓上および壁掛け装置1の凸条体9,9を、電子機器1の袴22の一辺22aに設けた凹部(図示せず)に係入させ、凹部を中心として電子機器1を電子機器用卓上および壁掛け装置1側に回動させ、本体部材2の係合突子10a,10aを電子機器20の底面21の溝23a,23aに係入させる。この係入によって、電子機器20の底面21に設けた係合片24,24が弾性変形しながら本体部材2の係合孔5の両側縁に係合するので、電子機器1が、同図(B)に示すように電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して壁面27に取り付けられる。
【0019】
次に、図7および8を用いて、予め電子機器20に電子機器用卓上および壁掛け装置1を取り付けておいてから壁面に設置する場合について説明する。この場合は、先ず角度調整部材3を、図7(A)に示すように本体部材2の下方に位置付け、本体部材2の表面2Aを電子機器20の底面21に対向させる。このような状態として、電子機器用卓上および壁掛け装置1の凸条体9,9を、電子機器1の袴22の一辺22aに設けた凹部(図示せず)に係入させ、凹部を中心として電子機器用卓上および壁掛け装置1を電子機器1側に回動させる。
【0020】
この回動によって、本体部材2の係合突子10a,10aが電子機器20の底面21の溝23a,23aに係入され、電子機器20の底面21に設けた係合片24,24が弾性変形しながら本体部材2の係合孔5の両側縁に係合することにより、電子機器用卓上および壁掛け装置1が電子機器1に取り付けられる。次いで、電子機器20に取り付けられた電子機器用卓上および壁掛け装置1の本体部材2の裏面2Bを壁面27に対向させ、壁面27に植設した2本のボルト(図示せず)を孔6A,6Bに係入させることにより、電子機器20が電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して壁面27に取り付ける。このように、電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して電子機器20を壁面27に設置すると、図7(B)に示すように、角度調整部材3は、電子機器20の底面21の前側(矢印A方向)に位置するとともに、壁面27と底面21との間の空間に収容される。
【0021】
また、このように電子機器用卓上および壁掛け装置1を介して壁面27に設置された電子機器20を壁面27から取り外す場合は、先ず、壁面27に植設したボルト(図示せず)から電子機器用卓上および壁掛け装置1の孔6A,6Bの係入を解除して、電子機器用卓上および壁掛け装置1といっしょに電子機器20を壁面27から取り外す。次いで、係合片24,24を弾性変形させながら、本体部材2の係合孔5との係合を解除することにより、電子機器用卓上および壁掛け装置1から電子機器20を取り外す。
【0022】
次に、図2および図4ないし6ならびに図9ないし11を用いて、電子機器20を卓上に設置する場合について説明する。先ず、電子機器用卓上および壁掛け装置1の前後方向(矢印A−B方向)を、図2で示す壁掛けで使用する状態から図9で示すように反転させるとともに、電子機器20の底面21に対して、表裏も反転させる。すなわち、後述するように電子機器用卓上および壁掛け装置1の表面2Aを机28に対向させ、裏面2Bを電子機器20の底面21に対向させる。
【0023】
この状態で、本体部材2の突片10,10を、図10に示すように電子機器20の底面21の保持ブロック23,23に載置し、底面21に設けた係合片24,24を弾性変形させながら、係合孔5の両側縁に係合させることにより、角度調整部材3が電子機器20の後側(矢印B方向)に位置付けられて、電子機器用卓上および壁掛け装置1が裏面2Bを底面21に対向させた状態で取り付けられる。
【0024】
この状態で、角度調整部材3の底板15が電子機器20の袴22の一辺22aに係合するので、角度調整部材3の矢印B方向への移動が規制されているとともに、角度調整部材3の規制片19が、図4(A)に示すように本体部材2の下端縁2aに係合して角度調整部材3の反時計方向への回転が規制されている。したがって、電子機器20を、図11に示すように机28の卓上に設置すると、底面21に設けたゴム足26と、角度調整部材3に設けたゴム足14とが机28に載置され、電子機器20の操作釦(図示せず)等が設けられた操作面29と机28の卓上との角度がαに設定される。
【0025】
すなわち、角度調整部材3の規制片19と、この規制片19が係合する本体部材2の下端縁2aとが、電子機器20を机28の卓上に設置したときに、角度調整部材3の回動を規制して電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度をαに設定する第1の規制手段を構成している。このように、電子機器用卓上および壁掛け装置1を電子機器20の底面21に取り付けることにより、電子機器20を机28の卓上に設置すると、角度調整部材3を操作することなく、操作面29と机28の卓上との角度がαに設定されるため、角度調整部材3を操作するような煩雑な作業が不要になり使い勝手が向上する。
【0026】
この状態から、角度調整部材3の長孔17c内を本体部材2の軸11aを摺動させるように、角度調整部材3を、図4(B)に示すように矢印D方向に移動させることにより、図6(A)に示すように角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと本体部材2の係合部10aとの係合が解除され、角度調整部材3が時計方向に回動可能になる。角度調整部材3を、同図(B)に示すように軸11aを回動中心として時計方向に回動させ、角度調整部材3の第2の係合部16b,17bを本体部材2の係合部10aに対向させる。
【0027】
この状態で、角度調整部材3の長孔17c内を本体部材2の軸11aを摺動させるように、角度調整部材3を、同図(C)に示すように矢印C方向に移動させることにより、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aを電子機器20の底面21の嵌合凹部25に嵌合させて、角度調整部材3の回動を規制する。したがって、この角度調整部材3によって、電子機器20は、図11(C)に示すように電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度がα以上に設定される。すなわち、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと、これら第1の係合部16a,17aが嵌合する電子機器20の底面21の嵌合凹部25とが、電子機器20を机28の卓上に設置したときに、角度調整部材3の回動を規制して電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度をα以上に設定する第2の規制手段を構成している。電子機器20から電子機器用卓上および壁掛け装置1を取り外す場合は、係合片24,24を弾性変形させながら、本体部材2の係合孔5との係合を解除することにより行う。
【0028】
このように、従来のように角度調整部材3が本体部材2と電子機器20の底面21との間に設けられているのではなく、角度調整部材3が机28の卓上と電子機器20の底面21との間に設けられているため、角度調整部材3の作業が容易になる。また、電子機器20の操作面29と机28の卓上との角度をαとα以上に設定する構造として、軸11aを長孔17cに係入させ、角度調整部材3の規制片19と本体部材2の下端縁2aとからなる第1の規制手段と、角度調整部材3の第1の係合部16a,17aと電子機器20の底面21の嵌合凹部25とからなる第2の規制手段とによって構成したことにより、構造が簡素化され、かつ装置を小型化することができる。
【符号の説明】
【0029】
1…電子機器用卓上および壁掛け装置、2…本体部材、2A…表面、2B…裏面、2a…下端縁(第1の規制手段)、3…角度調整部材、5…孔、6A,6B…フック孔、11a…軸、16a,17a…第1の係合部(第1の規制手段)、17c…長孔、19…規制片(第1の規制手段)、20…電子機器、21…底面、24…係合片、25…嵌合凹部(第2の規制手段)、27…壁面、28…机、29…操作面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられるとともに、壁面に着脱自在に取り付けられる本体部材と、
前記本体部材の一端に支持され、機器底面の前側に位置する壁面設置時には壁面と機器底面との間の空間に収容され、機器底面の後側に位置する卓上設置時には、卓上と前記本体部材との間に位置し機器正面の操作面の卓上面に対する角度を調節する角度調整部材と、
を備えたことを特徴とする電子機器用卓上および壁掛け装置。
【請求項2】
前記角度調整部材を前記本体部材に回転自在に支持させ、前記角度調整部材の回転を回転方向の二位置において規制する第1および第2の規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子機器用卓上および壁掛け装置。
【請求項3】
前記本体部材に長孔を設け、前記角度調整部材に前記長孔に係入される軸を設け、前記軸を前記長孔内を移動させることにより、前記角度調整部材に対する前記第1および第2の規制手段による規制と規制解除とを行うことを特徴とする請求項2記載の電子機器用卓上および壁掛け装置。
【請求項1】
機器底面に表裏および前後方向を反転させて着脱自在に取り付けられるとともに、壁面に着脱自在に取り付けられる本体部材と、
前記本体部材の一端に支持され、機器底面の前側に位置する壁面設置時には壁面と機器底面との間の空間に収容され、機器底面の後側に位置する卓上設置時には、卓上と前記本体部材との間に位置し機器正面の操作面の卓上面に対する角度を調節する角度調整部材と、
を備えたことを特徴とする電子機器用卓上および壁掛け装置。
【請求項2】
前記角度調整部材を前記本体部材に回転自在に支持させ、前記角度調整部材の回転を回転方向の二位置において規制する第1および第2の規制手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子機器用卓上および壁掛け装置。
【請求項3】
前記本体部材に長孔を設け、前記角度調整部材に前記長孔に係入される軸を設け、前記軸を前記長孔内を移動させることにより、前記角度調整部材に対する前記第1および第2の規制手段による規制と規制解除とを行うことを特徴とする請求項2記載の電子機器用卓上および壁掛け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−239175(P2010−239175A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81815(P2009−81815)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】
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