説明

露光装置及び露光方法

【課題】液浸液中の微小気泡の前記露光光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を低減すること。
【解決手段】原版のパターンを基板に投影する光学系と、前記基板と前記光学系との間の少なくとも一部の領域に液体を供給する給液手段とを有し、前記領域を前記液体で満たした状態で前記パターンを前記基板に露光する露光装置であって、前記液体の流動経路に極性を付与する付与手段を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、原版のパターンを基板に投影するための光学系と基板との間を液浸状態として原版パターンを基板に投影する液浸露光技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイス等の高集積デバイス製造工程においては、原版に描画された回路パターンを感光剤の塗布された基板上に縮小投影光学系を用いて転写する縮小投影露光装置が使われている。更なる半導体高集積化のためには、露光装置にはより微細なパターンを解像できることが求められる。露光装置の高解像を達成するためには、一般には露光波長の短波長化や投影光学系の開口数(NA)増大化が用いられる。NAを大きくすると、焦点深度DOFはますます浅くなる傾向にあり、これらの関係は次式で表すことができる。
解像度R=k1λ/NA
焦点深度DOF=±k2λ/NA2
λ:露光光の波長,NA:投影光学系の開口数,k1,k2:プロセス係数
露光波長に関しては、波長365nmのi線から、波長248nmのKrFエキシマレーザ、波長193nmのArFエキシマレーザ、波長157nmのF2エキシマレーザへと開発が進められ、露光装置の高解像化を達成してきた。また将来の更なる高解像を目指し、波長13.5nmの軟X線(Extream Ultra Violet)を用いた露光装置の開発も行われている。
【0003】
一方、投影光学系の開口数(NA)に関しては、特許文献1,2に記載のように、投影光学系の射出面と露光対象基板との間の領域を液体で満たした液浸法が脚光を浴びている。これは前述の関係式のとおり、露光装置の解像度が露光光路媒質の屈折率に反比例することを利用したものである。真空中、空気中、液浸液中における露光光の波長、屈折率をそれぞれλ0,λa,λl,n0,na,nlとすると、液浸露光における解像度Rlと焦点深度DOFlの関係は次式のように表される。
解像度Rl=k1λl/NA=kl(λ0/nl)/NA=kl(λana)/nlNA≒klλa/nlNA(na≒1より)
焦点深度DOFl=±k2λl/NA2=±k2(λ0/nl)/NA2=±k2(λana)/nlNA2≒±k2λa/nlNA2(na≒1より)=±nlk2λa/(nlNA)2
上式からわかるように、液浸法を用いることで1/nl倍解像力を向上させることができる。これは液浸法を用いることが、液浸法を用いない場合において波長が1/nl倍の露光光を使用するのと等価であると言えるし、開口数がnl倍の投影光学系を使用するのと等価であるとも言える。焦点深度に関しては、液浸法を用いることで、液浸法を用いない場合に対し深度をnl倍にすることができる。
【特許文献1】特開平06-124873号公報
【特許文献2】再公表特許WO99/49504号公報
【特許文献3】特開2002-143885公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記液浸法においては、液浸液中の露光光路上に微小気泡が入り光路を遮ることによる結像欠陥や、微小気泡は消滅する際に極めて高圧な破裂を伴うためその圧壊衝撃による感光膜破損などが懸念されている。液体は脱気装置により脱気がなされ、低圧状態で過剰に脱気することで再発生した微小気泡を溶存させることが可能である。しかしながら、脱気装置はその構造からある程度の取り付けスペースを必要とするため、基板から少なからず離れた位置に設置せざるを得ない。そのため、脱気装置から基板上までの流路において、配管やノズルの凹凸による乱流や、液体と気体が接する領域での気体の巻き込みによる微小気泡の再発生が考えられる。その再発生量が上記液体の気体飽和溶存量を上回ると、再発生した微小気泡は液体に溶存せず残存することとなる。また仮に再発生した微小気泡が全て液体へ溶存するとしても、溶存完了には一定の時間を要することから、溶存する前に光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を引き起こす虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液浸液中の微小気泡の振る舞いを評価、制御し、微小気泡の露光光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様は、原版のパターンを基板に投影する光学系と基板との間の少なくとも一部の領域に液体を供給し、当該領域を液体で満たした状態で前記パターンを前記基板に露光する露光装置及び露光方法であって、前記液体の流動経路に極性を付与して、当該液体中の気泡の分布を変化させる工程を備える。
【0007】
また、上記態様において、前記付与手段又は工程は、前記液体の流動経路に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加する。
【0008】
また、上記態様において、前記液体中の気泡量を計測する計測手段又は工程と、前記計測結果に基づいて、前記付与手段又は工程により電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して、前記液体中の気泡の分布を変化させる制御手段又は工程とを更に備える。
【0009】
また、上記態様において、前記領域若しくは前記液体を供給する給液手段の一部に前記電界若しくは磁界を遮断するシールド手段を設けた。
【0010】
また、上記態様において、前記液体の流動経路に流量が調節可能な分岐路を設け、前記電界若しくは磁界により制御された液体中の気泡量に応じて前記分岐路への流量を調節する調節手段又は工程を更に備える。
【0011】
また、上記態様において、前記電界若しくは磁界により制御された気泡に対して振動を付与することにより、当該気泡を除去する手段又は工程を更に備える。
【0012】
また、本発明の他の態様は、上記いずれかの態様の露光装置を用いて半導体デバイスを製造するデバイス製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液浸液中の微小気泡の前記露光光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[本発明の概要]
本発明は、液浸液中の微小気泡の光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を防ぐために、液浸液中や流路、流路周辺の露光領域に電界(電荷を印加)及び磁界(通電)のいずれか又は両方の極性を付与し、液浸液中の気泡の分布を変化させる手段と、その電界や磁界の強度や位置、極性を制御する手段とを設けたことを特徴としている。
【0015】
例えば、特許文献3に記載のように、液浸液中の微小気泡は-に帯電しているため、微小気泡に電界を与えると気泡には次のようなクーロン力(静電引力、静電反発力)が働く。
F=qmbqt/4πεr2、あるいは、F=qmbE
ここで、
F:電界を加える部分と微小気泡との間に働くクーロン力[N]
qmb:微小気泡の帯電量[C]
qt:電界を加える部分の帯電量[C]
ε:液体の誘電率[F/m]
r:電界を加える部分と微小気泡との距離[m]
E:加えられる電界[V/m]
また、上記微小気泡に磁界を与えると、気泡には次のようなローレンツ力が働く。
F=qmbvB
F:磁界を加える部分と微小気泡との間に働くローレンツ力[N]
qmb:微小気泡の帯電量[C]
v:微小気泡の速度[m/s]
B:加えられる磁界の磁束密度[T]
このようにクーロン力やローレンツ力を液浸液中の微小気泡に作用させることで、微小気泡の挙動を変化させることができる。1MV(メカ゛ホ゛ルト)の電界でおよそ2.51nm/s,10T(テスラ)の磁界でおよそ0.18nm/sの移動速度を気泡に与えることができる。そして、上記電界及び磁界を制御する手段により、液浸液中の露光光路に微小気泡が入り込まないように制御することで、微小気泡の光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を防ぐことができる。
【0016】
ここで、本発明を効果的に実施するには、液浸液中や流路、流路周辺に付与された電界や磁界を計測することのできる計測手段を設け、上記電界及び磁界の計測値を制御手段の制御量に反映させることが望ましい。
【0017】
また、本発明を効果的に実施するには、液浸液の露光光路への流入経路等の微小気泡を近づけたくない領域においては、当該流入経路上の露光光路へ差し掛かる前の領域に、例えば-に帯電した部材を配置する。前述のように液浸液中の微小気泡には-に帯電するという特性があるため、微小気泡は当該領域から遠ざけられるようなクーロン力を受ける。また、液浸液の露光光路以外への流入経路等の微小気泡を引き寄せたい領域においては、当該流入経路上の領域に、例えば+に帯電した部材を配置する。すると、微小気泡は当該領域に引き寄せられるようなクーロン力を受ける。このように微小気泡を遠ざけたい領域、引き寄せたい領域に応じて、所望の力を与え得るような手段を有することが望ましい。
【0018】
また、本発明を効果的に実施するには、上記電界、磁界、微小気泡の少なくともいずれかの計測値と制御量に応じて、液浸液の流路、流量、流速、圧力、温度の少なくともいずれかを制御する手段を設けることが望ましい。
【0019】
また、本発明を効果的に実施するには、電界シールドや磁界シールドを設け、電界や磁界が微小気泡以外の環境へ影響を及ぼさないようにする手段を設けることが望ましい。
【0020】
また、本発明を効果的に実施するには、流路中に流量が調節可能な切替弁と分岐流路を設け、電界や磁界の作用により引き寄せた微小気泡を多く含んだ液体と微小気泡の少ない液体とを分流させることのできる手段を有することが望ましい。
【0021】
更に、本発明を効果的に実施するには、電界や磁界により制御された微小気泡に対し、超音波やレーザを照射して振動を与えることにより、気泡を消滅させたり流路壁面に吸着した気泡を離させたりすることのできる手段を有することが望ましい。
【0022】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものである。
[第1の実施形態]
図1は本発明の好適な実施形態の液浸露光装置の主要部を含む概略構成図である。
【0024】
図1において、原版1に描画されたパターンは、照明光学系2から照射される露光光により、投影光学系3を介して基板4上に結像し転写される。一度に露光可能な領域は基板面積に比べ小さいため、基板全体を露光するために、基板4はリニアモータにより駆動可能なステージ5上に搭載される。本実施形態の液浸露光装置は、投影光学系3の射出面と基板4の露光面との間の領域に液浸液6が満たされる。液浸液6は脱気装置7にて脱気された後、液体供給配管8、液体供給ノズル9を介して、投影光学系3の射出面と基板4との間に供給され、液体回収ノズル10を介して、液体回収配管11へ回収される。
【0025】
そして、投影光学系3の射出面の周辺部には、投影光学系3の射出面と基板4との間の領域にある液浸液6中に浮遊する微小気泡の露光光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を防ぐために、電荷を印加して電界を形成する電界発生制御機構12が設けられている。
【0026】
図2は図1の投影光学系3の射出面と基板4の露光面との間の領域を真上から見た図である。電界発生制御機構12は、投影光学系3の射出面の周囲の一部を取り囲み、液体供給ノズル9側を切り欠いた3枚の導電プレート部材を環状に組み合わせて構成され、この導電プレート部材上の所望の箇所を+又は-に帯電制御可能に構成されている。
【0027】
液浸液6は液体供給ノズル9から供給され、電界発生制御機構12の下方及び投影光学系3の射出面下方の露光領域14を通り、液体供給ノズル9に対向する液体回収ノズル10から回収される。そして、電界発生機構12において、露光領域14の中心付近(投影光学系の光軸)を流れる液浸液6に対し、露光領域14に差し掛かる前に接触する部位12aを-に帯電する。すると、液浸液6中の微小気泡は-に帯電しているため、プレート部材12aから遠ざかるような反発力を受け、露光領域14の中心付近を通りにくくなる。
【0028】
更に、電界発生機構12において、露光領域14の外側(投影光学系を迂回して)を流れる液浸液6に接触する部位12bを+に帯電する。すると、液浸液6中の微小気泡はプレート部材12bに近づくような吸引力を受け、露光領域14の外側を通り易くなる。
【0029】
この結果、液浸液6中の微小気泡は露光領域14に侵入しにくくなり、微小気泡の光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を低減することができる。
【0030】
また、電界発生機構12の近傍に、電界強度や液浸液中の気泡量の少なくともいずれかを計測するためのセンサ等からなる計測手段21と、この計測結果に基づいて電界を形成して液浸液中の気泡の挙動や分布を変化させる制御手段20とを設けることにより、電界強度や気泡量から微小気泡の状態を評価することが可能となると同時に液浸液6の流路、流量、流速、圧力、温度の少なくともいずれかを調整することで、より正確な微小気泡の制御が可能となる。
【0031】
また、電界による影響を与えたくない領域(液浸液の上下の領域(例えば、投影光学系3、基板4、ステージ5のリニアモータ等))に対しては、銅や銀などのような導電性に優れた素材からなる電界シールド13で囲むことで、電界発生機構12による電界を遮断することができる。
【0032】
更に、流路中に切替弁と分岐流路を設け、電界により制御された液体中の気泡量に応じて分岐路への流量を調節する調節手段として、電界の作用により引き寄せた微小気泡を多く含んだ液体と微小気泡の少ない液体とに分流させる構成としてもよい。
【0033】
更に、電界により制御された微小気泡に対し、超音波やレーザを照射したり振動を与える等して、気泡を消滅させたり流路壁面に吸着した気泡を離すこともできる。
[第2の実施形態]
図3は本発明の好適な実施形態の液浸露光装置の主要部を含む概略構成図であり、図1と同一の要素には同一の符号(1〜11)を付して示している。
【0034】
本実施形態は、図1の電界発生制御機構12の代わりに磁界発生制御機構15を設けたものである。
【0035】
図4は図3の投影光学系3の射出面と基板4の露光面との間の領域を真上から見た図である。磁界発生制御機構15は、液体供給ノズル9と液体回収ノズル10の両側において、液浸液6の流動方向に沿って一対の平行な導電性の棒状部材15a,15bで構成され、この棒状部材に対し通電制御可能に構成されている。
【0036】
液浸液6は液体供給ノズル9から供給され、磁界発生制御機構15の下方及び投影光学系3の射出面下方の露光領域14を通り、液体供給ノズル9に対向する液体回収ノズル10から回収される。そして、磁界発生機構15の両棒状部材15a,15bに、矢視のような液浸液6とは反対方向に励磁電流を流す。すると、各棒状部材15a,15bのまわりに液浸液6の流動方向に対して垂直な磁界が発生する。磁界は励磁電流に対して右ねじの方向に発生することから、一方の棒状部材15aの周囲領域15cでは紙面に対し上向きに、他方の棒状部材15bの周囲領域15dでは紙面に対して下向きにそれぞれ磁界が発生する。
【0037】
液浸液6中の微小気泡は-の電荷を持ち、通電方向とは逆に流動することから、微小気泡には電磁誘導によりローレンツ力が作用する。電荷と磁界の符号の関係から、液浸液6中の微小気泡は露光領域14の中心から遠ざかる方向にローレンツ力を受ける。この結果、液浸液6中の微小気泡は露光領域14に侵入しにくくなり、微小気泡の光路遮断による結像欠陥や気泡消滅時の圧壊衝撃による感光膜破損を低減することができる。
【0038】
また、磁界発生機構15の近傍に、液浸液中の気泡量や電荷、磁界を計測するためのセンサ等からなる計測手段21と、この計測結果に基づいて磁界を発生させて液浸液中の気泡の挙動や分布を変化させる制御手段20とを設けることにより、磁界や電荷の発生量から微小気泡の評価が可能となると同時に液浸液6の流路、流量、流速、圧力、温度等を調整することで、より正確な微小気泡の制御が可能となる。
【0039】
また、磁界による影響を与えたくない領域(液浸液の上下の領域(例えば、投影光学系3、基板4、ステージ5のリニアモータ等))に対しては、パーマロイ等の透磁率の高い素材からなる磁界シールド16で囲むことで、磁界発生機構15による磁界を遮断することができる。
【0040】
なお、本発明は、上記第1の実施形態の電界発生制御機構12と第2の実施形態の磁界発生制御機構15とを適宜組み合わせて構成してもよい。
【0041】
更に、流路中に切替弁と分岐流路を設け、磁界により制御された液体中の気泡量に応じて分岐路への流量を調節する調節手段として、磁界の作用により反発した微小気泡を多く含んだ液体と微小気泡の少ない液体とに分流させる構成としてもよい。
【0042】
更に、磁界により制御された微小気泡に対し、超音波やレーザを照射して振動を与えることにより、気泡を消滅させたり流路壁面に吸着した気泡を離すこともできる。
[デバイス製造方法]
次に、この露光装置を利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図5は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。ステップS1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。ステップS2(マスク作製)では設計した回路パターンに基づいてマスクを作製する。
【0043】
一方、ステップS3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップS4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記のマスクとウエハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップS5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップS5によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。ステップS6(検査)ではステップS5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、ステップS7でこれを出荷する。
【0044】
上記ステップS4のウエハプロセスは以下のステップを有する(図6)。ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を成膜するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打ち込みステップ、ウエハに感光剤を塗布するレジスト処理ステップ、上記の露光装置によって回路パターンをレジスト処理ステップ後のウエハに転写する露光ステップ、露光ステップで露光したウエハを現像する現像ステップ、現像ステップで現像したレジスト像以外の部分を削り取るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト剥離ステップ。これらのステップを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態の液浸露光装置の主要部を含む概略構成図である。
【図2】図2の投影光学系の射出面と基板の露光面との間の領域を真上から見た図である。
【図3】本発明の好適な第2の実施形態の液浸露光装置の主要部を含む概略構成図である。
【図4】図3の投影光学系の射出面と基板の露光面との間の領域を真上から見た図である。
【図5】デバイス製造方法を示す図である。
【図6】ウエハプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1 パターンの描画された原版
2 パターン転写に用いる露光光を射出する照明光学系
3 バターンを基板に結像するための投影光学系
4 パターンが結像し転写される基板
5 基板を保持し駆動するステージ
6 投影光学系3の射出面と基板4との間の領域を満たす液浸液
7 液浸液を脱気するための脱気装置
8 脱気装置7から供給された液浸液6を液体供給ノズルへ供給する配管
9 液浸液6を投影光学系3の射出面と基板との間の領域に供給するノズル
10 投影光学系3の射出面と基板4との間の領域に供給された液浸液6を回収するノズル
11 液体回収ノズル10から回収された液浸液6を回収流路へと導く配管
12 電界発生機構
12a -に帯電した部位
12b +に帯電した部位
13 電界シールド
14 露光領域
15 磁界発生機構
15c 紙面に対し上向きの磁界の作用する領域
15d 紙面に対し下向きの磁界の作用する領域
16 磁界シールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原版のパターンを基板に投影する光学系と、前記基板と前記光学系との間の少なくとも一部の領域に液体を供給する給液手段とを有し、前記領域を前記液体で満たした状態で前記パターンを前記基板に露光する露光装置であって、
前記液体の流動経路に極性を付与する付与手段を具備することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記付与手段は、前記液体の流動経路に電界及び磁界の少なくともいずれかを印加することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記液体中の気泡量を計測する計測手段と、
前記計測結果に基づいて、前記付与手段により電界及び磁界の少なくともいずれかを印加して、前記液体中の気泡の分布を変化させる制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記領域若しくは前記給液手段の一部に前記電界若しくは磁界を遮断するシールド手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記液体の流動経路に流量が調節可能な分岐路を設け、前記電界若しくは磁界により制御された液体中の気泡量に応じて前記分岐路への流量を調節する調節手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記電界若しくは磁界により制御された気泡に対して振動を付与することにより、当該気泡を除去する手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
原版のパターンを基板に投影する光学系と当該基板との間の少なくとも一部の領域に液体を供給し、当該領域を液体で満たした状態で前記パターンを前記基板に露光する露光方法であって、
前記液体の流動経路に極性を付与して、当該液体中の気泡の分布を変化させる工程を備えることを特徴とする露光方法。
【請求項8】
請求項1乃至6に記載の露光装置を用いて半導体デバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−269940(P2006−269940A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88931(P2005−88931)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】