説明

電子機器

【課題】樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体に対して付属装置の配置の自由度を向上させることができ、筐体の表面上に付属装置を取り付ける際の利便性を向上させることができる電子機器を提供する。
【解決手段】プロジェクタ1は、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体2を備え、筐体2の外部にリモコン信号受光装置3が設けられる。筐体2は、電子部品を収納するための内部空間と、リモコン信号受光装置3が設けられる外部空間S2とを区切り、筐体2の内部空間には、リモコン信号受光装置3に磁気的な引力を作用させるための強磁性体からなる強磁性体部材が設けられている。そして、内部空間に設けられた強磁性体部材により、外部空間S2におけるリモコン信号受光装置3が筐体2に向けて引き寄せられ、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体を備え、この筐体の外部に付属装置が設けられる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像表示装置等の電子機器は、電子部品等を収納する筐体を備えており、このような筐体としては、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体が一般的に知られている。例えば、何らかの理由で機器内部への浸水等の不慮の事態が生じ、絶縁が一時的あるいは部分的に不完全となった場合においても、筐体が電気的絶縁性を有していれば、筐体が電気的伝導性を有する場合に比べて、電子機器の操作者が感電する可能性を低減できる等の効果が得られる。
【0003】
ところで、例えば、遠隔操作機器から赤外線として送信されたリモコン信号を受光するリモコン信号受光装置を、付属装置(オプションユニット)として筐体の外部に設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、リモコン信号を受信する部分としてフォトダイオード等からなるリモコン受光部を備えた表示装置が記載されており、リモコン受光部は、筐体の外部に設けられるレンズカバーに設けられている。従って、特許文献1に記載されるレンズカバーは上述のリモコン信号受光装置として機能し、筐体に対してレンズカバーが設けられる箇所を変更することにより、リモコン信号を受光可能なリモコン受光部の方向を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−256945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるレンズカバーは、筐体に対して設けることができる箇所が限られてしまう。即ち、特許文献1に記載されるリモコン受光部付きレンズカバーは、表示装置の本体側のコネクターとレンズカバーのコネクターとが構造的・電気的に連結する箇所のみに設けられる。このため、筐体に対して付属装置の配置の自由度が低いという問題がある。
【0007】
付属装置の配置の自由度を向上させるために、電子機器本体のコネクターと付属装置のコネクターとを直接接続せずに、ケーブルを介して電子機器本体と付属装置とを接続することが考えられる。しかし、筐体の表面上に付属装置を設けるためには、その表面上に付属装置を取り付けるための手段が必要となり、例えば、付属装置を支持する突起等の支持構造を筐体に設けた場合には、その支持構造と付属装置とを係合させる必要があるため、筐体の表面上に付属装置を取り付ける際の利便性が優れないという問題がある。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体に対して付属装置の配置の自由度を向上させることができ、筐体の表面上に付属装置を取り付ける際の利便性を向上させることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体を備え、この筐体の外部に付属装置が設けられる電子機器であって、筐体は、電子部品を収納するための内部空間と、付属装置が設けられる外部空間とを区切り、筐体の内部空間には、例えば永久磁石等の直流磁界の発生源を備えた付属装置に、磁気的な引力を作用させるための強磁性体からなる強磁性体部材が設けられ、上記内部空間に設けられた強磁性体部材により、外部空間における付属装置が筐体に向けて引き寄せられ、筐体の表面上に付属装置が設けられることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、筐体の内部空間には、例えば永久磁石等の直流磁界の発生源を備えた付属装置に、磁気的な引力を作用させるための強磁性体からなる強磁性体部材が設けられており、筐体の内部空間に設けられた強磁性体部材により、外部空間における付属装置が筐体に向けて引き寄せられ、筐体の表面上に付属装置が設けられる。即ち、電子機器が備える筐体内の強磁性体部材と、例えば永久磁石等の直流磁界の発生源を備えた付属装置との間に磁気的な引力が作用して、筐体の表面上に付属装置が取り付けられる。このため、上記強磁性体部材により付属装置を筐体に向けて引き寄せる磁力が作用するのであれば、筐体の所望の位置に付属装置を設けることができる。従って、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体に対して付属装置の配置の自由度を向上させることができる。また、上述のごとく、筐体の内部空間に設けられた強磁性体部材により、外部空間における永久磁石等を備えた付属装置が筐体に向けて引き寄せられ、筐体の表面上に付属装置が設けられる。このため、筐体の表面上に付属装置を取り付けるための手段として、付属装置を支持する突起等の支持構造を設ける必要がなく、筐体の表面上に付属装置を容易に取り付けることができる。従って、筐体の表面上に付属装置を取り付ける際の利便性を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子機器であって、筐体の内部空間において、強磁性体部材の全体が筐体により覆われていることを特徴とする。
上記構成によれば、強磁性体部材の全体が電子機器の筐体により覆われているため、強磁性体部材の一部が電子機器の筐体によって覆われていない場合に比べて、電子機器の操作者が感電することを抑制することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電子機器であって、強磁性体部材の全体が、上記内部空間において筐体により覆われることによって、内部空間に設けられた強磁性体部材が、筐体の外部空間から見て露出せずに設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、強磁性体部材の全体が、筐体の内部空間において筐体により覆われることによって、内部空間に設けられた強磁性体部材が、筐体の外部空間に向けて露出せずに設けられている。即ち、筐体の外部から強磁性体部材を視認することができないように強磁性体部材が設けられている。このため、電子機器の操作者が感電することを確実に抑制することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子機器であって、筐体の内部空間に収納された電子部品を備え、電子部品と筐体との間の空間を区切るように強磁性体部材が設けられていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、電子部品と電子機器の筐体との間の空間を区切るように強磁性体部材が設けられているため、強磁性体部材によって、電子機器の電磁的な不干渉性及び耐性を向上させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電子機器であって、上記内部空間において電子部品が強磁性体部材に収納されることによって、電子部品と筐体との間の空間が区切られていることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、筐体の内部空間において電子部品が強磁性体部材に収納されることによって、電子部品と筐体との間の空間が区切られているため、強磁性体部材によって、電子機器の電磁的な不干渉性及び耐性を確実に向上させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電子機器であって、筐体の内部空間に収納された電源部を備え、電源部と筐体との間の空間を区切るように強磁性体部材が設けられていることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、電源部と電子機器の筐体との間の空間を区切るように強磁性体部材が設けられているため、強磁性体部材によって、電源部についての防火対策の信頼性を向上させることができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電子機器であって、上記内部空間において電源部が強磁性体部材に収納されることによって、電源部と筐体との間の空間が区切られていることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、筐体の内部空間において電源部が強磁性体部材に収納されることによって、電源部と筐体との間の空間が区切られているため、強磁性体部材によって、電源部についての防火対策の信頼性をより向上させることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子機器であって、電子部品が設けられている配線板が、強磁性体部材により支持されていることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、電子部品が設けられている配線板が、強磁性体部材により支持されているため、付属装置を電子機器の筐体に向けて引き寄せる構成としての強磁性体部材を、配線板の支持手段とすることができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電子機器であって、筐体の外部に設けられる付属装置は、筐体の内部空間に設けられた強磁性体部材に対して磁気的な引力を発生させるための磁石を備えていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、電子機器の筐体の外部に設けられる付属装置は、電子機器の筐体の内部空間に設けられた強磁性体部材に対して磁気的な引力を発生させるための磁石を備えているため、筐体の強磁性体部材と付属装置の磁石との一対が、筐体の表面上に付属装置を取り付けるための取付手段として構成される。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の電子機器であって、付属装置は上記磁石として永久磁石を備えていることを特徴とする。
上記構成によれば、付属装置は筐体に向けて引き寄せられる磁気的な引力を発生させるための磁石として永久磁石を備えているため、付属装置が上記磁石として電磁石を備える場合に比べて、筐体に向けて引き寄せられる磁力を容易に発生させることができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の電子機器であって、付属装置は、該付属装置の内部空間と外部空間とを区切る筐体を備え、永久磁石は、付属装置の外部空間において該付属装置の筐体に設けられていることを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、永久磁石は、付属装置の外部空間においてこの付属装置の筐体に設けられている。このため、永久磁石が付属装置の内部空間に設けられている場合に比べて、電子機器の内部空間に設けた強磁性体部材に対する距離が短くなる。ここで、永久磁石と強磁性体部材との間に働く磁気的な引力の大きさは、両者間の距離が短いほど大きくなることが一般的に知られている。このため、永久磁石から強磁性体部材に対して磁界が印加されることによって発生する磁気的な引力を強くすることができる。その結果、付属装置が電子機器の筐体に向けて引き寄せられる磁力を強くすることができる。
【0029】
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の電子機器であって、付属装置は、該付属装置の内部空間と外部空間とを区切る筐体を備え、永久磁石は、付属装置の内部空間に設けられていることを特徴とする。
【0030】
上記構成によれば、永久磁石は、付属装置の内部空間に設けられている。即ち、付属装置の筐体に永久磁石が収納されている。このため、付属装置の筐体により永久磁石が保護される。
【0031】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の電子機器であって、付属装置の筐体は、非磁気遮蔽材料からなることを特徴とする。
上記構成によれば、付属装置の筐体は、非磁気遮蔽材料、即ち磁気を遮蔽しない材料からなるため、付属装置の筐体が磁気遮蔽材料からなる場合に比べて、付属装置の内部空間に設けられた永久磁石から発生する磁界が付属装置の筐体によって遮蔽されない。即ち、電子機器の筐体の内部空間に設けられた強磁性体部材との間の磁気的な引力が付属装置の筐体の材質によって減衰しない。よって、付属装置の内部空間に設けられた永久磁石と、電子機器の筐体の内部空間に設けられた強磁性体部材との間に発生する磁気的な引力を弱めないようにすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体に対して付属装置の配置の自由度を向上させることができ、筐体の表面上に付属装置を取り付ける際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図。
【図2】同実施形態に係る電子機器の外観を示す斜視図。
【図3】同実施形態に係る電子機器の内部構造を示す断面図であって、(a)図1のA−A断面図、(b)図1のB−B断面図。
【図4】同実施形態に係る電子機器の構成を示す分解斜視図。
【図5】(a)同実施形態に係る付属装置を示す斜視図、(b)同実施形態に係る付属装置の内部構造を示す断面図。
【図6】(a)(b)同実施形態に係る電子機器の筐体に付属装置が設けられた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図は、電子機器を説明する上で必要な構成のみを図示した模式図であり、その他の構成については図示及び説明を省略している。
【0035】
また、電子機器は、机等の水平な面の上に設置される場合に限られず、室内における壁や天井に設置される場合があり、以下の説明においては、電子機器が設置される設置面側の方向を、上下方向における下方とする。即ち、下記実施形態において、上下方向は鉛直方向に限られない。なお、下記実施形態において、上下方向及び前後方向及び側方は互いに直行する方向である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態に係る電子機器は、光を投射することにより映像を投写して表示するプロジェクタ1である。本実施形態においては、投写型映像表示装置であるプロジェクタ1は、前方に映像を投写するフロントプロジェクタである。
【0037】
プロジェクタ1は、映像を投写するための光学部品として、投射レンズ11、光源(不図示)、液晶パネル(不図示)等を備えている。投射レンズ11は、筐体2の前側端部から筐体2の前方へ向けて映像の光を拡大投射する光学部品である。投射レンズ11により映像の光が投射されることによって、スクリーンや壁等(いずれも不図示)の平面上に映像が表示される。
【0038】
また、電子機器であるプロジェクタ1は、電子部品5(図3参照)と、電子部品5等の半導体素子が設けられるプリント配線板である配線板51(図3参照)とを備えている。電子部品5は、例えば、映像信号を処理する半導体素子や、液晶パネルを駆動する半導体素子等である。
【0039】
そして、プロジェクタ1は、映像を投写するための上記の光学部品及び電子部品5を収納する筐体2を備えている。筐体2とこの筐体2に収納された部品によりプロジェクタ本体1aが構成されている。以下、プロジェクタ本体1aを構成する筐体2について詳しく説明する。
【0040】
図1及び図2に示すように、略直方体状の筐体2は、前方を向く前面21と、側方を向く側面22a,22bと、前方に対して反対側の方向である後方を向く後面23と、下方に対して反対側の方向である上方を向く上面24とを有している。前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24は、筐体2の外部に露出する表面である。
【0041】
前面21及び側面22a,22b及び後面23は、上面24に対して略直角に屈曲した状態で上面24に連続して設けられている。従って、前面21及び側面22a,22b及び後面23は上面24から下方に向けて延びるように設けられている。
【0042】
また、筐体2は、電子部品や光学部品等を収納するための内部空間S1(図3参照)と、リモコン信号受光装置3が設けられる外部空間S2とを区切り、本実施形態においては、内部空間S1と外部空間S2とを区切る筐体2は、下側筐体2aと上側筐体2bとによって構成されている。下側筐体2aと上側筐体2bとは、図示しないビスによって固定される。
【0043】
内部空間S1を有する筐体2の内部構造を、図3(a)及び(b)に断面図として示す。図3(a)は、図1のA−A部分の断面図であって、図3(b)は、図1のB−B部分の断面図である。また、下側筐体2aと上側筐体2bとによって構成される筐体2を分解した状態を、図4に斜視図として示す。
【0044】
図3(a)及び(b)に示すように、下側筐体2aは、平板状の下壁部25と、下壁部25の側方端部及び前後方向端部において設けられるとともに、下壁部25に対して略直角に屈曲した態様で連続する平板状の4つの側壁部26とを有している。4つの側壁部26は、下壁部25から上方へ延びるように設けられている。これら4つの側壁部26により、上下方向から見て四角形状の四角枠が形成されている。
【0045】
上側筐体2bは、下側筐体2aと同様に、平板状の上壁部27と、上壁部27の側方端部及び前後方向端部において設けられるとともに、上壁部27に対して略直角に屈曲した態様で連続する平板状の4つの側壁部28とを有している。4つの側壁部28は、上壁部27から下方へ延びるように設けられている。これら4つの側壁部28により、上下方向から見て四角形状の四角枠が形成されている。
【0046】
上側筐体2bの側壁部28は、下側筐体2aの側壁部26を覆うように構成されている。即ち、図3及び図4に示すように、側壁部28により形成される四角枠内に、四角枠を形成する4つの側壁部26が収まるように構成されている。
【0047】
従って、本実施形態においては、内部空間S1と外部空間S2とを区切る筐体2は、下壁部25及び上壁部27によって上下方向において内部空間S1と外部空間S2とを区切り、側壁部26,28によって上下方向に直交する方向において内部空間S1と外部空間S2とを区切るように構成されている。
【0048】
また、本実施形態においては、上壁部27の前方端部に設けられた側壁部28の表面により、前面21が構成され、上壁部27の側方端部に設けられた2つの側壁部28の表面により、側面22a,22bが構成され、上壁部27の後方端部に設けられた側壁部28の表面により、前面21が構成されている。なお、上面24は上壁部27の表面により構成されている。
【0049】
また、筐体2には、開口部が適宜設けられている。例えば、図1に示すように、筐体2の前面21を形成する側壁部26,28には、投射レンズ11から映像の光を投射するための開口部29が設けられている。この開口部29以外にも、筐体2には、プロジェクタ1の操作者によって操作されるボタン等が設けられるための開口部(不図示)、吸気口や排気口を構成する開口部(不図示)、筐体2に収納された電子部品に対して映像信号を入力する端子が設けられるための開口部(不図示)等が設けられている。
【0050】
なお、筐体2の内部空間S1と外部空間S2との境界は筐体2自体が境界を構成するが、筐体2に開口部が設けられた場合のその開口部における内部空間S1と外部空間S2との境界は、開口部を平面により塞いだ場合におけるその平面を境界とする。
【0051】
以上のように構成された筐体2は、樹脂により形成されており、電気的絶縁性を有している。即ち、下側筐体2a及び上側筐体2bは、例えば、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)等の樹脂材料からなる。
【0052】
このような樹脂により形成された電気的絶縁性を有する下側筐体2a及び上側筐体2bによれば、下側筐体2a及び上側筐体2bが電気的伝導性を有する場合に比べて、プロジェクタ1の操作者が感電する可能性を低減できる等の効果が得られる。
【0053】
なお、環境負荷を低減する観点から、筐体2にはめっきが施されていないことが好ましい。即ち、筐体2にめっきを施すことにより、プロジェクタ1の電磁的な不干渉性及び耐性を向上させることができるが、環境負荷を低減する観点から、下側筐体2a及び上側筐体2bには、めっきが施されていないことが好ましい。
【0054】
また、プロジェクタ1は、プロジェクタ本体1aと別体として設けられるリモコン信号受光装置3を備えている。リモコン信号受光装置3は、遠隔操作機器(不図示)から赤外線として送信されたリモコン信号を受光する付属装置である。
【0055】
図5(a)に示すように、リモコン信号受光装置3は、リモコン信号受光装置3の内部空間S3(図5(b)参照)と外部空間S4とを区切る筐体31と、筐体31に収納された受光部32と、プロジェクタ本体1aとリモコン信号受光装置3とを接続するためのケーブル33と、プロジェクタ本体1aに接続されるコネクター34(図6(b)参照)とを備えている。
【0056】
筐体31の内部空間S3を示す筐体31の構造図を、図5(b)に断面図として示す。図5(b)は、図5(a)のC−C部分の断面図である。
図5(b)に示すように、筐体31は、受光部32を収納するケース31aと、ケース31a内の空間を覆うカバー31bとにより構成されている。
【0057】
筐体31は、例えば、非磁気遮蔽材料により形成されている。即ち、ケース31a及びカバー31bは、筐体2と同様に、例えば、PC(ポリカーボネート)やABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)等の樹脂材料であって、磁気を遮蔽しない材料からなる。
【0058】
受光部32は、赤外線を受光する受光素子である。筐体2に対してリモコン信号受光装置3が設けられる箇所を変更して、リモコン信号を受光可能な受光部32の方向を変化させることができる。
【0059】
本実施形態においては、ケーブル33及びコネクター34を介して、リモコン信号受光装置3とプロジェクタ本体1aが接続されており、受光部32で赤外線を受光することにより受信したリモコン信号を、有線(即ち、ケーブル33)によって電気信号としてプロジェクタ本体1aへ送信する構成となっている。リモコン信号受光装置3からプロジェクタ本体1aへ送信されるリモコン信号は、プロジェクタ本体1aを構成する電子部品に入力され、プロジェクタ1は、遠隔から送信されたリモコン信号に基づき動作することが可能である。
【0060】
また、図5(b)に示すように、リモコン信号受光装置3は永久磁石6を備えている。本実施形態においては、永久磁石6はリモコン信号受光装置3の内部空間S3に設けられている。即ち、リモコン信号受光装置3に永久磁石6が内蔵されている。永久磁石6は、図5(b)の磁力線Xで示すように磁界を発生させる。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るプロジェクタ1は、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体2を備えており、この筐体2の外部にリモコン信号受光装置3が設けられる構成となっている。
【0062】
ここで、本実施形態においては、筐体2の内部空間S1に、リモコン信号受光装置3に磁気的な引力を作用させるための強磁性体部材4が設けられている。即ち、筐体2の内部空間S1に、永久磁石6によって外部空間S2から印加される磁界を作用させるための強磁性体部材4が設けられている。この強磁性体部材4に外部空間S2から永久磁石6によって磁界が印加されると、強磁性体部材4と永久磁石6との間に磁気的な引力が生じる。その結果、外部空間S2におけるリモコン信号受光装置3が筐体2に向けて引き寄せられ、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3が設けられることに特徴がある。強磁性体部材4と筐体2は図示しないビスによって固定されている。以下、本実施形態に係る強磁性体部材4の具体的構成について説明する。
【0063】
本実施形態においては、強磁性体部材4は、下側強磁性体部材4aと上側強磁性体部材4bとによって構成されている。下側強磁性体部材4aと上側強磁性体部材4bとは、図示しないビスによって固定される。これら下側強磁性体部材4a及び上側強磁性体部材4bによって、筐体2の内部空間S1において筐体2の表面(即ち、内面)を覆うように構成されている。
【0064】
強磁性体部材4は、強磁性体により形成されている。即ち、下側強磁性体部材4a及び上側強磁性体部材4bは、鉄等の強磁性体材料からなる。なお、強磁性体部材4を形成する強磁性体材料としては、製造コスト及び入手容易性及び加工容易性の観点から、鉄にスズをめっきしたブリキや、ステンレス等を好適に用いることができる。
【0065】
図3(a)及び(b)に示すように、下側強磁性体部材4aは、平板状の下壁部41と、下壁部41の側方端部及び前後方向端部において設けられるとともに、下壁部41に対して略直角に屈曲した態様で連続する平板状の4つの側壁部42とを有している。4つの側壁部42は、下壁部41から上方へ延びるように設けられている。これら4つの側壁部42により、上下方向から見て四角形状の四角枠が形成されている。
【0066】
上側強磁性体部材4bは、下側強磁性体部材4aと同様に、平板状の上壁部44と、上壁部44の側方端部及び前後方向端部において設けられるとともに、上壁部44に対して略直角に屈曲した態様で連続する平板状の4つの側壁部45とを有している。4つの側壁部45は、上壁部44から下方へ延びるように設けられている。これら4つの側壁部45により、上下方向から見て四角形状の四角枠が形成されている。
【0067】
上側強磁性体部材4bの側壁部45は、下側強磁性体部材4aの側壁部42の上側端部を覆うように構成されている。即ち、側壁部45が側方及び前後方向から側壁部42を覆うことにより、側方及び前後方向において、下側強磁性体部材4aに対する上側強磁性体部材4bの移動が規制される構成となっている。
【0068】
本実施形態においては、下側強磁性体部材4a及び上側強磁性体部材4bにより構成される強磁性体部材4は箱体として構成されている。即ち、強磁性体部材4は、電子部品及び光学部品を収納する空間S5を有しており、本実施形態においては、この空間S5は下壁部41及び側壁部42及び上壁部44によって形成されている。
【0069】
なお、強磁性体部材4には、筐体2と同様に、開口部が適宜設けられている。例えば、図3(b)に示すように、側壁部42には、投射レンズ11を設けるための開口部46が設けられている。この開口部46以外にも、強磁性体部材4には、電子部品5とコネクター34とを接続するための開口部(不図示)等が設けられている。
【0070】
そして、筐体2の内部空間S1に設けられた強磁性体部材4と、リモコン信号受光装置3に設けられた永久磁石6とが一対となって、磁気的固定手段が構成される。強磁性体部材4と永久磁石6とが磁気的固定手段を構成するためには、永久磁石6が発生する磁界により、強磁性体部材4と永久磁石6を備えるリモコン信号受光装置3とに、互いに引き合う磁気的な引力(即ち、引き合う磁力)が発生すればよい。
【0071】
このような磁気的固定手段によって、互いに引き合う磁力が発生する強磁性体部材4とリモコン信号受光装置3との間に、筐体2が挟まれて、重力程度の力がリモコン信号受光装置3に作用してもリモコン信号受光装置3が動かないように、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3が取り付けられる。
【0072】
なお、上述のごとく、リモコン信号受光装置3の筐体31は非磁気遮蔽材料であるため、筐体31が磁気遮蔽材料により形成されている場合に比べて、筐体31内の永久磁石6が筐体31の外部に発生させる磁界を弱めないようにすることができる。従って、余分に強い磁界を発生させるために、コストの高い強い磁界が発生する磁石を設けなくてもよい。
【0073】
本実施形態においては、図6(a)及び(b)の二点鎖線で示すように、前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24のいずれの筐体2の表面上にも、リモコン信号受光装置3が設けられるように構成されている。前面21または後面23上にリモコン信号受光装置3を設けることにより、上下方向及び側方を含む方向である、前後方向に直交する方向へ受光部32を向けることができる。また、側面22a,22b上にリモコン信号受光装置3を設けることにより、上下方向及び前後方向を含む方向である、側方に直交する方向へ受光部32を向けることができる。また、上面24上にリモコン信号受光装置3を設けることにより、前後方向及び側方を含む方向である、上下方向に直交する方向へ受光部32を向けることができる。
【0074】
このように受光部32を向ける方向が変化可能であれば、例えばプロジェクタ1が赤外線ノイズを発生させる赤外線ノイズ源の近傍に設けられた場合は、赤外線ノイズ源からの赤外線を受光しない方向へ受光部32を向けることによって、赤外線ノイズの影響を受けないようにすることができる。
【0075】
また、本実施形態においては、箱体である強磁性体部材4は、筐体2の内部空間S1において、その全体が筐体2により覆われている。即ち、上側筐体2bと下側筐体2aで囲まれた空間に、下側強磁性体部材4a及び上側強磁性体部材4bが設けられており、強磁性体部材4が可能な限り露出しないように構成されている。
【0076】
また、強磁性体部材4は、感電の可能性を低減するとの観点から接地されている。即ち、強磁性体部材4は、例えば、プロジェクタ1の保護接地導体部や、ビデオ端子やオーディオ端子のグランド部(不図示)と電気的に接続されている。
【0077】
また、本実施形態においては、電子部品5と筐体2との間(即ち、配線板51と筐体2との間)の空間を区切るように強磁性体部材4が設けられている。より具体的には、筐体2の内部空間S1において配線板51及び電子部品5が強磁性体部材4に収納されることによって、電子部品5と筐体2との間の空間が区切られている。
【0078】
このようにして、電子部品5及び配線板51から発生する電磁ノイズがプロジェクタ1の筐体2の外部へ放射すること、及びプロジェクタ1の筐体2の外部から内部へと電磁ノイズが入射することの双方を抑制している。即ち、強磁性体部材4が電磁シールドとして機能し、EMC(Electro Magnetic Compatibility)性能を向上させている。
【0079】
また、強磁性体部材4が設けられていないときに、プロジェクタ1の筐体2に、スイッチが設けられる開口部が設けられている場合には、このような開口部を介して、帯電した操作者の指と筐体2内の配線板51との間において、静電気の放電が発生し得る。このような静電気の放電は、プロジェクタ1の動作に影響を与えるため好ましくない。本発明によれば、帯電した操作者の指と強磁性体部材4との間の方が、配線板51との間よりも距離が短いため、操作者の指と強磁性体部材4との間において、静電気の放電が発生するため、配線板51への静電気の侵入を抑制できる。即ち、強磁性体部材4が静電シールドとしても機能する。
【0080】
また、本実施形態においては、配線板51は電源回路基板であり、配線板51は筐体2の内部空間S1に収納された電源部を構成している。そして、上述のごとく、電源部である配線板51と筐体2との間の空間を区切るように強磁性体部材4が設けられている。より具体的には、筐体2の内部空間S1において電源ユニットを含む配線板51が強磁性体部材4に収納されることによって、電源部である配線板51と筐体2との間の空間が区切られている。
【0081】
このようにして、強磁性体部材4が防火壁として機能する。即ち、強磁性体部材4を構成する鉄等の強磁性体材料は、融点が高く、難燃性に優れ、機械的強度が高いため、配線板51についての防火対策の信頼性を向上させている。
【0082】
また、本実施形態においては、側壁部42には、配線板51を支持する支持部43が設けられている。支持部43は側壁部42に形成されており、側壁部42から配線板51が設けられる空間S5に向けて突出するように設けられている。即ち、電子部品5が設けられた配線板51が、強磁性体部材4により支持されており、配線板51は、ビス等の固定部材(不図示)を用いて支持部43に対して固定されている。
【0083】
なお、配線板51の、配線板51をビス等の金属部材で固定する部分には、グランド層が露出するように設けられていることが好ましい。このような構成によれば、ビスによる配線板51の固定とともに、筐体2のグランド電位に配線板51のグランド層を接触させることにより、グランド電位を安定化させるとともに電磁シールドの効果を向上させることができる。
【0084】
本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)筐体2は、電子部品5を収納するための内部空間S1と、リモコン信号受光装置3が設けられる外部空間S2とを区切る。そして、筐体2の内部空間S1には、リモコン信号受光装置3に磁気的な引力を作用させるための強磁性体からなる強磁性体部材4が設けられており、内部空間S1に設けられた強磁性体部材4により、外部空間S2におけるリモコン信号受光装置3が筐体2に向けて引き寄せられ、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3が設けられる。即ち、プロジェクタ1が備える筐体2内の強磁性体部材4と、磁界を発生させる部材である永久磁石6を備えたリモコン信号受光装置3との間に磁気的な引力が作用して、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3が取り付けられる。このため、強磁性体部材4によりリモコン信号受光装置3を筐体2に向けて引き寄せる磁力が作用するのであれば、筐体2の所望の位置にリモコン信号受光装置3を設けることができる。従って、樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体2に対してリモコン信号受光装置3の配置の自由度を向上させることができる。また、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3を取り付けるための手段として、リモコン信号受光装置3を支持する突起等の支持構造(不図示)を設ける必要がなく、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3を容易に取り付けることができる。従って、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3を取り付ける際の利便性を向上させることができる。
【0085】
(2)筐体2の内部空間S1において、強磁性体部材4の全体が筐体2により覆われている。このため、強磁性体部材4の一部がプロジェクタ1の筐体2によって覆われていない場合に比べて、プロジェクタ1の操作者が感電することを抑制することができる。
【0086】
(3)プロジェクタ1は、筐体2の内部空間S1に収納された電子部品5を備え、電子部品5と筐体2との間の空間を区切るように強磁性体部材4が設けられている。このため、強磁性体部材4によって、プロジェクタ1の電磁的な不干渉性及び耐性を向上させることができる。即ち、電子部品5から筐体2の外部空間S2への電磁的影響を低減するとともに、筐体2の外部空間S2から電子部品5への電磁的影響を低減することができる。
【0087】
(4)筐体2の内部空間S1において電子部品5が強磁性体部材4に収納されることによって、電子部品5と筐体2との間の空間が区切られている。このため、強磁性体部材4によって、プロジェクタ1の電磁的な不干渉性及び耐性を確実に向上させることができる。
【0088】
(5)プロジェクタ1は、筐体2の内部空間S1に収納された電源部としての電源回路基板である配線板51を備え、配線板51と筐体2との間の空間を区切るように強磁性体部材4が設けられている。このため、強磁性体部材4によって、配線板51についての防火対策の信頼性を向上させることができる。
【0089】
(6)筐体2の内部空間S1において配線板51が強磁性体部材4に収納されることによって、配線板51と筐体2との間の空間が区切られている。このため、強磁性体部材4によって、配線板51についての防火対策の信頼性をより向上させることができる。
【0090】
(7)電子部品5が設けられている配線板51が、強磁性体部材4により支持されている。このため、リモコン信号受光装置3をプロジェクタ1の筐体2に向けて引き寄せる構成としての強磁性体部材4を、配線板51の支持手段とすることができる。
【0091】
(8)筐体2の外部に設けられるリモコン信号受光装置3は、筐体2の内部空間S1に設けられた強磁性体部材4に対して磁気的な引力を発生させるための永久磁石6を備えている。このため、筐体2の強磁性体部材4とリモコン信号受光装置3の永久磁石6との一対が、筐体2の表面上にリモコン信号受光装置3を取り付けるための取付手段として構成される。
【0092】
(9)リモコン信号受光装置3は、筐体2に向けて引き寄せられる磁気的な引力を発生させるための磁石として永久磁石6を備えている。このため、リモコン信号受光装置3が上記磁石として電磁石(不図示)を備える場合に比べて、筐体2に向けて引き寄せられる磁力を容易に発生させることができる。
【0093】
(10)リモコン信号受光装置3は、リモコン信号受光装置3の内部空間S3と外部空間S4とを区切る筐体31を備え、永久磁石6は、リモコン信号受光装置3の内部空間S3に設けられている。即ち、リモコン信号受光装置3の筐体31に永久磁石6が収納されている。このため、リモコン信号受光装置3の筐体31により永久磁石6が保護される。また、リモコン信号受光装置3の筐体31に永久磁石6が収納されていない場合に比べて、リモコン信号受光装置3の美観性を向上させることができる。
【0094】
(11)リモコン信号受光装置3の筐体31は、非磁気遮蔽材料(即ち、磁気を遮蔽しない材料)からなる。このため、リモコン信号受光装置3の筐体31が磁気遮蔽材料からなる場合に比べて、リモコン信号受光装置3の内部空間S3に設けられた永久磁石6が筐体2に対して印加する磁界が筐体31により減衰しないので、リモコン信号受光装置3が筐体2に向けて引き寄せられる磁力を効率よく発生させることができる。
【0095】
(12)リモコン信号受光装置3が設けられることが可能な筐体2の表面は、前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24である。即ち、筐体2が有する複数の表面であって、互いに直行する方向を向く4つの表面上にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能である。このため、前面21上のみ、または、側面22a,22b上のみ、または、後面23上のみ、または、上面24上のみにリモコン信号受光装置3が設けられる場合に比べ、筐体2の表面上におけるリモコン信号受光装置3の磁気的固定手段による配置の自由度を向上させることができる。
【0096】
(13)前面21の全体において、磁力によって前面21上にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能である。このため、前面21の一部において、前面21上にリモコン信号受光装置3が設けられる場合に比べ、筐体2の表面上におけるリモコン信号受光装置3の磁気的固定手段による配置の自由度を向上させることができる。同様に、側面22a,22b及び後面23及び上面24についても、それらの表面の全体において、側面22a,22b及び後面23及び上面24上にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能であるため、筐体2の表面上におけるリモコン信号受光装置3の配置の自由度を向上させることができる。
【0097】
(14)強磁性体部材4を、電気的絶縁性を有する樹脂等の材料で形成された筐体2で覆うように構成した構造は、強磁性体部材4が磁気的固定手段として機能するだけでなく、感電抑制手段、電磁シールド、静電シールド、防火壁、及び配線板支持構造としても機能するため、プロジェクタ1の部品点数削減、製造コスト削減、軽量化、組立工数削減、小型化等を図ることができる。
【0098】
(15)上述のごとく、リモコン信号受光装置3を支持する突起等の支持構造(不図示)を設ける必要がなくなるため、外部から見たプロジェクタ本体1aの美観性を向上させることができる。
【0099】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の設計変更をすることが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。例えば、上記実施形態を以下のように変更してもよく、以下の変更を組み合わせて実施してもよい。
【0100】
・強磁性体部材4の全体が、筐体2の内部空間S1において筐体2により覆われることによって、その内部空間S1に設けられた強磁性体部材4が、筐体2の外部空間S2から見て露出せずに設けられているように構成することが好ましい。即ち、筐体2の外部から強磁性体部材4を視認することができないように強磁性体部材4が設けられていることが好ましい。このような構成によれば、例えば、何らかの理由で機器内部への浸水等の不慮の事態が生じ、絶縁が一時的あるいは部分的に不完全となった場合においても、プロジェクタ1の操作者を感電から確実に保護することができる。
【0101】
・永久磁石6は、リモコン信号受光装置3の外部空間S4においてリモコン信号受光装置3の筐体31に設けられていてもよい。このような構成によれば、永久磁石6がリモコン信号受光装置3の内部空間S3に設けられている場合に比べて、永久磁石6と強磁性体部材4との間の距離を短くできるので、永久磁石6と強磁性体部材4との間の互いに引き合う磁力を強くすることができる。
【0102】
・前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24について、それらの表面の一部において、磁力によってリモコン信号受光装置3が設けられるように構成してもよい。即ち、前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24の全体において、それらの表面上にリモコン信号受光装置3が設けられる構成でなくてもよい。
【0103】
・前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24の全ての表面に、リモコン信号受光装置3が設けられることが可能でなくてもよい。即ち、前面21及び側面22a,22b及び後面23及び上面24の少なくとも1つの表面に、リモコン信号受光装置3が設けられることが可能であればよい。
【0104】
なお、前後方向及び上下方向及び側方のいずれの方向へも受光部32を向けることができるようにするとの観点から、上面24にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能で、かつ、前面21及び側面22a,22b及び後面23の少なくとも1つの表面にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能であることが好ましい。同様の観点から、前面21及び後面23の少なくとも1つの表面にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能で、かつ、側面22a,22b及び上面24の少なくとも1つの表面にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能であることが好ましい。また、同様の観点から、側面22a,22bの少なくとも1つの表面にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能で、かつ、前面21及び後面23及び上面24の少なくとも1つの表面にリモコン信号受光装置3が設けられることが可能であることが好ましい。
【0105】
・配線板51が、下側強磁性体部材4aに固定されて支持されていなくてもよい。即ち、強磁性体部材4により支持される配線板51が、上側強磁性体部材4bに固定されて支持されていてもよい。
【0106】
・強磁性体部材4により配線板51以外の配線板が支持されていてもよい。即ち、強磁性体部材4により支持される配線板は2つ以上であってもよく、具体的には、強磁性体部材4により、配線板51だけでなく、制御ユニットを含むその他の配線板(不図示)が支持されていてもよい。
【0107】
・強磁性体部材4が、プロジェクタ本体1aの機械的構造を維持するための骨格を兼ねていてもよい。
・強磁性体部材4を構成する部材は、下側強磁性体部材4a及び上側強磁性体部材4bに限られず、これら以外の複数の強磁性体部材(不図示)により強磁性体部材4が構成されていてもよい。
【0108】
・筐体2を構成する部材は、下側筐体2a及び上側筐体2bに限られず、これら以外の部材により筐体2が構成されていてもよい。
・筐体2の全てが樹脂により形成されていなくてもよい。例えば、下側筐体2aが、アルミニウムや銅等の非強磁性体である金属材料からなる構成としてもよい。
【0109】
・強磁性体部材4が、感電抑制手段、電磁シールド、静電シールド、防火壁、または配線板支持構造として機能しなくてもよい。即ち、強磁性体部材4が、少なくとも磁気的固定手段として機能すれば、上記(1)に記載の効果を得ることができる。
【0110】
・強磁性体部材4とリモコン信号受光装置3とに、互いに引き合う磁力が発生するのであれば磁気的固定手段を適宜変更してもよい。例えば、リモコン信号受光装置3が、筐体2に向けて引き寄せられる磁力が作用する磁石として電磁石(不図示)を備える構成としてもよい。また、強磁性体部材4に着磁して永久磁石として構成してもよい。
【0111】
・筐体2の表面上に設けられる付属装置は、リモコン信号受光装置3以外の装置であってもよい。例えば、筐体2の表面上に設けられる付属装置は、プロジェクタ1の制御等を目的として外部機器(不図示)から電波として送信された信号を受信するアンテナ装置(不図示)であってもよい。即ち、筐体2の表面上に設けられる装置は、プロジェクタ1の動作に関連する装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0112】
・リモコン信号受光装置3は、ケーブル33及びコネクター34を介さずに、プロジェクタ本体1aと接続されていてもよい。即ち、受光部32で赤外線を受光することにより受信したリモコン信号を、無線によってプロジェクタ本体1aへ送信する構成としてもよい。
【0113】
・上記構成をプロジェクタ1以外の電子機器に適用することもできる。即ち、テレビ受信機やオーディオ機器等のその他の電子機器についても上記実施形態に準じた態様をもって本発明を適用することはできる。その場合にも上記実施形態に準じた作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0114】
1…プロジェクタ(電子機器)、1a…プロジェクタ本体(電子機器本体)、2…筐体、2a…下側筐体、2b…上側筐体、3…リモコン信号受光装置(付属装置)、4…強磁性体部材、4a…下側強磁性体部材、4b…上側強磁性体部材、5…電子部品、6…永久磁石、11…投射レンズ、21…前面、22a,22b…側面、23…後面、24…上面、25…下壁部、26…側壁部、27…上壁部、28…側壁部、29…開口部、31…筐体、31a…ケース、31b…カバー、32…受光部、33…ケーブル、34…コネクター、41…下壁部、42…側壁部、43…支持部、44…上壁部、45…側壁部、46…開口部、51…配線板(電源回路基板)、S1,S3…内部空間、S2,S4…外部空間、S5…空間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂により形成された電気的絶縁性を有する筐体を備え、この筐体の外部に付属装置が設けられる電子機器であって、
前記筐体は、電子部品を収納するための内部空間と、前記付属装置が設けられる外部空間とを区切り、
前記筐体の内部空間には、前記付属装置に磁気的な引力を作用させるための強磁性体からなる強磁性体部材が設けられており、
前記内部空間に設けられた前記強磁性体部材により、前記外部空間における前記付属装置が前記筐体に向けて引き寄せられ、前記筐体の表面上に前記付属装置が設けられる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記筐体の内部空間において、前記強磁性体部材の全体が前記筐体により覆われていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記強磁性体部材の全体が、前記内部空間において前記筐体により覆われることによって、前記内部空間に設けられた前記強磁性体部材が、前記筐体の外部空間から見て露出せずに設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体の内部空間に収納された電子部品を備え、
前記電子部品と前記筐体との間の空間を区切るように前記強磁性体部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記内部空間において前記電子部品が前記強磁性体部材に収納されることによって、前記電子部品と前記筐体との間の空間が区切られていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体の内部空間に収納された電源部を備え、
前記電源部と前記筐体との間の空間を区切るように前記強磁性体部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記内部空間において前記電源部が前記強磁性体部材に収納されることによって、前記電源部と前記筐体との間の空間が区切られていることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子部品が設けられている配線板が、前記強磁性体部材により支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記筐体の外部に設けられる前記付属装置は、前記筐体の前記内部空間に設けられた前記強磁性体部材に対して前記磁気的な引力を発生させるための磁石を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記付属装置は前記磁石として永久磁石を備えていることを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記付属装置は、該付属装置の内部空間と外部空間とを区切る筐体を備え、
前記永久磁石は、前記付属装置の外部空間において該付属装置の筐体に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記付属装置は、該付属装置の内部空間と外部空間とを区切る筐体を備え、
前記永久磁石は、前記付属装置の内部空間に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項13】
前記付属装置の筐体は、非磁気遮蔽材料からなることを特徴とする請求項12に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−96938(P2011−96938A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251171(P2009−251171)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】