説明

電子機器

【課題】電子機器の大型化を抑制しつつ、ヒンジ部を高頻度で回動動作させる場合から比較的低頻度で回動動作させる場合まで広範囲な使用状態においても、第1及び第2の部材間の電気的な接続を長期間にわたり確実に行うことができるようにする。
【解決手段】電子機器10の直線駆動部70は、螺旋部40cを巻回する方向に第2の部材30が第1の部材20に対して回動する際には、ハーネス40の両端部が相互に近づく方向であって回動軸線A方向に沿って第2の部材30を第1の部材20に対して直線移動させて、回動軸線A方向のハーネス40の螺旋部40cの長さを短縮し、螺旋部40cを巻回する方向とは逆方向に第2の部材30が第1の部材20に対して回動する際には、ハーネス40の両端部が相互に離れる方向であって回動軸線A方向に沿って第2の部材30を第1の部材20に対して直線移動させて、回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを伸長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、オーダーターミナル等の電子機器に関し、特に、ヒンジ部を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、オーダーターミナル等の電子機器として、例えば操作部と表示部との2つのユニットが折り畳み可能となっているものがある。このような折り畳みは、ヒンジ部によって操作部と表示部とを回動可能に結合することで実現されている。
【0003】
このヒンジ部内には、操作部と表示部とを接続するハーネスとして例えばフレキシブルプリント基板が通っている。ヒンジ部内のフレキシブルプリント基板は、操作部に対する表示部の回動による断線等の損傷を防止しその耐久性を向上させるために、その一部が螺旋状に巻かれており、これにより螺旋部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
フレキシブルプリント基板が螺旋状に巻かれているのは、操作部に対する表示部の回動によるフレキシブルプリント基板に発生する応力を減少するのに有効であるためで、十分に応力を緩和するには、螺旋の曲率半径を大きくすることや、巻き数を増やすことが有効である(例えば、特許文献2,3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フレキシブルプリント基板の耐久性を向上させるために、十分に応力を緩和しようとして螺旋部の曲率半径を大きくすると、フレキシブルプリント基板の螺旋部の螺旋径方向の寸法が大きくなってしまう。また、螺旋の巻き数を増やすと、フレキシブルプリント基板の螺旋部の軸方向の寸法が大きくなってしまう。このため、小型化、薄型化が強く求められる携帯端末や携帯電話機等においては、螺旋部の曲率半径を大きくすることや、巻き数を増やすということは採用し難い。
【0006】
また、フレキシブルプリント基板の耐久性向上のためには、操作部に対する表示部の回動動作中にフレキシブルプリント基板に発生する応力を小さくするだけでは不十分である。即ち、フレキシブルプリント基板にあっては、パターン配線が形成されているために、このパターン配線に不規則な捩れや曲がりなどの負荷が繰り返し加わると、パターン配線の破損が早まり耐久性が急速に劣化する。従って、不規則な捩れや曲がりなどの発生を低減できるように、その応力の変動を滑らかにし、且つ応力分布を均一に近づけることが重要である。
【0007】
また、フレキシブルプリント基板の耐久性向上のためには、電子機器の使用状態や非使用状態であってヒンジ部が回動動作をしていない状態においても、フレキシブルプリント基板に発生する応力を低減する必要がある。例えば、機器の非使用状態で折り畳まれた状態とされることが多い携帯端末や携帯電話機器等では、ヒンジ部の回動動作が頻繁でなくとも、フレキシブルプリント基板に常時負荷がかかり、クリープ疲労によりフレキシブルプリント基板のパターン配線を損傷する虞がある。
【0008】
さらに、ヒンジ部の回動動作時に、フレキシブルプリント基板の螺旋部の半径が変化したり、螺旋部の位置が変化して、フレキシブルプリント基板を収納しているヒンジ部の壁面とフレキシブルプリント基板との間に擦れが発生する場合がある。この擦れによってもフレキシブルプリント基板のパターン配線の破損が早まり耐久性が急速に劣化する。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子機器において、電子機器の大型化を抑制しつつ、ヒンジ部を高頻度で回動動作させる場合から比較的低頻度で回動動作させる場合まで広範囲な使用状態においても、第1及び第2の部材間の電気的な接続を長期間にわたり確実に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の電子機器は、第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材とを回動軸線回りに回動可能に連結したヒンジ部と、前記回動軸線方向に沿って延在し前記回動軸線回りに螺旋状に巻回され前記ヒンジ部に収納された伸縮可能な螺旋部を有し、一端部が前記第1の部材に固定され、他端部が前記第2の部材に固定され、前記第1の部材と前記第2の部材とを接続するハーネスと、前記螺旋部を巻回する方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際には、前記ハーネスの両端部が相互に近づく方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させて、前記回動軸線方向の前記螺旋部の長さを短縮し、前記螺旋部を巻回する方向とは逆方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際には、前記ハーネスの両端部が相互に離れる方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させて、前記回動軸線方向の前記螺旋部の長さを伸長する直線駆動部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる電子機器によれば、電子機器の大型化を抑制しつつ、ヒンジ部を高頻度で回動動作させる場合から比較的低頻度で回動動作させる場合まで広範囲な使用状態においても、第1及び第2の部材間の電気的な接続を長期間にわたり確実に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかる開状態の携帯端末を示す正面図である。
【図2】図2は、開状態の携帯端末を示す透過側面図である。
【図3】図3は、閉状態の携帯端末を示す正面図である。
【図4】図4は、閉状態の携帯端末を示す透過側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる電子機器の一実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる開状態の携帯端末を示す正面図、図2は、開状態の携帯端末を示す透過側面図、図3は、閉状態の携帯端末を示す正面図、図4は、閉状態の携帯端末を示す透過側面図である。本実施の形態は、電子機器としてオーダーターミナル等の折り畳み式の携帯端末への適用例である。
【0015】
本実施の形態の携帯端末10は、第1の部材としての操作部20と、第2の部材としての表示部30と、操作部20及び表示部30を回動軸線A回りに回動可能に連結したヒンジ部50と、操作部20と表示部30とを電気的に接続するハーネスであってフラットハーネスであるフレキシブルプリント基板40と、を備えている。
【0016】
操作部20は、第1の筐体21と、この第1の筐体21に収納された第1のプリント基板22と、この第1のプリント基板22に設けられた第1のコネクタ23と、キーボード(図示せず)と、を有している。第1のプリント基板22には、キーボードが接続されている。
【0017】
表示部30は、第2の筐体31と、この第2の筐体31に収納された第2のプリント基板32と、この第2のプリント基板32に設けられた第2のコネクタ33と、表示画面部と、を有している。第2のコネクタ33には、表示画面部が接続されている。
【0018】
フレキシブルプリント基板40は、その一端部が操作部20の第1のコネクタ23に接続されることで操作部20に固定され、その他端部が表示部30の第2のコネクタ33に接続されることで表示部30に固定されている。フレキシブルプリント基板40は、第1のプリント基板22と第2のプリント基板32とを電気的に接続する導体としての導体パターンを有する。導体パターンは、ポリイミド又はポリエステルからなるベースフィルム上に、銅箔又は銀ペーストなどによって形成された複数の信号線である。この導体パターンは、第1のコネクタ23及び第2のコネクタ33に接続されるタブを残して、ポリイミド又はポリエステルからなるカバーフィルムで被覆されて絶縁されている。
【0019】
このフレキシブルプリント基板40は、操作部20に位置する固定部40aと、表示部30に位置する移動部40bと、ヒンジ部50内に位置する螺旋部40cと、を有している。固定部40a及び移動部40bは、回動軸線Aに対して直角をなして延在している。螺旋部40cは、その展開形状がヒンジ部50の回動軸線Aに対して45度の角度をなす。
【0020】
螺旋部40cは、回動軸線A方向に沿って延在し回動軸線A回りに螺旋状に巻回されてヒンジ部50の収納部53bに収納されており、伸縮可能となっている。螺旋部40cは、携帯端末10の開状態では、図1に示すように、回動軸線Aを中心に略1巻き(略360度)巻回され、回動軸線A方向に沿って延在した状態となる。一方、携帯端末10の閉状態では、螺旋部40cは、略540度巻回された状態となる。ここで、本実施の形態では、螺旋部40cを巻回する方向は、操作部20に対する表示部30の閉じ方向への回動方向と同じである。
【0021】
ヒンジ部50は、操作部20の第1の筐体21に一体に形成された一対のアーム部材51,52と、これらのアーム部材51,52に固定された第1及び第2の支持軸54,55と、表示部30の第2の筐体31に一体に形成されるとともに支持軸54,55に支持された円筒部材53と、を有している。
【0022】
一対のアーム部材51,52は、第1の筐体21の一辺部に相互に離間して対向配置されている。各アーム部材51,52は、円筒状に形成されている。そして、一方のアーム部材51の筒孔に第1の支持軸54が挿入固定され、他方のアーム部材52の筒孔に第2の支持軸55が挿入固定されている。これらのアーム部材51,52の筒軸心は、回動軸線Aと同軸である。
【0023】
第1及び第2の支持軸54,55は、円柱状に形成されている。これにより、第1及び第2の支持軸54,55の外周面は、円筒面54b,55bを形成している。第1及び第2の支持軸54,55の軸心は、回動軸線Aと同軸である。
【0024】
円筒部材53は、表示部30の第2の筐体31の一辺部から第1及び第2のアーム部材51,52間に延出している。この円筒部材53の両端部の内周面には一対の円筒摺動面53aが形成されており、これらの一対の円筒摺動面53aは、第1及び第2の支持軸54,55に摺動可能に外挿されている。この円筒摺動面53aの筒軸心は、回動軸線Aと同軸である。回動軸線A方向での円筒部材53の長さは、第1及び第2のアーム部材51,52間の距離よりも短く設定されている。そして、この円筒部材53は、第1及び第2の支持軸54,55によって、回動軸線A回りに回転可能に支持されているとともに、回動軸線Aへの直線移動可能に支持されている。かかる構成によって、ヒンジ部50は、表示部30を操作部20に対して、回動軸線A回りに回転可能に支持しているとともに、回動軸線Aへの直線移動可能に支持している。ここで、第1及び第2の支持軸54,55及び円筒部材53は、操作部20と表示部30とを回動軸線A回りに回動可能に連結するとともに表示部30に対して操作部20を回動軸線A方向に沿って移動可能に連結する支持部59を構成している。
【0025】
また、円筒部材53には、一対の円筒摺動面53aの間に位置する筒状の収納部53bが形成されており、この収納部53b内にフレキシブルプリント基板40の螺旋部40cが収納されている。収納部53bには、フレキシブルプリント基板40が挿入された一対の開口部53c,53dが形成されており、これらの開口部53c,53dを介してフレキシブルプリント基板40が収納部53bを貫通している。
【0026】
また、ヒンジ部50には、操作部20に対する表示部30の回動に連動して表示部30を回動軸線Aに沿って直線移動させる直線駆動部70が設けられている。以下、直線駆動部70を詳細に説明する。
【0027】
第1及び第2の支持軸54,55の相互に対向する先端部には、第1及び第2のカム斜面54a,55aが形成されている一方、円筒部材53には、第1及び第2のカム斜面54a,55aを受ける第1及び第2のカム受け部材56,57が配設されている。
【0028】
第1及び第2のカム斜面54a,55aは、回動軸線Aに対して傾斜して形成されている。第1のカム斜面54aと第2のカム斜面55aとは、回動軸線Aに直交する仮想平面で面対称に形成されている。
【0029】
第1及び第2のカム受け部材56,57は、円筒部材53に固定されており、円筒部材53と一体となって移動する。第1及び第2のカム受け部材56,57には、第1及び第2のカム受け斜面56a,57aが形成されている。
【0030】
第1のカム受け斜面56aは、第1のカム斜面54aに回動軸線A方向で対向しており、第1のカム斜面54aに当接可能となっている。一方、第2のカム受け斜面57aは、第2のカム斜面55aに回動軸線A方向で対向しており、第2のカム斜面55aに当接可能となっている。第1のカム受け斜面56aと第2のカム受け斜面57aとは、回動軸線Aに直交する仮想平面で面対称に形成されている。そして、表示部30が操作部20に対して開いた状態(図1)では、第1のカム受け斜面56aは、第1のカム斜面54aと平行をなす位置に位置し、第2のカム受け斜面57aは、回動軸線Aに直交する仮想平面で第2のカム斜面55aと面対称をなす位置に位置する。なお、第1のカム受け斜面56aと第1のカム斜面54aとの間、及び第2のカム受け斜面57aと第2のカム斜面55aとの間には、それぞれ所定の隙間(図示せず)が形成される。ここで、第1の支持軸54と第1のカム受け部材56とは、第1のカム機構60を構成し、第2の支持軸55と第2のカム受け部材57とは、第2のカム機構61を構成しており、これらの第1のカム機構60と第2のカム機構61とによって直線駆動部70が構成されている。したがって、第1の支持軸54及び第2の支持軸55とを有する支持部59は、ヒンジ部50と直線駆動部70の一部とを兼ねている。
【0031】
この直線駆動部70では、表示部30が操作部20に対して開いた状態(図1,図2)から閉じられると、即ち、フレキシブルプリント基板40の螺旋部40cを巻回する方向(図2中の矢印B方向)に沿って表示部30が操作部20に対して回動すると、回動軸線A回りに回動する第1のカム受け斜面56aを、第1のカム斜面54aが押圧する。これにより、第1のカム受け部材56が、円筒部材53及び表示部30を、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に近づく方向であって回動軸線A方向に沿った方向(図1中の矢印C方向)に直線移動させる。したがって、表示部30の回動と表示部30の直線移動とが同時に行われる。この表示部30の直線移動によって、回動軸線A方向の螺旋部40cの長さが、表示部30が開いた状態(表示部30の回動前)のときと比べて、短縮する(図3の状態)。このように、第1のカム機構60は、螺旋部40cを巻回する方向に表示部30が操作部20に対して回動する際には、この回動に連動して、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に近づく方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させて、回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを短縮する。
【0032】
一方、閉じ状態(図3,図4)から、表示部30が操作部20に対して開かれると、即ち、フレキシブルプリント基板40の螺旋部40cを巻回する方向とは逆方向(図4中の矢印D方向)に表示部30が操作部20に対して回動すると、この回動に連動して、回動軸線A回りに回動する第2のカム受け斜面57aを第2のカム斜面55aが押圧する。これにより、第2のカム受け部材57が、円筒部材53及び表示部30を、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に離れる方向であって回動軸線A方向(図3中の矢印E方向)に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させる。したがって、表示部30の回動と表示部30の直線移動とが同時に行われる。この表示部30の直線移動によって、回動軸線A方向の螺旋部40cの長さが、表示部30が閉じた状態(表示部30の回動前)のときと比べて、伸長する(図1の状態)。このように、第2のカム機構61は、螺旋部40cを巻回する方向とは逆方向に表示部30が操作部20に対して回動する際には、この回動に連動して、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に離れる方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させて、回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを伸長する。
【0033】
ここで、本実施の形態では、例えば、支持軸54,55の直径は、8mm、回動軸線Aに直交する仮想平面に対する第1及び第2のカム面の角度は、26.6度としてある。これにより、回動軸線Aでの第1及び第2のカム受け部材56,57の180度の回転で、カム受け部材56,57、円筒部材53及び表示部30が回動軸線Aに2mm移動する。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態では、螺旋部40cを巻回する方向(操作部20に対する表示部30の閉じ方向)に表示部30が操作部20に対して回動する際には、直線駆動部70が、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に近づく方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させて回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを短縮する。これにより、螺旋部40cは、回動軸線A方向での螺旋部40cの長さを短縮する方向の力を受けるので、表示部30の回動による螺旋半径方向への螺旋部40cの圧縮が相殺されて、螺旋半径方向での螺旋部40cの圧縮が緩和される。一方、螺旋部40cを巻回する方向とは逆方向(操作部20に対する表示部30の開き方向)に表示部30が操作部20に対して回動する際には、直線駆動部70が、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に離れる方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させて回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを伸長する。これにより、螺旋部40cは回動軸線Aでの螺旋部40cの長さを伸長する方向の力を受けるので、表示部30の回動による螺旋半径方向での螺旋部40cの拡張が相殺されて、螺旋半径方向での螺旋部40cの拡張が緩和される。したがって、螺旋部40cの螺旋半径の変化、及び回動軸線Aからの螺旋部40cの外周位置の変化を低減することができる。これにより、ヒンジ部50を高頻度で回動動作させる場合から比較的低頻度で回動動作させる場合まで広範囲な使用状態においても、フレキシブルプリント基板40による操作部20と表示部30との間の電気的な接続を長期間にわたり確実に行うことができる。これにより、本実施の形態では、フレキシブルプリント基板40による操作部20と表示部30との間の電気的な接続を長期間にわたり確実に行うために、螺旋部40cの螺旋の曲率半径を大きくすることや巻き数を増やす必要がないので、フレキシブルプリント基板40の長大化を抑制することができ、よって、携帯端末10が増大化するのを抑制することができる。
【0035】
なお、表示部が直線移動せずに回動するだけの従来の場合には、螺旋部の回動軸線方向の延在長さは一定であるため、回動軸線からの螺旋部の外周までの距離(螺旋半径)は開状態に対して縮み、螺旋部は螺旋半径方向に圧縮されてしまう。このとき、フレキシブルプリント基板には大きな応力が発生し、フレキシブルプリント基板の導体パターンに損傷を与え、導体パターンの耐久性が損なわれ、寿命が短縮してしまう虞がある。
【0036】
また、本実施の形態では、ヒンジ部50の支持部59は、操作部20と表示部30とを回動軸線A回りに回動可能に連結するとともに操作部20に対して表示部30を回動軸線A方向に沿って直線移動可能に連結し、直線駆動部70の一部を兼ねる。したがって、ヒンジ部50と直線駆動部70とが別体で有る場合に比べて、携帯端末10が大型化するのを抑制することができる。
【0037】
また、本実施の形態では、直線駆動部70は、表示部30の回動軸線A回りでの操作部20に対する回動に連動して回動軸線A方向に沿って操作部20を直線移動させるカム機構を有する。そして、直線駆動部70は、そのカム機構として、螺旋部40cを巻回する方向に表示部30が操作部20に対して回動する際に、当該回動に連動して、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に近づく方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させる第1のカム機構60と、螺旋部40cを巻回する方向とは逆方向に表示部30が操作部20に対して回動する際に、当該回動に連動して、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に離れる方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させる第2のカム機構61と、を有する。したがって、モータなどの駆動源を特段に設けることなく、回動軸線A方向に沿って表示部30を直線往復移動させることができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、カム機構ではなく電動アクチュエータによって直線駆動部を構成してもよい。
【0039】
また、螺旋部40cを巻回する方向を、操作部20に対する表示部30の閉じ方向への回動方向と同じではなく、操作部20に対する表示部30の開き方向への回動方向と同じとしても良い。この場合には、操作部20に対して表示部30が開き方向へ回動する際に、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に近づく方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させて回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを短縮し、操作部20に対して表示部30が閉じ方向へ回動する際に、フレキシブルプリント基板40の両端部が相互に離れる方向であって回動軸線A方向に沿って表示部30を操作部20に対して直線移動させて回動軸線A方向の螺旋部40cの長さを伸長する直線駆動部を設ければ良い。このときには、例えば、表示部30が操作部20に対して開いた状態で、第1のカム受け斜面56aと第1のカム斜面54aとを回動軸線Aに直交する仮想平面で面対称をなす位置に位置付け、第2のカム受け斜面57aと第2のカム斜面55aとを相互に平行をなす位置に位置付ければ良い。
【符号の説明】
【0040】
10…携帯端末(電子機器)
20…操作部(第1の部材)
30…表示部(第2の部材)
40…フレキシブルプリント基板(ハーネス)
50…ヒンジ部
59…支持部
60…第1のカム機構(カム機構)
61…第2のカム機構(カム機構)
70…直線駆動部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0041】
【特許文献1】特開平1−89845号公報
【特許文献2】特開2002−300247公報
【特許文献3】特開2003−37375公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材と、
第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材とを回動軸線回りに回動可能に連結したヒンジ部と、
前記回動軸線方向に沿って延在し前記回動軸線回りに螺旋状に巻回され前記ヒンジ部に収納された伸縮可能な螺旋部を有し、一端部が前記第1の部材に固定され、他端部が前記第2の部材に固定され、前記第1の部材と前記第2の部材とを接続するハーネスと、
前記螺旋部を巻回する方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際には、前記ハーネスの両端部が相互に近づく方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させて、前記回動軸線方向の前記螺旋部の長さを短縮し、前記螺旋部を巻回する方向とは逆方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際には、前記ハーネスの両端部が相互に離れる方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させて、前記回動軸線方向の前記螺旋部の長さを伸長する直線駆動部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ヒンジ部に設けられ、前記第1の部材と前記第2の部材とを前記回動軸線回りに回動可能に連結するとともに前記第1の部材に対して前記第2の部材を前記回動軸線方向に沿って直線移動可能に連結し、前記直線駆動部の一部を兼ねる支持部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記直線駆動部は、前記螺旋部を巻回する方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際には、当該回動と同時に、前記ハーネスの両端部が相互に近づく方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させて、前記回動軸線方向の前記螺旋部の長さを短縮し、前記螺旋部を巻回する方向とは逆方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際には、当該回動と同時に、前記ハーネスの両端部が相互に離れる方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させて、前記回動軸線方向の前記螺旋部の長さを伸長することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記直線駆動部は、前記第2の部材の前記回動軸線回りでの前記第1の部材に対する回動に連動して前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を直線移動させるカム機構を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記直線駆動部は、前記カム機構として、前記螺旋部を巻回する方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際に、当該回動に連動して、前記ハーネスの両端部が相互に近づく方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させる第1のカム機構と、前記螺旋部を巻回する方向とは逆方向に前記第2の部材が前記第1の部材に対して回動する際に、当該回動に連動して、前記ハーネスの両端部が相互に離れる方向であって前記回動軸線方向に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して直線移動させる第2のカム機構と、を有することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記ハーネスは、フレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−55365(P2011−55365A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204029(P2009−204029)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】