説明

電磁放射によって加熱された単結晶炭化ケイ素を含む複合材料および機器

【課題】電磁放射、特にマイクロ波エネルギーに曝露された場合、アーク放電およびスパークが無く、迅速に効率的にかつ高温に加熱する材料を開発する。また、その材料を使用して調理する方法を提案する。
【解決手段】マトリクス材料において単結晶炭化ケイ素ホイスカおよび繊維を含む、電磁放射に曝露すると温度上昇する複合材料。この材料を利用し、食品が、電磁放射に曝露されず、複合材料が電磁放射によって加熱された後に複合材料から伝達された熱によって加熱され、且つ熱が、加熱された構成材料から、伝導、対流、または赤外放射の再放射によって伝達される、調理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電磁放射の吸収によって迅速かつ効率的に温度を増加する複合材料に関する。本発明は、複合材料を含む機器およびこのような機器を使用する加熱方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの材料は、マイクロ波エネルギーまたは他の電磁放射を吸収しないことが知られている。そのような材料は、電磁放射に対してこれによって影響されることなく反射性または透過性であり得る。従ってこのような材料は、マイクロ波または電波場に曝露された場合に熱くならない。
【0003】
多くの材料は、電磁放射を吸収しそのため熱くなることが知られている。マイクロ波エネルギーで加熱することは、この現象の一つの例でしかなく、マイクロ波エネルギーを吸収すると熱くなる多くの組成物が知られている。例えば、水、油脂、および特定の食品は、マイクロ波エネルギーを吸収し、それによって加熱される。同様に、カーボランダムパウダー、フェライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素等の無機化合物がマイクロ波エネルギーを吸収すると熱くなること、およびカーボン粒子でさえもマイクロ波エネルギーを吸収すると熱くなることが知られている。そのような化合物は、その周囲に熱を伝えるために使用されることができる。
【0004】
しかし、そのような材料の全ての形がこのように使用されることができるわけではない。例えば、金属パウダーは、マイクロ波エネルギーを吸収するために使用されることができ、かつ、他の組成物と組み合わせて加熱可能な物体を形成するように使用される。しかし金属は、極めて伝導的であり、このように高い伝導性は、アーク放電またはスパークをもたらすことがある。例えば、大量の固体金属を、それによって生じたアーク放電およびスパークから損傷を生じることなく電子レンジに置くことが一般的にはできない。
【0005】
炭化ケイ素の200を超える結晶構造および形が確認されてきた。炭化ケイ素の形の中には、マイクロ波エネルギーを吸収すると熱くなることが知られており、かつ、電磁放射の吸収によって熱くなる物体の製造において、さまざまな形で使用できるものもある。このように使用される炭化ケイ素は多結晶微粒子である。炭化ケイ素は、マイクロ波エネルギーの吸収によって加熱される物体を作るために使用される。このような物体は、例えば可逆性吸水材として、すなわち、水を吸収し、その後吸収された水を飛ばすために、乾燥され、かつ電子レンジにおける加熱によって元に戻る物体として使用される。他の形の炭化ケイ素は、マイクロ波放射の吸収性が最低限であることが知られている。
【0006】
炭化ケイ素の吸収性のある形は、食品加熱用に使用される製品の一部として使用されることができる。マイクロ波エネルギー単独では、しばしば食品にきつね色焦げ目をつけないため、特に炭化ケイ素は、電子レンジで加熱された食品にきつね色の焦げ目のついた表面を形成するために使用される加熱物体の製造に使用される。また炭化ケイ素ホイスカは、レンジ調理に使用される容器を作るために使用される樹脂に剛性と強度を提供する無機充填材として説明される。無機充填材として使用される場合、炭化ケイ素は通常、マイクロ波放射を最小限に吸収する形である。
【0007】
炭化ケイ素はまた、セラミック物体および金属物体の製造のための処理についての選択された工程において使用されることができる。例えば、マイクロ波エネルギー中で加熱することによって、炭化ケイ素パウダーで作製された物体から有機結合剤が除去されてきた。また炭化ケイ素パウダーは、その中に埋め込まれたセラミックペレットを加熱してペレットを減らすか、または結合剤を除去し、かつペレットを焼結するために適したマイクロ波吸収材として知られている。黒鉛、炭化ケイ素、および他の誘電体材料は、金属元素を含む高分子セラミック前駆システムに埋め込まれるための適切な材料であることが知られている。この金属元素は、(20GHzを超える)高周波マイクロ波エネルギーに曝露すると、誘電体によって生成された熱によって硬化されセラミック/金属複合材を形成する。しかしこのようなシステムは、一般的には遅い加熱速度を有し、それによってマイクロ波加熱に伴う利点を打ち消している。
【0008】
炭化ケイ素、セラミックファイバーおよびマイクロ波吸収性材料をマイクロ波エネルギーに曝露することは、望ましくないアーク放電およびスパークをもたらし得るということが知られている。金属パウダーを含む金属も、金属は導電性であるためアーク放電をもたらす。従ってこのようなスパークを減少する方法が開発されてきた。そのような一つの方法において、炭化ケイ素は、セラミックファイバー中におよびその周辺に、化学蒸着法によって蒸着される。このようなセラミック/炭化ケイ素複合材は、マイクロ波エネルギーに曝露される場合に熱くなるが、CVDによって形成された炭化ケイ素がスパークを抑制する。
【0009】
炭化ケイ素および他のカーボン含有材料は、セラミック含有パウダー混合物に混合されて、焼結中にセラミックパウダーの厚肉物体の加熱の補助として作用する。パウダーは、マイクロ波エネルギーへの感受性を増加するため粘土および陶土のような材料を含有し、かつ物体は、マイクロ波加熱の前にオートクレーブ処理されて、セラミックパウダーを未変化セラミックよりも効率的にマイクロ波エネルギーを吸収する形にする。その後物体はマイクロ波エネルギーへの曝露によって焼結される。しかし物体がオートクレーブ処理されない場合は、加熱速度は受け入れ難いほど遅い。
【0010】
発熱物体における炭化ケイ素の使用には制約が存在する。最も吸収性のある形の炭化ケイ素でさえその加熱効率は一般的には低い。実際には、典型的な炭化ケイ素微粒子の加熱効率は非常に低いので、触ると冷たいままであるマイクロ波加熱可能の食品容器の強度および切断抵抗を高めるために、このような微粒子が使用される。さまざまなタイプのプラスチックへの炭化ケイ素の添加が、使用中に不快な臭いを伝える生成物を生じるということも開示されてきた。従ってこのような形の炭化ケイ素の使用は、このような臭いを制御するための改善手段と添加物を必要とする。
【0011】
典型的には、炭化ケイ素のマイクロ波エネルギーでの照射によって達成される最も高い温度は、比較的低く約300度である。これはしばしば、マトリクス材料の特性および特質を劣化させないようにするため、炭化ケイ素の濃度が低く保たれなければならないためである。他の材料と結合された炭化ケイ素を含む固体ブロックのような何らかの材料と組み合わされて、比較的高い温度が達成され得る。600〜800℃の温度は、窒化ケイ素結合炭化ケイ素の固体ブロックを使用して、600Wで3〜4分内のマイクロ波エネルギーへの曝露で達成される。このような材料は、固体または単結晶炭化ケイ素よりも低い密度を有する。このような材料は他の化合物を灰化するために使用される。
【0012】
改善された放射加熱機器の必要が依然としてある。他の目的のための機器と同様、食品加熱用機器は制限されている。公知の機器は、非効率的であり使用温度を達成するのが遅い。遅い加熱速度は、マイクロ波および放射加熱法の利点および特に期待された迅速な加熱を打ち消す。一部の機器は、達成され得る温度によって制限されるものもある。別のものは、マイクロ波エネルギーに曝露された場合にアーク放電を生じ、従って電子レンジまたは電磁放射源に損傷を与えるリスクがある。所望の発熱を達成するために必要な、炭化ケイ素パウダー、カーボンパウダーおよび粒子、ならびに他のマイクロ波吸収材料の量は、材料が添加されるマトリクスの特性および特質を劣化させるほど非常に大きくなければならない場合が多い。従って、電磁放射、特にマイクロ波エネルギーに曝露された場合、アーク放電およびスパークが無く、迅速に効率的にかつ高温に加熱する機器の必要性が依然としてある。また、現在入手できるものよりも広い使用の範囲を有する物体の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0013】
発明の簡単な概要
本発明は、電磁放射の吸収によって、および特にマイクロ波エネルギーの吸収によって、迅速かつ効率的に高温に加熱する複合材料に関する。さらに、本発明の複合材料は、アーク放電しないか、またはスパークを生じない。複合材料は、特異な形の炭化ケイ素を含む。この特異な形は、電磁放射によって強く加熱された単結晶炭化ケイ素のホイスカまたは繊維である。本発明は、複合材料で作製された物体にも、および本発明の材料を使用する加熱の方法にも関する。
【0014】
本発明の複合材料は、電磁放射を吸収することによって、中にまたは上に含まれる他の組成物を加熱するために適している坩堝、調理容器、および給仕用の器などの容器を形成するように形状化されることができる。本発明の複合材料は、金属を溶解するため等の熱源として形作られ使用されてもよい。本発明の材料はまた、マイクロ波硬化性のまたはマイクロ波加熱可能の強化ポリマーおよび接着剤であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】鉱物油ベースの材料のマイクロ波加熱の比較を示す。
【図2】本発明の複合材料によって到達された温度と複合材料中の単結晶炭化ケイ素ホイスカの濃度との間の関係を示す。
【図3】アルミナベースの材料のマイクロ波加熱の比較を示す。
【図4】アルミナマトリクス中の単結晶炭化ケイ素ホイスカの関数として誘電正接を示す。
【図5】単結晶炭化ケイ素ホイスカと比較した市販の炭化ケイ素の加熱能力の比較を示す。
【図6】アルミナと単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む本発明の複合材料についての平均加熱速度を示す。
【図7】多結晶炭化ケイ素粒子で調製された比較試料と比較した、本発明の複合材料の加熱能力を示す。
【図8】焼結された溶融セラミックロッドの形における本発明の複合材料についての平均加熱速度を示す。
【図9】本発明の複合物で加熱することによって溶解され固体塊に融合されたアルミニウムパウダーの加熱速度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、電磁放射の、特にマイクロ波エネルギーの吸収によって迅速かつ効率的に高温に加熱する複合材料に関する。本発明者らは、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を合成し、このような単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維が、電磁放射、特にマイクロ波エネルギーを熱に変換することに特に適していることを発見した。従って複合材料で作製された物体を、迅速および効率的に、かつ所望の場合は高温にまで加熱する。従ってこのような物体を、金属を溶解すること等、公知の炭化ケイ素含有マイクロ波加熱可能機器に適していない様式において使用することができる。別の方法では、より高い温度を必要としない物体は、より安いコストで製作され、かつより安いコストで使用されることができる。さらに、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、微粒子炭化ケイ素を含有する物体と比較して追加的な強度を提供し、かつ単結晶炭化ケイ素のホイスカまたは繊維を含有する物体は、公知の材料から作製された物体よりも簡単に製造される。単結晶炭化ケイ素のホイスカまたは繊維の量は、マトリクス材料の特性および特質を劣化させないために充分に低い。
【0017】
本発明の複合材料は、マトリクスまたは結合剤中に単結晶炭化ケイ素のホイスカまたは繊維を含む。当業者は、吸収性材料中の電磁放射の熱への変換が次の方程式によって支配されるということを認識する。

式中、P=出力(ワット/m3
f=周波数(Hz)
E=電圧勾配(V/m)
ε=誘電率
tanδ=誘電正接
【0018】
本発明者らは、驚くことに、複合材料が本発明の単結晶炭化ケイ素のホイスカまたは繊維で形成されている場合、複合物の誘電正接値が非常に高いレベルまで上昇するということを発見した。この効果は、このような複合物が極めて迅速な加熱速度を有するということとなる。
【0019】
高い損失正接値を有する組成物は、「多損失(lossy)」組成物と言われる。すなわちこのような組成物は、大きな損失(消散)電流を生じるので、良好に熱くなる。低い誘電損失を有する組成物は、電磁放射に曝露された場合に良好に熱くならない。従って、ほとんどのセラミック、ポリマー、インク、接着剤、乾燥木および(紙および段ボールを含む)セルロース製品、ならびに鉱物は、概ね低い誘電損を示し(すなわち多損失ではない)、従って、電磁放射を効率的に熱に変換しない。
【0020】
本発明者らは、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維が、電磁放射を吸収して熱に変換する顕著な能力を有するということを発見した。従って単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、多結晶炭化ケイ素粒子と比較して低い装填レベルで、すなわち低い濃度で使用されて所望のレベルの発熱を達成することができる。特に多結晶炭化ケイ素粒子よりも少ない量の単結晶炭化ケイ素のホイスカまたは繊維を使用する能力は、マトリクス材料の特性および特質が落ちないという利点を得る。さらに、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、アーク放電せずまたはスパークを生じない。
【0021】
本発明者らは、理論にことを望まないが、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、好ましい形態を有するため特に高い誘電正接を有するということが考えられる。また、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維におけるドーパントは、吸収される単位エネルギーあたりの追加の熱の放出を提供する。ドーパントは、誘電正接の値を増加することによって機能する。ドーパントは、炭化ケイ素格子自体の中に、または炭化ケイ素を取り囲む複合マトリクスの内部に配置されることができる。
【0022】
2つのタイプのドーパントがある。すなわち「p型」および「n型」である。p型ドーパントは、自由(この場合は正の)電荷キャリアの数を増加する。P型ドーピング材料が添加される場合は、これは、炭化ケイ素格子中の弱く束縛された電子を持ち去る(受け入れる)。これは失われた電子「ホール」を作る。より多くのホールを有すると、材料の伝導性を増加させ、その結果、それにより誘電正接値を増加させる。
【0023】
逆に、n型ドーパントは、弱く束縛された電子を炭化ケイ素格子に渡す(提供する)。このタイプのドーピング剤は、その電子の一部を渡すのでドナー材料としても公知である。n型ドーピングの目的は、材料中に豊富な移動性のすなわち「キャリア」電子を生成することである。典型的な炭化ケイ素構造は4つの電子と共有結合している。n型ドーパントは、この構造に5番目の電子を導入する。この5番目の電子は移動性であり、かつ電子の移動度が伝導性を増加させ、その結果、それにより誘電正接値を増加させる。
【0024】
本発明者らは、n型ドーパントがより高い誘電正接値を生成するために特に有用であるということを見出した。特に、炭化ケイ素格子の誘電正接を増加するためには、溶存窒素が非常に効果的なn型ドーパントである。本発明の複合材料を形成するために使用される単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維中のドーパントの濃度は、約2重量パーセントまで、好ましくは約1.5重量パーセントまで、かつさらに好ましくは約1.0重量パーセントまでの範囲である。任意の量のドーパントが、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の多損失性(lossiness)を増加させる。例えば約0.2重量%と約0.5重量%との間の濃度において存在する窒素は、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の多損失性を増加させる。本明細書中に提供される手引きがあれば、当業者は、適切なドーパントを同定することができ、多損失性における所望の増加を提供するドーパント濃度を決定することができると考えられる。
【0025】
本発明において使用された単結晶炭化ケイ素は、2つの形態要因、ホイスカおよび繊維を含む。ホイスカおよび繊維を、別々にまたは任意の割合の組み合わせにおいて使用することができる。ホイスカは、繊維よりも概ね小さいが、サイズの範囲は重なり得る。ホイスカは、約0.2ミクロンと約10ミクロンとの間の、好ましくは約0.3ミクロンと約3ミクロンとの間の、さらに好ましくは約0.4ミクロンと約2ミクロンとの間の、および最も好ましくは約0.5ミクロンと約1.5ミクロとの間の直径を有する。このようなホイスカのアスペクト比すなわち直径に対する長さの比(L/D)は約10と約100との間であり、好ましくは約10と50との間であり、さらに好ましくは約12と約20との間である。一つのこのような市販の単結晶炭化ケイ素ホイスカ製品がAdvanced Composite Materials Corporation of Greer, South CarolinaからSilar(登録商標)ブランド炭化ケイ素ホイスカという商標名で入手可能である。この製品は、0.6ミクロンの平均直径および9ミクロンの平均長を有する単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む。単結晶炭化ケイ素ホイスカは、全体が参照により本明細書に組み入れられるCutlerの米国特許第3,754,076号に開示された方法に従って作製されることができる。本発明において適切に使用される炭化ケイ素繊維は、典型的には、約4ミクロンから約20ミクロンまでの、好ましくは約4ミクロンと約16ミクロンとの間の、さらに好ましくは約5ミクロンと約15ミクロンとの間の直径を有する。このような繊維は、少なくとも約50ミクロンの長さを、かつ典型的には約60ミクロンと約1000ミクロンとの間の長さを有する。このような繊維は、全体が参照により本明細書に組み入れられるAngierの米国特許出願公開第2004/0009112号、およびAngierの米国特許出願第11/186,941号に開示された方法に従って作製されることができる。
【0026】
従って、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の形態が誘電正接値に影響する。単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の形態は、電磁放射に曝露された場合に放射加熱を提供することに特によく適しており、かつこの目的のためには、バルク形態または粒状形の多結晶炭化ケイ素よりも優れている。
【0027】
炭化ケイ素ホイスカは単結晶材料である。これらは多結晶ではないため、伝導性を制限し、それによりホイスカの加熱する能力が減少することができるボイド、欠陥、または崩壊が結晶格子中に本質的には存在しない。
【0028】
炭化ケイ素繊維は、単結晶であってもよいが典型的にはそうではない。と言うよりもこのような繊維は、多くの炭化ケイ素の単結晶で構成されている可能性が高い。本発明者らは理論に束縛されることを望まないが、都合よく伝導性であるこのような繊維の内部で単結晶セグメントが存在すると考えられるため、炭化ケイ素繊維は、単結晶炭化ケイ素ホイスカと同じ効果によって恩恵を受けると考えられる。従って比較できる大きさの多結晶炭化ケイ素とは違って、結晶格子中にボイド、欠陥、または崩壊をもたらす可能性がある結晶境界がほとんど存在しない。
【0029】
本発明者らは、理論に束縛されることを望まないが、0.5ミクロンの直径および少なくとも10:1のアスペクト比(5ミクロンを超える長さ)を有する炭化ケイ素ホイスカは、多結晶炭化ケイ素微粒子よりも大きい距離にわたって電子が流れることを可能としている。より長い範囲にわたるこの電子流は、線路損を生み出し、かつ誘電正接を増加させる。同様に、さらに好ましくは5ミクロンから15ミクロンまでの直径および少なくとも50ミクロンの長さを有する炭化ケイ素繊維は、大きな線路損を有し得る。ホイスカまたは繊維の一方側に電位が加えられるので、ドーパントのドナー電子が流れると考えられる。ホイスカまたは繊維は、長い単結晶であるかまたはそのように作用するため、自由電子流長が増加し、その結果、それにより、線路損および誘電正接値を増加させる。
【0030】
従って単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、(1)単結晶ホイスカおよび(2)多くの単結晶セグメントを有する繊維、を含む。マイクロ波エネルギーの熱への変換において、繊維は単結晶ホイスカよりもわずかに効率的ではない可能性があるが、繊維は、単結晶炭化ケイ素ホイスカと本質的に同じ効率を有し、かつ典型的な多結晶炭化ケイ素よりも、はるかに単結晶炭化ケイ素ホイスカに類似した特性および特質を有し得る。
【0031】
マトリクス材料は、意図した使用に適した本発明の複合材料を提供するように選択される。例えば、金属を溶解するために使用される本発明の複合材料は、典型的には、食品を加熱するために使用される本発明の複合材料を形成するため使用されるマトリクス材料とは異なるマトリクス材料を用いる。
【0032】
本発明の複合材料のためのマトリクス材料は、複合物体が加熱される際に期待される温度上昇によって生じた変形に耐えるべきである。マトリクス材料によるマイクロ波エネルギーの吸収は、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維に適用できるマイクロ波エネルギーの量を減らし得る。従って好ましくは、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を加熱するために使用できる本質的に全てのマイクロ波エネルギーを生成するように、マトリクス材料はマイクロ波エネルギーに対して透明である。
【0033】
典型的には、本発明の複合材料に好適に使用されるマトリクス材料は、使用される電磁放射に対して高い誘電率を有し、かつ、ポリマー、セラミクス、有機液体および固体から、ならびに電磁放射に対して透明であるか、または電磁放射に曝露すると非常にゆっくり加熱する任意の他の組成物から選択される。電磁放射は、約5kHz(電波周波数)と約150GHz(マイクロ波周波数)との間の周波数を有することができる。しかしさらに典型的には、約500MHzから約23GHzまでの範囲、さらに典型的には、約750MHzと約3GHzとの間のマイクロ波周波数である。典型的には、電子レンジは、約915MHz(米国の産業用オーブン)および約2.45GHz(米国の民生オーブン)の周波数を使用する。あまり一般的ではない896MHz等の他の周波数も使用されてもよい。
【0034】
好ましくは、本発明の複合物体は、加熱される場合に、溶解せず、歪まず、または好ましくない変形がない。変形、膨張、曲げ、溶解、および同様の変形が、消費者によって好ましくないと恐らく認識されるため、例えば食品容器は、その形状を十分に維持することが好ましい。しかしユーザーは、熱源として産業用使用が意図された物体におけるこのようなわずかな変形には恐らくは異議を唱えないであろう。またマトリクス材料は、意図された使用に適していなければならない。例えば食品機材は、食品安全の材料で製造されなければならない。本明細書に提供された手引きがあれば、当業者は適切なマトリクス材料を特定し、選択することができると考えられる。
【0035】
従ってマトリクス材料は、典型的には、マイクロ波透過化合物から選択され、意図された使用に必要な特性および特質に基づいて選択される。マトリクス材料は典型的には、有機および無機の固体および液体、セラミクス、ならびにポリマーから選択される。熱可塑性ポリマーを溶解するという問題が存在するが、ポリマーは熱可塑性または熱硬化性であってよい。また、熱で硬化するホットメルト接着剤およびポリマーも、本発明の複合材料を形成するための単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維に適切なマトリクス材料である。
【0036】
さらに、熱硬化性樹脂は、マイクロ波加熱によりそのガラス転移温度を超えて「活性化」され得る。そのガラス転移温度を超えて活性化された場合は、熱硬化性樹脂は硬いガラス状のポリマーから柔らかいゴム状のエラストマーに変化する。従ってマイクロ波「活性化」は、熱硬化ポリマーの温度を上昇させ、それによってポリマーをガラス状態からガラス転移温度を介してゴム状態へ移すために、使用されることができる。
【0037】
汎用のおよび食品提供サービスにおけるポリマーのためには、例えばマトリクス材料は、アクリル系、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、脂肪族のポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、芳香族ポリエステル、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、イソタクチックポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリプロピレンベースおよびポリエチレンベースのコポリマーを、かつ、特に高温の食物関連の使用のためには、ポリフェニレンサルファイドを含む。相溶性ポリマーおよび適所で硬化されるポリマー前駆物質の混合も食品提供サービスでの使用に適している。
【0038】
流体およびペーストもマトリクス材料に適している。鉱物油(パラフィン油)はマトリクス材料として適している。添加され適切な可撓性容器に配置された単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を有する鉱物油は、他の形状へと適合する塊をもたらす。従ってこの構成は、例えばヒトの身体に使用するのに都合がよい加熱パッドを形成する。オイル、アルコール、および他の有機液体のような他の流体もマトリクス材料となることができる。
【0039】
他の使用は、耐久性のある本発明の複合材料を必要とする。そのような材料は、例えば、アルミナの化合物および混合物、ジルコニア、シリカ、窒化ケイ素および窒化ホウ素、チタン化合物、ならびに他のセラミクスを含む。同様に、濾紙のようなセラミックペーパーが、本発明による単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を使用して作製されることができる。他の好適なマトリクス材料は、ゼオライトおよびモレキュラーシーブを含む。
【0040】
他のマトリクス材料は、シリコーンゴムおよび他のマイクロ波透過性ゴムを含む。単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を含むコーティングを紙、段ボール等に付けるため、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、フルオロカーボン、シリコーン、ナイロン、およびポリエーテルスルホンで形成されたフィルムを使用することができる。キャリア中の単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、基板に適用されて単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維のコーティングを維持基部(retentive base)で形成することができる本発明の複合材料となる。
【0041】
本発明の複合材料は、基板上に所望のコーティングを設定または形成する単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を含むコーティングまたは塗料の形であることもできる。例えば単結晶炭化ケイ素は、高圧および約200度を超える温度で、ペンタクロロニトロベンゼンまたはp−ジクロロベンゼンにおいてポリフェニレンサルファイド(PPS)で分散されることができる。この分散はガラスまたは他のマイクロ波透過性基板上にコーティングされて、マイクロ波活性コーティングを有する物体を作製することができる。
【0042】
本発明の複合材料は、マイクロ波吸収性単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維を含むホットメルト接着剤を含む。典型的にはマイクロ波エネルギーに対して透明である固体材料の形で存在するこのような接着剤タイプをマイクロ波エネルギーに曝露することは、接着剤を活性化させるかまたは溶解させるであろう。一つのこのような接着剤の例は、少量(有機材料の重量に基づいて約20重量パーセント)のパラフィン蝋を含む接着剤中の単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維と、残りのエチレン酢酸ビニールを含む有機接着剤との組み合わせである。
【0043】
熱による架橋で硬化する前駆物質を含むポリマー材料も、本発明の複合材料に適したマトリクス材料である。このような材料は、無機、有機、またはハイブリッドであってもよい。このような材料は、(炭化ケイ素マトリクスを形成するための)ポリカルボシランを含む。他の好適な材料はポリマーセラム(polymer ceram)の混合物から選択される。セラミックパウダーを形成するゾルゲル材料もマトリクス材料となることができる。
【0044】
従って本発明の複合材料は多くの形を有する。例えば液体またはペーストマトリクス材料は、本発明の液体またはペースト複合材料を生じる可能性が高い。同様に、パウダーマトリクス材料は、本発明のパウダー複合材料を生じる。しかしそのようなパウダーも、押圧されまたは成形されて、ロッド、煉瓦状塊(brick)、加工部品等のより大きな固体にされることができる。樹脂は、熱硬化性であろうと熱成形性であろうと、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維と混合されて、その後さまざまなポリマー処理法によって成形され、かつ所望の形状を有する本発明の複合材料を生じるように設定または形成されることができる。本発明の可撓性複合材料は、単結晶炭化ケイ素層のホイスカおよび繊維を含むシリコーンまたは有機ゴムから形成されてもよい。
【0045】
同様に、本発明の複合材料を含む物体は、マトリクス材料の物理的形成に適した公知の方法に従って作製される。例えば単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は、必要であるのは液体、ペースト、または溶融樹脂に混合されるのみである。固体微粒子マトリクス材料は、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維と混合される(mixed)かまたは混ぜ込まれる(blended)。このような本発明の微粒子複合材料は、その後、注型、加圧成形によって、またはその他には粒子状物質を凝集することによって、煉瓦状塊、錠剤、ロッド、球、または任意の所望の形状とサイズのようなより大きな固体に形成されることができる。
【0046】
本明細書に提供された手引きがあれば、当業者は、単結晶炭化ケイ素のホイスカ、繊維、およびこれらの混合物を、本発明の複合材料を形成するために導入できる、意図された使用に適したマトリクス材料を選択できると考えられる。
【0047】
マトリクス材料中の単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の比率は、マトリクス材料の特性および特質と所望の発熱の程度との関数である。例えば、熱可塑性ポリマー樹脂、特に比較的低融点を有するものにおける単結晶炭化ケイ素のホイスカ、繊維、またはこれらの混合物の量は、プラスチックを溶かさないように注意が払われなければならないため、比較的低いと考えられる。同様に、木製品ならびに紙および段ボールのようなセルロース製品に着火することを避けるように注意が払われなければならない。対照的にセラミクスは、高温耐性であり、高温での発熱において使用されることができる。従って、このような本発明の組成物における単結晶炭化ケイ素のホイスカ、繊維、またはこれらの混合物の濃度は、比較的高くてもよい。
【0048】
従って、マトリクス材料中における単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の下限は、所望の発熱を生じるそのレベルである。同様に、マトリクス材料中における単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の上限は、マトリクス材料の特性および特質に悪影響を及ぼすその量である。しかし単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維についてのこの限界は、公知の炭化ケイ素微粒子についてよりも高い。公知の炭化ケイ素微粒子は、特に高濃度においてマトリクス材料に結合力を失わせるので、濃度が増加するにつれマトリクス材料の特性および特質を劣化させる傾向がある。また公知の炭化ケイ素微粒子は、熱衝撃を充分に改善しない。しかし単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は硬質ロッドであるので、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維は材料を強化する傾向がある。さらに、この形態は、本発明の複合材料に強い熱衝撃耐性を持たせる。
【0049】
従って典型的には、本発明の複合材料における単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の濃度は、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維ならびにマトリクス材料の全重量に基づいた、約0.1重量パーセントと約95重量パーセントとの間である。さらに典型的には、本発明の複合材料における単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の濃度は、同じ基準で約1重量パーセントと約90重量パーセントとの間であり、なおさらに典型的には、同じ基準で約5重量パーセントと約75重量パーセントとの間である。当業者は、本明細書に提供された手引きがあれば、所望の適用において所望の発熱を生じるマトリクス材料において、単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の適切な濃度を計算または別に決定することができる。
【0050】
当業者は、本発明の複合材料の曝露に際して、さまざまな要因が加熱速度に影響すること認識する。上記の方程式1からわかるように、加熱速度はワット量が高まるにつれて増加するであろう。加熱速度はまた、電磁放射周波数が増加するにつれても増加する。加熱される物が断熱(insulated)されている場合は、主に周囲への減少した熱伝達のために、さらに高い加熱速度を生じるであろう。
【0051】
エネルギー場の均一性およびその場内の加熱される物体の場所の両方も、加熱速度に影響する。当業者が認識するように、電磁放射場はその中にムラを有し得る。特に長波長(10cm〜12cm)が原因で、マイクロ波場は、異なる加熱速度を生じ得る「ホットスポット」および「コールドスポット」を有する。
【0052】
対流強制および伝導強制の両方も加熱速度に影響する。強制された対流は、加熱される要素の上を流体または気体が流れて、熱を周囲の流体に伝達することで試料における温度を下げるため、強制された対流はより低い加熱速度を生じるであろう。高い熱伝導度を有する金属のような材料に複合材料が取り付けられている場合、容易に金属等のそのような材料を介して熱が流れるため、伝導強制も熱の流れを減らすように作用する。従って加熱速度に影響し得る多くの要因が存在するが、本発明の複合材料は公知の技術に比べて顕著な改善をもたらす。
【0053】
本発明の複合材料は多くの用途を有する。一つの好適な民生用途は食品加工用品にある。食品加工用品は、例えば、耐熱皿、調理器具、オーブンに入れて使える容器、ミキシングボウル、計量カップ、ブレンダボウル、皿、大皿、熱板皿(browning platter)および容器、カップ、ならびにこのタイプの用品等の給仕用用品、食品加熱器および焼き器等を含む。本明細書中に記載された断熱された容器も食品加工用品として使用されることができる。このような本発明の複合材料を含む食品加工用品は、電波エネルギーまたはマイクロ波エネルギーへの曝露によりこの用品をまたはその中または上に食品を有する用品を加熱することによって、食品を調理するか、焼くか、またはその他には加工処理するために使用されることができる。
【0054】
本発明の複合材料を含む器は、任意の物体または用品を加熱するかまたは暖めるために適切に使用される。例えばこのような器は、使用前に好ましくは温められるかまたは加熱されるアマニ油または他のコーティングを加熱するために適している。同様に、このような器は、熱可塑性樹脂を融解するために使用され得る。当業者は、本明細書中に提供された手引きがあれば、このような器が多数の用途を有することを認識し、任意の目的のためにこのような器を作製および使用するができる。
【0055】
同様に、さまざまな用品を加熱するための断熱された、および断熱されていない器は、本発明の複合材料を含むこともできる。このような器は、食品用途に適し得るか、または任意の物体を加熱する、かつ温め続けるために使用されうる。例えば、コーヒー、茶、ホットチョコレート、もしくは他の飲み物のための本発明の複合材料を含む断熱されたカップ、または食品用のボウルのような本発明の複合材料を含む断熱された器は、食品を加熱し、かつその後これを温め続けると考えられる。また、本発明の複合材料を含む断熱された器は、金属を溶解または溶融するため等の比較的高い温度を必要とする材料を加熱するために有用である。一つのそのような器を実施例9において記載する。
【0056】
本発明の複合材料はまた、乾燥装置の製造において適切に使用される。一つのタイプの乾燥装置は、水または他の蒸気もしくは気体を特に大気から吸収し、その後、その水、蒸気、または気体を加熱によって脱離するために使用される。当業者が選択できる乾燥剤と本発明の複合材料とを使用して、このような乾燥装置が適切に作製される。乾燥装置は、水、蒸気、または気体を脱離するため装置を加熱し、その後、冷却させることによって使用される。冷却された装置はその後、材料を吸収するために使用され、その後、材料は、電波またはマイクロ波への曝露に際し、加熱によって脱離される。
【0057】
別のタイプの乾燥装置は、直接マイクロ波および本発明の複合材料によるコンビネーション乾燥を含む。マイクロ波照射は、低い場の均一性を有することが知られているので、マイクロ波乾燥は問題であり得る。不均一な場の分布のため、マイクロ波場が適用された後、乾燥される材料は、一つの領域において十分加熱され乾燥されるが、別の領域においては望ましくない高い水分含有量で不十分に加熱されることになる場合がある。しかし、本発明の複合材料を含むコンビネーション乾燥機は、従って、対流的、伝導的、または本発明の複合材料によって導入された赤外加熱に加えて、除去されるべき水の直接的マイクロ波加熱も有すると考えられる。都合のよいことに、このコンビネーションの加熱および乾燥は、単一のマイクロ波乾燥装置内で実施される。結果は、マイクロ波場単独によりなされるよりも、均一、完全、かつ効率的なマイクロ波乾燥である。
【0058】
本発明の複合材料はまた、コンビネーションオーブンの製造において使用されうる。本発明の複合材料は、コンビネーションマイクロ波−対流オーブンの対流加熱素子を形成するために適切に使用される。従ってこのようなオーブンは、マグネトロンと電気加熱素子ではなく、マグネトロンのみを有すればよい。というよりも、マイクロ波は、直接にオーブン内で物体を加熱するために使用され、かつマイクロ波はまた本発明の複合材料も加熱する。加熱された本発明の複合材料は、このようにして対流的加熱素子となる。
【0059】
本明細書に提供された手引きがあれば、当業者は、そのような食品加工用品、断熱された容器および断熱されていない器、乾燥装置、コンビネーションオーブン、および他の用品を製造し使用できると考えられる。
【0060】
本発明の方法に従うと、本発明の複合材料を含む物体、または、本発明の複合材料自体は、電磁放射への、典型的にはマイクロ波エネルギーへの曝露によって加熱される。実施例1〜5は、このような加熱を説明する。本発明の複合材料が熱の形で内部エネルギーを生成する間、加熱される物体は、本発明の複合材料と接してまたは近接して配置される。この方法の実施例は、食品が調理された後かつ消費される前に、食品を温め続けるための加熱パッドまたは五徳のような、照射ゾーンからの熱源としての本発明の加熱された複合材料の使用である。熱は、例えば伝導により、対流により、または物体への赤外照射による再伝達により伝達される。
【0061】
また本発明の方法に従って、本発明の複合材料が加熱される間、加熱される物体は照射ゾーンに配置され得る。実施例6〜9はこの方法を説明する。この方法の他の実施例は、食品を加熱する、および/またはきつね色焦げ目をつける本発明の複合材料を含むプレート上で電子レンジ内で食品を加熱する。本明細書に提供された手引きがあれば、当業者は、本発明の方法を実施できると考えられる。
【実施例】
【0062】
実施例
以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、何らこれを限定するものではない。例えば、異なる波長または出力の電磁放射が本発明に従って用いられることができる。同様に、本明細書に例示されたマトリクス材料は、本発明に従って使用され得るマトリクス材料のみではない。本明細書に提供された手引きがあれば、当業者は、本発明の複合材料を作製することによって本発明を実施でき、本発明の方法に従ってこのような材料を使用して、所望の場合はマイクロ波エネルギーへの曝露によって、複合材料を電磁放射に、特にマイクロ波エネルギーに曝露することによって、物体を迅速かつ効率的に、かつ典型的には達成されるよりも高い温度まで加熱できると考えられる。
【0063】
実施例1〜5において、0.6ミクロンの平均直径および9ミクロンの平均長を有する単結晶炭化ケイ素ホイスカが使用された。比較例において使用された多結晶炭化ケイ素微粒子は、1ミクロン未満の平均サイズを有する微粒子炭化ケイ素であった。実施例において記載されるワット値は、使用されるマグネトロンの公称ワットである。
【0064】
実施例1:低損失誘電性流体の加熱
マイクロ波放射を含む電磁放射に曝露された場合、100%炭化水素含有の精製鉱物油(パラフィン油)は低い誘電損を有する。従ってマイクロ波放射に曝露された場合には、これは熱くならない。単結晶炭化ケイ素ホイスカ(0.6ミクロン平均直径、9ミクロン長)および超微細炭化ケイ素微粒子(<1ミクロン平均サイズ)が、1重量%で、別々のアリコートの鉱物油に加えられ、かつ1000ワットで2.45GHzのマイクロ波場に別々に供された。結果を、表1に示し、かつ図1に図示する。
【0065】
【表1】

【0066】
期待したように、純鉱物油は2.7℃の温度上昇のみを示す。1%炭化ケイ素微粒子を有する鉱物油は4.7℃の温度上昇を示す。驚くことに、1重量%の単結晶炭化ケイ素ホイスカを有する鉱物油は、32.3℃の温度上昇を示す。本発明において使用された単結晶炭化ケイ素ホイスカは、微細パウダー状の炭化ケイ素よりも、出力消費においてはるかに優れており、かつその結果温度上昇が得られた。
【0067】
実施例2:低損失誘電性流体の加熱
本発明において使用された単結晶炭化ケイ素ホイスカが、100%パラフィン鉱物油に再び添加された。この実施例において、重量パーセント単結晶炭化ケイ素ホイスカの増加とともに誘電正接を増加することを目的に、本発明の炭化ケイ素は、増加する重量パーセントで添加された。各試料は、別々に、1000ワットで2.45GHzのマイクロ波エネルギー場に20秒間供された。温度上昇を、以下の表2に示し、かつ図2に図示する。
【0068】
【表2】

【0069】
このデータからはっきりわかるように、単結晶炭化ホイスカの濃度が増加すると、温度上昇を加速した。従って、単結晶炭化ケイ素ホイスカ濃度の増加と共に誘電正接が増加した。
【0070】
実施例3:低誘電性固体の加熱
アルミナは、RFおよびマイクロ波スペクトルにおいて非常に低い誘電正接を有するセラミック材料である。従ってこれは、このエネルギーを熱に効率的に変換しない。セラミック複合物(本発明の複合材料)が、アルミナと実施例1の単結晶炭化ケイ素ホイスカと組み合わせることによって作製された。このような複合物が、その後、本発明のセラミック複合材料へと加熱プレスされた。このセラミック複合物は、1000ワットで2.45GHzのマイクロ波場に供された。セラミックの温度が時間とともに記録された。結果を図3に示す。
【0071】
はっきりとわかるように、単結晶炭化ケイ素ホイスカは、アルミナとともに本発明の複合材料を形成し、マイクロ波透過マトリクス材料(アルミナ)と比べて迅速に加熱され、かつ重量パーセントで計測された本発明の複合物材料中の単結晶炭化ケイ素ホイスカのより大きな割合によって、温度増加の速度がより大きくされた。
【0072】
実施例4:多孔性パウダーの誘電特性の計測
実施例1の単結晶炭化ケイ素ホイスカが再び低誘電損固体であるアルミナに添加された。この実施例において、単結晶炭化ケイ素ホイスカの濃度の増加とともに増加する誘電正接を有する本発明の複合材料を作製することを目的に、単結晶炭化ケイ素ホイスカは、増加する重量パーセントで添加された。混ぜ込まれた多孔性のパウダーの誘電正接が計測された。金属プローブがパウダー中に配置され、その後多孔性パウダーが915MHzにおいて周波数ネットワークアナライザーに供された。ネットワークアナライザーは、これらのパウダーの比誘電率定数および損失正接を決定した。
【0073】
4つのパウダーが試験された。
(1)0重量%単結晶炭化ケイ素ホイスカを有する純アルミナ、
(2)7.5重量%単結晶炭化ケイ素ホイスカを有するアルミナ、
(3)15重量%単結晶炭化ケイ素ホイスカを有するアルミナ、および
(4)25重量%単結晶炭化ケイ素ホイスカを有するアルミナ。
【0074】
得られた誘電正接を、以下の表3に要約し、図4にグラフによって図示する。
【0075】
【表3】

【0076】
このテストは、純アルミナが非常に低い損失正接を有することを示した。適用された915MHz場を熱に変換するその能力は非常に小さかった。本発明の複合材料における単結晶炭化ケイ素ホイスカの効果は明確であった。すなわち損失正接は、純アルミナについての0.0007から、25%単結晶炭化ケイ素ホイスカを含有するアルミナパウダーを含む本発明の複合材料についての0.259まで増加した。炭化ケイ素単結晶は、約37,000%で劇的に損失正接を増加させた。
【0077】
実施例5:本発明の複合材料を他の形の炭化ケイ素にするために使用された単結晶炭化ケイ素ホイスカの比較
全ての他の変数が一定に保たれている場合、マイクロ波エネルギーへの曝露の際の温度上昇する能力は、組成物の誘電正接の直接的な反映である。マイクロ波エネルギーへの曝露の際の温度上昇する微細多結晶炭化ケイ素微粒子の能力が、実施例1で使用した単結晶炭化ケイ素ホイスカの能力と、および同じ条件下で温度を上昇させる単結晶炭化ケイ素繊維と比較された。これらの単結晶炭化ケイ素繊維は、実施例1の単結晶炭化ケイ素ホイスカと同じ直径であったが、実施例1の単結晶炭化ケイ素ホイスカの9ミクロン長と比較して、長さは概ね20ミクロンであった。
【0078】
各微粒子炭化ケイ素の識別とメーカーを以下の表5に特定する。材料を比較すると、100グラムの各材料が、アルミナ坩堝に別々に配置され、その後2.45GHzマイクロ波場に1000ワットで別々に供された。
【0079】
各材料の温度上昇がその後決定された。結果を、表4に要約し、図5に図示する。驚くことに本発明に従って、単結晶炭化ケイ素ホイスカは、非常により高いマイクロ波放射から熱への変換を示す。さらに、本発明で使用されたより長い結晶サイズの単結晶炭化ケイ素ホイスカは、マイクロ波エネルギーから熱へのさらに効率の良い変換を提供した。
【0080】
【表4】

【0081】
実施例6から8において、0.6ミクロンの平均直径および10ミクロンの平均長を有する単結晶炭化ケイ素ホイスカが、アルミナパウダーと混ぜ込まれて、本発明の複合材料を形成した。以下の表に示す多量の本発明の各複合材料の塊が、単一マグネトロン電子レンジにおいて2.45GHzの周波数および約1000ワットの出力で加熱された。
【0082】
各パウダーが5回加熱された。テストの平均を表に示す。各加熱時間は600秒または温度が1300℃に達するまで続いた。特定の質量で各試行に対する加熱速度において何らかの差が存在した。表中の平均データは1300度を超えないが、15重量%および25重量%の単結晶炭化ケイ素ホイスカ試料の各試行は、少なくとも1300度に達した。
【0083】
当業者には、マイクロ波加熱における1回の試験が上記のように場不均一性であることが公知である。典型的なマイクロ波波長は、長さにおいて10cmから12cmまで変化する。従ってこれらの波長は長く、不均一場が生じ得る。供試体は、1〜2cmゾーンにおいて高い束率(flux rate)の放射を受けることができる。しかし、このホットゾーンの1〜2cmほどの小距離の外側では、束率は有意により低い場合がある。従って、これらの実施例において受けた不均一な加熱速度は、不均一場分布により生じたものと考えられる。
【0084】
場不均一性を改善するため、さまざまな技術を用いることができる。技術は、(1)異なる場所においてチャンバにマイクロ波放射を投入するため複数のマグネトロンを使用すること、(2)マイクロ波の指向性を制御するため導波管および波長分割装置、(3)金属反射体、ファン、およびマイクロ波放射を分散するための「攪拌器」、ならびに(4)場中で供試体を動かし、それにより供試体の上の束(flux)を分散するターンテーブルまたは他の機器、を含む。
【0085】
これらの技術の使用は加熱速度の不均一性を概ね改善する。しかし実験で使用されたオーブンは、単一のマグネトロンシステムであり、そのため明確な場の不均一性を有した。従って、この単一マグネトロンシステムの結果の精度および信頼性を改善するため、ある種の対策が取られた。加熱速度試験を実行する前に、マイクロ波場の分布がマッピングされた。いわゆる「ホットスポット」および「コールドスポット」が特定された。測定用供試体がその後、高いエネルギー束の領域に、すなわち「ホットスポット」に直接配置された。概ねこの取り組みは反復可能な結果を提供する。しかし供試体がわずかに場所を外れた場合、または供試体自体がエネルギー場を歪める場合は、加熱速度における比較的小さい変化を受けることになる。
【0086】
従ってデータが高品質かつ反復可能であることを確実にするため、加熱速度試験が5回繰り返された。場合によっては、より遅い加熱速度が認められた。本発明者らは理論に束縛されることを望まないが、加熱速度のこのような差異は、記載の理由によるものと考えられる。それでもなお、平均加熱速度は明確に本発明の有用性を示した。さらに、この取り組みにより、場不均一性が現実のものである「実際」の応用において明確に本発明の有用性が示された。
【0087】
実施例6−坩堝における本発明の複合材料の加熱速度
本発明の複合材料を含有するために使用された坩堝は、38.1mmの直径および89.2mmの高さを有した。本発明の複合材料は、アルミナおよび25重量%、15重量%、および7.5重量%の単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む単結晶炭化ケイ素ホイスカの混ぜ込まれたパウダーであった。坩堝へのパウダーの装填は、それぞれ74.8グラム、79.5グラム、および72.2グラムの平均重量を有した。25重量パーセント、15重量パーセント、および7.5重量パーセントの本発明の複合材料について、本発明の複合材料はそれぞれ、坩堝の体積の76.0体積パーセント、91.1体積パーセント、および91.9体積%を占めた。
【0088】
図6は、各試料についての平均加熱速度を示す。本発明の各複合材料は、アルミナを有する単結晶炭化ケイ素を含んだ。見てわかるように、25重量パーセント単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む本発明の複合材料が最も迅速に熱くなった。また、15重量パーセントおよび7.5重量パーセントの両方の本発明の複合材料が、マイクロ波受容体として多結晶炭化ケイ素微粒子を有して典型的に達成される温度をはるかに上回る温度まで熱くなった。
【0089】
実施例7 比較例
15重量パーセントおよび25重量パーセントの実施例6の単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む本発明の複合材料の加熱能力が、アルミナを有して1ミクロン未満の平均粒子サイズを有する多結晶炭化ケイ素粒子で調製された比較試料と比較された。実施例6において使用された同じ坩堝においてルースパウダー(loose powder)が600秒間加熱された。25重量パーセントおよび15重量パーセントの試料によって占められた坩堝の平均重量および体積パーセントは、それぞれ92.4グラム、77.5体積パーセント、および93.5グラム、77.4体積パーセントであった。図7においてわかるように、25パーセント多結晶炭化ケイ素が1016℃まで600秒で熱くなったが、より低い濃度はこの温度に到達しなかった。
【0090】
この情報から、単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む本発明の複合材料は、多結晶炭化ケイ素粒子で混ぜ込まれた同じマトリクス材料(アルミナ)よりも、はるかに迅速に高温まで熱くなったということがわかる。
【0091】
実施例8−本発明の複合材料を含むロッド
7.5重量パーセントおよび15重量パーセントの単結晶炭化ケイ素ホイスカを残りのアルミナとともに含む本発明の複合材料が、ロッド形状に押し出され、その後、溶融セラミックロッドへ焼結された。ロッドの特有の寸法と重量を表5に示す。
【0092】
4つのロッドが実施例6の坩堝中で、かつ実施例6の方法に従って同じ時間加熱された。平均を図8に示した5回の試行が、実施された。
【0093】
【表5】

【0094】
期待したように、大きい方の濃度の単結晶炭化ケイ素ホイスカを有するロッドが、より迅速に熱くなった。しかし、実施例6における同じ濃度の単結晶炭化ケイ素ホイスカを有するルースパウダーについて坩堝中で実施された同じ試験との比較は、ロッドが、7.5重量パーセント単結晶炭化ケイ素ホイスカにおいてより早く加熱されるが、パウダーが、15重量パーセント単結晶炭化ケイ素ホイスカにおいてより早く熱くなることを示した。当業者は、ロッドが、混ぜ込まれたパウダーほど多孔質ではなく、同じ単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維の濃度を有するルースパウダーよりも早く熱くなるはずであるということを認識する。これらの試行において、温度計測するために使用される熱電対は、これがスパークを生じたためロッドに直接接続されなかった。本発明者らは、理論に束縛されることを望まないが、この配列が、ロッドおよびパウダーについての温度計測間の差異を生じることになったと考えられる。いずれにしてもデータは、ロッド形における本発明の複合材料が迅速に、効率的に、かつ高温まで熱くなるということを示した。
【0095】
実施例9−アルミニウムパウダーの溶解
75重量パーセントのアルミナならびに0.6ミクロンの平均直径および9ミクロンの平均長を有する25重量パーセントの単結晶炭化ケイ素ホイスカの混合物が、本発明の複合材料を形成するよう調製された。本発明のこの複合物は、異なる直径と高さの2つのジルコニア坩堝間の隙間に置かれた。金属アルミニウムが小さい方の坩堝に配置され、全量が、2.45GHzの周波数および約1000ワットの出力で電子レンジ内で加熱された。
【0096】
大きい方のジルコニア坩堝は、69.3mmの直径および105.3mmの高さを有した。小さい方の坩堝は、38.1mmの直径および82.6mmの高さを有した。75.1グラムの量のパウダー状の本発明の複合材料が、大きい方の坩堝に配置され、かつ小さい方の坩堝が大きい方の坩堝の内側に入れ子にされた。本発明の複合材料が、小さい方の坩堝の側方に来るように、小さい方の坩堝は、本発明のパウダー複合材料へと押し下げられた。
【0097】
5グラムの金属アルミニウムが、小さい方の坩堝の内部に配置され、これ自体は、本発明のパウダー複合材料によって取り囲まれた。装置は、1インチ厚の高温繊維状ケイ酸アルミナ断熱材で断熱され、全量は、1000〜1050℃の金属温度を維持してアルミニウムの溶解を達成するために加熱された。図9からわかるように、温度は750秒後に1007℃に達した。その後、温度は、本質的に1000〜1050℃の範囲内に以後維持された。
【0098】
アルミニウム金属が溶解した際に、固体/液体平衡になった。加熱時間の終了時点で、全体のシステムが室温に冷却された。アルミニウムは、固体塊を形成し、それにより、金属を加熱し、柔らかくし、焼きなまし、溶解するために、本発明の複合材料を使用できることを示した。
【0099】
本発明を実施する現状のところ好ましい態様を含む特定の実施例に関して本発明が記載されてきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神と範囲内に該当する、上述のシステムおよび技術のさまざまな変形および入れ替えが存在するということを理解すると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス材料において単結晶炭化ケイ素のホイスカ、繊維、またはこれらの混合物を含む、無線周波数またはマイクロ波放射へ曝露されると温度上昇する複合材料。
【請求項2】
約0.2ミクロンと約10ミクロンとの間の直径および約10と25との間のアスペクト比を有する単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
約4ミクロンと約20ミクロンとの間の直径および少なくとも約50ミクロンの長さを有する炭化ケイ素繊維を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維がドーパントをさらに含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
ドーパントが窒素である、請求項4に記載の複合材料。
【請求項6】
無線周波数およびマイクロ波放射に曝露すると温度上昇する複合材料を含み、
複合材料がマトリクス材料において単結晶炭化ケイ素のホイスカ、繊維、またはこれらの混合物を含む、
発熱物体。
【請求項7】
複合材料が、約0.2ミクロンと約10ミクロンとの間の直径および約10と100との間のアスペクト比を有する単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む、請求項6に記載の物体。
【請求項8】
複合材料が、約4ミクロンと約20ミクロンとの間の直径および少なくとも約50ミクロンの長さを有する単結晶炭化ケイ素繊維を含む、請求項6に記載の物体。
【請求項9】
単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維がドーパントをさらに含む、請求項6に記載の物体。
【請求項10】
ドーパントが窒素である、請求項9に記載の物体。
【請求項11】
請求項1に記載の複合材料を含む、マイクロ波吸収性かつ加熱可能の食品加工用品。
【請求項12】
マイクロ波放射に曝露される場合、その中に含まれた食品にきつね色の焦げ目をつける、請求項11に記載の用品。
【請求項13】
マトリクス材料において単結晶炭化ケイ素のホイスカ、繊維、またはこれらの混合物を含み、無線周波数またはマイクロ波放射に曝露すると温度上昇する複合材料を電磁放射へ曝露してこれを加熱する工程と、
加熱された複合材料から熱を照射する工程と、
を含む、熱を発生させるための方法。
【請求項14】
加熱される物体が、複合材料に近接して配置され、かつ無線周波数またはマイクロ波放射に同時に曝露される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
加熱される物体が、無線周波数またはマイクロ波放射に曝露されず、かつ該物体が、複合材料が無線周波数またはマイクロ波放射によって加熱された後に、複合材料から伝達された熱によって加熱される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
加熱された構成材料から、伝導、対流、または赤外放射の再放射によって熱が伝達される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
加熱された構成材料から、伝導、対流、または赤外放射の再放射によって熱が伝達される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複合材料が、約0.2ミクロンと約10ミクロンとの間の直径および約10と100との間のアスペクト比を有する単結晶炭化ケイ素ホイスカを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
複合材料が、約4ミクロンと約20ミクロンとの間の直径および少なくとも約50ミクロンの長さを有する単結晶炭化ケイ素繊維を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
本発明の単結晶炭化ケイ素のホイスカおよび繊維が窒素ドーパントをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
マイクロ波、および対流による、伝導による、または、マイクロ波エネルギーを吸収し、かつ熱を放射する、請求項1に記載の複合材料を含む加熱素子からの赤外放射による、この両方で加熱するためのコンビネーションオーブン。
【請求項22】
電波またはマイクロ波エネルギーに曝露される場合に、電波オーブンまたは電子レンジ内に加熱をもたらす、請求項1に記載の複合材料を含む断熱された(insulated)器。
【請求項23】
請求項1に記載の複合材料を含む、乾燥装置。
【請求項24】
請求項1に記載の複合材料を含む、金属を溶解かつ溶融するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50301(P2013−50301A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232004(P2012−232004)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2009−503036(P2009−503036)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(508293704)アドバンスド コンポサイト マテリアルズ エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】