説明

面型アンテナ装置

【課題】移動体の外表面に配置された場合に上記外表面に生じる空気抵抗を減少出来て自身の冷却効果も向上出来、しかも構造が簡素で自身の重量を軽減できる面型アンテナ装置を提供することである。
【解決手段】この面型アンテナ装置20は、一面側に複数のアンテナ素子24が配置され他面側に複数のアンテナ素子動作制御用モジュール26が配置された配線基板22と、上記一面側に配置され複数のアンテナ素子収容孔32を有している外装体30と、を備えている。上記一面からの外装体の高さは上記一面からの夫々の上記アンテナ素子の突出高さよりも小さく、上記面型アンテナ装置は夫々のアンテナ素子収容孔に収容されたアンテナ素子において対応する上記収容孔から外部に突出した部分を覆う覆い33を備える。この覆いは、上記外表面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、面型アンテナ装置に関係している。
【背景技術】
【0002】
面型アンテナ装置は、一般には面型フェーズドアレイアンテナ装置として知られている。
【0003】
面型フェーズドアレイアンテナ装置にはアクティブ型とパッシブ型とがあり、アクティブ型の面型フェーズドアレイアンテナ装置(以下、面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置という)はその高性能の故に近年需要が高まっている。
【0004】
しかしながら、高性能な面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置は動作に伴い大量の熱を発生させるので、例えば特開2004−39857号公報(特許文献1)中に開示されている如く、そのための冷却構造を必要としている。従って、面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置は構成が複雑でその高さ方向の寸法が大きく、移動体に搭載するには移動体の外表面を含む構造の大掛かりな改修が必要である。
【特許文献1】特開2004−39857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動体が高速で移動する例えば航空機の場合には、その外表面に沿い流れる空気を冷却媒体として使用することにより冷却構造を簡素にすることが可能になり、面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置の高さ方向の寸法を小さくすることができる。
【0006】
しかしながら現状では、高速移動する移動体の外表面を含む構造の大掛かりな改修をすることなく、移動体の外表面に面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置を配置した場合には、上記外表面からの面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置の突出高さが大きく、移動体の外表面に流体抵抗を生じさせる。
【0007】
この発明は上記事情の下でなされ、この発明の目的は、移動体の外表面に面型アンテナ装置を配置した場合でも、移動体の外表面に生じる流体抵抗を減少させることが出来、ひいては面型アンテナ装置の冷却効果も向上させることが出来、しかも構造が簡素で面型アンテナ装置の重量を軽減できる面型アンテナ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述したこの発明の目的を達成する為に、この発明に従った面型アンテナ装置は:一面と上記一面とは反対を向いた他面とを有した配線基板と;配線基板の上記一面側に所定の配列で配置された複数のアンテナ素子と;配線基板の上記他面側に配置され、上記複数のアンテナ素子と接続され、上記複数のアンテナ素子の動作を制御する複数のアンテナ素子動作モジュールと;配線基板の上記一面側に配置され、配線基板の上記一面側に上記所定の配列で配置された上記複数のアンテナ素子を収容する複数のアンテナ素子収容孔を有しており、配線基板の上記一面からの高さが配線基板の上記一面からの上記複数のアンテナ素子の突出高さよりも小さい外装体と;外装体の複数のアンテナ素子収容孔に収容された複数のアンテナ素子の夫々において対応するアンテナ素子収容孔から外部に突出した部分を覆い、前記外装体の外表面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させる覆いと;を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
上述した如く構成されたことを特徴とするこの発明に従った面型アンテナ装置によれば、一面側に複数のアンテナ素子が配列され他面側に複数のアンテナ素子動作モジュールが配列されている配線基板の一面側に配置される外装体が、配線基板の上記一面側の上記複数のアンテナ素子を収容する複数のアンテナ素子収容孔を有していて、しかも配線基板の上記一面からの高さが配線基板の上記一面からの上記複数のアンテナ素子の突出高さよりも小さい。
【0010】
従って、面型アンテナ装置において大きな面積を占める外装体の厚さを薄くして面型アンテナ装置の重量を軽減できる。
【0011】
さらに、外装体の複数のアンテナ素子収容孔に収容された複数のアンテナ素子の夫々において対応するアンテナ素子収容孔から外部に突出した部分を覆いにより覆い、覆いが前記外装体の外表面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させるので、移動体の外表面に面型アンテナ装置を配置した場合でも、移動体の外表面に生じる流体抵抗を減少させることが出来、ひいては面型アンテナ装置の冷却効果も向上させることが出来、さらには、面型アンテナ装置の構造を複雑にしない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
最初に、図1及び図2を参照しながらこの発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置20について説明する。
【0013】
図1には面型アンテナ装置20の縦断面が概略的に示されており、図2には図1の面型アンテナ装置20が移動体40の表面の所望の部分40aに配置され着脱可能に固定される直前の状態を概略的に示している。
【0014】
この実施の形態において面型アンテナ装置20はアクティブ型の面型フェーズドアレイアンテナ装置(以下、面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置)として構成されている。
【0015】
面型アンテナ装置20は、可撓性を有した非導電性材料、例えば合成樹脂製、の平坦な配線基板22を含んでいる。図2において配線基板22は撓んだ状態に示されているが、何の外力も付加されていない間には撓んでいない。配線基板22は所望の形状を有しており、この実施の形態では所定の外形寸法を有している長方形状をしている。
【0016】
配線基板22の一面側(この実施の形態では一面上)には所定の複数の平面型アンテナ素子24が所定の配列で配置されている。夫々の平面型アンテナ素子24は、広帯域の所定の周波数に対応する為に複数のパッチ素子部が積層された構成となっていて、その為に所定の高さを有している。このような構成の平面型アンテナ素子24は公知である。
【0017】
配線基板22において上記一面とは反対側を向いている他面側には、配線基板22を介して複数の平面型アンテナ素子24と接続されて複数の平面型アンテナ素子24に所定の動作を行なわせるよう複数の平面型アンテナ素子24の動作を制御するアンテナ素子動作モジュール26が所定の配列で並べられている。
【0018】
夫々のアンテナ素子動作モジュール26は、対応する平面型アンテナ素子24の為のマイクロ波送信器及びマイクロ波受信器とマイクロ波送信器のマイクロ波送信信号及びマイクロ波受信器のマイクロ波受信信号の位相を制御する位相器とを含んでおり、これらマイクロ波送信器,マイクロ波受信器,そして位相器は固体素子26aに集積されて薄く小型に構成され配線基板22の他面に配置されている。このような平面型アンテナ素子24及び固体素子26aは、動作に伴い比較的大量の熱を発生させる。
【0019】
配線基板22の他面においてアンテナ素子動作モジュール26の少なくとも一部である固体素子26aは、配線基板22の一面の複数の平面型アンテナ素子24に対応しない、即ち配線基板22を挟んで相互に重複しない、複数の位置に配置されている。
【0020】
この実施の形態においては、配線基板22の一面及び他面に対し複数の平面型アンテナ素子24及びアンテナ素子動作モジュール26の少なくとも一部である固体素子26aは、配線基板22に対し良好な熱伝達可能に接続(即ち、熱的に接続)されている。
【0021】
配線基板22の一面及び他面における複数の数の平面型アンテナ素子24及び複数の数のアンテナ素子動作モジュール26の少なくとも一部である固体素子26aの上述した如き相互に対応しない、即ち配線基板22を挟んで相互に重複しない、配列は、上記一面において複数の平面型アンテナ素子24の相互間に比較的大きな隙間を生じさせるとともに上記他面において複数の固体素子26aの相互間にも比較的大きな隙間を生じさせるので、配線基板22の撓みを容易にしている。さらに、夫々の平面型アンテナ素子24及び固体素子26aが動作した時に発生する熱が、配線基板22の他面から一面へと夫々の平面型アンテナ素子24及び固体素子26aに邪魔されることなく速やかに伝達される。
【0022】
この実施の形態のアンテナ素子動作モジュール26は、配線基板22の上記他面に沿い配置され配線基板22を介して平面型アンテナ素子24及び固体素子26aに電気的に接続されたもう1つの配線基板26bと、このもう1つの配線基板26bに配置され配線基板22の固体素子26aの為の電源回路及び制御回路として機能する電源/制御・回路ユニット26cとを、さらに含んでいる。もう1つの配線基板26bも可撓性を有している。
【0023】
配線基板22の他面の周辺領域の一部、この実施の形態では配線基板22の長手方向の両端部の少なくともいずれか一方、即ちいずれか一方又は両方、には、複数の数のアンテナ素子動作モジュール26、さらに必要であれば複数の数の平面型アンテナ素子24、に電気的に接続されている外部接続端子28(図2参照)が配置されている。
【0024】
配線基板22の一面側及び他面側に複数の平面型アンテナ素子24及び複数のアンテナ素子動作モジュール26が配列されている構造は、いわゆる面型フェイイズドアレイアンテナ装置の基本構造を提供している。そして、複数のアンテナ素子動作モジュール26の夫々が、対応する平面型アンテナ素子24の為のマイクロ波送信器及びマイクロ波受信器とマイクロ波送信器のマイクロ波送信信号及びマイクロ波受信器のマイクロ波受信信号の位相を制御する位相器とを含んでいることは、上記面型フェイイズドアレイアンテナ装置を面型アクティブフェーズドアレイアンテナ装置にしている。
【0025】
面型アンテナ装置20はさらに、配線基板22の一面側に外装体30を備えている。外装体30は配線基板22の一面側に前述した如く所定の配列で配置された複数の平面型アンテナ素子24を収容する複数のアンテナ素子収容孔32を有している。配線基板22の一面からの外装体30の高さは、配線基板22の一面からの複数の平面型アンテナ素子24の夫々の高さよりも小さい。このことは、外装体30を構成している材料の重量軽減をもたらす。
【0026】
外装体30は配線基板22の一面を外力から保護するとともに配線基板22や配線基板22の他面側の複数のアンテナ素子動作モジュール26に対する電波の影響を無くすよう構成されている。この実施の形態では、外装体30は、配線基板22よりも硬いが可撓性を有している良熱伝導性材料、例えば金属、により構成されていて、配線基板22と同じ外形状をしているが外形寸法は配線基板22の外形寸法よりも幾分大きい。
【0027】
外装体30は一面と上記一面とは反対を向いた他面とを含んでおり、外装体30の他面にはその全周に亘り余白を残して配線基板22の前記一面が重複される。外装体30の他面の前記領域に配線基板22の前記一面が重複された時、図1中に示されている如く、配線基板22の前記一面の複数の平面型アンテナ素子24が外装体30の複数のアンテナ素子収容孔32中に収容されるので、外装体30の他面の前記領域に配線基板22の前記一面が密着する。この結果として、外装体30と配線基板22との間の熱伝達効率が向上し、外装体30は配線基板22の一面に熱的に接続されていることになる。
【0028】
このことは、夫々の平面型アンテナ素子24やアンテナ素子動作モジュール26が動作した時に発生し配線基板22夫々の平面型アンテナ素子24やアンテナ素子動作モジュール26に邪魔されることなく配線基板22に速やかに拡散された熱が、さらに配線基板22の一面に上述した如く熱的に接続されている良熱伝導性材料の外装体30へと速やかに伝達されることを意味している。前述した如く高さが小さく薄い外装体30は、配線基板22から伝達された熱をその内部で速やかに拡散させることが出来る。
【0029】
夫々のアンテナ素子収容孔32の平面寸法はそこに収容される夫々の平面型アンテナ素子24の平面寸法よりも僅かに大きく、外装体30の他面の前記領域に対し配線基板22は、外装体30の他面の前記領域に対する配線基板22の前記一面の上述した密着及び上述した密着を維持したままでの外装体30と配線基板22の両方の同時の撓みを許容する公知の図示されていない固定手段により固定されている。
【0030】
このような固定手段は例えば、外装体30及び配線基板22のいずれか一方に固定されたボルト又はピンと、外装体30及び配線基板22のいずれか他方に形成され上記ボルト又はピンが挿通される上記ボルト又はピンの径よりも大きな開口と、外装体30及び配線基板22のいずれか他方に形成された上記開口を挿通した後の上記ボルトの先端部に固定される上記開口よりも大きな径のナット又は上記ボルトの先端部に固定されるヘッド部材又は上記ボルトの先端部に形成されるヘッド部材との組み合わせであることが出来る。
【0031】
このことにより、外装体30の他端の前記領域に配線基板22の前記一面が密着して重複された状態で外装体30と配線基板22とが一体に湾曲した時に、外装体30と配線基板22とに夫々の曲率半径の差異から生じる相互間の位置ずれを可能とし、上記位置ずれが可能でない場合に外装体30と配線基板22とに作用する応力の発生を防止することが出来る。
【0032】
或いは、上記固定手段は、外装体30の他面の前記領域に対する配線基板22の前記一面の上述した密着及び上述した密着を維持したままでの外装体30と配線基板22の両方の同時の撓みを許容することが出来るとともに、外装体30の他面の前記領域と配線基板22の前記一面との間の熱伝達効率を大きく低下させないことを条件として、接着剤であることも出来る。このような接着剤は、時間の経過とともに硬化せず軟性を維持することが出来る軟性接着剤であることが好ましい。
【0033】
また、配線基板22の他面側のアンテナ素子動作モジュール26のもう1つの配線基板26cも前述した如く可撓性を有しているので、もう1つの配線基板26cは外装体30及び配線基板22の前述した如き湾曲を阻止しない。
【0034】
これらの結果として、外装体30の他面の前記領域に配線基板22の前記一面が重複された状態で外装体30と配線基板22とが一体に湾曲することを可能にしている。
【0035】
外装体30の複数のアンテナ素子収容孔32に収容されている複数の平面型アンテナ素子24の夫々において対応するアンテナ素子収容孔32から外部に突出した部分は覆い33により覆われていて、覆い33は外装体30の外表面となる一面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させる外形状、例えば流線型、を提供している。この実施の形態において覆い33は複数のアンテナ素子収容孔32の夫々に充填された軟性接着剤又は軟性充填材であり、誘電体を含んでいる。
【0036】
詳細には、覆い33は外装体30の外表面となる一面を流れる流体に微小な渦を生じさせる。しかし、この微小な渦は、ゴルフボールの表面に形成されているディンプルといわれている微小な窪みがゴルフボールの表面を流れる流体、即ち空気、に微小な渦を発生させてゴルフボールの表面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させているのと同様に、外装体30の外表面となる一面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させている。
【0037】
外装体30の外表面から突出している覆い33の流体抵抗を減少させる機能は外装体30の前述した湾曲により損なわれることはない。
【0038】
面型アンテナ装置20は、図2及び図3中に示されている如く、移動体40の表面の所望の部分40a、この実施の形態では飛行機の翼の前縁、に支持枠50を使用して着脱可能に固定される。
【0039】
支持枠50は、可撓性を有する材料により形成されていることが出来る。この場合には、支持枠50が移動体40の表面の所望の部分40aに固定されることにより移動体40の表面の所望の部分40aが湾曲している場合でも支持枠50は移動体40の表面の所望の部分40aの湾曲に対応して湾曲することが出来る。
【0040】
支持枠50は、可撓性を有さない材料により形成されていることも出来る。この場合には、移動体40の表面の所望の部分40aが湾曲している場合、支持枠50は移動体40の表面の所望の部分40aの湾曲に対応して予め湾曲して形成される。
【0041】
移動体40の表面の所望の部分40aに対する支持枠50の固定は、例えば接着剤や固定ねじや固定ピンを含む種々の公知の固定手段を使用して行なうことが出来る。
【0042】
支持枠50は、面型アンテナ装置20の周縁部、この実施の形態では外装体30において配線基板22の前記一面が重複される領域を取り囲んでいる周辺余白領域、の全体を取り囲んでいる。面型アンテナ装置20の周縁部、この実施の形態では外装体30において配線基板22の前記一面が重複される領域を取り囲んでいる周辺余白領域、は、支持枠50の内周縁部に着脱可能に取り付けられる。この取り付けは、例えば接着剤や固定ねじや固定ピンの如き公知の着脱可能な固定手段を使用して行なうことが出来る。そしてこの実施の形態では、外装体30の周辺余白領域に複数の固定手段取り付け孔34が形成されていて、複数の固定手段取り付け孔34に挿通された例えば固定ねじや固定ピンの先端部が支持枠50の内周縁部に固定される。
【0043】
支持枠50に取り付けられる前は、面型アンテナ装置20は平坦である。そして、面型アンテナ装置20が移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aに対し固定されている湾曲した支持枠50に上述した如く取り付けられる場合、この取り付けの結果として面型アンテナ装置20の層状の構成要素(この実施の形態では、外装体30,配線基板22,そしてアンテナ素子動作モジュール26のもう1つの配線基板26c)が湾曲した支持枠50に対応するよう湾曲される。
【0044】
支持枠50の厚さは面型アンテナ装置20の厚さよりも僅かに大きく設定されている。従って、図3中に示されている如く、面型アンテナ装置20の周縁部、この実施の形態では外装体30において配線基板22の前記一面が重複される領域を取り囲んでいる周辺余白領域、が、支持枠50の内周縁部に着脱可能に取り付けられた時、支持枠50の外表面と面型アンテナ装置20の外装体30とは実質的に面一となる。
【0045】
支持枠50の外表面の外周縁部は、移動体40が移動する間に移動体40の表面の所望の部分40aに沿い流れる流体、即ち大気、に対し大きな摩擦抵抗を生じさせないよう滑らかないわゆる流線形状に形作られている。
【0046】
従って、移動体40が移動する間に移動体40の表面の所望の部分40aに沿い流れる流体は、外装体30の外表面においても図1中に矢印付の流線FLにより図示されている如く大きく流れを乱されることがなく、外装体30の外表面から効率よく熱を持ち去ることができる。
【0047】
また、外装体30の外表面からの複数の平面型アンテナ素子24の夫々の突出部分は前述した如く上記外表面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させる形状の覆い33により覆われている。このこともまた、外装体30の外表面に沿い流れる流体に上記外表面から効率よく熱を持ち去らせる。
【0048】
移動体40は、面型アンテナ装置20の動作を制御するアンテナ装置動作制御機器42を格納している。アンテナ装置動作制御機器42には、給電部や送信パルス発生器や受信機が含まれる。アンテナ装置動作制御機器42にはさらに、A/D変換器を含ませることも出来る。
【0049】
移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aにおいてこの所望の部分40aに固定された支持枠50の内周縁部に囲まれる領域の所定の位置には、アンテナ装置動作制御機器42の為の電気接続器44が配置されている。
【0050】
移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aに電気接続器44を配置する作業は、従来から存在している移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aやその周辺部分の大幅な改造が不要である。
【0051】
支持枠50の内周縁部に面型アンテナ装置20が取り付けられた時、移動体40の表面の湾曲した所望の部分40aに電気接続器44に、面型アンテナ装置20の配線基板22の他面の周辺領域の一部、この実施の形態では配線基板22の長手方向の両端部の少なくともいずれか一方、即ちいずれか一方又は両方、に配置されている前述した外部接続端子28が電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置の要部の概略的な縦断面図である。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置が移動体の外表面の所定の位置に配置される直前の状態を概略的に示す斜視図である。
【図3】図3は、この発明の一実施の形態に従った面型アンテナ装置が移動体の外表面の所定の位置に配置された後の状態を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
20…面型アンテナ装置、22…配線基板、24…平面型アンテナ素子、26…アンテナ素子動作モジュール、26a…固体素子、26b…もう1つの配線基板、26c…電源/制御・回路ユニット、28…外部接続端子、30…外装体、32…アンテナ素子収容孔、33…覆い、40…移動体、40a…所望の部分、50…支持枠、FL…流線、42…アンテナ装置動作制御機器、44…電気接続器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面と上記一面とは反対を向いた他面とを有した配線基板と;
配線基板の上記一面側に所定の配列で配置された複数のアンテナ素子と;
配線基板の上記他面側に配置され、上記複数のアンテナ素子と接続され、上記複数のアンテナ素子の動作を制御する複数のアンテナ素子動作モジュールと;
配線基板の上記一面側に配置され、配線基板の上記一面側に上記所定の配列で配置された上記複数のアンテナ素子を収容する複数のアンテナ素子収容孔を有しており、配線基板の上記一面からの高さが配線基板の上記一面からの上記複数のアンテナ素子の突出高さよりも小さい外装体と;
外装体の複数のアンテナ素子収容孔に収容された複数のアンテナ素子の夫々において対応するアンテナ素子収容孔から外部に突出した部分を覆い、前記外装体の外表面を流れる流体に対する流体抵抗を減少させる覆いと;
を備えていることを特徴とする面型アンテナ装置。
【請求項2】
前記覆いは、前記アンテナ素子収容孔に充填された誘電体材料を含む、ことを特徴としている請求項1に記載の面型アンテナ装置。
【請求項3】
前記外装体は良熱伝導性を有していて配線基板の前記一面に熱的に接続されており、前記複数のアンテナ素子は配線基板の前記一面に熱的に接続されており、また前記複数のアンテナ素子動作モジュールの少なくとも一部は配線基板の前記他面に熱的に接続されており、前記複数のアンテナ素子及び前記複数のアンテナ素子動作モジュールの少なくとも一部から発生され前記外装体に伝達された熱が前記外装体の外表面を流れる流体により拡散される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面型アンテナ素子。
【請求項4】
前記外装体は可撓性を有しており、前記配線基板も可撓性を有しており、前記複数のアンテナ素子は配線基板の前記一面に接続されており、そして前記複数のアンテナ素子動作モジュールの少なくとも一部は配線基板の前記他面において前記配線基板の前記一面の前記複数のアンテナ素子の相互の隙間に対応する複数の位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の面型アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−81197(P2010−81197A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245964(P2008−245964)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】