説明

露光方法、露光装置およびデバイス製造方法

【課題】
複数のステージを有する露光装置を用いて基板を露光する場合に、あるステージが正常に動けない状態であっても、他のステージのみを用いて露光装置を稼動し、生産性の低下を低減する露光方法を提供する。
【解決手段】
複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法であって、前記複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況に応じて、前記複数のステージの内の少なくとも1つのステージは用いず、他のステージを用いて露光する。複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法であって、前記露光装置の稼動中に前記複数のステージのいずれかが破損し、または、精度が劣化した場合、露光シーケンスを止めずに、前記複数のステージの内、破損も精度劣化もしていないステージを用いて露光を行ない続ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のステージを有する露光装置を用いて基板を露光する露光方法、露光装置およびデバイス製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ステッパ、スキャン露光装置等の露光装置において、生産性の向上が強く望まれるようになってきている。
このため、露光装置において、露光に先立つ事前計測を行なうステーションと、露光を専用に行なうステーションを各々設ける露光装置が一般的になりつつある。
露光に先立つ事前計測を行なうステーションは、MetrologyStation:MSであり、露光を専用に行なうステーションは、ExposureStation:ESであり、TwoWaferStage構成の露光装置である。
TwoWaferStage構成の露光装置は、各々のステーションを自由に行き来できる高精度ステージを2つ設けるものである。
この2つの高精度ステージを設けた露光装置における生産性は、1つの高精度ステージを設けた露光装置に対し、1.5倍以上になる。
半導体素子技術は、高集積化、微細化の一途をたどり、半導体素子製造のリソグラフィ工程で使われる露光装置には、エキシマレーザのようなパルスレーザが遠紫外領域の光源として使用されている。
エキシマレーザを用いた露光装置は、エキシマレーザ光源と露光装置本体とで構成され、エキシマレーザ光源は、光ファイバー等によるインタフェースケーブルを介して露光装置本体と接続される。
このような露光装置における露光動作は、露光装置本体側に具備した制御装置の露光シーケンスに従い行なう。
すなわち、レジストが塗布されたウェハ上に、結像光学系を通してエキシマレーザ光源から発振されるパルスレーザを照射し、レチクル上に描かれた回路パターン像の結像投影を行なう。
【0003】
エキシマレーザ光源は、一般にフッ素等のハロゲンガス、クリプトン、アルゴン等の不活性ガス、及びヘリウム、ネオン等の希ガスの3種の混合ガスをレーザチャンバー内に封入する。
さらに、チャンバー内の放電によりハロゲンガスと不活性ガスとが反応し、パルスレーザ光を発振する。
パルスレーザ光を繰り返し発振すると、ハロゲンガスがチャンバー内に発生する不純物と結合し、チャンバーの内側に吸着する。
このため、ハロゲンガスの濃度が低下してレーザのパルスエネルギーが低下してしまうと共に、レーザ光源の各構成部品に劣化が生じる。
エキシマレーザを光源として使用する露光装置の場合、パルスエネルギーの変動によって、感光基板上の露光量の制御精度が低下する。
従って、解像力や線幅の再現性を得るためには、パルス毎にパルスエネルギーをコントロールする露光量制御方法が必要となる。
そこで、解像力や線幅の再現性を得る方法として、例えば、特開平5−62876号公報(特許文献1)に開示されるような露光量制御方法が提案されている。
【0004】
ここで、図1(a)を参照して、本発明の実施例および従来例に使用される露光装置の構成を説明する。
パルスレーザ光源LAは、例えばKrF等のガスが封入された、レーザ光を発光させる光源である。
照明光学系ILは、不図示のビーム整形光学系、オプティカルインテグレータ、コリメータおよびミラーで構成されている。
レチクルRETまたはマスクは、焼き付けを行なう半導体素子の回路パターンが形成され、照明光学系ILにより照射される。
縮小投影レンズULでレチクルRETの回路パターン像を縮小して、Exposure
Station ES側にあるレジスト塗布済ウェハWE上に結像投影するように配置されている。
照明光学系ILからの光路上にはハーフミラーHMが配置され、レチクルRETを照明する露光光の一部がこのハーフミラーHMにより反射され取り出される。
ハーフミラーHMの反射光の光路上には紫外光用のフォトセンサFSが配置され、前記露光光の強度に対応した出力を発生する。
フォトセンサFSの出力は、パルスレーザ光源LAのパルス発光毎に積分を行なう積分回路ICによって、1パルスあたりの露光エネルギーに変換され、積算露光量の演算処理を行なう露光装置本体側の制御装置CUに入力される。
制御装置CUは演算結果に基づいて、レーザ出力制御装置EIに適当な印加電圧値とレーザ発光指令信号を出力する。
ここで、各機器と制御装置CUとは、不図示の通信ケーブルにつながれている。
パルスレーザ光源LAの露光エネルギーは、レーザ出力制御装置EIによる印加電圧値に応じて制御され、これらの動作を繰り返すことにより、ウェハWE上に焼き付けられるレチクルRETの回路パターン像の積算露光量が制御される。
【0005】
ここで、ウェハWE上に焼き付けられるレチクルRETは、レチクルチェンジャRCに搭載されているレチクルチェンジャ−ロボット(不図示)によってプリアライメントステージPRAに運ばれる。
プリアライメントステージに置かれたレチクルRETは、レチクルアライメントユニットRAによってレチクルステージRS上に置かれている。
つまり、焼き付けられるレチクルRETは、事前にレチクルステージRS上に置かれていることを想定している。
ウェハ搬送系WFで、不図示のコータでレジスト塗布されたウェハは、ウェハ搬送系WFによって露光に先立つ事前計測を行なうステーションESへ運ばれる。
露光装置では、第1物体としてのレチクル回路パターンを投影レンズ系により第2物体としてのウェハ上に投影し露光する。
しかし、この投影露光に先立って観察装置OAを用いてウェハ面を観察することによりウェハ上のアライメントマークを検出し、この検出結果に基づいてレチクルとウェハとの位置整合、所謂アライメントを行なっている。
また、Two Wafer Stage構成のステージでは、MS側にあるフォーカスセンサF1/F2を用いて、予めウェハ表面形状を計測し、ESで露光を行なう際は前記ウェハ表面形状を考慮してウェハ露光を行なう。
アライメントマーク位置の検出、ウェハ表面形状の計測に関しては、前記投影露光装置のステージを制御しながら、ウェハを任意の位置に移動させる必要がある。同様にウェハ露光に関しても、ステージを制御しながら、ウェハを任意の位置に移動させる必要がある。
前記高精度ステージは、レーザ干渉計IF−M/IF−EによりステージのXYθZ Tilt方向位置を精密に計測することができ、ウェハの任意の位置にステージを移動させることができる。
【0006】
更に、図1(b)を用いて、2つのステージの構成を説明する。
WS−L/WS−Rは、露光に先立つ事前計測を行なうステーションMSと露光を行なうステーションESを自由に行き来することができ、図1(a)はMSにWS−L,ESにWS−Rがいる場合を示している。
図1(b)は、図1(a)の状態を、上から見た図となっている。
まず、WS−L上のセンサは、ULの収差を計測する為のセンサS1およびパルスレーザ光源LAが、ILとULを通ったときの出力を計測する為にメインで使うセンサMSから成る。
さらに、レチクルとウェハをダイレクトに合わせるためのセンサLS−L1/LS−L2から構成されている。
一方、WS−Rのセンサは、ダミーユニットG1、パルスレーザ光源LAが、ILとULを通ったときの出力を計測する為にサブで使うセンサSS、レチクルとウェハをダイレクトにあわせるためのセンサLS−R1/LS−R2から構成されている。
各センサの配置や種類については、フットプリントやコストの関係から、通常異なる構成になることが多い。
ここで、MSとSSの出力結果は、共に不図示のパルス発光毎に積分を行なう積分回路によって、1パルスあたりの露光エネルギーに変換され、積算露光量の演算処理を行なう露光装置本体側の制御装置CUに入力されることになる。
制御装置CUは、MSとFSの出力結果比率MS/FSやSSとFSの出力結果比率SS/FSを用いることで、よりウェハ面上のエネルギーに近い形で、レーザ出力制御装置EIに電圧値とレーザ発光指令信号を出力することができる。
MSとSSの差は、MSを介して比率をもつことで、補正している。
MSとSSにおける差分の内容は本特許とは直接関連性が無いので、説明を省略する。
また、LS−L1/LS−L2,LS−R1/LS−R2は、同じ型のセンサである。
レチクルRET上のマークを通して、LS−L1/LS−L2,LS−R1/LS−R2を観察することでレチクルに対してステージをダイレクトにあわせることができる。
【0007】
図2を参照して、従来の露光シーケンスの説明を行なう。
まず、この露光装置は、入力分OPに入力された情報を基に制御機構CUによって制御され、各機器とステッパ制御装置CUとは、不図示の通信ケーブルでつながれている。
まず、MS側のフローを説明する。
以下の説明において、各ウェハは、n=1,2,3,…として、WM(n), WE(n)と表記するものとする。
つまり、例えば1枚目のウェハであれば、MS上にあるときはWM(1)として表記し、ES上にあるときには WE(1)として表記するが、WM(1)もWE(1)も 共に同じウェハを示していることになる。
ウェハWM(1)は、不図示のコータから搬送系WFによって、MS上のステージWS−Lへ搭載される(SM001)。
次に、リセットや装置立ち上げで干渉計が切断された場合、ステージ位置が不定とならないようにするため、MS側でのOAを用いたステージ精密原点出しであるMSステージ補正という行為を行なう。(SM002)
OAは、常に固定された位置にあるので、ウェハWF上のマークを観察位置に移動するのは、ステージのみを駆動する。
ウェハステージWS−L載せられたウェハは、OAによって不図示のウェハ上マーク(2ショット)が計られ、これにもとづいてステージを移動させることにより、ウェハの粗位置あわせ(プリアライメント)が行なわれる。(SM003)
ウェハライメントのためのマーク(不図示)観察は、できるだけ検査ウェハへのダメージを小さくするために、非露光光を用いて行なう。ここでは、OAで前記不図示のマークを観察する。
【0008】
グローバルアライメント方式(AGA)で定められた全てのショットの計測マークについてステージを移動し、計測を行ない、最後のマークを計測したときに、全ショットの計測値を用いてステージステップ移動補正量が算出される。(SM004)
更に、F1/F2を用いて、予めウェハWM(1)のウェハ表面の形状を計測しておく(SM005)
一方、ES側では、前記ウェハWM(1)上に焼き付けられるレチクルRETは、レチクルチェンジャRCに搭載されているレチクルチェンジャ−ロボット(不図示)によってプリアライメントステージPRAに運ばれる。
プリアライメントステージに置かれたレチクルRETは、レチクルアライメントユニットRAによってレチクルステージRS上に置かれる。(SE001)
ステージスワップ(SS001)が発生すると、MSのステージとESのステージが交換される。図2の例では WS−LがES側へ移動し、WS−RがMS側へ移動する。(SS001)
ES側では、レチクルRETを通してLS−L1/LS−L2を観察することで、ES側ステージ精密原点出しであるMSステージ補正という行為が行なわれる。(SE002)
ステージWS−Lを駆動し、UL下にセンサMSを配置させ、LAからのレーザ光に対してMS/FS比率を求める。制御装置CUは、レーザ出力制御装置EIに電圧値とレーザ発光指令信号を出力する際に、MS/FSを考慮できるようにする。(SE003)
上記条件が整ったところで、露光を行なう。(SE004)
露光の際には、前記SM004で求めたグローバルアライメント結果を反映する。
また、前記SM005で求めたウェハ形状計測結果も反映する。
SE004によって、レチクルRETに照射された露光光源の光は、ULを通して1/4に縮小され、ウェハWE(1)の上に塗布されているレジストを感光し重ね焼き露光が行なわれる。
【0009】
一方、MS側では、ES側でSE002,SE003,SE004を行なっている間に、並行処理を行なう。
MS側では、SS001であるステージスワップ後、ウェハ搬送系WFから次のウェハWM(2)を搬入する。(SM006)
次のウェハWM(2)は、ステージWS−Rに載せられ、SM007,SM008,SM009を行なう。
SM007,SM008,SM009は、それぞれ、SM002,SM004,SM005と同様の行為である。
MS側でSM009が終了し、ES側でSE004が終了すると、MSのステージとESのステージを交換するステージスワップが発生する。(SS002)
ステージスワップすると、MS側にWS−L、ES側にWS−Rという状態にもどる。(図1の状態)
MS側では、ウェハ搬出を行ない、搬送系WFに対しWM(1)を渡す。(SM010)
MS側では、引き続き次のウェハWM(3)に対してSM011,SM012,SM013,SM014が行なわれるが、それぞれSM001,SM002,SM004,SM005と同じ処理である為、説明は省略する。
同様にES側でもウェハWM(2)に対してSE005,SE006,SE007を行なうが、これもSE002,SE003,SE004と同じ処理である為、説明を省略する。
CUは、MS側に最終ウェハが入ったかどうかを確認し(SS003)、最終ウェハが搬入されるまで各ウェハに対してSS002からSS003の動き(SM010〜SM014及びSE005〜SE007)を行なう。
MS側に最終ウェハが入ってきた後は、ステージスワップにすすむ(SS004)
すると、MS側処理はウェハ搬送だけとなる。(SM015)
MS側では、SE008,SE009,SE010を行なう。
SE008,SE009,SE010の処理もSE002,SE003,SE004と同じ処理である為、説明は省略する。
SS005であるステージスワップ後、最後のウェハを搬出したら(SM016)シーケンスは終了となる。(SS006)
【特許文献1】特開平5−62876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、高精度ステージを2つ設けたTowWaferStage構成の露光装置の場合、2つのステージが正常に動かなければ露光処理を行なうことができない。
半導体基板の要求精度からナノ単位以下での制御が必要とされ、両方のステージを調整するための微調整には数日かかる場合も発生してきている。
生産性の向上が求められる昨今、1つのステージでも生産に使用できる状態(微調整完了)にできるなら、そのステージを使用して少しでも先に生産を行なっておく。
その後、量産に耐えうるように2つのステージを使用したい、というニーズが強くなってきている。
つまり、ステージが片方だけでも正常に動き、もう片方も、精度は出せないが動作だけなら可能という状態であれば、正常に動くステージだけでも用いて生産を行ないたいニーズが強くなっている。
しかしながら、従来の露光装置は、両方のステージが正常に動かないかぎり露光装置として使用することができない。
また、2つのステージを用いて露光装置の稼動中に、片方のステージが正常に動けなくなった場合、従来の露光装置は停止してしまう。
露光装置稼動中に、ステージが正常に動かなくなったとしても「精度は出せないが、動作だけなら可能」という状態であれば、片方のステージだけを使って生産を続けたほうが生産計画に対するダメージは少ない。
ところが、露光装置稼動中に、ステージが正常に動かなくなったとしても「精度は出せないが、動作だけなら可能」という状態であっても従来の露光装置はシーケンスが止まってしまう。
このため、片方のステージが正常に動けない状態であっても、もう片方のステージだけを用いて露光装置を動かすことによって、生産に対するダメージを最小限にする必要がある。
そこで、本発明は、複数のステージを有する露光装置を用いて基板を露光する場合に、あるステージが正常に動けない状態であっても、他のステージのみを用いて露光装置を稼動し、生産性の低下を低減する露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明の露光方法は、複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法であって、前記複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況に応じて、前記複数のステージの内の少なくとも1つのステージは用いず、他のステージを用いて露光することを特徴とする。
さらに、本発明の露光方法は、複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法であって、前記露光装置の稼動中に前記複数のステージのいずれかが破損し、または、精度が劣化した場合、露光シーケンスを止めずに、前記複数のステージの内、破損も精度劣化もしていないステージを用いて露光を行ない続けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況に応じて、前記複数のステージの内の少なくとも1つのステージは用いず、他のステージを用いて露光する。
このため、1つのステージが正常に動けない状態であっても、他のステージのみを用いて露光装置を稼動し、生産性の低下を低減する。
さらに、本発明によれば、露光装置の稼動中に複数のステージのいずれかが破損し、または、精度が劣化した場合、露光シーケンスを止めずに、前記複数のステージの内、破損も精度劣化もしていないステージを用いて露光を行ない続ける。
このため、あるステージが正常に動けない状態であっても、破損も精度劣化もしていないステージのみを用いて露光装置を稼動し、生産性の低下を低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施例の露光装置は、露光に先立つ事前計測を行なうステーション(MetrologyStation: MS)と露光を専用に行なうステーション(ExposureStation: ES)を設ける。
さらに、それぞれのステーションを自由に行き来できる高精度ステージを2つ設けたTwoWaferStage構成である。
ここで、本発明の実施例の露光方法は、複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法である。
さらに、前記複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況に応じて、前記複数のステージの内の少なくとも1つのステージは用いず、他のステージを用いて露光する。
次に、前記露光方法は、以下のステップを有する。
前記複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況を診断するステップと、前記複数のステージの内、破損し、または、精度が劣化したステージと、破損していない、または、精度が劣化していないステージとを判断するステップと、を有する。
さらに、全ての前記複数のステージを用いて前記露光装置を稼動するか、前記破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを用いて前記露光装置を稼動するか、を選択するステップを有する。
さらに、前記破損していない、または、精度劣化していないステージのみでシーケンスを流すステップを有する。
【0014】
次に、前記露光装置のオペレータの入力情報を基に、前記破損し、または、精度劣化したステージを特定することが好適である。
次に、最終の前記ステップ後の目標位置に対する位置偏差を基に、全ての前記複数のステージの破損状況または精度の劣化状況を診断することが好適である。
次に、外部からの情報を基に、全ての前記複数のステージの内、前記破損し、または、精度が劣化したステージを特定することが好適である。
ここで、前記外部からの情報は、ホストからの情報またはコータデベロッパからの情報である。
次に、前記破損し、または、精度が劣化したステージを、前記露光処理以外の処理に使用しながらシーケンスを流すステップを有することが好適である。
ここで、前記露光処理以外の処理は、前記複数のステージに設けられているセンサによる計測処理である。
ここで、前記露光処理以外の処理が必要かどうかを、前記複数のステージに設けられているセンサによる情報から判断する。
【0015】
次に、本発明の他の実施例の露光方法は、複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法である。
さらに、前記露光装置の稼動中に前記複数のステージのいずれかが破損し、または、精度が劣化した場合、露光シーケンスを止めずに、前記複数のステージの内、破損も精度劣化もしていないステージを用いて露光を行ない続ける。
次に、前記露光方法は、以下のステップを有する。
前記露光装置の稼動中に全ての前記複数のステージの破損状況または精度の劣化状況を判断するステップと、前記破損状況または精度の劣化状況の判断によって使用するステージを決定するステップと、を有する。
さらに、全ての前記複数のステージを使用したシーケンスを、前記決定したステージを使用するシーケンスに切り替えるステップを有する。
次に、前記露光方法は、前記露光装置の稼動中に、前記複数のステージの内、いずれかのステージが破損し、または、精度が劣化したことを、露光シーケンス中の第1のタイミングで受取る。
さらに、第2のタイミングで前記複数のステージの内、破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを使用したシーケンスを流すことが好適である。
次に、前記露光方法は、前記露光装置の稼動中に、いずれかのステージが破損し、または、精度が劣化したことは、前記露光シーケンス中のいつでも受取ることができる。
さらに、所定のタイミングで前記複数のステージの内、破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを使用したシーケンスを流すことが好適である。
次に、前記露光方法は、前記露光装置の稼動中に、いずれかのステージが破損し、または、精度が劣化した場合に関するものである。
ここで、前記露光シーケンス中の所定のタイミングで、前記破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを使用したシーケンスに切り替えることが好適である。
さらに、前記複数のステージの破損状況または精度の劣化状況は、外部からの情報を基に判断を行なう。
ここで、前記外部からの情報は、ホストからの情報あるいはコータデベロッパからの情報である。
さらに、前記複数のステージの内、前記破損し、または、精度が劣化したステージは、露光処理以外の処理に使用しながらシーケンスを流すステップを有することが好適である。
ここで、前記露光処理以外の処理は、前記複数のステージに設けられているセンサによる計測処理である。
ここで、前記露光処理以外の処理が必要かどうかを、前記複数のステージに設けられているセンサによる情報から判断する。
【実施例1】
【0016】
図1を参照して、本発明の実施例1に係るTwoWaferStage構成の露光装置の構成を説明する。
図3、図4、図5、図6は、図1の装置における工程の流れを示すフローチャートである。
まず、フローがスタートする(SA001)と、制御機構CUは、ステージWS−L/WS−Rに対し、診断処理を行ない(SA002)、ステージの破損または精度劣化状態を確認する。
本実施例としては、オペレータが入力分OPから、図6のような入力画面を用いて予めステージRが使用不可能なことを入力し、CU内にステージ破損または精度劣化状態を保存しておき、CU内の情報を基に診断を行なう。
ここで、図6のような入力画面は一例であって他の入力手段画面を使用してもよい。
また、実施例1では、ステージRが使用不可能なことを、オペレータが予めOPから入力することを前提にしている。
しかし、CU内に破損または精度劣化状態が保存されていなかったとしても、ステージを微小駆動させるなどして、その結果の特性などからCU内で自己判断してもよい。
さて、診断処理を行ない(SA002)、ステージの調子が一方だけ破損・精度劣化したかどうかを判断し(SA003)、LR共に結果が所定以下で無い場合は、LRを使ってシーケンスを流す。(SA007)
SA007の場合、図2で説明したフローとまったく同一になるので説明を省略する。
ステージの一方だけ破損・精度劣化したかどうかを判断した結果(SA003)、一方だけが問題であり、そのステージがRであった場合(SA004)、Lだけを使ってシーケンスを流すフローとなる(SA005)
また、ステージの一方だけ破損・精度劣化したかどうかを判断した結果(SA003)、
一方だけ所定以下で、そのステージがRで無かった場合(SA004)、Rだけを使ってシーケンスを流すフローとなる(SA006)
【0017】
ここで、図4を用いて、Lを使ってシーケンスを流すフロー(SA005)についてMSフローから説明する。
不図示のコータから搬送系WFによって、ウェハWM1は、MS上のステージWS−Lへ搭載される(SAM001)。
次に、リセットや装置立ち上げで干渉計が切断された場合、ステージ位置が不定とならないようにするため、MS側でのOAを用いたステージ精密原点出しであるMSステージ補正という行為を行なう。(SAM002)
OAは、常に固定された位置にあるので、ウェハWF(1)上のマークを観察位置に移動するのは、ステージのみを駆動する。
ウェハステージWS−L載せられたウェハは、OAによって不図示のウェハ上マーク(2ショット)が計られ、これにもとづいてステージを移動させることにより、ウェハの粗位置あわせ(プリアライメント)が行なわれる。(SAM003)
ウェハライメントのためのマーク(不図示)観察は、できるだけ検査ウェハへのダメージを小さくするために、非露光光を用いて行なう。ここでは、OAで前記不図示のマークを観察する。
グローバルアライメント方式(AGA)で定められた全てのショットの計測マークについてステージを移動し、計測を行ない、最後のマークを計測したら、全ショットの計測値を用いてステージステップ移動補正量が算出される。(SAM004)
更に、F1/F2を用いて、予めウェハWM(1)のウェハ表面の形状を計測しておく。(SAM005)
【0018】
一方、ES側では、前記ウェハWM(1)上に焼き付けられるレチクルRETは、レチクルチェンジャRCに搭載されているレチクルチェンジャ−ロボット(不図示)によってプリアライメントステージPRAに運ばれる。
プリアライメントステージに置かれたレチクルRETは、レチクルアライメントユニットRAによってレチクルステージRS上に置かれる(SAE001)
ステージスワップ(SAS001)が発生すると、MSのステージとESのステージが交換され、図2の例では WS−LがES側へ移動し、WS−RがMS側へする。(SAS001)
この際、WS−Rは、WS−Lの邪魔にならないように移動しながらステージ交換が行なわれることになる。
ES側では、レチクルRETを通してLS−L1/LS−L2を観察することで、ES側ステージ精密原点出しであるMSステージ補正という行為が行なわれる。(SAE002)
ステージWS−Lを駆動し、UL下にセンサMSを配置させ、LAからのレーザ光に対してMS/FS比率を求める。
制御装置CUは、レーザ出力制御装置EIに電圧値とレーザ発光指令信号を出力する際に、MS/FSを考慮できるようにする。(SAE003)
上記条件が整ったところで、露光を行なう。(SAE004)
露光の際には、前記SAM004で求めたグローバルアライメント結果を反映する。
また、前記SAM005で求めたウェハ形状計測結果も反映する。
SAE004によって、レチクルRETに照射された露光光源の光は、ULを通して1/4に縮小され、ウェハWE(1)の上に塗布されているレジストを感光し重ね焼き露光が行なわれる。
【0019】
一方、MS側では、ES側でSAE002,SAE003,SAE004を行なっている間には、何も処理を行なわない。
ES側でSAE004が終了すると、MSのステージとESのステージを交換するステージスワップが発生する。(SAS002)
WS−Rは、WS−Lの邪魔にならないように移動することになる。
ステージスワップすると、MS側にWS−L、ES側にWS−Rという状態にもどるが、WS−Rの上にはウェハがない。
MS側では、ウェハ搬出を行なう。(SAM006)
CUは、MS側に最終ウェハを搬出したかどうかを確認し(SAS003)、最終ウェハが搬出されるまで各ウェハに対してSAM001〜SAM006,SAS001〜SAS003,SAE002〜SAE004を行なう。
最後のウェハを搬出したら(SAS003)シーケンスは終了となる。(SAS004)
【0020】
次に、図5を参照し、Rを使ってシーケンスを流すフロー(SA006)について説明する。
まず、MSフローから説明する。
ステージスワップ(SBS001)を行ない、MSのステージとESのステージが交換する。
図5の例では 図1におけるWS−LがES側へ移動し、WS−RがMS側へする。
この際、WS−Lは、WS−Rの邪魔にならないように移動しながらステージ交換が行なわれることになる。
不図示のコータから搬送系WFによって、ウェハWM(1)は、MS上のステージWS-Rへ搭載される。(SBM001)
次に、リセットや装置立ち上げで干渉計が切断された場合、ステージ位置が不定とならないようにするため、MS側でのOAを用いたステージ精密原点出しであるMSステージ補正という行為を行なう。(SBM002)
OAは、常に固定された位置にあるので、ウェハWM(1)上のマークを観察位置に移動するのは、ステージのみを駆動する。
ウェハステージWS−Rに載せられたウェハは、OAによって不図示のウェハ上マーク(2ショット)が計られ、これにもとづいてステージを移動させることにより、ウェハの粗位置あわせ(プリアライメント)が行なわれる。(SBM003)
ウェハライメントのためのマーク(不図示)観察は、できるだけ検査ウェハへのダメージを小さくするために、非露光光を用いて行なう。
ここでは、OAで前記不図示のマークを観察する。
グローバルアライメント方式(AGA)で定められた全てのショットの計測マークについてステージを移動し、計測を行ない、最後のマークを計測したら、全ショットの計測値を用いてステージステップ移動補正量が算出される。(SBM004)
更に、F1/F2を用いて、予めウェハWM(1)のウェハ表面の形状を計測しておく。(SBM005)
【0021】
一方、ES側では、前記ウェハWM(1)上に焼き付けられるレチクルRETは、レチクルチェンジャRCに搭載されているレチクルチェンジャ−ロボット(不図示)によってプリアライメントステージPRAに運ばれる。
プリアライメントステージに置かれたレチクルRETは、レチクルアライメントユニットRAによってレチクルステージRS上に置かれる。(SBE001)
ステージスワップ(SBS002)が発生すると、MSのステージとESのステージが交換され、図5の例では WS−RがES側へ移動し、WS−LがMS側へする。(SBS002)
この際、WS−Lは、WS−Rの邪魔にならないように移動しながらステージ交換が行なわれることになる。
ES側では、レチクルRETを通してLS−L1/LS−L2を観察することで、ES側ステージ精密原点出しであるMSステージ補正という行為が行なわれる。(SBE002)
ステージWS−Lを駆動し、UL下にセンサMSを配置させ、LAからのレーザ光に対してMS/FS比率を求める。
制御装置CUは、レーザ出力制御装置EIに電圧値とレーザ発光指令信号を出力する際に、MS/FSを考慮できるようにする。(SBE003)
上記条件が整ったところで、露光を行なう。(SBE004)
露光の際には、前記SBM004で求めたグローバルアライメント結果を反映する。
また、前記SBM005で求めたウェハ形状計測結果も反映する。
SBE004によって、レチクルRETに照射された露光光源の光は、ULを通して1/4に縮小され、ウェハWM(1)の上に塗布されているレジストを感光し重ね焼き露光が行なわれる。
【0022】
一方、MS側では、ES側でSBE002,SBE003,SBE004を行なっている間には、何も処理を行なわない。
ES側でSBE004が終了すると、MSのステージとESのステージを交換するステージスワップが発生する。(SBS003)
WS−Lは、WS−Rの邪魔にならないように移動することになる。
ステージスワップすると、MS側にWS−R、ES側にWS−Lという状態になるが、WS-Lの上にはウェハがない。
MS側では、ウェハ搬出を行ない、搬送系WFに対しウェハWM(2)を渡す。(SBM006)
CUは、MS側に最終ウェハを搬出したかどうかを確認し(SBS004)、最終ウェハが搬出されるまで各ウェハに対してSBM001〜SBM006,
SBS002〜SBS004, SBE002〜SBE004を行なう。
最後のウェハを搬出したら(SBS004)シーケンスは終了となる。(SBS005)
【実施例2】
【0023】
次に、図3(b)、図7、図8を参照して、本発明の実施例2を説明する。
本実施例2は、図3(b)に記載してあるように、フローがスタートする(SB001)と、使用するステージを切り替えてシーケンスを流す処理を行なう。(SB002)
LRのステージを使っている途中で、片方のステージだけを使用したシーケンスに切り替えるものである。
更に、SB002の詳細について、図7、図8を用いて説明を行なう。
まず、図7を用いて説明する。
図7においてSMM001〜SMM009、SSS001,SEE001〜SEE004の処理フローは、図2におけるSM001〜SM009、SS001,SE001〜SE004と同様なので省略する。
上記SMM001〜SMM009、SSS001,SEE001〜SEE004終了後、CUはステージRが破損または精度劣化したかどうかを判断する。(SSS002)
本実施例は、ステージが破損し、または、精度が劣化したかどうかを判断する手段を有する。
この判断する手段としては、SMM001〜SMM009、SSS001,SEE001〜SEE004のステージ駆動の中でステージのステップ後の目標位置に対する実際の位置偏差で判断を行なうものとする。
上記差分が特定のトレランスに入らなかった場合は、ステージはCUに対し破損または精度劣化したことを伝え、CUは破損または精度劣化したステージをLR別に記録に蓄えておく。
【0024】
CUはステージが破損または精度劣化したかどうかの判断を記録した情報を基に、どちらかのステージが破損または精度劣化したかどうかを判別する。(SSS002)
本実施例で用いた「前記ステージが破損または精度が劣化したかどうかを判断する手段」は、本発明を制限するものではない。
ステージのステップ以外にもステージのスキャン同期精度を利用するような自己判断手段も考えられる。
また、露光装置自身の自己判断以外の例としては、装置ログから露光装置外部のPCでステージの様子を前記焼き結果と比較分析する。
さらに、この分析結果から判断した結果をCUへ伝え、その結果を基にどちらのステージが破損し、または、精度が劣化したかどうかを判別する場合もある。
露光装置外部の情報をCUに伝える手段としては、例えば、ホストからオンラインを利用し、コータデベロッパからLinkedLithoを利用する等により実現することができる。
SSS002のタイミングでは、前記手段を用いて「ステージが破損または精度劣化したか」を判別する。
ステージが破損または精度劣化したかどうかを判断し(SSS002)、破損または精度劣化したのがステージRだった場合(SSS0003)は、ステージLのみのシーケンスにすすむ。(SSS004)
ここで、本実施例では、SMM001〜SMM009、SSS001,SEE001〜SEE004で発生した情報の記録をSSS002のタイミングでのみCUに記録するように記載したが、CUにおける情報の記録はいつやってもかまわない。
例えば、図2のフローをそのまま使用した場合は、図2のフロー中すべてのタイミングでステージが破損または精度劣化した情報を記憶して良い。
ステージが破損または精度劣化した場合の「1ステージのみのシーケンス切換」タイミングも、任意のタイミングで行なってかまわない。
SSS003で、破損または精度劣化したステージがRではなかった場合は、ステージのみのシーケンスであるSSS005へすすむ。
ステージLRのシーケンス(SSS006)のフローに入った場合は、図7のフローが図2のフローと同一フローになるので、ここでは省略する。
【0025】
次に、ステージLのみのシーケンスであるSSS003について、図8を用いて説明する。
ステージスワップ(SLS001)が発生すると、MSのステージとESのステージが交換され、図8の例では WS−RがES側へ移動し、WS-LがMS側へする。(SLS001)
WS−Rは、WS−Lの邪魔にならないように駆動を行なう。
WS−Lは、SLM001〜SLM005へと処理をすすめる。
SLM001〜SLM005は、図2におけるSM010〜SM014と同様なので説明は省略する。
ES側には破損または精度劣化したステージであるWS−Rがあるので、ES側では なにも処理を行なわないものとする。
MS側でSLM005が終了すると、MSのステージとESのステージを交換するステージスワップが発生する。(SLS002)
ステージスワップすると、MS側にWS−R、ES側にWS−Lという状態になる。
WS−Lは、SLE001〜SLE003へと処理をすすめる。
SLE001〜SLE003は、図2におけるSE002〜SE004と同様なので説明は省略する。
一方、MS側にいるWS-Rは露光できなかったウェハを搬出する。(SLM006)
再び、ステージスワップする(SLS003)と、MS側にWS−L、ES側にWS−Rという状態になる。
CUは、最終ウェハの処理が終わったかどうかを確認し(SLS004)、最終ウェハが処理終わるまで各ウェハに対してSLM001〜SLM005,SLS002〜SLS003,SLE001〜SAE003を行なう。
それぞれ、図2における対応する処理と同様である為、説明を省略する。
最後のウェハの処理が完了し(SLS004)、ウェハを搬出して(SLM007)シーケンスは終了となる。(SLS005)
【0026】
最後に、ステージRのみのシーケンスであるSSS005について、図9を用いて説明する。
ステージスワップ(SRS001)が発生すると、MSのステージとESのステージが交換され、図9の実施例では、WS−RがES側へ移動し、WS−LがMS側へする。
(SSR001)WS−Lは、WS−Rの邪魔にならないように駆動を行なう。
MS側は、WS−Lを用いてウェハ搬出を行なう。(SRM001)
SRM002〜SRM006は、図2におけるSM010〜SM014と同様なので説明は省略する。
一方、ES側は、WS−Rを用いてSRE001〜SRE003を行なう。
SRE001〜SRE003は、図2におけるSE005〜SE007と同様なので説明は省略する。
MSとESの処理が終わると、ステージスワップが発生し、MSのステージとESのステージが交換され、WS−LがES側へ移動し、WS−RがMS側へ移動する。(SRS002)
MS側は、SRM002〜SR006へと処理をすすめる。
SRM002〜SR006は、図2におけるSM010〜SM014と同様なので説明は省略する。
ここで、ES側には破損または精度劣化したステージであるWS−Lがある。WS−Lは、先に従来技術で説明したMSを構成している。
従来技術で述べたように、制御装置CUは、MSとFSの出力結果比率MS/FSやSSとFSの出力結果比率SS/FSを用いることで、よりウェハ面上のエネルギーに近い形で、レーザ出力制御装置EIに電圧値とレーザ発光指令信号を出力する。
よって、MSの出力結果だけは必要になるので、ES側では、MSを用いた透過率計測を行なう。(SRE004)
SRE004が必要かどうかは、破損または精度劣化したステージがどちらであるかによって、CUが自動で判断する。
MSとESの処理が終わると、MSのステージとESのステージを交換するステージスワップが発生する。(SRS003)
ステージスワップすると、MSのステージとESのステージが交換され、WS-RがES側へ移動し、WS−LがMS側へ移動する。
MS側にいるWS−Lは、処理をなにもしない。
【0027】
一方、ES側にいるWS−Rは、SRE005〜SRE007を行なう。
SRE005〜SRE007は、図2におけるSE005〜SE007と同様なので説明は省略する。
最終ウェハであるかを確認し(SRS004)、最終ウェハでなければSRS002からのフローを繰り返す。
最後のウェハの処理が完了したら(SRS004)、ウェハを搬出して(SRM007)シーケンスは終了する。(SRS005)
上記発明を実施するための最良の形態では、2つのステージを構成した露光装置を用いたが、2つ以上の複数ステージを構成している露光装置に対し、本発明を適用しても良い。
その場合、破損または精度劣化してないステージだけを用いて露光装置を動かすシーケンスとなる。
【0028】
次に、図10及び図11を参照して、上述の露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。
図10は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造方法を例に説明する。
露光装置を用いてウェハを露光する工程と、前記ウェハを現像する工程とを備え、具体的には、以下の工程から成る。
ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。
ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンに基づいてマスクを製作する。
ステップ3(ウェハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
ステップ4(ウェハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスクとウェハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウェハ上に実際の回路を形成する。
ステップ5(組立)は、後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウェハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。
ステップ6(検査)では、ステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。
こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップ7)される。
【0029】
図11は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
ステップ11(酸化)では、ウェハの表面を酸化させる。
ステップ12(CVD)では、ウェハの表面に絶縁膜を形成する。
ステップ13(電極形成)では、ウェハに電極を形成する。
ステップ14(イオン打込み)では、ウェハにイオンを打ち込む。
ステップ15(レジスト処理)では、ウェハに感光剤を塗布する。
ステップ16(露光)では、露光装置によってマスクの回路パターンをウェハに露光する。
ステップ17(現像)では、露光したウェハを現像する。
ステップ18(エッチング)では、現像したレジスト像以外の部分を削り取る。
ステップ19(レジスト剥離)では、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらのステップを繰り返し行なうことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)は、本発明に係る露光装置の概念図で、図1(b)は、図1(a)におけるウェハステージの状態を、上から見た図である。
【図2】従来例を説明するフローチャートである。
【図3】図3(a)は、本発明の実施例1に係る処理を説明するフローチャートで、図3(b)は、本発明の実施例2に係る処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施例1に係る処理の中で、露光シーケンスを説明するフローチャートであり、特にL側のステージのみを使用して露光シーケンスを処理するフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1に係る処理の中で、露光シーケンスを説明するフローチャートであり、特にR側のステージのみを使用して露光シーケンスを処理するフローチャートである。
【図6】オペレータが、ステージの使用状態を入力する画面イメージ例である。
【図7】本発明の実施例2に係る処理を説明するフローチャートで、特にステージLR同時に処理を行なう部分のフローチャートである。
【図8】本発明の実施例2に係る処理を説明するフローチャートで、特にステージLのみで処理を行なう部分のフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2に係る処理を説明するフローチャートで、特にステージRのみで処理を行なう部分のフローチャートである。
【図10】露光装置を使用したデバイスの製造を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10に示すフローチャートのステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
LA パルスレーザ光源
IL 照明光学系
RET レチクル
IL 照明光学系
UL 縮小投影レンズ
HM ハーフミラー
FS フォトセンサ
CU 制御装置
WS−L、WS−R ステージ
MS、ES ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法であって、
前記複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況に応じて、前記複数のステージの内の少なくとも1つのステージは用いず、他のステージを用いて露光することを特徴とする露光方法。
【請求項2】
前記複数のステージのそれぞれの破損状況または精度の劣化状況を診断するステップと、
前記複数のステージの内、破損し、または、精度が劣化したステージと、破損していない、または、精度が劣化していないステージとを判断するステップと、
全ての前記複数のステージを用いて前記露光装置を稼動するか、前記破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを用いて前記露光装置を稼動するか、を選択するステップと、
前記破損していない、または、精度劣化していないステージのみでシーケンスを流すステップと、を有することを特徴とする請求項1記載の露光方法。
【請求項3】
前記露光装置のオペレータの入力情報を基に、前記破損し、または、精度劣化したステージを特定する請求項2記載の露光方法。
【請求項4】
最終の前記ステップ後の目標位置に対する位置偏差を基に、全ての前記複数のステージの破損状況または精度の劣化状況を診断する請求項2記載の露光方法。
【請求項5】
外部からの情報を基に、全ての前記複数のステージの内、前記破損し、または、精度が劣化したステージを特定する請求項2記載の露光方法。
【請求項6】
前記外部からの情報は、ホストからの情報である請求項5記載の露光方法。
【請求項7】
前記外部からの情報は、コータデベロッパからの情報である請求項5記載の露光方法。
【請求項8】
前記破損し、または、精度が劣化したステージを、前記露光処理以外の処理に使用しながらシーケンスを流すステップを有することを特徴とする請求項2に記載の露光方法。
【請求項9】
前記露光処理以外の処理は、前記複数のステージに設けられているセンサによる計測処理である請求項8に記載の露光方法。
【請求項10】
前記露光処理以外の処理が必要かどうかを、前記複数のステージに設けられているセンサによる情報から判断する請求項8に記載の露光方法。
【請求項11】
複数のステージを有する露光装置を用いて複数の基板を露光する露光方法であって、
前記露光装置の稼動中に前記複数のステージのいずれかが破損し、または、精度が劣化した場合、露光シーケンスを止めずに、前記複数のステージの内、破損も精度劣化もしていないステージを用いて露光を行ない続けることを特徴とする露光方法。
【請求項12】
前記露光装置の稼動中に全ての前記複数のステージの破損状況または精度の劣化状況を判断するステップと、
前記破損状況または精度の劣化状況の判断によって使用するステージを決定するステップと、
全ての前記複数のステージを使用したシーケンスを、前記決定したステージを使用するシーケンスに切り替えるステップと、を有することを特徴とする請求項11に記載の露光方法。
【請求項13】
前記露光装置の稼動中に、前記複数のステージの内、いずれかのステージが破損し、または、精度が劣化したことを、露光シーケンス中の第1のタイミングで受取り、
第2のタイミングで前記複数のステージの内、破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを使用したシーケンスを流す請求項12に記載の露光方法。
【請求項14】
前記露光装置の稼動中に、いずれかのステージが破損し、または、精度が劣化したことは、前記露光シーケンス中のいつでも受取ることができ、
所定のタイミングで前記複数のステージの内、破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを使用したシーケンスを流す請求項12に記載の露光方法。
【請求項15】
前記露光装置の稼動中に、いずれかのステージが破損し、または、精度が劣化した場合、前記露光シーケンス中の所定のタイミングで、前記破損していない、または、精度が劣化していないステージのみを使用したシーケンスに切り替える請求項12に記載の露光方法。
【請求項16】
前記複数のステージの破損状況または精度の劣化状況は、外部からの情報を基に判断を行なう請求項12記載の露光方法。
【請求項17】
前記外部からの情報は、ホストからの情報である請求項16記載の露光方法。
【請求項18】
前記外部からの情報は、コータデベロッパからの情報である請求項16記載の露光方法。
【請求項19】
前記複数のステージの内、前記破損し、または、精度が劣化したステージは、露光処理以外の処理に使用しながらシーケンスを流すステップを有することを特徴とする請求項12に記載の露光方法。
【請求項20】
前記露光処理以外の処理は、前記複数のステージに設けられているセンサによる計測処理である請求項19に記載の露光方法。
【請求項21】
前記露光処理以外の処理が必要かどうかを、前記複数のステージに設けられているセンサによる情報から判断する請求項20に記載の露光方法。
【請求項22】
請求項1から21のいずれかに記載の露光方法により基板を露光することを特徴とする露光装置。
【請求項23】
請求項23記載の露光装置を用いてウェハを露光する工程と、
前記ウェハを現像する工程と、を備えることを特徴とするデバイス製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−26910(P2009−26910A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187806(P2007−187806)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】