説明

静音型水洗トイレ

【課題】トイレ洗浄音を低くすることができる静音型水洗トイレを提供する。
【解決手段】タンク1内の水を便器側に排水する排水機構2と、タンク1に水を供給する給水機構5,6とが備えられた水洗トイレにおいて、排水機構2による排水を終えた後、給水機構5,6による給水が開始されるようにする静音機構8,10が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静音型水洗トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりタンク付き洋風便器などの種々の水洗トイレが提供されているが、従来の水洗トイレは、レバーを操作すると、フロート弁が開いて排水が開始され、タンク内の水位の下降と共に浮玉も下降し、ボールタップの弁が開いてタンク内に給水が行われるようになされている。
【特許文献1】特開平7−102606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような排水と給水に伴うトイレ洗浄音はクレームになることがあり、そのため、排水ソケットを防振支持したり、配管に防音材を巻くなどの方法で洗浄音を小さく抑える対策が講じられているが、未だ万全であるとは言い難く、静音のための更なる対策を講じていく必要がある。
【0004】
本発明は、上記のような背景において、トイレ洗浄音を低くすることができる静音型水洗トイレを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者は、水洗トイレの洗浄音について、種々調査を行ったところ、従来の水洗トイレは、レバーを操作して排水を開始すると、間もなく給水が開始されて、排水と給水とが一定の時間にわたって同時進行で行われ、それが洗浄音を大きくしている原因の一つになることを突き止めた。
【0006】
本発明は、このような事実解明の結果なされたもので、タンク内の水を便器側に排水する排水機構と、タンクに水を供給する給水機構とが備えられた水洗トイレにおいて、排水機構による排水を終えた後、給水機構による給水が開始されるようになされていることを特徴とする静音型水洗トイレを内容とする。
【0007】
この水洗トイレによれば、排水機構による排水を終えた後、給水機構による給水が開始されるようになされているので、排水と給水の同時進行が回避され、トイレ洗浄音を低くすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の静音型水洗トイレは、以上のとおりのものであるから、トイレ洗浄音を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1に示す第1実施形態の静音型水洗トイレにおいて、1はタンクであり、タンク1の内底部にはフロート弁2が設けられ、レバー3を回すとフロート弁2が開いて、タンク1内の水が排水管4を通じて図示しない便器に向けて排水されるようになされた排水機構が備えられている。
【0011】
また、タンク1内の上部側に、ボールタップの弁5と浮玉6とが備えられ、浮玉6が下降してボールタップの弁5が開くと、給水管7からタンク1内に給水が行われるようになされた給水機構が備えられている。
【0012】
そして、本実施形態では、排水機構による排水を終えた後、給水機構による給水が開始されるようにするため、次のような静音機構が組み込まれている。即ち、浮玉6にはその上部側にリング部8が備えられていると共に、満水状態におけるリング部8と正対するように、レバー3の軸部9の内側先端部にはピン10が軸部9と同軸状態に設けられ、該ピン10は、図示しないネジ送り機構とピン回転阻止機構とにより、レバー3の正逆回転に追従して進退動作を行うようになされている。そして、図2(イ)に示すように、レバー3を回して排水を行うと、ピン10は、回ることなくネジ送り機構により進出し、リング部8を貫通して浮玉6の下降を阻止し、図2(ロ)(ハ)に示すように、フロート弁2を開いた状態でレバー3が戻り方向に回って不完全状態に戻った状態でもピン10はリング部8を貫通した状態を維持し、図3(ニ)(ホ)に示すように、排水を終えてフロート弁2が閉じ、レバー3が完全に戻ると、ピン10が後退してリング部8から抜け、浮玉6が自重により下降して、ボールタップの弁5が開き、給水が開始されるようになされている。なお、11はオーバーフロー管である。
【0013】
このように、上記の水洗トイレでは、レバー3を回すと、排水機構による排水を終えた後に、給水機構による給水が開始されるようになされているので、排水と給水の同時進行が回避され、トイレ洗浄音を低くすることができる。
【0014】
因みに、防音材などによる排水音軽減策が講じられた水洗トイレに上記のような静音機構を採用した場合と、そのような静音機構を省略した場合とについて洗浄音の計測を行ったところ、採用していない場合の最大洗浄音は37.9dBであったのに対し、採用することによって最大洗浄音は35.4dBに低減された。
【0015】
図4に示す第2実施形態の水洗トイレは、第1実施形態におけるのとは異なる静音機構を採用している。即ち、タンク1内の上端側に上端開放の孔あき容器12が固設され、該孔あき容器12内に浮玉6が配置されており、タンク1内と孔あき容器12内とは容器12の小孔12a…を通じて連通しており、タンク1内が満水状態では、タンク1内の水位と容器12内の水位とが一致して、浮玉6は容器12内の水に浮かされるようになされている。
【0016】
また、孔あき容器12の底部には、大孔12bが設けられ、該大孔12bの容器内側には蓋13が備えられ、蓋13は、タンク1が満水の状態では自重により大孔12bを閉じた状態に保持するようになされていると共に、排水後の給水によってタンク1内の水位が上昇し容器12に水圧が下から作用すると上方に開いて大孔12bを通じて容器12内への給水が速やかに行われるようになされている。
【0017】
そして、図5(イ)に示すように、図示しないレバーを操作してタンク1内の水が便器側に排水されていくと、容器12内の水も、小孔12a…を通じて容器12の外に排出されていくが、その量はわずかずつであり、浮玉6は容器12内で浮いた状態を維持し、それにより、給水は開始されないようになされている。そして、図5(ロ)に示すように、排水を終えたのち、容器12内の水位も少しずつ下がっていくことにより、ボールタップの弁5が開いて給水が開始されるようになされている。
【0018】
また、給水過程では、図6(ハ)(ニ)に示すように、タンク1内の水位が上昇して容器12の側面部に達すると蓋13が開き、容器12内に大孔12bを通じて速やかに給水が行われて、タンク1内の水位と同等の水位を維持し、浮玉6が上昇して給水を終了するようになされている。
【0019】
このように、この水洗トイレにおいても、排水機構による排水を終えた後に、給水機構による給水が開始されるようになされているので、排水と給水の同時進行が回避され、トイレ洗浄音を低くすることができる。
【0020】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、2種類の静音機構を示したが、静音機構の構成に制限はなく、要は、排水機構による排水を終えた後、給水機構による給水が開始されるようにする機構が組み込まれていればよい。
【0021】
また、水洗トイレの構造についても制限はなく、本発明は、タンク付き洋風便器のほか、各種水洗トイレに適用して用いることができるものであることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態の静音型水洗トイレを示すもので、図(イ)はタンク内の全体構造を示す正面図、図(ロ)はタンク内の上部側の構造を拡大して示す正面図である。
【図2】図(イ)〜図(ハ)は、図3(ニ)(ホ)と共に、作動状態を順次に示す正面図である。
【図3】図(ニ)及び図(ホ)は、図2(イ)〜(ハ)と共に、作動状態を順次に示す正面図である。
【図4】第2実施形態の静音型水洗トイレを示すもので、図(イ)はタンク内の構造を示す正面図、図(ロ)は要部拡大正面図である。
【図5】図(イ)及び図(ロ)は、図6(ハ)(ニ)と共に、作動状態を順次に示す正面図である。
【図6】図(ハ)及び図(ニ)は、図5(イ)(ロ)と共に、作動状態を順次に示す正面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…タンク
2…フロート弁(排水機構)
5…ボールタップの弁(給水機構)
6…浮玉(給水機構)
8…リング部(静音機構)
10…ピン(静音機構)
12…孔あき容器(静音機構)
12a…小孔(静音機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内の水を便器側に排水する排水機構と、タンクに水を供給する給水機構とが備えられた水洗トイレにおいて、排水機構による排水を終えた後、給水機構による給水が開始されるようになされていることを特徴とする静音型水洗トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−327212(P2007−327212A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157909(P2006−157909)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】