説明

電源制御装置、画像形成装置及び電源制御方法

【課題】電源プラグの半差し状態を適正に検知すること。
【解決手段】画像形成装置において各部に電力を供給する電源ユニットであって、外部電源の電圧を装置各部に供給するための電圧に変換する電源トランス193と、画像形成装置において用紙上に転写された画像を定着させるための定着器に含まれるヒータ161に、変換される前の一次電源を供給するトライアック195と、ヒータ161に流れる電源を検知する電流検知部196と、検知された電流と予め定められた閾値との比較結果に応じた信号を出力する比較部197とを含み、比較部197は、検知された電流が閾値よりも低い場合に、外部電源の供給を受けるための電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号を出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、画像形成装置及び電源制御方法に関し、特に、電源プラグの差しこみ状態の検知に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
このような画像処理装置においては、複合機として様々な機能が搭載されることにより、装置構成が複雑化して異常発生時の原因究明が困難となっている。そのため装置の各部に供給される電流量を監視することにより、装置各部を制御する制御信号出力手段の異常を判定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子写真方式のプリンタにおいては、用紙上に転写されたトナー画像を用紙に定着させるための定着器にヒータが含まれている。このヒータは、電源の一次側、即ち電源トランスによって変圧される前に接続されているため、大きな電流が流れている。従って、電源プラグのコンセントへの差し込みが中途半端な状態(以降、半差し状態とする)になっていると、電源プラグとコンセントとの接点部分の抵抗が大きくなり、発熱や発火等の危険性がある。
【0005】
これに対して、特許文献2に開示された技術では、検知対象となるのは電源の二次側、即ち電源トランスによって変圧された後の配線部分の電流であるため、電流や電圧が小さく、異常の検知精度が低い。
【0006】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、電源プラグの半差し状態を適正に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、画像形成装置において各部に電力を供給する電源制御装置であって、外部から供給される電源の電圧を前記画像形成装置の各部に供給するための電圧に変換する変圧器と、前記画像形成装置において用紙上に転写された画像を定着させるための定着器に含まれるヒータに、前記変圧器によって変換される前の一次電源を供給する一次電源供給部と、前記ヒータに供給される一次電源を検知する一次電源検知部と、前記検知された一次電源と予め定められた閾値との比較結果に応じた信号を出力する比較部とを含み、前記比較部は、前記検知された一次電源が前記閾値よりも低い場合に、外部からの電源の供給を受けるための電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号を出力することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の態様は、画像形成装置であって、請求項1乃至6いずれか1項に記載の電源制御装置を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の更に他の態様は、画像形成装置において各部に電力を供給する電源制御方法であって、外部から供給される電源の電圧を前記画像形成装置の各部に供給するための電圧に変換し、前記画像形成装置において用紙上に転写された画像を定着させるための定着器に含まれるヒータに、前記変圧器によって変換される前の一次電源を供給し、前記ヒータに供給される一次電源を検知し、前記検知された一次電源が前記閾値よりも低い場合に、外部からの電源の供給を受けるための電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電源プラグの半差し状態を適正に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電源ユニットの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る異常検知の原理を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電源ユニットの構成を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電源ユニットの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る異常検知の原理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、電子写真方式のプリントエンジンを含む画像処理装置を例として説明する。図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の全体構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、コントローラ100、ADF(Auto Documennt Feeder:原稿自動搬送装置)110、スキャナユニット120、排紙トレイ130、ディスプレイパネル140、給紙テーブル150、プリントエンジン160、排紙トレイ170、ネットワークI/F180及び電源ユニット190を有する。
【0014】
また、コントローラ100は、主制御部101、エンジン制御部102、入出力制御部103、画像処理部104及び操作表示制御部105を有する。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置1は、スキャナユニット120、プリントエンジン160を有する複合機として構成されている。尚、図1においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、用紙の流れを破線の矢印で示している。
【0015】
ディスプレイパネル140は、画像形成装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成装置1を直接操作し若しくは画像形成装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェース(操作部)でもある。ネットワークI/F180は、画像形成装置1がネットワークを介して他の機器と通信するためのインタフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インタフェースが用いられる。
【0016】
電源ユニット190は、画像処理装置1の各部に電力を供給する。電源ユニット190における異常の検知態様が、本実施形態に係る要旨の1つである。電源ユニット190の詳細については後に詳述する。
【0017】
コントローラ100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。具体的には、ROM(Read Only Memory)や不揮発性メモリ並びにHDD(Hard Disk Drive)や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU(Central Processing Unit)がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、集積回路などのハードウェアとによってコントローラ100が構成される。コントローラ100は、画像形成装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0018】
主制御部101は、コントローラ100に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ100の各部に命令を与える。エンジン制御部102は、プリントエンジン160やスキャナユニット120等を制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。入出力制御部103は、ネットワークI/F180を介して入力される信号や命令を主制御部101に入力する。また、主制御部101は、入出力制御部103を制御し、ネットワークI/F180を介して他の機器にアクセスする。
【0019】
画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン160が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。操作表示制御部105は、ディスプレイパネル140に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル140を介して入力された情報を主制御部101に通知する。
【0020】
画像形成装置1がプリンタとして動作する場合は、まず、入出力制御部103がネットワークI/F180を介して印刷ジョブを受信する。入出力制御部103は、受信した印刷ジョブを主制御部101に転送する。主制御部101は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部104を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
【0021】
画像処理部104によって描画情報が生成されると、エンジン制御部102は、生成された描画情報に基づき、給紙テーブル150から搬送される用紙に対して画像形成を実行する。即ち、プリントエンジン160が画像形成部として機能する。本実施形態に係るプリントエンジン160は、電子写真方式による画像形成機構等を用いる。プリントエンジン160によって画像形成が施された文書は排紙トレイ170に排紙される。
【0022】
画像形成装置1がスキャナとして動作する場合は、ユーザによるディスプレイパネル140の操作若しくはネットワークI/F180を介して外部のクライアント用の情報処理端末等から入力されるスキャン実行指示に応じて、操作表示制御部105若しくは入出力制御部103が主制御部101にスキャン実行信号を転送する。主制御部101は、受信したスキャン実行信号に基づき、エンジン制御部102を制御する。
【0023】
エンジン制御部102は、ADF110を駆動し、ADF110にセットされた撮像対象原稿をスキャナユニット120に搬送する。また、エンジン制御部102は、スキャナユニット120を駆動し、ADF110から搬送される原稿を撮像する。また、ADF110に原稿がセットされておらず、スキャナユニット120に直接原稿がセットされた場合、スキャナユニット120は、エンジン制御部102の制御に従い、セットされた原稿を撮像する。即ち、スキャナユニット120が撮像部として動作する。
【0024】
撮像動作においては、スキャナユニット120に含まれるCCD等の撮像素子が原稿を光学的に走査し、光学情報に基づいて生成された撮像情報が生成される。エンジン制御部102は、スキャナユニット120が生成した撮像情報を画像処理部104に転送する。画像処理部104は、主制御部101の制御に従い、エンジン制御部102から受信した撮像情報に基づき画像情報を生成する。画像処理部104が生成した画像情報はHDD40等の画像形成装置1に装着された記憶媒体に保存される。
【0025】
画像処理部104によって生成された画像情報は、ユーザの指示に応じてそのままHDD40等に格納され若しくは入出力制御部103及びネットワークI/F180を介して外部の装置に送信される。即ち、スキャナユニット120及びエンジン制御部102が画像入力部として機能する。
【0026】
また、画像形成装置1が複写機として動作する場合は、エンジン制御部102がスキャナユニット120から受信した撮像情報若しくは画像処理部104が生成した画像情報に基づき、画像処理部104が描画情報を生成する。その描画情報に基づいてプリンタ動作の場合と同様に、エンジン制御部102がプリントエンジン160を駆動する。
【0027】
このような画像処理装置1において、本実施形態に係る要旨は、電源ユニット190における電源異常の検知態様にある。以下、本実施形態に係る電源異常の検知態様について説明する。図2は、本実施形態に係る電源ユニット190の回路及びプリントエンジン160に含まれるヒータ161並びにコントローラ100との接続形態を示す図である。図2に示すように、本実施形態に係る電源ユニット190は、電源スイッチ191、192、電源トランス193、整流回路194、トライアック195、電流検知部196及び比較部197を含む。
【0028】
電源スイッチ191、192は、電源プラグ198の直後に接続されており、画像処理装置1の主電源と連動して主電源のオン/オフに応じて電源プラグ198と電源ユニット内部との接続状態を切り替える。電源トランス193は変圧器であり、電源プラグ198及び電源スイッチ191、192を介して入力される100(V)の商用電源を画像処理装置1内部で必要な電圧の二次電源に変換する。整流回路194は、電源トランス193によって変圧された交流電流を直流電流に変換するAC/DCコンバータである。
【0029】
トライアック195は、電源トランス193と並列且つヒータ161と直列に接続されており、コントローラ100から入力される信号に応じて、ヒータ161への電源供給状態を切り替える。ヒータ161に供給されるのは、電源トランス193によって変換される前の一次電源である。即ち、トライアック195及び電源プラグ198からの配線が一次電源供給部として機能する。上述したように、プリントエンジン160は、エンジン制御部102によって制御される。そのため、トライアック195のゲートに信号を入力するのはエンジン制御部102である。
【0030】
電流検知部196は、トライアック195及びヒータ161と直列に接続されており、ヒータ161に流れる一次電源である電流を検知して検知結果を出力する一次電源検知部である。比較部197は、電流検知部196によるヒータ161に流れる電流の検知結果と、予め定められた閾値とを比較し、その比較結果に応じて、電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す異常検知信号を出力する。比較部197が出力した異常検知信号は、エンジン制御部102に入力される。これにより、コントローラ100が電源プラグ198の半差し状態を認識することができる。
【0031】
ここで、本実施形態に係る異常検知の原理について、図3(a)、(b)を参照して説明する。図3(a)は、電源プラグ198が適正に差しこまれている場合の、電源ユニット190の一次側、即ち電源トランス193よりも電源プラグ198側を簡易的に示す回路図である。図3(a)に示すように、電源ユニット190の一次側は、電源プラグ198を介して供給される100(V)の電源と、電源プラグ198とコンセントの接触抵抗と、ヒータ161の抵抗との直列回路として簡易的に示すことができる。
【0032】
そして、電源プラグ198が適正にコンセントに差し込まれている場合、接触抵抗値は例えば1(Ω)である。ヒータの抵抗値を100(Ω)とすると、電流検知部196によって検知される電流値は、100(V)/(1(Ω)+100(Ω))≒0.99(A)となる。
【0033】
これに対して、図3(b)は、電源プラグ198が半差し状態である場合の、電源ユニット190の一次側の回路図である。電源プラグ198が半差し状態である場合、接触抵抗値は例えば、10(Ω)となり、電流検知部196によって検知される電流値は、100(V)/(10(Ω)+100(Ω))≒0.91(A)となる。
【0034】
このように、電源プラグ198の差し込み状態において接触抵抗値が変動し、その結果電流検知部196によって検知される電流値が変動することになり、その変動値のオーダーは10−2(A)のオーダーである。従って、そのオーダーの変動を検知可能な閾値を比較部197に設定しておくことにより、容易に電源プラグ198が半差し状態であることを検知することが可能となる。
【0035】
上記の例の場合、例えば比較部197に設定する閾値は0.91(A)、0.93(A)、0.95(A)等であり、比較部197は、電流検知部196によって検知された電流値が、設定された閾値以下となった場合に、異常検知信号を出力する。
【0036】
尚、比較部197に設定する閾値は、接触抵抗値の変動値に応じて逆算することができる。例えば、接触抵抗値の正常値を上述した1(Ω)とし、その値が5倍の5(Ω)以上となった場合に電源プラグ198が半差し状態であると判断する場合を考える。接触抵抗値が2(Ω)である場合にヒータ161に流れる電流値は、100(V)/(5(Ω)+100(Ω))≒0.95(A)となる。この場合、比較部197に設定する閾値を0.95(A)とすることにより、接触抵抗値が5(Ω)となった段階で電源プラグ198の半差し状態を検知することができる。
【0037】
このようにして電源プラグ198の半差し状態が検知され、異常検知信号がエンジン制御部102に入力されると、コントローラ101が、エンジン制御部102に入力された異常検知信号に応じて電源プラグ198が半差し状態である事を認識する。電源プラグ198が半差し状態である事を認識した主制御部101は、操作表示制御部105を制御し、電源プラグが半差し状態となっていることをユーザに警告する画面をディスプレイパネル140に表示する。これにより、電源プラグ198が半差し状態であることをユーザが認識することができる。
【0038】
また、ディスプレイパネル140の警告画面の表示の他、警告音やLED(Light Emitting Diode)の発光によって電源プラグ198の半差し状態をユーザに警告することも可能である。このような動作も主制御部101の制御によって実現することができる。
【0039】
尚、本実施形態に係る電流検知部196及び比較部197は、電源トランス193によって変圧された後の電源を動作用の電源として供給される。上述したように、一次側である電源トランス193によって変圧される前の電圧は100(V)である。そのため、一次側で動作する回路には、高耐圧な回路素子を用いる必要があり、部品のコストが高くなる。
【0040】
これに対して、電流量検知部196は、電流を検知する部分については高耐圧の素子で構成する必要があるが、検知結果の信号を生成して出力する部分については、100(V)の電圧とは無関係に構成することが可能である。また、比較部197についても、電流検知部196から出力される検知結果の信号を受けて、予め定められた閾値との比較及び比較結果に応じた異常検知信号の出力を行うモジュールであるため、100(V)の電圧とは無関係に構成することが可能である。
【0041】
従って、電流検知部196及び比較部197は、回路構成上一次側に設けられてはいるが、動作電源を電源トランス193によって変圧された2次電源側から供給することにより、回路素子を低耐圧の素子で構成することが可能となり、装置コストを低減することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る電源制御装置としての電源ユニット190を含む画像処理装置1においては、電源トランス193によって変圧される前の一次側の電流値の変動に基づいて電源プラグ198の半差し状態を判断する。そのため、電源プラグ198の半差し状態の検知を高精度に行うことが可能である。
【0043】
尚、上記実施形態においては、比較部197が出力する異常検知信号をエンジン制御部102に入力し、コントローラ100においてユーザに対する警告を行う場合を例として説明した。この他、画像処理装置1の電源を強制的に遮断することにより、発熱や発火等の事故を防ぐことも可能である。
【0044】
そのような機能は、例えば図4に示すように、比較部197が出力する異常検知信号を電源スイッチ191、192に入力し、異常検知信号に基づいて電源スイッチ191、192が電源プラグ198から供給される電力を遮断するような構成とすることによって実現可能である。この他、エンジン制御部102が、異常検知信号に基づいてトライアック195を制御することにより、ヒータ161への電源供給を停止することによっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0045】
また、上記実施形態においては、電流検知部196による電流の検知結果に応じて、比較部197が異常検知信号を出力する場合を例として説明した。この他、電流値ではなく電圧値に基づいて異常検知信号を出力することも可能である。そのような例について以下に説明する。
【0046】
図5は、本実施形態に係る電源ユニット190の回路及びプリントエンジン160に含まれるヒータ161並びにコントローラ100との接続形態を示す図である。図5の例においては、図2に示す場合とは異なり、電流検知部196に替えて電圧検知部199が設けられている。電圧検知部199は、一端が電源スイッチ191とトライアック195との間に接続され、他端が電源スイッチ192とヒータ161との間に接続されている。これにより、電圧検知部199は、ヒータ161の電圧を検知して検知結果を出力する。
【0047】
そして、図5の例に係る比較部197は、電圧検知部199によるヒータ161の電圧の検知結果と、予め定められた閾値とを比較し、その比較結果に応じて異常検知を示す異常検知信号を出力する。比較部197が出力した異常検知信号は、図2及び図4の態様と同様に用いられる。これにより、図5の例においては、ヒータの電圧に基づいて、図2、図4と同様の効果を得ることができる。
【0048】
図5の例に係る異常検知の原理について、図6(a)、(b)を参照して説明する。図6(a)は、電源プラグ198が適正に差しこまれている場合の、電源ユニット190の一次側、即ち電源トランス193よりも電源プラグ198側を簡易的に示す回路図である。図6(a)に示すように、電源ユニット190の一次側は、電源プラグ198を介して供給される100(V)の電源と、電源プラグ198とコンセントの接触抵抗と、ヒータ161の抵抗との直列回路として簡易的に示すことができる。
【0049】
そして、電源プラグ198が適正にコンセントに差し込まれている場合、接触抵抗値は例えば1(Ω)である。ヒータの抵抗値を100(Ω)とすると、電圧検知部199によって検知される電圧値は、100(Ω)×(100(V)/(1(Ω)+100(Ω)))≒99(V)となる。
【0050】
これに対して、図6(b)は、電源プラグ198が半差し状態である場合の、電源ユニット190の一次側の回路図である。電源プラグ198が半差し状態である場合、接触抵抗値は例えば、10(Ω)となり、電圧検知部199によって検知される電流値は、100(Ω)×(100(V)/(10(Ω)+100(Ω))≒91(V)となる。
【0051】
このように、電源プラグ198の差し込み状態において接触抵抗値が変動し、その結果電圧検知部199によって検知される電流値が変動することになり、その変動値のオーダーは1(V)のオーダーである。従って、そのオーダーの変動を検知可能な閾値を比較部197に設定しておくことにより、容易に電源プラグ198が半差し状態であることを検知することが可能となる。尚、比較部197における閾値の設定方法は図2、図4の態様と同様である。
【0052】
また、図5の例においては、電圧検知部199の一端が、トライアック195よりも電源プラグ198側に接続されている。そのため、トライアック195がオフ状態でヒータ161に電源が供給されていない場合であっても、トライアック195がオン状態になってヒータ161に電源が供給される際の電圧を検知することが可能である。
【0053】
この他、ヒータ161の両端に電圧検知部199を接続しても良い。この場合、トライアック195がオフ状態であると電圧を検知することはできないが、ヒータ161に印加される電圧をより正確に検知することが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
100 コントローラ
101 主制御部
102 エンジン制御部
103 入出力制御部
104 画像処理部
105 操作表示制御部
110 ADF
120 スキャナユニット
130 排紙トレイ
140 ディスプレイパネル
150 給紙テーブル
160 プリントエンジン
161 ヒータ
170 排紙トレイ
180 ネットワークI/F
190 電源ユニット
191、192 電源スイッチ
193 電源トランス
194 整流回路
195 トライアック
196 電流検知部
197 比較部
198 電源プラグ
199 電圧回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平5−26937号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において各部に電力を供給する電源制御装置であって、
外部から供給される電源の電圧を前記画像形成装置の各部に供給するための電圧に変換する変圧器と、
前記画像形成装置において用紙上に転写された画像を定着させるための定着器に含まれるヒータに、前記変圧器によって変換される前の一次電源を供給する一次電源供給部と、
前記ヒータに供給される一次電源を検知する一次電源検知部と、
前記検知された一次電源と予め定められた閾値との比較結果に応じた信号を出力する比較部とを含み、
前記比較部は、前記検知された一次電源が前記閾値よりも低い場合に、外部からの電源の供給を受けるための電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号を出力することを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記一次電源検知部及び前記比較部は、前記変圧器によって変換された後の二次電源によって動作することを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記一次電源供給部は、前記電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号に応じて、前記ヒータへの前記一次電源の供給を停止することを特徴とする請求項1または2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
前記電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号に応じて、外部から供給される電源を遮断する電源遮断部を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の電源制御装置。
【請求項5】
前記一次電源検知部は、前記画像形成装置が画像形成出力を実行している際に前記ヒータに流れる電流を検知することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の電源制御装置。
【請求項6】
前記一次電源検知部は、前記ヒータに印加される電圧を検知することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の電源制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか1項に記載の電源制御装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置において各部に電力を供給する電源制御方法であって、
外部から供給される電源の電圧を前記画像形成装置の各部に供給するための電圧に変換し、
前記画像形成装置において用紙上に転写された画像を定着させるための定着器に含まれるヒータに、前記変圧器によって変換される前の一次電源を供給し、
前記ヒータに供給される一次電源を検知し、
前記検知された一次電源が前記閾値よりも低い場合に、外部からの電源の供給を受けるための電源プラグの差しこみ状態が不完全であることを示す信号を出力することを特徴とする電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−80175(P2013−80175A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221163(P2011−221163)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】