説明

電子機器

【課題】アンテナ基板の面積を大きくすることなく、アンテナ部の受信感度を安定させると共に、機器本体内のノイズがアンテナ部に伝導しにくい構造にしてアンテナ部の受信感度の低下を抑制する仕組みを提供する。
【解決手段】電子機器には、GPSアンテナモジュール5が搭載される。GPSアンテナモジュール5は、アンテナ基板39の表面側に設けられるアンテナ部5Aと、アンテナ基板39の裏面側にグランド45を介して設けられて、アンテナ部5Aの駆動を制御する制御回路44と、を備える。アンテナ部5Aは、アンテナ基板39の表面側に設けられた対向電極48に、誘電体43を介してアンテナ電極47が積層される。そして、レリーズボタンを保持するトップシャーシ41が対向電極48に電気的に接続され、トップシャーシ40がグランド45に電気的に接続されると共に、メイン基板に実装された電源回路に電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS等のアンテナモジュールを搭載したデジタルカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラにGPSアンテナモジュールを設けることが知られている。このようなデジタルカメラでは、GPSアンテナモジュールで受信した測位信号を基にカメラが存在する位置を検出している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−315890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
デジタルカメラ等に搭載されるGPSアンテナモジュールは、一般に、図11に示すように、アンテナ基板139の表面側に、アンテナ部100が設けられ、アンテナ基板139の裏面側に、アンテナ部100の駆動を制御する制御回路144が設けられる。
【0005】
アンテナ部100は、アンテナ基板139の表面側に設けられた対向電極148に、セラミック等の誘電体143を介してアンテナ電極147が積層されて、GPS衛星からの信号を受信する。
【0006】
このようなGPSアンテナモジュールでは、対向電極148の面積が大きいほど、アンテナ電極147と対向電極148との間に発生する信号が安定する。また、発生した信号を増幅する制御回路144の信号処理部のグランド145と対向電極148とを信号処理部の入力付近で接続することで、グランド145側からアンテナ部100へノイズ信号が侵入するのを防止することができる。
【0007】
ところで、対向電極148の面積を増加させるためには、アンテナ基板139の面積を大きくすることが考えられるが、デジタルカメラ等の小型化に伴い、アンテナ基板139の大きさには制限がある。
【0008】
そこで、図11に示すように、金属体140を対向電極148と電気的に接続することで、見かけ上の対向電極148の面積を増加させ、これにより、アンテナ基板139の面積を大きくすることなく、アンテナ部100の受信感度を安定させるようにしている。
【0009】
しかし、信号処理部のグランド145は、カメラ本体のメイン基板のグランドに接続されているため、対向電極148は、アンテナ基板139上のパターン及び金属体140を介してメイン基板のグランドと接続される。
【0010】
このため、メイン基板に実装された電源回路等で発生するノイズが金属体140及びアンテナ基板139を介して対向電極148に伝導してしまう。この結果、対向電極148のグランド電位がノイズによって乱されて、アンテナ部100に繋がった信号処理部の入力部のグランド145側の電位が不安定になり、アンテナ部100でのGPS電波の受信感度が低下する。
【0011】
そこで、本発明は、アンテナ基板の面積を大きくすることなく、アンテナ部の受信感度を安定させると共に、機器本体内のノイズがアンテナ部に伝導しにくい構造にしてアンテナ部の受信感度の低下を抑制する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、アンテナ基板と、前記アンテナ基板の表面側に設けられるアンテナ部と、前記アンテナ基板の裏面側にグランドを介して設けられ、前記アンテナ部の駆動を制御する制御回路と、を備えるアンテナモジュールが搭載され、前記アンテナ部は、前記アンテナ基板の表面側に設けられた対向電極に、誘電体を介してアンテナ電極が積層される電子機器であって、前記対向電極に電気的に接続される第1の金属体と、前記グランドに電気的に接続されると共に、メイン基板に実装された電源回路に電気的に接続される第2の金属体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アンテナ基板の面積を大きくすることなく、アンテナ部の受信感度を安定させることができ、また、機器本体内のノイズがアンテナ部に伝導しにくい構造になるため、アンテナ部の受信感度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタルカメラを正面側から見た外観斜視図、(b)は(a)に示すデジタルカメラを背面側から見た外観斜視図である。
【図2】図1(a)に示すデジタルカメラの分解斜視図である。
【図3】図2を背面側から見た分解斜視図である。
【図4】GPSアンテナモジュールを説明するための分解斜視図である。
【図5】図4の背面側から見た分解斜視図である。
【図6】GPSアンテナモジュールとトップシャーシとの取付構造を模式的に示す断面図である。
【図7】GPSアンテナモジュールとトップシャーシとの取付構造の要部を示す図である。
【図8】トップシャーシ、メインシャーシ及びメイン基板の組立体の斜視図である。
【図9】本発明の電子機器の第2の実施形態であるデジタルカメラにおいて、メイン基板におけるメインシャーシの取付部分を示す図である。
【図10】本発明の電子機器の第3の実施形態であるデジタルカメラにおいて、GPSアンテナモジュールの取付部分の構造を示す斜視図である。
【図11】従来のGPSアンテナモジュールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1(a)は本発明の電子機器の第1の実施形態であるデジタルカメラを正面側から見た外観斜視図、図1(b)は図1(a)に示すデジタルカメラを背面側から見た外観斜視図である。
【0017】
図1(a)に示すように、本実施形態のデジタルカメラは、カメラ本体1の正面側に、ズーム式のレンズ鏡筒2が設けられ、カメラ本体1の上面部に、ポップアップ式のストロボユニット3、及びレリーズボタン4が設けられている。レリーズボタン4の周囲には、ズームレバー35が設けられ、ズームレバー35とストロボユニット3との間には、GPSアンテナモジュール5の外装が突出して配置されている。
【0018】
カメラ本体1の背面側には、図1(b)に示すように、液晶等のディスプレイ6、電源ボタン7、モードダイヤル8、及び操作ボタン群9が設けられている。また、カメラ本体1を背面側から見て右側の側面には、不図示の外部出力ケーブル用のコネクタを覆うコネクタ蓋10が開閉可能に設けられている。
【0019】
図2は図1(a)に示すデジタルカメラの分解斜視図、図3は図2を背面側から見た分解斜視図である。
【0020】
図2及び図3に示すように、フロントカバー11は、カメラ本体1の正面側及び上面側の外装を形成している。フロントカバー11には、レリーズボタン4、ズームレバー35、トップ基板37、トップシャーシ41により構成されるレリーズ部やGPSアンテナモジュール5が組み込まれる。
【0021】
トップ基板37には、レリーズボタン4とズームレバー35に対応する電気接点、ステレオマイクのR側マイク38、スピーカ36、及びアンテナ基板39(図4参照)とのコネクタが実装されている。また、トップ基板37には、メイン基板13と接続するためのコネクタが設けられている。トップ基板37は、トップシャーシ41に位置決め固定された状態でビス等によりフロントカバー11に固定される。
【0022】
アンテナ基板39には、トップ基板37と接続するためのコネクタ、及びGPSアンテナモジュール5が組み込まれる。アンテナ基板39は、トップシャーシ41に対して一部が重なるように取り付けられ、トップシャーシ41にビス等で固定される。
【0023】
トップシャーシ40には、アンテナ基板39の一部が重なるように取り付けられ、トップシャーシ40は、フロントカバー11にビス等により固定される。
【0024】
トップシャーシ40、及びトップシャーシ41は、カメラ本体1全体のグランドと同電位になるようメインシャーシ42にビス等によって接続されており、メインシャーシ42は、メイン基板13のグランドに接続される。
【0025】
リアカバー12には、ディスプレイ6、電源ボタン7、モードダイヤル8、操作ボタン群9等が配置されている。ディスプレイ6の信号線、及びディスプレイ6のバックライトの信号線は、それぞれLCD基板14、及びバックライト基板15に配線され、メイン基板13のコネクタに接続される。
【0026】
モードダイヤル8の信号線は、モードダイヤル基板16に配線され、メイン基板13のコネクタに接続される。操作ボタン群9のジョグダイヤルの信号線は、操作系基板17に配線され、メイン基板13のコネクタに接続される。
【0027】
フロントカバー11とリアカバー12とは、不図示の係止爪によって互いに固定され、ビス等によりバッテリボックス18やメインシャーシ42等の構造体に固定される。
【0028】
メイン基板13は、バッテリボックス18にメインシャーシ42を介してビス等により固定される。メイン基板13には、カードスロット19、HDMIコネクタ20、電源スイッチ21、バッテリボックス18の蓋検出スイッチ22、システム回路部品23、及び電源回路部品24が実装されている。メイン基板13に実装されたシステム回路部品23によって、デジタルカメラ全体の駆動制御を行う。
【0029】
カメラ本体1を正面側から見てレンズ鏡筒2の左側には、バッテリを挿入するためのバッテリボックス18が配置されている。バッテリボックス18の上部の接続系基板25に実装された不図示のバッテリコネクタと不図示のバッテリとを電気的に接続することでカメラの電源が供給される。バッテリボックス18の側面には、ストラップ取付用部材26が取り付けられている。バッテリボックス18は、ビス等によりレンズ鏡筒2に固定される。
【0030】
接続系基板25には、USBケーブルやAVケーブルなどを接続するための複合コネクタ27が実装されている。また、接続系基板25には、AF用補助光28が実装されている。接続系基板25は、先端の端子部がメイン基板13のコネクタに電気的に接続されている。
【0031】
カメラ本体1を正面側から見てレンズ鏡筒2の右側には、ストロボユニット3がビス等により固定されている。ストロボユニット3は、不図示のメインコンと不図示のキセノン管とストロボ基板29とがケーブルによって接続されている。
【0032】
また、トリガー基板30は、ストロボ基板29に半田付けによって接続されている。不図示のトリガーコイルにトリガー基板30を通じて電圧を供給することで、キセノン管が発光する。ストロボ基板29は、光学系基板31によってメイン基板13に接続されている。
【0033】
ストロボユニット3には、ステレオマイクのL側マイク32が取り付けられており、L側マイク32は、マイク基板33に実装されている。マイク基板33は、レンズ鏡筒2の背面を通ってメイン基板13のコネクタに接続される。
【0034】
レンズ鏡筒2の背面には、不図示のセンサが配置され、センサは、レンズ鏡筒2のレンズを通過した画像情報を取り込む。センサは、画像系基板34に実装されており、画像系基板34は、コネクタによってメイン基板13に接続される。
【0035】
次に、図4〜図8を参照して、GPSアンテナモジュール5について説明する。
【0036】
図4はGPSアンテナモジュール5を説明するための分解斜視図、図5は図4の背面側から見た分解斜視図、図6はGPSアンテナモジュール5とトップシャーシ40,41との取付構造を模式的に示す断面図である。図7はGPSアンテナモジュール5とトップシャーシ40,41との取付構造の要部を示す図、図8はトップシャーシ40、メインシャーシ42,46及びメイン基板13の組立体の斜視図である。
【0037】
図4〜図7を参照して、GPSアンテナモジュール5は、アンテナ基板39の表面側に、アンテナ部5Aが設けられ、アンテナ基板39の裏面側に、アンテナ部5Aの駆動を制御する制御回路44がグランド45を介して設けられる。
【0038】
アンテナ部5Aは、アンテナ基板39の表面側に設けられた対向電極48に、セラミック等の誘電体43を介してアンテナ電極47が積層されて、GPS衛星からの信号を受信する。この誘電体43により、アンテナ電極47と対向電極48との間のインピーダンスが増加し、より大きな電圧が得られるため、GPS衛星からの信号を増幅させて受信することが可能となる。また、対向電極48は、アンテナ部5Aの受信を安定させるためのグランド電極として用いられる。
【0039】
制御回路44は、シールドケースで覆われており、制御回路44からの信号は、アンテナ基板39の制御回路44側に配置されたコネクタからトップ基板37を介してメイン基板13へ出力される。また、制御回路44には、増幅器55が搭載されており、増幅器55は、GPS衛星から受信した信号や制御回路44からの信号を増幅させる。
【0040】
制御回路44側のグランド45には、トップシャーシ40がビス53によって電気的に接続されている。また、制御回路44側のグランド45と対向電極48とは、アンテナ基板39に設けられたスルーホールによってアンテナ基板39の表裏で接続されている。トップシャーシ40は、メインシャーシ42にビスによって電気的に接続されている。ここで、トップシャーシ40は、本発明の第2の金属体の一例に相当する。
【0041】
メインシャーシ42は、メイン基板13の表層のグランドパターンと電気的に接続されている。これにより、GPSアンテナモジュール5は、メインシャーシ42に機械的に結合されると共に、カメラ本体1のグランドに電気的に接続される。
【0042】
また、メイン基板13のメインシャーシ42と反対側の表層のグランドパターンは、メインシャーシ46と面を接するように接続されており、メインシャーシ46は、ビスによってメイン基板13及びメインシャーシ42と電気的に接続されている。
【0043】
ところで、メイン基板13上の電源回路24は、GPSアンテナモジュール5に対して悪影響を及ぼすノイズを発生させる。電源回路24から発生したノイズは、メイン基板13の表層のグランドパターンを伝導し、メインシャーシ46からビスを介してメインシャーシ42へと伝導する。メインシャーシ42へ伝導したノイズは、さらにビス、及びトップシャーシ40を介してアンテナ基板39の制御回路44側のグランド45へ伝導する。
【0044】
しかし、アンテナ部5Aは、制御回路44側とアンテナ基板39を挟んで反対側に配置されているため、高周波である伝導ノイズは、その直進性によりアンテナ部5Aへ伝導しにくくなる。これにより、対向電極48のグランド電位が安定してGPSアンテナモジュール5の受信感度が安定する。
【0045】
また、レリーズボタン4をトップ基板37を介して保持するトップシャーシ41は、アンテナ基板39のアンテナ部5A側に配置された対向電極48にビス54によって電気的に接続されている。アンテナ基板39の対向電極48にトップシャーシ41が電気的に接続されることにより、アンテナ電極47に対向してグランド電位となる面積は、アンテナ電極47の面積に対して大きくなる。ここで、トップシャーシ41は、本発明の第1の金属体の一例に相当する。
【0046】
GPS衛星から発信された電波の信号56は、アンテナ電極47に到達するとともにトップシャーシ41にも到達する。電波の速度とトップシャーシ41や対向電極48等の電気的な導体を伝わる電気信号の速さとは同じである。
【0047】
このため、図6を参照して、アンテナ電極47から離れたトップシャーシ41に到達した信号56は、その離れた距離/受信部からアンテナ電極47の対向部までの導体の長さ分の距離だけ遅れる。従って、アンテナ電極47と対向電極48との間では、時間的にずれた信号56に対応する電位が発生する。
【0048】
GPSの電波は、数十センチメートルの波長であるため、数センチメートルのアンテナ部でも両極間に十分検知できる位相差を発生させることができる。数十センチメートルの波長を数センチメートルの位相差で検出することは、信号の微分値を算出しながら信号の数をカウントする処理となるので、位相が大きいほど電波の山の数/GPS衛星までの距離を計測しやすくなる。
【0049】
また、トップシャーシ41は、比較的長い部材であるため、アンテナ電極47に近いビス54の近傍の部分と該部分から距離が離れた部分との時間的にずれのある信号56が加算されて平均化される。これにより、信号としての急峻さが失われ、対向電極48の信号による電位の変化は、アンテナ電極47に発生する電位の変化より小さくなる。このため、対向電極48とアンテナ電極47との間の電位差が識別しやすくなって受信感度が向上する。
【0050】
また、GPSアンテナモジュール5の受信感度は、GPS衛星からアンテナ電極47へ到達する信号56と、GPS衛星からトップシャーシ41、ビス54、対向電極48を通ってアンテナ部5Aへ到達する信号56との位相差57が大きいほど高くなる。
【0051】
ここで、上述したように、アンテナ電極47に対向してグランド電位となる面積が大きくなることにより、アンテナ電極47と対向電極48との位相差57が大きくなり、GPSアンテナモジュール5の受信感度が向上する。なお、トップシャーシ41は、電源回路24が搭載されているメイン基板13とは直接電気的に接続されていないため、電源回路24から各シャーシを介して伝導してくるノイズの影響は受けない。
【0052】
また、電源回路24で発生するノイズの伝導経路であるメインシャーシ42、及びトップシャーシ40には、図8に示すように、複数の曲げ部や絞り部が形成されている。
【0053】
例えば、メインシャーシ42のメイン基板13とビスで接続されている部分の近傍において、メインシャーシ42の第1の曲げ部42aにより、メインシャーシ42の第1の面から90度曲がったメインシャーシ42の第2の面が形成される。
【0054】
メインシャーシ42の第2の面では、メインシャーシ42の第1の絞り部42bによって形状が絞られ、さらにメインシャーシ42の第2の曲げ部42cによりメインシャーシ42の第2の面から90度曲がったメインシャーシ42の第3の面が形成される。
【0055】
メインシャーシ42の第3の面では、メインシャーシ42の第2の絞り部42dによって形状が絞られ、さらにメインシャーシ42の第3の曲げ部42eによりメインシャーシ42の第3の面から90度曲がったメインシャーシ42の第4の面が形成される。
【0056】
メインシャーシ42の第4の面では、クランク状に曲げられたメインシャーシ42の第4の曲げ部42fによってメインシャーシ42の第5の面が形成される。
【0057】
メインシャーシ42の第5の面では、メインシャーシ42の第5の曲げ部42gによりメインシャーシ42の第5の面から90度曲がったメインシャーシ42の第6の面が形成される。
【0058】
メインシャーシ42の第6の面では、メインシャーシ42の接続部42hとトップシャーシ40の接続部40aとがビスを介して機械的・電気的に接続される。
【0059】
トップシャーシ40の接続部40aが配置された第1の面では、トップシャーシ40の絞り部40bによって形状が絞られ、さらにトップシャーシ40の曲げ部40cによりトップシャーシ40の第1の面から90度曲がった第2の面が形成される。
【0060】
トップシャーシ40の第2の面では、トップシャーシ40の接続部40dとアンテナ基板39とがビス53によって接続され、さらにフロントカバー11へビスによって固定される。
【0061】
高周波である伝導ノイズは、直進性が強く、シャーシの曲げ部で電気信号が電波となって外部に放出されるため、電気信号としてのノイズの伝導が抑制される。これにより、電源回路24で発生したノイズがGPSアンテナモジュール5へ伝わりにくくなり、GPSアンテナモジュール5の受信感度の低下を抑制することができる。
【0062】
なお、高周波の電流は、回路の導線を曲げたり、回路の導線に出っ張りやくびれを設けると、電流から電波に変わって空中に放出される。このため、空中に放出された電波がアンテナ電極47にノイズとして入力されるのを回避するためには、シャーシ等の電気接続部はできるだけ単純な形状が好ましい。
【0063】
以上説明したように、本実施形態では、レリーズボタン4が実装されているトップ基板37を固定するためのトップシャーシ41をアンテナ基板39の対向電極48に電気的に接続することで、アンテナ電極47に対向してグランド電位となる面積を大きくしている。これにより、アンテナ基板39の面積を大きくすることなく、アンテナ部5Aの受信感度を安定させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、ノイズの発生源となる電源回路24が実装されたメイン基板13に接続されるトップシャーシ40を制御回路44側のグランド45に電気的に接続している。これにより、カメラ本体1内のノイズがアンテナ部5Aに伝導しにくい構造となり、アンテナ部5Aの受信感度の低下を抑制することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の電子機器の第2の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複する部分については、その説明を省略し、相違点についてのみ説明する。ここで、メインシャーシ46は、本発明の第3の金属体の一例に相当する。
【0066】
図9は、メイン基板13におけるメインシャーシ46の取付部分を示す図である。
【0067】
本実施形態では、図9に示すように、メインシャーシ46がビスを介して接続されるメイン基板13の表層において、電源回路24からビスへ繋がるグランドパターンにスリット50を設けている。また、メイン基板13のスリット50を間に挟む位置には、スルーホール49が形成されている。
【0068】
これにより、電源回路24で発生した高周波のノイズがメイン基板13の表層のグランドパターンを伝導する際に、スリット50の位置で伝導が遮断され、メインシャーシ46へのノイズの伝導が遮断される。この結果、アンテナ基板39へ到達するノイズを抑制することができ、GPSアンテナモジュール5のアンテナ部5Aの受信感度の低下を抑制することができる。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0069】
(第3の実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の電子機器の第3の実施形態であるデジタルカメラについて説明する。なお、上記第1の実施形態に対して重複する部分については、その説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0070】
図10は、GPSアンテナモジュール5の取付部分の構造を示す斜視図である。
【0071】
本実施形態では、図10に示すように、トップシャーシ40、及びトップ基板37に電磁雑音抑制シート51を貼り付けている。トップ基板37は、メイン基板13とアンテナ基板39の配線とを接続する。
【0072】
電磁雑音抑制シート51は、特殊な磁性材料をシート状に加工したもので、ノイズ発生源やノイズ伝導経路に貼り付けると10MHz〜5GHzまでの高周波帯域のノイズを抑制することができる。電磁雑音抑制シート51を貼り付けた部分では、電磁雑音抑制シート51は、高周波電流であるノイズが発生した回路に対して抵抗性のインピーダンスとして働き、高周波電流そのものを除去する。
【0073】
これにより、メイン基板13に実装された電源回路24で発生するノイズがアンテナ基板39への伝導経路であるトップシャーシ40やトップ基板37の信号線に伝導しにくくなり、GPSアンテナモジュール5の受信感度の低下を抑制することができる。その他の構成、及び作用効果は、上記第1の実施形態と同様である。
【0074】
なお、本発明の構成は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0075】
4 レリーズボタン
5 GPSアンテナモジュール
5A アンテナ部
13 メイン基板
39 アンテナ基板
40,41 トップシャーシ
44 制御回路
45 グランド
47 アンテナ電極
48 対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ基板と、前記アンテナ基板の表面側に設けられるアンテナ部と、前記アンテナ基板の裏面側にグランドを介して設けられ、前記アンテナ部の駆動を制御する制御回路と、を備えるアンテナモジュールが搭載され、
前記アンテナ部は、前記アンテナ基板の表面側に設けられた対向電極に、誘電体を介してアンテナ電極が積層される電子機器であって、
前記対向電極に電気的に接続される第1の金属体と、
前記グランドに電気的に接続されると共に、メイン基板に実装された電源回路に電気的に接続される第2の金属体と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の金属体は、操作ボタンを保持することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御回路は、前記アンテナ電極の出力を増幅する増幅器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の金属体は、第3の金属体を介して前記メイン基板に電気的に接続され、
前記メイン基板には、前記電源回路から前記第3の金属体が接続される部分へ繋がるグランドパターンにスリットが設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2の金属体に、複数の曲げ部、及び絞り部が設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2の金属体に、電磁雑音抑制シートが貼り付けられることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記アンテナモジュールは、GPSアンテナモジュールであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−161011(P2012−161011A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20642(P2011−20642)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】