説明

電気機器

【課題】 基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスを効率的に冷却することができる電気機器を提供する。
【解決手段】 冷却ファン20は、外気を吸気して基板上に配置された複数のデバイスを冷却し、冷却デバイス決定部103は、複数のデバイスの中から冷却するデバイスを動作モードに応じて決定し、風向調節部105は、冷却デバイス決定部103によって決定されたデバイスを冷却するべく冷却ファン20の風向を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に複数のデバイスが配置される電気機器に関するものであり、特に、スキャナ、プリンタ、コピー機及びこれらの機能を有する複合機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コピー機などの画像形成装置において、排風ファンの回転数を可変させるものが提案されている。このような画像形成装置としては、例えば、冷却する負荷の電流変化に応じて冷却ファンの回転数を可変させるものや、連続使用する時間や連続コピー枚数に応じて冷却ファンの回転数を可変させるものが提案されている。
【0003】
また、プリント動作中の定着設定温度を通常温度と高温温度との2段階に設定可能な画像形成装置では、高温度プリントモード時におけるファンの回転数を通常温度プリントモード時におけるファンの回転数よりも高くなるように制御し、通常温度プリントモード時の排気能力を適正化し、発生する騒音を小さくしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−42710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像形成装置の省スペース化及び高速化に伴い、電源などの温度上昇が大きくなる傾向にあり、温度上昇を抑制するためのさらなる冷却効果が必要とされている。しかしながら、冷却効果を得るために冷却ファンを高速駆動させると騒音が大きくなるという問題が生じる。
【0005】
また、画像形成装置には、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードなどの複数の動作モードが存在する。そして、基板上に配置された複数のデバイスは、これらの動作モードに応じて高温となるデバイスが異なる。そのため、冷却ファンを固定して基板を一様に冷却した場合、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスを効率的に冷却することが困難であった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスを効率的に冷却することができる電気機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気機器は、基板上に複数のデバイスが配置される電気機器であって、外気を吸気して基板上に配置された複数のデバイスを冷却する冷却ファンと、複数のデバイスの中から冷却するデバイスを決定する冷却デバイス決定手段と、前記冷却デバイス決定手段によって決定されたデバイスを冷却するべく前記冷却ファンの風向を調節する風向調節手段とを備える。
【0008】
この構成によれば、複数のデバイスの中から冷却するデバイスが決定され、決定されたデバイスを冷却するべく冷却ファンの風向が調節されるので、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスに冷却ファンからの送風を直接当てることができ、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスを効率的に冷却することができる。
【0009】
また、上記の電気機器において、高温となるデバイスがそれぞれ異なる複数の動作モードの中から1の動作モードを設定する動作モード設定手段をさらに備え、前記冷却デバイス決定手段は、複数のデバイスの中から冷却するデバイスを動作モードに応じて決定することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、高温となるデバイスがそれぞれ異なる複数の動作モードの中から1の動作モードが設定され、複数のデバイスの中から冷却するデバイスが動作モードに応じて決定されるので、基板上に配置された複数のデバイスの中から冷却するデバイスを動作モードに応じて決定することができる。
【0011】
また、上記の電気機器において、前記冷却ファンの吸気側に設けられたルーバーと、前記ルーバーを開く角度を前記動作モードに応じて調節する角度調節手段とをさらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、冷却ファンの吸気側に設けられたルーバーを開く角度が動作モードに応じて調節されるので、動作モード毎に吸気する風量を調節することができ、騒音を抑制することができる。
【0013】
また、上記の電気機器において、前記複数のデバイスの温度をデバイス毎に測定する温度測定手段をさらに備え、前記冷却デバイス決定手段は、複数のデバイスの中から前記温度測定手段によって測定された温度が最も高いデバイスを、冷却するデバイスとして決定することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、複数のデバイスの温度がデバイス毎に測定され、複数のデバイスの中から温度が最も高いデバイスが、冷却するデバイスとして決定されるので、冷却するデバイスを動作モード毎に決定するのではなく、特に高温となったデバイスを冷却することができ、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスをより効率的に冷却することができる。
【0015】
また、上記の電気機器において、前記冷却デバイス決定手段は、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び前記熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードのうちのいずれかの動作モードに応じて、冷却するデバイスを決定することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードのうちのいずれかの動作モードに応じて、冷却するデバイスが決定される。したがって、プリントモード、スタンバイモード及び省電力モードのそれぞれの動作モードに応じて、冷却するデバイスが決定されるので、プリントモード時に高温となるデバイスと、スタンバイモード時に高温となるデバイスと、省電力モード時に高温となるデバイスとをそれぞれ冷却することができる。
【0017】
また、上記の電気機器において、前記冷却デバイス決定手段は、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び前記熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードのうちのいずれかの動作モードに応じて、冷却するデバイスを決定し、前記角度調節手段は、前記動作モードが前記プリントモードである場合、前記ルーバーを全開状態とし、前記動作モードが前記スタンバイモードである場合、前記ルーバーを半開状態とし、前記動作モードが前記省電力モードである場合、前記ルーバーを閉じた状態とすることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、動作モードがプリントモードである場合、ルーバーが全開状態とされ、動作モードがスタンバイモードである場合、ルーバーが半開状態とされ、動作モードが省電力モードである場合、ルーバーが閉じた状態とされる。したがって、他の動作モードよりも高い熱が発生するプリントモード時には、ルーバーが全開状態とされるので、吸気する風量を増加させることができ、プリントモード時よりも発生する熱が低いスタンバイモード時には、ルーバーが半開状態とされ、他の動作モードよりも発生する熱が低い省電力モード時には、ルーバーが閉じた状態とされるので、騒音を抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のデバイスの中から冷却するデバイスが決定され、決定されたデバイスを冷却するべく冷却ファンの風向が調節されるので、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスに冷却ファンからの送風を直接当てることができ、基板上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスを効率的に冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る電気機器の一例としての画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、複数のデバイスが配置された基板の一例を示す図である。図1に示す基板10には、複数のデバイス11(11a,11b,11c,11d)が配置されている。なお、本明細書において、総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を示す場合には、アルファベットの添え字を付した参照符号で示す。また、説明の便宜上、図1では、各デバイス11の形状を直方体形状としているが、全てのデバイス11の形状が直方体形状であるわけではなく、デバイス11の種類に応じて形状は異なる。
【0021】
本実施の形態におけるデバイス11は、例えば、CPU(中央演算処理装置)、ヒータ、トライアック、コイル及びトランス等の発熱する電子部品である。画像形成装置では、動作モードに応じて高温となるデバイスが異なる。画像形成装置における動作モードには、プリントモードとスタンバイモードと省電力モードとがある。
【0022】
プリントモードは、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行する。スタンバイモードは、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つ。省電力モードは、定着部の熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する。
【0023】
プリントモードでは、例えば、CPU、トライアック及びヒータなどのデバイスが他のデバイスよりも高温となり、スタンバイモードでは、例えば、コイル及びトランスなどのデバイスが他のデバイスよりも高温となり、省電力モードでは、例えば、電源回路などのデバイスが他のデバイスよりも高温となる。
【0024】
複数のデバイス11a,11b,11c,11dが配置される基板10の表面側には、外気を吸気して基板10上に配置された複数のデバイス11a,11b,11c,11dを冷却する冷却ファン20が設けられている。冷却ファン20は、上面と下面とを垂直に貫く縦軸PAを回転軸として水平方向(図1の矢印YAで示す方向)に回転可能に配置されているとともに、側面同士を垂直に貫く横軸PBを回転軸として垂直方向(図1の矢印YBで示す方向)に回転可能に配置されている。このように、冷却ファン20は、水平方向及び垂直方向に回転することにより、風向きを3次元的に変化させることが可能である。
【0025】
なお、本実施の形態における基板10には、4つのデバイス11a,11b,11c,11dを配置しているが、本発明は特にこれに限定されず、5つ以上のデバイスを配置してもよく、また、3つ以下のデバイスを配置してもよい。
【0026】
図2は、本発明に係る画像形成装置の冷却機構の構成を示す図である。なお、図2における破線矢印は空気の流れを表している。図2に示すルーバー30は、冷却ファン20の吸気側に設けられている。ルーバー30は、装置本体31又はルーバー30の外枠35に固定された支持軸33に対して回転可能に支持されるとともに、一端がワイヤ34に接続されている。ワイヤ34は、一端が装置本体31に固定されたルーバー角度調節モータ120に接続されているとともに、他端が装置本体31に固定されたスプリング32に接続されている。そして、ルーバー角度調節モータ120がワイヤ34を巻き取る力と、スプリング32の付勢力とが釣り合うことにより、ルーバー30が固定される。
【0027】
ルーバー角度調節モータ120は、ルーバー30を開く角度を動作モードに応じて調節する。ルーバー角度調節モータ120は、ルーバー30のワイヤ34を巻き取ることでルーバー30の開口面積を広げ、ワイヤ34を巻き戻すことでルーバー30の開口面積を狭くする。
【0028】
冷却ファン20には、風向調節モータ130と回転速度調節モータ140とが接続されている。風向調節モータ130は、冷却ファン20を水平方向及び垂直方向に回転させることにより、冷却ファン20の角度を調節し、冷却ファン20から送られる風の向きを変える。回転速度調節モータ140は、動作モードに応じて冷却ファン20の回転速度を調節する。
【0029】
ルーバー30の外枠35と冷却ファン20とは、蛇腹状のダクト40で接続されており、冷却ファン20の角度が変わるのに応じてダクト40の形状が変化する。ルーバー30によって取り込まれた空気は、ダクト40を通過して冷却ファン20によって吸気される。そして、ルーバー30を開く角度を調節することにより、冷却ファン20が吸気する風量を調節することができるとともに、騒音を抑制することができる。
【0030】
図3は、本発明に係る画像形成装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。図3に示す画像形成装置は、制御部100、操作部110、ルーバー角度調節モータ120、風向調節モータ130、回転速度調節モータ140及び温度センサ150を備えて構成される。なお、図3において、図2と同じ構成については同一符号を付し、説明を省略する。操作部110は、印刷(画像形成動作)を開始する印刷開始指示などのユーザによる種々の入力指示を受け付ける。
【0031】
制御部100は、CPU、プログラムデータが記録されているROM(リードオンリメモリ)、CPUの作業領域として用いられるRAM(ランダムアクセスメモリ)等で構成され、画像形成装置全体を制御する。制御部100は、予め記憶されているプログラムデータを実行することによって、動作モード設定部101、冷却デバイス記憶部102、冷却デバイス決定部103、ファン角度記憶部104、風向調節部105、回転速度調節部106、ルーバー角度記憶部107及びルーバー角度調節部108として機能する。
【0032】
動作モード設定部101は、画像形成装置の動作モードを設定する。上述したように、本実施の形態では、プリントモード、スタンバイモード及び省電力モードの3つ動作モードがある。動作モード設定部101は、プリントモード、スタンバイモード及び省電力モードのうちのいずれかの動作モードに設定する。動作モード設定部101は、操作部110によって印刷開始指示が受け付けられた場合、動作モードをプリントモードに設定する。また、動作モード設定部101は、印刷が完了した場合、動作モードをスタンバイモードに設定する。さらに、動作モード設定部101は、スタンバイモードに設定してから所定時間経過した場合、動作モードを省電力モードに設定する。なお、本実施の形態において、スタンバイモードに設定してから省電力モードに設定するまでの時間は予め設定されており、操作部110を用いてユーザが設定してもよい。また、操作部110にモード切替スイッチを設け、モード切替スイッチがユーザによって押下されると、スタンバイモードから省電力モードへ切り替えるようにしてもよい。
【0033】
冷却デバイス記憶部102は、動作モードと冷却すべきデバイスとを予め対応付けて記憶する。冷却デバイス決定部103は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じて、冷却するデバイスを複数のデバイスの中から決定する。基板10上の複数のデバイスのうち高温となるデバイスは、実験などにより動作モード毎に予めわかっている。そのため、動作モードが設定されれば、冷却すべきデバイスも自ずと決まる。冷却デバイス決定部103は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに対応するデバイスを冷却デバイス記憶部102から読み出すことで、冷却するデバイスを複数のデバイスの中から決定する。
【0034】
温度センサ150は、各デバイス11に設けられており、デバイス11の温度を測定する。なお、冷却デバイス決定部103は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じて決定されたデバイスに関係なく、温度センサ150によって測定された温度が予め設定された所定温度以上になったデバイスを、冷却するデバイスとして決定する。
【0035】
ファン角度記憶部104は、基板10上に配置された各デバイスと、冷却ファン20の水平方向への回転角度及び垂直方向への回転角度とを対応付けて記憶する。風向調節部105は、冷却デバイス決定部103によって決定されたデバイスを冷却するべく冷却ファン20の風向を調節する。すなわち、風向調節部105は、冷却デバイス決定部103によって決定されたデバイスに対応付けられている冷却ファン20の水平方向への回転角度及び垂直方向への回転角度をファン角度記憶部104から読み出し、読み出した水平方向への回転角度に応じた回転駆動量及び垂直方向への回転角度に応じた回転駆動量を風向調節モータ130へ出力する。
【0036】
回転速度調節部106は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じて冷却ファン20の回転速度を調節する。上述したように、本実施の形態における動作モードには、プリントモード、スタンバイモード及び省電力モードがある。回転速度調節部106は、動作モード設定部101によって設定された動作モードがプリントモードである場合、冷却ファン20の回転速度を他のモード時における回転速度よりも速い第1の回転速度に決定し、動作モード設定部101によって設定された動作モードがスタンバイモードである場合、冷却ファン20の回転速度をプリントモード時における回転速度よりも遅い第2の回転速度に決定し、動作モード設定部101によって設定された動作モードが省電力モードである場合、冷却ファン20の回転速度をスタンバイモード時における回転速度よりも遅い第3の回転速度に決定する。回転速度調節部106は、動作モードに応じて決定した冷却ファン20の回転速度を回転速度調節モータ140へ出力する。回転速度調節モータ140は、回転速度調節部106によって出力された回転速度で冷却ファン20を回転駆動する。
【0037】
ルーバー角度記憶部107は、各動作モードと、ルーバー30を開く角度とを対応付けて記憶する。本実施の形態では、動作モードに応じて3段階にルーバー30の角度を調節することが可能となっている。図4は、ルーバーを開く角度について説明するための図であり、(a)は、プリントモード時におけるルーバーの状態を示す図であり、(b)は、スタンバイモード時におけるルーバーの状態を示す図であり、(c)は、省電力モード時におけるルーバーの状態を示す図である。なお、図4における破線矢印は空気の流れを表している。
【0038】
プリントモード時においては、基板10上のデバイスの温度が他のモードに比べて高温になるため、ルーバー30から吸気する風量を増やす必要がある。そこで、図4(a)に示すように、プリントモード時におけるルーバー30の角度は、基板10の短手方向に対して垂直(90度)となり(全開状態)、取り込まれる風の向きに平行となるように調節される。
【0039】
また、スタンバイモード時においては、基板10上のデバイスの温度がプリントモードよりも低くなるため、ルーバー30から吸気する風量をプリントモード時よりも減らしてもよい。そこで、図4(b)に示すように、スタンバイモード時におけるルーバー30の角度は、基板10の短手方向に対して垂直(45度)となり(半開状態)、取り込まれる風の向きに対して45度となるように調節される。
【0040】
さらに、省電力モード時においては、基板10上のデバイスの温度が他のモードに比べて低温になるため、ルーバー30から吸気する風量をなくし、冷却ファン20のみを駆動してもよい。そこで、図4(c)に示すように、省電力モード時におけるルーバー30の角度は、ルーバー30を閉じる角度となり、基板10の短手方向に対して略平行(略0度)となり(閉じた状態)、取り込まれる風の向きに略垂直となるように調節される。
【0041】
ルーバー角度調節部108は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じてルーバー30の角度を調節する。ルーバー角度調節部108は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに対応付けられているルーバー30の角度をルーバー角度記憶部107から読み出し、読み出した角度でルーバー30を開くための駆動量をルーバー角度調節モータ120へ出力する。ルーバー角度調節モータ120は、ルーバー角度調節部108によって出力された駆動量に基づいて、ワイヤ34の巻き取り又は巻き戻しを行い、ルーバー30の角度を調節する。
【0042】
次に、図3に示す画像形成装置の制御部100の動作について説明する。図5は、図3に示す画像形成装置の制御部の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、ステップS1において、動作モード設定部101は、プリントモード、スタンバイモード及び省電力モードのうちのいずれかの動作モードに設定する。次に、ステップS2において、冷却デバイス決定部103は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに対応するデバイスを冷却デバイス記憶部102から読み出し、読み出したデバイスを冷却すべきデバイスとして決定する。
【0044】
次に、ステップS3において、温度センサ150はデバイスの温度を測定し、測定した温度を冷却デバイス決定部103へ出力する。なお、基板10上には、複数のデバイスが配置されており、各デバイスに設けられた温度センサ150によって測定された温度が冷却デバイス決定部103へ出力される。
【0045】
次に、ステップS4において、冷却デバイス決定部103は、温度センサ150によって測定されたデバイスのうち、予め設定された所定温度以上のデバイスがあるか否かを判断する。ここで、所定温度以上のデバイスがあると判断された場合(ステップS4でYES)、ステップS5において、冷却デバイス決定部103は、所定温度以上のデバイスのうち最も温度の高いデバイスが、既に決定している冷却デバイスと同じデバイスであるか否かを判断する。
【0046】
ここで、所定温度以上のデバイスのうち最も温度の高いデバイスが、既に決定している冷却デバイスと同じデバイスでない、すなわち、所定温度以上であり、最も温度の高いデバイスと、既に決定している冷却デバイスとが異なるデバイスであると判断された場合(ステップS5でNO)、ステップS6において、冷却デバイス決定部103は、動作モードに応じて決定されたデバイスではなく、所定温度以上のデバイスのうち最も温度の高いデバイスを冷却すべきデバイスとして決定する。
【0047】
一方、所定温度以上のデバイスがないと判断された場合(ステップS4でNO)、又は、所定温度以上のデバイスのうち最も温度の高いデバイスが、既に決定している冷却デバイスと同じデバイスである、すなわち、所定温度以上であり、最も温度の高いデバイスと、既に決定している冷却デバイスとが同じデバイスであると判断された場合(ステップS5でYES)、ステップS7において、風向調節部105は、冷却デバイス決定部103によって決定されたデバイスに対応付けられている冷却ファン20の水平方向への回転角度及び垂直方向への回転角度をファン角度記憶部104から読み出し、読み出した水平方向への回転角度に応じた回転駆動量及び垂直方向への回転角度に応じた回転駆動量を風向調節モータ130へ出力する。
【0048】
そして、風向調節モータ130は、風向調節部105によって出力された冷却ファン20の水平方向への回転駆動量に基づいて、冷却ファン20を水平方向へ回転駆動するとともに、風向調節部105によって出力された冷却ファン20の垂直方向への回転駆動量に基づいて、冷却ファン20を垂直方向へ回転駆動する。このようにして、基板10上の複数のデバイスのうち高温となるデバイスに冷却ファン20からの排風を直接当てることが可能となる。
【0049】
次に、ステップS8において、ルーバー角度調節部108は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに対応付けられているルーバー30の角度をルーバー角度記憶部107から読み出し、読み出した角度でルーバー30を開くための駆動量をルーバー角度調節モータ120へ出力する。ルーバー角度調節モータ120は、ルーバー角度調節部108によって出力された駆動量に基づいて、ルーバー30を駆動する。このようにして、動作モードに応じてルーバー30を開く角度を調節することが可能となる。
【0050】
次に、ステップS9において、回転速度調節部106は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じて冷却ファン20の回転速度を決定し、決定した冷却ファン20の回転速度を回転速度調節モータ140へ出力する。そして、回転速度調節モータ140は、回転速度調節部106によって出力された回転速度で冷却ファン20を回転駆動する。
【0051】
なお、本実施の形態における回転速度調節部106は、冷却ファン20の回転速度を動作モードに応じて3段階に設定しているが、本発明は特にこれに限定されず、例えば、冷却ファン20を通常の回転速度で回転させる全速と、通常の回転速度の半分の速度で回転させる半速との2段階に設定してもよい。この場合、例えば、動作モードがプリントモードであれば、冷却ファン20を全速で回転させ、動作モードがスタンバイモードであれば、冷却ファン20を半速で回転させ、動作モードが省電力モードであれば、冷却ファン20を半速で回転させる。
【0052】
このように、複数のデバイスの中から冷却するデバイスが決定され、決定されたデバイスを冷却するべく冷却ファン20の風向が調節されるので、基板10上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスに冷却ファン20からの送風を直接当てることができ、基板10上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスを効率的に冷却することができる。
【0053】
また、高温となるデバイスがそれぞれ異なる複数の動作モードの中から1の動作モードが設定され、複数のデバイスの中から冷却するデバイスが動作モードに応じて決定されるので、基板上に配置された複数のデバイスの中から冷却するデバイスを動作モードに応じて決定することができる。
【0054】
また、冷却ファン20の吸気側に設けられたルーバー30を開く角度が動作モードに応じて調節されるので、動作モード毎に吸気する風量を調節することができ、騒音を抑制することができる。また、冷却ファン20の排気側にルーバー30を設けて風の向きを変化させた場合、ルーバー30に風が当たるため、風量の損失が生じる虞がある。しかしながら、本実施の形態では、冷却ファン20の吸気側にルーバー30を設けているので、冷却ファン20の角度を変化させても風量を損なうことなく、効率的にデバイスを冷却することができる。
【0055】
また、複数のデバイスの温度がデバイス毎に測定され、測定された温度が予め設定された所定温度以上になったデバイスが、冷却するデバイスとして決定されるので、冷却するデバイスを動作モード毎に決定するのではなく、特に高温となったデバイスを冷却することができ、基板10上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスをより効率的に冷却することができる。
【0056】
さらに、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードのうちのいずれかの動作モードに応じて、冷却するデバイスが決定される。したがって、プリントモード、スタンバイモード及び省電力モードのそれぞれの動作モードに応じて、冷却するデバイスが決定されるので、プリントモード時に高温となるデバイスと、スタンバイモード時に高温となるデバイスと、省電力モード時に高温となるデバイスとをそれぞれ冷却することができる。
【0057】
さらにまた、動作モードがプリントモードである場合、ルーバー30が全開状態とされ、動作モードがスタンバイモードである場合、ルーバー30が半開状態とされ、動作モードが省電力モードである場合、ルーバー30が閉じた状態とされる。したがって、他の動作モードよりも高い熱が発生するプリントモード時には、ルーバー30が全開状態とされるので、吸気する風量を増加させることができ、プリントモード時よりも発生する熱が低いスタンバイモード時には、ルーバー30が半開状態とされ、他の動作モード時よりも発生する熱が低い省電力モード時には、ルーバー30が閉じた状態とされるので、騒音を抑制することができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、ルーバー30を固定し、冷却ファン20の角度を変えているが、本発明は特にこれに限定されず、冷却ファン20にルーバー30を固定し、冷却ファン20とルーバー30との角度を同時に変えてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、画像形成装置を電気機器の一例として説明しているが、本発明は特にこれに限定されず、基板10上に複数のデバイス11が配置され、動作モードに応じて高温となるデバイス11が異なる電気機器であれば、画像形成装置以外の他の電気機器であってもよい。
【0060】
さらに、本実施の形態において、冷却デバイス決定部103は、温度センサ150によって測定された温度が予め設定された所定温度以上になった場合、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じて決定されたデバイスではなく、温度センサ150によって測定された温度が予め設定された所定温度以上になったデバイスを、冷却するデバイスとして決定しているが、本発明は特にこれに限定されない。冷却デバイス決定部103は、動作モード設定部101によって設定された動作モードに応じてデバイスを決定することなく、温度センサ150によって測定された温度が最も高いデバイスを、冷却するデバイスとして決定してもよい。
【0061】
この場合、複数のデバイスの温度がデバイス毎に測定され、複数のデバイスの中から温度が最も高いデバイスが、冷却するデバイスとして決定されるので、冷却するデバイスを動作モード毎に決定するのではなく、特に高温となったデバイスを冷却することができ、基板10上に配置された複数のデバイスのうち高温となるデバイスをより効率的に冷却することができる。
【0062】
さらにまた、本実施の形態では、デバイス毎に温度センサ150を設けているが、本発明は特にこれに限定されず、デバイス毎に温度センサ150を設けずに、動作モードのみに応じて冷却するデバイスを決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】複数のデバイスが配置された基板の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の冷却機構の構成を示す図である。
【図3】本発明に係る画像形成装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図4】ルーバーを開く角度について説明するための図である。
【図5】図3に示す画像形成装置の制御部の動作の一例について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 基板
11 デバイス
20 冷却ファン
30 ルーバー
100 制御部
101 動作モード設定部
102 冷却デバイス記憶部
103 冷却デバイス決定部
104 ファン角度記憶部
105 風向調節部
106 回転速度調節部
107 ルーバー角度記憶部
108 ルーバー角度調節部
110 操作部
120 ルーバー角度調節モータ
130 風向調節モータ
140 回転速度調節モータ
150 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に複数のデバイスが配置される電気機器であって、
外気を吸気して基板上に配置された複数のデバイスを冷却する冷却ファンと、
複数のデバイスの中から冷却するデバイスを決定する冷却デバイス決定手段と、
前記冷却デバイス決定手段によって決定されたデバイスを冷却するべく前記冷却ファンの風向を調節する風向調節手段とを備えることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
高温となるデバイスがそれぞれ異なる複数の動作モードの中から1の動作モードを設定する動作モード設定手段をさらに備え、
前記冷却デバイス決定手段は、複数のデバイスの中から冷却するデバイスを動作モードに応じて決定することを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
前記冷却ファンの吸気側に設けられたルーバーと、
前記ルーバーを開く角度を前記動作モードに応じて調節する角度調節手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項4】
前記複数のデバイスの温度をデバイス毎に測定する温度測定手段をさらに備え、
前記冷却デバイス決定手段は、複数のデバイスの中から前記温度測定手段によって測定された温度が最も高いデバイスを、冷却するデバイスとして決定することを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項5】
前記冷却デバイス決定手段は、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び前記熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードのうちのいずれかの動作モードに応じて、冷却するデバイスを決定することを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項6】
前記冷却デバイス決定手段は、記録紙に画像を形成する画像形成動作を実行するプリントモード、画像形成動作を停止させ、記録紙に形成された画像を定着させる定着部の熱ローラの温度を一定温度に保つスタンバイモード、及び前記熱ローラの温度を下げ、消費電力を抑制する省電力モードのうちのいずれかの動作モードに応じて、冷却するデバイスを決定し、
前記角度調節手段は、前記動作モードが前記プリントモードである場合、前記ルーバーを全開状態とし、前記動作モードが前記スタンバイモードである場合、前記ルーバーを半開状態とし、前記動作モードが前記省電力モードである場合、前記ルーバーを閉じた状態とすることを特徴とする請求項3記載の電気機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−19236(P2007−19236A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198766(P2005−198766)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】