説明

面状発熱体

【課題】本発明は、面状発熱体11の発熱部を切り換えられるようして、面状発熱体11の立ち上がりを速くするとともに安定時の温度を使用者が切り替えられるようにして使用感を向上することを目的とする。
【解決手段】本発明の面状発熱体11は、1発熱部の通電を切り換えられるようにしてあるので、使用者の好みに応じて面状発熱体11の発熱温度を切り替えられ使用感が向上させることができ、例えば、面状発熱体11の発熱温度の立ち上がりを速くするように設定しても、使用者が暖かくすぎると感じた場合は、発熱部の通電を切り換えて発熱温度を低くすることができるようになり、使用者の好みに応じて切り替えられるようにして使用感を向上することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房、加熱、乾燥などの熱源として用いることのできる発熱体の電磁ノイズ防止策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の面状発熱体は、図5(a)、(b)に示したように、ポリエステルシートなどの電気絶縁性の基材50上に、導電性ペーストを印刷・乾燥して得られる一対の櫛形形状の枝電極51、52とこれにより給電される位置にPTC高分子抵抗体インクを印刷・乾燥して得られるPTC高分子抵抗体53を設けて、さらに基材50と同様の材質の被覆材54で櫛形形状の枝電極51、52及びPTC高分子抵抗体53を被覆して保護する構成としたものである。基材50及び被覆材54としてポリエステルフィルムを用いる場合には被覆材54に例えばポリエチレン系の熱融着性樹脂55をあらかじめ接着しておき、熱時加圧することにより、基材50と被覆材54とを熱融着性樹脂55を介して接合してなる。
【0003】
図5(a)は面状発熱体の平面図で、図5(b)は図5(a)のx−y線の断面図である。これにより、櫛形形状の枝電極51、52及びPTC高分子抵抗体53は外界から隔離され、長期信頼性を付与されるのである。前記した熱時加圧の手段としては、図6に被覆材54を貼り合わせる際の概略構成断面図を示したが、2本の加熱ロール56、57からなるラミネーター58が一般的である。
【0004】
櫛形形状の枝電極51、52及びPTC高分子抵抗体53が上面に形成された基材50を左方向より2本の加熱ロール56、57間に導入する。一方、被覆材54は熱融着性樹脂55面を下面にして、この場合は上部より加熱ロール56、57間に導入される。基材50と被覆材54の接着は加熱ロール56、57の熱及び加圧力で熱融着性樹脂55を融解してのちに冷却することで行われていた。
【0005】
このPTC高分子抵抗体53を形成するPTC高分子抵抗体インクとしては、ベースポリマーと、カーボンブラック、金属粉末、グラファイトなどの導電性物質を溶媒に分散してなり、特にベースポリマーとして結晶性樹脂を用いてPTC特性を持たせたものが多い(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0006】
PTC特性とは、温度上昇によって抵抗値が上昇し、ある温度に達すると抵抗値が急激に増加する抵抗温度特性(抵抗が正の温度係数を有する意味の英語Positive Temperature Coefficient の頭文字を取っている)を意味しており、PTC特性を有するPTC高分子抵抗体53は、自己温度調節機能を有する面状発熱体を提供できる。
【特許文献1】特開昭56−13689号公報
【特許文献2】特開平6−96843号公報
【特許文献3】特開平8−120182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記従来の構成では、自己温度調節機能を有する面状発熱体であるため、逆に面状発熱体の発熱温度を変えることが難しく、使用者が暖かくすぎると感じた場合は、発熱温度を切り替えられないために、面状発熱体の通電を停止するしかなく、停止すると今度は寒くなってしまうという心配があった。
【0008】
特に、発熱温度の立ち上がりの速い面状発熱体にしようとすると、安定時の発熱温度が高くなってしまい、使用者が暖かくすぎると感じてしまう心配があり、面状発熱体の発熱温度の立ち上がり速度と安定時の温度を両立させることが難しいという課題があった。つまり、温度上昇によって抵抗値が上昇するPTC特性は、通電する前の抵抗値と通電後の安定時の抵抗値の差つまり抵抗倍率が大きければ、立ち上がりの速い面状発熱体とすることができるが、一般にこの抵抗倍率は大きくすることが困難であり、面状発熱体の発熱温度の立ち上がりを速くすると安定時の発熱温度が高くなってしまい、安定時の発熱温度を低くすると立ち上がりが遅くなるという課題があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、面状発熱体の発熱部を切り換えられるようして、面状発熱体の立ち上がりを速くするとともに安定時の温度を使用者が切り替えられるようにして使用感を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の面状発熱体は、電気絶縁性基材と、電気絶縁性基材上に形成された電極及び電極により給電される自己温度制御性を有するPTC高分子抵抗体と、電極と端子部材及びPTC高分子抵抗体を覆い電気絶縁性基材と密着させて配設した被覆材とを備えた面状発熱体において、2本の同極となる第1主電極、第2主電極の間に異極となる第3主電極を配設し、第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として櫛形形状の枝電極を双方から設けるとともに、第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の櫛形形状の枝電極部にPTC高分子抵抗体を配設し、1−3間発熱部と2−3間発熱部を形成して、1−3間発熱部と2−3間発熱部の通電を切り換えられるように構成してある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の面状発熱体は、1−3間発熱部と2−3間発熱部を構成して、1−3間発熱部と2−3間発熱部の通電を切り換えられるようにしてあるので、使用者の好みに応じて面状発熱体の発熱温度を切り替えられ使用感が向上させることができ、例えば、使用者が暖かくすぎると感じた場合は、発熱部の通電を切り換えて発熱温度を低くすることができるようになる。そのため、面状発熱体の発熱温度の立ち上がりを速くするように設定しても、発熱部の通電を切り換えて安定時の発熱温度を低くすることができ、使用者の好みに応じて切り替えられるので、面状発熱体の立ち上がりを速くするとともに安定時の温度を使用者が切り替えられるようにして使用感を向上することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明の面状発熱体は、電気絶縁性基材と、電気絶縁性基材上に形成された電極及び電極により給電される自己温度制御性を有するPTC高分子抵抗体と、電極と端子部材及びPTC高分子抵抗体を覆い電気絶縁性基材と密着させて配設した被覆材とを備えた面状発熱体において、2本の同極となる第1主電極、第2主電極の間に異極となる第3主電極を配設し、第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として櫛形形状の枝電極を双方から設けるとともに、第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の櫛形形状の枝電極部にPTC高分子抵抗体を配設し1−3間発熱部と2−3間発熱部を形成して、1−3間発熱部と2−3間発熱部の通電を切り換えられるように構成してある。
【0013】
そして、2本の同極となる第1主電極、第2主電極の間に異極となる第3主電極を配設し、第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として櫛形形状の枝電極を双方から設けるとともに、第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の櫛形形状の枝電極部にPTC高分子抵抗体を配設し、1−3間発熱部と2−3間発熱部を構成してあるので、第1主電極と第2主電極の通電を切り替えることで、1−3間発熱部と2−3間発熱部の発熱を切り換えられるようになる。つまり、第1主電極と第2主電極の通電を切り替えることで、1−3間発熱部と2−3間発熱部の両方を発熱させるパターンと、1−3間発熱部のみを発熱させるパターンと、2−3間発熱部のみを発熱させるパターンの3通りの発熱パターンを選択できるようになり、使用者の好みに応じて切り替えられ、使用感を向上することができるようになる。例えば、使用者が暖かくすぎると感じた場合は、発熱部の通電を切り換えて発熱温度を低くすることができるようになり、そのため、面状発熱体の発熱温度の立ち上がりを速くするように設定しても、発熱部の通電を切り換えて安定時の発熱温度を低くすることができ、使用者の好みに応じて切り替えられるので、面状発熱体の立ち上がりを速くするとともに安定時の温度を使用者が切り替えられるようにして使用感を向上することができるようになる。
【0014】
第2の発明の面状発熱体は、特に第1の発明の第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として形成した1−3間発熱部と2−3間発熱部を交互に複数配設した構成してある。
【0015】
そして、1−3間発熱部と2−3間発熱部を交互に複数配設してあるので、第1主電極と第2主電極の通電を切り替えて、1−3間発熱部と2−3間発熱部の発熱を切り換えても、暖房面積を大きく変化させずに部分的に分断して変化させることができ、暖房範囲を極端に狭くして暖房感を急激に変化させて使用感を劣化させることを防止できるようになる。
【0016】
第3の発明は、特に第1の発明の第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として形成した櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを異なるように構成してある。
【0017】
そして、櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さくすると抵抗値が低くなり発熱温度が高くなり、櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを大きくすると抵抗値が高くなり発熱温度が低くくすることができるようになる。これを利用して第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として形成した櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを異なるように構成してあるので、1−3間発熱部と2−3間発熱部の発熱温度を変化させることができる。例えば、第1主電極と第3主電極間より第2主電極と第3主電極間の櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さくし、第1主電極と第2主電極の通電を切り替えて、立ち上がり時には1−3間発熱部と2−3間発熱部を同時に通電しさせ、安定時には1−3間発熱部のみを通電するようにすると、2−3間発熱部の温度が速く立ち上がり、使用者はその速い立ち上がり感を得られ、安定時は1−3間発熱部で低く使用者が長時間快適に使用できるようになる。
【0018】
第4の発明は、特に第1の発明の第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極間で形成される発熱部の面積を異なるように構成してある。
【0019】
そして、第1の発明の第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極間で形成される発熱部の面積を異なるように構成してあるので、1−3間発熱部と2−3間発熱部の発熱量を変化させることができ、第1主電極と第2主電極の通電を切り替えて、面状発熱体の発熱温度水準を変化させる段階を増すことができるようになる。例えば、面状発熱体の発熱温度水準は、1−3間発熱部と2−3間発熱部の両方を発熱させるパターンと、1−3間発熱部のみを発熱させるパターンと、2−3間発熱部のみを発熱させるパターンの3通りの発熱パターンを選択できるようになり、それぞれのパターンで面状発熱体全体の発熱量が異なり、使用者の好みに応じて切り替えられ、使用感を向上することができるようになる。
【0020】
第5の発明は、特に第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極間で形成される発熱部の面積を異なるように構成し、櫛形形状の枝電極部分の面積が小さい方の櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さくしてある。
【0021】
そして、第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極間で形成される発熱部の面積を異なるように構成し、発熱部の面積が小さい方の櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さくしてあるので、発熱部の面積が小さい方の櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さい部分は温度立ち上がりが速く温度も高めで、使用者はその速い立ち上がり感を得て、安定時は面状発熱体の櫛形形状の枝電極部分の面積が大きい方で長時間快適に使用できるようになり、より、快適に使用できるようになる。
【0022】
第6の発明は、特に第1の発明の第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として櫛形形状の枝電極を双方から設けるとともに櫛形形状の枝電極部にPTC高分子抵抗体を配設し、かつ、第1主電極、第2主電極の通電を入り切りして第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の通電を切り換える切換手段を配設してある。
【0023】
そして、第1主電極、第2主電極の通電を入り切りして第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の通電を切り換える切換手段を配設してあるので、切換手段で第1主電極と第2主電極の通電を切り替えることできるようになり、1−3間発熱部と2−3間発熱部の発熱を切り換えることが実現できるようになり、使用者の好みに応じて切り替えられるので、面状発熱体の立ち上がりを速くするとともに安定時の温度を使用者が切り替えられるようにして使用感を向上することが両立できるようになる。
【0024】
第7の発明は、特に第1の発明の第1主電極、第2主電極の通電を入り切りして第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の通電を切り換えるようするとともに、第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間のどちらかの電圧を高くする高電圧通電手段を配設してある。
【0025】
そして、電圧を高くする発熱温度が高くなり、電圧を低くくすると発熱温度が低くくすることができるようになり、第1主電極、第2主電極の通電を入り切りして第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の通電を切り換えるようしてあるので、第1主電極と第2主電極の通電を切り替えて、1−3間発熱部と2−3間発熱部の発熱温度を変化させることができる。例えば、第1主電極と第3主電極間より第2主電極と第3主電極間の電圧を高くし、立ち上がり時には1−3間発熱部と2−3間発熱部を同時に通電させ、安定時には1−3間発熱部のみを通電するようにすると、2−3間発熱部の温度が速く立ち上がり、使用者はその速い立ち上がり感を得られ、安定時は1−3間発熱部で低く使用者が長時間快適に使用できるようになる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1〜図3は、本発明の実施の形態1における面状発熱体の概略構成図を示し、図1は同面状発熱体の平面図、図2は同面状発熱体の断面図、図3は同面状発熱体の制御ブロック図である。
【0028】
図1において、面状発熱体11は、ポリエステル不織布12aにラミネートされたポリエステルフィルム等の薄肉の電気絶縁性基材12上に銀ペーストの印刷・乾燥により形成した一対の電極13と、電極13に重なるようにPTC高分子抵抗体インクを印刷・乾燥により形成したPTC高分子抵抗体14を形成している。そして、上記電極13、PTC高分子抵抗体14、及び電気絶縁性基材12と接着性を有するアクリル系接着剤等の接着性樹脂層15を予め形成されたポリエステルフィルム等の薄肉の電気絶縁性オーバコート材をラミネートした被覆材16を貼り合わせて形成される。
【0029】
上記電極13は、2本の同極となる第1主電極13A、第2主電極13Bの間に異極となる第3主電極13Cを配設し、第3主電極13Cは第1主電極13Aに近い部分と第2主電極13Bに近い部分を交互に有し、第1主電極13Aと第3主電極13Cおよび第2主電極13Bと第3主電極13Cからそれぞれ一対となるように櫛形形状の第1枝電極13D、第2枝電極13E、第3枝電極13Fを双方から交互になるように対向させて1対として設けてある。そして、第1主電極13Aと第3主電極13C間に設けた第1枝電極13D、第3枝電極13Fおよび第2主電極13Bと第3主電極13C間に設けた第2枝電極13E、第3枝電極13F部に自己温度制御性を有するPTC高分子抵抗体14を重ねて配設し、1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bを形成してある。
【0030】
このそれぞれ一対として形成した発熱部の面積は1−3間発熱部14Aより2−3間発熱部14Bを小さくなるように構成し、発熱部の面積が小さい方の2−3間発熱部14Bに設けた枝電極13E、13Fの櫛歯間のピッチを小さくしてある。
【0031】
また、面状発熱体11の通電制御部17には第1主電極13A、第2主電極13Bの通電を入り切りして1−3間発熱部14Aおよび2−3間発熱部14Bの通電を切り換える切換手段18を配設してある。
【0032】
上記した構成において、電極13を介してそれぞれに配設した櫛形形状の複数の第1枝電極13D、第2枝電極13E、第3枝電極13Fより、これに重なるように配設した自己温度制御性を有するPTC高分子抵抗体14に給電することで、PTC高分子抵抗体14に電流が流れ、発熱するようになる。この櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さくすると抵抗値が低くなり発熱温度が高くなり、枝電極の櫛歯間のピッチを大きくすると抵抗値が高くなり発熱温度が低くくすることができるようになるので、枝電極13E、13Fの櫛歯間のピッチを小さい2−3間発熱部14Bは立ち上がり早く温度が高めとなる。また、このPTC高分子抵抗体14はPTC特性を有し、温度が上昇するとPTC高分子抵抗体14の抵抗値が上昇し、所定の温度になるように自己温度調節機能を有するようになり、温度コントロールが不要で安全性の高い面状発熱体11としての機能を有するようになる。
【0033】
そして、切換手段18で第1主電極13Aと第2主電極13Bの通電を切り替えることで、1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bの発熱を切り換えられ、1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bの両方を発熱させるパターンと、1−3間発熱部14Aのみを発熱させるパターンと、2−3間発熱部14Bのみを発熱させるパターンと切りの4通りを使用者は選択できるようになり、それぞれのパターンで面状発熱体11全体の発熱量が異なるので、使用者の好みに応じて切り替えて、使用感を向上することができるようになる。
【0034】
例えば、使用者が暖かくすぎると感じた場合は、発熱部の通電を切り換えて発熱温度を低くすることができるようになり、そのため、面状発熱体11の発熱温度の立ち上がりを速くするように設定しても、発熱部の通電を切り換えて安定時の発熱温度を低くすることができ、使用者の好みに応じて切り替えられるので、面状発熱体11の立ち上がりを速くするとともに安定時の温度を使用者が切り替えられるようにして使用感を向上することが両立できるようになる。
【0035】
また、第3主電極13Cは第1主電極13Aに近い部分と第2主電極13Bに近い部分を交互に有するように構成し、1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bを交互に複数形成するように配設してあるので、第1主電極13Aと第2主電極13Bの通電を切り替えて、1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bの発熱を切り換えても、暖房面積を大きく変化させずに部分的に分断して変化させることができ、暖房範囲を極端に狭くして暖房感を急激に変化させて劣化させることを防止できるようになる。
【0036】
さらに、発熱部の面積が小さい方の第2主電極13Bと第3主電極13C間は櫛形形状の枝電極13E、13Fの櫛歯間のピッチを小さくしてあるので、発熱面積が小さい方の櫛形形状の枝電極13E、13Fの櫛歯間のピッチを小さい部分で使用者はその速い立ち上がり感を得て、安定時は面状発熱体11の発熱部の面積が大きい方で時間快適に使用できるようになり、より、快適に使用できるようになる。
【0037】
つまり、発熱面積が小さい方で立ち上がりを、そして、発熱面積が大きい方で安定時の暖房をするようにしてあり、立ち上がり時には1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bを同時に通電させ、安定時には1−3間発熱部14Aのみを通電するようにでき、通電開始時は2−3間発熱部14Bの温度が速く立ち上がらせることで使用者はその速い立ち上がり感を得られ、安定時は広い面積の1−3間発熱部14Aで温度が適度に低く使用者が長時間快適に使用できるようになる。
【0038】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2における面状発熱体11の制御ブロック図である。なお、図3と同様の構成については図1と同様の番号を付与し、図3と異なる構成についてのみ説明を行う。
【0039】
図4のように示すように、通電制御部17は第1主電極13A、第2主電極13Bの通電を入り切りして第1主電極13Aと第3主電極13C間および第2主電極13Bと第3主電極13C間の通電を切り換えるようするとともに、第1主電極13Aと第3主電極13C間への通電電圧よりも第2主電極13Bと第3主電極13C間の通電電圧を高く入り切りする高電圧通電手段21を配設してある。
【0040】
そして、電圧を高くすると発熱温度が高くなり、電圧を低くくすると発熱温度を低くくすることができるようになり、第1主電極13A、第2主電極13Bの通電を入り切りして第1主電極13Aと第3主電極13C間および第2主電極13Bと第3主電極13C間の通電を高電圧通電手段21で切り換えるようしてあるので、第1主電極13Aと第2主電極13Bの通電を切り替えて、1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bの発熱温度を変化させることができる。つまり、第1主電極13Aと第3主電極13C間より第2主電極13Bと第3主電極13C間の電圧を高くし、立ち上がり時には1−3間発熱部14Aと2−3間発熱部14Bを同時に通電しさせ、安定時には1−3間発熱部14Aのみを通電するようにすると、2−3間発熱部14Bの温度が速く立ち上がり、使用者はその速い立ち上がり感を得られ、安定時は1−3間発熱部14Aで低く使用者が長時間快適に使用できるようになる。
【0041】
なお、上記実施の形態1では、面状発熱体11に、2本の同極となる第1主電極13A、第2主電極13Bの間に異極となる第3主電極13Cを配設した構成で説明したが、これは面状発熱体11の一部にこの構成を有するようにしてもよく、その他各部の構成も本発明の目的を達成する範囲であればその構成はどのようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明は面状発熱体11の能力を切り替えることが可能となるので、主に車輌に用いられるカーシートヒータや、ハンドルヒータ等の車輌用や暖房器具や加熱器具等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1における面状発熱体の構成を示す平面図
【図2】同面状発熱体の断面図
【図3】同面状発熱体の制御ブロック図
【図4】本発明の実施の形態2における面状発熱体の制御ブロック図
【図5】(a)従来の発熱体の構成を示す平面図(b)同発熱体の断面図
【図6】従来の面状発熱体の被覆材の貼り合わせ時の概略構成図
【符号の説明】
【0044】
11 面状発熱体
12 電気絶縁性基材
13 電極
13A 第1主電極
13B 第2主電極
13C 第3主電極
13D 第1枝電極
13E 第2枝電極
13F 第3枝電極
14 PTC高分子抵抗体
14A 1−3間発熱部
14B 2−3間発熱部
15 接着性樹脂層
16 被覆材
18 切替手段
21 高電圧通電手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性基材と、電気絶縁性基材上に形成された電極及び電極により給電される自己温度制御性を有するPTC高分子抵抗体と、電極と端子部材及びPTC高分子抵抗体を覆い電気絶縁性基材と密着させて配設した被覆材とを備えた面状発熱体において、2本の同極となる第1主電極、第2主電極の間に異極となる第3主電極を配設し、第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として櫛形形状の枝電極を双方から設けるとともに、第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の櫛形形状の枝電極部にPTC高分子抵抗体を配設し、第1主電極と第3主電極との間に形成される1−3間発熱部と、第2主電極と第3主電極との間に形成される2−3間発熱部の通電を切り換えることができるように構成した面状発熱体。
【請求項2】
第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として形成した1−3間発熱部と2−3間発熱部を交互に複数配設した構成した請求項1記載の面状発熱体。
【請求項3】
第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として形成した櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを異なるように構成した請求項1〜2記載のいずれか1項記載の面状発熱体。
【請求項4】
第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極間で形成される発熱部の面積を異なるように構成した請求項1〜3記載のいずれか1項記載の面状発熱体。
【請求項5】
第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極間で形成される発熱部の面積を異なるように構成し、発熱部の面積が小さい方の櫛形形状の枝電極の櫛歯間のピッチを小さくした請求項1〜4記載のいずれか1項記載の面状発熱体。
【請求項6】
第1主電極と第3主電極および第2主電極と第3主電極をそれぞれ一対として櫛形形状の枝電極を双方から設けるとともに櫛形形状の枝電極部にPTC高分子抵抗体を配設し、かつ、第1主電極、第2主電極の通電を入り切りして第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の通電を切り換える切り換え手段を配設した請求項1〜5記載のいずれか1項記載の面状発熱体の面状発熱体の制御手段。
【請求項7】
第1主電極、第2主電極の通電を入り切りして第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間の通電を切り換えるようするとともに、第1主電極と第3主電極間および第2主電極と第3主電極間のどちらかの電圧を高くする高電圧通電手段を配設した請求項1〜6記載のいずれか1項記載の面状発熱体の制御手段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−278204(P2006−278204A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97409(P2005−97409)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】