説明

露光装置の基板搬送装置

【課題】 プリント配線基板のサイズに対応できる露光装置を提供する。
【解決手段】搬送装置1を露光部50内に移動し、可動ハンド20の係止シリンダ30がマスクホルダベース63の直下に到達する位置で停止し、係止シリンダ30を駆動し、マスクホルダベース63に押し当てて、可動ハンド20をマスクホルダベース63に係止する。固定シリンダ26を解除し、可動ハンド20を移動可能なフリーの状態にし、固定ハンド10を移動し、固定ハンド10と可動ハンド20の距離X(幅)を所定の距離に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリント配線基板用の露光装置の基板搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板用の露光装置においては、前工程から基板を露光装置のプラテン上に搬入し、露光を行い、その後後工程へと基板を搬出する作業が必要であり、そのために基板搬送装置が設けられている。
プリント配線基板のサイズは種々の大きさがあり、そのため基板を保持する保持装置も基板のサイズに対応できるように構成されているのが普通である。
【0003】
本発明者が認識しているこれら従来技術に関して公知文献はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の搬送装置は、作業者が手動により基板サイズに対応させる構成になっており、作業時間が掛かる上、該作業により装置内の清浄度を悪化させる問題があった。
また、モータ等を取り付けて自動で調整する構成のものもあるが、モータやそれに付随する機構を設ける必要があり、装置のコストアップになる問題がある。
本発明は上記従来技術の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、プリント配線基板を露光位置に搬入し、また露光位置から搬出する露光装置の基板搬送装置において、前記プリント配線基板を保持するための保持装置と、前記プリント配線基板の搬入、搬出を行うために前記保持装置を移動させる移動装置と、前記保持装置に備えられ、プリント配線基板を保持及び開放し、プリント配線基板のサイズに合わせて、保持装置に対して移動可能な保持部と、該保持部を所定箇所に係止する係止装置と、を備え、前記保持部を係止装置により係止した状態で、前記移動装置を駆動して保持装置を移動させることにより、前記保持部を保持装置に対して移動させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の露光装置の基板搬送装置によれば、手動によらず基板のサイズに対応できるため、装置内のクリーン度の悪化がなく、作業時間の大幅な短縮が可能であり、また保持装置の駆動装置を駆動源として用いるため、新たにモータなどの駆動機構を設ける必要がない、等の効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、露光装置Aは露光部50と基板搬入部51及び基板搬出部52を有し、基板搬入部51と基板搬出部52にそれぞれ搬送装置1、1が設置されている。基板搬入部51の搬送装置1と基板搬出部52の搬送装置1は同一のものであり、設置方向が対称的であるだけであるので、以下一方の搬送装置1のみを説明する。
【0008】
基板搬入部51にはローラ9が設けられており、前工程からローラ9上にプリント配線基板Bが送られてくる。プリント配線基板Bを搬送装置1により保持し、露光部50内に搬入し、ここで露光を行うようになっている。
【0009】
露光部50には、プラテン60とマスク61及び光源55が設けられ、搬送装置1により上下動可能なプラテン60上に搬送されたプリント配線基板Bを露光処理し、基板搬出部52側の搬送装置1によりプラテン60から基板搬出部52へと搬送するように構成されている。基板搬出部52にもローラ9が設けられており、プリント配線基板Bはローラ9に乗せられて後工程に送られる。
【0010】
マスク61はマスクホルダ62により支持され、マスクホルダ62はマスクホルダベース63に支持されている。この実施形態では、マスクホルダベース63に移動可能な保持部である可動ハンド20を係止するように構成されている。
【0011】
搬送装置1は図2に示すように、移動装置2と移動装置2に連結された保持装置3を備えている。移動装置2は露光装置A本体に沿って設けられた走行レール40上を走行する台車41を有しており、基板搬入部51の搬送装置1と基板搬出部52の搬送装置1が同一の走行レール40上を走行するように構成されている。
【0012】
保持装置3は、ほぼ平行に配設された固定ハンド10と可動ハンド20とを有する。固定ハンド10と可動ハンド20の下側には、図3に示すようにそれぞれ吸着パッド11、吸着パッド21が設けられており、この吸着パッド11、吸着パッド21によりプリント配線基板Bの両端を吸着してプリント配線基板Bを保持し、移動装置2により移動させるように構成されている。
【0013】
可動ハンド20は固定ハンド10に対してX方向(プリント配線基板Bの移送方向)に移動可能になっており、プリント配線基板BのX方向のサイズ変化に対応できるようになっている。
X方向に伸びる平行な一対のリニアレール15を有し、該リニアレール15に係合し、吊下するリニアブロック25が可動ハンド20の両端に固定されている。リニアブロック25の近傍には固定シリンダ26が設けられており、この固定シリンダ26により可動ハンド20を固定或いは固定解除を行うように構成されている。
【0014】
可動ハンド20の上側には、更に係止シリンダ30、30が設けられており、可動ハンド20を前記マスクホルダベース63に係止するように構成されている。
【0015】
以上の構成において、可動ハンド20のX方向位置の移動調整方法を説明する。
図4に示すように、搬送装置1を露光部50内に移動し、可動ハンド20の係止シリンダ30がマスクホルダベース63の直下に到達する位置で停止し、係止シリンダ30を駆動し、マスクホルダベース63に押し当てて、可動ハンド20をマスクホルダベース63に係止する。
そして、固定シリンダ26を解除し、可動ハンド20を移動可能なフリーの状態にする。
【0016】
次に、図5に示すように移動装置2を駆動し、固定ハンド10を移動する。可動ハンド20は固定されているから、固定ハンド10と可動ハンド20の距離X(幅)を所定のものに設定でき、プリント配線基板Bのサイズに合わせて、固定ハンド10と可動ハンド20の幅を任意に設定する。
そして、固定シリンダ26をロックして可動ハンド20を固定し、係止シリンダ30を解除し、搬送装置1全体を基板搬入部51に移動させ、原点位置に戻す。
【0017】
基板搬出部52の搬送装置1も同様の手順にて幅調整を行い、図6に示すようにプリント配線基板Bサイズに対応した搬送装置1、1の幅調整を完了する。
なお、X方向に直行するY方向のプリント配線基板Bのサイズへの対応は、吸着パッド11、吸着パッド21の駆動、非駆動により行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略正面図。
【図2】本発明の一実施形態を示す概略平面図。
【図3】本発明の一実施形態を示す概略側面図。
【図4】本発明の一実施形態の動作説明図。
【図5】本発明の一実施形態の動作説明図。
【図6】本発明の一実施形態の動作説明図。
【符号の説明】
【0019】
1:搬送装置、2:移動装置、3:保持装置、9:ローラ、10:固定ハンド、11:吸着パッド、15:リニアレール、20:可動ハンド、21:吸着パッド、25:リニアブロック、26:固定シリンダ、30:係止シリンダ、40:走行レール、41:台車、50:露光部、51:基板搬入部、52:基板搬出部、55:光源、60:プラテン、61:マスク、62:マスクホルダ、63:マスクホルダベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板を露光位置に搬入し、また露光位置から搬出する露光装置の基板搬送装置において、
前記プリント配線基板を保持するための保持装置と、
前記プリント配線基板の搬入、搬出を行うために前記保持装置を移動させる移動装置と、
前記保持装置に備えられ、プリント配線基板を保持及び開放し、プリント配線基板のサイズに合わせて、保持装置に対して移動可能な保持部と、
該保持部を所定箇所に係止する係止装置と、を備え、
前記保持部を係止装置により係止した状態で、前記移動装置を駆動して保持装置を移動させることにより、前記保持部を保持装置に対して移動させる、
ことを特徴とする露光装置の基板搬送装置。
【請求項2】
前記保持装置が前記移動装置に連結する固定ハンドを有し、
前記保持部が、該固定ハンドにほぼ平行に配設された可動ハンドを有し、
前記係止装置が、可動ハンドを所定箇所に係止する係止シリンダを有し、
前記可動ハンドを係止シリンダにより係止した状態で固定ハンドを前記移動装置により移動することにより、固定ハンドと可動ハンドの距離を基板のサイズに合わせて調整する、
請求項1に記載の露光装置の基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−53380(P2009−53380A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219222(P2007−219222)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(300091670)株式会社アドテックエンジニアリング (23)
【Fターム(参考)】