説明

電子機器

【課題】局所的に作用する負荷の軽減を図ることが可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、電子機器は、第1筐体と、第2筐体と、第3筐体と、ホルダと、ハーネスとを具備する。前記第3筐体は、前記第1筐体と前記第2筐体との間に設けられ、前記第1筐体及び前記第2筐体に対して回動可能である。前記ホルダは、前記第3筐体に取り付けられ、前記第1筐体内に差し込まれた第1筒部と、前記第2筐体内に差し込まれた第2筒部とを有する。前記ハーネスは、前記第1筐体から前記ホルダの第1筒部及び第2筒部を通って前記第2筐体に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハーネスを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器は、表示部を本体部に回動可能に連結した連結部を有することがある。ハーネスは、表示部から連結部を介して本体部に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−184478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器は、局所的に作用する負荷の軽減が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、局所的に作用する負荷の軽減を図ることが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、電子機器は、第1筐体と、第2筐体と、第3筐体と、ホルダと、ハーネスとを具備する。前記第3筐体は、前記第1筐体と前記第2筐体との間に設けられ、前記第1筐体及び前記第2筐体に対して回動可能である。前記ホルダは、前記第3筐体に取り付けられ、前記第1筐体内に差し込まれた第1筒部と、前記第2筐体内に差し込まれた第2筒部とを有する。前記ハーネスは、前記第1筐体から前記ホルダの第1筒部及び第2筒部を通って前記第2筐体に延びている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態の電子機器の一例を示す斜視図。
【図2】図1中に示された電子機器の平面図。
【図3】図1中に示された第3筐体を示す斜視図。
【図4】図3中に示された第3筐体の第2端部の周りを示す断面図。
【図5】図3中に示された第3筐体の内部を示す断面図。
【図6】図5中に示されたホルダの斜視図。
【図7】図4中に示された第3筐体とホルダの間係を模式的に示すF7−F7線に沿う断面図。
【図8】図1中に示された第1筐体、第2筐体、及びホルダの間係を模式的に示す断面図。
【図9】図3中に示された第3筐体の第1端部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1乃至図9は、一つの実施形態に係る電子機器1を開示している。電子機器1は、例えばノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、ノートPC)である。さらに言えば、電子機器1は、例えば手で持った状態で使用可能なハンドヘルドタイプであり、比較的小型である。
【0009】
なお本実施形態が適用可能な電子機器は、上記に限定されるものではない。本実施形態は、例えば比較的大型のノートPCや、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、その他電子端末などを含む種々の電子機器に広く適用可能である。
【0010】
図1に示すように、電子機器1は、第1本体部2と、第2本体部3と、連結部4とを備えている。本実施形態では、第1本体部2及び第2本体部3は、それぞれ表示パネルを有した表示部である。連結部4は、第1本体部2と第2本体部3とを互いに回動可能に連結している。
【0011】
第1本体部2は、第1筐体6を有する。第1筐体6は、第1前壁7、第1背壁8、及び第1周壁9を有し、扁平な箱状に形成されている。第1背壁8は、電子機器1を机の上に置いた時に、その机上面に向かい合う。第1背壁8は、机上面に対して略平行になる。
【0012】
第1前壁7は、第1筐体6のなかで第1背壁8とは反対側に位置する。第1前壁7は、第1背壁8との間に空間を空けて、第1背壁8と略平行に広がる。第1周壁9は、第1前壁7及び第1背壁8に対して起立し、第1前壁7の周縁部と第1背壁8の周縁部との間を繋いでいる。
【0013】
図1に示すように、第1筐体6は、第1表示パネル11を収容している。第1表示パネル11は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルである。なお第1表示パネル11は、上記に限らず、プラズマディスプレイパネルや、有機ELディスプレイパネル、その他の様式の表示パネルであってもよい。
【0014】
第1表示パネル11は、映像や画像を表示する表示画面11aを有する。また第1表示パネル11には、タッチパネル11bが設けられている。ユーザーは、タッチパネル11bを通じて入力操作を行うことができる。なお電子機器1は、第1表示パネル11に代えて、機械式のキーボードを備えてもよい。図2に示すように、第1筐体6には、バッテリー12が着脱自在に取り付けられている。
【0015】
図1に示すように、第2本体部3は、第2筐体14を有する。第2筐体14は、第2前壁15、第2背壁16、及び第2周壁17を有し、扁平な箱状に形成されている。第2前壁15は、第2筐体14を第1筐体6に重ねたときに、第1筐体6の第1前壁7に向かい合う。
【0016】
第2背壁16は、第2筐体14のなかで第2前壁15とは反対側に位置する。第2背壁16は、第2前壁15との間に空間を空けて、第2前壁15と略平行に広がる。第2周壁17は、第2前壁15及び第2背壁16に対して起立し、第2前壁15の周縁部と第2背壁16の周縁部との間を繋いでいる。
【0017】
図1に示すように、第2筐体14は、第2表示パネル18を収容している。第2表示パネル18は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルである。なお第2表示パネル18は、上記に限らず、プラズマディスプレイパネルや、有機ELディスプレイパネル、その他の様式の表示パネルであってもよい。
【0018】
第2表示パネル18は、映像や画像を表示する表示画面18aを有する。また第2表示パネル18には、タッチパネル18bが設けられている。ユーザーは、タッチパネル18bを通じて入力操作を行うことができる。なお、第1表示パネル11及び第2表示パネル18の両方がタッチパネルを備える必要は必ずしもなく、いずれか一方だけが備えてもよい。また第1表示パネル11及び第2表示パネル18は、共にタッチパネルを備えなくてもよい。図2に示すように、第2筐体14は、メインボードである回路基板19を収容している。
【0019】
図2に示すように、連結部4は、第3筐体21と、この第3筐体21に取り付けられた2軸ヒンジ機構22とを有する。第3筐体21は、第1筐体6と第2筐体14との間に位置した中間ピースであり、ヒンジを収容したヒンジケースである。第3筐体21は、合成樹脂材料(例えばポリカーボネート)によって形成されている。
【0020】
第3筐体21は、第1筐体6及び第2筐体14にそれぞれ回動可能に連結されている。この第3筐体21が楔となり、第2筐体14が第1筐体6に対して例えば0°から180°まで開閉可能である。
【0021】
詳しく述べると、図2に示すように、第1筐体6は、第1突出部24と、第2突出部25とを有する。ここで、X方向、Y方向、及びZ方向を定義する。図1に示すように、X方向及びY方向は、第1筐体6の第1前壁7に沿う方向である。X方向は、第1筐体6の長手方向である。Y方向は、第1筐体6の短手方向であり、X方向に略直交する。Z方向は、第1筐体6の厚さ方向であり、X方向及びY方向に略直交する。
【0022】
図2に示すように、第1突出部24及び第2突出部25は、第1筐体6の長手方向の両端部に分かれて設けられている。第1突出部24及び第2突出部25は、それぞれ第1筐体6の短手方向に突出している。これにより、第1筐体6は、第1突出部24と第2突出部25との間に形成された第1凹部26を有する。
【0023】
同様に、第2筐体14は、第3突出部27と、第4突出部28とを有する。第3突出部27及び第4突出部28は、第2筐体14の長手方向の両端部に分かれて設けられている。第3突出部27及び第4突出部28は、第2筐体14の短手方向に突出している。これにより、第2筐体14は、第3突出部27と第4突出部28と間に形成された第2凹部29を有する。
【0024】
図2に示すように、第1筐体6の第1突出部24と、第2筐体14の第3突出部27とは、互いに向かい合う。第2筐体14の第2突出部25と、第2筐体14の第4突出部28とは、互いに向かい合う。第1筐体6の第1凹部26と、第2筐体14の第2凹部29とは、互いに向かい合う。
【0025】
図2に示すように、第3筐体21は、第1筐体6の長手方向(X方向)に延びた細長い筒状に形成されている。第3筐体21は、第1凹部26と第2凹部29との間の空間に配置されている。つまり、第3筐体21は、第1筐体6の第1突出部24と第2突出部25との間から、第2筐体14の第3突出部27と第4突出部28との間に亘っている。
【0026】
図7に示すように、第3筐体21は、第3前壁31、第3背壁32、及び第3周壁33を有する。第3前壁31及び第3背壁32は、第2筐体14が第1筐体6に重ねられたとき、それぞれ起立する。
【0027】
第2筐体14が第1筐体6に重ねられたとき、第3前壁31は、第1筐体6及び第2筐体14に向かい合う。第3背壁32は、第3筐体21のなかで第3前壁31とは反対側に位置する。第3背壁32は、第2筐体14が第1筐体6に重ねられたとき、電子機器1の外側に向く。第3周壁33は、第3前壁31の周端部と第3背壁32の周端部とを繋いでいる。
【0028】
図7及び図9に示すように、第3筐体21は、第1カバー35(第1部材)と、第2カバー36(第2部材)とを有する。第1カバー35は、第3前壁31と、第3周壁33の一部とを含む。第2カバー36は、第3背壁32と、第3周壁33の一部とを含む。第1カバー35及び第2カバー36が互いに合わされることで、第3筐体21が形成されている。
【0029】
図2に示すように、第3筐体21は、当該第3筐体21の長手方向(X方向)の端部である第1端部41及び第2端部42を有する。第1端部41は、第1筐体6の第1突出部24及び第2筐体14の第3突出部27に面する。第2端部42は、第1端部41とは反対側に位置する。第2端部42は、第1筐体6の第2突出部25及び第2筐体14の第4突出部28に面する。
【0030】
図2に示すように、2軸ヒンジ機構22は、第3筐体21の第1端部41に取り付けられている。2軸ヒンジ機構22は、いわゆる片持ちヒンジであり、第2筐体14の第3突出部27を第1筐体6の第1突出部24に回動可能に連結している。2軸ヒンジ機構22は、第2筐体14を任意の姿勢で保持可能なトルクを有している。一方で、電子機器1の左端部(つまり第2突出部25、第4突出部28)には、トルクを有したヒンジ機構は設けられていない。
【0031】
図2に示すように、2軸ヒンジ機構22は、互いに略平行に配置された第1ヒンジ44と第2ヒンジ45とを有する。第1ヒンジ44は、第3筐体21から第1筐体6の第1突出部24に延び、第1突出部24に連結されている。第1ヒンジ44は、第3筐体21を第1筐体6に回動可能に連結している。
【0032】
第2ヒンジ45は、第3筐体21から第2筐体14の第3突出部27に延び、第3突出部27に連結されている。第2ヒンジ45は、第2筐体14を第3筐体21に回動可能に連結している。これにより、第2筐体14は、第1筐体6に対して回動可能である。
【0033】
これにより、電子機器1は、第2筐体14が第1筐体6に重ねられた第1姿勢から、例えば第2筐体14が第1筐体6に対して略180°開かれた第2姿勢に亘って変形可能である。この第2姿勢では、第1筐体6、第2筐体14、及び第3筐体21が互いに略平坦に並ぶ。なお電子機器1は、第2筐体14が第1筐体6に対して360°回動可能でもよい。
【0034】
図2に示すように、2軸ヒンジ機構22は、第1ヒンジ44及び第2ヒンジ45の回転動作を互いに連動させるリンク機構46を有する。リンク機構46は、第1筐体6に対する第3筐体21の回動角度と、第3筐体21に対する第2筐体14の回動角度とを常に略等しくする。このため、第2筐体14が第1筐体6に対して立て起こされる時、第1筐体6に対して第3筐体21が開かれるとともに、第2筐体14に対して第3筐体21が開かれる。
【0035】
一方で図2に示すように、電子機器1は、第1本体部2と第2本体部3との間を電気的に接続する複数のハーネス49を有する。これらハーネス49は、例えば第1筐体6のバッテリー12を第2筐体14の回路基板19に接続するものや、第1筐体6の表示パネル11を第2筐体14の回路基板19に接続するものを含む。なお本実施形態でいう「ハーネス」はこれらに限定されるものではない。なおハーネス49とは、複数のリード線が集合したものである。
【0036】
図2に示すように、第3筐体21の第2端部42には、ハーネス49を束ねるホルダ51(ハーネスホルダ)が取り付けられている。図6に示すように、ホルダ51は、互いに一体に形成された、第1筒部52、第2筒部53、固定部54、芯部55、第1案内部56、第2案内部57、及び第3案内部58を有する。
【0037】
第1筒部52及び第2筒部53は、それぞれ貫通した円筒状をしている。第1筒部52及び第2筒部53は、互いに略平行に並んでおり、同じ方向に向いて開口している。第1案内部56は、第1筒部52に連結されている。第1案内部56は、第1筒部52の一部に連続した円弧状をしている。第2案内部57は、第2筒部53に連結されている。第2案内部57は、第2筒部53の一部に連続した円弧状をしている。
【0038】
固定部54は、第1案内部56と第2案内部57との間に設けられている。固定部54は、ねじ挿通孔54aが設けられている。図3に示すように、第3筐体21の第1カバー35と第2カバー36は、ねじ59によって固定されている。このねじ59が固定部54のねじ挿通孔54aにも通されることで、ホルダ51はねじ59によって第3筐体21に共締め固定される。
【0039】
芯部55は、第1案内部56及び第2案内部57に対して起立している。芯部55は、第1筒部52及び第2筒部53とは反対側に向いて凸となる円弧状をしている。第3案内部58は、芯部55の基端部に設けられ、固定部54と略同じ平面上に位置する。第3案内部58は、芯部55から第1筒部52及び第2筒部53とは反対方向に延びている。
【0040】
図5及び図7に示すように、第3筐体21は、第1孔部61と、第2孔部62とを有する。第1孔部61は、第1筐体6の第2突出部25に面する。第1孔部61は、第1筒部52よりも僅かに大きく形成され、第1筒部52が通される。第2孔部62は、第2筐体14の第4突出部28に面する。第2孔部62は、第2筒部53よりも僅かに大きく形成され、第2筒部53が通される。
【0041】
これにより、図4及び図5に示すように、第1筒部52は、第3筐体21の外部にはみ出し、第1筐体6の第2突出部25に向いて突出している。第2筒部53は、第3筐体21の外部にはみ出し、第2筐体14の第4突出部28に向いて突出している。
【0042】
図4及び図5に示すように、第2突出部25は、第3筐体21の第1孔部61に向かい合う第1貫通孔64を有する。第4突出部28は、第3筐体21の第2孔部62に向かい合う第2貫通孔65を有する。第1貫通孔64及び第2貫通孔65は、それぞれ「孔部」の一例である。第1貫通孔64及び第2貫通孔65は、第3筐体21の長手方向(X方向)に開口している。
【0043】
第1筒部52の先端部は、第1貫通孔64に差し込まれ、第1筐体6内に差し込まれている。第1貫通孔64は、第1筒部52の外径よりも僅かに大きい。第1筒部52は、第1貫通孔64の内周面によって受けられ、第1筐体6に対して回動可能である。つまり、第1貫通孔64は、軸としての第1筒部52を受ける軸受けである。第1筒部52は、第1筐体6に対して第3筐体21を回動可能に支持する。
【0044】
同様に、第2筒部53の先端部は、第2貫通孔65に差し込まれ、第2筐体14内に差し込まれている。第2貫通孔65は、第2筒部53の外径よりも僅かに大きい。第2筒部53は、第2貫通孔65の内周面によって受けられ、第2筐体14に対して回動可能である。つまり、第2貫通孔65は、軸としての第2筒部53を受ける軸受けである。第2筒部53は、第3筐体21に対して第2筐体14を回動可能に支持する。
【0045】
図2に示すように、第1筒部52は、第1ヒンジ44の軸線の延長線A1上に設けられている。第2筒部53は、第2ヒンジ45の軸線の延長線A2上に設けられている。つまり、第3筐体21の第2端部42には、第1ヒンジ44及び第2ヒンジ45と略同心の2軸が設けられている。
【0046】
ホルダ51は、第3筐体21よりも、例えば剛性が高く、耐摩耗性が高く、更に摩擦係数が低い材料で形成されている。ホルダ51は、例えば高分子材料で形成されている。ホルダ51の材料の一例は、POMのジュラコンSW−01である。なおホルダ51の材料はこれに限られるものではなく、例えば第3筐体21と同じ一般的な合成樹脂材料で形成されてもよい。
【0047】
図2に示すように、複数のハーネス49は、第1筐体6と第2筐体14との間で、第3筐体21を経由している。詳しく述べると、図5に示すように、複数のハーネス49は、第1筐体6から、ホルダ51の第1筒部52に入り、第2筒部53から出て、第2筐体14に延びている。
【0048】
より詳しく述べると、第1筐体6から第1筒部52に入ったハーネス49は、第1案内部56に沿って、芯部55まで延びている。そして、ハーネス49は、芯部55を中心に折り返され、第2案内部57に沿って延びている。第2案内部57に延びたハーネス49は、第2筒部53に通され、この第2筒部53から第2筐体14に延びている。以上のように、ホルダ51は、ハーネス49をU字状に支持している。
【0049】
次に、ホルダ51と第3筐体21との間係を説明する。図7に示すように、第1筒部52は、第1孔部61の中心とは同心に設けられていない。第1筒部52は、第1孔部61の中心に対して、第2筒部53から離れる方向に偏心している。
【0050】
換言すれば、第1筒部52と第1孔部61との間には隙間g1が形成されている。この隙間g1は、第1隙間部g11と、第2隙間部g12とを含む。第1隙間部g11は、第1筒部52と第2筒部53との間に位置する。第2隙間部g12は、第1隙間部g11とは反対側に位置する。そして、第1隙間部g11は、第2隙間部g12よりも大きくなっている。なお第2隙間部g12は、実質的な隙間が無くても良い。
【0051】
同様に、第2筒部53は、第2孔部62の中心とは同心に設けられていない。第2筒部53は、第2孔部62の中心に対して、第1筒部52から離れる方向に偏心している。換言すれば、第2筒部53と第2孔部62との間には隙間g2が形成されている。この隙間g2は、第3隙間部g21と、第4隙間部g22とを含む。第3隙間部g21は、第2筒部53と第1筒部52との間に位置する。第4隙間部g22は、第3隙間部g21とは反対側に位置する。そして、第3隙間部g21は、第4隙間部g22よりも大きくなっている。なお第4隙間部g22は、実質的な隙間が無くても良い。
【0052】
図8に示すように、第1貫通孔64は、例えば第1筐体6の短手方向に長手を有する楕円状に形成されている。第2貫通孔65は、例えば第2筐体14の短手方向に長手を有する楕円状に形成されている。これにより、ホルダ51は、第1筐体6の厚さ方向及び第2筐体14の厚さ方向にはガタツキにくい。
【0053】
また、第1貫通孔64及び第2貫通孔65を楕円状に形成することで、第1筒部52と第1貫通孔64の接触面積、及び第2筒部53と第2貫通孔65の接触面積を比較的小さくすることができる。これにより、第1筐体6及び第2筐体14に対するホルダ51(つまり第3筐体21)の摩擦抵抗が小さくなる。
【0054】
図9に示すように、第3筐体21の第1端部41は、第1ヒンジ44及び第2ヒンジ45の目隠しとなる第3筒部71及び第4筒部72を有する。この第3筒部71及び第4筒部72は、第3筐体21を構成する第1カバー35と第2カバー36とによってそれぞれ上半分と下半分とに分かれている。
【0055】
次に、電子機器1の組み立てについて説明する。
複数のハーネス49は、ホルダ51に通されて束ねられた状態で準備される。つまり、ハーネス49は、ホルダ51の第1筒部52に入れられて、芯部55でU字状に折り返えされて、第2筒部53から出た状態に準備される。複数のハーネス49とホルダ51は、一つの部品のように一体になり、ハーネスASSY部品(中間組立部品)となっている。
【0056】
ハーネス49の実装は、ホルダ51を第3筐体21に取り付けることで行われる。これにより、ハーネス49の一端部は、第1筐体6内に実装され、ハーネス49の他端部は、第2筐体14内に実装される。このように、ホルダ51を取り付けるだけで、複数のハーネス49を一度に実装することができる。
【0057】
このような構成の電子機器1によれば、局所的に作用する負荷の軽減を図ることができる。例えばヒンジのような連結機構を有した電子機器では、その連結機構に負荷が集中しやすい。このため長期に亘り使用すると、連結機構に不具合が生じることがある。
【0058】
一方で、本実施形態に係る電子機器1は、第3筐体21に取り付けられたホルダ51を有する。このホルダ51は、第1筐体6内に差し込まれた第1筒部52と、前記第2筐体内に差し込まれた第2筒部53とを有する。そしてこの第1筒部52及び第2筒部53が第1筐体6及び第2筐体14を例えば軸のように支持することで、第3筐体21を第1筐体6及び第2筐体14に連結する連結機構に作用する負荷の軽減を図ることができる。
【0059】
本実施形態では、ハーネス49を束ねるホルダ51が第1筐体6及び第2筐体14を支持する。このため、連結機構に作用する負荷を分散させるための専用部品を設ける必要が少なくなる、または無くなるので、部品点数を削減することができる。
【0060】
更に、ハーネス49は、第1筐体6及び第2筐体14を支持するホルダ51の筒部52,53の内側に通されるので、ハーネス49が電子機器1の回動部分に巻き込まれる可能性が小さくなり、ハーネス49の保護が図られている。
【0061】
片持ちヒンジは、一般的に負荷が作用しやすい。本実施形態では、片持ちヒンジとは反対側となる端部で、第1筐体6及び第2筐体14をホルダ51の筒部52,53が支持している。これにより、片持ちヒンジの負荷の軽減が図られている。
【0062】
本実施形態では、第1筐体6は、第1筒部52を受ける第1貫通孔64を有する。第2筐体14は、第2筒部53を受ける第2貫通孔65を有する。これにより、第1筒部52及び第2筒部53は、それぞれ軸受けとなる第1貫通孔64及び第2貫通孔65によって円滑に受けられ、第1筐体6及び第2筐体14に対して円滑に回動しやすくなっている。このため、第1筒部52及び第2筒部53は負荷をより負担しやすく、ヒンジに作用する負荷をより軽減することができる。
【0063】
本実施形態では、第1筒部52は、第1ヒンジ44の軸線の延長線A1上に設けられている。第2筒部53は、第2ヒンジ45の軸線の延長線A2上に設けられている。これにより、第1筒部52及び第2筒部53によって、第1ヒンジ44及び第2ヒンジ45による2軸ヒンジに対応した2つの軸が形成されている。そのため、第1筒部52及び第2筒部53は負荷をより負担しやすく、ヒンジに作用する負荷をより軽減することができる。
【0064】
本実施形態では、ハーネス49はホルダ51に通されて束ねられている。そしてホルダ51を第3筐体21に取り付けることで多くのハーネス49を一度に取り付けることができる。これにより、電子機器1の組立性が向上している。
【0065】
第1筐体6及び第2筐体14を支持するホルダ51の第1筒部52及び第2筒部53には開閉時に負荷が作用するため、長期の使用により形状が歪む可能性がある。具体的には、第1筒部52及び第2筒部53には、第1筒部52と第2筒部53とを互いに近づける方向の負荷が作用しやすい。これは、第1本体部2に対して第2本体部3が立て起こされたとき、例えば第2筒部53から第1筒部52に向かう方向に第2本体部3の自重が作用するためである。
【0066】
このため、第2筒部53は、第1筒部52に向いて変形する可能性がある。第2筒部53が変形すると、第2筒部53と第3筐体21との間に応力が作用し、第3筐体21が破損する可能性がある。
【0067】
一方で、第1筒部52は、第2筒部53に向いて変形する可能性がある。第1筒部52が変形すると、第1筒部52と第3筐体21との間に応力が作用し、第3筐体21が破損する可能性がある。
【0068】
しかしながら本実施形態では、第2筒部53は、第2孔部62の中心とは同心には設けられていない。第2筒部53は、第2孔部62の中心に対して、予め第1筒部52から離れる方向に偏心させて配置されている。
【0069】
このため、繰り返しの使用により第2筒部53が第1筒部52に向いて変形したとしても、第2筒部53と第2孔部62との間に隙間が確保されやすく、第2筒部53は第2孔部62の内周面に押し付けられにくい。このため、第2筒部53と第3筐体21との間に大きな応力が作用しにくく、第3筐体21が破損しにくい。
【0070】
同様に、第1筒部52は、第1孔部61の中心とは同心には設けられていない。第1筒部52は、第1孔部61の中心に対して、予め第2筒部53から離れる方向に偏心させて配置されている。
【0071】
このため、繰り返しの使用により第1筒部52が第2筒部53に向いて変形したとしても、第1筒部52と第1孔部61との間に隙間が確保されやすく、第1筒部52は第1孔部61の内周面に押し付けられにくい。このため、第1筒部52と第3筐体21との間に大きな応力が作用しにくく、第3筐体21が破損しにくい。
【0072】
図10に示すように、本実施形態では、第1貫通孔64は、第1筐体6の短手方向に長手を有した楕円状に形成されている。このため、繰り返しの使用により第1筒部52が第2筒部53に向いて変形したとしても、第1筐体6と第2筐体14との間の隙間は維持されやすい。
【0073】
仮に、第1貫通孔64が、第1筒部52に対応した真円状であれば、第1筒部52が第2筒部53に向いて変形したとき、第1筐体6と第2筐体14との間の隙間が狭まる。そして第1筐体6と第2筐体14とが互いにぶつかる可能性がある。しかしながら、第1貫通孔64が楕円状に形成された本実施形態では、上記のようなおそれが小さい。
【0074】
同様に、本実施形態では、第2貫通孔65は、第2筐体14の短手方向に長手を有した楕円状に形成されている。このため、繰り返しの使用により第2筒部53が第1筒部52に向いて変形したとしても、第1筐体6と第2筐体14との間の隙間は維持されやすく、第1筐体6と第2筐体14は互いにぶつかりにくい。
【0075】
本実施形態では、ホルダ51は、第3筐体21よりも、剛性が高い材料で形成されている。このため、第1筒部52及び第2筒部53は、上記のような変形を生じにくい。そのため、第3筐体21の破損や第1筐体6と第2筐体14の接触が生じにくくなっている。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0077】
上記実施形態では、ホルダ51の第1筒部52及び第2筒部53以外は、ダクト状に形成されていない。これに代えて、ホルダ51の全部または他の一部がダクト状に形成されてもよい。なお、本実施形態のように開放された部分が多いと、ホルダ51とハーネス49との接触面積が小さく、ハーネス49が破損しにくい。また第1筒部52及び第2筒部53は、第1孔部61及び第2孔部62に対して偏心していなくてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…電子機器、6…第1筐体、14…第2筐体、21…第3筐体、41…第1端部、42…第2端部、44…第1ヒンジ、45…第2ヒンジ、49…ハーネス、51…ホルダ、52…第1筒部、53…第2筒部、61…第1孔部、62…第2孔部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に設けられ、前記第1筐体に連結された第1ヒンジ及び前記第2筐体に連結された第2ヒンジが取り付けられた第1端部と、この第1端部とは反対側に位置した第2端部とを有した第3筐体と、
前記第3筐体の第2端部に取り付けられ、前記第1筐体内に差し込まれた第1筒部と、前記第2筐体内に差し込まれた第2筒部とを有したホルダと、
前記第1筐体から前記ホルダの第1筒部及び第2筒部を通って前記第2筐体に延びたハーネスと、
を具備した電子機器。
【請求項2】
請求項1の記載において、
前記第1筐体は、前記第1筒部を受ける孔部が設けられ、前記第2筐体は、前記第2筒部を受ける孔部が設けられた電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2の記載において、
前記第1筒部は、前記第1筐体に対して前記第3筐体を支持し、前記第2筒部は、前記第3筐体に対して前記第2筐体を支持した電子機器。
【請求項4】
請求項1または請求項3の記載において、
前記第1筒部は、前記第1ヒンジの軸線の延長線上に設けられ、前記第2筒部は、前記2ヒンジの軸線の延長線上に設けられた電子機器。
【請求項5】
請求項1または請求項4の記載において、
前記第3筐体は、前記第1筒部が通される孔部を有し、この孔部の中心に対して前記第1筒部は前記第2筒部から離れる方向に偏心した電子機器。
【請求項6】
請求項1または請求項5の記載において、
前記第3筐体は、前記第2筒部が通される孔部を有し、この孔部の中心に対して前記第2筒部は前記第1筒部から離れる方向に偏心した電子機器。
【請求項7】
請求項1または請求項6の記載において、
前記ホルダは、前記第3筐体よりも、剛性が高い材料で形成された電子機器。
【請求項8】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に設けられ、第1筐体及び前記第2筐体に対して回動可能であり、前記第1筐体に面した第1孔部と、前記第2筐体に面した第2孔部とを有した第3筐体と、
前記第3筐体に取り付けられ、前記第1孔部の中心に対して偏心するとともに、前記第1孔部から突出して前記第1筐体内に差し込まれた第1筒部と、前記第2孔部から突出して前記第2筐体内に差し込まれた第2筒部とを有したホルダと、
前記第1筐体から前記ホルダの第1筒部及び第2筒部を通って前記第2筐体に延びたハーネスと、
を具備した電子機器。
【請求項9】
請求項8の記載において、
前記第1筒部は、前記第1孔部の中心に対して前記第2筒部から離れる方向に偏心した電子機器。
【請求項10】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に設けられ、前記第1筐体及び前記第2筐体に対して回動可能な第3筐体と、
前記第3筐体に取り付けられ、前記第1筐体内に差し込まれた第1筒部と、前記第2筐体内に差し込まれた第2筒部とを有したホルダと、
前記第1筐体から前記ホルダの第1筒部及び第2筒部を通って前記第2筐体に延びたハーネスと、
を具備した電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−3625(P2012−3625A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139795(P2010−139795)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】