説明

電源装置

【課題】多出力の電源装置において、出力オンの運転状態のDC/DCコンバータユニットから発生した出力漏れ電圧により、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニットの出力側に高電圧が出力され、感電のおそれがあった。
【解決手段】多出力の電源装置は、DC電力を出力端子13a,13bから出力するDC電源10と、出力端子13a,13bに対して並列に接続された複数のDC/DCコンバータユニット20とを備えている。出力端子13a,13bとグランドGNDとの間には、コンデンサ41,42がそれぞれ接続されている。出力オンの運転状態のDC/DCコンバータユニット20から発生した出力漏れ電圧のパルスは、コンデンサ41,42へと流れる。そのため、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニット20の負荷側に発生する高電圧を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の直流/直流(以下「DC/DC」という。)コンバータユニットを備えた多出力の電源装置に係り、特に、DC/DCコンバータユニットにおける出力漏れ電圧の低減技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献3等に記載されたDCスパッタ電源装置等の電源装置は、DC電力を入力して所定レベルのDC電力に変換するDC/DCコンバータユニットを備えている。
【0003】
このようなDC/DCコンバータユニットを複数用いて、共通のDC電源に対し、それらの複数のDC/DCコンバータユニットを並列に接続して多出力の電源装置を構成する技術が知られている。多出力の電源装置では、複数の出力端子にDCスパッタ装置等の負荷をそれぞれ接続し、それらの各負荷へDC電力を供給して、複数の負荷の並列運転が可能な構成になっている。
【0004】
複数の出力端子を有する多出力の電源装置では、出力端子間において出力漏れ電圧が発生することが、特許文献1、2等に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−261115号公報
【特許文献2】特開2005−143154号公報
【特許文献3】特開2009−232542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の多出力の電源装置では、複数のDC/DCコンバータユニットのうち、出力オンの運転状態のDC/DCコンバータユニットがある場合、この出力漏れ電圧により、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニットの出力側に高電圧が出力され、この高電圧発生によって感電のおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうちの第1の発明の電源装置は、第1のDC電力を第1の正極側出力端子及び第1の負極側出力端子から出力する共通のDC電源と、前記第1の正極側出力端子及び前記第1の負極側出力端子に対して並列に接続され、第2のDC電力を個別の負荷へそれぞれ出力する複数のDC/DCコンバータユニットとを備えている。
【0008】
そして、前記各DC/DCコンバータユニットは、前記第1の正極側出力端子及び前記第1の負極側出力端子に接続され、前記第1のDC電力を入力する第1の正極側入力端子及び第1の負極側入力端子と、入力された前記第1のDC電力を所定レベルの前記第2のDC電力に変換するDC/DCコンバータと、変換された前記第2のDC電力を前記個別の負荷へ出力する第2の正極側出力端子及び第2の負極側出力端子と、をそれぞれ有している。更に、前記第1の正極側出力端子と接地電極との間には、第1のコンデンサが接続され、前記第1の負極側出力端子と前記接地電極との間には、第2のコンデンサが接続されている。
【0009】
第2の発明の電源装置では、第1の発明の第1及び第2のコンデンサに代えて、前記各DC/DCコンバータユニットにおける前記各第1の正極側入力端子と接地電極との間には、第3のコンデンサがそれぞれ接続され、更に、前記各DC/DCコンバータユニットにおける前記各第1の負極側入力端子と前記接地電極との間には、第4のコンデンサがそれぞれ接続されている。
【0010】
第3の発明の電源装置では、前記第2の発明の電源装置において、前記第1の正極側出力端子と前記接地電極との間に、第1のコンデンサが接続され、更に、前記第1の負極側出力端子と前記接地電極との間に、第2のコンデンサが接続されている。
【発明の効果】
【0011】
第1、第2及び第3の発明の電源装置によれば、出力オンの運転状態のDC/DCコンバータユニットから、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニットへの出力漏れ電圧による電流が、第1及び第2のコンデンサ、あるいは第3及び第4のコンデンサを介して、接地電極側へ流れる。そのため、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニットから負荷側に対する発生電圧を感電しないレベルに低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施例1における電源装置を示す概略の構成図である。
【図2】図2は図1中の各DC/DCコンバータユニットの構成例を示す回路図である。
【図3】図3は図1中のDC/DCコンバータ内部のパルスP1及び漏れ電圧パルスP2を示す動作波形図である。
【図4】図4は本発明の実施例2における各DC/DCコンバータユニットの構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1における電源装置を示す概略の構成図である。
【0015】
この電源装置は、例えば、多出力のDCスパッタ電源装置であり、第1のDC電力を供給する共通のDC電源10を備えている。DC電源10は、第1の交流(以下「AC」という。)電力(例えば、三相(3φ)200ボルト(V))を供給するAC電源11と、このAC電源11の出力側に接続された整流回路12と、この整流回路12の出力側に接続された第1の正極側出力端子13a及び第1の負極側出力端子13bとを有している。整流回路12は、AC電力11から供給される三相の第1のAC電力を半波整流して二相の第1のDC電力を正極側出力端子13a及び負極側出力端子13bから出力する回路であり、各相毎に半波整流を行う6個の整流ダイオード12a〜12fにより構成されている。なお、整流回路12は、全波整流回路で構成したり、あるいは、インダクタ及びキャパシタ等で構成される平滑回路を出力側に設けても良い。
【0016】
DC電源10の正極側出力端子13a及び負極側出力端子13bには、正極側電源線14a及び負極側電源線14bを介して、複数台のDC/DCコンバータユニット20(=20−1〜20−N)が並列に接続されている。各DC/DCコンバータユニット20は、共通のDC電源10から供給される第1のDC電力を所定レベルの第2のDC電力(例えば、定電力、定電圧の電力又は定電流の電力)に変換して個別の負荷36へ出力するものである。
【0017】
各DC/DCコンバータユニット20は、DC電源10の正極側出力端子13a及び負極側出力端子13bに、正極側電源線14a及び負極側電源線14bを介して接続された第1の正極側入力端子21a及び第1の負極側入力端子21bと、この第1の正極側入力端子21a及び第1の負極側入力端子21bから入力された第1のDC電力を所定レベルの第2のDC電力に変換するDC/DCコンバータ30と、変換された第2のDC電力を個別の負荷36へ出力する第2の正極側出力端子35a及び第2の負極側出力端子35bとを有している。
【0018】
DC/DCコンバータ30は、例えば、絶縁型DC/DCコンバータであり、正極側入力端子21a及び負極側入力端子21bから入力された第1のDC電力をスイッチングして第2のAC電力に変換するスイッチ(SW)部31と、変換された第2のAC電力における第1の電圧を所定レベルの第2の電圧に変換する変圧器(以下「トランス」という。)32と、変換された第2の電圧を有する第3のAC電力を整流して第2のDC電力を出力する整流部33とを有している。
【0019】
整流部33の出力側には、この整流部33の出力電力を平滑する平滑部(例えば、平滑用コンデンサ)34を介して、正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bが接続されている。
【0020】
正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bには、負荷36として例えばDCスパッタ装置が接続される。DCスパッタ装置は、例えば、半導体装置、液晶表示装置等に用いられる基板表面に金属薄膜や誘電体薄膜等を形成するために使用される装置であり、真空チャンバ、及び排気装置等により構成されている。真空チャンバ内には、薄膜を堆積させるための材料となるターゲットと、このターゲットをスパッタリングして薄膜を被着させるための基板等が収納されている。ターゲットのスパッタリングを行う場合、例えば、真空チャンバを真空に排気した後、プラズマ生成用ガスをチャンバに導入し、真空チャンバが所定の圧力に達した後に、真空チャンバを正極に、ターゲットを負極にしてDC電圧を印加する。すると、真空チャンバ内にプラズマが発生し、ターゲット材料のスパッタリングが行われ、そのターゲット材料が基板上に堆積して薄膜が形成される。
【0021】
各DC/DCコンバータユニット20内のスイッチ部31には、制御回路40が接続されている。制御回路40は、パルス幅変調(PWM)されたスイッチ切替信号S40を出力して、各スイッチ部31のスイッチング動作を制御する回路である。
【0022】
DC電源10の正極側出力端子13aに接続された正極側電源線14aと、接地電極であるグランドGNDとの間には、第1のコンデンサ41が接続されている。同様に、DC電源10の負極側出力端子13bに接続された負極側電源線14bと、接地電極であるグランドGNDとの間には、第2のコンデンサ42が接続されている。
【0023】
なお、図1中の破線矢印は、コンデンサ41,42が無い場合の漏れ電圧パルスの経路CS1、実線矢印は、コンデンサ41,42が有る場合の漏れ電圧パルスの経路CS2である。
【0024】
図2は、図1中の各DC/DCコンバータユニット20の構成例を示す回路図である。
各DC/DCコンバータユニット20を構成するDC/DCコンバータ30において、スイッチ部31は、4個のスイッチング素子(例えば、NチャネルMOSトランジスタ、以下「NMOS」という。)31a〜31dを有し、これらのNMOS31a〜31dが正極側入力端子21a及び負極側入力端子21bにブリッジ接続されている。各NMOS31a〜31dは、制御回路40から与えられるスイッチ切替信号S40によりゲートが制御されてオン/オフ動作を行う。
【0025】
NMOS31a及び31cの接続点31eと、NMOS31b及び31dの接続点31fとには、トランス32が接続されている。トランス32は、巻数n1の1次巻線32aと、巻数n2の2次巻線32bとを有し、その1次巻線32aの巻き初めと巻き終わりが接続点31e,31fにそれぞれ接続されている。2次巻線32bの巻き終わりと巻き初めには、整流部33が接続されている。
【0026】
整流部33は、2次巻線32bに流れる誘導電流を全波整流する回路であり、4個の整流ダイオード33a〜33dを有し、これらが接続点33e,33f間にブリッジ接続されている。整流ダイオード33a,33bのカソードと整流ダイオード33c,33dのアノードとには、平滑用コンデンサ34を介して、正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bがそれぞれ接続されている。
【0027】
(実施例1の動作)
図3は、図1中のDC/DCコンバータ内部のパルスP1及び漏れ電圧パルスP2を示す動作波形図である。
【0028】
図1において、複数台のDC/DCコンバータユニット20の並列運転を行う場合、DC電源10内のAC電源11からAC電力が出力され、このAC電力が整流回路12内の整流ダイオード12a〜12fで半波整流され、整流されたDC電力が正極側出力端子13a及び負極側出力端子13bから出力される。出力されたDC電力は、正極側電源線14a及び負極側電源線14bを介して、各DC/DCコンバータユニット20(=20−1〜20−N)へ供給される。各DC/DCコンバータユニット(例えば、20−1)では、供給されたDC電力が正極側入力端子21a及び負極側入力端子21bから入力され、スイッチ部31へ送られる。
【0029】
図2のスイッチ部31では、制御回路40から与えられるスイッチ切替信号S40により、NMOS31a,31dがオン状態になると、正極側入力端子21aから入力されたDC電力のDC電流が、NMOS31a→トランス32の1次巻線32a→NMOS31d→負極側入力端子21b、へと流れる。次に、NMOS31b,31cがオン状態になると、正極側入力端子21aから入力されたDC電力のDC電流が、NMOS31b→トランス32の1次巻線32a→NMOS31c→負極側入力端子21b、へと流れる。
【0030】
トランス32の1次巻線32aにおいて、方向の異なるDC電流が交互に流れると、トランス32の2次巻線32bにACの誘導電流が流れる。このACの誘導電流は、整流部33内の整流ダイオード33a〜33dにより全波整流された後、コンデンサ34によって平滑され、この平滑されたDC電力が正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bから出力されて負荷36へ供給される。これにより、負荷36が所定の動作を行う。
【0031】
他のDC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nにおいても同様の動作が行われ、各負荷36へDC電力が供給されて、複数の負荷36の並列運転が行われる。
【0032】
ここで、例えば、従来のように、コンデンサ41,42が無く、DC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nが運転状態の時に、DC/DCコンバータユニット20−1が停止状態で且つ負荷36が無限大に近い無負荷36aになった場合、このDC/DCコンバータユニット20−1の正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bに高電圧が発生することがあり、これにより感電のおそれがあった。
【0033】
DC/DCコンバータユニット20−1が停止状態で且つ負荷36が無負荷36aになる場合としては、例えば、作業員が負荷36である真空チャンバ等の補修点検を行うために、DC/DCコンバータユニット20−1へ供給する電源電力をオフ状態にし、正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bから負荷36を切り離す場合等が考えられる。
【0034】
DC/DCコンバータユニット20−1の負荷側高電圧発生の原因としては、運転状態にあるDC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nにおける図3に示すような内部パルスP1が、図3に示すようなひげ状の漏れ電圧パルスP2となり、図1に示す破線矢印の経路CS1を通って、DC/DCコンバータユニット20−1へ誘導されるからである。負荷側高電圧の発生条件としては、DC/DCコンバータユニット20−1が停止状態で、且つ負荷36が無限大に近い無負荷36aの場合に発生する。負荷36が低インピーダンスであれば、感電しないレベルの電圧となる。又、DC/DCコンバータ30の仕様として、出力電圧が高電圧のために内部のトランス32の1次巻線32a及び2次巻線32bの巻数比(n2/n1)が高くなっており、これにより漏れ電圧パルスP2が巻数比倍で負荷側に伝わるため、発生しやすい要因ともなっている。
【0035】
このような負荷側高電圧の発生を防止するために、本実施例1では、DC電源10の正極側出力端子13aに接続された正極側電源線14aとグランドGNDとの間に、コンデンサ41が接続されると共に、負極側出力端子13bに接続された負極側電源線14bとグランドGNDとの間に、コンデンサ42が接続されている。そのため、DC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nから発生した漏れ電圧パルスP2による高調波電流は、図1の実線矢印の経路CS2に示すように、正極側電源線14a及び負極側電源線14bを経由してコンデンサ41,42へと流れる。その結果、漏れ電圧パルスP2による高調波電流が、DC/DCコンバータユニット20−1の負荷側へ流出しなくなって、負荷側高電圧の発生を防止できる。
【0036】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、正極側電源線14aとグランドGNDとの間にコンデンサ41が接続されると共に、負極側電源線14bとグランドGNDとの間にコンデンサ42が接続されているので、運転状態のDC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nから発生した漏れ電圧パルスP2が、コンデンサ41,42へと流れる。そのため、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニット20−1から負荷側に対する発生電圧を感電しないレベルに低減できる。
【実施例2】
【0037】
図4は、本発明の実施例2における各DC/DCコンバータユニットの構成例を示す回路図であり、実施例1を示す図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0038】
本実施例2の各DC/DCコンバータユニット20は、実施例1と同様の構成であるが、実施例1のコンデンサ41,42に代えて、各DC/DCコンバータユニット20毎に第3のコンデンサ43及び第4のコンデンサ44がそれぞれ接続されている。
【0039】
第3のコンデンサ43は、各DC/DCコンバータユニット20における第1の正極側入力端子21a(即ち、正極側入力端子21aに接続されたスイッチ部31の正極側電源線31g)と、接地電極であるグランドGNDとの間に接続されている。更に、第4のコンデンサ44は、各DC/DCコンバータユニット20における第1の負極側入力端子21b(即ち、負極側入力端子21bに接続されたスイッチ部31の負極側電源線31h)と、接地電極であるグランドGNDとの間に接続されている。
その他の構成は、実施例1と同様である。
【0040】
本実施例2によれば、従来のように、コンデンサ43,44が無い場合、実施例1と同様に、DC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nが運転状態の時に、DC/DCコンバータユニット20−1が停止状態で且つ負荷36が無限大に近い無負荷36aになった場合、このDC/DCコンバータユニット20−1の正極側出力端子35a及び負極側出力端子35bに高電圧が発生することがある。
【0041】
しかし、本実施例2では、各DC/DCコンバータユニット20−1〜20−N毎にコンデンサ43,44がそれぞれ接続されているので、運転状態のDC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nから発生した漏れ電圧パルスP2は、各コンデンサ43,44へと流れる。そのため、出力オフの停止状態のDC/DCコンバータユニット20−1から負荷側に対する発生電圧を感電しないレベルに低減できる。
【0042】
その上、実施例1の各DC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nからコンデンサ41,42までの電源線の配線距離に比べて、本実施例2の各DC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nから各コンデンサ43,44までの電源線の配線距離が短いので、実施例1の電源線のインダクタンス値よりも、本実施例2の電源線のインダクタンス値が小さくなる。そのため、本実施例2では、実施例1に比べて漏れ電圧パルスP2をより速くコンデンサ43,44へ流すことができ、負荷側高電圧の発生を迅速且つ的確に防止できる。しかも、運転状態の各DC/DCコンバータユニット20−2〜20−Nから発生した漏れ電圧パルスP2を、それらの各DC/DCコンバータユニット20−2〜20−N毎に接続された各コンデンサ43,44へ速やかに流すことができるので、漏れ電圧パルスP2によるノイズの発生も防止できる。
【0043】
(変形例)
本発明は、上記実施例1、2に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
【0044】
(a) 実施例2では、実施例1のコンデンサ41,42に代えて、各DC/DCコンバータユニット20毎にコンデンサ43,44を接続しているが、実施例1のコンデンサ41,42に加えて、実施例2のコンデンサ43,44を接続しても良い。これにより、部品点数が増加するが、実施例1及び実施例2の効果を奏することができる。
【0045】
(b) 図2及び図4のDC/DCコンバータユニット20(=20−1〜20−N)内には、他の回路を付加したり、あるいは、図示以外の回路構成に変更しても良い。例えば、スイッチ部31を構成するスイッチング素子を、NMOS31a〜31d以外の他のトランジスタで構成したり、そのスイッチング素子に回生用ダイオード等を並列に接続したり、あるいは、負荷36側に発生する異常放電を防止するために、各DC/DCコンバータ30の出力側に、逆バイアス印加回路を設けても良い。又、図2及び図4のDC/DCコンバータ30は、フライバック式の絶縁型DC/DCコンバータにより構成されているが、フォワード式の絶縁型DC/DCコンバータ等の他の構成に変更しても良い。
【0046】
(c) 実施例1、2では、多出力のDCスパッタ電源装置について説明したが、本発明は、他の多出力の電源装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0047】
10 DC電源
11 AC電源
12 整流回路
13a 第1の正極側出力端子
13b 第1の負極側出力端子
20,20−1〜20−N DC/DCコンバータユニット
21a 第1の正極側入力端子
21b 第1の負極側入力端子
30 DC/DCコンバータ
31 スイッチ部
32 トランス
33 整流部
34,41,42,43,44 コンデンサ
35a 第2の正極側出力端子
35b 第2の負極側出力端子
36 負荷
36a 無負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電力を第1の正極側出力端子及び第1の負極側出力端子から出力する共通の直流電源と、
前記第1の正極側出力端子及び前記第1の負極側出力端子に対して並列に接続され、第2の直流電力を個別の負荷へそれぞれ出力する複数の直流/直流コンバータユニットと、
を備えた電源装置であって、
前記各直流/直流コンバータユニットは、
前記第1の正極側出力端子及び前記第1の負極側出力端子に接続され、前記第1の直流電力を入力する第1の正極側入力端子及び第1の負極側入力端子と、
入力された前記第1の直流電力を所定レベルの前記第2の直流電力に変換する直流/直流コンバータと、
変換された前記第2の直流電力を前記個別の負荷へ出力する第2の正極側出力端子及び第2の負極側出力端子と、をそれぞれ有し、
前記第1の正極側出力端子と接地電極との間には、第1のコンデンサが接続され、
前記第1の負極側出力端子と前記接地電極との間には、第2のコンデンサが接続されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
第1の直流電力を第1の正極側出力端子及び第1の負極側出力端子から出力する共通の直流電源と、
前記第1の正極側出力端子及び前記第1の負極側出力端子に対して並列に接続され、第2の直流電力を個別の負荷へそれぞれ出力する複数の直流/直流コンバータユニットと、
を備えた電源装置であって、
前記各直流/直流コンバータユニットは、
前記第1の正極側出力端子及び前記第1の負極側出力端子に接続され、前記第1の直流電力を入力する第1の正極側入力端子及び第1の負極側入力端子と、
入力された前記第1の直流電力を所定レベルの前記第2の直流電力に変換する直流/直流コンバータと、
変換された前記第2の直流電力を前記個別の負荷へ出力する第2の正極側出力端子及び第2の負極側出力端子と、をそれぞれ有し、
前記各直流/直流コンバータユニットにおける前記各第1の正極側入力端子と接地電極との間には、第3のコンデンサがそれぞれ接続され、
前記各直流/直流コンバータユニットにおける前記各第1の負極側入力端子と前記接地電極との間には、第4のコンデンサがそれぞれ接続されていることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
前記第1の正極側出力端子と前記接地電極との間には、第1のコンデンサが接続され、
前記第1の負極側出力端子と前記接地電極との間には、第2のコンデンサが接続されていることを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記直流電源は、
第1の交流電力を整流して前記第1の直流電力を出力する整流回路を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項5】
前記直流/直流コンバータは、
入力された前記第1の直流電力をスイッチングして第2の交流電力に変換するスイッチ部と、
変換された前記第2の交流電力における第1の電圧を前記所定レベルの第2の電圧に変換する変圧器と、
変換された前記第2の電圧を有する第3の交流電力を整流して前記第2の直流電力を出力する整流部と、
を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記整流部の出力側には、前記整流部の出力電力を平滑する平滑部が接続されていることを特徴とする請求項5記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−228046(P2012−228046A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92659(P2011−92659)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】