説明

非水電解質二次電池およびその製造方法

【課題】充放電サイクル特性などの電池性能を満たすための電解液の添加剤濃度を最適化しつつ電池膨れが抑制された、安全性に優れた非水電解質二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】正極と負極とがセパレータを介して捲回された電極群を備える非水電解質二次電池の製造方法であって、第1の添加剤であるリチウムジフルオロオキサレートホスフェートを含む非水電解液を、電池ケースの電解液注入口から電極群の内部領域に注入する内部注入工程と、その後、内部注入工程にて注入された非水電解液よりも第1の添加剤の濃度が低い非水電解液を、電池ケースの電解液注入口から電極群の外部領域に注入する外部注入工程と、内部注入工程及び外部注入工程の後、電解液注入口を封口する封口工程と、内部注入工程の後であって封口工程の前に、予備充電する充電工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解液の添加剤濃度が制御された非水電解質二次電池およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な環境問題への取り組みとして、ガソリン自動車から電気自動車への転換が重要になってきている。このため、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池を電気自動車の電源として使用することが検討されている。
【0003】
しかしながら、電池ケース内に単一の濃度の電解液を使用したリチウムイオン二次電池を、比較的大きな電流で充放電すると、この充放電に寄与する層間電解液中のリチウムイオンが発電要素と電池ケースとの間へ移動して、層間電解液中のリチウムイオン濃度が低下してしまう。これにより、電池抵抗値が増加し、リチウムイオン二次電池の出力が低下してしまう。つまり、当該二次電池の出力低下を防ぐためには、電池抵抗値の増加を抑制することが重要である。
【0004】
これに対して、従来、当該二次電池の電池抵抗値の増加を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、層間電解液のリチウムイオン濃度よりも電極露出部の電解液のリチウムイオン濃度を高くすることによりハイレートの電流で充放電を行っても、層間電解液のリチウムイオン濃度の低下を抑制することができ、電池抵抗値の増加を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−113920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の技術においては、難燃性などの安全性確保及びリチウムイオン伝導の円滑化などを目的として添加剤が用いられる。しかしながら、添加剤の中には、電極での皮膜形成時にガス発生を伴うものがある。
【0007】
従来の非水電解質二次電池では、電解液注入口を封口する前であれば、発電要素内に存在する添加剤が初期充電により還元分解され、その際にガスが発生しても当該ガスを電池ケース外へ放出できる。一方、発電要素外に存在する添加剤は、封口後に、毛細管現象により発電要素内に浸入し、充電動作により還元分解されガス発生をもたらす。この封口後に発生したガスは電池ケース外へ放出されないため、電池膨れが起きてしまう。
【0008】
このため、安全性確保及びリチウムイオン伝導の円滑化などの目的に応じて最適な添加剤を適用することが制約されるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、充放電サイクル特性などの電池性能を満たすための電解液の添加剤濃度を最適化しつつ電池膨れが抑制された、長寿命な非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る非水電解質二次電池の製造方法は、リチウムイオンを吸蔵及び放出する物質を含む正極と負極とがセパレータを介して捲回された電極群を備え、当該セパレータには溶媒と電解質塩とを含む非水電解液が含浸されている非水電解質二次電池の製造方法であって、第1の添加剤であるリチウムジフルオロオキサレートホスフェート(LiFOP)を含む前記非水電解液を、前記電極群の前記正極と前記負極との間である内部領域に注入する内部注入工程と、前記内部注入工程の後、前記内部注入工程にて注入された前記非水電解液よりも前記第1の添加剤の濃度が低い非水電解液を、前記電極群と電池ケースとの間である前記電極群の外部領域に注入する外部注入工程と、前記内部注入工程及び前記外部注入工程の後、前記電池ケースに設けられた電解液注入口を封口する封口工程と、前記内部注入工程の後であって前記封口工程の前に、予備充電する充電工程とを含む。
【0011】
封口工程で電解液注入口が封口された後では、電極群の外部領域を中心に残存している第1の添加剤が、経時的に電極群の内部領域へ浸入して充放電動作時にガスを発生させることが想定される。しかし、上記製造方法によれば、電極群の外部領域における第1の添加剤濃度は、既に予備充電により封口前にガス発生した電極群の内部領域における第1の添加剤濃度よりも低いので、電極群の外部領域を中心に残存している第1の添加剤による封口後のガス発生は低減され、その結果電池膨れが大幅に抑制される。
【0012】
また、好ましくは、前記内部注入工程では、前記第1の添加剤を含む非水電解液を、前記電池ケース内に注入し、その後交流電池抵抗値が収束するまで放置する。
【0013】
内部注入工程での電解液注入以降、注入された電解液は毛細管現象により電極群の正極−セパレータ間及び負極−セパレータ間へ徐々に浸入していく。この電極群内部への電解液の浸入が進行するにつれ、交流電池抵抗値は指数関数的に減少していく。やがて、交流電池抵抗値が一定値に収束したとき、電解液は電極群の内部に完全に浸透したと判断できる。つまり、内部注入工程では、交流電池抵抗値が収束するまでの間放置する。これにより、予備充電前に、電極群内部へ第1の添加剤濃度の高い電解液を注入できるので、第1の添加剤の分解反応により発生するガスを優先的に封口前に電池外部へ放出することが可能となる。
【0014】
また、好ましくは、前記内部注入工程では、前記第1の添加剤を含む非水電解液を、前記電池ケース内に注入した後、1時間以上放置する。
【0015】
また、好ましくは、前記負極の負極活物質は、難黒鉛化炭素又は易黒鉛化炭素を主成分とし、前記充電工程では、前記第1の添加剤が還元分解されてガスを発生する。
【0016】
難黒鉛化炭素または易黒鉛化炭素を負極活物質とした場合には、高出力が期待できるが、LiFOPの還元分解速度が遅い。このため、封口後のガス発生による電池膨れが懸念される。本製造工程を適用することにより、LiFOPの添加濃度の高い電解液を電極群に浸透させて封口前に還元分解反応するLiFOPの量を増加させることができる。これにより、充放電サイクルにより発生し得るガスのうちできる限り多くのガスを封口前に発生させて電池外部へ排出しておくことが可能となる。
【0017】
また、好ましくは、前記外部注入工程で注入される非水電解液の前記第1の添加剤の濃度は、前記内部注入工程で注入される非水電解液の前記第1の添加剤の濃度の60%以下である。
【0018】
これにより、封口後の充放電により第1の添加剤量が発生するガスの量を極力少なくすることが可能となる。
【0019】
なお、本発明は、このような非水電解質二次電池の製造方法として実現することができるだけでなく、当該製造方法により形成された構成要素を備える非水電解質二次電池としても実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の非水電解質二次電池およびその製造方法によれば、電池性能を満たすための非水電解液の添加剤濃度を最適化しつつ電池膨れを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の構造断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の製造方法の一例を説明する動作フローチャートである。
【図4】電解液注入後における電池抵抗の時間依存性を表すグラフである。
【図5】異なる材料をそれぞれ負極活物質の主成分とした場合の、各負極の充電曲線を表すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る非水電解質二次電池10の構造断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る非水電解質二次電池10の製造方法の一例を説明する動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の非水電解質二次電池およびその製造方法について説明する。
【0023】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池の構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の外観斜視図である。なお、同図は、電池ケース内部を透視した図となっている。同図に示すように、非水電解質二次電池1は、発電要素2と、電池ケース3と、正極端子4と、負極端子5と、電解液6とを備える。
【0025】
発電要素2は、リチウムイオンを吸蔵及び放出する物質を含む正極板と負極板とがセパレータを介して渦巻状に捲回された電極群であり、電池ケース内に収納されている。セパレータには、有機溶媒と電解質塩とを含む非水電解液が含浸されている。正極板及び負極板は、例えば、金属製の集電体の表面に、活物質、結着剤、導電助剤などの粉末と有機溶剤とを混合した合剤ペーストを塗布し、乾燥し、ロールプレスなどでプレスして、合剤層の厚みを調整することにより形成される。
【0026】
なお、図1では、電極群の形状としては長円形状を示したが、円形状でもよい。また、電極群の形状は捲回型に限らず、平板状極板を積層した形状でもよい。
【0027】
本発明の非水電解質二次電池に用いられる正極板及びセパレータなどは、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、通常用いられているものが使用できる。
【0028】
本発明の非水電解質二次電池に用いる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、LiMO(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiMn、LiMnO、LiNiCo(1−y)、LiNiMnCo(1−y−z)、LiNiMn(2−y)等)、あるいは、LiMe(XO(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO、Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等)から選択することができる。また、これらの化合物中の元素又はポリアニオンは一部他の元素又はアニオン種で置換されていてもよく、表面にZrO、MgO、Alなどの金属酸化物や炭素を被覆されていてもよい。さらに、ジスルフィド、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラスチレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0029】
本発明の非水電解質二次電池に用いる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。このなかでも、とくに難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素が好ましい。
【0030】
上記正極活物質及び負極活物質を、それぞれバインダーや導電助剤などと混合し、上記集電体の表面に塗布してプレス及び乾燥することで、正極と負極とが形成される。
【0031】
上記集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等を用いることができる。さらに、これらの材質からなる集電体表面を、接着性、導電性、耐還元性の目的で、多糖類高分子ポリマーであるキトサン、キチン等を架橋剤で架橋したもの、カーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理してもよい。
【0032】
上記正極活物質及び負極活物質と混合する導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。導電材は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。正極合材及び負極合材に含まれる導電材の量は、正極活物質及び負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよい。
【0033】
また、導電材を使用する代わりに、あるいは導電材の使用と併せて、上記正極活物質の粒子表面に導電性を高める処理を施したものを用いてもよい。
【0034】
上記結着剤としては、特に制限されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリビニルピロリドン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
また、本発明の非水電解質二次電池に用いるセパレータとしては、有機溶剤に不溶な織布、不織布、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂からなる合成樹脂微多孔膜が用いられ、材料、重量平均分子量や空孔率の異なる複数の微多孔膜が積層してなるものや、これらの微多孔膜に各種の可塑剤、酸化防止剤、難燃剤などの添加剤を適量含有しているものや片面および両面にシリカなどの無機酸化物を塗布したものであってもよい。特に、合成樹脂微多孔膜を好適に用いることができる。中でもポリエチレン及びポリプロピレン製微多孔膜、アラミドやポリイミドと複合化させたポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、または、これらを複合した微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で好適に用いられる。
【0036】
さらに、高分子固体電解質等の固体電解質を用いることで、セパレータを兼ねさせることもできる。さらに、合成樹脂微多孔膜と高分子固体電解質等を組み合わせて使用してもよい。この場合、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を用い、高分子固体電解質にさらに電解液を含有させることで良い。ただしこの場合、電池出力が低下する原因となるので、高分子固体電解質を最小限の量にとどめるほうが好ましい。
【0037】
正極端子4は、電池ケース3の上部に配設され、正極リードを介して正極板と接続されている。
【0038】
負極端子5は、電池ケース3の上部に配設され、負極リードを介して負極板と接続されている。
【0039】
また 電池ケース3の上部には、電解液注入口31が配設されている。
【0040】
集電体、正極端子4、負極端子5及び電池ケース3等についても、従来用いられてきたものをそのまま用いることができる。
【0041】
電解液6は非水電解液であり、当該非水電解液としては、電解質二次電池としての性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。上記非水電解液の有機溶媒には、特に制限はなく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、ジオキソラン、フルオロエチルメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジプロピオネート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、アセトニトリル、フルオロアセトニトリル、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼン、ジエトキシテトラフルオロシクロトリホスファゼン、フェノキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンなどのアルコキシおよびハロゲン置換環状ホスファゼン類または鎖状ホスファゼン類、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル類、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチルなどのホウ酸エステル類、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノン等の非水溶媒が挙げられる。また、固体電解質を用いる場合は、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を用い、高分子固体電解質にさらに電解液を含有させることで良い。また、ゲル状の高分子固体電解質を用いる場合には、ゲルを構成する電解液と、細孔中等に含有されている電解液とは異なっていてもよい。このような高分子固体電解質を用いる場合には、内部注液工程において、高分子固体電解質に当該発明にある第一の添加剤を多く含む電解液を含有させればよい。ただし、HEV用途のように高い出力が要求される場合は、固体電解質や高分子固体電解質を用いるよりも電解質として非水電解液を単独で用いるほうがより好ましい。
【0042】
また、本発明の非水電解質二次電池に用いる電解質塩としては、特に制限はなく、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO249)、LiSCN、LiBr、LiI、Li2SO4、Li210Cl10、NaClO4、NaI、NaSCN、NaBr、KClO4、KSCN等のイオン性化合物およびそれらの2種類以上の混合物などが挙げられる。
【0043】
本発明の非水電解質二次電池においては、これらの有機溶媒と電解質塩とを組み合わせて、電解液として使用する。なお、これらの電解液の中では、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネートを混合して使用すると、リチウムイオンの伝導度が極大となるために好ましい。
【0044】
ここで、本発明の非水電解質二次電池1の電解液6には、電極での皮膜形成によるリチウムイオンの透過促進を目的として、第1の添加剤が含まれている。第1の添加剤としては、特に、下記化1で表されるリチウムジフルオロオキサレートホスフェート(以下、LiFOPと記す)が好ましい。
【0045】
【化1】

【0046】
第1の添加剤としてLiFOPを用いることにより、上述した電極での皮膜形成によるリチウムイオンの透過促進が達成され、さらに、充放電サイクルに対する容量保持率が向上する。ただし、LiFOPに代表される第1の添加剤は、電極での皮膜形成時に、皮膜形成以外の分解反応によりガスを発生させる。
【0047】
さらに、電解液6には、電極での皮膜形成時にガスを発生しない、もしくはガス発生量が少なく初回充放電後に電池膨れを引き起こさない第2の添加剤が含まれていてもよい。第2の添加剤としては、例えば、ジフルオロリン酸リチウム、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、プロピルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、ジメチルビニレンカーボネート、ジエチルビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどのカーボネート類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ジアリルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、アリルビニルスルフィド、アリルエチルスルフィド、プロピルスルフィド、ジアリルジスルフィド、アリルエチルジスルフィド、アリルプロピルジスルフィド、アリルフェニルジスルフィド等のスルフィド類、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロぺンスルトン、1,4−ブテンスルトン等の環状スルホン酸エステル類、ビス(ビニルスルホニル)メタン、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸プロピル、エタンスルホン酸メチル、エタンスルホン酸エチル、エタンスルホン酸プロピル、ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル.ベンゼンスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸フェニル、エタンスルホン酸フェニル、プロパンスルホン酸フェニル、ベンジルスルホン酸メチル、ベンジルスルホン酸エチル、ベンジルスルホン酸プロピル、メタンスルホン酸ベンジル、エタンスルホン酸ベンジル、プロパンスルホン酸ベンジル、等の鎖状スルホン酸エステル類、ジメチルサルファイト、ジエチルサルファイト、エチルメチルサルファイト、メチルプロピルサルファイト、エチルプロピルサルファイト、ジフェニルサルファイト、メチルフェニルサルファイト、エチルメチルサルファイト、ビニルエチレンサルファイト,ジビニルエチレンサルファイト,プロピレンサルファイト、ビニルプロピレンサルファイト,ブチレンサルファイト、ビニルブチレンサルファイト,ビニレンサルファイト、フェニルエチレンサルファイト、などの亜硫酸エステル類、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジイソプロピル,硫酸ジブチル,エチレングリコール硫酸エステル、プロピレングリコール硫酸エステル、ブチレングリコール硫酸エステル、ペンテングリコール硫酸エステルなどの硫酸エステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、2−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、ジフェニルエーテル、tert−ブチルベンゼン、オルトターフェニル、メタターフェニル、ナフタレン、フルオロナフタレン、クメン、フルオロベンゼン、2,4−ジフルオロアニソールなどの芳香族化合物、パーフルオロオクタンなどのハロゲン置換アルカン、ホウ酸トリストリメチルシリル、硫酸ビストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリルなどのシリルエステル類が挙げられる。
【0048】
これらの化合物は単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0049】
上述したように、本発明の非水電解質二次電池1は、発電要素2と第1及び第2の添加剤を含む電解液6とを電池ケース3内に収容している。
【0050】
図2は、本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の構造断面図である。同図は、図1に記載された非水電解質二次電池1のY−Z方向の断面図を表している。本実施の形態に係る非水電解質二次電池1は、図1で表された構成要素の他、さらに、絶縁袋7を備えている。
【0051】
絶縁袋7は、発電要素2を包容し電池ケース3内に収容され、発電要素2と電池ケース3とを電気的に絶縁する。
【0052】
本発明の非水電解質二次電池は、添加剤濃度を異ならせて電解液を段階的に注入すること、及び、当該注入工程により、結果的に電解液6の添加剤濃度が電池ケース3内部の領域間で異なることを特徴とするものである。以下、本特徴を説明するため、電池ケース3内の空間を、領域A、領域B及び領域Cに分割する。領域Aは、正極板及びセパレータで挟まれた領域と負極板及びセパレータで挟まれた領域であり、発電要素2の内部領域と定義する。領域Bは、発電要素2と絶縁袋7とで挟まれた領域であり、絶縁袋内部領域と定義する。領域Cは、絶縁袋7と電池ケース3とで挟まれた領域であり、絶縁袋外部領域と定義する。
【0053】
本実施の形態1に係る非水電解質二次電池1では、領域Bにおける電解液6の第1の添加剤濃度が、領域Aにおける電解液6の第1の添加剤濃度より低くなっており、さらに、領域Cにおける電解液6の第1の添加剤濃度が、領域Aにおける電解液6の第1の添加剤濃度より低くなっている。
【0054】
予備充電され電解液注入口31が封口された後では、領域B及び領域Cを中心に残存している第1の添加剤が、経時的に発電要素2を有する領域Aへ浸入して充放電動作によりガス発生することが懸念される。しかし、上記構成によれば、領域B及び領域Cにおける第1の添加剤濃度は、既に予備充電により封口前にガス発生した領域Aにおける第1の添加剤濃度よりも低いので、領域B及び領域Cを中心に残存している第1の添加剤による封口後のガス発生は低減され、その結果電池膨れが抑制される。
【0055】
なお、各領域間における電解液6の第2の添加剤濃度の高低関係は限定されない。
【0056】
次に、本発明の非水電解質二次電池1の製造方法について説明する。
【0057】
図3は、本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の製造方法の一例を説明する動作フローチャートである。同図に示された動作フローチャートは、非水電解質二次電池1の製造工程のうち、電解液6を注入する工程から電解液注入口31を封口する工程までを説明するものである。以下では、電解液6を注入する工程より前の工程、及び、電解液注入口31を封口する工程より後の工程は、特に従来用いられてきた工程と異なるところはなく通常用いられている工程と同様なので、その説明を省略する。
【0058】
まず、電解液注入口31から、発電要素2に向けて第1の添加剤の濃度がEである電解液を注入する(S01)。
【0059】
次に、ステップS01で注入した、第1の添加剤濃度がEである電解液を、発電要素2へ浸透させるため、1時間以上放置する(S02)。以下、本ステップにおける放置時間について説明する。
【0060】
図4は、電解液注入後における電池抵抗の時間依存性を表すグラフである。同図に表されたグラフにおいて、横軸は電解液注入後からの経過時間を表し、縦軸は後述するステップS03にて実行される予備充電の直前の交流電池抵抗値(ACR)を基準とした相対的な交流電池抵抗値を表す。ステップS01での電解液注入以降、注入された電解液は毛細管現象により発電要素2の正極板−セパレータ間及び負極板−セパレータ間へ徐々に浸入していく。この発電要素2内部への電解液の浸入が進行するにつれ、正極板−負極板での導電性が上昇し、図4のグラフにおける交流電池抵抗値は指数関数的に減少していく。やがて、相対的な交流電池抵抗値が一定値(100%)となったとき、電解液は発電要素2の内部に完全に浸透したと判断できる。つまり、ステップS02では、相対的な交流電池抵抗値が一定値に収束するまでの間、放置する。図4のグラフより、適切な放置時間は、1時間以上と判断される。本ステップにより、第1の添加剤濃度がEである電解液が、領域Aに配置された発電要素2へ浸透する。
【0061】
上述したステップS01及びステップS02は、第1の添加剤であるLiFOPを含む電解液6を、電解液注入口31から、発電要素2の正極板と負極板と間である内部領域に注入する内部注入工程に相当する。
【0062】
再び、図3の動作フローチャートに戻って、非水電解質二次電池1の製造工程を説明する。
【0063】
次に、非水電解質二次電池1を予備充電する(S03)。このとき、発電要素2内に浸透した電解液に含まれる第1の添加剤により、電極に皮膜が形成される。一方、皮膜形成に使われない第1の添加剤は、皮膜形成以外の分解反応によりガスを発生させる。しかし、発生したガスは、未だ封口されていない電解液注入口31を経由して電池外部へ排出される。
【0064】
上述したステップS03は、ステップS02の後であって、後述するステップS05の前に、予備充電する充電工程に相当する。
【0065】
次に、電解液注入口31から、絶縁袋7の内部及び外部に向けて第1の添加剤の濃度がEである電解液を注入する(S04)。本ステップにおいては、ステップS01で注入された電解液により発電要素2の内部には既に電解液が浸透しているので、本ステップにより注入される電解液は、発電要素2の内部へは浸透せず、領域B及び領域Cへ充填される。なお、本ステップで注入される電解液の第1の添加剤濃度Eは、ステップS01で注入した電解液の第1の添加剤濃度Eよりも低い。
【0066】
上述したステップS04は、絶縁袋内部領域及び絶縁袋外部領域に、ステップS01で注入された非水電解液の第1の添加剤濃度よりも低い第1の添加剤濃度を有する非水電解液を注入する外部注入工程に相当する。
【0067】
最後に、電解液注入口31を封口する(S05)。
【0068】
上述したステップS05は、ステップS01〜ステップS04の後、電解液注入口31を封口する封口工程に相当する。
【0069】
従来の非水電解質二次電池においても、発電要素内に存在する添加剤は、電解液注入口を封口する前に実施される初期充電により還元分解され、その際に発生するガスを電池ケース外へ放出できる。一方、発電要素外に存在する添加剤は、封口後に、経時的に発電要素内に浸入し、充電動作により還元分解されガス発生をもたらす。この封口後に発生したガスは、電池ケース外へ放出されないため、電池膨れを起こしてしまう。このため、安全性確保及びリチウムイオン伝導の円滑化などの目的に応じて最適な添加剤を適用することが制約されるという問題が生じる。
【0070】
これに対し、上述した本実施の形態に係る非水電解質二次電池1の製造工程により、ステップS05で電解液注入口31が封口された後では、領域B及び領域Cを中心に残存している第1の添加剤が、経時的に発電要素2を有する領域Aへ浸入して充放電動作によりガス発生することが想定される。しかしながら、上記製造工程によれば、領域B及び領域Cにおける第1の添加剤濃度Eは、既に予備充電により封口前にガス発生した領域Aにおける第1の添加剤濃度Eよりも低いので、封口後のガス発生は低減され、その結果電池膨れが大幅に抑制される。
【0071】
また、封口前の予備充電時に発電要素2の内部領域に存在する第1の添加剤の濃度を高濃度に設定しておくことにより、電池性能である初期特性や耐久性に影響を及ぼすことはない。また、ステップS02において領域Aに完全に浸透するまでの放置時間を確保していること、及び、領域B及び領域Cの添加剤濃度Eが領域Aの添加剤濃度Eよりも低いこと、から、ステップS04において領域Bに注入された電解液に含まれる第1の添加剤が、封口後に毛細管現象により領域Aに浸入して不均一な皮膜を形成することが抑制される。
【0072】
なお、上記ステップS01及びステップS04の電解液注入工程のそれぞれにおいて、第1の添加剤に加え第2の添加剤を含む電解液を注入してもよい。この場合、第2の添加剤は、ステップS01及びステップS04のいずれの工程で注入されてもよく、また、各領域間での第2の添加剤濃度の高低関係は限定されない。
【0073】
なお、ステップS03の予備充電は、1回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよく、ステップS04の後に実行されてもよいし、また、ステップS02及びステップS04の各工程の後ごとに実行されてもよい。つまり、ステップS03の予備充電は、ステップS05の封口工程の前であってステップS02の後の期間内に、予め定められた条件にて実行されればよい。
【0074】
また、ステップS04で領域B及び領域Cに注入される電解液6の第1の添加剤濃度Eは、ステップS01で領域Aに注入される電解液6の第1の添加剤濃度Eの60%以下が好ましく、さらに好ましくは0%である。つまり、ステップS04で領域B及び領域Cに注入される電解液には、第1の添加剤が含まれていないことが最適である。領域B及び領域Cには、発電要素2の内部から外部へ電解液が漏出することを防止するため、少なくとも電解液が充填されていることが必要であり、添加剤を含ませることは不要である。これにより、電池ケース3の内部へ添加される総添加剤量を軽減させることができ、コスト削減を達成できる。
【0075】
また、発電要素2の負極板表面に配置される負極活物質は、黒鉛化炭素を主成分とすることが好ましい。また、上記負極活物質は、難黒鉛化炭素または易黒鉛化炭素を主成分とすることが、さらに好ましい。以下、本発明の非水電解質二次電池1に黒鉛化炭素を主成分とする負極活物質を用いる効果について説明する。
【0076】
負極活物質として炭素材料を使用すると、サイクル寿命が長くかつ安全性が高い電池が得られるという利点がある。炭素材料のうち、黒鉛(グラファイト)を負極活物質として用いた場合、放電容量は大きいが、出力耐久性が劣る。一方、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)を負極活物質として用いた場合、放電容量はやや劣るが高出力である。易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)を負極活物質として用いた場合の電池性能は、上記グラファイトまたは難黒鉛化炭素を負極活物質として用いた場合の性能の中間に位置する。よって、高入出力性が要求されるハイブリッド自動車においては、高出力性を有する難黒鉛化炭素(ハードカーボン)や易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)を負極活物質として用いることが好適である。
【0077】
図5は、上述した3種類の材料をそれぞれ負極活物質の主成分とした場合の、各負極の充電曲線を表すグラフである。同図のグラフにおいて、横軸は充電電気量(mAh/g)であり、縦軸は負極電位(V vs.Li/Li)である。充電電気量の増加につれ、負極電位が減少しているが、当該負極電位の減少度合いは、第1の添加剤としてLiFOPを用いた場合のLiFOPの還元分解の進行度を表している。つまり、電解液6の第1の添加剤としてLiFOPを用いた場合、LiFOPの還元分解電位は1.7Vであるが、実際には過電圧の影響などにより、予備充電時のLiFOPの還元分解のしやすさは、グラファイト>黒鉛化炭素となっている。これにより、同一量のLiFOPを第1の添加剤として用いた場合には、封口後の初期充放電後における電池膨れの度合いは、黒鉛化炭素>グラファイトとなる。これは、グラファイトと比較して黒鉛化炭素を負極活物質とした場合、放電容量の増加に対して負極電位の減少度合いが小さく、封口前の予備充電時にLiFOPが完全に還元分解されていないことによるものである。
【0078】
これに対し、LiFOPの還元分解速度が遅い黒鉛化炭素を負極活物質とした場合には、特に、本発明の非水電解質二次電池1の製造工程が好適となる。本製造工程を適用することにより、封口前にLiFOPの添加濃度の高い電解液を発電要素2に浸透させ、封口前に還元分解反応するLiFOPの量を増加させることができる。これにより、第1の添加剤の還元分解によって発生し得るガスのうちできる限り多くのガスを封口前に発生させて電池ケース3の外部へ排出させることが可能となる。また、領域B及び領域Cにおける第1の添加剤濃度Eは、既に予備充電により封口前にガス発生した領域Aにおける第1の添加剤濃度Eよりも低いので、封口後のガス発生は低減され、その結果電池膨れが大幅に抑制される。
【0079】
なお、本実施の形態では、電解液6が第1の添加剤及び第2の添加剤を含む場合を例示したが、本発明はこれに限られない。電解液6が、添加剤として第1の添加剤のみを含む構成であっても、本発明の非水電解質二次電池及びその製造方法に含まれ、同様の効果が奏される。
【0080】
また、上記ステップS04における領域B及び領域Cへの電解液注入工程は、絶縁袋7の内部領域である領域Bに、第1の添加剤濃度Eよりも低い第1の添加剤濃度Eを有する非水電解液を注入する絶縁袋内部注入工程と、絶縁袋7の外部領域である領域Cに、第1の添加剤濃度Eよりも低い第1の添加剤濃度Eを有する非水電解液を注入する絶縁袋外部注入工程とを含んでもよい。
【0081】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る非水電解質二次電池及びその製造方法について説明する。
【0082】
図6は、本発明の実施の形態2に係る非水電解質二次電池10の構造断面図である。本実施の形態に係る非水電解質二次電池10は、実施の形態1に係る非水電解質二次電池1と比較して、発電要素2と電池ケース3との間の絶縁袋7が設けられていない点のみが、電池の構成として異なる。以下、実施の形態1に係る非水電解質二次電池1と同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0083】
本発明の非水電解質二次電池は、添加剤濃度を異ならせて電解液を段階的に注入すること、及び、当該注入工程により、結果的に電解液6の添加剤濃度が電池ケース3内の領域ごとに異なることを特徴とするものである。以下、本特徴を説明するため、電池ケース3内の空間を、発電要素2の内部である領域A及び発電要素2の外部である領域Cに分割する。ここで、領域Aは、正極板及びセパレータで挟まれた領域と負極板及びセパレータで挟まれた領域であり、発電要素2の内部領域と定義する。領域Cは、発電要素2と電池ケース3とで挟まれた領域であり、発電要素2の外部領域と定義する。
【0084】
本実施の形態2に係る非水電解質二次電池10では、領域Aにおける電解液6の第1の添加剤濃度が、領域Cにおける電解液6の第1の添加剤濃度よりも高くなっている。
【0085】
予備充電され電解液注入口31が封口された後では、領域Cを中心に残存している第1の添加剤が、経時的に発電要素2を有する領域Aへ浸入して充放電動作によりガス発生することが懸念される。しかしながら、上記構成によれば、領域Cにおける第1の添加剤濃度は、既に予備充電により封口前にガス発生した領域Aにおける第1の添加剤濃度よりも低いので、封口後のガス発生は低減され、その結果電池膨れが抑制される。
【0086】
なお、実施の形態1と同様に、電解液6には、電極での皮膜形成時にガスを発生しない第2の添加剤が含まれていてもよいが、領域間における電解液6の第2の添加剤濃度の高低関係は限定されない。
【0087】
次に、本発明の非水電解質二次電池10の製造方法について説明する。
【0088】
図7は、本発明の実施の形態2に係る非水電解質二次電池10の製造方法の一例を説明する動作フローチャートである。同図に示された動作フローチャートは、非水電解質二次電池10の製造工程のうち、電解液6を注入する工程から電解液注入口31を封口する工程までを説明するものである。以下では、電解液6を注入する工程より前の工程、及び、電解液注入口31を封口する工程より後の工程は、特に従来用いられてきた工程と異なるところはなく通常用いられている工程と同様なので、その説明を省略する。
【0089】
まず、電解液注入口31から、第1の添加剤の濃度がEである電解液を注入する(S11)。
【0090】
次に、ステップS11で注入した、第1の添加剤濃度がEである電解液を、発電要素2へ浸透させるため、1時間以上放置する(S12)。本ステップは、実施の形態1に係る非水電解質二次電池1の製造方法におけるステップS02に相当し、毛細管現象により発電要素2内部へ電解液を浸透させるというステップS02と同様の目的を有する。
【0091】
上述したステップS11及びステップS12は、第1の添加剤であるLiFOPを含む電解液6を、電解液注入口31から、発電要素2の正極板と負極板と間である内部領域に注入する内部注入工程に相当する。
【0092】
次に、非水電解質二次電池10を予備充電する(S13)。このとき、発電要素2内に浸透した電解液に含まれる第1の添加剤により、電極に皮膜が形成される。一方、皮膜形成に使われない第1の添加剤は、皮膜形成以外の分解反応によりガスを発生させる。しかし、発生したガスは、未だ封口されていない電解液注入口31を経由して電池外部へ排出される。
【0093】
上述したステップS13は、ステップS12の後であって、後述するステップS15の前に、予備充電する充電工程に相当する。
【0094】
次に、電解液注入口31から、第1の添加剤の濃度がEである電解液を注入する(S14)。本ステップにおいては、ステップS11で注入された電解液により発電要素2の内部には既に電解液が浸透しているので、本ステップにより注入される電解液は、発電要素2の内部へは浸透せず、領域Cへ充填される。なお、本ステップで注入される電解液の第1の添加剤濃度Eは、ステップS11で注入した電解液の第1の添加剤濃度Eより低い。
【0095】
上述したステップS14は、ステップS12にて注入された電解液よりも第1の添加剤の濃度が低い電解液を、電解液注入口31から、発電要素2と電池ケース3との間である発電要素2の外部領域に注入する外部注入工程に相当する。
【0096】
最後に、電解液注入口31を封口する(S15)。
【0097】
上述したステップS15は、ステップS11〜ステップS14の後、電解液注入口31を封口する封口工程に相当する。
【0098】
本実施の形態に係る非水電解質二次電池10の製造工程により、ステップS15で電解液注入口31が封口された後では、領域Cを中心に残存している第1の添加剤が、経時的に発電要素2を有する領域Aへ浸入して充放電動作によりガス発生することが想定される。しかしながら、上記製造工程によれば、領域Cにおける第1の添加剤濃度Eは、既に予備充電により封口前にガス発生した領域Aにおける第1の添加剤濃度Eよりも低いので、封口後のガス発生は低減され、その結果電池膨れが大幅に抑制される。
【0099】
なお、上記ステップS11及びステップS14の電解液注入工程のそれぞれにおいて、第1の添加剤に加え第2の添加剤を含む電解液を注入してもよい。この場合、各領域間での第2の添加剤濃度の高低関係は限定されない。
【0100】
なお、ステップS13の予備充電は、ステップS14の後に実行されてもよいし、また、ステップS12及びステップS14の各工程の後ごとに実行されてもよい。つまり、ステップS13の予備充電は、ステップS15の封口工程の前であってステップS12の後の期間内に、予め定められた条件にて実行されればよい。
【0101】
また、ステップS14で領域Cに注入される電解液6の第1の添加剤濃度Eは、ステップS01で領域Aに注入される電解液6の第1の添加剤濃度Eの60%以下が好ましく、さらに好ましくは0%である。
【実施例】
【0102】
以下、本発明の非水電解質二次電池及びその製造方法についての実施例について説明する。なお、以下の実施例1〜12は、いずれも、上述した実施の形態1に係る非水電解質二次電池1及びその製造方法に関するものである。以下、説明する実施例1〜12及び比較例1〜4では、正極活物質としては、いずれの実施例及び比較例においてもLiNi1/3Co1/3Mn1/3を使用し、これらを、厚み20μmのアルミ箔上に塗布した。負極活物質としては、難黒鉛化炭素(実施例1〜7、比較例1及び4)、易黒鉛化炭素(実施例8〜11及び比較例2)、及び黒鉛(実施例12及び比較例3)を使用した。これらを、厚み10μmの銅箔上に塗布したものを用いた。上記の正極および負極を、厚さ20μmのポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質シートを介して積層した電極体をケース内に収納し、実施例1〜12、及び、比較例1〜4に示す方法で注液を行い、その後、0.2CAの電流で1時間充電を行い、注液口を封止することにより、4Ah級の角形電池を作製した。なお、非水電解液にはいずれもLiPFを1mol/l、及び、溶媒としてエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを、30:35:35(体積%)の割合で混合したものを用いて、リチウムジフルオロオキサレートホスフェート(LiFOP)またはビニレンカーボネート(VC)を所定の濃度となるように溶解したものを用いた。表1では、以下に説明する実施例1〜12及び比較例1〜4の添加剤濃度条件、容量保持率ならびに初期電池膨れのデータを比較している。
【0103】
(電池膨れの測定)
1CAの定電流にて4.2Vまで充電し、その後4.2Vにて総充電時間が3時間となるように定電圧充電した後、1CAの定電流にて2.4Vまで放電した。このときの放電容量をサイクル前の放電容量とした。また、充放電前後の電池中央部の厚みを測定し、電池膨れを算出した。なお、1CAとは、満充電時の電池を1時間で放電するときの電流値である。
【0104】
(サイクル後の容量保持率)
55℃の恒温槽中で、2CAの定電流にてSOC80%に相当する電圧まで充電した後、2CAの定電流にてSOC20%に相当する電圧まで放電するサイクル試験を5000サイクル行った。その後、室温にて1CAの定電流にて4.2Vまで充電し、その後4.2Vにて総充電時間が3時間となるように定電圧充電した後、1CAの定電流にて2.4Vまで放電した。このときの放電容量をサイクル後の放電容量とした。サイクル後の放電容量をサイクル前の放電容量で除することによって、サイクル後の容量保持率を算出した。
【0105】
電池膨れ及びサイクル後の容量保持率を表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
(実施例1)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度E(=E)が0wt%、PRSの添加剤濃度P(=P)が0wt%である電解液を領域B及び領域Cに注入した。つまり、E>E=E、P>P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0108】
(実施例2)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度E(=E)が0wt%、PRSの添加剤濃度P(=P)が0.5wt%である電解液を領域B及び領域Cに注入した。つまり、E>E=E、P=P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0109】
(実施例3)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度E(=E)が0wt%、PRSの添加剤濃度P(=P)が0.3wt%である電解液を領域B及び領域Cに注入した。つまり、E>E=E、P>P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0110】
(実施例4)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度Eが0wt%、PRSの添加剤濃度Pが1wt%である電解液を領域Bに注入した。つまり、E>E=E、P<P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0111】
(実施例5)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度Eが0.8wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Bに注入した。つまり、E>E=E、P=P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0112】
(実施例6)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度Eが0.6wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Bに注入した。つまり、E>E=E、P=P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0113】
(実施例7)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度Eが0.3wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Bに注入した。つまり、E>E=E、P=P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0114】
(実施例8)
負極活物質として易黒鉛化炭素を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件である。
【0115】
(実施例9)
負極活物質として易黒鉛化炭素を用いたこと以外は、実施例5と同じ条件である。
【0116】
(実施例10)
負極活物質として易黒鉛化炭素を用いたこと以外は、実施例6と同じ条件である。
【0117】
(実施例11)
負極活物質として易黒鉛化炭素を用いたこと以外は、実施例7と同じ条件である。
【0118】
(実施例12)
負極活物質として黒鉛を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件である。
【0119】
(比較例1)
ステップS01において、LiFOPの添加剤濃度Eが1wt%、PRSの添加剤濃度Pが0.5wt%である電解液を領域Aに注入した。また、ステップS04において、LiFOPの添加剤濃度E(=E)が1wt%、PRSの添加剤濃度P(=P)が0.5wt%である電解液を領域B及び領域Cに注入した。つまり、E=E=E、P=P=Pである。その他の実施条件は、実施の形態1で述べた条件と同様である。
【0120】
(比較例2)
負極活物質として易黒鉛化炭素を用いたこと以外は、比較例1と同じ条件である。
【0121】
(比較例3)
負極活物質として黒鉛を用いたこと以外は、比較例1と同じ条件である。
【0122】
(比較例4)
LiFOPの代わりにビニレンカーボネート(VC)を添加剤として用いたこと以外は、比較例1と同じ条件である。
【0123】
(実施結果の比較)
実施例1〜11及び比較例1〜2では、いずれも添加剤濃度Eが1wt%であることから、LiFOPが発電要素2内部に十分浸透しているものと推察される。よって、容量保持率への寄与度の高いLiFOPにより、充放電サイクルに対する容量保持率は、いずれの実施例及び比較例においても高レベルが確保されており、高出力化に有利である。一方、比較例3及び実施例12では、LiFOPが発電要素2内部に十分浸透しているものの、負極活物質として黒鉛を用いたことにより、容量保持率が劣っている。
【0124】
一方、初期電池膨れについては、領域Aと領域B及びCとの間で第1の添加剤の濃度勾配を持たせている実施例1〜12においては、封口後の初期電池膨れが抑制されている。これに対し、各領域間で第1の添加剤の濃度勾配を持たせていない比較例1〜3においては、封口後の初期電池膨れが抑制されていない。この比較結果により、本発明の実施の形態1に係る非水電解質二次電池及びその製造方法を適用することにより、初期電池膨れ抑制効果が奏されることが解る。
【0125】
さらに、実施例2、5、6及び7を比較すると、領域Aと領域B及びCとの間における第1の添加剤の濃度勾配が大きいほど、初期電池膨れ抑制効果が大きくなり、容量保持率も向上する。これにより、発電要素2内に注入する電解液の添加剤濃度と、発電要素2外に注入する電解液の添加剤濃度とは、できるだけ濃度差をつけた方が初期電池膨れ抑制効果が大きいことが解る。
【0126】
また、負極活物質として難黒鉛化炭素を用いた実施例1、5、6及び7と、負極活物質として易黒鉛化炭素を用いた実施例8、9、10及び11とをそれぞれ比較することにより、負極活物質として難黒鉛化炭素を用いた方が、初期電池膨れ抑制及び容量保持率向上の観点から有利であることが解る。
【0127】
なお、実施例1〜4を比較すると、電極での皮膜形成時にガスを発生しないPRSの濃度の高低関係により、初期電池膨れ及び容量保持率は影響されない。
【0128】
以上、本発明の実施の形態に係る非水電解質二次電池及びその製造方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されるものではない。
【0129】
つまり、今回開示された実施の形態及び実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、長寿命及び安全性が要求されるリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池等に適用できる。
【符号の説明】
【0131】
1、10 非水電解質二次電池
2 発電要素
3 電池ケース
4 正極端子
5 負極端子
6 電解液
7 絶縁袋
31 電解液注入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオンを吸蔵及び放出する物質を含む正極と負極とがセパレータを介して捲回された電極群を備え、当該セパレータには溶媒と電解質塩とを含む非水電解液が含浸されている非水電解質二次電池の製造方法であって、
第1の添加剤であるリチウムジフルオロオキサレートホスフェート(LiFOP)を含む前記非水電解液を、前記電極群の前記正極と前記負極との間である内部領域に注入する内部注入工程と、
前記内部注入工程の後、前記内部注入工程にて注入された前記非水電解液よりも前記第1の添加剤の濃度が低い非水電解液を、前記電極群と電池ケースとの間である前記電極群の外部領域に注入する外部注入工程と、
前記内部注入工程及び前記外部注入工程の後、前記電池ケースに設けられた電解液注入口を封口する封口工程と、
前記内部注入工程の後であって前記封口工程の前に、予備充電する充電工程とを含む
非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記内部注入工程では、前記第1の添加剤を含む非水電解液を、前記電池ケース内に注入し、その後交流電池抵抗値が収束するまで放置する
請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記内部注入工程では、前記第1の添加剤を含む非水電解液を、前記電池ケース内に注入した後、1時間以上放置する
請求項1または2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記負極の負極活物質は、難黒鉛化炭素又は易黒鉛化炭素を主成分とし、
前記充電工程では、前記第1の添加剤が還元分解されてガスを発生する
請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記外部注入工程で注入される非水電解液の前記第1の添加剤の濃度は、前記内部注入工程で注入される非水電解液の前記第1の添加剤の濃度の60%以下である
請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項6】
リチウムイオンを吸蔵及び放出する物質を含む正極と負極とがセパレータを介して捲回された電極群を備え、当該セパレータには溶媒と電解質塩とを含む非水電解液が含浸されている非水電解質二次電池であって、
前記正極及び前記セパレータで挟まれた領域と前記負極及び前記セパレータで挟まれた領域とを含む前記電極群の内部領域ならびに前記電極群と電池ケースとの間である前記電極群の外部領域には、第1の添加剤であるリチウムジフルオロオキサレートホスフェート(LiFOP)を含む前記非水電解液が充填されており、
前記電極群の内部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤濃度は、前記電極群の外部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤濃度より高い
非水電解質二次電池。
【請求項7】
前記負極の負極活物質は、黒鉛化炭素を主成分とする
請求項6に記載の非水電解質二次電池。
【請求項8】
前記黒鉛化炭素は、難黒鉛化炭素または易黒鉛化炭素である
請求項7に記載の非水電解質二次電池。
【請求項9】
前記電極群の外部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤の濃度は、前記電極群の内部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤の濃度の60%以下である
請求項6に記載の非水電解質二次電池。
【請求項10】
前記電極群の外部領域は、前記電極群を包容し電池ケース内に収容された絶縁袋により分割された絶縁袋内部領域と絶縁袋外部領域とを含み、
前記絶縁袋内部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤濃度は、前記電極群の内部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤濃度よりも低く、
前記絶縁袋外部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤濃度は、前記電極群の内部領域における前記非水電解液の前記第1の添加剤濃度よりも低い
請求項6に記載の非水電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−20735(P2013−20735A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151281(P2011−151281)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】