説明

電子機器筐体

【課題】
電子機器筐体の防塵構造の防塵フィルタは、経年変化等の剥がれによる貼り直しや、貼り付け位置のばらつきやずれによる作業者の負担を軽減する必要がある。また、メンテナンス時の取外しを容易にすることも保守の上で好ましい。さらに、防塵フィルタは、受け金具への取り付け時に、より取り付けやすい柔軟性を備え、受け金具への取り付けによって劣化してしまうことを防止する必要がある。
【解決手段】
防塵構造を有するネットと、ネットを挟んで接着するスポンジ及びエステルシートと、を有する新型防塵ネットを電子機器筐体の筐体風孔部に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器筐体の防塵構造に関するものである。特に、無線通信システムや携帯電話システムなどの移動通信システムにおける基地局無線装置や中継器、防災無線用に設けられた屋外拡声装置などの屋外設置機器筐体の防塵効果を備えるように構成された、電子機器筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防塵ネットは、図7に示すように防塵用のサランネット8及びサランネット8を固定する両面接着テープ9にて構成され、図8に示すように両面接着テープ9により電子機器筐体の筐体風孔部11へ固定されて取り付けられていた。しかしながら、従来型防塵ネット10では、図9に示すように経年変化等により剥がれてしまう可能性があった。また、従来型防塵ネット10では、図10に示すように貼り付け位置が統一されなかったり、貼付位置がずれてしまったりといった事態が発生していた。
【0003】
そのため、例えば、特許文献1では、機器のカバーに防塵フィルタを取り付ける防塵フィルタ取り付け構造において、上記カバーにガイド手段を設け、上記ガイド手段に上記防塵フィルタを脱着可能な状態で導入する。これにより、防塵フィルタの位置ずれを防止し、取り付けが容易にでき、交換等の保守性が良く、防塵フィルタの再利用が可能となるように構成されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、固定された形状の防塵フィルタが、固定されたガイドに脱着可能となるが、防塵フィルタをガイドに取り付ける際に、規定の幅のガイドに規定の大きさの防塵フィルタを取り付ける必要があるため、装着時の柔軟性に乏しい。また、防塵フィルタのガイドとの接触部は、経年変化の摩擦により劣化してしまう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−173737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、電子機器筐体の防塵構造の防塵フィルタは、経年変化等の剥がれによる貼り直しや、貼り付け位置のばらつきや貼り付け位置のずれによる作業者の負担を軽減する必要がある。また、取外しを容易にすることも保守の上で好ましい。さらに、防塵フィルタは、ガイドへの取り付け時に、より取り付けやすい柔軟性を備え、また、防塵フィルタはガイドへの取り付けによって劣化してしまうことを防止する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明では、防塵構造を有するネットと、該ネットを挟んで接着するスポンジ及びエステルシートと、を筐体風孔部に取り付けることを特徴とする電子機器筐体とする。
【0008】
また、好ましくは、電子機器筐体は、スポンジとエステルシートの接着部分は、ネットの網目部分であることを特徴とする。
また、好ましくは、電子機器筐体は、スポンジとエステルシートの接着部分は、両面接着テープで接着されることを特徴とする。
また、好ましくは、電子機器筐体は、ネットの表側にスポンジを貼付け、ネットの裏側にエステルシートを貼付けることを特徴とする。
また、好ましくは、電子機器筐体は、ネットとはサランネット(登録商標)であり、スポンジとはネオスポンジ(登録商標)であり、エステルシートはポリエステルシートであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による防塵構造を備えた電子機器筐体により、経年変化等による筐体風孔部からの防塵構造のネットの剥がれを防止することができ、貼り付け位置のばらつきも防止することができる。さらに、柔軟性を備えた防塵構造により、メンテナンス時等には、筐体風孔部からの防塵構造のネットの取外しを容易にし、作業者による負担がなくなるため、信頼性及び作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】新型防塵ネット概略斜視図
【図2】接着部詳細図
【図3】接着部拡大断面図
【図4】新型防塵ネット取り付け図(1)
【図5】新型防塵ネット取り付け図(2)
【図6】新型防塵ネット取り付け図(3)
【図7】従来型防塵ネット概略図
【図8】従来型防塵ネット取り付け(貼り付け)図
【図9】従来型防塵ネット事例図(1)
【図10】従来型防塵ネット事例図(2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施例を、図面を参照して説明する。以下本発明の実施例を図1〜図6により説明する。図1は、本発明の新型防塵ネット7の概略斜視図である。図1に示すように、防塵フィルタは、本発明である新型防塵ネット7として、例えばサランネット3を採用し、サランネット3を固定するために、サランネット3の表側の上端部と下端部に例えばネオプレンスポンジ1を設ける。このように、ネオプレンスポンジ1を設けることにより、電子機器筐体の通気を行う筐体風孔部6に新型防塵ネット7を取り付けやすくすることができる。
【0012】
図2は、本発明の新型防塵ネット7の接着部詳細図である。図2に示すように、新型防塵ネット7は、サランネット3を固定するために、サランネット3の裏側の上端部と下端部に例えばポリエステルシート2を設ける。つまり、サランネット3を介してネオプレンスポンジ1の相対する位置にポリエステルシート2を取り付ける。以上により、サランネット3を介してネオプレンスポンジ1とポリエステルシート2を例えば両面接着テープ4で接着するように構成する。つまり、ネオプレンスポンジ1及びポリエステルシート2がサランネット3を挟みこむ形で接着されている。
【0013】
図3は、本発明の新型防塵ネット7の接着部拡大断面図である。図3に示すように、ネオプレンスポンジ1及びポリエステルシート2は、両面接着テープ4により互いに接着し合っている。また、電子機器筐体は、ネオプレンスポンジ1とポリエステルシート2の接着部分をネットの網目となる部分とし、ネオプレンスポンジ1とポリエステルシート2が貫通している網目部分において、ネオプレンスポンジ1とポリエステルシート2とが直接接着する構造となっている。これにより、サランネット3をネオプレンスポンジ1とポリエステルシート2で挟み込む形で接着することで、接着部が外気に露出せず粘着力を低下しにくくすることができる。
【0014】
図4は、本発明の新型防塵ネット7を電子機器筐体の筐体風孔部6に取り付ける様子を示した図である。図4に示すように、筐体風孔部6は、新型防塵ネット7を取り付ける側面の上端と下端にそれぞれ受け金具5を設け、新型防塵ネット7のネオプレンスポンジ1を挿入できるような構造となっている。新型防塵ネット7は、サランネット3のネオプレンスポンジ1及びポリエステルシート2に覆われていない部分は柔らかいため、折り曲げ可能となっている。この折り曲げ可能なサランネット3の部分を折り曲げることにより、新型防塵ネット7を筐体風孔部6の受け金具5内に挿入することができる。
【0015】
図5は、本発明の新型防塵ネット7を電子機器筐体の筐体風孔部6の受け金具5に挿入する様子を示した図であり、図6は、本発明の新型防塵ネット7を電子機器筐体の筐体風孔部6の受け金具5に挿入を完了した様子を示した図である。図5に示すように、受け金具5の挿入口の大きさは、新型防塵ネット7のネオプレンスポンジ1の幅よりも小さくなっている。これは、図6に示すように、受け金具5の挿入口よりも小さいネオプレンスポンジ1を押し込むことにより、ネオプレンスポンジ1に反発力が生まれ、新型防塵ネット7が受け金具5内に保持される状態とするためである。また、図5に示すように、新型防塵ネット7のネオプレンスポンジ1を筐体風孔部6の受け金具5に挿入する際には、サランネット3は柔軟性があり折り曲がった状態であるが、図6に示すように、受け金具5に挿入後は折り曲がることなく筐体風孔部6に固定される。このようにして筐体風孔部6の受け金具5に挿入した新型防塵ネット7のネオプレンスポンジ1を反発力で固定することにより、新型防塵ネット7の固定部であるネオプレンスポンジ1の摩擦による劣化を防止することができる。
【0016】
尚、ネットは、サランネットに限らず、防塵作用のある素材であればどのようなものでもよい。また、スポンジは、ネオプレンスポンジに限らず、接着材により防塵ネットに固定できる素材であればどのようなスポンジでも構わない。さらに、エステルシートは、ポリエステルシートに限らず、接着材により防塵ネットに固定できる素材であればどのようなエステルシートのものでも構わない。
【符号の説明】
【0017】
1:ネオプレンスポンジ、2:ポリエステルシート、3:サランネット、4:両面接着テープ、5:受け金具、6:筐体風孔部、7:新型防塵ネット、8:サランネット、9:両面接着テープ、10:従来防塵ネット、11:筐体風孔部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
防塵構造を有するネットと、該ネットを挟んで接着するスポンジ及びエステルシートと、を筐体風孔部に取り付けることを特徴とする電子機器筐体。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−151196(P2011−151196A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11124(P2010−11124)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】