説明

電子機器

【課題】各部位の位置関係が変更可能な電子機器において、荷重による変形を未然に防止する。
【解決手段】ひずみゲージ11は、グリップフレーム21に設けられた溝25内に接着剤等で貼り付けられており、グリップフレーム21の変形に応じた出力信号を出力する。ひずみゲージ11の出力信号は、被覆電線24を介して、カメラ本体23の内部に組み込まれた検出回路12に伝達される。検出回路12では、伝達された信号を基に、設定した限界応力(ひずみ)値との照合を行い、限界値を超える場合には、本体内部のスピーカ9、もしくはLED10(または表示部17)、もしくはバイブレータ(本体内部、あるいはグリップフレーム21に配置)を通じて、除荷を促すアラーム信号を、音もしくは光で使用者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや、携帯電話などの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラのような携帯可能な電子機器においては、携帯時、もしくは衣服への収納時における、ねじり等の変形を防止する目的で、歪を検出した場合に警報報知を行う技術が考えられている(例えば、特許文献1参照)。このような従来技術においては、装置本体の破損を回避するため、報知を行うことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−156854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、装置本体を2つ、もしくは3つのピースに分割し、それら各ピースの位置関係を任意に変更することで、使い勝手を向上させる電子機器が提案されている。このような電子機器においては、各ピースの位置関係の変更を許容する一方、耐久性においては格段に低下するという傾向にある。したがって、必要以上の荷重により変形し、各ピースの位置関係を変更することができなくなるという問題が予見される。
【0005】
そこで本発明は、各部位の位置関係が変更可能な電子機器において、荷重による変形を未然に防止することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、装置本体と、当該装置本体の外周を覆うとともに、当該装置本体に回動可能に接続され、かつ、使用者によりグリップとして把持される形状を有する枠状のフレーム部材とからなる電子機器であって、前記フレーム部材は、少なくとも使用者が把持することにより荷重が加わる部位に配置され、当該フレームの変形を検出する検出部と、この検出部からのデータを前記装置本体に送出するためのデータ送出部とを備え、前記装置本体は、報知部と、前記データ送出部から送出されるデータに基づいて、前記フレーム部材の変形を前記報知部にて報知するよう制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1ににおいて、前記装置本体と前記フレーム部材とは、回動軸によって回動可能に接続され、前記データ送出部は、前記回動軸を介して装置本体の制御部にデータを送出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項2ににおいて、前記回動軸を中心とした、前記装置本体と前記フレーム部材との回転角度を検出する角度検出部を更に備え、前記制御部は、前記角度検出部により前記装置本体と前記フレーム部材とが所定の角度であることが検出された場合に、前記検出部による前記フレーム部材の変形を検出させるよう前記検出部の作動/非作動を制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項3において、前記報知部は、前記検出部の作動/非作動の切り替えを報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、荷重による変形を未然に防止することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるデジタルカメラの構造を示す正面図であり、(a)はグリップフレームが収納されている状態、(b)はグリップフレームが展開された状態を示す図である。
【図3】本実施形態によるデジタルカメラのグリップフレームの荷重検出機構の概略を示す概念図であり、(a)はグリップフレームにおけるひずみゲージの設置位置を示す図、(b)、(c)は、夫々直交する方向からみた、グリップフレームに設置されたひずみゲージの実装状態の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
A.実施形態の構成
図1は、本発明の実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図において、デジタルカメラ1は、撮像レンズ2、レンズ駆動部3、絞り兼用シャッタ4、CCD5、TG(Timing
Generator)6、ユニット回路7、画像処理部8、スピーカ9、LED10、ひずみゲージ11、検出回路12、CPU13、DRAM14、メモリ15、フラッシュメモリ16、表示部17、キー入力部18、カードI/F19、及びメモリ・カード20を備えている。
【0014】
撮像レンズ2は、フォーカスレンズ、ズームレンズなどを含み、レンズ駆動部3が接続されている。レンズ駆動部3は、撮像レンズ2を構成するフォーカスレンズ、ズームレンズをそれぞれ光軸方向に駆動させるモータと、CPU13からの制御信号に従ってフォーカスモータ、ズームモータを駆動させるフォーカスモータドライバ、ズームモータドライバから構成されている。
【0015】
絞り兼用シャッタ4は、図示しない駆動回路を含み、駆動回路によってCPU13から送られてくる制御信号に従って動作する。該絞り兼用シャッタ4は、撮像レンズ2から入ってくる光の量を制御する。CCD(撮像素子)5は、撮像レンズ2、絞り兼用シャッタ4を介して投影された被写体の光を電気信号に変換し、撮像信号としてユニット回路7に出力する。該CCD5は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。
【0016】
ユニット回路7は、CCD5から出力される撮像信号を相関二重サンプリングして保持するCDS(Correlated
Double Sampling)回路、そのサンプリング後の撮像信号の自動利得調整を行うAGC(Automatic
Gain Control)回路、その自動利得調整後のアナログの撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器から構成されている。該ユニット回路7は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。CCD5の撮像信号は、ユニット回路7を経てデジタル信号として画像処理部8に送られる。
【0017】
画像処理部8は、ユニット回路7から送られてきた画像データの画像処理(画素補間処理、γ補正、輝度色差信号の生成、ホワイトバランス処理、露出補正処理等)、画像データの圧縮・伸張(例えば、JPEG形式やM−JPEG形式又はMPEG形式の圧縮・伸張)の処理、複数の撮像画像を合成する処理などを行う。該画像処理部8は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。
【0018】
スピーカ9、LED10は、CPU13の制御に従って、後述するグリップフレームに所定以上の負荷が加わった場合に使用者にその旨を報知する。ひずみゲージ11は、後述する筐体の一部であるグリップフレームに設けられ、該グリップフレームに加えられる応力(ひずみ)を検出する。検出回路12は、ひずみゲージ11で検出された、後述するグリップフレームに所定以上の負荷が加わったか否かを判断し、所定以上の負荷が加わった場合に、上記スピーカ9、LED10を駆動してその旨を報知するべく、CPU13に判断結果を通知する。
【0019】
CPU13は、デジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。特に、本実施形態では、CPU13は、後述する筐体の一部であるグリップフレームに所定以上の負荷が加わったことを検出回路12から通知されると、上記スピーカ9、LED10を駆動してその旨を報知する。なお、グリップフレームや、ひずみゲージ11等の詳細については後述する。
【0020】
DRAM14は、CCD5によって撮像された後、CPU13に送られてきた画像データを一時記憶するバッファメモリとして使用されるとともに、CPU13のワーキングメモリとして使用される。メモリ15は、CPU13によるデジタルカメラ1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータが記録されており、CPU13は、このプログラムに従って処理を行う。フラッシュメモリ16や、メモリ・カード20は、CCD5によって撮像された画像データなどを保存しておく記録媒体である。
【0021】
表示部17は、カラーLCDとその駆動回路を含み、撮像待機状態にあるときには、CCD5によって撮像された被写体をスルー画像として表示し、記録画像の再生時には、フラッシュメモリ16や、メモリ・カード20から読み出され、伸張された記録画像を表示する。キー入力部18は、シャッタスイッチ、ズームスイッチ、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号をCPU13に出力する。カードI/F19には、デジタルカメラ1本体の図示しないカードスロットを介してメモリ・カード20が着脱自在に装着されている。
【0022】
図2(a)は、本実施形態によるデジタルカメラの構造を示す正面図である。図において、グリップフレーム21は、ヒンジ等の回転機構22を介して、レンズ及び液晶ディスプレイ等から構成されるカメラ本体23と締結され、通常は、グリップフレーム21の内側にカメラ本体23が干渉しない程度のクリアランスを保って収納されている。グリップフレーム21は可動式となっており、図2(b)に図示するように、グリップフレーム21を90°回転させて展開すると、グリップフレーム21の内側は、中空領域31となり、この状態でユーザが把持することにより想定荷重以上の負荷30が作用すると、グリップフレーム21が変形することになる。
【0023】
図3(a)〜(c)は、本実施形態によるデジタルカメラのグリップフレームの荷重検出機構の概略を示す概念図であり、図3(a)は、グリップフレーム21におけるひずみゲージ11の設置位置を示す図である。また、図3(b)、(c)は、夫々直交する方向からみた、グリップフレーム21に設置されたひずみゲージ11の実装状態の断面図を示す図である。図3(b)に図示するように、グリップフレーム21の荷重検出は、グリップフレーム21に設けられた溝25内に接着剤等で貼り付けられたひずみゲージ11とその出力信号をカメラ本体23の内部に組み込まれた検出回路12に伝達するための被覆電線24、さらには、ひずみゲージ11及び被覆電線24を保護するための保護樹脂26aもしくはカバー26bとから構成されている。
【0024】
グリップフレーム21に設ける溝25は、図3(c)に図示するように、フレームの強度を損なうことのない程度の浅い溝が好ましい。通常、ひずみゲージ11のベース厚みは数十ミクロンと薄いため、被覆電線24の線径に依存することになるが、100〜150ミクロン程度とすることが望ましい。また、充填樹脂26aは、ひずみゲージ11のひずみ検出精度に影響を与え難い、シリコーンゴム等の柔らかい材質が好ましい。さらに、ひずみゲージの貼り付け位置は、図3(a)に図示するようにグリップフレーム21の中空部の中央とすることが望ましい。
【0025】
これは、グリップフレーム21は、コの字(U字)形状であり、開いた側は、カメラ本体23とヒンジ等の回転機構22を介して締結されており、両端が指示された梁状と考えられ、負荷位置がグリップフレーム21のどの位置であっても、材料力学計算式等によりグリップフレーム21の中空部の中央領域に荷重が作用した場合の曲げ応力(ひずみ)が最大となるためである。
【0026】
したがって、この中空部の中央領域に負荷が作用した場合の弾性限界曲げ応力(ひずみ)を、グリップフレーム21の材料の降伏応力(0.2%耐力)以下の値となるように、アラーム通知の閾値に設定することにより、グリップフレーム21のどの位置に負荷が加わっても、検出される曲げ応力(ひずみ)は、弾性限界応力以上の値にはならず、グリップフレーム21が変形してしまうことはない。
【0027】
グリップフレーム21に貼り付けられたひずみゲージ11からの出力信号は、グリップフレーム21の変形に伴い、ひずみゲージ11の電極に接合された被覆電線24を通じて、カメラ本体23の検出回路12に伝達される。検出回路12では、伝達された信号を基に、設定した限界応力(ひずみ)値との照合を行い、限界値を超える場合には、本体内部のスピーカ9、もしくはLED10(または表示部17)、もしくはバイブレータ(本体内部、あるいはグリップフレーム21に配置)を通じて、除荷を促すアラーム信号を、音もしくは光で使用者に通知するようにする。このアラームは、使用者に過負荷状態であることを認知させ、使用者に除荷を促すため、結果としてグリップフレーム21の変形を抑制することになる。
【0028】
なお、この検出回路12は、グリップフレーム21とカメラ本体23が展開されたときにのみ作動するように、回転機構部22に回転角センサ、もしくはエンコーダスイッチ等を設け、所定の角度以上にグリップフレーム21が開かれたときにのみ作動する機構を設けることで、グリップフレーム21内にカメラ本体23が格納されているときに、無駄なバッテリ消費を抑えることも可能である。
【0029】
また、この検出回路12のON/OFF時(フレームの展開/格納時)にブザー音等を鳴らし、注意を喚起するようにすれば、展開/格納時にストラップ等の付帯物の挟み込みも防止することができる。
【0030】
上述した実施形態によれば、荷重検出機構をグリップフレーム21に設けることで、想定された荷重以上の負荷が作用する場合に、カメラ本体にあるスピーカ9、あるいはLED10、表示部17、バイブレータ(図示略)などを介して、音もしくは光や、振動で使用者に除荷を促すアラームを通知することにより、グリップフレーム21の変形を抑制し、グリップフレーム21内にカメラ本体23が収納できなくなることを回避し、かつ形状・寸法精度を必要最低限にすることができ、デザイン性、及びコンパクト性をも確保することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 デジタルカメラ
2 撮像レンズ
3 レンズ駆動部
4 絞り兼用シャッタ
5 CCD
6 TG
7 ユニット回路
8 画像処理部
9 スピーカ
10 LED
11 ひずみゲージ
12 検出回路
13 CPU
14 DRAM
15 メモリ
16 フラッシュメモリ
17 表示部
18 キー入力部
19 カードI/F
20 メモリ・カード
21 グリップフレーム
22 回転機構
23 カメラ本体
24 被覆電線
25 溝
26a 保護樹脂
26b カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、当該装置本体の外周を覆うとともに、当該装置本体に回動可能に接続され、かつ、使用者によりグリップとして把持される形状を有する枠状のフレーム部材とからなる電子機器であって、
前記フレーム部材は、
少なくとも使用者が把持することにより荷重が加わる部位に配置され、当該フレームの変形を検出する検出部と、
この検出部からのデータを前記装置本体に送出するためのデータ送出部と
を備え、
前記装置本体は、
報知部と、
前記データ送出部から送出されるデータに基づいて、前記フレーム部材の変形を前記報知部にて報知するよう制御する制御部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記装置本体と前記フレーム部材とは、回動軸によって回動可能に接続され、
前記データ送出部は、
前記回動軸を介して装置本体の制御部にデータを送出することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記回動軸を中心とした、前記装置本体と前記フレーム部材との回転角度を検出する角度検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記角度検出部により前記装置本体と前記フレーム部材とが所定の角度であることが検出された場合に、前記検出部による前記フレーム部材の変形を検出させるよう前記検出部の作動/非作動を制御することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記報知部は、
前記検出部の作動/非作動の切り替えを報知することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−138779(P2012−138779A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289993(P2010−289993)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】