説明

電源装置

【課題】簡単な制御により入力電流の導通角を広げて力率を改善させるとともに大きな出力を得る。
【解決手段】整流回路3a〜3dと、リアクトル2と、電流経路を接続/遮断する第1および第2の開閉手段8,9と、力率改善用コンデンサ5と、位相改善用コンデンサ6と、平滑コンデンサ4と、交流電源1のゼロクロス検出信号を出力するゼロクロス検出手段31と、ゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後にゼロクロス遅延信号を出力する第1〜第3の検出信号遅延手段32a〜32cと、第1および第2の開閉手段を制御するスイッチ制御手段30とを備え、スイッチ制御手段30は第1のゼロクロス遅延信号を受けて第1の開閉手段8をオンし、第2のゼロクロス遅延信号を受けて第2の開閉手段9をオンし、第3のゼロクロス遅延信号を受けて第1および第2の開閉手段8,9をオフさせるパルス信号を出力するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流を直流に変換し、入力電流の高調波成分を低減して力率を改善することを目的とする電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より交流−直流変換回路として交流電圧をダイオ−ド整流回路に入力して脈流出力を得て、これをコンデンサにより平滑して直流電圧を得るコンデンサインプット型整流回路が様々な分野で用いられている。この回路の入力電流は電流導通角が狭くなり力率が悪く、無効電力が多いため電力の有効利用ができない上に多くの高調波成分を含んでおり同一電源系統に接続された機器への障害が問題となっている。
【0003】
そこで力率を改善して高調波成分を低減する技術として特許文献1に示す電源装置が検討されている。図9はこの電源装置の回路構成図である。図9の電源装置は、交流電源71、リアクタ72、ダイオード73a〜73dから成る整流回路および平滑コンデンサ74より構成されるコンデンサインプット回路に加えて、整流回路73a〜73dの交流入力端子と直流出力端子間に力率改善用コンデンサ75を挿入したものである。尚、80はモータ駆動インバータなどの負荷である。
【0004】
図10は図9の電源装置の電圧・電流波形の一例を示すものである。以下、図10を用いて交流電源71の1周期を4つの期間に分けて動作を詳細に説明する。
【0005】
期間1:力率改善用コンデンサ75に充電電圧は無く、交流電源71がゼロから正電圧を出力し始めるとともに図11(a)に示すように交流電源71、リアクタ72、力率改善用コンデンサ75、ダイオード73d、交流電源71の順に力率改善用コンデンサ75の電圧Vcを充電する電流Iinが流れる。
【0006】
この動作は力率改善用コンデンサ75が充電され、力率改善用コンデンサの両端電圧Vcが平滑コンデンサの両端電圧Vdcに等しくなるまで継続する。
【0007】
期間2:交流電源71の電圧値Vacが平滑コンデンサの両端電圧Vdcより大きくなるので、図11(b)に示すように交流電源71、リアクタ72、ダイオード73a、平滑コンデンサ74、ダイオード73d、交流電源71の順に平滑コンデンサ74の電圧Vdcを充電する電流Iinが流れる。
【0008】
これに加えて期間1および2でリアクタ72に蓄えられたエネルギーが放出されるまで図11(b)の経路で電流が流れつづける。
【0009】
期間3:力率改善用コンデンサ75には平滑コンデンサの両端電圧Vdcと同じ電圧Vcが充電されており、交流電源71がゼロから負電圧を出力し始めるとともに図11(c)に示すように交流電源71、ダイオード73c、平滑コンデンサ74、力率改善用コンデンサ75、リアクタ72、交流電源71の順に力率改善用コンデンサ75の電圧Vcを放電する電流Iinが流れる。
【0010】
この動作は力率改善用コンデンサ75に充電された電圧Vcが放電されゼロになるまで継続する。
【0011】
期間4:交流電源71の電圧値Vacが平滑コンデンサの両端電圧Vdcより大きくな
るので、図11(d)に示すように交流電源71、ダイオード73c、平滑コンデンサ74、ダイオード73b、リアクタ72、交流電源71の順に平滑コンデンサ74の電圧Vdcを充電する電流Iinが流れる。
【0012】
これに加えて期間3および4でリアクタ72に蓄えられたエネルギーが放出されるまで図11(d)の経路で電流が流れつづける。
【0013】
以上のように交流電源71の周期毎に期間1から4の動作を繰り返すことにより電流導通角が広がるので力率を改善することができ、入力電流Iinに含まれる高調波成分を減少させることができる。
【0014】
また、特に期間1および3においてリアクタ72に蓄えられたエネルギーをそれぞれ期間2および4において放出するので電源装置の出力電圧、即ち平滑コンデンサ74の電圧Vdcを増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特許第3377959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記図9に示す従来の電源装置では、簡単な構成で力率を改善することができるもののIEC高調波規制に対応させるためにはリアクタ72の値を大きく設定する必要があり、この結果負荷が増加するにともない交流電源71の電圧値Vacに対する電流Iinの位相が遅れ、力率が低下するので負荷80に供給できる電力が低下するという課題を有していた。
【0017】
またリアクタ72による電圧降下が大きく、出力電圧すなわち平滑コンデンサ74の両端電圧が低下するので、負荷80が増加するほど必要な電圧を得ることができないという課題を有していた。
【0018】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、
IEC高周波規制に対応するとともに高力率および高出力を実現することができる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために本発明は、交流電源電圧を整流して脈流電圧を出力する整流回路と、この整流回路に接続されたリアクトルと、電流経路を接続/遮断する第1および第2の開閉手段と、第1の開閉手段と直列に接続され、整流回路の交流入力端子と直流出力端子間に接続された力率改善用コンデンサと、第2の開閉手段と直列に接続され、整流回路の交流入力端子間に接続された位相改善用コンデンサと、整流回路の出力電圧を平滑して略直流電圧を得る平滑コンデンサと、交流電源電圧のゼロクロスを検出してゼロクロス検出信号を出力するゼロクロス検出手段と、ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第1のゼロクロス遅延信号を出力する第1の検出信号遅延手段と、ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第2のゼロクロス遅延信号を出力する第2の検出信号遅延手段と、ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第3のゼロクロス遅延信号を出力する第3の検出信号遅延手段とを備え、スイッチ制御手段は第1の検出信号遅延手段からの第1のゼロクロス遅延信号を受けて第1の開閉手段をオンし、第2の検出信号遅延手段からの第2のゼロクロス遅延信号を受けて第2の開閉手段をオンし、第3の検出信号遅延手段からの
第3のゼロクロス遅延信号を受けて第1および第2の開閉手段をオフさせるパルス信号を出力するものである。
【0020】
上記構成によって、力率および出力電圧を大幅に向上させることが可能となり、簡単で安価な構成でIEC高調波規制に対応するとともに高出力で低損失な電源装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電源装置は、IEC高調波規制をクリアしつつ高力率・高出力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の電源装置の一実施例における回路構成図
【図2】本発明の電源装置の一実施例における主要波形図
【図3】(a)〜(f)は本発明の電源装置の一実施例における電流経路図
【図4】本発明の電源装置の他の実施例における回路構成図
【図5】本発明の電源装置のさらに他の実施例における回路構成図
【図6】本発明の電源装置のさらに他の実施例において負荷の大きさに対するスイッチ駆動信号のパルス幅を示すグラフ
【図7】本発明の電源装置のさらに他の実施例において負荷の大きさに対するスイッチ駆動信号のパルス幅を示すグラフ
【図8】本発明の空気調和機の構成図
【図9】従来の電源装置の回路構成図
【図10】従来の電源装置の主要波形図
【図11】従来の電源装置の電流経路図
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の発明は、交流電源電圧を整流して脈流電圧を出力する整流回路と、この整流回路に接続されたリアクトルと、電流経路を接続/遮断する第1および第2の開閉手段と、第1の開閉手段と直列に接続され、整流回路の交流入力端子と直流出力端子間に接続された力率改善用コンデンサと、第2の開閉手段と直列に接続され、整流回路の交流入力端子間に接続された位相改善用コンデンサと、整流回路の出力電圧を平滑して略直流電圧を得る平滑コンデンサと、交流電源電圧のゼロクロスを検出してゼロクロス検出信号を出力するゼロクロス検出手段と、ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第1のゼロクロス遅延信号を出力する第1の検出信号遅延手段と、ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第2のゼロクロス遅延信号を出力する第2の検出信号遅延手段と、ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第3のゼロクロス遅延信号を出力する第3の検出信号遅延手段とを備え、スイッチ制御手段は第1の検出信号遅延手段からの第1のゼロクロス遅延信号を受けて第1の開閉手段をオンし、第2の検出信号遅延手段からの第2のゼロクロス遅延信号を受けて第2の開閉手段をオンし、第3の検出信号遅延手段からの第3のゼロクロス遅延信号を受けて第1および第2の開閉手段をオフさせるパルス信号を出力するものである。
【0024】
これにより、簡単な制御で2つの開閉手段をそれぞれ確実に最適なタイミングでパルス出力を行なうことができるので、高力率、高出力で信頼性が高く低損失な電源装置を提供することができるという効果を奏する。またこの結果IEC高調波規制への対応が可能となる効果を奏する。
【0025】
第2の発明は、負荷の大きさを検出する負荷状態検出手段をさらに備えて、第1および第2の検出信号遅延手段は負荷状態検出手段が検出する負荷の大きさに応じて第1および
第2のゼロクロス遅延信号をそれぞれ変更するものである。
【0026】
これにより、負荷の大きさに応じて2つの開閉手段のオンタイミングをそれぞれ確実に最適なタイミングでパルス出力を行なうことができるので、出力範囲が広く高力率、高出力で信頼性が高く低損失な電源装置を提供することができるという効果を奏する。またこの結果IEC高調波規制への対応が可能となる効果を奏する。
【0027】
第3の発明は、交流電源電圧の周波数を検出する電源周波数検出手段をさらに備えて、第1および第2の検出信号遅延手段は電源周波数検出手段が検出する周波数に応じて第1および第2のゼロクロス遅延信号をそれぞれ変更するものである。
【0028】
これにより、電源周波数に応じて2つの開閉手段のオンタイミングをそれぞれ確実に最適なタイミングでパルス出力を行なうことができるので、電源周波数対応範囲が広く高力率、高出力で信頼性が高く低損失な電源装置を提供することができるという効果を奏する。またこの結果IEC高調波規制への対応が可能となる効果を奏する。
【0029】
第4の発明は、負荷の大きさを検出する負荷状態検出手段をさらに備えて、スイッチ制御手段は負荷状態検出手段が検出する負荷の大きさに応じて第1および第2の開閉手段に出力するパルス信号のオン時間を変更するものである。
【0030】
これにより、負荷の大きさに応じて2つの開閉手段のオン時間をそれぞれ確実に最適なタイミングでパルス出力を行なうことができるので、出力範囲が広く高力率、高出力で信頼性が高く低損失な電源装置を提供することができるという効果を奏する。またこの結果IEC高調波規制への対応が可能となる効果を奏する。
【0031】
第5の発明は、交流電源電圧の周波数を検出する電源周波数検出手段をさらに備えて、スイッチ制御手段は電源周波数検出手段が検出する周波数に応じて第1および第2の開閉手段に出力するパルス信号のオン時間を変更するものである。
【0032】
これにより、電源周波数に応じて2つの開閉手段のオン時間をそれぞれ確実に最適なタイミングでパルス出力を行なうことができるので、電源周波数対応範囲が広く高力率、高出力で信頼性が高く低損失な電源装置を提供することができるという効果を奏する。またこの結果IEC高調波規制への対応が可能となる効果を奏する。
【0033】
本発明の空気調和機によれば、電流利用率が高く、高い能力を発揮することができるという効果を奏する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
図1は本発明の電源装置の一実施例を示す回路構成図である。図1において、1は交流電源、2は力率改善を行うリアクタ、3a〜3dは整流素子であり交流電圧を整流して脈流電圧を出力する。4は整流素子3a〜3dにより整流された脈流電圧を平滑して略直流電圧を得るための平滑コンデンサ、5はリアクタ2とともに力率改善を行う力率改善用コンデンサ、6は電流位相を改善する位相改善用コンデンサである。
【0036】
8は力率改善用コンデンサ5と直列に接続される第1のスイッチ装置、9は位相改善用コンデンサ6と直列に接続される第2のスイッチ装置であり、ここではIGBTやパワーMOSFETなどの半導体スイッチにより構成される。10は電源装置の負荷であり電熱
線やインバ−タ及びこのインバ−タに接続され動作する照明機器やモ−タ等がある。30は第1スイッチ装置8および第2のスイッチ装置9を制御するスイッチ制御装置であり、31は交流電源1のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出装置、また32aはゼロクロス検出装置31からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第1のゼロクロス遅延信号を出力する第1の検出信号遅延装置と、32bはゼロクロス検出装置31からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第2のゼロクロス遅延信号を出力する第2の検出信号遅延装置、32cはゼロクロス検出装置31からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第3のゼロクロス遅延信号を出力する第3の検出信号遅延装置である。以下、図1および図2を用いて本発明の電源装置について詳細に説明する。
【0037】
図2は本発明の電源装置における主要波形図であり、図中Vacは交流電源1の電圧波形、Iinはリアクタ2に流れる電流波形、Vc1は力率改善用コンデンサ5の両端電圧波形、Vc2は位相改善用コンデンサ6の両端電圧波形、Vdcは平滑コンデンサ4の両端電圧波形である。また、Pzcはゼロクロス検出装置31が検出する交流電源1のゼロクロス点を検出して出力するゼロクロス検出信号、Pzd1は第1の検出信号遅延装置32aがゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(図2では遅延時間td1)に出力する第1のゼロクロス遅延信号、Pzd2は第2の検出信号遅延装置32bがゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(図2では遅延時間ゼロ)に出力する第2のゼロクロス遅延信号、Pzd3は第3の検出信号遅延装置32cがゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(図2では遅延時間td3)に出力する第3のゼロクロス遅延信号である。
【0038】
Psw1は第1のスイッチ装置8を駆動するパルス信号であり第1のゼロクロス遅延信号Pzd1の立下りエッジに同期してONとなる。またPsw2は第2のスイッチ装置9を駆動するパルス信号であり第2のゼロクロス遅延信号Pzd2の立下りエッジに同期してONとなる。さらにPsw1、Psw2ともに第3のゼロクロス遅延信号Pzd3の立下りエッジに同期してOFFとなる。
【0039】
また図3は図2に示す波形図の各期間において電流の流れる経路を示す電流導通経路図である。以下、図1から図3を用いて各期間の動作について詳細に説明する。
【0040】
期間1:直前の負の半周期の間に力率改善用コンデンサ5の電圧Vc1はある程度放電された状態であり、また位相改善用コンデンサ6の電圧Vc2はほぼ−Vdcに充電されている。交流電源1の瞬時値がゼロ点を超えるとゼロクロス検出装置31はゼロクロス検出信号Pzcを出力する。第1の検出信号遅延装置32aはゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(ここでは遅延時間td1)に第1のゼロクロス遅延信号Pzd1を出力し、第2の検出信号遅延装置32bはゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(ここでは遅延時間ゼロ)に第2のゼロクロス遅延信号Pzd2を出力する。スイッチ制御装置30は第2のゼロクロス遅延信号Pzd2の立下りを検出すると第2のスイッチ装置9をon状態にさせる信号Psw2を出力する。
【0041】
その後、交流電源1が正電圧を出力し始めるとともに図3(a)に示すように交流電源1、リアクタ2、位相改善用コンデンサ6、交流電源1の順に位相改善用コンデンサ6の電圧Vc2を放電する電流Iinが流れる。
【0042】
この動作は位相改善用コンデンサ6に充電された電圧Vc2が放電されゼロになり、その後充電されて力率改善用コンデンサ5の電圧Vc1と同じ値になるまで継続する。
【0043】
期間2:交流電源1のゼロ点から所定時間td1が経過すると第1のゼロクロス遅延信号Pzd1がH→Lとなる。スイッチ制御装置30は第1のゼロクロス遅延信号Pzd1
の立下りを検出すると第1のスイッチ装置8をon状態にさせる信号Psw1を出力する。その後、力率改善用コンデンサ5、位相改善用コンデンサ6ともに交流電源1の電圧Vacの上昇とともに図3(b)に示すように交流電源1、リアクタ2、力率改善用コンデンサ5、ダイオード3d、交流電源1の順に力率改善用コンデンサ5の電圧Vc1を充電する電流と、交流電源1、リアクタ2、位相改善用コンデンサ6、交流電源1の順に位相改善用コンデンサ6の電圧Vc2を充電する電流が流れ、Iinはこれら2つの電流の和となる。
【0044】
期間3:電源電圧Vacが平滑コンデンサ4の電圧Vdcよりも高くなり、図3(c)に示すように交流電源1、リアクタ2、ダイオード3a、平滑コンデンサ4、ダイオード3d、交流電源1の順に平滑コンデンサ4の電圧Vdcを充電する電流Iinが流れる。また、この期間の最初で交流電源1のゼロ点から所定時間td3が経過すると第3のゼロクロス遅延信号Pzd3がH→Lとなる。スイッチ制御装置30は第3のゼロクロス遅延信号Pzd3の立下りを検出するとぞれぞれ第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をoff状態にさせる信号Psw1、Psw2を出力する。これにより第1のスイッチ装置8およいび第2のスイッチ装置9はオフとなる。
【0045】
期間4:力率改善用コンデンサ5は第1のスイッチ装置8がoff状態であるので電流は流れない。また位相改善用コンデンサ6の電圧はともにほぼVdcに充電されているので電流は流れない。この期間では期間1、2および3においてリアクタ2に蓄えられたエネルギ−が放出され、図3(c)に示すように交流電源1、リアクタ2、ダイオード3a、平滑コンデンサ4、ダイオード3d、交流電源1の順に平滑コンデンサ4の電圧Vdcを充電する電流Iinが流れる。
【0046】
期間5:力率改善用コンデンサ5および位相改善用コンデンサ6の電圧はともにほぼVdcに充電されており、交流電源1の瞬時値がゼロ点を下回るとゼロクロス検出装置31はゼロクロス検出信号Pzcを出力する。第1の検出信号遅延装置32aはゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(ここでは遅延時間td1)に第1のゼロクロス遅延信号Pzd1を出力し、第2の検出信号遅延装置32bはゼロクロス検出信号Pzcを受けて所定時間経過後(ここでは遅延時間ゼロ)に第2のゼロクロス遅延信号Pzd2を出力する。スイッチ制御装置30は第2のゼロクロス遅延信号Pzd2の立下りを検出すると第2のスイッチ装置9をon状態にさせる信号Psw2を出力する。
【0047】
この期間ではまず図3(d)に示すように交流電源1、位相改善用コンデンサ6、リアクタ2、交流電源1の順に位相改善用コンデンサ6の電荷を放電する電流Iinが流れる。この動作は位相改善用コンデンサ6に充電された電圧Vc2が放電されゼロになるまで継続する。
【0048】
期間6:交流電源1のゼロ点から所定時間td1が経過すると第1のゼロクロス遅延信号Pzd1がH→Lとなる。スイッチ制御装置30は第1のゼロクロス遅延信号Pzd1の立下りを検出すると第1のスイッチ装置8をon状態にさせる信号Psw1を出力する。その後、位相改善用コンデンサ6の電圧Vc2はゼロに放電されているが、力率改善用コンデンサ5の電圧Vc1は正の半周期で充電された値のままであり、図3(e)に示すように交流電源1、位相改善用コンデンサ6、リアクタ2、交流電源1の順に位相改善用コンデンサを充電する電流と、交流電源1、ダイオード3c、平滑コンデンサ4、力率改善用コンデンサ5、リアクタ2、交流電源1の順に力率改善用コンデンサ5を放電する電流が流れ、Iinはこれら2つの電流の和となる。
【0049】
期間7:電源電圧Vacが平滑コンデンサ4の電圧Vdcよりも高くなり、図3(f)に示すように交流電源1、リアクタ2、ダイオード3a、平滑コンデンサ4、ダイオード
3d、交流電源1の順に平滑コンデンサ4の電圧Vdcを充電する電流Iinが流れる。また、この期間の最初で交流電源1のゼロ点から所定時間td3が経過すると第3のゼロクロス遅延信号Pzd3がH→Lとなる。スイッチ制御装置30は第3のゼロクロス遅延信号Pzd3の立下りを検出するとぞれぞれ第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をoff状態にさせる信号Psw1、Psw2を出力する。これにより第1のスイッチ装置8およいび第2のスイッチ装置9はオフとなる。
【0050】
期間8:力率改善用コンデンサ5は第1のスイッチ装置8がoff状態であるので電流は流れない。また位相改善用コンデンサ6の電圧はともにほぼ−Vdcに充電されているので電流は流れない。この期間では期間5、6および7においてリアクタ2に蓄えられたエネルギ−が放出され、図3(f)に示すように交流電源1、ダイオード3c、平滑コンデンサ4、ダイオード3b、リアクタ2、交流電源1の順に平滑コンデンサ4の電圧Vdcを充電する電流Iinが流れる。
【0051】
以上のように交流電源1の周期毎に期間1から8の動作を繰り返すことにより入力電流の立上がりを早めることができて導通角の広い電流波形を得ることができる。よって力率を改善することができ、入力電流Iinに含まれる高調波成分を減少させることができる。
【0052】
特に従来図9に示す電源装置に比較して、交流電源1の電圧Vacのゼロからの立上がり時には位相改善用コンデンサ6の放電電流により電流Iinをすばやく流すことができ、さらに続いて力率改善用コンデンサ5と位相改善用コンデンサ6の充放電電流により電流Iinを比較的緩やかに流すことにより、全体的に略正弦波状の電流波形を実現することができる。これにより従来に比較して非常に高い力率を実現することができる。
【0053】
さらに図9に示す電源装置に比較して図2の期間1および4におけるリアクタ2へのエネルギー蓄積の増加分、さらには期間2および5において力率改善用コンデンサ5に加えて位相改善用コンデンサ6への充放電が増加することによるリアクタ2へのエネルギー蓄積の増加分が期間3および6において平滑コンデンサ4に充電されるので、非常に大きな出力電圧Vdcを得ることができる。
【0054】
また、この出力電圧Vdcは第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をonする時間を変化させることにより制御することが可能となる。
【0055】
さらには第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をonさせるタイミングをそれぞれ最適に設定することができるので常に高い力率を得ることができる。
【0056】
この結果、回路定数および基準値を最適に選べばIEC高調波規制をクリアするとともに第1のスイッチ装置8のon時間を制御することにより出力を変化させることができるので、様々な大きさの負荷にも対応することができる。
【0057】
加えて、本発明の電源装置では第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をoffさせるタイミングをそれぞれ最適に設定することができるので、不必要な駆動電力の消費による損失を無くすことができる。
【0058】
以上の説明からもわかるように本発明の電源装置によれば、2つのスイッチ装置8,9をそれぞれ最適なタイミングでのパルス出力を確実に行なうことができるので高力率と高出力を実現するとともに信頼性が非常に高く低損失な電源装置を提供することができる。
【0059】
(実施の形態2)
図4は本発明の電源装置のさらに他の実施例を示す回路構成図である。尚、図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。図4において、20は負荷10に流れる電流値を検出する負荷電流検出装置であり抵抗などにより構成される。21は平滑コンデンサ4の両端電圧を検出する直流電圧検出装置であり、負荷電流検出装置20および直流電圧検出装置21は検出した値をスイッチ制御装置30に出力する。以下、図4を用いて本発明の電源装置について詳細に説明する。
【0060】
負荷10がインバータおよびこのインバータにより可変速駆動されるモータである場合には、負荷10の大きさはモータの回転速度などにより変化することになる。従って、電源装置はこの負荷10の変動範囲において高調波を抑制させるために必要な力率と負荷10を駆動するために必要な出力電圧(Vdc)を確保することが望まれる。
【0061】
スイッチ制御装置30は平滑コンデンサ4の両端電圧Vdcを出力電圧検出装置21より、また負荷10に流れる電流を負荷電流検出装置20より検出することにより負荷10の大きさを算出することができる。
【0062】
第1の検出信号遅延装置32a、第2の検出信号遅延装置32bは負荷10の大きさに応じて第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をonさせるタイミングを短くなるように制御する。これは例えば予め負荷10の大きさに応じて必要なパルス信号のonタイミングを記憶させておいても良い。この結果、回路定数および第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9のonタイミングを最適に設定すれば負荷10の全領域において高い力率を得ることができるとともに大きさが変動する負荷にも対応することができる。
【0063】
以上の説明からもわかるように本発明の電源装置によれば、負荷が変動しても常に高い力率と出力電圧を得ることができるので、負荷の適用範囲の広く低損失な電源装置を提供することができる。
【0064】
尚、本実施の形態で説明した第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9のon動作は一例であり本発明の電源装置の動作はこれに限られるものではない。
【0065】
(実施の形態3)
図5を用いて本発明の電源装置のさらに他の実施例について詳細に説明する。図5において33は交流電源1の周波数を検出してスイッチ制御装置30に出力する電源周波数検出装置である。
【0066】
これは例えば交流電圧検出装置33が検出する交流電源1の所定電圧の検出間隔を計測し、この値が所定値以上であれば50Hz、また所定値未満であれば60Hzと判定することにより比較的容易に検出することが可能である。
【0067】
スイッチ制御装置30は交流電圧検出装置33が検出する交流電源1の周波数をもとに出力するパルス出力タイミングの補正を行なう。
【0068】
この結果、交流電源1の電源周波数が50Hz/60Hz何れの場合も負荷10の大きさに応じて最適なパルス信号を出力させることができる。
【0069】
以上の説明からもわかるように本発明の電源装置によれば、電源周波数および負荷の大きさに関わらず常に高い力率と出力電圧を得ることができるので、電源および負荷の適用範囲の広く低損失な電源装置を提供することができる。
【0070】
尚、本実施の形態で説明した第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9のon動作は一例であり本発明の電源装置の動作はこれに限られるものではない。
【0071】
(実施の形態4)
図4を用いて本発明の電源装置について詳細に説明する。負荷10がインバータおよびこのインバータにより可変速駆動されるモータである場合には、負荷10の大きさはモータの回転速度などにより変化することになる。従って、電源装置はこの負荷10の変動範囲において高調波を抑制させるために必要な力率と負荷10を駆動するために必要な出力電圧(Vdc)を確保することが望まれる。
【0072】
スイッチ制御装置30は平滑コンデンサ4の両端電圧Vdcを出力電圧検出装置21より、また負荷10に流れる電流を負荷電流検出装置20より検出することにより負荷10の大きさを算出することができる。
【0073】
スイッチ制御装置30は負荷10の大きさに応じて第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をonさせる時間を長くなるように制御する。これは例えば予め負荷10の大きさに応じて必要なパルス信号の長さを記憶させておいても良い。図6に負荷の大きさに対してスイッチ制御装置30が第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9に出力するパルス幅の一例を示す。
【0074】
この結果、回路定数および第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9のon時間を最適に設定すれば負荷10の全領域において高い力率を得ることができるとともに大きさが変動する負荷にも対応することができる。
【0075】
以上の説明からもわかるように本発明の電源装置によれば、負荷が変動しても常に高い力率と出力電圧を得ることができるので、負荷の適用範囲の広く低損失な電源装置を提供することができる。
【0076】
尚、本実施の形態で説明した第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9のon動作は一例であり本発明の電源装置の動作はこれに限られるものではない。
【0077】
(実施の形態5)
図5を用いて本発明の電源装置のさらに他の実施例について詳細に説明する。電源周波数検出装置33は交流電源1の所定電圧の検出間隔を計測し、この値が所定値以上であれば50Hz、また所定値未満であれば60Hzと判定することにより比較的容易に検出することが可能である。
【0078】
スイッチ制御装置30は電源周波数検出装置33が検出する交流電源1の交流電圧検出信号を基に第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9をonするために出力するパルス信号のタイミングを得るとともに検出した交流電源1の周波数をもとに出力するパルス信号幅の補正を行なう。
【0079】
これは例えば図7に示すように60Hz時の負荷10の大きさに応じたパルス信号データを予め設定しておき、交流電圧検出装置32が検出した交流電源1の周波数が50Hzである場合には60Hzのパルス信号データに(60/50=1.2)倍した値を出力する。
【0080】
この結果、交流電源1の電源周波数が50Hz/60Hz何れの場合も負荷10の大きさに応じて最適なパルス信号を出力させることができる。
【0081】
以上の説明からもわかるように本発明の電源装置によれば、電源周波数および負荷の大きさに関わらず常に高い力率と出力電圧を得ることができるので、電源および負荷の適用範囲の広く低損失な電源装置を提供することができる。
【0082】
尚、本実施の形態で説明した第1のスイッチ装置8および第2のスイッチ装置9のon動作は一例であり本発明の電源装置の動作はこれに限られるものではない。
【0083】
(実施の形態6)
図8は本発明のインバ−タ制御装置のいずれかを適用した空気調和機の一構成例を示す。図8において図1と同一の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。以下図8を用いて本発明の空気調和機について説明する。
【0084】
図8に示すように空気調和機は圧縮機の駆動装置として実施の形態1に示す発明の電源装置を用い、負荷10としてインバ−タ装置81、電動圧縮機82に加えて、室内ユニット92、室外ユニット95及び四方弁91からなる冷凍サイクルを備えている。
【0085】
室内ユニット92は室内熱交換器93と室内送風機94から構成され、また室外ユニット95は室外熱交換器96、室外送風機97及び膨張弁98より構成される。
【0086】
冷凍サイクル中は熱媒体である冷媒が循環する。冷媒は電動圧縮機82により圧縮され、室外熱交換器96にて室外送風機97からの送風により室外の空気と熱交換され、また室内熱交換器93にて室内送風機94からの送風により室内の空気と熱交換される。室内熱交換器93での熱交換後の空気により室内の冷暖房が行われる。冷房または暖房の切換は四方弁91により冷媒の循環方向を反転させることにより行われる。
【0087】
以上のような冷凍サイクルにおける冷媒の循環はインバ−タ装置81により電動圧縮機82を駆動させることにより行われ、これらインバ−タ装置81及び電動圧縮機82の制御方法は実施の形態1の電源装置を用いて行われる。電源装置の構成及び動作については前述したとおりであるので説明は省略する。
【0088】
以上のような構成により空気調和機における効率の低下等、制御性能の劣化を抑えることができる。
【0089】
本実施の形態では圧縮機駆動装置として実施の形態1に示す発明の電源装置を用いた空気調和機について説明したが、実施の形態2もしくは実施の形態5に示すような他の発明の電源装置を用いても同様に各発明の電源装置が持つ効果を有した空気調和機を提供することができる。
【0090】
従って本発明の電源装置は、特に負荷変更の大きい空気調和機に対しては用いることによりその効果を最大限に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明にかかる電源装置は、高力率・高出力の実現が可能となるので、エアコンの室外機等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 交流電源
2 リアクタ
3a、3b、3c、3d 整流素子
4 平滑コンデンサ
5 力率改善用コンデンサ
6 位相改善用コンデンサ
8 第1のスイッチ装置
9 第2のスイッチ装置
10 負荷
20 負荷電流検出装置
21 直流電圧検出装置
30 スイッチ制御装置
32a 第1の検出信号遅延装置
32b 第2の検出信号遅延装置
32c 第3の検出信号遅延装置
33 電源周波数検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源電圧を整流して脈流電圧を出力する整流回路と、前記整流回路に接続されたリアクトルと、電流経路を接続/遮断する第1および第2の開閉手段と、前記第1の開閉手段と直列に接続され前記整流回路の交流入力端子と直流出力端子間に接続された力率改善用コンデンサと、前記第2の開閉手段と直列に接続され前記整流回路の交流入力端子間に接続された位相改善用コンデンサと、前記整流回路の出力電圧を平滑して略直流電圧を得る平滑コンデンサと、交流電源電圧のゼロクロスを検出してゼロクロス検出信号を出力するゼロクロス検出手段と、前記ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第1のゼロクロス遅延信号を出力する第1の検出信号遅延手段と、前記ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第2のゼロクロス遅延信号を出力する第2の検出信号遅延手段と、前記ゼロクロス検出手段からのゼロクロス検出信号を受けて所定時間経過後に第3のゼロクロス遅延信号を出力する第3の検出信号遅延手段とを具備し、前記スイッチ制御手段は前記第1の検出信号遅延手段からの第1のゼロクロス遅延信号を受けて前記第1の開閉手段をオンし、前記第2の検出信号遅延手段からの第2のゼロクロス遅延信号を受けて前記第2の開閉手段をオンし、前記第3の検出信号遅延手段からの第3のゼロクロス遅延信号を受けて前記第1および第2の開閉手段をオフさせるパルス信号を出力することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
負荷の大きさを検出する負荷状態検出手段をさらに備え、前記第1および第2の検出信号遅延手段は前記負荷状態検出手段が検出する負荷の大きさに応じて前記第1および第2のゼロクロス遅延信号をそれぞれ変更することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
交流電源電圧の周波数を検出する電源周波数検出手段をさらに備え、前記第1および第2の検出信号遅延手段は前記電源周波数検出手段が検出する周波数に応じて前記第1および第2のゼロクロス遅延信号をそれぞれ変更することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
負荷の大きさを検出する負荷状態検出手段をさらに備え、前記スイッチ制御手段は前記負荷状態検出手段が検出する負荷の大きさに応じて前記第1および第2の開閉手段に出力するパルス信号のオン時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
交流電源電圧の周波数を検出する電源周波数検出手段をさらに備え、前記スイッチ制御手段は前記電源周波数検出手段が検出する周波数に応じて前記第1および第2の開閉手段に出力するパルス信号のオン時間を変更することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の電源装置を備えたことを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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