説明

電子機器

【課題】強度を向上させると共に軽量化した電子機器を提供する。
【解決手段】対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、収容空間に収容される電子デバイスとを備え筐体は、面内で分割された第1部材および第2部材により構成され、第1部材および第2部材の少なくとも一方の対向面にデバイス挿入口を有する電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、テレビジョン装置等の表示装置に好適な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、特に液晶表示装置等の表示装置は表示パネルや電子部品の技術の進歩により、薄型化が急速に行われ、テレビジョン装置等では外観のデザイン性が向上してきている。このような表示装置では、表示面側の前面筐体と背面側の後面筐体とがねじ等により締結され、この前面筐体と後面筐体との間に表示パネルが収められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開20010−54718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら近年では、外観のデザインに加え、設置場所や設置方法の制限をなくし、設置の自由度を高めることが求められている。このためには表示装置の強度の向上かつ軽量化が必要となるが、これまでの表示装置では、表示面側の前面筐体と背面側の後面筐体とが別々の部品であり、また、ねじ等を使用しなければならないため、強度および軽量化の両面で不十分であった。
【0005】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、強度の向上と共に軽量化され、様々な設置場所、設置方法に対応可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の電子機器は、対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、収容空間に収容される電子デバイスとを備え、筐体は、面内で分割された第1部材および第2部材により構成され、第1部材および第2部材の少なくとも一方の対向面にデバイス挿入口を有するものである。
【0007】
本技術の第2の電子機器は、対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、収容空間に収容される電子デバイスとを備えたものである。
【0008】
第1または第2の電子機器では、1の筐体で電子デバイスの両面、更にはこれらの面間の側面を一体的に覆っているため、従来の前面筐体,後面筐体を設けた構造と比べて強度が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本技術の第1および第2の電子機器によれば、1の筐体で電子デバイスの両面、更には側面を一体的に覆うようにしたので、強度が向上し、また、ねじ等が不要となるため軽量化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置(電子機器)の構成を表す分解斜視図である。
【図2】(A)は図1に示した表示装置の構成を表す正面図、(B)はその側面図である。
【図3】図1に示した表示装置の構成を表す断面図である。
【図4】従来の表示装置の構成を表す図である。
【図5】図2に示した上部部材の詳細について説明するための正面図である。
【図6】(A)は図2に示した支柱部の変形例の構成を表す正面図、(B)はその側面図である。
【図7】(A)は図2に示した支柱部の他の変形例の構成を表す側面図、(B)は(A)に示した支柱部の変形例を表す側面図である。
【図8】図3に示した上部部材およびセンターシャーシの変形例を表す断面図である。
【図9】図3に示した上部部材の他の変形例を表す断面図である。
【図10】図2に示した表示装置の変形例を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の各構成要素を表示したものである。図2(A)は表示装置1を表示面(表面)側から見た構成、図2(B)は、側面側から見た構成をそれぞれ表示したものである。図3は、図2(A)のIII−III線の断面構成を表している。表示装置1は例えばテレビジョン装置として用いられる液晶表示装置である。この表示装置1は、筐体20の収容空間に電子デバイス10を内包したものであり、最表面にはガラス板31が設けられている。ACアダプタ41より電力が供給されると、側面側の光源(図示せず)から電子デバイス10に光が照射され、筐体20の開口21Dより表示光として取り出されるようになっている。
【0013】
電子デバイス10は、図3に示したように表示パネル11および電子基板12を備えている。電子基板12には制御デバイス13が搭載もしくは接続されている。表示パネル11は、例えば透明板ガラス等よりなる二枚の基板の間に液晶層を有する液晶表示パネルである。一方の基板には、各画素を駆動するTFT(Thin Film Transistor)、透明電極および配向膜と共に、各画素に映像信号を供給するための駆動回路等が設けられている。他方の基板には、透明電極および配向膜と共に、図示しない3原色(R,G,B)の各カラーフィルタが、画素毎に設けられている。液晶層の周囲は、シール剤により封止されている。表示パネル11の表示面および背面には偏光板が設けられている。
【0014】
電子基板12は、表示パネル11の背面側に設けられ、例えば可撓性配線基板などにより表示パネル11に電気的に接続されている。制御デバイス13は、例えばメインボード,通信ボード,電源,チューナおよびスピーカー等により構成されている。表示パネル11は制御デバイス13から供給される信号により駆動されるようになっている。
【0015】
筐体20内の表示パネル11と電子基板12との間にはセンターシャーシ51が設けられ、このセンターシャーシ51に電子基板12が固定されている。このセンターシャーシ51を設けることにより、表示パネル11の剛性を補強し、電子基板12と近接させることが可能となる。また、図3に示したように、センターシャーシ51に突起を設けることにより、表示パネル11,電子基板12双方の破損を防止することができる。センターシャーシ51は、平板状あるいはフレーム(額縁)状であり、鉄やアルミなどの金属材料,樹脂材料またはカーボンフィラーやガラスフィラーなどを含む複合材料等により構成されている。
【0016】
筐体20は、対向する2つの面、即ち表示面(一方の面)および背面を有すると共にこれら2つの面間の側面を有している。筐体20の形状は、電子デバイス10の形状により適宜変更することが可能である。筐体20は、表示面および背面の面内方向(図2 紙面上下方向)に分離した上部部材21(第1部材)と下部部材22(第2部材)により構成されており、筐体本体となる上部部材21は、下部部材22との対向面に挿入口(デバイス挿入口)21Mを有している。この挿入口21Mより、表示パネル11が筐体20に収められる。下部部材22は、ここでは蓋体となる。筐体20の表面の中央部には表示パネル11を露出させるための、開口21Dが設けられ、開口21Dを囲むように筐体20の表面にはパネル係止部21P,22Pが設けられている。
【0017】
図3に示したように上部部材21は、電子デバイス10の表示面の周縁から側面を介して一体的に背面を覆い、電子デバイス10を内包している。図示は省略するが、下部部材22も同様である。換言すれば、一つの部材(上部部材21または下部部材22)に電子デバイス10の表示面から側面を介して背面までが覆われている。これにより、表示装置1の強度が増すと共に軽量化される。以下、従来の表示装置(表示装置100)と比較しつつ、これについて説明する。
【0018】
図4(A)は、背面側から見た表示装置100の斜視図、図4(B)はその断面図である。従来の表示装置100では、表示パネル(図示せず)およびスペーサ120Dが、別々の部品である表示面側の前面筐体120Aと背面側の後面筐体120Bとの間に収められており、前面筐体120Aと後面筐体120Bとはねじ120Cにより締結されている。即ち、表示装置100の筐体は表示面と垂直方向に分離された前面筐体120Aと後面筐体120Bとの2つの部品から構成されており、これらがねじ120Cにより連結されている。従って、表示装置100では、前面筐体120Aと後面筐体120Bとを一体的に構成した場合に比べて剛性が低く、その強度を向上させるためには筐体の厚み(肉厚)やねじ120Cの数を増やさなければならない。即ち、表示装置100の強度は低く、また、ねじ120Cを数多く使用したり、筐体の厚みを厚くするため、その分、表示装置100の重さも増す。
【0019】
これに対し、本実施の形態の筐体20は表示面および背面を有し、表示パネル11(電子デバイス10)の表示面の周縁から側面を介して背面まで、一体的に表示パネル11を収めている。換言すれば、表示パネル11の表示面側は筐体20のパネル係止部21P,22Pにより支持され、背面側は全て筐体20に覆われている。従って、ねじ120C等は不要となり、表示装置1の強度が向上すると共に軽量化される。また、部品数も削減できるため、コスト面でも有利となる。
【0020】
筐体20は、例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics;炭素繊維強化プラスチック)を含む材料からなる。CFRPは剛性が高く、薄肉で筐体20を構成することができるため、表示装置1の更なる軽量化が可能となる。CFRPの他、アルミニウムやステンレス等の金属により構成することも可能であるが、軽量化の観点からCFRPを用いることが好ましい。CFRPを用いると、例えばオートクレーブ成形,ホットプレス成形またはレジン・トランスファー・モールディング法等により容易に成形して筐体20を作製することができる。また、筐体20の構成材料としてCFRPを用いると、その収縮率の低さにより、抜き勾配を設けずに成形することが可能となる。
【0021】
図5に示したように、下部部材22の一部には、GFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics;ガラス繊維強化プラスチック)からなる信号受信部22Bが設けられている。CFRPが高い電波遮蔽性を有しているのに対し、GFRPは電波透過性が高いため、無線リモコン信号や動画像無線信号の送受信を信号受信部22Bによりスムーズに行うことができる。
【0022】
また、下部部材22には表示装置1を設置面に固定するための支柱部22Aが設けられている(図1)。これにより、支柱部22Aのデザイン、長さ等を容易に変更することができ、様々な配置に対応可能となる。例えば、床面61への設置(図2)の他、図6のように天井面62への設置あるいは図7のように壁面63への設置も可能である。支柱部22Aの屈曲を、図7(A)に表したように、直角状にして壁面63に設置することも、あるいは図7(B)に示したように、弧状にして壁面63に設置することも可能である。下部部材22と上部部材21とは例えばかんぬき構造またはテープ類により連結されており、これらの連結部は、表示パネル11の下端部に配置されている。下部部材22と上部部材21とをねじにより連結する場合であっても、従来の表示装置(表示装置100)と比較して、使用するねじの数を減らすことが可能である。
【0023】
図3に示したように、筐体20とセンターシャーシ51の端部とが接することにより電子デバイス10は固定されている。より強固に固定するために、図8(A)に示したように、筐体20の、センターシャーシ51の端部との対向部に肉厚部21Tを設けて、筐体20によりセンターシャーシ51を挟み込むようにしてもよい。また、図8(B)に示したように、センターシャーシ51に、その端部を背面側に一度屈曲させた屈曲部51Bを設けるようにしてもよく、または図8(C)に示したように、背面側に二度屈曲させた屈曲部51Cを設けるようにしてもよい。
【0024】
ガラス板31は、表示パネル11の表示面側に設けられ、表示パネル11を保護するものである。表示パネル11の周縁部では、ガラス板31は筐体20よりも更に表面側に配置されている。
【0025】
この表示装置1では、光源から表示パネル11に光が入射すると、その入射光は、偏光板を通過した後、二枚の基板の透明電極の間に印加された映像電圧に基づいて、画素毎に変調されつつ液晶層を透過する。液晶層を透過した光は、カラーフィルタを通過することにより、カラーの表示光として偏光板の外側(表面側)へ取り出される。
【0026】
ここでは、筐体20が表示面および背面を一体的に有しているため、前面筐体(図4 前面筐体120A)および後面筐体(図4 後面筐体120B)の2つの部品を設けることなく、一つの部材で電子デバイス10の表示面から側面を介して背面までが収められる。よって、表示装置1の強度を向上させ、また、ねじ(図4 ねじ120C)等が不要となるため軽量化も可能となる。
【0027】
以上のように本実施の形態では、筐体20が表示面および背面を一体的に有するようにしたので、表示装置1の強度の向上かつ軽量化が可能となる。特に、電子デバイス10として表示パネル11を含む表示装置1に適用させることにより、強度の向上かつ軽量化によって、設置場所や設置方法の自由度を高めることができる。
【0028】
また、筐体20をCFRPにより構成することで更に軽量化することができ、また筐体20の作製も容易となる。
【0029】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、表示装置1として液晶表示装置を例示したが、筐体20をプラズマ表示装置や有機電界発光表示装置等に適用させてもよい。また、表示装置に限らず、例えば照明機器やサイネージ機器等の他の電子機器にも適用可能である。
【0030】
更に、上記実施の形態では、筐体20の断面が略楕円状である場合を例示したが(図3)、特にこれに限定されるものではなく、例えば図9に示したように、矩形状であってもよい。この場合には、図9(B)に示したように、センターシャーシ支持部52により、センターシャーシ51を支持する構成も可能である。
【0031】
加えて、上記実施の形態等では、上部部材21と下部部材22との連結部を表示面の下端として、上部部材21のみが挿入口21Mを有する場合を例示したが、上部部材21と下部部材22との連結部が上端と下端の間にあり、上部部材21と下部部材22とがそれぞれ挿入口を有するようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、筐体20が上部部材21および下部部材22からなる場合を例示したが、挿入口21Mを設けずに、図10に示したように一つの部材により筐体20を構成するようにしてもよい。
【0032】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、前記2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、前記収容空間に収容される電子デバイスと、を備え、
前記筐体は、前記面内で分割された第1部材および第2部材により構成され、前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の対向面にデバイス挿入口を有する電子機器。
(2)前記電子デバイスは表示パネルを含む前記(1)に記載の電子機器。
(3)前記筐体は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を含む材料からなる前記(1)または(2)に記載の電子機器。
(4)前記筐体は、一部がガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を含む材料からなる前記(3)に記載の電子機器。
(5)前記筐体には前記電子デバイスと共にセンターシャーシが内包され、前記センターシャーシにより前記電子デバイスが前記筐体に固定されている前記(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の電子機器。
(6)前記筐体は、前記センターシャーシの端部との対向部に前記センターシャーシを挟み込むための肉厚部を有する前記(5)に記載の電子機器。
(7)前記センターシャーシは、端部に屈曲部を有する前記(5)に記載の電子機器。
(8)前記第2部材は、設置面に固定するための支柱部を有する前記(1)乃至(7)のうちいずれか1つに記載の電子機器。
(9)対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、前記2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、前記収容空間に収容される電子デバイスとを備えた電子機器。
【符号の説明】
【0033】
1…表示装置、10…電子デバイス、11…表示パネル、12…電子基板、13…制御デバイス、20…筐体、21…上部部材、22…下部部材、31…ガラス板、41…ACアダプタ、51…センターシャーシ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、前記2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、
前記収容空間に収容される電子デバイスと、を備え、
前記筐体は、前記面内で分割された第1部材および第2部材により構成され、前記第1部材および第2部材の少なくとも一方の対向面にデバイス挿入口を有する
電子機器。
【請求項2】
前記電子デバイスは表示パネルを含む
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記筐体は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を含む材料からなる
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体は、一部がガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を含む材料からなる
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記筐体には前記電子デバイスと共にセンターシャーシが内包され、前記センターシャーシにより前記電子デバイスが前記筐体に固定されている
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体は、前記センターシャーシの端部との対向部に前記センターシャーシを挟み込むための肉厚部を有する
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記センターシャーシは、端部に屈曲部を有する
請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第2部材は、設置面に固定するための支柱部を有する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項9】
対向する2つの面を有すると共に内部に収容空間を有し、前記2つの面のうち一方の面に開口を有する筐体と、
前記収容空間に収容される電子デバイスと
を備えた電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−253094(P2012−253094A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122745(P2011−122745)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】