説明

電源装置

【課題】 直流電源の効率を向上させると共に、小型化を図る。
【解決手段】 直流電源2の両端間のハーフブリッジ回路のコンデンサ4、6の接続点とIGBT8、10の接続点間に変圧器12の1次巻線12pが接続され、変圧器12の2次巻線12sにダイオード14、16を介して負荷20が接続されている。IGBT8に並列に第1のスナバ回路26が、IGBT10に並列に第2のスナバ回路28が接続され、直流電源2と第1のスナバ回路26のコンデンサ32の間に第1の回生経路が、直流電源2と第2のスナバ回路28のコンデンサ38の間に第2の回生経路が、設けられている。IGBT8の導通時、変圧器12の2次巻線12saが電圧を第1の回生経路に供給し、IGBT10の導通時、変圧器12の2次巻線12sbが電圧を第2の回生経路に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源装置に関し、特にインバータを使用した直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータを使用した直流電源装置は、例えば溶接機、光源、表面処理機等の電源装置として使用されることがある。図7に、このような直流電源装置の1例を示す(特願平2002−13710号参照)。
【0003】
この直流電源装置は、例えば商用交流電源を整流及び平滑した直流電源2を有している。この直流電源装置2の正負両端間に、直列に第1及び第2の電流通過素子、例えばコンデンサ4、6が接続されている。直流電源装置2の正負両端間には、半導体スイッチング素子、例えばIGBT8、10の導電路、例えばコレクタ・エミッタ導電路も直列に接続されている。IGBT8、10のゲートには、図示しない制御手段から休止期間を挟んで交互に制御信号が供給される。IGBT8、10は、制御信号が供給されている期間、導通する。
【0004】
コンデンサ4、6の相互接続点と、IGBT8、10のコレクタ・エミッタ導電路の相互接続点との間に、変圧器12の1次巻線12Pが接続されている。変圧器12の2次巻線12Sには、整流手段、例えばダイオード14、16のアノードが接続され、それらのカソードが互いに接続され、平滑手段、例えば平滑用リアクトル18を介して負荷20の一端に接続されている。負荷20の他端は、2次巻線12Sの中間タップに接続されている。コンデンサ4、6、IGBT8、10によって、いわゆるハーフブリッジ型のインバータが構成されている。
【0005】
IGBT8、10のコレクタ・エミッタ導電路に逆並列に、第1及び第2の単方向性導通素子、例えばフリーホイールダイオード22、24が接続されている。また、IGBT8、10には、並列にスナバ回路26、28も接続されている。
【0006】
スナバ回路26は、IGBT8のコレクタ側に一端が接続されたコンデンサ32を含んでいる。コンデンサ32の他端側には、単方向性導通素子、例えばダイオード34のアノードが接続され、そのカソードがIGBT8のエミッタに接続されている。このダイオード34に並列に抵抗器36が接続されている。同様に、スナバ回路28も、コンデンサ38、ダイオード40及び抵抗器42によって構成されている。
【0007】
この直流電源装置では、IGBT8が導通したとき、コンデンサ4の正極から電流がIGBT8、変圧器12の1次巻線12P、コンデンサ4の負極に流れる。IGBT10が導通したとき、コンデンサ6の正極から変圧器12の1次巻線12P、IGBT10、コンデンサ6の負極に電流が流れる。即ち、変圧器12の1次巻線12Pには、交互に極性が変化する電流が流れる。これに伴い変圧器12の2次巻線12Sに交流電流が流れ、これがダイオード14、16で整流され、平滑用リアクトル18によって平滑され、負荷20に供給される。
【0008】
IGBT8が導通状態から非導通状態に変化したとき、コンデンサ32、ダイオード34に電流が流れて、コンデンサ32が充電される。IGBT8が導通時には、コンデンサ32に充電された電荷に基づいて、IGBT8のコレクタ・エミッタ導電路に放電電流が流れるが、この放電電流を抵抗器36が抑制している。IGBT10も同様に動作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この直流電源装置では、IGBT8、10が導通状態から非導通状態に変化したとき、コンデンサ32、38によって、これらのエミッタ・コレクタの電圧上昇が抑えられているので、スイッチング損失を軽減させることができる。しかし、IGBT8、10が非導通状態から導通状態に変化するとき、コンデンサ32、38の電荷が抵抗器36、42において熱として消費される。その分、効率が低下すると共に、抵抗器36、42が発熱するために、抵抗器36、42を大型のものとしなければならず、そのため、この直流電源装置自体も大型になっていた。
【0010】
本発明は、効率を向上させると共に、小型化を図ることができる直流電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の電源装置は、直流電源(2)と、この直流電源の両端間に直列に接続された第1及び第2の電流通過素子(4、6)を有する直列回路と、前記直流電源(2)の両端間に直列に接続され、交互に導通する第1及び第2の半導体スイッチング素子(8、10)と、前記第1及び第2の半導体スイッチング素子(8、10)に逆並列に接続された第1及び第2の単方向性導通素子(22、24)と、前記第1及び第2の電流通過素子(4、6)の相互接続点と、第1及び第2の半導体スイッチング素子(8、10)の相互接続点との間に、1次巻線(12p)が接続された変圧器(12)と、前記変圧器(12)に設けられた第1の2次巻線(12s)に整流手段(14、16)を介して接続された負荷(20)と、前記第1の半導体スイッチング素子(8)に並列に接続され、第1のスナバコンデンサ(32)と、これに直列に且つ前記第1の半導体スイッチング素子(8)が非導通時に前記第1のスナバコンデンサ(32)を充電する方向性に接続された第1のスナバ単方向性導通素子(34)とを含む第1のスナバ回路(26)と、 前記第2の半導体スイッチング素子に並列に接続され、第2のスナバコンデンサ(38)と、これに直列に且つ第2の半導体スイッチング素子(10)が非導通時に第2のスナバコンデンサ(38)を充電する方向性に接続された第2のスナバ単方向性導通素子(40)とを含む第2のスナバ回路(28)と、前記直流電源(2)と第1のスナバコンデンサ(32)との間に設けられた第1の回生経路と、前記直流電源(2)と第2のスナバコンデンサ(38)との間に設けられた第2の回生経路とからなる回生回路(50)とを、具備している。前記変圧器(12)に第2及び第3の2次巻線が設けられている。前記変圧器(12)に第2及び第3の2次巻線(12sa、12sb)を設け、前記第1のスナバコンデンサ(32)と前記第1のスナバ単方向性導通素子(34)との相互接続点と前記直流電源(2)との間に接続され前記第2の2次巻線(12sa)が、前記第1の半導体スイッチング素子(8)が導通しているとき、誘起された電圧を前記第1のスナバコンデンサ(32)の電圧に重畳して前記第1の回生経路に供給し、前記第2のスナバコンデンサ(38)と前記第2のスナバ単方向性導通素子(40)との相互接続点と前記直流電源(2)との間に接続された前記第3の2次巻線(12sb)が、前記第2の半導体スイッチング素子(10)が導通しているとき、誘起された電圧を前記第2のスナバコンデンサ(38)の電圧に重畳して前記第2の回生経路に供給する。
【0012】
前記変圧器は、前記1次巻線及び前記第1の2次巻線間の漏れ磁束の影響を受けない位置に前記第2及び第3の2次巻線を配置することができる。例えば鉄心に、前記第2及び第3の2次巻線が配置され、それらの間に前記1次巻線が配置されたものとすることができる。より具体的には、鉄心の内側から、前記1次巻線の1/2、前記第1の2次巻線の1/2、前記第2の2次巻線、前記第3の2次巻線、前記第1の2次巻線の残りの1/2、前記1次巻線の残りの1/2が、この順に、同芯状に配置されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高周波スイッチングされる半導体スイッチング素子が、非導通となるときに、その電圧上昇を抑えるために設けられたスナバコンデンサの電荷を、その高周波スイッチング素子が導通時に電源側に回生する回生経路を設けているので、インバータの効率を向上させることができる上に、電荷を消費させるための大型の抵抗器が不要となり、インバータを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の参照例の電源装置の回路図である。
【図2】図1の電源装置の各部の波形図である。
【図3】本発明の第2の参照例の電源装置の回路図である。
【図4】本発明の1実施の形態の電源装置の回路図である。
【図5】図4の電源装置に使用する変圧器の巻線構造と磁束分布とを示す図である。
【図6】本発明の第3の参照例の電源装置の回路図である。
【図7】従来の電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の参照例の直流電源装置は、図1に示すように、図7の直流電源装置に、新たに回生経路50を設けたものである。図7に示した直流電源装置の構成要素と同一の構成要素には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0016】
回生経路50では、スナバ回路26のスナバコンデンサ32とダイオード34のアノードとの接続点に、単方向性素子、例えばダイオード52のカソードが接続されている。このダイオード52のアノードは、リアクトル60、第1の電圧誘起手段、例えば変圧器54の2次巻線54saを介して直流電源2の負極に接続されている。これによって、回生経路50の第1の経路が形成されている。リアクトル60には、2次巻線54saの漏れインダクタンスを使用することができる。
【0017】
同様に、回生経路50では、スナバ回路38のダイオード40のカソードとスナバコンデンサ38との接続点に、単方向性素子、例えばダイオード58のアノードが接続されている。このダイオード58のカソードは、リアクトル62、第2の電圧誘起手段、例えば変圧器54の2次巻線54sbを介して直流電源2の正極に接続されている。これによって、回生経路50の第2の経路が形成されている。リアクトル62も、2次巻線54sbの漏れインダクタンスを使用することができる。
【0018】
変圧器54の1次巻線54pは、変圧器12の2次巻線12sに接続されている。変圧器54では、1次巻線54p、2次巻線54sa、54sbは、共通の鉄芯に巻回されている。
【0019】
第1の変圧器である変圧器12の1次巻線12Pの両端間に、抵抗器66とコンデンサ68の直列回路が接続されている。この直列回路は、IGBT8、10の寄生容量や変圧器12の漏れインダクタンスによって発生する寄生振動を抑圧するためのダンピング回路である。
【0020】
IGBT8、10は、制御手段からの制御信号が供給されている期間、導通する。この制御信号は、例えばIGBT8に供給された後、休止期間をおいた後に、IGBT10に供給され、休止期間をおいてIGBT8に供給されることを繰り返す。
【0021】
変圧器54の2次巻線54sa、54sbの電圧は、変圧器12の2次巻線12Sの電圧を変換したもので、直流電源2の電圧E1の1/2になるように、1次巻線54p、2次巻線54sa、54sbの巻数比が、設定されている。2次巻線54sa、54sbの極性は逆極性であり、IGBT8が導通時にはダイオード52が導通する方向に2次巻線54saの極性方向が定められ、IGBT10が導通時にはダイオード58が導通する方向に2次巻線54sbの極性方向が定められている。従って、ダイオード52が導通時には、ダイオード58が阻止状態になり、ダイオード58が導通時にはダイオード52が阻止状態となる。
【0022】
図2に示す時刻toよりも前には、IGBT8、10のゲートには制御信号は供給されて無く、IGBT8のコレクタ・エミッタ間には、電源2の電圧E1が印加され、スナバコンデンサ32の両端間電圧もE1であるとする。この電圧E1がIGBT8のコレクタ・エミッタ間に印加されるのは、変圧器12の漏れインダクタンスや励磁インダクタンスの影響による。なお、IGBT8、10は、180度の位相差をもって駆動されるので、コンデンサ4、6の電圧は、それぞれE1/2に保持される。
【0023】
時刻toにおいて、図2(a)に示すように、IGBT8に制御信号が供給されて、IGBT8が導通する。これによって、負荷電流がコンデンサ4の正極側からIGBT8のコレクタ・エミッタ、変圧器12の1次巻線12pを介してコンデンサ4の負極側に流れる。
【0024】
時刻t1において、変圧器54の2次巻線54saに電圧E1/2が発生すると、コンデンサ32の両端間電圧と2次巻線54saの電圧との合成値が直流電源2の電圧E1よりも高いので、直流電源2にリアクトル60、変圧器54、ダイオード52を介して放電が行われる。これによって、スナバコンデンサ32の蓄積エネルギーは直流電源2に回収される。従って、抵抗器等によって放電電流が熱として消費されることが無く、この電源装置の効率が向上する。さらに、発熱に耐える大型の抵抗器を使用する必要がないので、この直流電源装置を小型化することができる。
【0025】
放電電流は、スナバコンデンサ32、リアクトル60を流れるので、放電電流は正弦波状である。そのうちの正の極性のものがダイオード52によって放電される。この放電は時刻t2に終了する。この放電電流によって変圧器54の1次巻線54pから変圧器12の2次巻線12sに電流が流れる。その結果、変圧器12の1次巻線12pの1次電流、即ちIGBT8のコレクタ電流が増加する。即ち、放電電流によって変圧器54、変圧器12を介して電流変換され、IGBT8のコレクタ電流に加算される。図2(e)にIGBT8を流れる電流。(g)にダイオード52に流れる放電電流を示す。
【0026】
時刻t3において、IGBT8への制御信号が消失して、IGBT8が非導通状態になる。このとき、スナバコンデンサ32の充電が開始され、コンデンサ32,1次巻線12pを介して充電電流が流れる。IGBT8のコレクタ・エミッタ間の電圧は、スナバコンデンサ32の充電に伴って徐々に上昇する。この状態を図2(c)に示す。このように徐々にIGBT8のコレクタ・エミッタ間電圧が上昇するので、IGBT8のターンオフ損失も非常に小さい。
【0027】
スナバコンデンサ32の電圧が上昇を続け、電源電圧E1よりも高くなろうとする。コンデンサ32と変圧器12の1次巻線12pの漏れインダクタンスとからなるLC回路に過渡電流が流れているので、スナバコンデンサ32の電圧は電源電圧E1よりも高くなろうとするが、IGBT10に逆並列に接続されているフリーホイールダイオード24が導通して、IGBT8のコレクタ・エミッタ間電圧を直流電源2の電圧E1にクランプするので、スナバコンデンサ32の両端間電圧は、直流電源2の電圧E1よりも大きくなることはない。
【0028】
IGBT8、10が各々導通状態あるいは非導通状態に切り替わる転流時には、変圧器12の漏れインダクタンスによって、またIGBT8、10が共に非導通状態にある休止期間には、平滑用リアクトル18のインダクタンスによって、ダイオード14、16が共に導通する期間が存在する。図2(h)、(i)にダイオード14、16の電流波形を示す。
【0029】
ダイオード14、16が共に導通する期間には、変圧器12の2次巻線12sの電圧はゼロであるので、変圧器54の2次巻線54saの電圧も、この期間には同様にゼロとなる。これにより、IGBT10が非導通状態に切り替わる時刻t4において、変圧器12の1次巻線12pに変圧器12の漏れインダクタンスによる電圧振動が発生しても、変圧器54の2次巻線54saには、この電圧振動は伝達されない。この電圧振動によるスナバコンデンサ32の不必要な充放電が防止されており、スナバコンデンサ32の蓄積エネルギーが効率よく、直流電源2に回収される。変圧器54の2次巻線54saの電圧波形を図2(f)に示す。
【0030】
IGBT10についても、IGBT8の場合と位相が180度異なる以外、同様に動作するので、詳細な説明は省略する。
【0031】
第2の参照例の電源装置を図3に示す。この電源装置は、回生経路50の第1の経路と第2の経路用とに個別に変圧器54a、54bを設けている。変圧器54a、54bは、1次巻線54ap、54bpを有し、これらは並列に接続され、変圧器12の2次巻線12sに接続されている。他の構成は、第1の実施の形態の電源装置と同様に構成されているので、同等部分には同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0032】
本発明の1実施の形態の電源装置を図4に示す。この実施の形態の電源装置は、第1の参照例における変圧器12と変圧器54の鉄芯及び1次巻線を共用化したものである。変圧器54の2次巻線54saは、変圧器12の2次巻線12saに、変圧器54の2次巻線54sbは、変圧器12の2次巻線12sbにそれぞれ対応して置き換えられている以外、第1の実施の形態と同様に構成されている。同等部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0033】
この実施の形態の電源装置に適用されている変圧器12の各コイル配置を示す構造の断面図を図5(a)に、その1次巻線12pと2次巻線12s間での漏れ磁束の分布状態を図5(b)に示す。
【0034】
1次巻線12p、2次巻線12s、2次巻線12sa、2次巻線12sbは、鉄芯13を中心として内側から1次巻線12pの1/2、2次巻線12sの1/2、2次巻線12sa、2次巻線12sb、2次巻線12sの残りの1/2、11次巻線12pの残りの1/2の順に同芯状に配置されているので、1次巻線112pと2次巻線12s間の漏れ磁束の影響を受けない位置に、2次巻線12sa、2次巻線12sbが存在する。
【0035】
この実施の形態の電源装置に適用される変圧器12の2次巻線12sは、図2(h)及び(i)に示されるダイオード14、16の電流波形において、ダイオード14、16が共に導通する期間では短絡されている。短絡された状態の2次巻線12sで挟まれた2次巻線12sa、12sbは、2次巻線12sで拘束磁化されているので、IGBT10が非導通状態に切り替わる時刻t4において、変圧器12の1次巻線12pに発生する変圧器12の漏れインダクタンスによる電圧振動が、変圧器12の2次巻線12saに伝達されることが無く、この電圧振動に起因してコンデンサ32が不必要に充放電されることが防止できる。その結果、回生経路に変圧器54を用いる第1の実施の形態の電源装置と同様の効果が得られる。
【0036】
第3の参照例の電源装置を図6に示す。この電源装置では、第1及び第2の半導体スイッチング素子として、IGBT8a、10aを使用し、第1及び第2の電流通過素子を有する直列回路として、IGBT8b、10bの直列回路を使用している。IGBT8a、8bは同相で動作し、IGBT10a、10bは、IGBT8a、8bと180度位相が異なる状態で動作する。第1の実施の形態の電源装置のスナバ回路26、回生経路50と同様な、スナバ回路26a、26b、28a、28b、回生経路50a、50bが用いられている。これらによって、いわゆるフルブリッジ型のインバータが構成されている。第1の参照例の構成要素と同等部分には、同一符号の末尾に添え字aまたはbを付して、その説明を省略する。
【0037】
変圧器12の1次巻線12pに直列に接続されているコンデンサ70は、1次巻線12pに直流成分が印加されるのを阻止するものである。
【0038】
IGBT8a、8bが導通したとき、直流電源2の正極から電流が、IGBT8a、コンデンサ70、変圧器12の1次巻線12p、IGBT8bを介して直流電源2の負極に流れる。IGBT10a、10bが導通したとき、直流電源2の正極からの電流が、IGBT10b、変圧器12の1次巻線12p、コンデンサ70、IGBT10aを介して直流電源2の負極に流れる。
【0039】
即ち、第1及び第2の参照例及びこの実施の形態のハーフブリッジ型のインバータで構成されるものと同じく、変圧器12の1次巻線12pには、交互に極性が変化する電流が流れる。この動作以外に、IGBTの数がハーフブリッジ型のインバータの倍になっていることによって、スナバ回路、回生経路の数が共に倍になっているが、個々の動作は、第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0040】
上記の各実施の形態では、インバータが発生する高周波電圧を直流に変換して、直流電源として使用したが、これに限ったものではなく、例えばモータ等をインバータからの高周波電圧によって駆動することもできる。上記の実施の形態では、半導体スイッチング素子としてIGBTを使用したが、これに代えてバイポーラトランジスタ、電力FET等を使用することもできる。上記の実施の形態では、ダンピング回路として、抵抗器66とコンデンサ68の直列回路を使用したが、場合によっては、これらを省略することもできる。
【符号の説明】
【0041】
2 直流電源
4、6 コンデンサ(第1及び第2の電流通過素子)
8、10 IGBT(第1及び第2の半導体スイッチング素子)
12 変圧器
12s 第1の2次巻線
12sa 第2の2次巻線
12sb 第3の2次巻線
14 16 ダイオード(整流手段)
20 負荷
26 第1のスナバ回路
32 第1のスナバコンデンサ
34 ダイオード(第1のスナバ単方向性導通素子)
28 第2のスナバ回路
38 第2のスナバコンデンサ
40 ダイオード(第2のスナバ単方向性導通素子)
50 回生経路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源(2)と、
この直流電源(2)の両端間に直列に接続された第1及び第2の電流通過素子(4、6)と、
前記直流電源(2)の両端間に直列に接続され、交互に導通する第1及び第2の半導体スイッチング素子(8、10)と、
前記第1及び第2の半導体スイッチング素子(8、10)に逆並列に接続された第1及び第2の単方向性導通素子(22、24)と、
前記第1及び第2の電流通過素子(4、6)の相互接続点と、第1及び第2の半導体スイッチング素子(8、10)の相互接続点との間に、1次巻線(12p)が接続された変圧器(12)と、
前記変圧器(12)に設けられた第1の2次巻線(12s)に整流手段(14、16)を介して接続された負荷(20)と、
前記第1の半導体スイッチング素子(8)に並列に接続され、第1のスナバコンデンサ(32)と、これに直列に且つ前記第1の半導体スイッチング素子(8)が非導通時に前記第1のスナバコンデンサ(32)を充電する方向性に接続された第1のスナバ単方向性導通素子(34)とを含む第1のスナバ回路(26)と、
前記第2の半導体スイッチング素子に並列に接続され、第2のスナバコンデンサ(38)と、これに直列に且つ第2の半導体スイッチング素子(10)が非導通時に第2のスナバコンデンサ(38)を充電する方向性に接続された第2のスナバ単方向性導通素子(40)とを含む第2のスナバ回路(28)と、
前記直流電源(2)と第1のスナバコンデンサ(32)との間に設けられた第1の回生経路と、前記直流電源(2)と第2のスナバコンデンサ(38)との間に設けられた第2の回生経路とからなる回生経路(50)とを、
具備し、
前記変圧器(12)に第2及び第3の2次巻線(12sa、12sb)を設け、
前記第1のスナバコンデンサ(32)と前記第1のスナバ単方向性導通素子(34)との相互接続点と前記直流電源(2)との間に接続され前記第2の2次巻線(12sa)が、前記第1の半導体スイッチング素子(8)が導通しているとき、誘起された電圧を前記第1のスナバコンデンサ(32)の電圧に重畳して前記第1の回生経路に供給し、
前記第2のスナバコンデンサ(38)と前記第2のスナバ単方向性導通素子(40)との相互接続点と前記直流電源(2)との間に接続された前記第3の2次巻線(12sb)が、前記第2の半導体スイッチング素子(10)が導通しているとき、誘起された電圧を前記第2のスナバコンデンサ(38)の電圧に重畳して前記第2の回生経路に供給する
電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置において、前記変圧器は、前記1次巻線及び前記第1の2次巻線間の漏れ磁束の影響を受けない位置に前記第2及び第3の2次巻線が配置されている電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−148161(P2009−148161A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81586(P2009−81586)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【分割の表示】特願2003−57060(P2003−57060)の分割
【原出願日】平成15年3月4日(2003.3.4)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】