説明

露光装置用光源装置

【課題】 マスク露光面の照度分布や照度アップを低コストで実現する。
【解決手段】 ワークの被露光部位にマスク8のパターンを露光転写すべく前記マスク8に向かって露光光を照射するためのランプ22を備えた露光装置用光源装置20であって、前記ランプ22からの光を平行化して前記マスク8に照射すべく、前記平行方向に沿う所定長さの内面を有する多数の格子穴24を設けた平行化フィルター25をランプハウス21の開口部21aに嵌め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの被露光部位にマスクのパターンを露光転写すべく前記マスクに向かって露光光を照射するためのランプを備えた露光装置用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図13に両面露光装置の一例を示す。図において、符号1はフープ材等のワーク(被露光材)2をタクト送りで巻き出すための巻出し装置、3は露光後のワーク2を巻き取るための巻取り装置、4a,4bは露光位置Pにあるワーク2を固定すべく該ワーク2の送り方向の両側に配置された固定用クランプ、5は固定用クランプ4a,4bの巻出し装置1側に配置されて露光位置Pにあるワーク2に対してテンションを付与するバックテンションロール、6は固定用クランプ4a,4bの巻取り装置3側に配置されて露光後のワーク2をクランプした状態で巻取り装置3側に所定量送り、その後、クランプを解除して元の位置に戻るインデクサーであり、このインデクサー6の送り量に応じて巻出し装置1によるワーク2の巻出しと巻取り装置3によるワーク2の巻取りが行われる。なお、符号7は巻出し装置1側と巻取り装置3側に設けられたワーク送りのバッファ部分である。
【0003】
また、露光位置Pでのワーク2の表裏面にはそれぞれ所定の転写パターンを有する表マスク8及び裏マスク9が配置されている。各マスク8,9は図示しないマスク保持フレームに真空吸着等により保持されている。そして、露光位置Pでワーク2及び各マスク8,9同士のアライメント(ずれ補正)が行われた後、各マスク8,9をワーク2の表裏面に密着させた状態で各マスク8,9に向けて光源装置10から露光光を照射し、これにより、各マスク8,9のパターンがワーク2の表裏面に露光転写される。
【0004】
この露光転写が行われた後、上述したインデクサー6でワーク2を巻取り装置3側に所定量送って新たな被露光部位を露光位置Pに配置し、上記同様の工程で新たな露光転写が行われる。なお、露光時(アライメント終了後)は、ワーク2はマスク(マスク保持フレーム)に保持されるため、固定用クランプ4a,4bによるワーク2のクランプ及びバックテンションロール5によるワーク2へのテンション力付与を解除してワーク2の伸びや変形を小さくすることで、製品精度を確保する。
【0005】
ところで、図7〜図9は上記光源装置10の要部を示したものであり、この光源装置10は例えば長方形状のマスク8(又は9)と略同等か若干大きい開口面積を有する略四角錐状のランプハウス11を備えており、該ランプハウス11の頂部にはランプ管12がマスク8(又は9)の中央部を長手方向に沿うように設けられている。
そして、露光時には、図10及び図11に示すように、ランプ管12からの光をランプハウス11の内面の反射面13で反射させてマスク8(又は9)の長手方向の両側部及び四隅に集め、これにより、マスク8(又は9)の露光面の照度分布を約80%に確保している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の露光装置用光源装置においては、ランプ管12の照度が長手方向の端部にいく程低下し、しかもランプ管12の長手方向はいろんな方向に光が散乱するため、マスク8(又は9)の露光面の照度分布は、図12に示すように、四隅が最も照度が弱く、次に照度の弱いところが長手方向の両側部となり、マスク8(又は9)の露光面の照度分布の向上や照度アップを図ることが難しいという問題がある。
【0007】
また、光源として例えば水銀燈等の点光源を用い、各種の曲面ミラーやインテグレータ等を組み合わせた光学系を用いることにより均一な照度分布を得ることもできるが、極めて高価なものとなる。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、マスク露光面の照度分布や照度アップを低コストで実現することができる露光装置用光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ワークの被露光部位にマスクのパターンを露光転写すべく前記マスクに向かって露光光を照射するためのランプを備えた露光装置用光源装置であって、
前記ランプからの光を平行化して前記マスクに照射すべく、前記平行方向に沿う所定長さの内面を有する多数の穴を設けた平行化フィルターを備えたことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記ランプからの光を凹曲面状の反射板で反射させた後に前記平行化フィルターを通過させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、平行化フィルターの穴のサイズ内で通過する角度の光を取り出して光の散乱度を大幅に改善し、擬似的な平行度を持った光をマスク露光面に照射することができるので、マスク露光面の照度分布や照度アップを低コストで実現することができる。
請求項2の発明では、請求項1の発明に加えて、ランプからの光を凹曲面状の反射板で反射させた後に平行化フィルターを通過させることで、より平行な光をマスク露光面に照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の一例を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である露光装置用光源装置を説明するための説明図、図2は図1の矢印A方向から見た図、図3は図1の矢印B方向から見た図、図4はスキャン装置を説明するための説明図、図5は従来の光源装置で露光した場合の製品パターンの解像度を説明するための説明図、図6は本発明の光源装置で露光した場合の製品パターンの解像度を説明するための説明図である。
【0011】
本発明の実施の形態の一例である露光装置用光源装置20は、図1〜図3に示すように、例えば長辺長さがマスク8(又は9)の短辺長さと略同等か若干大きい長方形状の開口部21aを有する直方体状のランプハウス21内にランプ管22が長手方向に沿って配置されており、該ランプ管22から発光された光は円筒ミラー(凹曲面状反射板)23(或いは場合によって楕円ミラー)で反射された後、ランプハウス21の開口部21aからマスク8(又は9)の露光面に向かって照射される。この場合、ランプ管22の断面方向(図3参照)では、円筒ミラー23を用いることで、従来に比べて大幅に平行な光を得ることができるが、ランプ管22の長手方向はいろんな方向に光が散乱してしまう。
【0012】
そこで、この実施の形態では、前記円筒ミラー23で反射された光を平行化してマスクに照射すべく、前記平行方向に沿う所定長さの内面を有する多数の格子穴24を設けた平行化フィルター25をランプハウス21の開口部21aに嵌め込んでいる。
これにより、平行化フィルター25の格子穴24のサイズ内で通過する角度の光を取り出して光の散乱度を大幅に改善し、擬似的な平行度を持った光をマスク8(又は9)の露光面に照射することができ、マスク露光面の照度分布や照度アップを低コストで実現することができる。
【0013】
また、この実施の形態の光源装置20は従来に比べて有効露光面積が減少するものの、露光面積が小さいためランプ管22の照度を大幅に大きくすることができる。
図4はスキャン装置を用いて本実施形態の光源装置20で大きな露光面積での露光を行う一例を示したものである。
このスキャン装置は、例えばリニアガイドの案内レール30にスライダ(図示せず)を介して光源装置20を搭載すると共に、該スライダを案内レール30に平行配置されたボールねじのナット(図示せず)に結合し、該ナットが螺合されたねじ軸31をスキャン用駆動モータ32で回転させてナットをねじ軸31に沿って往復移動させることで、図の斜線部分で示す露光範囲Hをスキャンし、これにより、大きな露光面積での露光を可能にしたものである。
【0014】
次に、図5に従来の光源装置で露光した場合の製品パターンP1を示し、図6に本発明の光源装置で露光した場合の製品パターンP2を示す。
各図から判るように、図5に示す従来の光源装置による露光ではマスク8に照射される光が平行でないため、レジスト2aを通過してワーク2に転写される製品パターンP1がマスクパターンより小さくなって解像度が劣るのに対し、図6に示す本発明の光源装置による露光ではマスク8に照射される光が略平行であるため、レジスト2aを通過してワーク2に転写される製品パターンP2がマスクパターンと略同等となり、解像度が向上する。
なお、本発明のマスク、ランプ、穴、平行化フィルター、凹曲面状の反射板等の構成は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態の一例である露光装置用光源装置を説明するための説明図である。
【図2】図1の矢印A方向から見た図である。
【図3】図1の矢印B方向から見た図である。
【図4】スキャン装置を説明するための説明図である。
【図5】従来の光源装置で露光した場合の製品パターンの解像度を説明するための説明図である。
【図6】本発明の光源装置で露光した場合の製品パターンの解像度を説明するための説明図である。
【図7】従来の露光装置用光源装置を説明するための説明図である。
【図8】図7の矢印A方向から見た図である。
【図9】図7の矢印B方向から見た図である。
【図10】図7の露光装置用光源装置を用いたマスク露光面への露光光の照射例を示す図である。
【図11】図10の矢印C方向から見た図である。
【図12】マスク露光面の照度分布を説明するための図である。
【図13】両面露光装置を一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
2 ワーク
8,9 マスク
20 光源装置
22 ランプ管
23 円筒ミラー(凹曲面状の反射板)
24 格子穴
25 平行化フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの被露光部位にマスクのパターンを露光転写すべく前記マスクに向かって露光光を照射するためのランプを備えた露光装置用光源装置であって、
前記ランプからの光を平行化して前記マスクに照射すべく、前記平行方向に沿う所定長さの内面を有する多数の穴を設けた平行化フィルターを備えたことを特徴とする露光装置用光源装置。
【請求項2】
前記ランプからの光を凹曲面状の反射板で反射させた後に前記平行化フィルターを通過させることを特徴とする請求項1に記載した露光装置用光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−84785(P2006−84785A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269551(P2004−269551)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】