説明

電極体の製造方法及び電極体

【課題】電極体の製造時や使用時において、活物質層端部の変形等に起因する短絡発生が抑制された電極体を提供する。
【解決手段】固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体の製造方法であって、前記活物質層の少なくとも(A)端面及び(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、を絶縁性材料で被覆する活物質層被覆工程と、前記絶縁性材料で被覆した前記活物質層と前記固体電解質層とを積層した状態で加圧する加圧工程と、を有する電極体の製造方法、並びに、固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体であって、前記活物質層の少なくとも(A)端面、(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、及び、(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部、を被覆する絶縁性材料を備える電極体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極体の製造方法及び電極体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力、高容量の電池の開発が進められている。各種電池の中でも、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウム二次電池が注目されている。
電解液として可燃性の有機溶媒を用いる二次電池は、液漏れの他、短絡や過充電などを想定した安全対策が欠かせない。そこで、安全性向上のために、電解質としてイオン伝導性ポリマーやセラミックス等の固体電解質を用いた固体型電池の研究開発が進められている。
【0003】
全固体型リチウムイオン電池に代表される全固体電池は、一般的に、正極、負極、及びこれら電極の間に配置された固体電解質層を有する電極体を備える。一般的に、正極及び負極は、電極活物質、さらに必要に応じて、導電性材料、固体電解質、バインダー等を含む活物質層と、集電体とを有する。固体電解質層は、固体電解質の他、必要に応じて固体電解質層に可撓性を付与するためのバインダー等を含む。
【0004】
電極体の活物質層は、例えば、電極活物質に、必要に応じて、固体電解質や導電性材料等を添加、混合した活物質材を、粉末成形法により加圧成形することによって形成することができる。また、電極体の固体電解質層は、固体電解質に、必要に応じてバインダー等を添加、混合した電解質材を、粉末成形法により加圧成形することによって形成することができる。一般的には、上記したような加圧成形した活物質層及び固体電解質層を積層し、さらに加圧することで、電極体が作製される。
活物質層及び固体電解質層は、上記粉末成形法以外の方法でも形成することができる。例えば、上記活物質材又は上記電解質材を溶媒に分散してスラリーを調製し、該スラリーを基材(例えば、剥離可能な基材の他、集電体、活物質層、電解質層等の隣接層)に塗布、乾燥する方法が挙げられる。
【0005】
具体的な固体電池として、例えば、特許文献1〜特許文献7に記載されているものが挙げられる。
特許文献1には、電気絶縁性で筒状の絶縁枠と、前記絶縁枠の内部に形成された固体電解質層と、少なくとも前記固体電解質層の一方の面に積層され、前記絶縁枠の内部に形成される電極層と、前記電極層に積層され、前記絶縁枠によって保持されている集電部材と、を備える固体リチウム二次電池が開示されている。特許文献1に記載の全固体電池では、前記絶縁枠中で固体電解質層、活物質層、集電体をプレスすることによって電極体が製造されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−266589号公報
【特許文献2】特開2009−224135号公報
【特許文献3】特開2004−342591号公報
【特許文献4】特開2004−253145号公報
【特許文献5】特開2003−092092号公報
【特許文献6】特開2006−324118号公報
【特許文献7】特開2003−249259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
全固体電池の電極体は、活物質層及び固体電解質層、中でも活物質層が、変形や割れ等を生じやすい。そのため、電極体の製造時や電池使用時において、電極体に圧力がかかった場合等には、活物質層や固体電解質の端部において変形や割れ等が生じやすく、さらには電極体から端部が脱落する場合もある。活物質層の変形した端部や脱落した端部が、固体電解質層の反対側の面、すなわち反対極側に回り込むと、正極活物質層と負極活物質層とが接触することになり、短絡が生じる。また、固体電解質層の端部が変形、割れ、脱落等した場合も、対向する正極活物質層と負極活物質層とが接触し、短絡が生じる場合がある。このような活物質層及び固体電解質層の端部における変形等は、特に自動車用電池等の大面積の電池及び活物質層が厚い高容量電池において生じやすい。
【0008】
例えば、上記特許文献1に記載された電極体の製造方法でも、前記絶縁枠中で固体電解質層、活物質層、集電体をプレスする際、活物質層の端部における変形や剥離が生じ、変形又は剥離した活物質層の端部が固体電解質層の反対側に回り込んで短絡が発生するおそれがある。
【0009】
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、電極体の製造時や使用時において、活物質層端部の変形等に起因する短絡発生が抑制された電極体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電極体の製造方法は、固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体の製造方法であって、
前記活物質層の少なくとも(A)端面及び(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、を絶縁性材料で被覆する活物質層被覆工程と、
前記絶縁性材料で被覆した前記活物質層と前記固体電解質層とを積層した状態で加圧する加圧工程と、
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の電極体の製造方法では、上記のように活物質層の(A)端面及び(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部(以下、(B)固体電解質層側周縁部ということがある)を、予め絶縁性材料で被覆した状態で、固体電解質層と積層して加圧するため、活物質層の端部が、固体電解質層側へ変形したり、脱落するのを抑制することができる。従って、本発明によれば、変形又は脱落した活物質層端部が固体電解質層の反対側の面に回り込むことに起因する、短絡の発生を防止することができる。
【0012】
前記絶縁性材料の具体例としては、絶縁性樹脂が挙げられる。前記絶縁性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができ、この場合、前記加圧工程において加熱することで、該熱可塑性樹脂の移動や該熱可塑性樹脂の薄膜化が可能であると共に、該熱可塑性樹脂と活物質層との密着性を高めることができる。
【0013】
前記活物質層被覆工程における、前記絶縁性材料の具体的な被覆形態としては、例えば、前記絶縁性材料が、少なくとも、前記(A)端面、及び、(B’)前記周縁部(B)であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、に被覆される形態が挙げられる。
【0014】
前記活物質層被覆工程において、さらに、前記活物質層の(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部を、絶縁性材料で被覆してもよい。前記(A)端面及び前記(B)固体電解質層側周縁部に加えて、前記(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部(以下、(C)集電体側周縁部ということがある)も、予め絶縁性材料で被覆することによって、活物質層と固体電解質層とを積層して加圧する際、活物質層の端部が、集電体側へ変形したり、脱落するのを抑制することができる。その結果、活物質層の端部における変形や脱落に起因する短絡を抑制することができる。
【0015】
本発明の電極体の製造方法は、前記固体電解質層の少なくとも(a)端面及び(b)前記活物質層と対向する面の前記端面の周縁部を、絶縁性材料で被覆する固体電解質層被覆工程を、さらに有し、前記加圧工程において、前記絶縁性材料で被覆した前記活物質層と、前記絶縁性材料で被覆した前記固体電解質層とを、積層した状態で加圧してもよい。
【0016】
上記のように固体電解質層の(a)端面及び(b)前記活物質層と対向する面の前記端面の周縁部(以下、(b)活物質層側周縁部ということがある)を、予め絶縁性材料で被覆した状態で、活物質層と積層して加圧することによって、固体電解質層の端部が、変形したり、脱落するのを抑制することができる。従って、本発明によれば、固体電解質層の端部の変形や脱落等に起因する、短絡の発生を防止することができる。
【0017】
前記固体電解質層被覆工程における、前記絶縁性材料の具体的な被覆形態としては、例えば、前記絶縁性材料が、少なくとも、前記(a)端面、及び、(b’)前記周縁部(b)であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域に被覆される形態が挙げられる。
【0018】
本発明の電極体は、固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体であって、
前記活物質層の少なくとも(A)端面、(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、及び、(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部、を被覆する絶縁性材料を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の電極体は、上記ように、活物質層の(A)端面、(B)固体電解質層側周縁部、及び(C)集電体側周縁部が、絶縁性材料で被覆されているため、活物質層の端部の変形、割れ、脱落等が生じにくい。従って、本発明の電極体では、活物質層の端部における変形や割れ、脱落等に起因する、短絡の発生が防止されている。
【0020】
前記絶縁性材料としては、例えば、絶縁性樹脂が挙げられる。
【0021】
本発明の電極体において、前記絶縁性材料の具体的な被覆形態としては、例えば、前記絶縁性材料が、少なくとも、前記活物質層の前記(A)端面、並びに、(B’)前記活物質層の前記周縁部(B)であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、及び/又は、(C’)前記活物質層の前記周縁部(C)であって前記集電体と前記活物質層との間に挟まれる領域、を被覆する形態が挙げられる。
【0022】
本発明の電極体は、さらに、前記固体電解質層の少なくとも(a)端面及び(b)前記活物質層と対向する面の前記端面の周縁部を被覆する絶縁性材料を備えていてもよい。固体電解質層の端部における変形、脱落等が抑制され、これらに起因する短絡を防止することができるからである。
このとき、前記絶縁性材料の具体的な被覆形態としては、例えば、前記絶縁性材料が、少なくとも、前記固体電解質層の(a)端面、及び、(b’)前記活物質層と対向する面の前記周縁部(b)であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、を被覆する形態が挙げられる。
【0023】
本発明の電極体は、さらに、前記電極体の端面を覆う枠体を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電極体の製造時や使用時における活物質層の端部における変形や脱落等に起因する、短絡を抑制することができる。従って、本発明によれば、電極体の信頼性向上及び高寿命化が実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の電極体の製造方法の一例を示す模式図である。
【図2】図1における絶縁性材料4の被覆形態を示す模式図である。
【図3】絶縁性材料4の被覆形態例を示す模式図である。
【図4】本発明の電極体の製造方法の他の例を示す模式図である。
【図5】図4における絶縁性材料4の被覆方法を説明する模式図である。
【図6】絶縁性材料4の被覆形態例を示す模式図である。
【図7】本発明の電極体の製造方法の他の例を示す模式図である。
【図8】本発明の電極体の製造方法における加圧工程の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の電極体の製造方法は、固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体の製造方法であって、
前記活物質層の少なくとも(A)端面及び(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、を絶縁性材料で被覆する活物質層被覆工程と、
前記絶縁性材料で被覆した前記活物質層と前記固体電解質層とを積層した状態で加圧する加圧工程と、
を有することを特徴とする。
【0027】
以下、図1〜図8を用いて、本発明の電極体の製造方法について説明する。図1は、本発明の電極体の製造方法の一例を示す模式図、図2は、図1における絶縁性材料4の被覆形態を示す模式図であって、負極活物質層1及び絶縁性材料4の拡大断面図[2A]、並びに負極活物質層1を固体電解質層2側から見た斜視図[2B]である。図3及び図6は絶縁性材料の被覆形態例を示す図、図4及び図7は、本発明の電極体の製造方法の他の例を示す図である。
【0028】
図1に示す実施形態では、まず、負極活物質層1及び正極活物質層3の、(A)端面及び(B)固体電解質層2と対向する面の前記(A)端面の周縁部、をそれぞれ絶縁性材料4で被覆する([1A])。次に、負極集電体5、絶縁性材料4で被覆した負極活物質層1、固体電解質層、絶縁性材料4で被覆した正極活物質層3、及び正極集電体6をこの順番で積層、加圧[1B]して、電極体7を作製している。
【0029】
尚、図1に示す実施形態においては、得られる電極体7は、活物質層として負極活物質層1と正極活物質層3の両方を有しているが、本発明において電極体とは、活物質層として負極活物質層と正極活物質層のうち一方のみを有しているものも含む。このような一方の活物質層のみを有する電極体は、反対極の活物質層と積層することで、発電要素として機能させることができる。
また、図1に示す実施形態では、負極活物質層1及び正極活物質層3が共に絶縁性材料4で被覆されているが、本発明の製造方法及び電極体においては、負極活物質層又は正極活物質層の少なくとも一方が絶縁性材料で被覆されていればよい。
【0030】
本発明において活物質層の端面(A)とは、図2に示すように、言い換えれば、活物質層の積層方向における側面である。図1及び図2では、活物質層は矩形を有しており、端面(A)は4つの側面からなる。また、活物質層の(B)固体電解質層と対向する面の前記(A)端面の周縁部(固体電解質層側周縁部)とは、言い換えれば、活物質層の固体電解質層と対向する面の端縁部であって、前記端面から連続する領域である。後述する活物質層の(C)集電体と対向する面の前記端面の周縁部(集電体側周縁部)も、上記(B)固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部と同様であり、活物質層の集電体と対向する面の端縁部であって、前記端面から連続する領域と言い換えることができる。
また、後述する固体電解質層の(a)端面及び(b)活物質層と対向する面の前記端面の周縁部(活物質層側周縁部)も同様であり、それぞれ、固体電解質層の積層方向における側面、固体電解質層の活物質層と対向する面の端縁部であって、前記端面から連続する領域と言い換えることができる。
【0031】
上記のように、活物質層を、(A)端面及び(B)固体電解質層側周縁部を絶縁性材料で被覆した状態で、固体電解質層と積層、加圧することによって、活物質層の端部が絶縁性材料で保護されているため、加圧時の活物質層の端部における変形や脱落等の発生を抑制することができる。その結果、従来の電極体の製造方法において生じていた、活物質層の端部の変形や脱落に起因する短絡を抑制することができる。すなわち、本発明によれば、高信頼性及び高寿命の電極体を提供することが可能である。
【0032】
以下、本発明の電極体の製造方法の各工程について、詳しく説明する。
まず、活物質層と固体電解質層の作製方法について説明する。
【0033】
[活物質層の作製及び固体電解質層の作製]
活物質層の作製方法は特に限定されず、任意の方法を採用することができる。例えば、活物質のみからなる活物質材、或いは、活物質と、必要に応じて、導電性材料、固体電解質、バインダー等とを混合した活物質材を用いて作製することができる。
【0034】
活物質は、電極体の種類、用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、リチウム電池の負極活物質としては、例えば、リチウム金属、Li−Al合金やLi−In合金等のリチウム合金、Li4Ti512等のチタン酸リチウム、炭素繊維や黒鉛等の炭素材料等が挙げられる。また、リチウム電池の正極活物質としては、例えば、二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニオブ、等の遷移金属カルコゲナイド、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2、LiMn24)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)等の遷移金属酸化物等が挙げられる。
活物質の形状やサイズは特に限定されないが、平均粒径が0.02〜20μmであることが好ましく、特に0.05〜15μmであることが好ましい。尚、本発明において、各材料の平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
【0035】
導電性材料は、電極体の種類や用途等に応じて、適宜選択することができる。例えば、リチウム電池用の導電性材料としては、導電性炭素粒子、導電性炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。導電性材料の形状、サイズに特に限定はないが、長軸径が0.05〜10μmであることが好ましく、特に0.1〜2μmであることが好ましい。
【0036】
固体電解質は、電極体の種類や用途に応じて、適宜選択することができる。例えば、リチウム電池用の固体電解質としては、後述する固体電解質層で用いられる固体電解質が挙げられる。
【0037】
バインダーは、電極体の種類や用途に応じて、適宜選択すればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
【0038】
活物質材における各物質の混合比は、電極体が適切に作動可能な比率であればよく、電極体の種類や用途に応じて適宜決定すればよい。例えば、重量比で、活物質:導電性材料:固体電解質:バインダー=60〜80:0.05〜2:15〜30:0.05〜2の混合比とすることができる。
【0039】
上記活物質材を成形することで活物質層を形成することができる。
活物質材の成形方法は、特に限定されず、例えば、粉末状の活物質材を加圧する方法が挙げられる。加圧条件は特に限定されず、例えば、100〜300MPa程度とすることができる。また、加圧時に必要に応じて加熱してもよい。
活物質材のその他の成形方法としては、活物質材を適切な溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを塗布、乾燥する方法が挙げられる。スラリーの塗布方法としては、一般的な方法を採用することができ、例えば、スプレー法、ドクターブレード法、ダイコーター法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0040】
固体電解質層の作製方法は特に限定されず、任意の方法を採用することができる。例えば、固体電解質のみからなる固体電解質材、或いは、固体電解質と、必要に応じて、バインダー等を混合した活物質材を用いて作製することができる。
固体電解質は、電極体の種類、用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、リチウム電池の固体電解質としては、(LiPO)x−(LiS)y−(SiS)zガラス、(LiS)x−(SiS)yガラス、(LiS)x−(P)yガラス、及び、これらガラスを一部結晶化した結晶化ガラス等の硫化物系無機固体電解質、LiTi(PO、LiZr(PO、LiGe(PO等のNASICON型酸化物系無機固体電解質、(La0.5+xLi0.5−3x)TiO等のペロブスカイト型酸化物無機固体電解質等のリチウムイオン伝導性樹脂、などが挙げられる。
無機固体電解質を用いる場合、無機固体電解質の形状、サイズに特に限定はないが、平均粒径が0.002〜20μmであることが好ましく、特に0.005〜10μmであることが好ましい。
【0041】
固体電解質材における各物質の混合比は、電極体が適切に作動可能な比率であればよく、電極体の種類や用途に応じて適宜決定すればよい。例えば、重量比で、固体電解質:バインダー=90〜99:1〜10の混合比とすることができる。
【0042】
上記固体電解質材を成形することで固体電解質層を形成することができる。
固体電解質材の成形方法は、特に限定されず、例えば、粉末状の固体電解質材を加圧する方法が挙げられる。加圧条件は特に限定されず、例えば、100〜300MPa程度とすることができる。尚、加圧時、必要に応じて加熱してもよい。
固体電解質層のその他の成形方法としては、固体電解質材を適切な溶媒に分散させたスラリーを調製し、該スラリーを塗布、乾燥する方法が挙げられる。スラリーの塗布方法としては、一般的な方法を採用することができ、例えば、スプレー法、ドクターブレード法、ダイコーター法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0043】
[活物質層被覆工程]
活物質層被覆工程は、活物質層の少なくとも(A)端面及び(B)固体電解質層側周縁部を、絶縁性材料で被覆する工程である。
【0044】
絶縁性材料は、絶縁性を有するものであれば特に限定されない。例えば、絶縁性樹脂、金属に絶縁性コートを施したもの、ガラス等が挙げられ、中でも、活物質層の保護の観点から、絶縁性樹脂が好ましい。絶縁性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂等の熱可塑性絶縁樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、アルキド樹脂等の熱硬化性絶縁樹脂、などが挙げられる。
絶縁性材料として、熱可塑性絶縁樹脂を用いる場合、加圧工程において、該熱可塑性絶縁樹脂の軟化点温度以上に加熱することによって、軟化した熱可塑性絶縁樹脂を移動させることが可能である。従って、熱可塑性絶縁樹脂を用いる場合、加圧工程において、熱可塑性絶縁樹脂を流動化させ、その配置位置をより適した位置にコントロールすることも可能である。
【0045】
活物質層の絶縁性材料による被覆形態は、少なくとも活物質層の上記(A)端面及び(B)固体電解質層側周縁部が絶縁性材料で被覆されていれば特に限定されない。
絶縁性材料による、前記(A)端面及び前記(B)固体電解質層側周縁部の具体的な被覆形態としては、例えば、前記(A)端面及び(B’)前記固体電解質層側周縁部(B)であって固体電解質層と活物質層との間に挟まれる領域に絶縁性材料が被覆される形態が挙げられる。このように、前記(B)固体電解質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、活物質層1,3と固体電解質層2とを積層した時に、活物質層1,3と固体電解質層2との間に挟まれる領域にも存在することによって、加圧工程における活物質層の端部の変形や脱落等をより確実に防止することができる。
【0046】
尚、図1のように、活物質層1,3の端面の位置と固体電解質層2の端面の位置とがほぼ一致する場合には、前記(B)固体電解質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、自動的に、活物質層1,3と固体電解質層2との間に挟まれる領域に被覆されることになる。
しかしながら、図3[3A]に示すように、活物質層1,3の方が固体電解質層2よりも大きく、活物質層1,3の端面が固体電解質層2の端面よりも外側に位置する場合には、前記(B)固体電解質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、活物質層1,3と固体電解質層2とを積層した際に、固体電解質層2の端面よりも外側の領域にのみ存在する場合もある。これに対して、図3[3B]に示すように、活物質層1,3の方が固体電解質層2よりも大きく、活物質層1,3の端面が固体電解質層2の端面よりも外側に位置する場合に、前記(B)固体電解質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、活物質層1,3と固体電解質層2との間に挟まれる領域にも存在することによって、加圧工程において活物質層1,3の端部が固体電解質層2側へ変形したり、脱落したりするのをより確実に防止することができる。さらには、加圧時の固体電解質層の端部における変形等も抑制されることが期待できる。
【0047】
また、活物質層は、図4に示すように、さらに(C)集電体と対向する面の前記(A)端面の周縁部(集電体側周縁部)を、絶縁性材料で被覆してもよい。このように、活物質層の(C)集電体側周縁部を絶縁性材料で被覆することによって、活物質層の端部の変形や脱落等をより確実に抑制することができる。
【0048】
絶縁性材料として、熱可塑性絶縁樹脂を用いる場合、(A)端面と、活物質層の固体電解質層と対向する面全体を絶縁性材料で被覆することもできる。熱可塑性絶縁樹脂を用いる場合、さらには、活物質層全体を被覆することもできる。上記したように、熱可塑性絶縁樹脂を用いる場合、加圧工程において、加熱により熱可塑性絶縁樹脂を軟化させた状態で加圧することによって、熱可塑性絶縁樹脂を移動(例えば、活物質層の端面側へ移動)させることができ、活物質層表面の充放電部を確保することができるからである。
【0049】
活物質層を絶縁性材料で被覆する方法は特に限定されず、絶縁性材料の種類、活物質層を形成する材料の種類等に応じて、適宜選択すればよい。例えば、絶縁性材料で被覆しない部分をマスキングした状態で、絶縁性材料を乾式又は湿式で活物質層表面にコーティングする方法が挙げられる。或いは、図5に示すように、絶縁性材料からなるフィルムを、活物質層全体にラミネートし、絶縁性材料を被覆しない領域(非被覆領域)の絶縁性フィルムを除去する方法等が挙げられる。非被覆領域の絶縁性フィルムを除去する方法としては、例えば、レーザー等で非被覆領域と被覆領域との境界に切込みを入れ、非被覆領域の絶縁性フィルムを取り除く方法が挙げられる。
【0050】
被覆する絶縁性材料の厚さは、用いる絶縁性材料、加圧工程後の絶縁性材料の配置形態、電極体の構造等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、5〜100μm、特に5〜20μmの範囲であることが好ましい。
加圧工程後、得られる電極体において、活物質層と固体電解質層との間、及び/又は、後述するように活物質層と集電体との間に、絶縁性材料が配置される場合には、加圧工程後の絶縁性材料の厚さが、5〜20μm、特に0〜10μmの範囲となるように、各層を絶縁性材料で被覆することが好ましい
【0051】
[固体電解質層被覆工程]
本発明の電極体の製造方法は、固体電解質層の少なくとも(a)端面及び(b)活物質層と対向する面の前記(a)端面の周縁部(活物質層側周縁部)を、絶縁性材料で被覆する固体電解質層被覆工程を備えていてもよい。
活物質層に加えて、固体電解質層も上記のように絶縁性材料で被覆した状態で、活物質層と固体電解質層とを加圧することによって、加圧時の活物質層及び固体電解質層の端部における変形や脱落を防止することができる。その結果、電極体における正極と負極との短絡をより確実に抑制することが可能となる。
【0052】
固体電解質層において、前記(b)活物質層と対向する面としては、正極活物質層と対向する面と負極活物質層と対向する面とがあるが、絶縁性材料で被覆されるのは、上記2面の一方の面のみであってもよいし、両方の面でもよい(例えば、図4、図6)。
【0053】
絶縁性材料による、前記(a)端面及び前記(b)活物質層側周縁部の具体的な被覆形態としては、例えば、前記(a)端面及び(b’)前記活物質層側周縁部(b)であって活物質層と固体電解質層との間に挟まれる領域に絶縁性材料が被覆される形態が挙げられる。このように、前記(b)活物質層側周縁部を被覆する絶縁性材料が、活物質層と固体電解質層とを積層した時に、活物質層と固体電解質層との間に挟まれる領域にも存在することによって、加圧工程における固体電解質層の端部の変形や脱落等をより確実に防止することができる。
【0054】
尚、図4のように、活物質層1,3の端面の位置と固体電解質層2の端面の位置とがほぼ一致する場合には、前記(b)活物質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、自動的に、活物質層1,3と固体電解質層2との間に挟まれる領域に被覆されることになる。
しかしながら、図6[6A]に示すように、活物質層1,3の方が固体電解質層2よりも小さく、活物質層1,3の端面が固体電解質層2の端面よりも内側に位置する場合には、前記(b)活物質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、活物質層1,3と固体電解質層2とを積層した際に、活物質層1,3の端面よりも外側の領域にのみ存在する場合もある。これに対して、図6[6B]に示すように、活物質層1,3の方が固体電解質層2よりも小さく、活物質層1,3の端面が固体電解質層2の端面よりも内側に位置する場合に、前記(b)固体電解質層側周縁部を被覆する絶縁性材料4が、活物質層1,3と固体電解質層2との間に挟まれる領域にも存在することによって、加圧工程における固体電解質層2の端部の変形や脱落をより確実に防止することができる。さらには、加圧時の活物質層の端部における変形等もさらに抑制できることが期待できる。
【0055】
絶縁性材料の種類、絶縁性材料を被覆する方法、絶縁性材料の厚さ等については、上記活物質層と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0056】
[加圧工程]
加圧工程は、前記活物質層被覆工程において絶縁性材料で被覆した活物質層と、固体電解質層とを積層した状態で加圧する工程である。前記固体電解質層被覆工程を設けた場合には、絶縁性材料で被覆された活物質層と絶縁性材料で被覆された固体電解質層とを積層した状態で加圧することになる。
加圧工程において、具体的な加圧条件は特に限定されず、各層を構成する物質、電池の用途等に応じて適宜設定すればよい。例えば、100〜300MPaの範囲であることが好ましい。
【0057】
加圧工程において、加圧と共に加熱してもよい。電極体を構成する物質によっては、加熱によって各層間の密着性を向上させることが可能である。また、上記したように、活物質層及び/又は固体電解質層を被覆する絶縁性材料として、熱可塑性絶縁樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂を軟化させることができ、軟化させた状態で加圧することによって、該熱可塑性絶縁樹脂を、所望の位置に移動させることができるからである。
【0058】
例えば、図1や図4に示す形態では、加圧工程において加熱加圧([1B]、[4B])されて得られた電極体7は、それぞれ、固体電解質層2と負極活物質層1及び正極活物質層3との間に、絶縁性材料4が挟まれた状態である。このように、電極体において、絶縁性材料が、層の端面(上記(A)、(a))のみならず、該端面の周縁部であって固体電解質層と活物質層との間に挟まれる領域(上記(B’)、(C’)、(b’))にも存在することによって、加圧工程における活物質層や固体電解質層の端部における変形等を防止すると共に、その後の電池の製造工程や使用時における該端部の変形等も防止することができる。
これに対して、図7に示す形態ように、加圧工程において加熱加圧([7B])されて得られた電極体7は、絶縁性材料4が層の端面(上記(A)、(a))のみに存在している。絶縁性材料被覆工程において、各層の端面の周縁部であって固体電解質層と活物質層との間に挟まれる領域(上記(B’)、(C’)、(b’))にも配置された絶縁性材料を、加圧工程における加熱加圧により軟化させた状態で圧力を作用させることによって、層の端面側へと押し出し、移動させたためである。このように、層間に存在していた絶縁性材料を層の端面へと移動させることによって、後続する電池の製造工程や使用時における上記端部の変形等を抑制する効果は小さくなるが、電極の充放電面積を大きくできるというメリットがある。
【0059】
ここで、上記のように、加圧工程における加熱加圧によって、固体電解質層と活物質層との間に対応する位置に配置された絶縁性材料を、層の端面側へ移動させる具体的な方法例について、図8を用いて説明する。
図8において、加熱加圧されるのは、図7に示す形態と同じように、絶縁性材料4で被覆された負極活物質層1、固体電解質層2及び正極活物質層3をこの順序で重ね合わせたものを、負極集電体5及び正極集電体6で挟み込んだ積層体10である。すなわち、負極活物質層1及び正極活物質層3は、(A)端面と(B)固体電解質層側周縁部と(C)集電体側周縁部とが絶縁性材料4で被覆されており、固体電解質層2は、(a)端面と(b)活物質層側周縁部とが絶縁性材料4で被覆されている。
尚、図8において、各層の上記周縁部(B)、(C)及び(b)を被覆する絶縁性材料4の内周端の位置は、各層の積層方向において一致している。図8においては、上記内周端の位置を破線Xで示している。
【0060】
まず、積層体10を、第1ヘッド8で加熱加圧する(図8[8A])。第1ヘッドは、各層の上記内周端Xより内側の領域を加圧できる形状を有している。このように、まず、活物質層1,3及び固体電解質層2の絶縁性材料で被覆されていない領域を加熱加圧することで、各層の密着を行う。このとき、絶縁性材料で被覆された領域を加熱加圧しないことによって、軟化した絶縁性材料が、絶縁性材料で被覆されていない領域へ移動するのを防止している。
次に、第1ヘッド8による加熱加圧を保持したまま、第2ヘッド9で積層体10を加熱加圧する(図8[8B])。第2ヘッド9は、各層の上記内周端から外側の領域を加圧加熱できる形状、すなわち、絶縁性材料で被覆された領域を加圧できる形状を有している。このように、絶縁性材料で被覆されていない領域の加熱加圧を保持した状態で、絶縁性材料で被覆された領域の加熱加圧を行うことによって、軟化した絶縁性材料が、上記内周端Xより内側の充放電部へ移動するのを防止することができる。また、軟化した絶縁性材料を、各層の端面側へと押し出し、固体電解質層と活物質層との間から取り去り、充放電に有効な面積を拡大することが可能である。
【0061】
加圧工程における、具体的な加熱温度は、加熱の目的によって適宜設定すればよい。例えば、リチウム電池の電極体の場合、30〜300℃の範囲であることが好ましく、特に50〜200℃の範囲であることが好ましい。リチウム電池の電極体を作製する場合に、絶縁性材料として熱可塑性絶縁樹脂を用い、該熱可塑性絶縁樹脂を軟化させる場合には、上記温度範囲内に軟化点を有する熱可塑性絶縁樹脂を用い、該軟化点以上に加熱することが好ましい。
【0062】
加圧工程において、加圧する活物質層に集電体を積層した状態で加圧を行ってもよい。集電体の材料及び形状は、電極体の種類、用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、SUS、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、カーボン等が挙げられる。集電体の厚さは、例えば、5〜20μm程度でよい。
【0063】
[電極体]
次に、本発明の電極体について説明する。
本発明の電極体は、固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体であって、
前記活物質層の少なくとも(A)端面、(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、及び、(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部、を被覆する絶縁性材料を備えることを特徴とする。
【0064】
上記のように、活物質層の(A)端面、(B)固体電解質層側周縁部及び(C)集電体側周縁部が絶縁性材料によって被覆された本発明の電極体は、該電極体を備える固体電池の製造工程、及び該固体電池の使用時における、活物質層の端部における変形や脱落、割れ等が防止されている。従って、本発明の電極体は、上記活物質層の端部の変形等に起因する短絡の発生が抑制されており、高耐久性及び高信頼性を有する。
【0065】
本発明の電極体において、絶縁性材料の具体的な被覆形態としては、例えば、図4の電極体7のように、少なくとも、活物質層1,3の前記(A)端面、並びに、(B’)前記固体電解質側周縁部(B)であって固体電解質層2と活物質層1,3との間に挟まれる領域、及び/又は、(C’)前記集電体側周縁部(C)であって集電体5,6と活物質層1,3との間に挟まれる領域、を被覆する形態が挙げられる。
このように、活物質層の前記各周縁部を被覆する絶縁性材料が、活物質層と固体電解質層及び/又は集電体との間に挟まれる領域にも存在することによって、活物質層端部における変形等をより確実に抑制することができる。
【0066】
さらに、本発明の電極体は、前記固体電解質層の少なくとも(a)端面及び(b)前記活物質層と対向する面の前記端面の周縁部を被覆する絶縁性材料を備えていてもよい。このとき、絶縁性材料の具体的な被覆形態としては、例えば、少なくとも、前記固体電解質層の(a)端面、及び、(b’)前記活物質層と対向する面の前記周縁部(b)であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、を被覆する形態が挙げられる。
このように、活物質層だけでなく、固体電解質層もその端部周縁領域を、絶縁性材料で被覆することによって、電極体を備える固体電池の製造工程、及び該固体電池の使用時における活物質層及び固体電解質層の端部の変形等を防止し、より確実に短絡の発生を抑制することができる。
【0067】
電極体を構成する各層の材料、作製方法、絶縁性材料、絶縁性材料の被覆形態等については、上記電極体の製造方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0068】
本発明の電極体は、例えば、上記した本発明の電極体の製造方法によって製造することができる。
本発明の電極体は、必要に応じて、複数積層したり、或いは、帯状の電極体であれば捲回してもよい。
【0069】
また、本発明の電極体は、その端面を覆う筒状の枠体内に収容されていてもよい。枠体に収容することによって、電極体を構成する各層の端部における変形や脱落等をより確実に防止することができる。
本発明の電極体は、活物質層の端面が絶縁性材料で被覆されているため、枠体は、絶縁性を有するものであってもよいし、導電性を有するものであってもよい。例えば、枠体を形成する絶縁性材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ABS樹脂、アクリル樹脂等、導電性材料としては、例えば、SUS、アルミニウム、鉄、チタン、カーボン等が挙げられる。
電極体を枠体内に収容する場合の電極体の製造方法としては、枠体内に収容した状態で上記加圧工程を施してもよいし、加圧工程後の電極体を枠体内に収容してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…負極活物質層
2…固体電解質層
3…正極活物質層
4…絶縁性材料
5…負極集電体
6…正極集電体
7…電極体
8…第1ヘッド
9…第2ヘッド
10…積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体の製造方法であって、
前記活物質層の少なくとも(A)端面及び(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、を絶縁性材料で被覆する活物質層被覆工程と、
前記絶縁性材料で被覆した前記活物質層と前記固体電解質層とを積層した状態で加圧する加圧工程と、
を有することを特徴とする電極体の製造方法。
【請求項2】
前記絶縁性材料が絶縁性樹脂である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁性樹脂が熱可塑性樹脂であり、前記加圧工程において加熱する、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記活物質層被覆工程において、前記絶縁性材料は、少なくとも、前記(A)端面、及び、(B’)前記周縁部であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、に被覆される、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記活物質層被覆工程において、さらに、前記活物質層の(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部を、絶縁性材料で被覆する、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記固体電解質層の少なくとも(a)端面及び(b)前記活物質層と対向する面の前記端面の周縁部を、絶縁性材料で被覆する固体電解質層被覆工程を、さらに有し、
前記加圧工程において、前記絶縁性材料で被覆した前記活物質層と、前記絶縁性材料で被覆した前記固体電解質層とを、積層した状態で加圧する、請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記固体電解質層被覆工程において、前記絶縁性材料は、少なくとも、前記(a)端面、及び、(b’)前記周縁部であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域に被覆される、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
固体電解質層、集電体、及び前記固体電解質層と前記集電体との間に挟まれた活物質層を少なくとも備える電極体であって、
前記活物質層の少なくとも(A)端面、(B)前記固体電解質層と対向する面の前記端面の周縁部、及び、(C)前記集電体と対向する面の前記端面の周縁部、を被覆する絶縁性材料を備えることを特徴とする電極体。
【請求項9】
前記絶縁性材料が絶縁性樹脂である、請求項8に記載の電極体。
【請求項10】
前記絶縁性材料は、少なくとも、前記活物質層の前記(A)端面、並びに、(B’)前記活物質層の前記周縁部であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、及び/又は、(C’)前記活物質層の前記周縁部であって前記集電体と前記活物質層との間に挟まれる領域、を被覆する、請求項8又は9に記載の電極体。
【請求項11】
さらに、前記固体電解質層の少なくとも(a)端面及び(b)前記活物質層と対向する面の前記端面の周縁部を被覆する絶縁性材料を備える、請求項8乃至10のいずれかに記載の電極体。
【請求項12】
前記絶縁性材料は、少なくとも、前記固体電解質層の(a)端面、及び、(b’)前記活物質層と対向する面の前記周縁部であって前記固体電解質層と前記活物質層との間に挟まれる領域、を被覆する、請求項11に記載の電極体。
【請求項13】
さらに、前記電極体の端面を覆う枠体を備える、請求項8乃至12のいずれかに記載の電極体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−38425(P2012−38425A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174516(P2010−174516)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】