説明

電源装置

【課題】互いに極性の異なる電圧を出力する電源装置の利便性を向上すること。
【解決手段】電源装置1は、トランスTの2次巻線T2の一端と、出力端子OUT1とを、フォトトランジスタPC11とダイオードD11とを直列接続した第1直列接続部と、フォトトランジスタPC12とダイオードD12とを直列接続した第2直列接続部と、により接続する。そして、フォトトランジスタPC11およびフォトトランジスタPC12のうち一方をオン状態にするとともに他方をオフ状態にすることで、出力端子OUT2より電位の高い正電圧、または、出力端子OUT2より電位の低い負電圧を、出力端子OUT1から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、互いに極性の異なる電圧を出力する電源装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
[電源装置100の構成]
図5は、従来例に係る電源装置100の回路図である。電源装置100は、トランスTと、1次側回路110と、ダイオードD101、D102と、キャパシタC101、C102、C103と、リレーR101、R102と、を備える。
【0004】
トランスTの1次巻線T1の両端には、1次側回路110が接続される。トランスTの2次巻線T2の一端には、ダイオードD101のアノードと、ダイオードD102のカソードと、が接続される。トランスTの2次巻線T2の他端には、出力端子OUT2が接続される。ダイオードD101のカソードには、リレーR101を介して出力端子OUT1が接続されるとともに、キャパシタC101を介して出力端子OUT2が接続される。ダイオードD102のアノードには、リレーR102を介して出力端子OUT1が接続されるとともに、キャパシタC102を介して出力端子OUT2が接続される。出力端子OUT1と出力端子OUT2とは、キャパシタC103を介して接続される。
【0005】
[電源装置100の動作]
以上の構成を備える電源装置100は、1次側回路110によりトランスTの1次巻線T1に電流を流すことで、トランスTの2次巻線T2に電圧を発生させて、トランスTの2次巻線T2の他端と比べて、トランスTの2次巻線T2の一端を高電位にしたり低電位にしたりする。そして、図示しない制御部によりリレーR101、R102を制御することで、トランスTの2次巻線T2の電圧を整流し、キャパシタC103により平滑化した後、出力端子OUT1から出力する。
【0006】
具体的には、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて高電位である期間において、リレーR101をオン状態にするとともに、リレーR102をオフ状態にする。すると、トランスTの2次巻線T2の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の高い正電圧が、出力端子OUT1から出力されることとなる。
【0007】
一方、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて低電位である期間において、リレーR101をオフ状態にするとともに、リレーR102をオン状態にする。すると、トランスTの2次巻線T2の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の低い負電圧が、出力端子OUT1から出力されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−243692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のリレーR101、R102は、機械的に動作する機構部を備えており、この機構部を駆動することで、オン状態になったりオフ状態になったりする。このため、機構部は、機械的な動作を繰り返すことにより摩耗するので、機構部の動作頻度や動作時間に応じてリレーR101、R102を交換する必要があり、利便性が低かった。
【0010】
上述の課題を鑑み、本発明は、互いに極性の異なる電圧を出力する電源装置の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
(1)本発明は、トランスと、当該トランスの1次巻線に電流を流す電流供給手段と、当該トランスの2次巻線に生じる電圧を整流する整流手段と、を備え、出力端子から電圧を出力する電源装置であって、前記整流手段は、前記トランスの2次巻線の一端から前記出力端子に向って電流を流す第1の一方向性素子と、前記出力端子から前記トランスの2次巻線の一端に向って電流を流す第2の一方向性素子と、前記トランスの2次巻線の一端が、前記第1の一方向性素子、または、前記第2の一方向性素子に接続するようにした切替え手段と、を備え、前記トランスの2次巻線の他端には、第1電位である第1端子が接続されることを特徴とする電源装置を提案している。
【0012】
この発明によれば、電源装置に、トランスと、トランスの1次巻線に電流を流す電流供給手段と、トランスの2次巻線に生じる電圧を整流する整流手段と、を設け、出力端子から電圧を出力することとした。そして、整流手段に、トランスの2次巻線の一端から出力端子に向って電流を流す第1の一方向性素子と、トランスの2次巻線の一端に向って電流を流す第2の一方向性素子と、切替え手段と、を設けた。そして、切替え手段により、トランスの2次巻線の一端を、第1の一方向性素子または第2の一方向性素子に接続することとした。また、トランスの2次巻線の他端に、第1電位である第1端子を接続した。
【0013】
このため、第1の一方向性素子および第2の一方向性素子のそれぞれは、一端から他端に電流を流すものとすると、第1の一方向性素子の他端と、第2の一方向性素子の一端とには、出力端子が接続されることとなる。また、第1の一方向性素子の一端と、第2の一方向性素子の他端と、のいずれか一方には、切替え手段により、トランスの2次巻線の一端が接続されることとなる。
【0014】
これによれば、トランスの2次巻線の一端が他端と比べて高電位である期間において、切替え手段により、第1の一方向性素子の一端と、トランスの2次巻線の一端と、を接続することで、トランスの2次巻線に生じる電圧の分だけ第1端子より電位の高い正電圧を、出力端子から出力することができる。
【0015】
一方、トランスの2次巻線の一端が他端と比べて低電位である期間において、切替え手段により、第2の一方向性素子の他端と、トランスの2次巻線の一端と、を接続することで、トランスの2次巻線に生じる電圧の分だけ第1端子より電位の低い負電圧を、出力端子から出力することができる。
【0016】
以上によれば、リレーのような機械的に動作する機構部を有する構成部品を設けることなく、互いに極性の異なる電圧を出力することができる。このため、機械的な動作を繰り返すことによる構成部品の摩耗が発生しないので、構成部品の交換が不要となり、利便性を向上できる。
【0017】
また、比較的大型な構成部品であるリレーを用いることなく、互いに極性の異なる電圧を出力することができるので、リレーを用いる場合と比べて、電源装置を小型化できる。
【0018】
(2)本発明は、(1)の電源装置について、前記整流手段は、前記トランスの2次巻線の一端に直列接続された第1直列接続手段と、当該第1直列接続手段に並列接続された第2直列接続手段と、を備え、前記第1直列接続手段は、前記切替え手段である第1の受光素子と、当該第1の受光素子に直列接続された前記第1の一方向性素子と、を備え、前記第2直列接続手段は、前記切替え手段である第2の受光素子と、当該第2の受光素子に直列接続された前記第2の一方向性素子と、を備えることを特徴とする電源装置を提案している。
【0019】
この発明によれば、整流手段に、トランスの2次巻線の一端に直列接続された第1直列接続手段と、第1直列接続手段に並列接続された第2直列接続手段と、を設けた。そして、第1直列接続手段に、切替え手段である第1の受光素子と、第1の受光素子に直列接続された第1の一方向性素子と、を設けた。また、第2直列接続手段に、切替え手段である第2の受光素子と、第2の受光素子に直列接続された第2の一方向性素子と、を設けた。
【0020】
このため、トランスの2次巻線の一端が他端と比べて高電位である期間において、第1の受光素子に光を照射するとともに、第2の受光素子に光を照射しないことで、第1の受光素子をオン状態にするとともに、第2の受光素子をオフ状態にした場合、トランスの2次巻線に生じる電圧の分だけ第1端子より電位の高い正電圧を、出力端子から出力することができる。
【0021】
一方、トランスの2次巻線の一端が他端と比べて低電位である期間において、第1の受光素子に光を照射しないとともに、第2の受光素子に光を照射することで、第1の受光素子をオフ状態にするとともに、第2の受光素子をオン状態にした場合、トランスの2次巻線に生じる電圧の分だけ第1端子より電位の低い負電圧を、出力端子から出力することができる。
【0022】
以上によれば、上述した効果と同様の効果を奏することができる。
【0023】
(3)本発明は、(1)または(2)の電源装置について、前記整流手段は、倍電圧整流回路を含んで構成されることを特徴とする電源装置を提案している。
【0024】
この発明によれば、整流手段を、倍電圧整流回路を含んで構成した。このため、出力端子からは、トランスの2次巻線に生じる電圧の最大2倍の電圧が出力されることとなる。ここで、図5に示した従来例に係る電源装置100に倍電圧整流回路を設けた場合には、リレーR101、R102として、比較的高価な構成部品である高圧リレーを用いる必要がある。ところが、本発明に係る電源装置は、高圧リレーを用いたリレーR101、R102を備えることなく、互いに極性の異なる電圧を出力することができるので、製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、リレーといった交換の必要な構成部品を備えないため、構成部品の交換が不要となり、互いに極性の異なる電圧を出力する電源装置の利便性を向上できる。また、リレーを用いる場合と比べて、電源装置を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電源装置の概略構成を示す回路図である。
【図2】前記電源装置の回路図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る電源装置の回路図である。
【図5】従来例に係る電源装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0028】
<第1実施形態>
[電源装置1の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電源装置1の概略構成を示す回路図である。電源装置1は、図5に示した従来例に係る電源装置100とは、トランスTの2次側の構成が異なる。なお、電源装置1において、電源装置100と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0029】
電源装置1は、トランスTの2次側に、切替え手段としての切替え部SW1と、第1の一方向性素子としてのダイオードD11と、第2の一方向性素子としてのダイオードD12と、キャパシタC103と、を備える。
【0030】
トランスTの2次巻線T2の一端には、切替え部SW1が接続される。この切替え部SW1は、トランスTの2次巻線T2の一端と、ダイオードD11のアノードまたはダイオードD12のカソードのいずれか一方と、を接続する。ダイオードD11のカソードと、ダイオードD12のアノードとには、出力端子としての出力端子OUT1が接続される。
【0031】
トランスTの2次巻線T2の他端には、第1端子としての出力端子OUT2が接続される。出力端子OUT1と出力端子OUT2とは、キャパシタC103を介して接続される。
【0032】
図2は、電源装置1の詳細構成を示す回路図である。図1に示した切替え部SW1は、図2に示すように、第1の受光素子としてのフォトトランジスタPC11と、第2の受光素子としてのフォトトランジスタPC12と、を備える。
【0033】
フォトトランジスタPC11のコレクタには、トランスTの2次巻線T2の一端が接続され、フォトトランジスタPC11のエミッタには、ダイオードD11のアノードが接続される。すなわち、フォトトランジスタPC11とダイオードD11とは、直列接続されている。
【0034】
また、フォトトランジスタPC12のエミッタには、トランスTの2次巻線T2の一端が接続され、フォトトランジスタPC12のコレクタには、ダイオードD12のカソードが接続される。すなわち、フォトトランジスタPC12とダイオードD12とは、直列接続されている。
【0035】
そして、フォトトランジスタPC11とダイオードD11とを直列接続した第1直列接続手段としての第1直列接続部と、フォトトランジスタPC12とダイオードD12とを直列接続した第2直列接続手段としての第2直列接続部とは、並列接続されている。
【0036】
[電源装置1の動作]
以上の構成を備える電源装置1では、図5に示した従来例に係る電源装置100と同様に、電流供給手段としての1次側回路110によりトランスTの1次巻線T1に電流を流すことで、トランスTの2次巻線T2に電圧を発生させて、トランスTの2次巻線T2の他端と比べて、トランスTの2次巻線T2の一端を高電位にしたり低電位にしたりする。そして、フォトトランジスタPC11と対に設けられた第1のフォトダイオード(図示省略)と、フォトトランジスタPC12と対に設けられた第2のフォトダイオード(図示省略)と、を制御することで、トランスTの2次巻線T2の電圧を整流し、キャパシタC103により平滑化した後、出力端子OUT1から出力する。
【0037】
具体的には、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて高電位である期間において、第1のフォトダイオードから光を出射させるとともに、第2のフォトダイオードから光を出射させないこととする。これによれば、フォトトランジスタPC11がオン状態になるとともに、フォトトランジスタPC12がオフ状態となる。すると、トランスTの2次巻線T2の電圧が整流され、トランスTの2次巻線T2の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の高い正電圧が、出力端子OUT1から出力されることとなる。
【0038】
一方、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて低電位である期間において、第1のフォトダイオードから光を出射させないとともに、第2のフォトダイオードから光を出射させることとする。これによれば、フォトトランジスタPC11がオフ状態になるとともに、フォトトランジスタPC12がオン状態となる。すると、トランスTの2次巻線T2の電圧が整流され、トランスTの2次巻線T2の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の低い負電圧が、出力端子OUT1から出力されることとなる。
【0039】
以上の電源装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0040】
上述の第1のフォトダイオードおよび第2のフォトダイオードと、トランスTの2次側に設けられたフォトトランジスタPC11、PC12と、ダイオードD11、D12と、キャパシタC103とは、図5に示した従来例に係るリレーR101、R102のような機械的に動作する機構部を備えていない。このため、機械的な動作を繰り返すことによる摩耗が構成部品に発生しないので、構成部品の交換が不要となり、利便性を向上できる。
【0041】
また、第1のフォトダイオードおよびフォトトランジスタPC11と、第2のフォトダイオードおよびフォトトランジスタPC12とは、それぞれ、リレーR101、R102と比べて小型であるため、電源装置1を電源装置100と比べて小型化できる。
【0042】
<第2実施形態>
[電源装置1Aの構成]
図3は、本発明の第2実施形態に係る電源装置1Aの回路図である。電源装置1Aは、図1、2に示した本発明の第1実施形態に係る電源装置1とは、フォトトランジスタPC21、PC22を備える切替え部SW2と、ダイオードD21、D22と、キャパシタC1と、をさらに備える点が異なる。なお、電源装置1Aにおいて、電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
トランスTの2次巻線T2の一端には、キャパシタC1を介して、フォトトランジスタPC11のコレクタと、フォトトランジスタPC12のエミッタと、が接続されるとともに、ダイオードD21のカソードと、ダイオードD22のアノードと、が接続される。ダイオードD21のアノードには、フォトトランジスタPC21のエミッタが接続され、ダイオードD22のカソードには、フォトトランジスタPC22のコレクタが接続される。フォトトランジスタPC21のコレクタと、フォトトランジスタPC22のエミッタとは、トランスTの2次巻線T2の他端に接続される。
【0044】
すなわち、フォトトランジスタPC21とダイオードD21と、および、フォトトランジスタPC22とダイオードD22とは、それぞれ直列接続されており、フォトトランジスタPC21とダイオードD21とを直列接続した第3直列接続部と、フォトトランジスタPC22とダイオードD22とを直列接続した第4直列接続部とは、並列接続されている。
【0045】
[電源装置1Aの動作]
以上の構成を備える電源装置1Aでは、図1、2に示した本発明の第1実施形態に係る電源装置1と同様に、1次側回路110によりトランスTの1次巻線T1に電流を流すことで、トランスTの2次巻線T2に電圧を発生させて、トランスTの2次巻線T2の他端と比べて、トランスTの2次巻線T2の一端を高電位にしたり低電位にしたりする。そして、フォトトランジスタPC11と対に設けられた第1のフォトダイオード(図示省略)と、フォトトランジスタPC12と対に設けられた第2のフォトダイオード(図示省略)と、フォトトランジスタPC21と対に設けられた第3のフォトダイオード(図示省略)と、フォトトランジスタPC22と対に設けられた第4のフォトダイオード(図示省略)と、を制御することで、トランスTの2次巻線T2の電圧を倍電圧整流し、キャパシタC103により平滑化した後、出力端子OUT1から出力する。
【0046】
具体的には、まず、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて低電位である期間において、第3のフォトダイオードから光を出射させることで、フォトトランジスタPC21をオン状態にする。すると、トランスTの2次巻線T2の電圧により、キャパシタC1が充電されることとなる。
【0047】
次に、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて高電位である期間において、第1のフォトダイオードから光を出射させることで、フォトトランジスタPC11をオン状態にする。すると、上述の充電されたキャパシタC1の端子間電圧と、トランスTの2次巻線T2の電圧と、が重畳され、トランスTの2次巻線T2の電圧の最大2倍の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の高い正電圧が、出力端子OUT1から出力されることとなる。
【0048】
一方、まず、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて高電位である期間において、第4のフォトダイオードから光を出射させることで、フォトトランジスタPC22をオン状態にする。すると、トランスTの2次巻線T2の電圧により、キャパシタC1が充電されることとなる。
【0049】
次に、トランスTの2次巻線T2の一端が他端と比べて低電位である期間において、第2のフォトダイオードから光を出射させることで、フォトトランジスタPC12をオン状態にする。すると、上述の充電されたキャパシタC1の端子間電圧と、トランスTの2次巻線T2の電圧と、が重畳され、トランスTの2次巻線T2の電圧の最大2倍の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の低い負電圧が、出力端子OUT1から出力されることとなる。
【0050】
以上の電源装置1Aによれば、電源装置1が奏することのできる上述の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
【0051】
電源装置1Aは、フォトトランジスタPC21、PC22と、ダイオードD21、D22と、キャパシタC1と、を備えることにより、上述のように倍電圧整流を行う。ここで、図5に示した従来例に係る電源装置100においても、上述のフォトトランジスタPC21、PC22と、ダイオードD21、D22と、キャパシタC1と、を設けることで、倍電圧整流を行うことができる。ところが、倍電圧整流を行うと、リレーR101、R102のうちオン状態であるものに、整流を行う場合と比べて最大で2倍の電圧が印加されることとなるので、リレーR101、R102として、比較的高価な構成部品である高圧リレーを用いる必要がある。ところが、電源装置1Aは、高圧リレーを用いたリレーR101、R102を備えないため、製造コストを低減できる。
【0052】
<第3実施形態>
[電源装置1Bの構成]
図4は、本発明の第3実施形態に係る電源装置1Bの回路図である。電源装置1Bは、図3に示した本発明の第2実施形態に係る電源装置1Aとは、電圧重畳部10を備える点が異なる。なお、電源装置1Bにおいて、電源装置1Aと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
ここで、切替え部SW1と、ダイオードD11、D12と、からなる構成を特定接続部と呼ぶこととすると、電圧重畳部10は、上述の特定接続部に並列接続されている。この電圧重畳部10は、切替え部SW3、SW4と、ダイオードD31、D32、D41、D42と、キャパシタC2、C3と、を備える。
【0054】
切替え部SW3は、キャパシタC1、C2を介して、トランスTの2次巻線T2の一端に接続される。この切替え部SW3は、キャパシタC1、C2を介して、トランスTの2次巻線T2の一端と、ダイオードD31のアノードまたはダイオードD32のカソードのいずか一方と、を接続する。ダイオードD31のカソードと、ダイオードD32のアノードとには、出力端子OUT1が接続される。
【0055】
切替え部SW4は、出力端子OUT1に接続される。この切替え部SW4は、出力端子OUT1と、ダイオードD41のアノードまたはダイオードD42のカソードのいずか一方と、を接続する。ダイオードD41のカソードと、ダイオードD42のアノードとには、キャパシタC1、C2を介して、トランスTの2次巻線T2の一端が接続される。
【0056】
[電源装置1Bの動作]
以上の構成を備える電源装置1Bでは、図3に示した本発明の第2実施形態に係る電源装置1Aと同様に、1次側回路110によりトランスTの1次巻線T1に電流を流すことで、トランスTの2次巻線T2に電圧を発生させて、トランスTの2次巻線T2の他端と比べて、トランスTの2次巻線T2の一端を高電位にしたり低電位にしたりする。そして、切替え部SW1〜SW4を制御することで、トランスTの2次巻線T2の電圧の最大3倍の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の高い正電圧と、トランスTの2次巻線T2の電圧の最大3倍の電圧の分だけ出力端子OUT2より電位の低い負電圧とを、出力端子OUT1から出力する。
【0057】
以上の電源装置1Bによれば、電源装置1Aが奏することのできる上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0058】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0059】
例えば、上述の第2実施形態では、電源装置1AにフォトトランジスタPC21、PC22を設けたが、これらフォトトランジスタPC21、PC22の代わりに、例えばMOSFETで構成されるスイッチ素子を設けてもよい。
【0060】
また、例えば、上述の第3実施形態では、切替え部SW1と、ダイオードD11、D12と、からなる特定接続部に、電圧重畳部10を1つ並列接続したが、これに限らず、例えば電圧重畳部10を2つまたは3つ並列接続してもよい。このように、上述の特定接続部に並列接続する電圧重畳部10の数を変更することで、出力端子OUT1から出力する正電圧および負電圧の電圧を、任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1A、1B、100;電源装置
10;電圧重畳部
110;1次側回路
C1〜C3、C101〜C103;キャパシタ
D11、D12、D21、D22、D31、D32、D41、D42、D101、D102;ダイオード
OUT1、OUT2;出力端子
PC11、PC12、PC21、PC22;フォトトランジスタ
R101、R102;リレー
SW1〜SW4;切替え部
T;トランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスと、当該トランスの1次巻線に電流を流す電流供給手段と、当該トランスの2次巻線に生じる電圧を整流する整流手段と、を備え、出力端子から電圧を出力する電源装置であって、
前記整流手段は、
前記トランスの2次巻線の一端から前記出力端子に向って電流を流す第1の一方向性素子と、
前記出力端子から前記トランスの2次巻線の一端に向って電流を流す第2の一方向性素子と、
前記トランスの2次巻線の一端が、前記第1の一方向性素子、または、前記第2の一方向性素子に接続するようにした切替え手段と、を備え、
前記トランスの2次巻線の他端には、第1電位である第1端子が接続されることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記整流手段は、前記トランスの2次巻線の一端に直列接続された第1直列接続手段と、当該第1直列接続手段に並列接続された第2直列接続手段と、を備え、
前記第1直列接続手段は、前記切替え手段である第1の受光素子と、当該第1の受光素子に直列接続された前記第1の一方向性素子と、を備え、
前記第2直列接続手段は、前記切替え手段である第2の受光素子と、当該第2の受光素子に直列接続された前記第2の一方向性素子と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記整流手段は、倍電圧整流回路を含んで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−147206(P2011−147206A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3885(P2010−3885)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】